説明

少なくとも1つの部材が溶接困難な材料を含む、またはそのような材料より成る部材の接合方法、継手、チューブ接合部

少なくとも1つが溶接困難な材料を含む、またはそのような材料から作られる、少なくとも2つの、チューブのような部材2、3を、継手1を用いて接合する方法である。部材2、3は、接合する端面6に、より厚い壁部を備える。少なくとも1つの、より厚い端部壁部が、内側ネジ部または外側ネジ部Tを備え、前記ネジ部を備えた端部壁部を継手1の内部および/または上部にネジ込み、前記少なくとも2つの部材を一体に接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材の少なくとも1つの部材が溶接困難な材料を含む、チューブ(または、管)のような少なくとも2つの部材の接合方法、継手の利用に関する。
【背景技術】
【0002】
大規模な化学設備の操業の中断は、生産性の顕著な減少、および設備が稼働停止中の間の収入の損失を伴う。様々な所定のメンテナンス作業は、全ての作業が完了するまで設備の多くの部分の停止を要する。このような操作の1つは、エチレンの生産に用いる、クラッキングファーネスチューブ(または、分解炉内チューブ、cracking furnace tube)の交換である。
【0003】
蒸気分解装置(steam cracker)のような、炉で用いられるチューブは、通常、900℃〜1200℃の使用温度であり、これらチューブは、約20mまでの長さを有することが可能で、従って、極めて重たい。また、これらチューブは、通常、腐食性または炭素含有媒体を輸送する。これらの高い使用温度、高い負荷、および腐食性または炭化環境に耐えるように、分散強化型合金のような、多くのステンレス鋼合金が用いられている。これらの合金は、優れたクリープ強度のような、所望の特性を有するように、特に成分調整(または、配合、formulate)されているが、しかし、これらは重大な溶接性の問題を生じる。
【0004】
これら合金は、溶接が困難なことから、これらの合金より作られる、チューブのような部材の接合は極めて高価で、かつ、時間を要し得る工程である。溶接工程は、接合部(または、ジョイント、joint)を顕著に弱くする炭化物、窒化物および/または酸化物クラスター(cluster)を生じることがある。例え、これら合金が一緒に溶接されたとしても、これら合金が高温で用いられると、通常、十分な強度が得られない。さらに、溶接は、パイプの形状を損なうことがあり、この結果、パイプが使用に供されると、パイプを通る媒体の流れに悪影響を与える。
【0005】
欧州特許第1018563号公報は、炭素含有流体を加熱炉チューブ(または、加熱炉管、heating furnace tube)内に流す場合に、不具合の発生を低減することを主眼に開発した加熱炉チューブを開示している。この加熱炉チューブは、希土類元素の酸化物粒子を分散させ、17wt%〜26wt%のCrおよび2wt%〜6wt%のAlを含む鉄合金を有して成る。
【0006】
この加熱炉チューブの製造方法は、一方の加熱炉チューブ部材の少なくとも1つの接合端部および他方の加熱炉チューブ部材の同じ部分の上部または内部に、インサートメタルを形成または挿入する工程と、これら2つの接合端部を加圧し、互いに接触し、インサートメタルを加熱することにより、2つの加熱炉チューブを互いに拡散溶接する工程とを含む。このような方法の不都合は、高温および高負荷において機械的に十分安定な接合構造を与えないことである。
【0007】
欧州特許第1418376号公報は、高温で用いる、溶接困難な材料より作られるパイプであって、こられの端末の内面および外面にネジ部(ネジ)が切られ、従って、互いにネジ締めされているパイプを示している。接合したパイプ部分の内面および/または内面はシール手段によりシールされ、接合したパイプ部分の気密性を維持する。このようなパイプの不都合は、ネジ部(ネジ)をパイプに切る際に、材料をパイプから取り除く必要があることから、パイプの接合部分の機械的安定性が低下することである。