説明

少なくとも1つの化学成分を検出するための装置

この発明は、光反射性の支持体あるいは光反射性のバックグラウンドとその上に設置されていて被検成分が存在する際に膨張し得る少なくとも1つの成分を含んだ検出層とを有する、少なくとも1つの化学成分を検出するための装置に関し、前記検出層が均質な材料から形成されるとともに、被検成分が水である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
この発明は、検出する化学成分が存在する際に膨張する成分を検出層内に設けてなる、特に水あるいは水蒸気等の少なくとも1つの化学成分を検出するための装置に関する。
【0002】
従来の技術において、コバルト(II)化合物(あるいはその他の無機塩)に基づいた幾つかの湿度指示薬が知られている。湿度の変化に応じて例えば読み取り可能なコバルト(II)化合物の色変化が発生する。しかしながら、コバルトは重金属として問題にされており、コバルトを含まない湿度指示薬の需要が増している。
【0003】
湿気は一般的に、容量性、抵抗性、湿度計、比重計、あるいは光学技術によって判定することができる。
【0004】
容量センサは水蒸気を吸収した際の薄い層の誘電率変化に基づいたものである。このセンサの特性は吸湿性材料と電極形状によって決定される。水蒸気含有率の容量性の測定に際して層構造が重要である。ここで、支持体表面上に別の層の連続体が設置され、それらは基礎電極、水蒸気感応層、および被覆電極層からなる。
【0005】
抵抗湿度計(抵抗性センサ)は、空気湿度をインピーダンス変化で示す機器である。これは電流、電圧、あるいは抵抗によって測定することができる。これにはセラミック材料が極めて適しており、それは機械的接着性、再現性、寿命、取扱い容易性、ならびに環境影響に対する耐久性の点で極めて良好な特性を有しているためである。セラミック湿度計の場合、特に高い湿気濃度に際してヒステリシス現象および大気現象が影響を及ぼすことが問題点である。
【0006】
電解性湿度計は、主に塩化リチウムセンサに基づいて動作する湿度計装置に関するものである。ここでLiClの2つの特性が利用される。1つはLiCl吸湿性すなわちそれが水分子を吸収することであり、もう1つはそれによって生じる塩溶液が電解質となり、すなわち電流を誘導することである。LiClに基づいた電解性湿度計の大きな問題点は、その比較的遅速な応答時間である。さらに、極めて高湿度の環境では使用すべきでなく、それはセンサの精度および寿命に不良な影響を及ぼすためである。極めて問題な点は、LiClの結晶形成によるセンサの劣化である。
【0007】
最も有名な比重性湿度計は、水晶微量天秤(QCM)である。圧電水晶からなる薄板はMHz領域の共振周波数(厚みおよび/または剪断モード)を有している。吸湿層によって被覆され、周波数の変化が湿度の測定に利用される。被覆されていない基準共振器を使用することによって圧力および温度の横感度を最小化することができる。
【0008】
光学式湿度計の物理的な背景は、振幅E、周波数ω、および位相φを有する調和電磁波であり、以下の式で示される:
E(t)=Ecos(ωt−φ)
湿度に関する情報は、波の振幅、極性、周波数あるいは位相によって得ることができる。別の利用可能性は水の吸収波長を使用するものであり:すなわち光がガスを透過する場合に、特定の波長の吸収が組成の情報をもたらすものとなる。
【0009】
色湿度計を使用した湿度測定は、結晶水含有塩の色変化に基づいたものである。色湿度計は、目盛値を有する一連の多様なセルロース小板片からなり、それらはコバルト(II)化合物、硫化銅、塩化銅あるいは塩化ニッケル等の塩を含浸させたものである。この色湿度計の決定的な問題点は、重金属塩の使用である。
【0010】
クラインフェルドおよびファーガソンは、高分子先駆物質化合物からなる多層式のナノ構造フィルムの製造および使用を記述している(「化学材料」1995年第7号第2327頁;サイエンス第265号(1994年)第370頁)。ここで、ポリ(ジアリルジメチル塩化アンモニウム)(PDDA)およびヘクトライトをケイ素支持体上に設けられた多層フィルムに加工する。この多層フィルムは水を可逆的に吸着し得るものであり、そのため分子センサとしての使用が疑問視されている。
【0011】
従って、簡便に製造し得るとともに監視すべき化学成分、特に水あるいは水蒸気の効果的な検出を可能にする、監視下の環境において化学成分、特に水あるいは水蒸気(湿度)を検知するための改変および改良された指示システムに対する大きな需要が存在する。
【0012】
前記の課題は、請求項1に記載の本発明の特徴によって解決される。
【0013】
従って本発明の1つの特徴は、光反射性の支持体あるいは光反射性のバックグラウンドとその上に設置されていて被検成分が存在する際に膨張し得る少なくとも1つの成分を含んだ検出層とを有する、少なくとも1つの化学成分を検出するための装置に係るものであり、被検化学成分が検出層と接触しこの検出層は被検化学成分との相互反応によってその層厚が変化することが可能であり、それによって反射光中において検出層の色が変化する。被検化学成分は特に水あるいは水蒸気とすることが好適である。すなわち、ここで記述される装置は水あるいは水蒸気の検出に特に適していることが判明した。ここで“水または水蒸気”とは、液体状の水あるいは液体状の媒体中の水、ならびに気体状の水あるいは空気等の気体状の媒体中の水のいずれとすることもできる。
【0014】
意外なことに、検出層を一方で被検化学成分が存在する際に膨張可能である少なくとも1つの成分を含み、他方でクラインフェルドおよびファーガソン(上記参照)が記述しているように1つの不均質な材料からは形成されていないものとすれば極めて簡便かつ効果的な検出層を形成し得ることが判明した。このことは、前述したクラインフェルドおよびファーガソンの文献において層状に構成された剥離ヘクトライトが検出層の主要な要素として記述されているため、極めて意外なことである。しかしながら本発明の枠内において意外なことに、均質な材料を検出層として使用することによって、検出層の反応時間すなわち検出可能な色変化までの遅延時間、色強度、および/または後膨張時間のいずれにも良好な影響をもたらすことが判明した。すなわち均質な材料が検出層として極めて好適である。
