説明

少なくとも1つの動作状態を光学的に表示する警告灯

【課題】少なくとも1つの動作状態を光学的に表示するための警告灯であって、照射パルスの照明特性が、輝度、照射継続時間、周波数、色、発光方向などのような、少なくとも1つの照射パラメータによって決定され、特定の動作状態、特に、非常に重大な動作状態の光学的表示の認識が実質的に向上する警告灯を提供する。
【解決手段】
警告灯は、特定の動作状態の表示中に、特定の時間間隔内に一連の複数の照射パルスを発するための、少なくとも1つの発光素子を有する。照射パルスの照明特性は、輝度、照射継続時間、周波数、色、発光方向のような、少なくとも1つの照射パラメータ(P)によって決定され、照射パラメータ(P)の少なくとも1つにおける非周期的変化が、当該時間間隔内に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械、設備、輸送機器等の技術的装置の少なくとも1つの動作状態、具体的には複数の異なる動作状態を、表示するための警告灯に関する。この警告灯は、請求項1の前文(プリアンブル)に記載のとおり、特定の動作状態の表示中に、特定の時間間隔内に一連の複数の照射パルスを発生させるための、少なくとも1つの発光素子を有する。
【背景技術】
【0002】
例えば信号柱等のような警告灯は、機械、設備、あるいは輸送機器のような技術的装置の動作状態を、通知および/または表示するために、現在すでに幅広い形態で使用されている。警告灯は、具体的には光学的に、および/または音響的に、機械又は設備の誤動作を通知する目的を主に果たしており、誤動作が通知されたことより、作業者が誤動作に気付くことができ、そしてその誤作動を排除することができる。この目的を達成するために、警告灯は、通常、(着色)光および/または音響信号の形態で、警告、あるいは表示すべき各動作状態を発生する。例えば、ある動作状態に対して緑色光を用いた表示が行われる。緑色光を用いた表示は、全てが正常であることを通知することを目的とする。重大な動作状態を通知するために、赤色光を用いた表示が頻繁に用いられる。赤色光を用いた表示は、例えば障害が存在すること、および/またはある区域に立ち入るべきでないことを通知することを目的とする。障害の発生を通知するのであるからこそ、あるいは危険な状態を通知する場合であっても、作業者が適切な信号を実際に認識することが大変重要である。
【0003】
光学式信号伝達装置の場合、認識を向上させるために、今までに以下のような方策がすでに用いられてきた。重大な動作状態は、輝度を増加させたり、あるいは、例えばいわゆる回転ミラー灯等のような全周灯を用いるなどして発生されたり、または、点滅光や閃光によって通知される。
【0004】
例えば、特許文献1は、閃光警告灯、すなわちLEDによって生成される閃光光線を開示している。閃光は、特に期間が短く、かつ非常に輝度の高い照射パルスであり、次の閃光または照射パルスから暗期によって区切られている。そのような点滅光、閃光、あるいは全周灯では、明期と暗期とが1秒間に約1回交互に繰り返される。明期と暗期とが交互に繰り返される過程において、各動作状態を表示するために、一連の複数の照射パルスが発生される。
【特許文献1】独国特許出願公開第102006015175A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば広大な作業場では、複数の異なる視覚的影響が作業者に作用するため、実際上、そのような方策でさえ、認識を向上させる、とりわけ特に、重大な動作状態の認識を向上させるのに十分ではないことが明らかになっている。例えば、信号柱を有する複数の機械が存在し、広大な作業場におけるフォークリフト車のような車両も、例えば、移動方向を示すために光を点滅させ、かつ/または、溶接作業で光パルスが発生し、発生した光パルスが反射により作業場内に広がるといった状況がある。
【0006】
そこで、本発明は、少なくとも1つの動作状態を光学的に表示するための警告灯であって、照射パルスの照明特性が、輝度、照射継続時間、周波数(頻度)、色、発光方向などのような、少なくとも1つの照射パラメータによって決定され、特定の動作状態、特に、非常に重大な動作状態の光学的表示の認識が実質的に向上する警告灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記導入部で述べた種類の警告灯を前提として、請求項1に記載の特徴によって、この目的は達成される。従属請求項に挙げた方策によって、本発明の好ましい設計および展開が可能となる。
【0008】
その結果、本発明の警告灯は、時間間隔において、少なくとも1つの、あるいは複数の照射パラメータに非周期的変化が与えられるという事実によって、他とは区別される。非周期的変化が与えられる照射パラメータとしては、例えば、輝度、および/または照射継続時間、および/または周波数、および/または色、および/または発光方向等が挙げられる。
