説明

小遊技動体供給装置

【課題】小遊技動体供給装置における小遊技動体の玉詰まりを解消可能な小遊技動体供給装置を低コストに提供する。
【解決手段】遊技機へ小遊技動体を供給する小遊技動体供給装置であって、玉供給樋13、分配樋16、各コイルホース31、32、接続装置17及び当該小遊技動体が通過する通過路が設けられた本体部33、を備え、当該本体部33は、当該小遊技動体の通過により当該小遊技動体供給装置に振動を付与する振動付与手段35を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は小遊技動体供給装置に係り、詳しくは、遊技機へ小遊技動体を供給する小遊技動体供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ店(パチンコホール)内では、一列に並べられた多数台のパチンコ台が「パチンコ島」(または「島」「島ユニット」)と呼ばれる設備に設置されている。
当該パチンコ台に供給されるパチンコ玉は、通常、パチンコ島の上方に配置された玉供給樋に続き、玉供給路と各パチンコ台とを接続する接続部を通って個々のパチンコ台へ供給される。
ところで、上記玉供給路とパチンコ台との間の距離やカーブは個々のパチンコ台ごとに異なる。そのため、上記接続部として、一般に、丸線材が螺旋コイル状に巻回されて形成された可撓性を有するホース(蛇腹)が用いられている。
当該蛇腹は、その長さやカーブを適宜調整し易いため接続部として好ましく用いられる一方で、当該蛇腹部分がパチンコ玉の詰まりの発生箇所となることも多い。このように蛇腹等で玉詰まりが発生すると、パチンコ台にパチンコ玉が供給されなくなり、遊技者の遊技を妨げることとなる。
従来では、上記玉詰まりが発生した際には、パチンコ店の従業員が玉詰まりの発生したパチンコ台へ出向き、手で蛇腹に振動を与えることにより玉詰まりを解消していた。
このような問題を解決すべく特許文献1には、パチンコ機の玉供給システムにおいて蛇腹部を振動させる、例えば、加振モータ等の加振手段を備えることにより、当該蛇腹部に玉詰まりが発生した場合には、当該加振手段により蛇腹部に直接振動を加えて玉詰まりを解消するパチンコ機の玉供給システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−065834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、加振モータ等の加振手段を別途備えることにより、パチンコ玉の玉詰まりを解消している。
そこで、本発明者は、より簡易な構成により、パチンコ玉の玉詰まり解消を実現すべく鋭意検討を重ねてきた。その結果、上記接続部が、パチンコ玉の通過により振動する構成を含むことにより、より低コストで玉詰まりを解消することができることに想到した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、以下の各局面に規定される。
【0006】
<本発明の第1の局面>
第1の局面は、遊技機へ小遊技動体を供給する小遊技動体供給装置であって、
前記小遊技動体が通過する通過路が設けられた本体部、を備え、
前記本体部は、前記小遊技動体の通過により前記小遊技動体供給装置に振動を付与する振動付与手段を備えた小遊技動体供給装置である。
第1の局面によれば、小遊技動体の通過により発生する振動を利用して、小遊技動体供給装置に振動を付与する。従って、当該振動の付与に別途動力を備えることを要しないため、低コストで小遊技動体の詰まりを解消することができる。
【0007】
<本発明の第2の局面>
第2の局面は、第1の局面において、
前記振動付与手段が、前記本体部に設けられた段差部である小遊技動体供給装置である。
第2の局面によれば、小遊技動体が上記本体部に設けられた段差部を通過することによって、小遊技動体の流通に変化が生じる。このように簡易な構成で、小遊技動体の滞留を防止することができる。
また、前記段差部は前記本体部の長手方向に設けられる(第3の局面)。このような構成を採ることで、小遊技動体は緩急をつけながら小遊技動体供給装置を通過するため、小遊技動体供給装置内における小遊技動体の詰まりを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明を具体化した各実施形態のパチンコ玉供給装置30が備えられているパチンコ島10の概略構成図である。
【図2】パチンコ玉供給装置30における本体部33の側面図である。
【図3】本体部33の半割部40の斜視図(本体部33からコイルホース31,32を取り外した状態)である。
【図4】本体部33にコイルホース31,32が取り付けられた状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態のパチンコ玉供給装置(小遊技動体供給装置)30について図面を参照しながら説明する。
【0010】
[パチンコ島10の構成]
図1は、パチンコ玉供給装置30が備えられているパチンコ島10の概略構成図であり、パチンコ島10を裏側(遊技者とは反対側)から見た状態を示す。
パチンコ島10には、一列に並べられた多数台(図示例では2台)のパチンコ台11が設置されている。
また、パチンコ島10には、玉回収樋(玉回収路)12、玉供給樋(玉供給路)13、パチンコ玉Pの揚送装置14がそれぞれ1台ずつ設置されている。