機械的により弱い構造は、パイプの接合部分の寿命が短いことが示唆され、従って、労働コストおよび材料コストを増加させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、チューブまたはフィン付チューブのような、少なくとも2つの部材の結合方法であって、少なくとも1つの部材が溶接困難な材料を有して成り、得られた接合部が、優れた機械的安定性を有する接合方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、継手、すなわち中間部材を用いる接合方法により実施可能である。本発明の方法は、接合しようとする端面により厚い壁部を有する部材を準備し、例えば鍛造また旋削(turning)により、少なくとも1つのより厚い端末の内径に内側ネジ部(内側ネジ)または外側ネジ部(外側ネジ)、すなわち、突き出たらせん状のリブの1回転の少なくとも一部、1回転、または複数の回転を与え、前記少なくとも2つの部材を、ネジ切りした前記端部壁部を継手の内部または上部ネジにネジ留めする(または、ネジ込む、screwing)ことにより、接合する工程を含む。
【0010】
チューブのような部材の端末の壁部をより厚くすること、および部材の断面積を増加させることにより、この断面での単位面積あたりの荷重を減少できる。溶接困難な部材の材料間の溶接であっても、このような低い単位面積あたりの荷重には耐えるであろうことから、これにより必要であれば部材を溶接により接合することが可能になる。より厚い端末の壁部は、また、前記部材としてのチューブの場合、壁部の厚さが接合部領域において小さくなるにことを意味する、これらの部材が、この領域の厚さが部材の残りの部分より小さくなるような厚さの減少を生じることなく、内側ネジ部または外側ネジ部を備えることができることをも意味する。部材は、自らの重量を支え、曲げモーメントに耐える必要があることから、部材の端末部分のみを厚くする。部材の全体の厚さの増加は、より高い材料コストをもたらし、さらに、部材の熱輸送に悪影響を与える。
【0011】
本発明の実施形態では、前記部材は、それぞれの前記端末の表面(端面)に最も近接する部材の部分により厚い壁部を備え、部材のネジ部を備えた壁部の厚さは、前記部材の他の部分に対し、ネジ部の深さの少なくとも1.4倍、好ましくは2倍〜3.5倍厚い。このような厚さの増加は、接合しようとする端面により規定される断面での単位面積あたりの荷重の好適な減少をもたらし、端部壁部はネジ部を備えているけれども、たとえ、溶接しても、接合部は、荷重を支える十分な機械的強度を有する。ここで数値1.4は、ネジ部の深さに、このネジ部の深さの40%を加えた分が増加することを意味する。
【0012】
本発明の実施形態では、前記部材はチューブであり、それぞれの前記端面に最も近接する部分に、より厚い壁部を備え、それぞれのチューブの前記部分での壁部の厚さは、チューブの残りの部分の壁部の厚さに対して、33%〜100%、好ましくは50%〜80%厚い。この厚さの増加は、例え前記端末部分がネジ部を備えていても、接合部の断面の単位面積あたりの荷重の好都合な減少をもたらす。
【0013】
本発明の実施形態では、前記部材は、前記端面に最も近接する、これら部材の部分に、それぞれの部材のこの部分の鍛造によって、より厚い壁部を備える。接合する部材、とりわけチューブの端面のこのような拡大した断面を得るには、鍛造が最も費用効果のある方法であることが明らかになった。
【0014】
本発明の実施形態では、本発明の方法は、前記少なくとも2つの部材の方を向いた、継手の端面を溶接することにより、少なくとも1つの流体密シール(または、流体密封、fluid-tight seal)(すなわち液密または気密シール)を与える工程を含む。部材を介して流れる如何なる媒体の流れまたは成分は、従って、接合構造を通り抜けることに変わらない。流体密シールは、さらに高温でも維持される、
【0015】
本発明の他の実施形態では、本発明の方法は、前記少なくとも2つの部材の間を、それらの接触面で溶接する工程を含む。この溶接は、端部のより厚い壁部のために、簡便に実施できる。
【0016】
本発明の更なる実施形態では、前記継手は、接合しようとする、前記少なくとも2つの部材の前記端面に最も近接する端部の内部に配置される内部継手、または接合しようとする、前記少なくとも2つの部材の端部の周囲に配置される外部スリーブである。
【0017】