【0015】
本発明において均質な材料とは、唯1つの成分のみを含んでいるか、あるいは2つ以上の成分を含んでいてそれらが均等(均質)に層内に配分あるいは混合されている材料として理解される。それによって、検出層の層全体にわたって均一な屈折率が保証される。均質な配分は従来の方式、例えば検出層の製造前の集中的な混錬によって確立することができる。すなわち、クラインフェルドおよびファーガソン(前述参照)が記述しているような異なった屈折率および異なった組成を有する薄層からなる多層式の検出層構造は、意図的に回避されている。それによって、検出層の反応時間、色強度、および後膨張時間のいずれにも良好な影響がもたらされることが判明した。
【0016】
本発明の好適な一実施形態によれば、検出層は小板片形状の層状ケイ酸塩を含んでいない。本発明がその真偽に依存するものではないが、合成ヘクトライト等の小板片形状の物質の存在によって検出層へのあるいは検出層内における被検物質の拡散路が延長されることが想定される。小板片形状の層状ケイ酸塩は当業者において一般的であり、従ってここでは詳細な説明を省略することができる。言い換えると、小板片形状の層状ケイ酸は被検物質の(拡散の)障害物となり、従って被検成分を吸収した際の検出層の均一な膨張を妨害あるいは遅延させる。それによって、検出可能な色変化に到達するまでの検出層の応答時間と、特定の条件下における定義された最終膨張状態に到達するまでの時間遅延の両方が延長され得る。同様に、層の後膨張によるそれ以上の変化が無くなる最終的な色変化を読み取ることができるまでの時間も延長される。その際、検出層内に吸収された被検化学成分を小板片形状の層状ケイ酸(合成ヘクトライト)と高分子電解質(PDDA)との間で事後的に再分配することによって一定の環境要件下でも層厚の後変化が生じる可能性がある。この層厚の後変化も、周囲環境中の被検化学成分の特定の濃度に対する最終的な色変化の読み取り性が困難にするあるいは遅滞させることが問題となる。従って好適な一実施形態によれば、検出層あるいは光反射性支持体上に配置された層はヘクトライト等の小板形状の層状ケイ酸塩を含まないものとなる。
【0017】
それに対して、合成ヘクトライトを伴わない(小板片形状の層状ケイ酸塩を含まない)本発明に係る検出層あるいは装置は検出層内への被検化学成分の迅速かつ均一な吸収を可能にする。それによって周囲環境中で被検化学成分の濃度が変化した際に極めて迅速な応答時間と極めて少ない後膨張が示され、従って最終的な色変化を極めて迅速に読み取ることができる。
【0018】
さらに、本発明に係る装置によって達成可能な色強度が極めて良好であることが判明した。このことは、例えば相対湿度(r.F.)が低い、例えば約5ないし15%である際に空気湿度を測定するために本発明に係る装置を使用する場合に特に顕著になる。そのように空気の相対湿度が低い際に、例えばクラインフェルドおよびファーガソン(前述参照)によって知られている合成ヘクトライトを有する装置は極めて乳白色に濁っていてまたは低い色強度を伴った色を示すものとなる。本発明がその真偽に依存するものではないが、小板片形状の合成ヘクトライトの存在によって追加的かつ不規則に分配された屈折面が検出層内に形成され、それによって分散光の比率が増加し従って反射光の色強度が低下することに通じる。合成ヘクトライトは当業者において一般的であり、従ってここでは詳細な説明を省略することができる。小板片形状の層状ケイ酸塩とは、剥離あるいは離層された状態の層状ケイ酸塩と理解することができる。
【0019】
本発明の別の好適な実施形態によれば、検出層は一般的に粒子状の成分を含んでおらず、その理由はそれによって最良の結果を達成することができるためである。粒子状の成分は、それが小板片形状でないとしても、しばしば達成される応答時間および後膨張時間、ならびに色強度に不良な影響を及ぼすためである。本発明の一実施形態によれば、検出層および/または装置は全体的に着色料(染料)、特にいわゆる“光沢染料”を含んでいない。
【0020】
本発明によれば、検出層が被検成分が存在する際に膨張可能である少なくとも1つの成分(検出成分)を含んでおり、ここで検出層は被検化学成分との相互作用によって層厚が変化することが可能であり、それによって検出層の色が反射光中において変化する。
【0021】
従って、被検化学成分を吸収してその体積を変化させる、すなわち膨張することができる物質を検出成分として使用することができる。この“吸収”は、例えば吸着、吸入、またはその他の物理的あるいは化学的な吸収/収容メカニズムによって実施することができる。
【0022】
本発明の原理における検出成分としての物質の適性は、その物質の吸収あるいは膨張特性に従って機械的に判定することができる。そのため5gの被検物質をペトリ皿内で秤量する。その試料を室温中で質量が一定化するまで減圧乾燥庫(100mbar)内で乾燥させる。乾燥時間を短縮するために、検出成分の破壊につながらない限り、検出成分に従って乾燥温度を高めることができる(例えば、ポリアクリル酸の場合70℃)。その後乾燥された物質を収容したペトリ皿を環境調節器内に移送して25℃かつ40%の相対湿度あるいはガス状の被検成分との間での40%の飽和になるようにし、重量の増加(被検成分の吸収)を測定(質量が一定化するまで)する。それによって、検出成分に対する重量%で示した、被検成分の吸収能力(パーセント)が得られる。
【0023】
本発明の好適な実施形態によれば、検出層は被検成分が存在する際に膨張する少なくとも1つの成分を含み、それが使用された量に対して(前述のように測定して)10ないし30重量%、特に15ないし27重量%、さらに好適には18ないし25重量%の被検成分の吸収能力を有する。
【0024】
