説明

小型台秤

【課題】構造を簡略化した小型台秤を提供する。
【解決手段】1つの重量センサユニット400を用いて構成した小型台秤であって、センサケース401の底面に設けた取付け部402と、センサケース401と直交する方向に配設された二本の基礎フレーム500と、基礎フレームの両側縁が下方に折れ曲がって形成された垂下壁501と、基礎フレームの中央部に形成されたセンサケースの固定部503と、基礎フレームの両端に設けた高さ調整ネジ600と、重量センサユニット400の外部に現われた荷重伝達用の部材404に機械的に結合された皿受け602と、皿受け602で保持された計量皿601と、を備える。この小型台秤は、重量センサのセンサケース401を構造材として利用するとともに、センサケース401や高さ調整ネジ600を基礎フレーム500に直接装着しているため、少ない数の部品で構成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型の台秤に関し、構造の簡略化を実現したものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、本発明者等が以前に開発した台秤が開示されている。
この台秤では、部品点数の削減を図るため、重量センサユニットのセンサケースを基礎フレームの構造材に兼用している。この台秤は、図5に示すように、平坦な計量皿(不図示)を支える上側フレーム10と、二本の並行する基礎フレーム20、20と、基礎フレーム20、20間に掛け渡された重量センサユニット30とを備えている。
図6に示すように、重量センサユニット30のセンサケース33内には、音叉振動子41と、加えられた荷重を縮小して音叉振動子41に伝えるブロック体42とを備える重量センサ40が収納されており、ブロック体42の内部には、ブロックを削り込んでロバーバル機構や梃子機構が形成されている。
【0003】
ブロック体42の固定側は、ボルト43でセンサケース33の底部に固定され、ブロック体42の可動側にはボルト37を通じて被計量物の荷重が伝達される。ボルト37の先端は、センサケース33の蓋体35の孔351から導出されて、上側フレーム10を支える上面支持部材31(図5)と機械的に結合している。そのため、上側フレーム10に加わる荷重は、上側フレーム10に接触する二つの重量センサユニット30の上面支持部材31に伝わり、上面支持部材31から、上面支持部材31を支えているボルト37に伝わる。そして、ボルト37に加わる荷重によって重量センサ40のブロック体42の可動側が変位し、その変位に応じた信号が音叉振動子41から出力される。
【0004】
また、センサケース33は、略直方体の箱形状に成形されており、図7に示すように、重量センサ40を収容するセンサ収容室331を有し、下部の取付け部には、基礎フレーム20に固定するための螺子孔337が設けられている。
このセンサケース33は、ロストワックス法により型を形成し、そこに溶融したステンレスを流し込んで鋳造されている。
【0005】
また、センサケース33と蓋体35との結合箇所にはパッキンを介在させ、また、ボルト37が導出される蓋体35の孔351は、ボルト37の動きを許容しながら水分の浸入を防ぐために、ダイヤフラム51を使って防水している。また、センサ収容室331の底に設けた通気孔335は、埃や水分を通さないフィルタで塞いでいる。
このように、この重量センサユニット30は、防水防塵構造を有しており、センサケース33内には埃や水分が浸入しない。
【0006】
センサケース33は、図5に示すように、基礎フレーム20に取り付けた取付部材21、22に固定されている。また、この取付部材21、22には、載荷台の高さや水平を調節する高さ調整ネジ(アジャスタ)222や、上側フレーム10のストッパ片101と共働して上側フレーム10の移動範囲を制限するストッパピン221が取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開WO2011/001875
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
比較的軽量の物品や部品などを計量する製造現場・物流現場などでは、低コストで精度の高い小型の台秤を求める声が強い。
本発明は、こうした事情を考慮して創案したものであり、計量精度を落とさずに構造を簡略化した小型台秤を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、センサケース内に重量センサが収容された重量センサユニットの一つを用いて構成した小型台秤であって、センサケースのケース底面の両端から長手方向に延出した取付け部と、センサケースの長手方向と直交する方向に配設された二本の基礎フレームと、基礎フレームの長手方向に沿う両側縁が下方に折れ曲がって形成された垂下壁と、基礎フレームの上方表面に在る平坦面の長手方向の中央部に形成された、センサケースの取付け部を固定する固定部と、基礎フレームの長手方向の両端に在る平坦面に装着された高さ調整ネジと、重量センサユニットの外部に現われた荷重伝達用の部材に機械的に結合された皿受けと、皿受けで保持された計量皿と、を備えることを特徴とする。
この小型台秤は、重量センサのセンサケースを構造材として利用するとともに、センサケースや高さ調整ネジを基礎フレームに直接装着しているため、少ない数の部品で構成できる。
