少なくとも1つの埋め込み反射器を持つ光学素子
光学素子50;72a乃至72d;80;90は、第1光学部材1;51;86;93;101であって、前記第1光学部材の第1面3に少なくとも1つの窪み2a乃至2f;20;25;30;35;40;57a乃至57c;100を備える第1光学部材と、前記第1光学部材1;51;86;93;101の前記第1面3に取り付けられる第2光学部材5;52;87a乃至87c;94;104であって、本質的に、前記第1光学部材の前記少なくとも1つの窪み2a乃至2f;20;25;30;35;40;57a乃至57c;100に適合する第2光学部材5;52;87a乃至87c;94;104とを持つ。前記光学素子は、前記第1光学部材と前記第2光学部材との間の境界面における少なくとも1つの反射器(9及び10;55a乃至55c;85a乃至85c;92a乃至92e)であって、前記少なくとも1つの窪みに配置される少なくとも1つの反射器を更に有する。前記反射器(9及び10;55a乃至55c;85a乃至85c;92a乃至92e)は、前記第1光学部材と前記第2光学部材との間に形成される空隙8と前記第1光学部材及び前記第2光学部材のうちの一方との間の境界面によって形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子であって、前記光学素子に埋め込まれる少なくとも1つの反射器を持つ光学素子と、このような光学素子を有する照明装置と、このような光学素子を製造する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
消費者が、固体照明及びフラットパネルディスプレイ技術などの領域における最近の進歩を利用することを可能にするために、ライティング及び照明は、ますます高度になっている。例えば、様々なアプリケーションのために、薄さを達成するためのドライブ、広域照明装置、又は有利な照明特性を持つ照明器具がある。その目的のため、及び多数の他のアプリケーションのために、コンパクトな構造で光の方向を正確に制御する能力、及びこれを安価なやり方で達成する能力のニーズがある。
【0003】
このような構造で光の方向を制御するための1つの方法が、米国特許出願公開公報第US2003/0095332号において開示されており、米国特許出願公開公報第US2003/0095332号においては、表示装置用の光学素子が記載されている。この光学素子は、光配向膜によって形成され、前記光配向膜は、鋸歯状構造を備える1つの面を持つ。この面は、ポリマー保護層によって保護される金属コーティングを具備する。光配向構成において、金属コーティングが内部反射器を形成する。
【0004】
しかしながら、この反射器は、腐食による損傷を受けやすく、一般に、本質的に費用のかかる真空プロセスで形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の上述及び他の不利な点を鑑みて、本発明の主な目的は、とりわけ、より耐久性がある反射器を持つ、改良された光学素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、光学素子であって、前記光学素子に埋め込まれる少なくとも1つの反射器を持つ光学素子を製造する方法であって、少なくとも第1面であって、前記少なくとも第1面に形成される構造部を備える少なくとも第1面を持つ第1光学部材を設けるステップであって、この構造部の少なくとも一部が、前記面の隣接部より低い、そこに付着される物質の解放のためのしきい値を持つよう構成され、この一部が、前記反射器の所望の位置及び延長部を規定するステップと、前記第1光学部材の前記第1面に、収縮可能な物質によって形成される第2光学部材を設けるステップと、上述した一部において前記第2光学部材が前記第1光学部材から解放され、前記第1光学部材と前記第2光学部材との間に、空隙であって、前記第1光学部材と前記空隙との間の第1境界面及び前記第2光学部材と前記空隙との間の第2境界面のうちの少なくとも一方における全内部反射を可能にする空隙が形成されるように前記物質を収縮させるステップとを有する方法によって、これら及び他の目的は達成される。
【0007】
「光学部材」は、本願との関連においては、可視光、赤外線及び紫外線を含む波長範囲内の少なくとも1つの波長の電磁放射線を少なくとも部分的に透過する、例えば、半透明又は透明である部材と理解されたい。前記光学部材は、このような放射線に対するその透過性/半透明性/透明性とは別に、例えば、等方性である、又は異方性であるといった、あらゆる種類の適切な他の特性を持ち得る。
【0008】
前記第2光学部材の前記収縮可能な物質が収縮させられる場合、前記第1光学部材と前記第2光学部材との間の前記境界面において応力が誘起される。前記第1光学部材のインターフェイス面を適切に構成することによって、前記収縮による前記応力は、前記第1光学部材と前記第2光学部材との間の解放を、それらの間の前記境界面の選択された位置においてもたらす。前記第2光学部材が収縮し続ける場合、前記第1光学部材と前記第2光学部材とが、前記解放の位置において分離し、このことは、これらの位置における空隙の形成にもたらす。したがって、これらの空隙の各々と前記第1及び第2光学部材との間の前記境界面の一方又は両方において、全内部反射(TIR)によって機能する効率的な反射器が形成される。
【0009】
このようにして、本発明による方法により、全内部反射(TIR)によって反射する非常に効率的で、丈夫且つコンパクトな反射器が、光学素子内に形成され得る。
【0010】
更に、前記少なくとも1つの反射器の大きさ及び位置は、前記第1光学部材を適切に構成し、且つ/又は前記収縮させるステップを適切に制御することによって、正確に制御され得る。
【0011】
更に、前記少なくとも1つの反射器の前記所望の位置及び延長部を規定する前記一部は、上述したより低い解放のためのしきい値を得るために、幾何学的形状及び表面特性のうちの少なくとも一方に関して、前記面の前記隣接部と異なってもよい。
【0012】
例えば、前記一部は、前記第2光学部材の前記収縮可能な物質を設ける前に前記面のその特定の一部に解放増強剤を塗布するなどにより物質の解放を助長するよう処理されてもよく、又は他の例においては、前記面の、反射器規定部に隣接する一部が、前記一部に対する付着力を高めるよう処理されてもよい。これらの方法の両方とも、前記第1光学部材と前記第2光学部材との間の境界が前記第2光学部材の前記収縮可能な物質の収縮によって誘起される応力にさらされる場合に、物質、とりわけ前記第2光学部材の前記収縮可能な物質などの物質が、前記面の前記隣接部からより、前記反射器規定部から分離されやすくなることをもたらす。
【0013】
別の例として、前記構造部の幾何学的形状が、前記収縮により誘起される応力が、前記反射器規定部で、隣接部でより大きくなり、且つ/又は前記第1光学部材と前記第2光学部材との間の結合を断つのにより効率的である方向に加えられるように、選択されてもよい。
【0014】
或る実施例によれば、前記構造部は、溝などの窪みであってもよい。
【0015】
前記窪みは、一般に、前記光学素子向けの特定のアプリケーションに適合させられてもよく、基本的に点状で、細長くてもよく、又は、他のいかなる形状をしていてもよい。
【0016】
前記窪みが溝である特定の場合においては、このような溝は、前記面に平行な或る方向に、前記面に平行な垂直方向より大きい延長部を持つ窪みのことを意味することに注意されたい。更に、このような溝は、特定の長さ又は方向の延長部、即ち断面に限定されないことに注意されたい。従って、ここで言及されている前記溝は、単純な対称形のV字形の断面を持っていてもよく、又は前記第1面の局所勾配に平行な仮想溝中心線に対して対称形であってもよく、若しくは対称形でなくてもよいより複雑な断面を持っていてもよい。更に、前記溝は、延長部の主方向を持っていてもよく、又は持っていなくてもよく、後者の場合には、閉ループを形成してもよい。
【0017】
有利には、前記収縮可能な物質は、前記第1光学部材の前記第1面に設けられるときに、前記少なくとも1つの窪みを埋めるよう適合させられ得る。
【0018】
例えば、前記収縮可能な物質は、前記第1光学部材によって、前記第1光学部材の前記面の前記構造部に合うように変形可能である形態で加えられ得る。このため、前記収縮可能な物質は、例えば、液体、ペースト又は変形可能なシートの形態で加えられ得る。
【0019】
或る実施例によれば、前記収縮可能な物質は、重合可能な材料を有してもよく、前記収縮させるステップは、前記材料を重合させるステップを含んでもよい。
【0020】
多くの物質は、重合すると収縮する。更に、この収縮は、あらゆる蒸発又は他の形態の材料の抽出の必要なしに行われ得る。更に、前記収縮は、一般に、不可逆性のものである。
【0021】
前記重合可能な材料は、主にモノマーから形成され得るが、代わりに又はそれに加えて、二量体又は部分高分子鎖などのより大きなポリマービルディングブロックから形成されてもよい。
【0022】
本実施例によれば、前記収縮可能な物質は、重合可能な材料に加えて、例えば、前記重合を開始及び/又は制御することを可能にする活性剤又は開始剤、及び望ましくない重合を防止する所謂抑制剤を含む様々な種類の制御物質などの付加的な物質を有してもよい。
【0023】
有利には、前記重合可能な材料は、光重合可能であってもよく、前記重合させるステップは、適切な波長範囲を持つ光を前記光重合可能な材料に照射するステップを有してもよい。
【0024】
光重合の場合には、偶発的な環境紫外線放射による時期尚早の重合を防止するために上述した抑制剤が用いられ得る。一般に、このような抑制剤は、偶発的に形成されるあらゆる基、及びさもなければ急速な連鎖重合プロセスをもたらすであろうあらゆる基と反応することが可能な分子である。
【0025】
光重合による前記第2光学部材の収縮は、前記収縮可能な物質が含まれる前記光学素子の外部から前記収縮可能な物質が直接アクセス可能ではない場合であっても行われ得る。更に、前記第2光学部材の前記重合及び付随する硬化は、前記照射ステップが行われる方法によって制御され得る。前記重合及びそれによる前記収縮を制御するために変えられ得る前記照射ステップに関連するパラメータは、照射の方向、照射の強度、照射の継続時間及び波長範囲を含む。例えば、照射パラメータの適切な選択及び/又は前記収縮可能な物質の適切な配合によって、前記第2光学部材の前記収縮が前記構造部の前記反射器規定部からの分離をもたらすことが望ましいところでの前記構造部の方への材料輸送を防止するなどのために、前記第2光学部材の、前記第1光学部材とは反対側の面がまず硬化するようにさせられてもよい。