本発明のもっと更なる実施形態では、本発明の方法は、1以上の肩部(または、段部、shoulder)のような、実質的に接合方向で少なくとも1つの前記部材に対する支持部を形成するよう構成される手段を備えた継手を設ける工程を含む。ここで接合方向は、部材の内部または部材の上部にネジ留めする際に、継手が、前記部材に対して移動する方向である。本発明の実施形態では、継手の前記支持手段により支持される前記少なくとも1つの部材は、ネジ部を備えていない。
【0018】
本発明の実施形態では、本発明の方法は、前記少なくとも2つの部材を継手の内部または上部にねじ留めする(screw)ことに加えて、前記少なくとも2つの部材を溶接する工程を含む。
【0019】
用語「溶接困難な材料」は、溶接された場合に、その機械的特性または耐食性を喪失する材料を含む。溶接された場合にその機械的特性を喪失する材料の一例は、分際強化型鉄系合金である。本発明の他の実施形態では、前記溶接困難な材料は、C:最大0.08wt%、Si:最大0.7wt%、Cr:10wt%〜25wt%、Al:1wt%〜10wt%、Mo:1.5wt%〜5wt%、Mn:最大0.4wt%、残部:Feおよび通常存在する不純物を含有する分散強化型合金を含む。
【0020】
本発明の他の態様にかかる実施形態では、溶接困難な材料は、カンタル(Kanthal)社のAdvanced Powder Metallurgy技術により開発された、鉄−クロム−アルミニウム(FeCrAl)合金、カンタル(Kanthal)APMまたはAPMT(すなわち、Kanthal APMと同じFeCrAl合金系でモリブデンを添加した)を含む。
【0021】
本発明の実施形態では、このような溶接困難な材料は、オーステナイトステンレス鋼のような、より簡単または簡便に溶接できる部材と溶接してもよい。
【0022】
本発明の別の実施形態では、本発明の方法は、ネジ部を平行またはテーパーを付けて切る(設ける)工程を含み、テーパーを付けたネジ部は、負荷面(または、耐荷重面、load bearing surface)が増加する。
【0023】
本発明の更なる実施形態では、ネジ部を切った材料は、前記少なくとも2つの部材の1以上の材料と同じである。
【0024】
本発明は、また、少なくとも1つが、溶接困難な材料を有して成る少なくとも2つの部材を、接合するための継手にも関する。継手は、その内面および/または外面にわたり、内側ネジ部および/または外側ネジ部を備える。
【0025】
本発明の実施形態では、ネジは平行、またはテーパーが付いている。本発明の他の実施形態では、継手は、1以上の肩部のような、実質的に接合方向で少なくとも1つの前記部材に対する支持部を形成するよう構成する手段を含む。本発明の更なる実施形態では、継手は、金属またはセラミックス材料を有して成る。
【0026】
本発明の実施形態では、継手は、C:最大0.08wt%、Si:最大0.7wt%、Cr:10wt%〜25wt%、Al:1wt%〜10wt%、Mo:1.5wt%〜5wt%、Mn:最大0.4wt%、残部:Feおよび通常存在する不純物を含む分散強化型合金を有して成る。
【0027】
本発明は、また、少なくとも1つが、溶接困難な材料を有して成る少なくとも2つのチューブと、チューブ継手とにも関する。チューブ継手は、上述した実施形態の何れかにかかる継手である。チューブは、接合しようとする端面により厚い壁部を有する。少なくとも1つのチューブの少なくとも1つのより厚い端部は、部分的または全体にネジ部が切られている。
【0028】
本発明の実施形態では、チューブ接合部は、前記少なくとも2つのチューブの方を向いた、チューブ継手の端部を溶接することにより、少なくとも1つの流体密シールを備える。本発明の別の実施形態では、チューブ接合部は、前記少なくとも2つのチューブの接触面に、前記少なくとも2つのチューブの間の溶接部を含む。
【0029】
本発明の別の実施形態では、チューブ接合部は、前記端面に近接する、より厚い壁部に、外側ネジ部をそれぞれ有する2つのチューブを含み、継手は、それぞれのチューブの前記外側ネジ部を係合するよう構成される2つの内側ネジ部と、チューブの内径と実質的に同じ、小さい内径を備え、前記内側ネジ部を分け、接合の際に、前記チューブの前記端面を分けるように構成され、かつ、チューブの隣接する内面と実質的に同一面(flush)となる、チューブ接合部の内面を形成する部分とを有する。この実施形態の利点は、溶接を要しないことである。このチューブ接合部は、また、チューブの間に行った溶接により生じる、接合部内部の小さな「ボス(または、突起、boss)」と比較され得る、滑らかな内面をも有するであろう。このボスは、2つの接合部でチューブ内部のガスの流れを顕著に妨げるであろう。