【0010】
また、本発明の小型台秤では、センサケースの取付け部と基礎フレームの固定部とに少なくとも二つの取付け孔を形成し、この取付け孔に挿通したボルトでセンサケースの取付け部を基礎フレームの固定部に固定している。
そのため、簡単な構成で安定的に固定することができる。
【0011】
また、本発明の小型台秤では、基礎フレームの長さを、計量皿の対応する辺と略等しい長さに設定している。
そのため、基礎フレームの端が計量皿の範囲に収まるので、基礎フレームに躓くなどの危険が回避でき、安全性が高い。
【0012】
また、本発明の小型台秤では、重量センサユニットが防塵防水構造を有していることが望ましい。
防塵防水構造の重量センサユニットを二本の基礎フレームに取り付けるだけで、防塵防水機能を持つ台秤を得ることができる。
【0013】
また、本発明の小型台秤では、センサケース内に、音叉振動子と、加えられた荷重を縮小して音叉振動子に伝えるブロック体とを備える重量センサを収納し、あるいは、歪みゲージを備えたロードセルを重量センサとして収納することができる。
センサケース内部の重量センサ取付け構造を共通化して、音叉振動子を備える重量センサや、歪みゲージ式ロードセルを取り付けることにより、高精度の小型台秤から中精度の小型台秤まで、容易に構成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の小型台秤は、部品数が少なく、構造が簡単である。そのため、製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る小型台秤の分解斜視図
【図2】図1の計量皿を除いた小型台秤の斜視図
【図3】図2の小型台秤の平面図
【図4】図2の小型台秤の側面図
【図5】従来の台秤を示す図
【図6】従来の台秤に用いられている重量センサユニットの分解斜視図
【図7】重量センサユニットのセンサケースの平面図
【図8】重量センサとしてロードセルを代替使用する場合の説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る小型台秤の分解斜視図を示している。また、図2は、この小型台秤の計量皿を除いた構造を示し、その平面図を図3に、側面図を図4に示している。
この小型台秤は、重量センサがセンサケース401に収容された重量センサユニット400の一つと、二本の基礎フレーム500と、4個の高さ調整ネジ600と、一つの計量皿601と、計量皿601を受ける皿受け602と、被計量物の荷重を重量センサに伝えるために重量センサユニット400の外部に現われているボルト404を皿受け602に機械的に結合する機構とを備えている。
【0017】
重量センサユニット400は、特許文献1の台秤に組み込まれているもの(図6)と同じものを使用している。即ち、センサケース401がステンレスで鋳造され、センサケース401内には、音叉振動子41と、加えられた荷重を縮小して音叉振動子41に伝えるブロック体42とを備える重量センサ40が収容され、重量センサユニット400は防塵防水構造を有している。
センサケース401のケース底面の両端から取付け部402が延出しており、各取付け部402には、2つの取付け孔403が形成されている。
【0018】
基礎フレーム500は、計量皿601の対応する辺と略等しい長さを有している。基礎フレーム500の長手方向に沿う両側縁は、下方に折れ曲がって垂下壁501を構成している。この垂下壁501が有るため、基礎フレーム500は強い強度を有している。
垂下壁501の間の平坦面(上面)502が基礎フレーム500の取付け面であり、平坦面502の長手方向の中央部には、センサケース401を取り付けるための二つの取付け孔503が設けられている。センサケース401を基礎フレーム500に取り付けるときは、基礎フレーム500の平坦面502上にセンサケース401の取付け部402を載せ、取付け孔403及び取付け孔503にボルト504(図3)を通して固定する。
また、高さ調整ネジ600は、基礎フレーム500の両端の平坦面502に設けられた孔に下方から挿入する。
【0019】
重量センサユニット400のボルト404(図6のボルト37に相当)は、計量皿601に載る被計量物の荷重をセンサケース401内の重量センサに伝えるため、ダイヤフラムの防水機構を通過して、その先端がセンサケース401の外部に導出されている。このボルト404は固定板405に結合される。
また、皿受け602は、複数のフレームを組み合わせて構成されており、組み合わせた構造体の縦・横の長さが計量皿601の下面の凹部に嵌合できる寸法に設定されている。皿受け602の内部を仕切る二つのフレームの下辺には、皿受け取付板603が嵌る切欠けが設けられており、この切欠けに皿受け取付板603を嵌めると、皿受け取付板603と皿受け602との水平方向の相対移動が抑止される。
【0020】
また、皿受け取付板603は、介在板406を間に挟み、ネジ604で固定板405に固定される。その結果、皿受け602と重量センサユニット400のボルト404とが機械的に結合される。
ボルト404と機械的に結合した皿受け602に計量皿601を載せて小型台秤の組立てが完成する。
【0021】
このように、この小型台秤は、使用する重量センサユニットが1つであり、その他の部品の数も少なくて済むため、組立てが容易であり、低コストで製造できる。