【0026】
光重合に代わるもの又は光重合を補完するものとして、前記重合反応は、高い温度で反応基の形成をもたらすであろう熱的に不安定な開始剤を用いて、熱により始動させられてもよい。
【0027】
その上、本発明による方法は、前記収縮可能な物質の収縮中の材料輸送を制限するために前記第2光学部材の上に第3光学部材を設けるステップを更に有してもよい。
【0028】
前記反射器規定部において十分なレベルの応力を得るためには、前記第2光学素子の他の部分からの均等材料輸送が、防止されなければならない、又は少なくとも制限されなければならない。上述した、前記収縮可能な物質の、時として「ガラス化」と呼ばれる硬化の制御に代わるものとして、前記反射器規定部における、前記第1光学部材と前記第2光学部材との間の境界面における材料輸送及び付随する前記応力の低下を制限する目的で、適切な第3光学部材が設けられてもよい。
【0029】
有利には、前記第3光学部材は、相対的に堅いシートであってもよく、前記シートは、前記シートの、前記第2光学部材に面する面において、前記収縮可能な物質に対する良好な付着力を達成するよう処理されてもよい。
【0030】
前記第3光学部材がシートである場合には、このシートは、好ましくは、実質的に局所的に変形させられずに前記第1光学部材の前記構造部の方への材料輸送を防止することが可能であり、収縮時の前記第2光学部材の肉眼で見えるスケールでの変形を基本的に防止するといった2つの要件を満たすのに十分に堅くなければならない。
【0031】
粗面処理若しくは前記第3光学部材の表面積を増加させるための他の方法及び/又は付着促進剤の塗布を含み得る、上述した表面処理は、前記第2光学部材の収縮時に前記第2光学部材と前記第3光学部材との間で解放又は「剥離」がないように、前記第2光学部材と前記第3光学部材との間の十分に強い付着力を達成するよう適合させられなければならない。
【0032】
前記収縮させるステップの後、前記第3光学部材は、前記第2光学部材の上に残されてもよく、又は随意に、取り除かれてもよい。後者の場合には、前記第2光学部材と前記第3光学部材との間の付着力は、前記第2光学部材が前記第1光学部材から分離される前に、前記第2光学部材と前記第3光学部材との間の解放が行われることを可能にするよう調整され得る。
【0033】
本発明の第2の態様によれば、上述した目的及び他の目的は、第1光学部材であって、前記第1光学部材の第1面に少なくとも1つの窪みを持つ第1光学部材と、前記第1光学部材の前記第1面に取り付けられる第2光学部材であって、本質的に、前記第1光学部材の前記少なくとも1つの窪みに適合する第2光学部材と、前記第1光学部材と前記第2光学部材との間の境界面における少なくとも1つの反射器であり、前記少なくとも1つの窪みに配置される少なくとも1つの反射器であって、前記第1光学部材と前記第2光学部材との間に形成される空隙と前記第1光学部材及び前記第2光学部材のうちの一方との間の境界面によって形成される少なくとも1つの反射器とを有する光学素子によって達成される。
【0034】
前記光学素子は、有利には、各々が前記第1光学部材の複数の窪みの1つ1つに配置される複数の反射器を有してもよい。
【0035】
或る実施例によれば、前記窪みは、溝であってもよい。
【0036】
有利には、複数の連続した空隙の各々は、それらの各々の溝の、上記の溝中心線に対して同じ側に形成されてもよい。
【0037】
このことの効果は、前記光学素子が、第1方向において前記光学素子に入るほぼ全ての光を第2方向に向けるよう適合させられ得ることである。
【0038】
前記空隙は、それらの各々の溝の一方の側だけに形成されてもよく、又は他の例においては、それらの各々の溝の両側に形成されてもよい。
【0039】
連続した空隙をそれらの各々の溝の同じ側に形成することを達成するため、前記溝の各々の断面は、幾何学的形状及び表面特性のうちの少なくとも一方について、非対称であってもよい。
【0040】
更に、前記窪みの各々の断面は、前記第1光学部材の前記第1面に平行な面において閉ループを形成してもよい。
【0041】
これらの閉ループ窪みのうちの少なくとも1つは、前記第1光学部材の前記面の閉ループに沿って延在する溝であってもよい。
【0042】
更に、前記閉ループ窪みのうちの少なくとも1つは、前記第1光学部材の拡張された点窪みであってもよく、例えば、光源のためのコリメート反射器を規定してもよい。
【0043】
更に、これらの閉ループ窪みの断面は、前記第1面に平行な所与の面において同心のものであってもよい。
【0044】
このような同心閉ループ窪みは、例えば、複数の同心溝を有してもよく、又は1つの拡張された点窪み及び少なくとも1つの同心溝を有してもよい。
【0045】
更に、本発明による光学素子は、有利には、前記光学素子内に光を結合するよう配設される少なくとも1つの光源を更に有する照明装置に含まれてもよい。
【0046】
このような照明装置は、例えば、一般照明目的及びディスプレイアプリケーションのためのバックライト/フロントライトとしての使用のために適合させられ得る。
【0047】
このような照明装置の一例においては、本発明による光学素子は、基本的に、上面及び底面及び端部を持つスラブ状をしていてもよい。この場合には、複数の反射器は、前記端部のうちの少なくとも1つにおいてインカップルされる光を、前記上面及び前記下面の一方又は両方を通って出るよう方向づけるよう形成され得る。例えば、前記複数の反射器は、平行に延在する溝の同じ側に配置され、それによって、前記インカップルされる光のほぼ全てが、前記反射器の傾斜に応じて、前記上面及び前記下面のうちの一方を通って出ることを可能にしてもよい。
【0048】
このような照明装置の別の例によれば、前記埋め込み反射器は、少なくとも1つの反射器が、例えば、前記光学素子の前記底面を通して光をインカップルするよう配設される複数の光源の各々の光軸を囲むように形成され得る。その場合、各光軸を囲む前記反射器は、好ましくは、その特定の光源のためのコリメータとして機能するように構成され得る。
【0049】
ここで、本発明の現在好ましい実施例を示している添付図面を参照して、本発明のこれら及び他の態様をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の好ましい実施例による光学素子を製造する方法を概略的に図示しているフローチャートである。
【図2a】図1の方法に従って製造される光学素子であって、対応する方法ステップの後の状態の光学素子を概略的に図示する。
【図2b】図1の方法に従って製造される光学素子であって、対応する方法ステップの後の状態の光学素子を概略的に図示する。
【図2c】図1の方法に従って製造される光学素子であって、対応する方法ステップの後の状態の光学素子を概略的に図示する。
【図2d】図1の方法に従って製造される光学素子であって、対応する方法ステップの後の状態の光学素子を概略的に図示する。
【図3a】解放しきい値を制御するための様々な反射器規定構造部の構成を概略的に図示する。
【図3b】解放しきい値を制御するための様々な反射器規定構造部の構成を概略的に図示する。
【図3c】解放しきい値を制御するための様々な反射器規定構造部の構成を概略的に図示する。
【図3d】解放しきい値を制御するための様々な反射器規定構造部の構成を概略的に図示する。
【図3e】解放しきい値を制御するための様々な反射器規定構造部の構成を概略的に図示する。
【図4a】本発明による光学素子であって、光導体から光をアウトカップルするよう機能する光学素子の実施例の概略的な断面図である。
【図4b】本発明による光学素子であって、光導体から光をアウトカップルするよう機能する光学素子の実施例の概略的な断面図である。
【図5a】本発明による光学素子であって、光をコリメートするよう機能する光学素子の実施例の概略的な断面図である。
【図5b】本発明による光学素子であって、光をコリメートするよう機能する光学素子の実施例の概略的な断面図である。
【図6】例示的な、本発明の実施例によるアウトカップリング光導体を概略的に図示する。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下の説明においては、第2光学部材の収縮により第1光学部材と第2光学部材との間の材料境界面に形成される複数の反射器を持つ光学素子に関して本発明を説明する。この説明においては、第2光学部材は、第1光学部材に形成される構造部に適合する光重合可能な材料の形態で設けられ、第3光学部材は、第2光学部材の上に設けられる。
【0052】
これは、決して本発明の範囲を限定せず、本発明は、第3光学部材を持たないこのような光学素子、及び第2光学部材が、光重合可能な材料の形態で設けられず、熱により引き起こされる重合を含む当業者に既知の他の方法で開始される重合、溶媒蒸発、冷却による収縮、又は体積減少をもたらすあらゆる種類の化学反応などの任意の他のメカニズム又はメカニズムの組み合わせにより収縮可能である材料の形態で設けられる光学素子にも等しく適用可能であることに注意されたい。
【0053】
ここで、本発明による光学素子及びこのような光学素子を製造する方法の好ましい実施例を、このような方法を概略的に図示しているフローチャートである図1と、図1の対応する方法ステップの後の状態の光学素子を概略的に図示する図2a乃至2dとを参照して説明する。
【0054】
第1ステップ101においては、第1光学部材1であって、前記第1光学部材1の上面3に構造部2a乃至2fを持つ第1光学部材1が設けられる。第1光学部材1は、第1屈折率n1を持つ。本実施例においては、構造部2a乃至2fは、V字形溝のように形成されている窪みとして図示されているが、以下で更に説明するように、これは、考えられる構造部のうちの1つでしかない。
【0055】
構造部2a乃至2fの各々は、面3の隣接部より低い解放しきい値を持つよう適合される部分4a乃至4fを持つ。これらの部分4a乃至4fの各々が、形成されるべき各々の反射器の位置及び延長部を規定する。
【0056】
次のステップ102においては、収縮可能な、光重合可能な材料を有する第2光学部材5が設けられる。第2光学部材5は、その現在の状態において、構造部2a乃至2fが埋められるように第1光学部材1の上面3に適合する。第2光学部材5は、収縮後、第2屈折率n2を持つ。
【0057】