【0011】
パチンコ島10において、玉回収樋12は各パチンコ台11の下方に配置され、玉供給樋13は各パチンコ台11の上方に配置され、玉回収樋12および玉供給樋13の片端部は揚送装置14に接続されている。
パチンコ台11と玉回収樋12は、排出路15によって接続されている。
玉供給樋13には、各パチンコ台11毎に分配樋(分流樋)16が設置されている。
パチンコ台11の遊技盤面11aの裏側には玉補給装置(賞玉制御装置)19が備えられており、玉補給装置19には接続装置17が接続固定されている。
【0012】
第1コイルホース31の上端部は分配樋16に接続され、コイルホース31の下端部は本体部33の上端部に接続されている。
第2コイルホース32の上端部は本体部33の下端部に接続され、コイルホース32の下端部は接続装置17に接続されている。
【0013】
なお、この発明のパチンコ玉供給装置30は、玉供給樋13、分配樋16、各コイルホース31,32、本体部33及び接続装置17から構成され、本体部33は所定の俯角を成すように斜め位置に配置される。
【0014】
パチンコ島10の上部には、幕板18が開閉可能に設置されている。
幕板18を閉めた状態では、パチンコ台11の上方に設置されている各部材(玉供給樋13、分配樋16、接続装置17、本体部33、各コイルホース31,32)は幕板18によって隠されて遊技者側からは目視不能になっている。
そして、幕板18を開けた状態では、前記各部材(玉供給樋13、分配樋16、接続装置17、本体部33、各コイルホース31,32)が遊技者側(パチンコ台11の遊技盤面11a側)に露出するため、前記各部材を容易に視認できる。
【0015】
従って、幕板18を開ければ、遊技者側からパチンコ玉供給装置30のメンテナンス(例えば、状態確認や部品交換など)を容易に行うことができる。
尚、玉供給樋13、分配樋16、接続装置17、各コイルホース31,32は、既存のパチンコ島10にも設けられているため、本発明の実施の形態における本体部33を既存のパチンコ島10に対して容易に設置して、本発明のパチンコ玉供給装置30を構成することができる。
【0016】
パチンコ玉P(図示略)はパチンコ島10の内部で循環されている。
すなわち、パチンコ台11の遊技盤面11aを転動し終えたパチンコ玉P(アウト玉)は、排出路15を通って当該パチンコ台の外部へ排出され、玉回収樋12を通って揚送装置14に集められ、その集められたパチンコ玉Pは揚送装置14によって玉供給樋13まで引き上げられ、その引き上げられたパチンコ玉Pは玉供給樋13を通って各分配樋16で分配され、その分配されたパチンコ玉Pは本体部33を通って接続装置17からパチンコ台11の玉補給装置19へ供給される。
【0017】
[本体部33の構成]
図2は、この発明の実施の形態における本体部33の側面図である。
この発明のパチンコ玉供給装置30における本体部33は、振動付与手段としての段差部35を含んで構成される。かかる段差により、本体部33内におけるパチンコ玉の流通に変化が生じ、本体部33内におけるパチンコ玉の滞留を防止できる。また、パチンコ玉の流れに変化を与えることにより、パチンコ玉に対する汚れ除去効果も向上する。
本体部33の内部は空洞であり、パチンコ玉が通過する通過路としての玉通過路37が設けられている。また、本体部33の一端にコイルホース310が挿着され、他端にはコイルホース320の大径部312が被せられる(図4参照)。
【0018】
段差部35は、パチンコ玉の通過によりパチンコ玉供給装置30に振動を付与する振動付与手段として本体部33に設けられる。本発明では、この段差部35を設けることにより、パチンコ玉供給装置30における玉詰まりを解消することが可能となる。
この段差部の角度や落差は特に限定されるものではなく、筒状の本体部33内においてパチンコ玉の流れを阻害することなく、これに変化を与えられればよい。また、パチンコ玉の流れに変化を与える見地から、本体部の内径を当該段差部で大きくすることが好ましい。
図2に示すように、当該段差部35は、本体部33の長手方向に設けることが好ましい。当該段差部35をパチンコ玉が通過することにより、本体部33が振動するため本体部33における玉詰まりを防止することができる。また、本体部33における振動は、本体部33に接続する各コイルホース31,32、分配樋16、接続部17にも伝達するため、パチンコ玉供給装置30全体におけるパチンコ玉の詰まりを解消することが可能となる。なお、本体部33と分配樋16及び/又は接続部17をステー等の機械的手段で直接連結し、本体部33の振動をこれらへ与えることもできる。
【0019】
設けられる段差部35の数は、パチンコ玉供給装置30に上記振動を付与することができれば、特に制限されず、一であってもよく、二以上であっても良い。段差部35が、二以上設けられた場合において、各段差部で発生する振動が共振すれば、より良好な玉詰まり解消効果が期待できる。
また、段差部35の角度(図2に示す角度θ)についても、パチンコ玉供給装置30に振動を付与できれば、特に制限されない。より良好に玉詰まりを解消するために、段差部35の角度は15度〜45度であることが好ましい。複数の段差部が設けられている場合には、各段差部の角度は同じであっても良く、また、異なっていても良い。