【0009】
本発明に係る、照射パラメータにおける非周期的変化によって、作業者の認識力は特段に向上し、かつ/または作業者の注意力は鋭くなる。従来技術と比較すると、作業者の認識力および/または作業者の注意力は、直接脳内で影響を受け、実質的に向上しているので、ここではまた、いわゆる「心理学的」照明について述べることができる。具体的には、従来の閃光および/または点滅光等は、適切な作業者であっても、時間が経つにつれて脳内で「徐々に抑制される」ことが明らかになっている。つまり、技術的装置の作動期間中に、例えば数週間あるいは数か月といった長期にわたる表示期にわたって、時間の経過とともに認識力が弱まる結果になる。一例として、このように認識力が弱まることは、例えば人間および/または機械には無関係な危険の可能性を示す適切な技術的装置における、特定の重大な動作状態を表示する際に、非常に不都合となる。
【0010】
本発明によれば、特定の動作状態を表示中に、照射パラメータにおける非周期的変化が時間間隔内に与えられた場合、作業者に慣れ効果は生じず、その結果、一方において認識力は特に鋭くなり、他方において、例えば数か月といった長期間にわたってでさえ、作業者の認識力が低下することはない。したがって、本発明によれば、従来技術よりも作業の安全性が実質的に増大する。本発明によって、適任者による認識力の「飛躍的進歩」さえも実現可能であることが、被験者による最初の試験で明らかになっている。
【0011】
非周期的に変化する照射パラメータとしては、例えば輝度、および/または照射継続時間、および/または単位時間あたりの周波数、および/または色、および/または発光方向、および/または輝度の増加等を挙げることができる。時間間隔内に、および/または1照射パルス毎に、非周期的に変化する複数の照射パラメータが組み合わされるからこそ、特に高いレベルの認識力が得られたり、関係する作業者の慣れの危険性を低減、あるいは完全に回避することになる。例えば、一連の照射パルスの間に、1照射パルス毎に輝度を変化させるだけではなく、照射パルスの長さ、および/または放射光もしくは照射パルスの色も変化させることが可能である。
【0012】
本発明によれば、適切に非周期的に変化させた複数の照射パルスを、連続して供給することができる。本発明の特定の展開では、少なくとも2つの照射パルスが、例えば継続時間等のような、少なくとも1つの暗パラメータを有する暗期によって区切られ、暗パラメータは、時間間隔内において好ましく非周期的に変化する。つまり、発光素子の消灯によるパルス、あるいは非常に低いもしくは最低限の輝度を有するパルスが、2つの照射パルスの間に設けられる。暗パラメータを非周期的に変化させることに対応して、複数の暗期、つまり、低輝度の照射パルスを連続させることも可能である。複数の暗期を連続させることはまた、暗期の長さの変化にも対応し、複数の暗期を連続させることは、さらに、本発明に従って、照射パラメータあるいは暗パラメータを構成する。
【0013】
少なくとも理論上、照射パルスは本質的に矩形形状(矩形変化)を有すると仮定することが可能である。しかしながら、実際上、照射パルスは、最大値へと、非常に急激に、連続的に立ち上がった後、連続的に再び立ち下がる、と仮定される。本発明によれば、同程度の輝度を有する照射パルスを時間的に連続させて、例えば、発光素子の照射継続時間を非常に容易に延長するように、上記照射パルスを重畳させる(あるいは重ね合わせる、あるいはオーバーラップさせる)ことができる。
【0014】
照射パルスの重畳に代えて、あるいは照射パルスの重畳と組み合わせて、照射パルスあるいは輝度、および/または最大輝度の継続時間における、勾配すなわち立ち上がりを、伸張つまり平坦化することによって、作業者が視覚的に認識する照射継続時間を延長することも可能である。作業者が視覚的に認識する照射継続時間を延長することは、照射パルスあるいは輝度の立ち下がりでも実現可能である。
【0015】
例えば、照射パルスは、鐘形曲線またはガウス分布曲線等のような形になる。つまり、輝度は、実質的に、鐘形/ガウス関数に従って変化するということであり、最大値は、例えば所定の輝度であると同時に、本発明で意味するところの照射パラメータである。したがって、立ち上がりエッジの勾配および/または立ち下がりエッジの勾配もそれぞれ、本発明で意味するところの照射パラメータとなり得る。
【0016】