次のステップ103においては、第2光学部材5の上に第3光学部材6が設けられる。第3光学部材6は、好ましくは、第2光学部材5の収縮により肉眼で見えるゆがみが光学素子に生じるのを防止するために十分に堅いシートによって形成される。第3光学部材は、第3屈折率n3を持つ。更に、有利には、第3光学部材6の、第2光学部材5に面する面7は、第2光学部材5と第3光学部材6との間の付着力を高めるよう構成される。これは、第2光学部材5を収縮させるや否や第2光学部材5が第3光学部材6から解放されるのを防止するためになされる。
【0058】
次のステップ104においては、図2dにおいて破線の矢で図示されているように、第2光学部材5が、第3光学部材6を通して放射線にさらされる。第2光学部材5に含まれる光重合可能な材料は、適切な、(通常紫外領域内の)波長範囲と、強度と、期間とを持つ放射線を照射される場合、重合し、短い化学結合の形成により、収縮する。第2光学部材5の収縮は、第1光学部材1及び第3光学部材6の、第2光学部材5に隣接する全ての面に応力をもたらす。第1光学部材1に形成される構造部2a乃至2fの一部4a乃至4fは、面3の隣接部より低い解放しきい値を持ち、第3光学部材6の、第2光学部材に面する面7は、第2光学部材5に対して高い付着力を持つよう構成されていることから、図2dの拡大されたものにおいて一部4bについて示されているように、収縮させると、反射器規定部4a乃至4fにおいて、第1光学部材1と第2光学部材5との間の剥離があるであろう。
【0059】
図2dにおいても示されているように、収縮は、剥離だけでなく、(拡大された構造部2bについてしか示されていないが、構造部2a乃至2fの各々に対して存在する)空隙8の形成ももたらす。この空隙は、第1光学部材1及び/又は第2光学部材5において分子的に分解されたガスでかなり素早く満たされると思われる。空隙は、第4屈折率n4を持ち、空隙8が満たされているかどうか、及び空隙8がどのガスによって満たされているかにかかわりなく、各々の屈折率n1、n2がn4より大きい第1光学部材1及び第2光学部材5のための適切な材料の多くの選択肢があるであろう。
【0060】
従って、第2光学部材5を収縮させることによる内部空隙8の形成は、空隙8と第1光学部材1との間の境界面9又は空隙8と第2光学部材5との間の境界面10のいずれかにおける全内部反射(TIR)を可能にする。
【0061】
あり得る材料の選択肢及び処理条件などに関する更なる詳細は、下記の実験欄で示す。
【0062】
図3a乃至3eは、それに付着される物質の解放しきい値を制御するための様々な反射器規定構造部の構成を概略的に図示している。
【0063】
第1光学部材1の上面3に対する傾斜に対して平行な線24に関する幾何学的対称性、V字形断面を持つ窪み20の概略的な断面図である図3aにおいては、空隙8は、窪み20の第1側部21における第1光学部材1と第2光学部材5との間の材料境界面において形成され、窪みの第2側部22においては、第2光学部材5は依然として第1光学部材1と接触していることが分かる。ここで図示されている例によれば、これは、窪みの第2側部22が、第2光学部材5に対する付着力の向上のために適合させられているためである。この適合は、機械的なものであってもよく、又は化学的なものであってもよい。明らかに、代わりに、窪み20の第1側部21を、第2光学部材5からの解放の向上のために適合させることによっても、同じ結果が得られ得る。
【0064】
図3bは、線24に対して非対称の断面を持つ窪み25の第2構成を概略的に図示している。この構成においては、幾何学的形状は、第1側部26における第1光学部材1からの第2光学部材5の解放に有利である。なぜなら、第1側部26における第1光学部材1と第2光学部材5との間の境界面において誘起される応力は、窪み25の第2側部27における境界面において誘起される応力より大きな剪断成分を持つからである。剪断応力は、一般に、境界面全体にわたって作用している結合を断つのにより効率的であることから、剥離及び空隙8の形成は、図示されているように、第2側部27においてではなく、第1側部26において生じるであろう。
【0065】
図3cにおいては、第1光学部材1に、平底部31を持つ窪み30が形成される他の例が図示されている。窪み30の対称構成、及び窪み30の平底部31と第1側部32及び第2側部33との間の斜角により、図3cにおいて示されているように、2つの側部の剥離が生じると思われる。更に、平底部31は、それがどのように構成されているかに依存して、剥離するかもしれず、又は剥離しないかもしれない。
【0066】
図3dにおいては、図3cにおいて示されているものとは異なる構造であって、窪み35の底部36が、平坦でなく、窪み35の側部38及び39の各々に関連して、各々、鋭い端部37a及び37bがあるように構成される構造が図示されている。鋭い端部37a及び37bの各々は、その各々の側部38、39の剥離のための核形成部位の役割を果たし、それによって、多かれ少なかれランダムな1つの側部の剥離ではなく、安定した2つの側部の剥離を可能にすると思われる。
【0067】
最後に、図3eにおいて図示されている構造は、対称軸24に対する表面特性における非対称と幾何学形状における非対称性との組み合わせを利用する。図3eにおける窪み40は、傾斜しており、「滑らかである」第1側部41と、垂直であり、「粗い」第2側部42とを持つ。図3bと関連して上で記述したように、幾何学的な非対称性により、解放が、第1側部41に有利にされており、更に、第2光学部材5の、第2側部42に対する付着力が、その構造化面によって高められている。
【0068】
解放制御構造部の構成の上記の代表的な例から明らかであろうように、変形の可能性は、事実上無限にある。しかしながら、これらの構成は、全て、構造部及び/又はそれらの周囲の幾何学的形状及び/又は表面特性が、構造部の少なくとも一部においてより低い解放しきい値を達成するよう適合させられているという共通点を持っている。
【0069】
図4a及び4bは、光学素子が光導体から光をアウトカップルするよう機能する、本発明による光学素子の実施例の概略的な断面図である。
【0070】
図4aにおいては、第1光学部材51、第2光学部材52及び第3光学部材53を持ち、アウトカップリング構造部を持つ光導体として機能するよう適合させられている光学素子50の一部が示されている。光源54によって放射され、光導体50に入った光は、光学素子50に埋め込まれた反射器55a乃至55cによってアウトカップルされるであろう。上記のように、反射器55a乃至55cは、ここでは第1光学部材51の基本的に平行な溝57a乃至57cの形態の窪みの反射器規定部56a乃至56cによって規定される位置において第1光学部材51と第2光学部材52との間の境界面に形成される空隙によって形成される。
【0071】
光線は、全内部反射(TIR)のためのしきい値を上回る角度で反射器55bに当たる場合、図4aにおいて矢印59によって示されているように、光導体50の底面58を通って光導体を出ることができるように、全反射されるであろう。
他方で、光線が、全内部反射のためのしきい値角度未満の角度で反射器55aに当たる場合には、光の一部は、空隙/反射器55aを通過するであろう。図4bにおける矢印60によって、反射器55aにほぼ垂直に当たる光線について、このことが図示されている。第1光学部材51、第2光学部材52及び第3光学部材53の屈折率が全てほぼ同一である
と仮定すると、この光線は、空隙/反射器55aをまっすぐに通り抜けて(空隙55aの幅にわたっての小さな平行移動は無視され、空隙55aの幅は一般にμmのオーダーである)、その代わりに、第3光学部材と周囲雰囲気との間の境界面において全内部反射にさらされるであろう。この全内部反射の後、光線は、再び、反射器55a乃至55cの方へ進み、直接、又は光導体50と周囲雰囲気との間の境界面のいずれかにおける他の反射の後に、アウトカップルされるであろう。
【0072】
これにより、材料及び寸法の適切な選択によって、実質的に完全に指向性のアウトカップリングを持つ光導体が形成され得る。
【0073】
図4bにおいては、導光部材71であって、前記導光部材71の両側に幾つかの協働光学部材72a乃至72dを持つ導光部材71を含むアウトカップリング光導体70の一部が示されている。図4bの光導体70は、図4aの光導体と同様に、光導体70に入った光源73からの光をアウトカップルするように構成される。
【0074】
導光部材の上面74には、各々が複数の埋め込み反射器を持つ3つの案内/アウトカップリング光学素子72a乃至72cが設けられ、前記埋め込み反射器は、各々、光学部材の間の材料境界面における空隙において形成される。これらの光学素子72a乃至72cは、導光部材71の底面75に設けられる光学素子72dと共に、図4aと関連して上に記載され、図4bにおいて矢印76a乃至76dによって図示されているように、光導体70から光をアウトカップルするよう機能する。幾つかの平行なアウトカップリング光学素子72a乃至72cを設けることにより、より大きな角度広がりにわたる光が、効率的に、所望の方向にアウトカップルされ得る。
【0075】
特に図4bにおいて概略的に図示されている実施例においては、光学素子72a乃至72dは、予め形成され、後で導光部材71(及び互い)に取り付けられてもよい。例えば、これらの相対的に薄い光学素子72a乃至72dは、リール・ツー・リールプロセス(reel-to-reel process)で形成されてもよく、前記リール・ツー・リールプロセスは、費用効果が優れている製造方法である可能性が高い。
【0076】
図5a及び5bは、光学素子が光をコリメートするよう機能する、本発明による光学素子の実施例の概略的な断面図である。
【0077】
図5aにおいては、光学素子80は、光を光学素子の第1面82内へ結合させるよう配設される複数の光源81a乃至81cによって放射される光を、コリメート光が、光学素子80の、反対側の、第2面83を出るようにコリメートするコリメータ板の形態をしている。
【0078】
図5aにおいて図示されているように、各々の光源81a乃至81cからの光をコリメートするよう構成されるコリメータ84a乃至84cの各々は、第1光学部材86と各々の第2光学部材87a乃至87cとの間の空隙85a乃至85cにおけるTIR反射器によって形成される。第2光学部材87a乃至87cの各々の上には第3光学部材88が設けられる。コリメータ板の反射器85a乃至85cの機能及び構成は、図4a及び4bの光導体実施例について上で記載したものと同様である。
【0079】
空隙85a乃至85cの各々の断面は、光学素子80の第2面83に平行な面において閉ループを形成する。断面を含む、コリメータの形状は、コリメート光線の望ましい形状に依存する。例えば、円形断面を持つ光線のためには、一般に、空隙断面も円形でなければならない。