【0030】
900℃より高いまたはクラッキングファーネス(または、分解炉、cracking furnace)内部のような、腐食環境、または高温もしくは高荷重を与えた状態で、上述した実施形態のいずれかにかかる方法、継手またはチューブ接合部を使用することも、本発明の一部である。
【0031】
さらなる本発明の利点および有利な特徴が以下の記載および他の従属項により明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図は縮尺に従って描いたものではなく、より明確にするために特定の特徴部の寸法は、誇張されていることを留意すべきである。
【0033】
以下の詳細な説明および図は、本発明を開示した実施形態に限定することを意図したものではない。開示する実施形態は、本発明の原理の単なる例示である。
【0034】
図1は、金属またはセラミックス材料より作られる、部分的にネジ切りした(ネジ部を設けた)外側チューブ継手(exterior tube fitting)1を用いて、接合した部分的にネジを切った2つのチューブ2、3を示す。チューブ2、3は、例えば、石油精製、化学もしくは石油プラント、発電プラント、製鋼プラントまたは原子力装置で用いる、加熱パイプまたは高温プロセスパイプであってもよい。
【0035】
この例のチューブ2、3は、同じ直径であるけれども、本発明の接合方法は、異なる直径のチューブを接合するのに用いてもよい。さらに、Y字型のような複数のブランチを有するチューブ継手を、複数のチューブを接合するのに用いてもよい。
【0036】
チューブ継手1は、その内面1’全体に亘っては、ネジ切りされていない。その内面1’の部分Tのみにネジ部を設けてある。チューブ2、3の両方は、それらの外面に、対応するネジ部を有しており、これにより、チューブ2、3とチューブ継手1をネジ込んで一緒にすることが可能となり、接合部構造を形成し、ネジ(または、ネジ部)によりチューブ2、3の重量を支持する。2つのチューブ2、3の少なくとも1つ、または2つは、鉄系(または、鉄基、iron base)の分散強化型材料のような、溶接困難な材料により作られる。継手1も、また、このような材料で作られてもよいし、または、異なる材料によって作られてもよい。2つのチューブ2、3は、また、溶接部4のような手段によって端面に沿って接合してもよい。溶接部4は、チューブ2とチューブ3との間を流体密シール(流体密閉)接続する如何なる手段をも用いることが可能である。前記流体密シール手段は、チューブ材料の高温特性を実質的に変化させないように選択しなければならない。
【0037】
溶接部4は、荷重負担をして(または、耐荷重性であって、load bearing)もよい。溶接部4が存在することから、チューブ2、3を通って流れる媒体は、使用中に、チューブ2、3およびチューブ継手1のネジ部Tに浸透できないであろう。従って、チューブ2、3を通って流れる媒体による、ネジ部Tの腐食または劣化のリスクは抑制されるであろう。継手の端面にて、シール溶接5がチューブ継手1とチューブ2、3との間に設けられ、流体密シールする。
【0038】
チューブ2、3は、接合される端面に、より厚い壁部6を有する。これにより、接合部構造の機械的安定性が改善し、また、チューブは、チューブから過剰な量の材料を取り除くことなく、ネジ部を備えることができる。チューブの薄い壁部は、接合部の単位面積あたりの荷重を増加し、溶接によるチューブの接合を不可能にする。
【0039】
この接合部構造は、その存在がチューブ内を流れる如何なる媒体にも悪影響を与えるかもしれない、2つのチューブ2、3の内面に沿った凹凸がなく、正確な適合を与える。
【0040】
図1bに示す実施形態は、継手1は内面全体に、一方、チューブ端部は外面に沿った一部のみにネジ部を備えており、図1aに示す実施形態と異なっている。他の態様では、チューブは端末部分外側全体に、一方、継手1は内面の一部に沿ってのみネジ部を備えてもよい。参照記号Tで示した範囲は、チューブおよび継手のネジ部がオーバーラップしている領域を示している。ネジ部がオーバーラップしない領域(すなわち、継手またはチューブ端末部分のネジ部が、継手またはチューブ端末部分のネジ部のない部分と隣接している場合)では、それらの間に空隙(または、エアギャップ)が形成される。このような空隙の存在は、接合部構造の熱伝導性を減少させる。