立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジが一様である場合、照射パルスは、対称的な照射パルスとして形成される。対称的な照射パルスに代わるものとして、立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジが異なる勾配を有する、つまり、立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジが異なる長さを有する、非対称の照射パルスを形成することも可能である。
【0017】
したがって、本発明によれば、非周期的に変化する照射パラメータとして照射パルスを形成することも可能である。そして、作業者は、次第に輝度が増したのち、例えば突然終了、あるいは突然消えて、暗期に入る照射パルスとして、照射パルスを確実に認識することができる。本発明によれば、立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの勾配あるいは長さの相違は、同様に、適切な作業者のさらなる高レベルの認識をもたらす。
【0018】
本発明の好ましい実施形態では、照射パルスのパルスエネルギーは、非周期的に変化する照射パラメータである。パルスエネルギーは、照射パルス曲線下の面に本質的に類似している。例えば、非常に短いがピークの高い、つまり輝度の高い照射パルスを発生させることができ、このような照射パルスは、いわゆる閃光の照射パルスにおおよそ相当する。他方、照射パルスは、比較的長い照射継続時間を発揮することができ、最大輝度は、閃光に比べて何倍も小さく、例えば、いわゆる閃光の輝度のわずか10%しかない。
【0019】
時間間隔は、10個の異なる照射パルスおよび/または暗期を備えていることが好ましい。各時間間隔における、そのような比較的少数の異なる照射パルスおよび/または暗期によって、人間つまり作業者の認識が突然向上するということが明らかになっている。
【0020】
本発明の好ましい変形形態では、時間間隔は、少なくとも1,000個または10,000個または100,000個あるいは1,000,000個以上の異なる照射パルスおよび/または暗期を備えている。本発明によれば、異なる照射パルスおよび/または暗期の数が増加するにつれて、照射パラメータの変化に対する慣れが起こる危険性が低減することが、実際に明らかになっている。特定の動作状態の表示期間中における特定の時間間隔内に、数千個あるいは数百万個の異なる照射パルスおよび/または暗期を発生させることは、全体をまかなえる経費があれば、現在すでに技術的に可能である。
【0021】
時間間隔内において、異なる照射パルスおよび/または暗期の数が多くなるにつれて、特定の動作状態の警告期の間では、この時間間隔は通常長くなる。その結果、特定の動作状態の表示が比較的長い場合でさえ、照射パルスあるいは暗期が1つとして同一でないという状況、および/または、当該時間間隔内に一連の照射パルスの繰り返しが実行される必要がないという状況が、必要に応じてあり得る。
【0022】
他方、本発明によれば、例えば30秒あるいはまる1分といった比較的長時間が経過した後、1回目の時間間隔が終了し、次いで、1回目の時間間隔等と本質的に同一である、2回目の時間間隔が続くということが完全に可能である。
【0023】
少なくとも時間間隔内に、照射パルスの変化が毎秒10回から60回生じることが好ましく、照射パルスの変化が毎秒20回から30回生じることが特に好ましい。人間つまり作業者は、特段の注意力をもってすれば、1秒毎に非常に多くの変化を認識すること、すなわち作業者の注意力は実質的に向上することが明らかになっている。1秒毎の変化が非常に多い状態は、口語表現的にはいわゆる「ちらつき」としても知られ、「ちらつき」には幾分否定的意味合いが感じられるが、作業者の側にすれば、特に認識力や注意力が実質的に向上するという効果がある。
【0024】
本発明における特定の展開では、照射パルスと暗期との間の変化は、時間的に周期的な変化として形成されている。時間的に周期的な変化として形成されていることは、照射パルスの変化が毎秒10回から60回、好ましくは20回から30回生じる、前述した(ちらつきの)本発明の変形形態の場合に、まさに都合がよい。多数の変化が毎秒生じる場合でも、暗期は、人間つまり作業者によってなお正確に認識され、煩わしいもの、あるいは否定的なものに感じられる。それに応じて、慣れあるいは認識の低下を心配する必要なく、照射パルスと暗期とを周期的に切り替えることも、ここでは可能である。それに応じて、特に本発明に係る非周期的変化のために設けられる、明期と暗期との周期的切り替えは、設計および制御の点で比較的容易に実現できる。
【0025】
本発明の好ましい一実施形態では、複数の発光素子が設けられる。複数の発光素子を設けることにより、本発明に係る、特定の動作状態の表示の効果、あるいは作用がさらに増大する。さらに、複数の発光素子が使用される場合、更なる機能性を実現することができる。例えば、発光している発光素子の数を、非周期的に変化する更なる照射パラメータとして用いることもできる。それに応じて、作業者による警告灯の認識は、複数の発光素子によってさらに向上する。