【0080】
図5bにおいては、コリメータ板の第2例90が示されおり、前記第2例においては、光源91によって放射される光が、光源91からの距離が増大するにつれてコリメータ板に対する垂線に対して増大する傾斜を持つ幾つかの同心反射器92a乃至92eによってコリメートされる。反射器の各々は、第1光学部材93と第2光学部材94との間の空隙で形成される。第2光学部材94の上には、第3光学部材95が設けられる。
【0081】
当業者には、本発明が、決して、上記の好ましい実施例に限定されないことは分かるであろう。例えば、まさに、光導体について上で記載したように、コリメータは、例えばリール・ツー・リールプロセスで予め形成されていてもよい複数の光学素子を有してもよい。
【0082】
実験の構成
ここで、図6を参照して、本発明による光学素子を製造する方法の具体的な例を説明する。
【0083】
ステップ1:レプリカ作成
従来の光重合によるレプリカ作成技術を用いて、ポリメチルメタクリレート(PMMA)の基板キャリア102上の2Pアクリレート材料101において、微細溝のレプリカ100(図面が理解しやすいように図6にはこれらのうちの1つしか示されていない)が得られた。PMMAキャリア102は、端部103a及び103bにおいて冷陰極蛍光灯(CCFL)又は発光ダイオード(LED)などの光源からの光が注入される導光基板として機能する。溝100は、自由2P面において100ミクロンから20ミクロンまでの幅を持った。溝の頂角は50°であった。それ故、溝の対応する深さは、容易に計算されることができ、幅よりほんの少し大きい。
【0084】
レプリカ作成後、熱により重合(転化)の度合いを高めて、2Pバルク及び表面材料の残りの反応を停止させるために、マイクロ光学光導波路は125℃で12時間焼きなまされた。
【0085】
ステップ2:コーティング
微細構造部のコーティング
微細溝構造部100は、高収縮モノマー104でコーティングされ、上部ホイル105又は上部シート(プラスチック若しくはガラス)によって覆われた。用いられたモノマーは、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)又はヘキサンジオールジメタクリレート(HDDMA)である。これらのモノマーは、光重合によって高い収縮をもたらし、文献によれば、それらの収縮率は16%のオーダーである。
【0086】
上部ホイルのコーティング
上部ホイル105又は上部シートは、付着促進剤でコーティングされた。これは、実験的に薄いガラス板を用いて達成された。ガラス板は、アクリレート官能基を持つアミノシラン(メルクのシランA 174)の、ガラス板を真空乾燥器においてA 174材料にさらすことによる気相堆積が後に続く紫外線オゾン洗浄処理を受けた。その後、ガラスは、アミノシランとガラス面との間の表面反応を促すために、60℃で1時間「焼かれた」。この処理の結果として、ガラス面は、アクリレートコーティングと化学的に反応することができる付着促進アクリレート面グループの非常に薄い層(「単分子層」)を含むこととなる。
【0087】
ステップ3:収縮
コーティングは、特に、空気と自由に接触する端部の近くでの酸素(O2)による光誘起反応の妨害を防止するために、窒素(N2)環境において、図6において矢印によって図示されているように、紫外線を用いて、光重合によって硬化された。
【0088】
光重合中、モノマー100は、遊離基連鎖反応メカニズムによってポリマーに転化させられる。その結果として、モノマーの間の相対的に長い距離は、ポリマーを形成するモノマーの間の短い寸法の化学結合と置き換えられる。これは、材料内部の自由体積の減少をもたらし、密度が高められ、体積が減らされる。これは、光重合によってモノマー膜を硬化させることによる膜の厚みの減少をもたらす。
【0089】
(微細溝などの)予め構造化された面を含む微細構造部100をコーティングすることによって、前記材料も、溝内で収縮する。これは、溝内で硬化される材料に応力をもたらし、硬化されるモノマーと予め構造化されたマイクロ光学面との間の境界面に応力を加える。これは、境界面における2つの材料の間の付着力と、存在する応力の量とに応じて、前記面において剥離をもたらすことができ、表面接触は消え、2つの剥離される面の間に真空がもたらされる。新しく形成される真空中間層は、通常用いられるプラスチック材料において分子的に分解されているガスですぐに満たされる可能性が高い。結果として生じる空隙は、厚さが数ミクロンである可能性が高い。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子であって、前記光学素子に埋め込まれる少なくとも1つの反射器を持つ光学素子と、このような光学素子を有する照明装置と、このような光学素子を製造する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
消費者が、固体照明及びフラットパネルディスプレイ技術などの領域における最近の進歩を利用することを可能にするために、ライティング及び照明は、ますます高度になっている。例えば、様々なアプリケーションのために、薄さを達成するためのドライブ、広域照明装置、又は有利な照明特性を持つ照明器具がある。その目的のため、及び多数の他のアプリケーションのために、コンパクトな構造で光の方向を正確に制御する能力、及びこれを安価なやり方で達成する能力のニーズがある。
【0003】
このような構造で光の方向を制御するための1つの方法が、米国特許出願公開公報第US2003/0095332号において開示されており、米国特許出願公開公報第US2003/0095332号においては、表示装置用の光学素子が記載されている。この光学素子は、光配向膜によって形成され、前記光配向膜は、鋸歯状構造を備える1つの面を持つ。この面は、ポリマー保護層によって保護される金属コーティングを具備する。光配向構成において、金属コーティングが内部反射器を形成する。
【0004】
しかしながら、この反射器は、腐食による損傷を受けやすく、一般に、本質的に費用のかかる真空プロセスで形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の上述及び他の不利な点を鑑みて、本発明の主な目的は、とりわけ、より耐久性がある反射器を持つ、改良された光学素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、光学素子であって、前記光学素子に埋め込まれる少なくとも1つの反射器を持つ光学素子を製造する方法であって、少なくとも第1面であって、前記少なくとも第1面に形成される構造部を備える少なくとも第1面を持つ第1光学部材を設けるステップであって、この構造部の少なくとも一部が、前記面の隣接部より低い、そこに付着される物質の解放のためのしきい値を持つよう構成され、この一部が、前記反射器の所望の位置及び延長部を規定するステップと、前記第1光学部材の前記第1面に、収縮可能な物質によって形成される第2光学部材を設けるステップと、上述した一部において前記第2光学部材が前記第1光学部材から解放され、前記第1光学部材と前記第2光学部材との間に、空隙であって、前記第1光学部材と前記空隙との間の第1境界面及び前記第2光学部材と前記空隙との間の第2境界面のうちの少なくとも一方における全内部反射を可能にする空隙が形成されるように前記物質を収縮させるステップとを有する方法によって、これら及び他の目的は達成される。
【0007】
「光学部材」は、本願との関連においては、可視光、赤外線及び紫外線を含む波長範囲内の少なくとも1つの波長の電磁放射線を少なくとも部分的に透過する、例えば、半透明又は透明である部材と理解されたい。前記光学部材は、このような放射線に対するその透過性/半透明性/透明性とは別に、例えば、等方性である、又は異方性であるといった、あらゆる種類の適切な他の特性を持ち得る。
【0008】
前記第2光学部材の前記収縮可能な物質が収縮させられる場合、前記第1光学部材と前記第2光学部材との間の前記境界面において応力が誘起される。前記第1光学部材のインターフェイス面を適切に構成することによって、前記収縮による前記応力は、前記第1光学部材と前記第2光学部材との間の解放を、それらの間の前記境界面の選択された位置においてもたらす。前記第2光学部材が収縮し続ける場合、前記第1光学部材と前記第2光学部材とが、前記解放の位置において分離し、このことは、これらの位置における空隙の形成にもたらす。したがって、これらの空隙の各々と前記第1及び第2光学部材との間の前記境界面の一方又は両方において、全内部反射(TIR)によって機能する効率的な反射器が形成される。
【0009】
このようにして、本発明による方法により、全内部反射(TIR)によって反射する非常に効率的で、丈夫且つコンパクトな反射器が、光学素子内に形成され得る。
【0010】
更に、前記少なくとも1つの反射器の大きさ及び位置は、前記第1光学部材を適切に構成し、且つ/又は前記収縮させるステップを適切に制御することによって、正確に制御され得る。
【0011】
更に、前記少なくとも1つの反射器の前記所望の位置及び延長部を規定する前記一部は、上述したより低い解放のためのしきい値を得るために、幾何学的形状及び表面特性のうちの少なくとも一方に関して、前記面の前記隣接部と異なってもよい。
【0012】
例えば、前記一部は、前記第2光学部材の前記収縮可能な物質を設ける前に前記面のその特定の一部に解放増強剤を塗布するなどにより物質の解放を助長するよう処理されてもよく、又は他の例においては、前記面の、反射器規定部に隣接する一部が、前記一部に対する付着力を高めるよう処理されてもよい。これらの方法の両方とも、前記第1光学部材と前記第2光学部材との間の境界が前記第2光学部材の前記収縮可能な物質の収縮によって誘起される応力にさらされる場合に、物質、とりわけ前記第2光学部材の前記収縮可能な物質などの物質が、前記面の前記隣接部からより、前記反射器規定部から分離されやすくなることをもたらす。
【0013】
別の例として、前記構造部の幾何学的形状が、前記収縮により誘起される応力が、前記反射器規定部で、隣接部でより大きくなり、且つ/又は前記第1光学部材と前記第2光学部材との間の結合を断つのにより効率的である方向に加えられるように、選択されてもよい。
【0014】
或る実施例によれば、前記構造部は、溝などの窪みであってもよい。
【0015】
前記窪みは、一般に、前記光学素子向けの特定のアプリケーションに適合させられてもよく、基本的に点状で、細長くてもよく、又は、他のいかなる形状をしていてもよい。