【0041】
図2に示す実施形態は、チューブ端部の外面全体および継手1の内面全体に沿ってネジ部が設けられている点が、図1aおよび1bに示す実施形態と異なる。
【0042】
図3はチューブ継手1がその下端に耐荷重性(または、負荷分担、load bearing)肩部(または、段部、shoulder)7を含む本発明の更なる実施形態を示す。チューブ継手1の内径は、従って、その下端7において、チューブ継手1の残りの部分に沿った内径より小さい。チューブ3のより厚い端部が肩部8の上に位置することから、耐荷重性肩部8はチューブ3を支持する。
【0043】
図4に示す実施形態は、上方のチューブ、チューブ2のみがネジ部T2を備えている点が、図3に示す実施形態と異なる。下方のチューブ、チューブ3は、ネジ部が切られておらず、チューブ継手1に、単に挿入されており、チューブ継手1は、そして、チューブ2、3の表面と溶接されている。ここで耐荷重性の肩部8は、ネジ部Tとともにチューブ3をチューブ2と接合した状態に維持する。これにより、チューブ3の熱膨張がチューブ継手に力を及ぼさないことから、チューブ3が接合部内をより自由に動け、この結果、チューブ継手の寿命が延びる。
【0044】
図5は、ネジ部Tを、チューブの端部の外面と接触する垂直面上に位置させる肩部9を備えたチューブ継手1を示す。接合部領域において滑らかなチューブの内面をもたらすことから、この実施形態は、好都合である。さらに、本実施形態は、継手と2つのチューブとの間の適切な移行(transition)を得る、すなわち、3つの部品全てについて、同一のネジ部を得ることが容易であるという事実により、図2および図3にかかる実施形態と比較して、好都合である。この理由の1つは、チューブ2、3それぞれが、継手に対し移行するための、それぞれ自身のポイントを有していることである。
【0045】
ネジ部は、如何なる幾何学的形態を有してもよい。例えば、それぞれ図6aおよび図6bに示す、鋸歯または角(または、角歯、square tooth)断面であってもよい。後者の場合は、角断面の水平面が、付加的な耐荷重性面として機能してもよく、これにより、鋸歯断面と比較して、接合部構造の機械的安定性をさらに改善する。
【0046】
さらに、ネジ部を設ける表面は、接合を容易にするようにテーパーを付けてもよく、これにより、より大きな耐荷重性面を与え、この結果接合部の機械的安定性を改善する。図7aおよび7bを参照されたい。チューブ継手の内面全体または該面の一部のみにテーパーを付けてもよい。
【0047】
本発明は、当然ながら、如何なる方法においても上述した本発明の実施形態に制限されるものではなく、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の基本的な思想から逸脱することなく、本発明の変形の多くの可能性が、当業者にとって明らかであろう。例えば、2つの部材の周囲に位置する外側継手を図で例示したけれども、本発明は、2つの部材の内側に位置する内側継手を用いて2以上の部材を接合するのにも同様に適している。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1a】本発明の実施形態にかかる、同じ直径の2つのチューブの間の接合部構造を説明する。
【図1b】本発明の実施形態にかかる、同じ直径の2つのチューブの間の接合部構造を説明する。
【図2】本発明の実施形態にかかる、同じ直径の2つのチューブの間の接合部構造を説明する。
【図3】本発明の実施形態にかかる、同じ直径の2つのチューブの間の接合部構造を説明する。
【図4】本発明の実施形態にかかる、同じ直径の2つのチューブの間の接合部構造を説明する。
【図5】本発明の実施形態にかかる、同じ直径の2つのチューブの間の接合部構造を説明する。
【図6a】本発明の継手のネジの幾何学的形態の例を示す。
【図6b】本発明の継手のネジの幾何学的形態の例を示す。
【図7a】チューブ継手がテーパーの付いた内面を有する接合部構造の部分を示す。