本発明の好適な特徴によれば、被検化学成分が存在する際に膨張可能な少なくとも1つの成分が多価酸あるいは高分子酸の塩を含んでいれば極めて効果的な検出層が形成されることが判明した。多価酸あるいは高分子酸の定義は当業者において一般的である。ここで特に、“多価酸”あるいは“高分子酸”として、少なくとも1つの酸機能、特に少なくとも1つの炭酸基を有するモノマーユニットを含んでいる任意のポリマーであると理解される。この種の多価酸あるいは高分子酸は、その塩の状態が、水あるいは水蒸気を検出するための高感度装置への適用に極めて良好に適している。このポリマーは10個超、特に50個超、さらに好適には100個超のモノマーユニットを含んでいる。本発明において、塩の状態における多価酸の適用によって検出層の吸水性を最適に調節することができる。また極めて良好な膨張特性も提供される。極めて高感度で低い湿度を有するガス状の媒体にも迅速に反応する、極めて薄い検出層の達成が可能となる。多価酸の塩はアルカリ塩とすれば特に好適である。アルカリイオンとしては、Na、K、および/またはLiが特に好適である。
【0025】
本発明の枠内において意外なことに、多価酸あるいは高分子酸としてはポリアクリル酸が極めて適していることが判明した。ポリアクリル酸の塩、特にアルカリ塩によって、極めて高感度かつ迅速に応答する検出装置が達成された。
【0026】
極めて好適な実施形態によれば、装置内あるいは本発明に係る検出層内に50ないし6500、特に150ないし6500、さらに好適には300ないし6500のアルカリイオン対多価酸(あるいは高分子酸)のモル比が存在する。
【0027】
本発明の別の好適な特徴によれば、被検化学成分が存在する際に膨張可能な少なくとも1つの成分が主にあるいは完全に、少なくとも1つの多価酸の塩、特に少なくとも1つのポリアクリル酸の塩、さらに好適には少なくとも1つのポリアクリル酸の少なくとも1つのアルカリ塩から形成される。特に好適には、被検化学成分が存在する際に膨張可能な少なくとも1つの成分あるいは検出層が50重量%超、特に75重量%超、さらに好適には90重量%超、さらに好適には95重量%超、さらに好適には98重量%超、それどころか99重量%かそれ以上の比率で少なくとも1つの多価酸の少なくとも1つの塩、特に少なくとも1つのポリアクリル酸の少なくとも1つの塩から形成される。
【0028】
本発明の好適な実施形態によれば、少なくとも1つのポリアクリル酸の塩は完全にあるいは部分的に中和されたポリアクリル酸とされる。中和の度合いは滴定あるいは滴定曲線の設定によって容易に決定することができる。好適には特にポリアクリル酸は水酸化アルカリあるいは炭酸アルカリの作用によって部分的あるいは完全に中和され、好適には5ないし70%、特に10ないし60%、さらに好適には15ないし50%中和される。
【0029】
pH値に関しては、使用される多価酸(特にポリアクリル酸)あるいはその塩が約3ないし7、特に約5ないし7のpH値を有するものとなる。このpH値の判定は、一般的な方式に従って、検出層の形成に使用される多価酸塩の溶液、例えば以下に詳細に記述するように水性溶液からpH計を使用して実施される。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、以下の塩が特に適した検出成分とされる:それらは、メタクリル酸、グルタミン酸、ポリアクリル酸等の多価酸の塩、またはポリエチレンアミン等のポリマーからなるアミンの塩である。またさらに、水グラス、ポリリン酸塩、タンパク質等の物質、ブロック共重合体等の重合体(例えばPO/EOブロック共重合体)、グラフト共重合体(PO−G−PEO)、ならびにランダム共重合体あるいは交互共重合体(機械的な実験によって本発明への適性を検査することができる共重合体に関する文献としては、例えば有機化学の法則(Houben−Weyl)、第4版、オイゲン・ミュラー著、第1章が挙げられる);スルホン化ポリスチロール、ポリビニルカプロラクタム、あるいはセルロースアセテート等も適したものであることが判明した。検出層が主にあるいは完全に検出成分から形成されることが極めて好適であることが判明した。2つあるいはそれ以上の検出成分の混合物も可能である。
【0031】
前述したように本発明の枠内において、好適にはポリアクリル酸から選択される吸水性ポリマーがおよびその塩が、極めて高い色強度と短い応答時間および後膨張時間を有する検出層ならびに装置に極めて適した検出成分となることが示された。また、殆どの光反射性支持体に良好に着合する薄膜を形成することもできる。その種のポリアクリル酸ならびにその塩は当業者において一般的である。これは、例えばアクリル酸のラジカル重合によって発生する以下の化学式からなるポリマーとなる:
【0032】
【化1】

【0033】
ポリアクリル酸は、アクリル酸と二官能価あるいは多官能価のモノマーとの交錯共有重合、あるいは多価のイオンとの部分的交錯によって合成されたものであるとも理解される。本発明の枠内において意外なことに、ポリアクリル酸あるいはその塩の使用によって被検化学成分の濃度の変化に対して極めて迅速かつ可逆的に応答することが可能な検出層を製造することができることが判明しており、ここで反射性の支持体によって反射された光中において極めて強度の高い色あるいは色変化が達成される。
【0034】
一般的に本発明に係る装置は、第1に光反射性の支持体あるいは光反射性のバックグラウンドを備えている。この光反射性の支持体あるいは光反射性のバックグラウンドは反射性の背景として機能し、従って検出に使用される光波長(あるいは複数波長)の少なくとも部分的な反射、できれば完全な反射を可能にするものとなる。原則的に当業者が適宜であるとする任意の材料を使用することができる。好適な実施形態において光反射性の支持体あるいは光反射性のバックグラウンドは特にAl、Au、Ag、CrあるいはSi等の金属とされ、この際金属薄膜、または金属を蒸着あるいは被覆した薄膜もしくは層とすることも好適である。
【0035】
別の好適な実施形態によれば、光反射性の支持体あるいは光反射性のバックグラウンドは複合材料または二層あるいは多層式のフィルムからなり、特に金属化された層を有するポリマーフィルム、メッキされたガラス、あるいは金属層を有する紙材から形成される。柔軟性あるいは硬質性のいずれの支持体も可能である。所要の適用方式あるいは適用形態に従って、光反射性の支持体あるいは光反射性のバックグラウンドを被検化学成分に対して透過性あるいは非透過性とすることができる。例えば検査する周囲環境が光反射性の支持体の検出層とは逆側の面に接している場合に、被検化学成分に対して透過性の支持体あるいはバックグラウンドが有効である。このような場合、光反射性の支持体とは反対側の反射層の面上に被検化学成分に対して非透過性の層が設置される。