【0016】
前記窪みが溝である特定の場合においては、このような溝は、前記面に平行な或る方向に、前記面に平行な垂直方向より大きい延長部を持つ窪みのことを意味することに注意されたい。更に、このような溝は、特定の長さ又は方向の延長部、即ち断面に限定されないことに注意されたい。従って、ここで言及されている前記溝は、単純な対称形のV字形の断面を持っていてもよく、又は前記第1面の局所勾配に平行な仮想溝中心線に対して対称形であってもよく、若しくは対称形でなくてもよいより複雑な断面を持っていてもよい。更に、前記溝は、延長部の主方向を持っていてもよく、又は持っていなくてもよく、後者の場合には、閉ループを形成してもよい。
【0017】
有利には、前記収縮可能な物質は、前記第1光学部材の前記第1面に設けられるときに、前記少なくとも1つの窪みを埋めるよう適合させられ得る。
【0018】
例えば、前記収縮可能な物質は、前記第1光学部材によって、前記第1光学部材の前記面の前記構造部に合うように変形可能である形態で加えられ得る。このため、前記収縮可能な物質は、例えば、液体、ペースト又は変形可能なシートの形態で加えられ得る。
【0019】
或る実施例によれば、前記収縮可能な物質は、重合可能な材料を有してもよく、前記収縮させるステップは、前記材料を重合させるステップを含んでもよい。
【0020】
多くの物質は、重合すると収縮する。更に、この収縮は、あらゆる蒸発又は他の形態の材料の抽出の必要なしに行われ得る。更に、前記収縮は、一般に、不可逆性のものである。
【0021】
前記重合可能な材料は、主にモノマーから形成され得るが、代わりに又はそれに加えて、二量体又は部分高分子鎖などのより大きなポリマービルディングブロックから形成されてもよい。
【0022】
本実施例によれば、前記収縮可能な物質は、重合可能な材料に加えて、例えば、前記重合を開始及び/又は制御することを可能にする活性剤又は開始剤、及び望ましくない重合を防止する所謂抑制剤を含む様々な種類の制御物質などの付加的な物質を有してもよい。
【0023】
有利には、前記重合可能な材料は、光重合可能であってもよく、前記重合させるステップは、適切な波長範囲を持つ光を前記光重合可能な材料に照射するステップを有してもよい。
【0024】
光重合の場合には、偶発的な環境紫外線放射による時期尚早の重合を防止するために上述した抑制剤が用いられ得る。一般に、このような抑制剤は、偶発的に形成されるあらゆる基、及びさもなければ急速な連鎖重合プロセスをもたらすであろうあらゆる基と反応することが可能な分子である。
【0025】
光重合による前記第2光学部材の収縮は、前記収縮可能な物質が含まれる前記光学素子の外部から前記収縮可能な物質が直接アクセス可能ではない場合であっても行われ得る。更に、前記第2光学部材の前記重合及び付随する硬化は、前記照射ステップが行われる方法によって制御され得る。前記重合及びそれによる前記収縮を制御するために変えられ得る前記照射ステップに関連するパラメータは、照射の方向、照射の強度、照射の継続時間及び波長範囲を含む。例えば、照射パラメータの適切な選択及び/又は前記収縮可能な物質の適切な配合によって、前記第2光学部材の前記収縮が前記構造部の前記反射器規定部からの分離をもたらすことが望ましいところでの前記構造部の方への材料輸送を防止するなどのために、前記第2光学部材の、前記第1光学部材とは反対側の面がまず硬化するようにさせられてもよい。
【0026】
光重合に代わるもの又は光重合を補完するものとして、前記重合反応は、高い温度で反応基の形成をもたらすであろう熱的に不安定な開始剤を用いて、熱により始動させられてもよい。
【0027】
その上、本発明による方法は、前記収縮可能な物質の収縮中の材料輸送を制限するために前記第2光学部材の上に第3光学部材を設けるステップを更に有してもよい。
【0028】
前記反射器規定部において十分なレベルの応力を得るためには、前記第2光学素子の他の部分からの均等材料輸送が、防止されなければならない、又は少なくとも制限されなければならない。上述した、前記収縮可能な物質の、時として「ガラス化」と呼ばれる硬化の制御に代わるものとして、前記反射器規定部における、前記第1光学部材と前記第2光学部材との間の境界面における材料輸送及び付随する前記応力の低下を制限する目的で、適切な第3光学部材が設けられてもよい。
【0029】
有利には、前記第3光学部材は、相対的に堅いシートであってもよく、前記シートは、前記シートの、前記第2光学部材に面する面において、前記収縮可能な物質に対する良好な付着力を達成するよう処理されてもよい。
【0030】
前記第3光学部材がシートである場合には、このシートは、好ましくは、実質的に局所的に変形させられずに前記第1光学部材の前記構造部の方への材料輸送を防止することが可能であり、収縮時の前記第2光学部材の肉眼で見えるスケールでの変形を基本的に防止するといった2つの要件を満たすのに十分に堅くなければならない。
【0031】
粗面処理若しくは前記第3光学部材の表面積を増加させるための他の方法及び/又は付着促進剤の塗布を含み得る、上述した表面処理は、前記第2光学部材の収縮時に前記第2光学部材と前記第3光学部材との間で解放又は「剥離」がないように、前記第2光学部材と前記第3光学部材との間の十分に強い付着力を達成するよう適合させられなければならない。
【0032】
前記収縮させるステップの後、前記第3光学部材は、前記第2光学部材の上に残されてもよく、又は随意に、取り除かれてもよい。後者の場合には、前記第2光学部材と前記第3光学部材との間の付着力は、前記第2光学部材が前記第1光学部材から分離される前に、前記第2光学部材と前記第3光学部材との間の解放が行われることを可能にするよう調整され得る。
【0033】
本発明の第2の態様によれば、上述した目的及び他の目的は、第1光学部材であって、前記第1光学部材の第1面に少なくとも1つの窪みを持つ第1光学部材と、前記第1光学部材の前記第1面に取り付けられる第2光学部材であって、本質的に、前記第1光学部材の前記少なくとも1つの窪みに適合する第2光学部材と、前記第1光学部材と前記第2光学部材との間の境界面における少なくとも1つの反射器であり、前記少なくとも1つの窪みに配置される少なくとも1つの反射器であって、前記第1光学部材と前記第2光学部材との間に形成される空隙と前記第1光学部材及び前記第2光学部材のうちの一方との間の境界面によって形成される少なくとも1つの反射器とを有する光学素子によって達成される。
【0034】
前記光学素子は、有利には、各々が前記第1光学部材の複数の窪みの1つ1つに配置される複数の反射器を有してもよい。
【0035】
或る実施例によれば、前記窪みは、溝であってもよい。
【0036】
有利には、複数の連続した空隙の各々は、それらの各々の溝の、上記の溝中心線に対して同じ側に形成されてもよい。
【0037】
このことの効果は、前記光学素子が、第1方向において前記光学素子に入るほぼ全ての光を第2方向に向けるよう適合させられ得ることである。
【0038】
前記空隙は、それらの各々の溝の一方の側だけに形成されてもよく、又は他の例においては、それらの各々の溝の両側に形成されてもよい。
【0039】
連続した空隙をそれらの各々の溝の同じ側に形成することを達成するため、前記溝の各々の断面は、幾何学的形状及び表面特性のうちの少なくとも一方について、非対称であってもよい。
【0040】
更に、前記窪みの各々の断面は、前記第1光学部材の前記第1面に平行な面において閉ループを形成してもよい。
【0041】
これらの閉ループ窪みのうちの少なくとも1つは、前記第1光学部材の前記面の閉ループに沿って延在する溝であってもよい。
【0042】
更に、前記閉ループ窪みのうちの少なくとも1つは、前記第1光学部材の拡張された点窪みであってもよく、例えば、光源のためのコリメート反射器を規定してもよい。
【0043】
更に、これらの閉ループ窪みの断面は、前記第1面に平行な所与の面において同心のものであってもよい。
【0044】
このような同心閉ループ窪みは、例えば、複数の同心溝を有してもよく、又は1つの拡張された点窪み及び少なくとも1つの同心溝を有してもよい。
【0045】
更に、本発明による光学素子は、有利には、前記光学素子内に光を結合するよう配設される少なくとも1つの光源を更に有する照明装置に含まれてもよい。
【0046】
このような照明装置は、例えば、一般照明目的及びディスプレイアプリケーションのためのバックライト/フロントライトとしての使用のために適合させられ得る。
【0047】
このような照明装置の一例においては、本発明による光学素子は、基本的に、上面及び底面及び端部を持つスラブ状をしていてもよい。この場合には、複数の反射器は、前記端部のうちの少なくとも1つにおいてインカップルされる光を、前記上面及び前記下面の一方又は両方を通って出るよう方向づけるよう形成され得る。例えば、前記複数の反射器は、平行に延在する溝の同じ側に配置され、それによって、前記インカップルされる光のほぼ全てが、前記反射器の傾斜に応じて、前記上面及び前記下面のうちの一方を通って出ることを可能にしてもよい。
【0048】
このような照明装置の別の例によれば、前記埋め込み反射器は、少なくとも1つの反射器が、例えば、前記光学素子の前記底面を通して光をインカップルするよう配設される複数の光源の各々の光軸を囲むように形成され得る。その場合、各光軸を囲む前記反射器は、好ましくは、その特定の光源のためのコリメータとして機能するように構成され得る。
【0049】
ここで、本発明の現在好ましい実施例を示している添付図面を参照して、本発明のこれら及び他の態様をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の好ましい実施例による光学素子を製造する方法を概略的に図示しているフローチャートである。
【図2a】図1の方法に従って製造される光学素子であって、対応する方法ステップの後の状態の光学素子を概略的に図示する。
【図2b】図1の方法に従って製造される光学素子であって、対応する方法ステップの後の状態の光学素子を概略的に図示する。
【図2c】図1の方法に従って製造される光学素子であって、対応する方法ステップの後の状態の光学素子を概略的に図示する。
【図2d】図1の方法に従って製造される光学素子であって、対応する方法ステップの後の状態の光学素子を概略的に図示する。
【図3a】解放しきい値を制御するための様々な反射器規定構造部の構成を概略的に図示する。
【図3b】解放しきい値を制御するための様々な反射器規定構造部の構成を概略的に図示する。