【0026】
本発明の好ましい一変形形態では、少なくとも2つ、具体的には3つ、4つ等の発光素子が、同一の照射パラメータを有する発光素子群を形成する。そして、本発明によれば、照射パラメータは、2番目あるいは3番目等の各発光素子に対してのみ変化させる必要があるだけであるので、制御に係る経費は、削減される。また、発光素子群は、照射パルス毎に発光素子を選択することもできる。
【0027】
発光素子群の発光素子は、発光方向が異なるように配置されることが好ましい。いわゆる信号柱等の、例えば円筒形の交換可能なモジュールの外周に、例えば3つの発光素子を互いに120°の角度で配置する。その結果、通常ただ1つの発光ダイオードあるいは1つの発光素子が、作業者によって、あるいは警告灯に対して固定された視角から認識される。
【0028】
発光素子は、発光ダイオードとして設計されることが好ましい。白熱電球等に比べ、発光ダイオードは特に短いターンオン時間およびターンオフ時間を有するため、本発明によれば、信号像、放射光、または照射パルスを特に好ましく変化させることができる。例えば、発光ダイオードは、明と暗との切り替え、および/または赤色と緑色との切り替え等を特に急激に行うことができる。それに応じて、特に著しい認識効果をもたらすために、発光ダイオードを用いることができる。
【0029】
発光素子の放射光は、特に重大な動作状態の光学的表示として通常認識される色である、赤色であることが好ましい。発光素子の放射光を赤色にすることにより、赤色LED、あるいは赤色の光を放射する発光素子の両方を使用することが可能である。しかしながら、例えば、白色光を放射する発光素子や、あるいは適宜着色された発光ダイオード、特に赤色球面キャップ等を備えた発光ダイオードを設けることも可能である。
【0030】
本発明の好ましい変形形態では、発光素子は、複数色発光ダイオードとして設計される。例えば、いわゆるRGB−LED等のような複数色発光ダイオードが使用される場合、非周期的に変化する照射パラメータとして、色を策定することも、特に好ましく方法で可能である。作業者による認識が対応して向上するように、例えば、白色照射パルスを赤色照射パルスの後に発生させ、続いて青色照射パルスを発生させることが可能である。したがって、複数の発光素子またはLEDが使用される場合、例えばLED毎に、および/または追加で配置された複数のLED毎に、および/または発光素子群毎に、異なる色を備え、かつ/または、放射することが同時に可能である。
【0031】
個々の発光素子、および/または個々の発光素子群の照射パラメータ、および/または暗パラメータを別々に制御するための、少なくとも1つの制御装置が備えられることが好ましい。このような好ましい制御装置は、例えば、個々の発光ダイオードあるいは発光素子をそれぞれ、他の発光ダイオードあるいは発光素子から独立して駆動操作するのに用いることができ、かつ/または、個々の発光素子群を、他の発光素子群から独立して駆動操作することができる。このような好ましい制御装置により、特に効果的に認識される発光パターンを実現できる。
【0032】
制御装置は、個々の発光素子、および/または個々の発光素子群の照射パラメータ、および/または暗パラメータの、疑似ランダムな非周期的変化を発生させるための、少なくとも1つのランダム発生器を有することが好ましい。本発明に従って、ランダム発生器、つまりランダム(疑似ランダム)な変化を用いることで、作業者による特に高レベルの認識がもたらされることが明らかになっている。現在使用されているランダム発生器は、通常の場合、真のランダム性を生じさせることができないので、ここで述べているのは、いわゆる疑似ランダム性のことである。疑似ランダムな変化は、人間によってランダムであると一般的に認識される、数学的方法に基づいていることが多い。プロセッサ時間と、級数展開等とを組み合わせることがここで利用できる。双方ともすでに公知であり、本発明に従って、将来の計算方法を利用することができる。
【0033】
警告灯に配置されたランダム発生器に代わるものとして、本発明によれば、例えば制御装置内に記憶され、かつ疑似ランダムまたはランダムに配置される数値を設定することによって、疑似ランダムに非周期的に変化させた照射パラメータ/暗パラメータを実現することも可能である。その実現方法では、(表形式で、対応する表を)処理するのと同時に、上述した数値は、本発明に従って、ランダムまたは疑似ランダムな、発光素子の表示パターンあるいは照射パターンを生成する。生成あるいは記憶の間、制御装置の適切なメモリで、ランダムあるいは疑似ランダムな(表の)配列を実現するために、ここで、ランダム発生器を上述したような意味で利用することが可能である。