【0036】
光反射性の支持体あるいは光反射性のバックグラウンドの上に、前述したように例えばポリアクリル酸あるいはその塩を含んだ少なくとも1つの検出成分を有する検出層が設けられる。ここでポリアクリル酸(塩)はさらに、多様な濃度で溶液として製造することができるとともに多様な材質上に良好な接着性をもって塗布し得るという利点をもたらす。好適な実施形態によれば、まずポリアクリル酸あるいはその塩の溶液(特に水性溶液)を生成し、続いて反射性のバックグラウンドあるいは反射性の支持体上に塗布する。
【0037】
ここで検出層の厚みは10μm未満、特に2μm未満、さらに好適には0.2μm未満とされる。検出層の厚みは1nmないし10μmの領域、特に1nmないし2μmの範囲、さらに好適には10nmないし1μmの範囲、さらに好適には50nmないし700nmの範囲、さらに好適には50nmないし500nmの範囲とする。また100ないし600nm、特に200ないし500nmの層厚も好適である。それによって、被検物質、特に水蒸気の検出層内への迅速かつ均等な吸収が保証される。
【0038】
被検化学成分の吸収によってその層厚が変化する。この層厚の変化がさらに、光反射性の支持体あるいは光反射性のバックグラウンドに対しての反射光中の色変化として検知あるいは測定することができる。
【0039】
ポリアクリル酸のアルカリ塩を使用すれば、検出層の極めて高い強度の色変化と同時に、高い可逆性ならびに短い応答時間が達成できることが判明した。従って本発明の極めて好適な実施形態によれば、少なくとも1つのポリアクリル酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、および/またはアンモニウム塩が検出層に使用される。最良の結果はポリアクリル酸のリチウム塩によって達成され、従ってこれが特に好適なものとなる。
【0040】
本発明の別の好適な実施形態によれば、使用されるポリアクリル酸あるいはその塩の分子量は約5000ないし500000、特に約25000ないし250000、さらに好適には50000ないし100000となる。さらに、ポリアクリル酸が部分的あるいは完全に中和された状態で検出層内に設けられていれば、検出層の色変化の再現性が検査する周囲環境の湿度に相関してさらに上昇することが可能であることが判明しており、ここで水酸化アルカリおよび炭酸アルカリを使用することが好適である。検出層を形成するために使用されるポリアクリル酸あるいはその塩溶液のpH値は約2ないし7、特に約3ないし7、さらに好適には約5ないし7となる。このpH値は、例えば23℃で10重量%の水性溶液内でpH計(ヴァイルハイム市のWTW・ヴイッセンシャフトリヒ・テヒニッシエ・ヴェルクシュテッテン・GmbH製のinoLab pHレベル1;この装置は製造者の指示に従って較正される)によって測定することができる。使用されるポリアクリル酸の中和レベルは約5ないし70%、特に約10ないし60%、さらに好適には約15ないし50%となる。この中和は水酸化アルカリあるいは炭酸アルカリによって行うことが好適である。
【0041】
特に好適な空気中湿度すなわち水あるいは水蒸気の検出と並んで、本発明に係る装置は別の実施形態においてさらに別の化学成分の検出に使用することができる。その例は、例えばアセトンあるいはエタノール等のその他の揮発性溶媒であるが、これらの例はそれに限定されるものではない。本発明に係る装置を使用して検査する周囲環境内の被検化学の濃度に従って発生する色変化は、当業者が少ない機械的な実験によって決定することができる。すなわち、本発明に係る装置を単にそれぞれ異なった(既知の)被検化学成分の濃度を有する所定の複数の周囲環境内で使用し、その際の色あるいは色変化を判定することができる。被検化学成分は気体状の成分とし、検査する周囲環境も気体状の媒体、例えば空気とすることが好適である。その一例は、湿度に敏感な製品が収容されている容器内の相対湿度の監視である。
【0042】
本発明の好適な一実施形態によれば、ポリアクリル酸の塩が有機陽イオンを含んでいる。好適な有機陽イオンはアンモニウムイオン、スルホニウムイオン、あるいはホスホニウムイオンである。ここで好適なものは以下の化学式からなるテトラメチルアンモニウムイオンであり、
【0043】
【化2】

【0044】
ここで、R,R,RおよびRはそれぞれ互いに独立して、水素、18個までの炭素原子(C1ないしC18)を含んだ脂肪族成分、好適には6個の炭素原子を有する芳香族成分、脂肪族(C1ないしC18)/芳香族(C6)成分、またはN,O,SあるいはPを含んだヘテロ環式成分を示すものである。交錯したポリアクリル酸も使用可能である。
【0045】
本発明の枠内において前述したように、光反射性のバックグラウンドあるいは光反射性の支持体上の検出層内に少なくとも1つの検出成分が均一に配分されていることが好適である。検出層は均質な単一層として存在することが極めて好適である。従って極めて簡便かつ効果的な構造が達成される。しかしながら、唯1つの検出層に代えて2つ以上の検出層を設けることも可能である。
【0046】
本発明の枠内においてさらに、唯1つの検出層に加えて別の層を特に色フィルタあるいは重合フィルタとして機能する層として装置内に設けることも可能である。また特に検出層の損傷あるいは機械的摩耗を防止するための被覆層を設けることも可能である。同様に、本発明に係る検出装置を使用する際の効果的な保護を達成するために、この種の被覆層を検出層から外側に設けることも可能である。ここで適した材料は、例えばポリアミド(PA)、ポリアクリルニトリル(PAN)、ならびにポリエチレンテレフタレート(PET)である。
【0047】
本発明の好適な実施形態によれば、装置は反射性の支持体あるいはバックグラウンドおよび検出層に加えて例えば金、アルミニウム、クロム、ニッケル、銀、あるいはケイ素等の少なくとも1つの金属あるいは酸化クロムまたは酸化チタン等の金属酸化物からなる少なくとも1つの層、特に部分反射性(半反射性)の層を含んでいる。この種の層は、反射性の支持体あるいはバックグラウンドと逆側の検出層の面上、例えば検出層の外側の被覆層として設けることが好適である。この層は被検化学成分に対して透過性であることが好適である。さらに、これは少なくとも検出に使用される光に対して少なくとも部分的に透過性(半反射性、すなわち完全に透過性でも完全に反射性でもない)であることが必要である。これは金属蒸着あるいはスパッタ被覆によって塗布された層とすることが好適である。