【図3c】解放しきい値を制御するための様々な反射器規定構造部の構成を概略的に図示する。
【図3d】解放しきい値を制御するための様々な反射器規定構造部の構成を概略的に図示する。
【図3e】解放しきい値を制御するための様々な反射器規定構造部の構成を概略的に図示する。
【図4a】本発明による光学素子であって、光導体から光をアウトカップルするよう機能する光学素子の実施例の概略的な断面図である。
【図4b】本発明による光学素子であって、光導体から光をアウトカップルするよう機能する光学素子の実施例の概略的な断面図である。
【図5a】本発明による光学素子であって、光をコリメートするよう機能する光学素子の実施例の概略的な断面図である。
【図5b】本発明による光学素子であって、光をコリメートするよう機能する光学素子の実施例の概略的な断面図である。
【図6】例示的な、本発明の実施例によるアウトカップリング光導体を概略的に図示する。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下の説明においては、第2光学部材の収縮により第1光学部材と第2光学部材との間の材料境界面に形成される複数の反射器を持つ光学素子に関して本発明を説明する。この説明においては、第2光学部材は、第1光学部材に形成される構造部に適合する光重合可能な材料の形態で設けられ、第3光学部材は、第2光学部材の上に設けられる。
【0052】
これは、決して本発明の範囲を限定せず、本発明は、第3光学部材を持たないこのような光学素子、及び第2光学部材が、光重合可能な材料の形態で設けられず、熱により引き起こされる重合を含む当業者に既知の他の方法で開始される重合、溶媒蒸発、冷却による収縮、又は体積減少をもたらすあらゆる種類の化学反応などの任意の他のメカニズム又はメカニズムの組み合わせにより収縮可能である材料の形態で設けられる光学素子にも等しく適用可能であることに注意されたい。
【0053】
ここで、本発明による光学素子及びこのような光学素子を製造する方法の好ましい実施例を、このような方法を概略的に図示しているフローチャートである図1と、図1の対応する方法ステップの後の状態の光学素子を概略的に図示する図2a乃至2dとを参照して説明する。
【0054】
第1ステップ101においては、第1光学部材1であって、前記第1光学部材1の上面3に構造部2a乃至2fを持つ第1光学部材1が設けられる。第1光学部材1は、第1屈折率n1を持つ。本実施例においては、構造部2a乃至2fは、V字形溝のように形成されている窪みとして図示されているが、以下で更に説明するように、これは、考えられる構造部のうちの1つでしかない。
【0055】
構造部2a乃至2fの各々は、面3の隣接部より低い解放しきい値を持つよう適合される部分4a乃至4fを持つ。これらの部分4a乃至4fの各々が、形成されるべき各々の反射器の位置及び延長部を規定する。
【0056】
次のステップ102においては、収縮可能な、光重合可能な材料を有する第2光学部材5が設けられる。第2光学部材5は、その現在の状態において、構造部2a乃至2fが埋められるように第1光学部材1の上面3に適合する。第2光学部材5は、収縮後、第2屈折率n2を持つ。
【0057】
次のステップ103においては、第2光学部材5の上に第3光学部材6が設けられる。第3光学部材6は、好ましくは、第2光学部材5の収縮により肉眼で見えるゆがみが光学素子に生じるのを防止するために十分に堅いシートによって形成される。第3光学部材は、第3屈折率n3を持つ。更に、有利には、第3光学部材6の、第2光学部材5に面する面7は、第2光学部材5と第3光学部材6との間の付着力を高めるよう構成される。これは、第2光学部材5を収縮させるや否や第2光学部材5が第3光学部材6から解放されるのを防止するためになされる。
【0058】
次のステップ104においては、図2dにおいて破線の矢で図示されているように、第2光学部材5が、第3光学部材6を通して放射線にさらされる。第2光学部材5に含まれる光重合可能な材料は、適切な、(通常紫外領域内の)波長範囲と、強度と、期間とを持つ放射線を照射される場合、重合し、短い化学結合の形成により、収縮する。第2光学部材5の収縮は、第1光学部材1及び第3光学部材6の、第2光学部材5に隣接する全ての面に応力をもたらす。第1光学部材1に形成される構造部2a乃至2fの一部4a乃至4fは、面3の隣接部より低い解放しきい値を持ち、第3光学部材6の、第2光学部材に面する面7は、第2光学部材5に対して高い付着力を持つよう構成されていることから、図2dの拡大されたものにおいて一部4bについて示されているように、収縮させると、反射器規定部4a乃至4fにおいて、第1光学部材1と第2光学部材5との間の剥離があるであろう。
【0059】
図2dにおいても示されているように、収縮は、剥離だけでなく、(拡大された構造部2bについてしか示されていないが、構造部2a乃至2fの各々に対して存在する)空隙8の形成ももたらす。この空隙は、第1光学部材1及び/又は第2光学部材5において分子的に分解されたガスでかなり素早く満たされると思われる。空隙は、第4屈折率n4を持ち、空隙8が満たされているかどうか、及び空隙8がどのガスによって満たされているかにかかわりなく、各々の屈折率n1、n2がn4より大きい第1光学部材1及び第2光学部材5のための適切な材料の多くの選択肢があるであろう。
【0060】
従って、第2光学部材5を収縮させることによる内部空隙8の形成は、空隙8と第1光学部材1との間の境界面9又は空隙8と第2光学部材5との間の境界面10のいずれかにおける全内部反射(TIR)を可能にする。
【0061】
あり得る材料の選択肢及び処理条件などに関する更なる詳細は、下記の実験欄で示す。
【0062】
図3a乃至3eは、それに付着される物質の解放しきい値を制御するための様々な反射器規定構造部の構成を概略的に図示している。
【0063】
第1光学部材1の上面3に対する傾斜に対して平行な線24に関する幾何学的対称性、V字形断面を持つ窪み20の概略的な断面図である図3aにおいては、空隙8は、窪み20の第1側部21における第1光学部材1と第2光学部材5との間の材料境界面において形成され、窪みの第2側部22においては、第2光学部材5は依然として第1光学部材1と接触していることが分かる。ここで図示されている例によれば、これは、窪みの第2側部22が、第2光学部材5に対する付着力の向上のために適合させられているためである。この適合は、機械的なものであってもよく、又は化学的なものであってもよい。明らかに、代わりに、窪み20の第1側部21を、第2光学部材5からの解放の向上のために適合させることによっても、同じ結果が得られ得る。
【0064】
図3bは、線24に対して非対称の断面を持つ窪み25の第2構成を概略的に図示している。この構成においては、幾何学的形状は、第1側部26における第1光学部材1からの第2光学部材5の解放に有利である。なぜなら、第1側部26における第1光学部材1と第2光学部材5との間の境界面において誘起される応力は、窪み25の第2側部27における境界面において誘起される応力より大きな剪断成分を持つからである。剪断応力は、一般に、境界面全体にわたって作用している結合を断つのにより効率的であることから、剥離及び空隙8の形成は、図示されているように、第2側部27においてではなく、第1側部26において生じるであろう。
【0065】
図3cにおいては、第1光学部材1に、平底部31を持つ窪み30が形成される他の例が図示されている。窪み30の対称構成、及び窪み30の平底部31と第1側部32及び第2側部33との間の斜角により、図3cにおいて示されているように、2つの側部の剥離が生じると思われる。更に、平底部31は、それがどのように構成されているかに依存して、剥離するかもしれず、又は剥離しないかもしれない。
【0066】
図3dにおいては、図3cにおいて示されているものとは異なる構造であって、窪み35の底部36が、平坦でなく、窪み35の側部38及び39の各々に関連して、各々、鋭い端部37a及び37bがあるように構成される構造が図示されている。鋭い端部37a及び37bの各々は、その各々の側部38、39の剥離のための核形成部位の役割を果たし、それによって、多かれ少なかれランダムな1つの側部の剥離ではなく、安定した2つの側部の剥離を可能にすると思われる。
【0067】
最後に、図3eにおいて図示されている構造は、対称軸24に対する表面特性における非対称と幾何学形状における非対称性との組み合わせを利用する。図3eにおける窪み40は、傾斜しており、「滑らかである」第1側部41と、垂直であり、「粗い」第2側部42とを持つ。図3bと関連して上で記述したように、幾何学的な非対称性により、解放が、第1側部41に有利にされており、更に、第2光学部材5の、第2側部42に対する付着力が、その構造化面によって高められている。
【0068】
解放制御構造部の構成の上記の代表的な例から明らかであろうように、変形の可能性は、事実上無限にある。しかしながら、これらの構成は、全て、構造部及び/又はそれらの周囲の幾何学的形状及び/又は表面特性が、構造部の少なくとも一部においてより低い解放しきい値を達成するよう適合させられているという共通点を持っている。
【0069】
図4a及び4bは、光学素子が光導体から光をアウトカップルするよう機能する、本発明による光学素子の実施例の概略的な断面図である。
【0070】
図4aにおいては、第1光学部材51、第2光学部材52及び第3光学部材53を持ち、アウトカップリング構造部を持つ光導体として機能するよう適合させられている光学素子50の一部が示されている。光源54によって放射され、光導体50に入った光は、光学素子50に埋め込まれた反射器55a乃至55cによってアウトカップルされるであろう。上記のように、反射器55a乃至55cは、ここでは第1光学部材51の基本的に平行な溝57a乃至57cの形態の窪みの反射器規定部56a乃至56cによって規定される位置において第1光学部材51と第2光学部材52との間の境界面に形成される空隙によって形成される。
【0071】
光線は、全内部反射(TIR)のためのしきい値を上回る角度で反射器55bに当たる場合、図4aにおいて矢印59によって示されているように、光導体50の底面58を通って光導体を出ることができるように、全反射されるであろう。
他方で、光線が、全内部反射のためのしきい値角度未満の角度で反射器55aに当たる場合には、光の一部は、空隙/反射器55aを通過するであろう。図4bにおける矢印60によって、反射器55aにほぼ垂直に当たる光線について、このことが図示されている。第1光学部材51、第2光学部材52及び第3光学部材53の屈折率が全てほぼ同一である