【0034】
いわゆるプロセッサ等を、例えばプロセッサのクロックパルス毎に警告灯に用いる場合、プロセッサのクロックパルス毎に照射パルスが変化するように、照射パラメータ/暗パラメータを変化させることが原理上可能である。しかしながら、現行のプロセッサでは、クロックタイムがすでに非常に短いため、人間は照射パルスを条件付きでしか認識しないだろう。プロセッサにおける複数の個々のクロックパルスを有する、警告灯の照射パルスの標準継続時間を規定できることが好ましい。この照射パルスの標準継続時間の間に、プロセッサは、例えば、その後、次の照射パルスおよび/または暗期に有効となる、つまり、次の照射パルスの照明特性を決定する複数の暗パラメータ/照射パラメータの数値を変更することができる。照射パルス毎のプロセッサのクロックパルスの数によって、例えば、照射パルスの継続時間を変更することも可能である。プロセッサを用いるからこそ、本発明を実現する上で事実上無限の可能性が存在する、ということが明らかになっている。
【0035】
本発明の一変形形態では、人間の知覚力を好適に考慮に入れるために、2つの照射パルスおよび/または暗パラメータに関連する、所定の、あるいは最小限の相違点を、変更される照射パラメータの数値間に設けることが可能である。例えば、輝度、および/または照射パルスの継続時間、および/または暗期は、少なくとも20%変更すること等が可能であろう。対応する相違点は、例えば制御装置によって規定され、あるいは設定され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の例示的な実施形態は、図面に図示されており、以下の図によってより詳細に説明される。
図1は、複数のLED2を有する照明装置1を図示している。LED2は、保持部3上に配置され、保持部3は、例えば、個々の光源、および/またはいわゆる信号柱におけるいわゆる交換可能なモジュールと一体化することができる。保持部3あるいは照明装置1は、球面状の照明キャップと一体化することができる。保持部3は、円筒状に配置された複数のウェブ(またはストリップともいう)4を備えており、各ウェブ4は、複数のLED2を備えている。各ウェブ4が複数のLED2を備えていることにより、照明装置1は、全方位に適切な警告光を発することができる。
【0037】
更なる説明図はないが、照明装置1は、例えばランダム発生器および/または記憶装置を有する制御装置を好ましく備えている。本発明によれば、各LED2は、一連の照射パルスを発することができ、特定の動作状態に対して、特定の時間間隔において、少なくとも1つのパラメータPの非周期的変化が与えられる。
【0038】
図2は、一例として、時間Tに対する照射パラメータPの非周期的変化を示している。例えば、照射パラメータPの単位は、百分率で表されている。時間Tの単位は、例えば、秒、ミリ秒、または1秒の何分の1等で設定可能である。
【0039】
図2に示される時間間隔は、結果として60個の時間単位継続している。この時間間隔は、例えば工作機械のマガジンが空であるとか、工具が損傷した等といった、特定の動作状態の表示期または警告期の間、繰り返され得る。したがって、作業者が、動作状態の警告あるいは動作状態の表示を認識して、例えばつまみやキー等を作動させたり、かつ/または、技術的装置の緊急停止を操作したりする等の、適当な措置を取るまでの時間において、例えば図2に示されるような複数の時間間隔が、次々に繰り返され得る。
【0040】
照射パラメータPは、例えば図2においては、相対的光度である。つまり、図2では、この時間間隔の始まりにおいて、相対的光度、つまり照射パラメータPは約75%であり、複数の時間単位の間変化しないが、それ以降10%未満の数値に急速に下降している。その後、比較的長い時間をかけて、相対的光度は再びわずかに上昇し、続いて非常に短い時間、つまりほんのわずかな時間単位で、非常に急速に上昇し、その後相対的光度が0%になるまで、非常に鋭く再び下降する。つまり、発光素子またはLED2は、この段階では消灯、あるいは暗い状態である。
【0041】
本発明によれば、図2に一例として図示された、照射パラメータPつまり相対的光度の上記変化に従って、非周期的に変化する輝度は、好ましい制御装置によって、つまり適切に記憶された数値、および/またはプロセッサ等によって生成された数値によって、当該時間間隔における全時間分にわたって変化する。
【0042】