【0048】
光反射性の支持体あるいはバックグラウンド上に設けられた層は、色変化を検知するために使用される光波長に対して少なくとも部分的に可能な限り透過性、すなわち透明であるものとすべきことが理解される。ここでこの光波長は可視光線領域のものとすることが好適である。しかしながら、原則的に適宜な検出装置において赤外線あるいは紫外線領域の波長を使用することも可能である。すなわち、本発明に係る装置は光学式指示手段あるいは検出手段とすることが好適である。
【0049】
検出層と検査される周囲環境との間に存在する全ての層が被検化学成分に対して一定の透過性を有する必要があることが理解される。被検化学成分が水あるいは水蒸気である限り、少なくとも約1g/m・24h、特に約10g/m・24h超、さらに好適には100g/m・24h超(ISO15106−3)の透湿度を有することが有効かつ好適である。
【0050】
検出層は、スピンコーティング、浸漬被覆、噴霧被覆、キス塗装、ステンシル塗り等を含んだ、当業者において一般的である任意の方法によって反射性のバックグラウンドあるいは反射性の支持体上に着合させることができる。スピンコーティング、ステンシル塗り、あるいは浸漬被覆によって塗布を行えば、検出層の層厚を均一に形成する観点から極めて好適であることが判明した。これらの方法は当業者において一般的であり、既存の装置を使用することができる。
【0051】
ここで使用される検出成分の粘性は例えば濃度の変更、または溶媒あるいは懸濁媒質の変更によって影響を受けることが可能である。ポリアクリル酸を使用する場合、塗布に使用されるポリアクリル酸(塩)溶液の粘性はその分子量によって影響を受けることも可能である。溶媒として水を使用することが好適である。しかしながら、エタノールあるいは水性のエタノール溶液等のその他の溶媒を使用することも可能である。さらに、塗布に使用される溶液中のポリアクリル酸あるいはその塩の濃度は約0.5ないし30重量%、特に約1ないし20重量%、特に好適には約2ないし10重量%とする。粘性は1ないし1500mPasの領域とすることが好適である。この粘性はDIN53015に従って測定された。
【0052】
表面張力は30ないし90、特に45ないし85mN/mの領域とすることが好適である。この表面張力はDIN53914に従って判定される。
【0053】
本発明の別の好適な実施形態によれば、表面張力または粘性は界面活性剤の添加によって影響を及ぼすことができる。適宜な界面活性剤の非限定的な例は、N,N−ジメチル−N−ヘキサデシル−N−(3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン(例えばラシヒ社製の商品名ラルフォンDP)である。この界面活性剤は例えば0.01ないし1重量%、特に約0.1重量%の量で使用することができる。
【0054】
前述したように、ポリアクリル酸あるいはその塩の検出層内における使用の期待されていなかった利点は、迅速、可逆的かつ強度の高い色形成あるいは色変化に加えて、良好に粘着し均一な検出層の容易な形成が可能になることである。個々のケースにおいて検出層の粘着性がなお不足である場合、光反射性の支持体あるいは光反射性のバックグラウンドの表面とその上に着合される検出層との接着を改善するためにこの光反射性の支持体あるいは光反射性のバックグラウンドの表面に従来の処理(粗目化、相溶化)を施すことも可能である。それらの方法は当業者において周知である。
【0055】
本発明の特に好適な実施形態によれば、前述した装置は光学的に読み取り可能な指示要素、特にいわゆるインジケータカードとされる。この種のインジケータカードの作用によって検査される周囲環境中の被検化学成分の濃度あるいは存否を簡便に判定することができる。この種のインジケータカードは当業者において一般的であり、従ってここではその詳細な説明が省略される。構造的に適した複数の層からなる指示要素の例は、例えば米国特許第5224373号明細書、米国特許第4034609号明細書、および欧州特許第1305621号明細書によって知られている。これらの複数の層あるいは部分からなる指示要素の構造に関する文献は、その開示を本明細書中に参照に組み入れてある。
【0056】
本発明の別の特徴は、前述した装置あるいは指示要素を有する例えば医薬品用の各種の包装材に関するものである。ここでその装置あるいは指示要素は、包装材の内蔵構成要素として配置することができる。この装置あるいは指示要素は読み取りのために容易に接近可能あるいは目視可能な位置に配置することが好適である。本発明の別の特徴によれば、本発明に係る装置はさらに(専らあるいは追加的に)装飾目的であるいは装飾要素として例えば消費財等の製品内/上に使用することができる。
【0057】
本発明の好適な実施形態は、従来の方式によって透明な樹脂フィルムとそれに結合された封着可能なアルミニウム薄膜から形成されるブリスタ包装材に関する。ここで封着可能なアルミニウム薄膜が反射性の支持体として機能することができ、その上に本発明に係る検出層が着合される。従って、封着可能なアルミニウム薄膜によって反射される光中における検出層の色あるいは色変化を透明な樹脂フィルムを介して確認することによって、ブリスタ包装材の内部の相対湿度が許容可能な範囲にあるかどうか、すなわちこのブリスタ包装材が破損していてそれによって空気中の湿気が侵入していないかどうかが判定される。
【0058】
本発明の別の好適な特徴は乾燥剤を含んだ製品に関するものであり、その乾燥剤を含んだ製品内の湿度を検査するために前述した装置あるいは指示要素が使用されるものである。その一例は、乾燥剤袋あるいは乾燥剤キャニスタが装入された、医薬品(例えば錠剤)用の容器である。本発明に係る装置あるいは指示要素を容器内部に取り付けることによって、例えば閉鎖された状態の容器上(例えば目視窓あるいは透明領域を介して)から、許容可能な相対空気湿度を超過しているかどうか、すなわち使用されている乾燥剤がなお充分に有効であるかどうかを検査することができる。