と仮定すると、この光線は、空隙/反射器55aをまっすぐに通り抜けて(空隙55aの幅にわたっての小さな平行移動は無視され、空隙55aの幅は一般にμmのオーダーである)、その代わりに、第3光学部材と周囲雰囲気との間の境界面において全内部反射にさらされるであろう。この全内部反射の後、光線は、再び、反射器55a乃至55cの方へ進み、直接、又は光導体50と周囲雰囲気との間の境界面のいずれかにおける他の反射の後に、アウトカップルされるであろう。
【0072】
これにより、材料及び寸法の適切な選択によって、実質的に完全に指向性のアウトカップリングを持つ光導体が形成され得る。
【0073】
図4bにおいては、導光部材71であって、前記導光部材71の両側に幾つかの協働光学部材72a乃至72dを持つ導光部材71を含むアウトカップリング光導体70の一部が示されている。図4bの光導体70は、図4aの光導体と同様に、光導体70に入った光源73からの光をアウトカップルするように構成される。
【0074】
導光部材の上面74には、各々が複数の埋め込み反射器を持つ3つの案内/アウトカップリング光学素子72a乃至72cが設けられ、前記埋め込み反射器は、各々、光学部材の間の材料境界面における空隙において形成される。これらの光学素子72a乃至72cは、導光部材71の底面75に設けられる光学素子72dと共に、図4aと関連して上に記載され、図4bにおいて矢印76a乃至76dによって図示されているように、光導体70から光をアウトカップルするよう機能する。幾つかの平行なアウトカップリング光学素子72a乃至72cを設けることにより、より大きな角度広がりにわたる光が、効率的に、所望の方向にアウトカップルされ得る。
【0075】
特に図4bにおいて概略的に図示されている実施例においては、光学素子72a乃至72dは、予め形成され、後で導光部材71(及び互い)に取り付けられてもよい。例えば、これらの相対的に薄い光学素子72a乃至72dは、リール・ツー・リールプロセス(reel-to-reel process)で形成されてもよく、前記リール・ツー・リールプロセスは、費用効果が優れている製造方法である可能性が高い。
【0076】
図5a及び5bは、光学素子が光をコリメートするよう機能する、本発明による光学素子の実施例の概略的な断面図である。
【0077】
図5aにおいては、光学素子80は、光を光学素子の第1面82内へ結合させるよう配設される複数の光源81a乃至81cによって放射される光を、コリメート光が、光学素子80の、反対側の、第2面83を出るようにコリメートするコリメータ板の形態をしている。
【0078】
図5aにおいて図示されているように、各々の光源81a乃至81cからの光をコリメートするよう構成されるコリメータ84a乃至84cの各々は、第1光学部材86と各々の第2光学部材87a乃至87cとの間の空隙85a乃至85cにおけるTIR反射器によって形成される。第2光学部材87a乃至87cの各々の上には第3光学部材88が設けられる。コリメータ板の反射器85a乃至85cの機能及び構成は、図4a及び4bの光導体実施例について上で記載したものと同様である。
【0079】
空隙85a乃至85cの各々の断面は、光学素子80の第2面83に平行な面において閉ループを形成する。断面を含む、コリメータの形状は、コリメート光線の望ましい形状に依存する。例えば、円形断面を持つ光線のためには、一般に、空隙断面も円形でなければならない。
【0080】
図5bにおいては、コリメータ板の第2例90が示されおり、前記第2例においては、光源91によって放射される光が、光源91からの距離が増大するにつれてコリメータ板に対する垂線に対して増大する傾斜を持つ幾つかの同心反射器92a乃至92eによってコリメートされる。反射器の各々は、第1光学部材93と第2光学部材94との間の空隙で形成される。第2光学部材94の上には、第3光学部材95が設けられる。
【0081】
当業者には、本発明が、決して、上記の好ましい実施例に限定されないことは分かるであろう。例えば、まさに、光導体について上で記載したように、コリメータは、例えばリール・ツー・リールプロセスで予め形成されていてもよい複数の光学素子を有してもよい。
【0082】
実験の構成
ここで、図6を参照して、本発明による光学素子を製造する方法の具体的な例を説明する。
【0083】
ステップ1:レプリカ作成
従来の光重合によるレプリカ作成技術を用いて、ポリメチルメタクリレート(PMMA)の基板キャリア102上の2Pアクリレート材料101において、微細溝のレプリカ100(図面が理解しやすいように図6にはこれらのうちの1つしか示されていない)が得られた。PMMAキャリア102は、端部103a及び103bにおいて冷陰極蛍光灯(CCFL)又は発光ダイオード(LED)などの光源からの光が注入される導光基板として機能する。溝100は、自由2P面において100ミクロンから20ミクロンまでの幅を持った。溝の頂角は50°であった。それ故、溝の対応する深さは、容易に計算されることができ、幅よりほんの少し大きい。
【0084】
レプリカ作成後、熱により重合(転化)の度合いを高めて、2Pバルク及び表面材料の残りの反応を停止させるために、マイクロ光学光導波路は125℃で12時間焼きなまされた。
【0085】
ステップ2:コーティング
微細構造部のコーティング
微細溝構造部100は、高収縮モノマー104でコーティングされ、上部ホイル105又は上部シート(プラスチック若しくはガラス)によって覆われた。用いられたモノマーは、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)又はヘキサンジオールジメタクリレート(HDDMA)である。これらのモノマーは、光重合によって高い収縮をもたらし、文献によれば、それらの収縮率は16%のオーダーである。
【0086】
上部ホイルのコーティング
上部ホイル105又は上部シートは、付着促進剤でコーティングされた。これは、実験的に薄いガラス板を用いて達成された。ガラス板は、アクリレート官能基を持つアミノシラン(メルクのシランA 174)の、ガラス板を真空乾燥器においてA 174材料にさらすことによる気相堆積が後に続く紫外線オゾン洗浄処理を受けた。その後、ガラスは、アミノシランとガラス面との間の表面反応を促すために、60℃で1時間「焼かれた」。この処理の結果として、ガラス面は、アクリレートコーティングと化学的に反応することができる付着促進アクリレート面グループの非常に薄い層(「単分子層」)を含むこととなる。
【0087】
ステップ3:収縮
コーティングは、特に、空気と自由に接触する端部の近くでの酸素(O2)による光誘起反応の妨害を防止するために、窒素(N2)環境において、図6において矢印によって図示されているように、紫外線を用いて、光重合によって硬化された。
【0088】
光重合中、モノマー100は、遊離基連鎖反応メカニズムによってポリマーに転化させられる。その結果として、モノマーの間の相対的に長い距離は、ポリマーを形成するモノマーの間の短い寸法の化学結合と置き換えられる。これは、材料内部の自由体積の減少をもたらし、密度が高められ、体積が減らされる。これは、光重合によってモノマー膜を硬化させることによる膜の厚みの減少をもたらす。
【0089】
(微細溝などの)予め構造化された面を含む微細構造部100をコーティングすることによって、前記材料も、溝内で収縮する。これは、溝内で硬化される材料に応力をもたらし、硬化されるモノマーと予め構造化されたマイクロ光学面との間の境界面に応力を加える。これは、境界面における2つの材料の間の付着力と、存在する応力の量とに応じて、前記面において剥離をもたらすことができ、表面接触は消え、2つの剥離される面の間に真空がもたらされる。新しく形成される真空中間層は、通常用いられるプラスチック材料において分子的に分解されているガスですぐに満たされる可能性が高い。結果として生じる空隙は、厚さが数ミクロンである可能性が高い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子であって、前記光学素子に埋め込まれる少なくとも1つの反射器を持つ光学素子を製造する方法であって、
少なくとも第1面であって、前記少なくとも第1面に形成される構造部を備える少なくとも第1面を持つ第1光学部材を設けるステップであって、前記構造部の少なくとも一部が、前記面の隣接部より低い、そこに付着される物質の解放のためのしきい値を持つよう構成され、前記一部が、前記反射器の所望の位置及び延長部を規定するステップと、
前記第1光学部材の前記第1面に、収縮可能な物質によって形成される第2光学部材を設けるステップと、
前記一部において前記第2光学部材が前記第1光学部材から解放され、前記一部において、前記第1光学部材と前記第2光学部材との間に、空隙であって、前記第1光学部材と前記空隙との間の第1境界面及び前記第2光学部材と前記空隙との間の第2境界面のうちの少なくとも一方における全内部反射を可能にする空隙が形成されるように前記物質を収縮させるステップとを有する方法。
【請求項2】
前記構造部の前記一部が、前記より低い解放のためのしきい値を得るように、幾何学的形状及び表面特性のうちの少なくとも一方に関して、前記面の前記隣接部と異なる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記構造部が、溝などの窪みである請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記収縮可能な物質が、前記第1光学部材の前記第1面に設けられる場合に少なくとも1つの前記窪みを埋めるよう適合させられる請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記収縮可能な物質が、重合可能な材料から形成され、前記収縮させるステップが、前記材料を重合させるステップを有する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記重合可能な材料が、光重合可能であり、前記重合させるステップが、適切な波長範囲を持つ光を前記光重合可能な材料に照射するステップを有する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記収縮可能な物質の収縮中の材料輸送を制限するために前記第2光学部材の上に第3光学部材を設けるステップを更に有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第3光学部材が、相対的に堅いシートであって、前記シートの、前記第2光学部材に面する側において、前記収縮可能な物質に対する優れた付着力を達成するよう処理されるシートである請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1光学部材の前記第1面が、各々が前記面の隣接部より低い物質の解放のためのしきい値を持つよう構成される部分を持つ複数の構造部を有し、それによって、複数の埋め込み反射器を持つ光学素子の形成が可能にされる請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