図2に従って、照射パラメータPつまり相対的光度を変化させるために、発光素子つまりLED2において、例えば電圧および/または電流を変化させることができる。制御装置あるいはプロセッサは、一例として、発光素子ごとに、すなわちLEDごとに、照射パルスを生成する。そして、照射パルスは、規定された照射パラメータPを有する特定の照明特性によって識別される。図2に図示されたグラフの始まりにおいて実現されているように、一例として、複数の不変の照射パルスを連続させることによって、それに応じて実現された1つの全体的照射パルスの継続期間が変化する。例えば、ある全体的照射パルスは、時間単位35から約47まで続いている。最後に挙げた1つの全体的照射パルスは、例えば、最大値、つまり100%の相対的光度に至るまで、比較的平坦な照射パルスの上昇を示しており、その後、輝度0%に至る非常に急速な輝度の下降、すなわち暗期にまで下降したことを示している。この暗期の後に続くのは、適切であれば、複数の個別の照射パルスから構成される1つの全体的パルスであり、複数の個別のパルスは、上記の全体的パルスに比べて、階段状の、あるいは変化可能な形状を示している。
【0043】
図2が具体的に図示しているのは、異なる長さの照明期、暗期、異なる形状の照射パルス、および/または全体的照射パルスであって、異なる光度および/または輝度、および照射パルスごとに異なる照射パルスエネルギーを有する、全体的照射パルスの形成である。
【0044】
当然のことながら、図2に図示された相対的光度のグラフ、つまり照射パラメータPのグラフは、例示的なグラフである。もし、本発明によれば、数千あるいは数百万もの異なる照射パルスおよび/または暗期が、例えば制御装置の記憶装置内に記憶され、適切に処理された場合、本発明に従って、無数の変化を有する時間間隔がもたらされる。異なる照射パルスおよび/または暗期の数がそれほどまでに多いと、作業者つまり人間は、もはやいかなる規則性をも定義することはできないだろう。そこで、照射パルスあるいは放射光における、ランダム性つまり任意の変化について述べることができる。
【0045】
非周期的に変化する照射パラメータPが適切なものであれば、例えば、閃光、全周灯等のような従来技術に比べて、適切な作業者の認識に決定的な増加が見られる。
原理上、図2に記載された照射パラメータPすなわち相対的光度に変化があれば、人間つまり作業者は、図示された曲線等の周囲に位置する包絡線の形で、変化をより容易に認識するであろう。しかし、このことは、動作状態の光学的表示の記録が増加したことに関連して、否定的な結果をもたらすものではなく、本発明によれば、有利に考慮される。
【0046】
次に、図3における一例として概略的に示されているのは、照射パラメータPであり、具体的には、角度Aに対して百分率でグラフに表された相対的光度である。角度Aは、特定の瞬間での、図1に記載の照明装置1の角度における、全方位に及ぶ発光方向を表している。図3は、例えば、照射パラメータPつまり半径方向の相対的光度は、不規則に、または非周期的に変化する、あるいは生成される、ということを明らかに表している。個々のストリップ4は、例えば、図3における瞬間において完全にあるいは部分的に暗く、例えば120°と150°との間の角度範囲では、相対的光度として記録すべきものはない。対照的に、同じ瞬間に、例えば180°と210°との間の視角の間では、照射パラメータP、つまり相対的光度は100%であり、換言すると、対応するストリップ4は、最大輝度で光を放射している。
【0047】
本発明によれば、表示される特定の動作状態が、人間つまり作業者に最高レベルの注意力を喚起するような効果を有する、移動光または点滅光の一種を発生させることが、原理上可能である。それに応じて、作業者の側において、特に重大な動作状態の認識、あるいは表示される動作状態の認識が、飛躍的に進歩することが実現される。本発明によれば、警告灯のそのような揺らめきおよびちらつきが、決定的重要性を持ち得ることが明らかになっているが、多種多様な光学的な光の影響が存在する作業場においては、特に決定的重要性を持ち得る。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】複数のLEDを備えた、本発明の照明装置の概略斜視図を示す。
【図2】時間間隔内における個々の照射パラメータのグラフの概略図を示す。
【図3】図1における照明装置の個々の照射パラメータの、特定の瞬間における放射グラフの概略図を示す。
【符号の説明】
【0049】
1…照明装置、2…LED、3…保持部、4…ウェブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械、設備、輸送機器等の技術的装置の少なくとも1つの動作状態を、具体的には複数の異なる動作状態を、光学的に表示するための警告灯であって、特定の動作状態の表示中に、特定の時間間隔内に一連の複数の照射パルスを発生するための、少なくとも1つの発光素子(2)を備え、前記照射パルスの照明特性は、輝度、照射継続時間、周波数、色、発光方向などの、少なくとも1つの照射パラメータ(P)によって決定される警告灯において、
前記照射パラメータ(P)の少なくとも1つにおける非周期的変化が、前記時間間隔内に設けられている