【0059】
本発明の別の特徴はさらに、少なくとも1つの化学成分の検出方法に係り、ここで被検化学成分が前述したように例えばポリアクリル酸あるいはその塩を含んだ少なくとも1つの検出層と接触するようにし、前記検出層は被検化学成分との相互作用によってその層厚が変化し、それによって検出層の色が特にその背後にある反射性表面に対して反射光中で変化する。この際、前述したような装置、あるいは例えば本発明に係るポリアクリル酸あるいはその塩を含有する検出層を、被検化学化合物、特に空気中湿度を定性的あるいは定量的に判定するために使用することができる。
【0060】
生成される色あるいは色変化が人間の目で目視可能な領域にある(それが好適であるが)限り、光学測定装置は不要である。しかしながら、多くのケースにおいて、反射光の色あるいは色変化を定性的および定量的に精密に検出することができるよう、反射光波長の広範にわたった精密な測定を可能にする既知の光学測定装置を使用することが好適である。そのため好適な実施形態によれば、その他の多くの分光測定によって使用されるような自動測定および分析システムを使用することができる。
【0061】
本発明の好適な実施形態によれば、前述した本発明に係る装置あるいは前述した本発明に係る方法は、任意の相対湿度、特に5ないし90%相対湿度である場合に監視される周囲空気中の湿度あるいは湿度変化を判定するために使用され、さらに好適には30%未満、特に15%未満、さらに好適には10%未満、より好適には5%未満の周囲環境中の相対湿度を判定するために使用される。これらの比較的小さな湿度においても迅速かつ再現可能な測定が可能となり、またこの領域でも本発明に係る検出層によって強度の高い色あるいは色変化が形成されることが判明した。本発明に係る装置をまず被検化学成分の濃度が既知である周囲環境内に載置し色を読み取ることによって、本発明に係る装置を使用した被検化学成分の定量的な測定が可能となる。この“較正”によって被検化学成分の未知の濃度をそれに対応した色に割り当てることができる。
【0062】
次に、本発明について以下に記述する非限定的な例を参照しながらより詳細に説明する。
【0063】
例1
NaOHによって中和された33重量%のポリアクリル酸溶液1g(ストックハウゼン社製の商品名AMV A11505(Na),M=50000)をSiウェーハ(シルヘム社製、一側面が艶出しされている、直径50.8mm、配向性<100>±1°、タイプp/Bor、固有抵抗1−2Ω・cm、厚み275±25μm、副相無し)上にスピンコーティング(60rps)によって塗布する。この溶液はスピンコーティングの前にpH値5(HCl)に調整され、薄膜フィルタ(CHROMAFIL(登録商標))を使用して濾過される。使用される溶液内のポリアクリル酸に対するアルカリイオンのモル比は、300ないし6500となる。試料を3分間乾燥させ、そこで特定の色(青)を示す。乾燥庫内での乾燥あるいは環境調節庫による処理の後に、試料はその時点の空気湿度に従った別の色を有するものとなる。
【0064】
例2
LiOHによって中和された33重量%のポリアクリル酸溶液1g(ストックハウゼン社製の商品名AMV A11438(NH),M=50000)をSiウェーハ(シルヘム社製、一側面が艶出しされている、直径50.8mm、配向性<100>±1°、タイプp/Bor、固有抵抗1−2Ω・cm、厚み275±25μm、副相無し)上にスピンコーティング(70rps)によって塗布する。この溶液はスピンコーティングの前にpH値7に調整され、薄膜フィルタ(CHROMAFIL(登録商標))を使用して濾過される。使用される溶液内のポリアクリル酸に対するアルカリイオンのモル比は、300ないし6500となる。試料を3分間乾燥させ、そこで特定の色(青)を示す。乾燥庫内での乾燥あるいは環境調節庫による処理の後に、試料はその時点の空気湿度に従った別の色を有するものとなる。
【0065】
例3
LiOHによって中和された2.5重量%のポリアクリル酸溶液1g(シグマ−アルドリヒ社製,M=450000)をSiウェーハ(シルヘム社製、一側面が艶出しされている、直径50.8mm、配向性<100>±1°、タイプp/Bor、固有抵抗1−2Ω・cm、厚み275±25μm、副相無し)上にスピンコーティング(70rps)によって塗布する。この溶液はスピンコーティングの前にpH値5に調整され、薄膜フィルタ(CHROMAFIL(登録商標))を使用して濾過される。使用される溶液内のポリアクリル酸に対するアルカリイオンのモル比は、300ないし6500となる。試料を3分間乾燥させ、そこで特定の色(青)を示す。乾燥庫内での乾燥あるいは環境調節庫による処理の後に、試料はその時点の空気湿度に従った別の色を有するものとなる。
【0066】
例4
0.4gの水ガラス(NaO 8.15%およびSiO 27.06%)をSiウェーハ(シルヘム社製、一側面が艶出しされている、直径50.8mm、配向性[100]±1°、タイプp/Bor、固有抵抗1−2Ω・cm、厚み275±25μm、副相無し)上にスピンコーティング(70rps)によって塗布する。試料を3分間乾燥させ、そこで青色を示す。乾燥庫内での乾燥あるいは環境調節庫による処理の後に、試料はその時点の空気湿度に従った別の色を有するものとなる。
【0067】
例5
0.4gの7.5重量%ポリビニルカプロラクタム溶液(溶媒:エタノール)(BASF社製、ルビスコール・プラス、エタノール中の40%溶液)をSiウェーハ(シルヘム社製、前述の例と同様のもの)上にスピンコーティング(70rps)によって塗布する。この溶液はスピンコーティングの前に薄膜フィルタ(CHROMAFIL(登録商標))を使用して濾過される。試料を3分間乾燥させ、そこで青色を示す。乾燥庫内での乾燥あるいは環境調節庫による処理の後に、試料はその時点の空気湿度に従った別の色を有するものとなる。
【0068】
例6
比較のために合成ヘクトライトと高分子電解質ポリー(ジアリルジメチル塩化アンモニウム)(PDDA)を交互に重ねた多層式のフィルムをクラインフェルドおよびファーガソン氏の文献(上述参照)に従って適宜なシリコンウェーハ上に例1と同様な層厚をもって形成した。
【0069】