第1光学部材であって、前記第1光学部材の第1面に少なくとも1つの窪みを持つ第1光学部材と、
前記第1光学部材の前記第1面に取り付けられる第2光学部材であって、本質的に、前記第1光学部材の前記少なくとも1つの窪みに適合する第2光学部材と、
前記第1光学部材と前記第2光学部材との間の境界面における少なくとも1つの反射器であり、前記少なくとも1つの窪みに配置される少なくとも1つの反射器であって、前記第1光学部材と前記第2光学部材との間に形成される空隙と前記第1光学部材及び前記第2光学部材のうちの一方との間の境界面によって形成される少なくとも1つの反射器とを有する光学素子。
【請求項11】
前記第1光学部材が、前記第1面に複数の窪みを有し、
前記光学素子が、前記第1光学部材と前記第2光学部材との間の前記境界面に複数の反射器を有し、前記反射器の各々が、前記窪みの1つ1つに配置され、
前記反射器の各々が、前記第1光学部材と前記第2光学部材との間に形成される空隙と前記第1光学部材及び前記第2光学部材のうちの一方との間の境界面によって形成される請求項10に記載の光学素子。
【請求項12】
前記空隙が、前記第1光学部材及び前記第2光学部材のうちの少なくとも一方の収縮によって形成される請求項10又は11に記載の光学素子。
【請求項13】
前記第1光学部材及び前記第2光学部材のうちの少なくとも一方が高収縮ポリマーである請求項10乃至12のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項14】
前記第2光学部材を覆い、前記第2光学部材に付着する第3光学部材を更に有する請求項10乃至13のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項15】
前記少なくとも1つの窪みが溝である請求項10乃至14のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項16】
複数の連続した空隙の各々が、それらの各々の溝の同じ側に形成される請求項15に記載の光学素子。
【請求項17】
前記溝の各々の断面が、幾何学的形状及び表面特性のうちの少なくとも一方について、非対称である請求項15又は16に記載の光学素子。
【請求項18】
前記窪みの各々の断面が、前記第1面に平行な面において閉ループを形成する請求項10乃至17のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項19】
前記断面が、前記第1面に平行な所与の面において同心のものである請求項18に記載の光学素子。
【請求項20】
請求項10乃至19のいずれか一項に記載の光学素子と、前記光学素子内に光を結合するよう配設される少なくとも1つの光源とを有する照明装置。
【請求項1】
光学素子であって、前記光学素子に埋め込まれる少なくとも1つの反射器を持つ光学素子を製造する方法であって、
少なくとも第1面であって、前記少なくとも第1面に形成される構造部を備える少なくとも第1面を持つ第1光学部材を設けるステップであって、前記構造部の少なくとも一部が、前記面の隣接部より低い、そこに付着される物質の解放のためのしきい値を持つよう構成され、前記一部が、前記反射器の所望の位置及び延長部を規定するステップと、
前記第1光学部材の前記第1面に、収縮可能な物質によって形成される第2光学部材を設けるステップと、
前記一部において前記第2光学部材が前記第1光学部材から解放され、前記一部において、前記第1光学部材と前記第2光学部材との間に、空隙であって、前記第1光学部材と前記空隙との間の第1境界面及び前記第2光学部材と前記空隙との間の第2境界面のうちの少なくとも一方における全内部反射を可能にする空隙が形成されるように前記物質を収縮させるステップとを有する方法。
【請求項2】
前記構造部の前記一部が、前記より低い解放のためのしきい値を得るように、幾何学的形状及び表面特性のうちの少なくとも一方に関して、前記面の前記隣接部と異なる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記構造部が、溝などの窪みである請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記収縮可能な物質が、前記第1光学部材の前記第1面に設けられる場合に少なくとも1つの前記窪みを埋めるよう適合させられる請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記収縮可能な物質が、重合可能な材料から形成され、前記収縮させるステップが、前記材料を重合させるステップを有する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記重合可能な材料が、光重合可能であり、前記重合させるステップが、適切な波長範囲を持つ光を前記光重合可能な材料に照射するステップを有する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記収縮可能な物質の収縮中の材料輸送を制限するために前記第2光学部材の上に第3光学部材を設けるステップを更に有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第3光学部材が、相対的に堅いシートであって、前記シートの、前記第2光学部材に面する側において、前記収縮可能な物質に対する優れた付着力を達成するよう処理されるシートである請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1光学部材の前記第1面が、各々が前記面の隣接部より低い物質の解放のためのしきい値を持つよう構成される部分を持つ複数の構造部を有し、それによって、複数の埋め込み反射器を持つ光学素子の形成が可能にされる請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
第1光学部材であって、前記第1光学部材の第1面に少なくとも1つの窪みを持つ第1光学部材と、
前記第1光学部材の前記第1面に取り付けられる第2光学部材であって、本質的に、前記第1光学部材の前記少なくとも1つの窪みに適合する第2光学部材と、
前記第1光学部材と前記第2光学部材との間の境界面における少なくとも1つの反射器であり、前記少なくとも1つの窪みに配置される少なくとも1つの反射器であって、前記第1光学部材と前記第2光学部材との間に形成される空隙と前記第1光学部材及び前記第2光学部材のうちの一方との間の境界面によって形成される少なくとも1つの反射器とを有する光学素子。
【請求項11】
前記第1光学部材が、前記第1面に複数の窪みを有し、
前記光学素子が、前記第1光学部材と前記第2光学部材との間の前記境界面に複数の反射器を有し、前記反射器の各々が、前記窪みの1つ1つに配置され、
前記反射器の各々が、前記第1光学部材と前記第2光学部材との間に形成される空隙と前記第1光学部材及び前記第2光学部材のうちの一方との間の境界面によって形成される請求項10に記載の光学素子。
【請求項12】
前記空隙が、前記第1光学部材及び前記第2光学部材のうちの少なくとも一方の収縮によって形成される請求項10又は11に記載の光学素子。
【請求項13】
前記第1光学部材及び前記第2光学部材のうちの少なくとも一方が高収縮ポリマーである請求項10乃至12のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項14】
前記第2光学部材を覆い、前記第2光学部材に付着する第3光学部材を更に有する請求項10乃至13のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項15】
前記少なくとも1つの窪みが溝である請求項10乃至14のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項16】
複数の連続した空隙の各々が、それらの各々の溝の同じ側に形成される請求項15に記載の光学素子。
【請求項17】
前記溝の各々の断面が、幾何学的形状及び表面特性のうちの少なくとも一方について、非対称である請求項15又は16に記載の光学素子。
【請求項18】
前記窪みの各々の断面が、前記第1面に平行な面において閉ループを形成する請求項10乃至17のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項19】
前記断面が、前記第1面に平行な所与の面において同心のものである請求項18に記載の光学素子。
【請求項20】
請求項10乃至19のいずれか一項に記載の光学素子と、前記光学素子内に光を結合するよう配設される少なくとも1つの光源とを有する照明装置。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図3e】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図3e】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【公表番号】特表2010−517069(P2010−517069A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546028(P2009−546028)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際出願番号】PCT/IB2008/050076
【国際公開番号】WO2008/087568
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際出願番号】PCT/IB2008/050076
【国際公開番号】WO2008/087568
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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