ことを特徴とする警告灯。
【請求項2】
請求項1に記載の警告灯であって、
少なくとも2つの前記照射パルスは、少なくとも1つの暗パラメータを有する暗期によって区切られている
ことを特徴とする警告灯。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の警告灯であって、
前記暗パラメータにおける非周期的変化は、前記時間間隔内に設けられている
ことを特徴とする警告灯。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の警告灯であって、
少なくとも2つの前記照射パルスは、重畳している
ことを特徴とする警告灯。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の警告灯であって、
前記照射パルスの形態は、非周期的に変化する前記照射パラメータ(P)である
ことを特徴とする警告灯。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の警告灯であって、
前記照射パルスのパルスエネルギーは、非周期的に変化する前記照射パラメータ(P)である
ことを特徴とする警告灯。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の警告灯であって、
前記時間間隔は、少なくとも10個の異なる前記照射パルスおよび/または前記暗期を備えている
ことを特徴とする警告灯。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の警告灯であって、
前記時間間隔は、少なくとも1,000個の異なる前記照射パルスおよび/または前記暗期を備えている
ことを特徴とする警告灯。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の警告灯であって、
前記照射パルスの変化は、少なくとも前記時間間隔内に、毎秒10回から60回設定されている
ことを特徴とする警告灯。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の警告灯であって、
前記照射パルスの変化は、少なくとも前記時間間隔内に、毎秒20回から30回設定されている
ことを特徴とする警告灯。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の警告灯であって、
前記照射パルスと前記暗期との間の変化は、時間的に周期的な変化として形成されている
ことを特徴とする警告灯。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の警告灯であって、
複数の前記発光素子(2)が設けられている
ことを特徴とする警告灯。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の警告灯であって、
発光している前記発光素子(2)の数が、非周期的に変化する前記照射パラメータ(P)である
ことを特徴とする警告灯。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の警告灯であって、
少なくとも2つの前記発光素子(2)は、同一の前記照射パラメータ(P)を有する発光素子群(4)を形成している
ことを特徴とする警告灯。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14のいずれかに記載の警告灯であって、
前記発光素子(2)は、発光ダイオード(2)として設計されている
ことを特徴とする警告灯。
【請求項16】
請求項1乃至請求項15のいずれかに記載の警告灯であって、
前記発光素子(2)は、複数色発光ダイオードとして設計されている
ことを特徴とする警告灯。
【請求項17】
請求項1乃至請求項16のいずれかに記載の警告灯であって、
少なくとも1つの制御装置は、個々の前記発光素子(2)および/または個々の前記発光素子群(4)の前記照射パラメータ(P)、および/または前記暗パラメータを個別に制御するために設けられている
ことを特徴とする警告灯。
【請求項18】
請求項1乃至請求項17のいずれかに記載の警告灯であって、
前記制御装置は、個々の前記発光素子(2)および/または個々の前記発光素子群(4)の前記照射パラメータ(P)、および/または前記暗パラメータの疑似ランダムな非周期的変化を発生させるための、少なくとも1つのランダム発生器を有する
ことを特徴とする警告灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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