次に例1ないし例6に従って生成された試料を、環境調整庫内で25℃および40%の相対湿度(r.F.)に移行させた。反射光中において生じた層の色の色強度を視覚的に比較した。その結果は表1に示されている。
【0070】
相対湿度の40%から10%の範囲内の急速な変化(いずれにしても25℃)によって、例1ないし例6に従った装置の応答時間を色変化によって視覚的に比較した(応答特性)。その結果は表1に示されている。
【0071】
さらに、例1ないし例6の装置の色の同一性を環境調節庫内で25℃および40%の相対湿度で比較した。視覚的な評価の結果は表1に示されている。
【0072】
さらに例1ないし例6の装置の後膨張特性が判定され、これは40%の相対湿度(25℃)から10%の相対湿度(25℃)に変化した際の色の後変化によって判定された。ここで、反射光中における試料の色が変化しなくなるまでの時間的な遅延について観察した。この条件は周囲環境から水蒸気を吸収した際にどれくらい迅速に一定化が達成され従って層がそれ以上膨張せず安定的な色の読み取りが可能になるかどうかの判断基準として機能する。その結果も表1に示されている。
【0073】
【表1】

【0074】
例7
ポリアクリル酸溶液(シグマ−アルドリヒ社、Mw=100000)を1モルのKOH溶液を使用して特性のpH値(3,4,5,6,7,8または9)まで部分的に中和する。pH3ないし7の領域に対して使用された溶液内のポリアクリル酸に対するアルカリイオンのモル比が300ないし6500となる。次にこのポリマー溶液をスピンコータによってSiウェーハ上に塗布する(70rps)。試料を乾燥させ個々の色強度を視覚的に観察する。
【0075】
pH値 色強度
(0−5、0=不良、5=極めて良)
3 2
4 3
5 5
6 5
7 5
8 0
9 0

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光反射性の支持体あるいは光反射性のバックグラウンドとその上に設置されていて被検成分が存在する際に膨張し得る少なくとも1つの成分を含んだ検出層とを有する、少なくとも1つの化学成分を検出するための装置であり、前記検出層が均質な材料から形成されるとともに、被検成分が水であることからなる装置。
【請求項2】
被検成分が存在する際に膨張し得る成分が多価酸あるいは高分子酸の少なくとも1つの塩を含むものである請求項1記載の装置。
【請求項3】
多価酸あるいは高分子酸は少なくとも1つのポリアクリル酸を含むものである請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
塩が特にリチウム、ナトリウム、および/またはカリウム塩等のアルカリ塩である請求項2または3記載の装置。
【請求項5】
多価酸に対するアルカリイオンのモル比が50ないし6500、特に150ないし6500、さらに好適には300ないし6500である請求項1ないし4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
被検化学成分が存在する際に膨張可能な少なくとも1つの成分が主にあるいは完全に、少なくとも1つのポリアクリル酸の塩、特に少なくとも1つのポリアクリル酸の少なくとも1つのアルカリ塩から形成されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
少なくとも1つのポリアクリル酸の塩は完全にあるいは部分的に中和されたポリアクリル酸であり、このポリアクリル酸は水酸化アルカリあるいは炭酸アルカリの作用によって部分的あるいは完全に中和されるものとされ、ここで好適には5ないし70%、特に10ないし60%、さらに好適には15ないし50%の度合で中和される請求項1ないし6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
使用されるポリアクリル酸あるいはその塩が約3ないし7、特に約5ないし7のpH値を有する請求項1ないし7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
検出層が小板片形状の層状ケイ酸塩を含んでいない請求項1ないし8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
被検化学成分が存在する際に膨張可能な少なくとも1つの成分が吸水性ポリマーとされ、特にポリエチレンアミン等のポリマーを含んだアミンの塩から選択される請求項1ないし9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
検出層は被検成分が存在する際に膨張する少なくとも1つの成分を含み、被検成分に対して10ないし30重量%、特に15ないし27重量%、さらに好適には18ないし25重量%の吸収能力を有することを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
光反射性の支持体あるいは光反射性のバックグラウンドは特にAl、Au、Ag、CrあるいはSi等の金属からなり、特に金属薄膜の形状で形成される請求項1ないし11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
光反射性の支持体は複合材料または二層あるいはそれより多層のフィルムからなり、特に金属化された層を有するポリマーフィルム、メッキされたガラス、あるいは金属層を有する紙材から形成される請求項1ないし12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
ポリアクリル酸の塩が有機陽イオンを含むことを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
検出層の層厚の変化が可逆性であることを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
光反射性の支持体はシリコンウェーハであることを特徴とする請求項1ないし15のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