また、両側に垂下壁501を持つ基礎フレーム500は強固であり、この基礎フレーム500にセンサケース401の各取付け部402を二つの取付け孔(402、503)で固定すると、重量センサユニット400は、揺ぎ無い状態で基礎フレーム500に固定される。そのため、安定した計量特性が得られる。
また、基礎フレーム500の端が計量皿601の範囲に収まるように基礎フレーム500の長さを設定しているため、基礎フレーム500に躓くなどの危険が回避でき、安全性が高い。
また、防塵防水構造の重量センサユニットのセンサケースを二本の基礎フレームに取り付けるだけで、防塵防水の小型台秤を作ることができる。
【0022】
なお、ここで示した構成は一例であって、本発明は、それだけに限定されるものではない。例えば、基礎フレーム500に取り付けるセンサケースの取付け孔を3個以上としても良い。また、ボルト以外の方法で固着しても良い。
また、ここでは、センサケース内の重量センサが、音叉振動子と、加えられた荷重を縮小して音叉振動子に伝えるブロック体とから成る場合について説明したが、図8(b)に示すように、歪みゲージを備えるロードセル80を重量センサとして用いても良い。
この場合、ロードセル80の長さ(L6)及び高さ(L7)、ボルト孔81の位置、間隔及び大きさ、並びに、螺子孔82の位置、間隔及び大きさを、図8(a)に示す音叉振動子に組み合わせるブロック体42の長さ(L6)及び高さ(L7)、ボルト孔421の位置、間隔及び大きさ、並びに、螺子孔422の位置、間隔及び大きさと等しくなるように設定すれば、センサケースを共通に使用して、音叉振動子を備える重量センサの代わりに、歪みゲージ式ロードセルを取り付けることができ、センサケース内部の重量センサ取付け構造を共通化して、高精度の台秤から中精度の台秤まで、精度の異なる小型台秤を作り分けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の小型台秤は、構造が簡単で、コスト低減が可能であり、比較的軽量である物品の重量を高精度に求める場合に適している。そのため、そうした物品を扱う製造工場や物流施設、輸送施設などで幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0024】
42 ブロック体
80 ロードセル
81 ボルト孔
82 螺子孔
400 重量センサユニット
401 センサケース
402 取付け部
403 取付け孔
404 ボルト
405 固定板
406 介在板
421 ボルト孔
422 螺子孔
500 基礎フレーム
501 垂下壁
502 平坦面
503 取付け孔
504 ボルト
600 高さ調整ネジ
601 計量皿
602 皿受け
603 皿受け取付板
604 ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサケース内に重量センサが収容された重量センサユニットの一つを用いて構成した小型台秤であって、
前記センサケースのケース底面の両端から長手方向に延出した取付け部と、
前記センサケースの長手方向と直交する方向に配設された二本の基礎フレームと、
前記基礎フレームの長手方向に沿う両側縁が下方に折れ曲がって形成された垂下壁と、
前記基礎フレームの上方表面に在る平坦面の長手方向の中央部に形成された、前記センサケースの取付け部を固定する固定部と、
前記基礎フレームの長手方向の両端に在る前記平坦面に装着された高さ調整ネジと、
前記重量センサユニットの外部に現われた荷重伝達用の部材に機械的に結合された皿受けと、
前記皿受けで保持された計量皿と、
を備えることを特徴とする小型台秤。
【請求項2】
請求項1に記載の小型台秤であって、前記センサケースの取付け部と前記基礎フレームの固定部とに少なくとも二つの取付け孔が形成され、前記取付け孔に挿通されたボルトで前記センサケースの取付け部が前記基礎フレームの固定部に固定されることを特徴とする小型台秤。
【請求項3】
請求項1または2に記載の小型台秤であって、前記基礎フレームの長さが、前記計量皿の対応する辺の長さに略等しいことを特徴とする小型台秤。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の小型台秤であって、前記重量センサユニットが防塵防水構造を有することを特徴とする小型台秤。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の小型台秤であって、前記センサケース内に、音叉振動子と、加えられた荷重を縮小して前記音叉振動子に伝えるブロック体とを備える重量センサが収納されていることを特徴とする小型台秤。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の小型台秤であって、前記センサケース内に、歪みゲージを備えたロードセルが重量センサとして収納されていることを特徴とする小型台秤。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−11489(P2013−11489A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143377(P2011−143377)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(390041346)新光電子株式会社 (38)