段差部35の距離(図2に示す距離d)についても、上述のようにパチンコ玉供給装置30に振動を付与できれば、特に制限されない。
【0020】
また、本体部33は、一対の半割部を組合わせて構成されていても良い。
図3は、この発明の実施の形態における本体部33の半割部40の斜視図である。
この半割部40は屈曲した半割筒状の半筒部241、係合部爪143及び係合アーム145を備えてなる。この半割部40の一対を突き合わせ、それぞれの係合部爪143に対して係合アーム145をスナップ止め的に係合させると、パチンコ玉を挿通可能な筒状の本体部33が形成される。半筒部241の一端の内周面には溝250が螺刻されており、コイルホース310が挿着される(図4参照)。
【0021】
また、図2、図3に示すように、本体部33は、ブレード151、溝153及びスリット260を備えていても良い。
ブレード151は、半筒部241の内周面に複数の凸条部として形成され、平面視において平行にかつ半筒部241の軸線に対して傾斜して形成される。軸線に対する傾斜の角度は特に限定されることはないが、30〜60度とすることが好ましい。この凸条ブレード151の頂部は、直径12mmの仮想円周上に位置し、これにより、パチンコ玉(直径11mm)は凸条ブレード151の頂部に接触しながら本体部を通過可能となる。ここに、各ブレード151は半筒部241の軸線(パチンコ玉の通過方向)に対して傾斜しているので、大きな抵抗を受けることなく、ブレード151の頂部のエッジにより、パチンコ玉に付着した汚れが削り取られる。削り取られた汚れはブレード151の間に形成された溝153に落ちる。
半割部40に形成されるスリット260は、本体部33の使用時において下方に位置する。これにより、ブレード151でパチンコ玉から削り取られた汚れは溝に153に落ち、更にスリット260を介して外部へ排出される。
更に段差部において、パチンコ玉の流れ方向に対向する面へスリットを形成しても良い。この場合、当該対向面にパチンコ玉が比較的強く当たるので、その際に除去された汚れを効率的に排出することができる。
【0022】
図4は、本体部33にコイルホース31,32を取り付けた状態を示した側面図である。
各コイルホース31,32は、長さ以外は同一構成であり、丸線材Wが螺旋コイル状に巻回されて形成された可撓性を有するホース(パイプ)である。
コイルホース31,32の内径寸法は、パチンコ玉Pの寸法よりも一回り大きく形成されている。また、コイルホース31,32を形成する丸線材Wの直径は、パチンコ玉Pの直径に対して十分に小さく形成されている。そのため、コイルホース31,32の内部をパチンコ玉Pが容易に通過可能になっている。
そして、コイルホース31から本体部33にパチンコ玉Pが送り込まれ、本体部33からコイルホース32にパチンコ玉Pが送り出される。
尚、コイルホース31,32を形成する丸線材Wは、合成樹脂材料または金属材料によって形成されている。
図2〜図4の例では、本体部33を半割として、樹脂製の半割筒状の半割部40を型形成可能としているが、中子を用いて筒状の本体部を形成することとしてもよい。
【0023】
本発明は、パチンコ台11にパチンコ玉Pを供給するパチンコ玉供給装置30に限らず、小遊技動体(例えば、遊技球、遊技メダル、ボーリング球など)を遊技盤上に転動させて遊技を行う方式の遊技機(例えば、ピンボール機、ボーリングゲーム機、玉突き機など)に小遊技動体を供給する小遊技動体供給装置であればどのようなものにも適用可能であり、小遊技動体の玉詰まりを解消できるという優れた効果を奏する。
【0024】
本発明は、前記各局面および前記各実施形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様も本発明に含まれる。本明細書の中で明示した公開特許公報の内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
【符号の説明】
【0025】
30…パチンコ玉供給装置
31…第1コイルホース
32…第2コイルホース
33…本体部
35…段差部
37…玉通過部
40…半割部
241…半筒部
151…ブレード
260…スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機へ小遊技動体を供給する小遊技動体供給装置であって、
前記小遊技動体が通過する通過路が設けられた本体部、を備え、
前記本体部は、前記小遊技動体の通過により前記小遊技動体供給装置に振動を付与する振動付与手段を備える、
ことを特徴とする小遊技動体供給装置。
【請求項2】
前記振動付与手段は、前記本体部に設けられた段差部である、ことを特徴とする請求項1に記載の小遊技動体供給装置。
【請求項3】
前記段差部は、前記本体部の長手方向に設けられる、ことを特徴とする請求項2に記載の小遊技動体供給装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−81565(P2013−81565A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222432(P2011−222432)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(504287354)
【Fターム(参考)】