光反射性の支持体は柔軟性あるいは硬質の表面からなることを特徴とする請求項1ないし16のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
ポリアクリル酸あるいはその塩の分子量は約5000ないし500000、特に約25000ないし250000、さらに好適には約50000ないし100000であることを特徴とする請求項1ないし17のいずれかに記載の装置。
【請求項19】
検出層あるいは反射性支持体上に設置されたその他の層内に、さらに別の成分、例えばある化学成分との間の相互作用のためにその層厚を変化させるさらに別の成分が含まれることを特徴とする請求項1ないし18のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
少なくとも1つの検出層に加えてさらに別の層、特に色フィルタ、偏光層、または破損あるいは機械的摩耗を防止するための被覆層を含むことを特徴とする請求項1ないし19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
特に金、アルミニウム、クロム、ニッケル、銀、あるいはケイ素等の金属からなる部分反射性の層をさらに含み、これが特に反射性の支持体あるいはバックグラウンドとは逆側の検出層の面上に設けられることを特徴とする請求項1ないし20のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
部分反射性の層が金属蒸着あるいはスパッタ被覆によって塗布された金属層であることを特徴とする請求項21記載の装置。
【請求項23】
光反射性の支持体の上方に配置されている全ての層が完全または部分的に透明であることを特徴とする請求項1ないし22のいずれかに記載の装置。
【請求項24】
被検化学成分が水蒸気であることを特徴とする請求項1ないし23のいずれかに記載の装置。
【請求項25】
塗布に際しての検出層の粘性が1ないし1500mPasの領域であることを特徴とする請求項1ないし24のいずれかに記載の装置。
【請求項26】
塗布に際しての検出層の表面張力は30ないし90mN/mの領域であることを特徴とする請求項1ないし25のいずれかに記載の装置。
【請求項27】
検出層が表面張力を調節するための少なくとも1つの界面活性剤を含んでいることを特徴とする請求項1ないし26のいずれかに記載の装置。
【請求項28】
少なくとも1つの検出層を塗布するためにスピンコーティング、浸漬被覆、ステンシル塗り、噴霧被覆、またはキス塗装を使用し、特にスピンコーティング、ステンシル塗り(スクリーン印刷)、または浸漬被覆によって行うことを特徴とする請求項1ないし27のいずれかに記載の装置。
【請求項29】
光反射性の支持体の表面はその上に着合する層が良好に接着するように表面処理を施されることを特徴とする請求項1ないし28のいずれかに記載の装置。
【請求項30】
色変化は可視波長領域内で成されることを特徴とする請求項1ないし29のいずれかに記載の装置。
【請求項31】
装置は視覚的に読み取り可能な指示要素、特にインジケータカードであることを特徴とする請求項1ないし30のいずれかに記載の装置。
【請求項32】
色変化の読み取りが例えば自動システムの枠組内で光学測定装置によって実施されることを特徴とする請求項1ないし31のいずれかに記載の装置。
【請求項33】
請求項1ないし32のいずれかに記載の装置あるいは指示要素を備えることを特徴とする特に医薬製品用の包装材。
【請求項34】
前記装置あるいは指示要素を目視可能に包装材上に設置、特に上から装着するかあるいは内蔵構成部分として挿入することを特徴とする請求項33記載の包装材。
【請求項35】
包装材は透明な樹脂フィルムとそれに結合された封着可能なアルミニウム薄膜から形成されるブリスタ包装材であり、ブリスタ包装材の封着可能なアルミニウム薄膜が反射性の支持体として機能することを特徴とする請求項33または34記載の包装材。
【請求項36】
乾燥剤を有する製品内の湿度を検査するための請求項1ないし32のいずれかに記載の装置あるいは指示要素を備えていることを特徴とする乾燥剤を有する製品。
【請求項37】
被検化学成分を少なくとも1つの検出層と接触させ、前記検出層は被検化学成分との相互作用によってその層厚が変化し、それによって検出層の色が特にその背後にある反射性表面に対して反射光中で変化する、少なくとも1つの化学成分の検出方法であり、前記被検成分が水あるいは水蒸気であるとともに、前記検出層を均質な材料から形成する方法。
【請求項38】
検出層が小板片形状の層状ケイ酸塩を含んでいないことを特徴とする請求項37記載の方法。
【請求項39】
少なくとも1つの被検化学化合物を定性的あるいは定量的に測定するために請求項1ないし32のいずれかに記載の装置を適用するものであり、被検成分は水あるいは水蒸気である前記装置の適用方法。
【請求項40】
検出層が小板片形状の層状ケイ酸塩を含んでいないことを特徴とする請求項39記載の適用方法。
【請求項41】
周囲環境中の湿度の変化を定性的あるいは定量的に検出するための請求項39または40記載の適用方法。
【請求項42】
湿度あるいは湿度変化を測定するためのものであり、特に周囲環境中の相対湿度が30%未満、より好適には15%未満、さらに好適には10%である際の測定のための、請求項39ないし41のいずれかに記載の適用方法。

【公表番号】特表2008−524612(P2008−524612A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547340(P2007−547340)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【国際出願番号】PCT/EP2005/013791
【国際公開番号】WO2006/069702
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(591056237)ジュート−ヒェミー アクチェンゲゼルシャフト (33)
【氏名又は名称原語表記】Sued−Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Lenbachplatz 6, D−80333 Muenchen,Germany
【Fターム(参考)】