【図7b】チューブ継手がテーパーの付いた内面を有する接合部構造の部分を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つが溶接困難な材料を含む、またはそのような材料から作られる、少なくとも2つの、チューブのような部材2、3を、継手1を用いて接合する方法であって、
部材2、3の接合する端面6に、より厚い壁部を設け、より厚い端部壁部の少なくとも1つに、内側ネジ部または外側ネジ部Tを設け、前記ネジ部を備えた端部壁部を継手1の内部および/または上部にネジ留めすることによって、前記少なくとも2つの部材を接合する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記部材2、3が、それぞれの端面に最も近接する部分に、より厚い壁部を有し、前記部分における、ネジ部を備えた1またはそれ以上の部材の壁部の厚さが、前記部材の残りの部分に対し、前記ネジ部Tの深さの少なくとも1.4倍、好ましくは、2倍〜3.5倍だけより厚いことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記部材2、3が、チューブであり、それぞれの前記端面に最も近接する部分に、より厚い壁部を設け、前記部分における、それぞれのチューブの壁部の厚さが、チューブの残りの部分の壁部の厚さに対し、33%〜100%、好ましくは、50%〜80%だけより厚いことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記部材2、3が、前記端面に最も近接する部分に、それぞれの部材のこの部分を鍛造することにより、より厚い壁部を備えることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の方法。
【請求項5】
継手1の端面を、前記少なくとも2つの部材2、3に溶接することよって、流体密シール5を少なくとも1つ設ける工程を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも2つの部材2、3の間で、それらの接触面にて溶接部4を設ける工程を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記継手1は、接合する前記少なくとも2つの部材の前記端面に最も近接する端部の内部に配置する内部継手、または接合する前記少なくとも2つの部材の前記端部の周囲に配置する外側スリーブであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
実質的に接合方向で少なくとも1つの前記部材3に対する支持部を形成するように構成される、肩部8のような手段を継手1に設ける工程を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
継手1の前記支持手段8により支持される前記少なくとも1つの部材がネジ部Tを備えていないことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも2つの部材を継手1にネジ留めすることに加え、前記少なくとも2つの部材を溶接する工程を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも2つの部材を、一体に溶接することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記溶接困難な材料が、
C:最大0.08wt%、
Si:最大0.7wt%、
Cr:10wt%〜25wt%、
Al:1wt%〜10wt%、
Mo:1.5wt%〜5wt%、
Mn:最大0.4wt%、
残部:Feおよび通常存在する不純物
を含む分散強化型合金であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記溶接困難な材料が、鉄系分散強化型材料のような、分散強化型合金であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つが溶接困難な材料を有してなる、少なくとも2つの、チューブのような部材を接合するための継手1であって、内面1’および/または外面の少なくとも一部に内側ネジ部および/または外側ネジ部Tを備えることを特徴とする継手1。
【請求項15】
実質的に接合方向で少なくとも1つの前記部材3に対する支持部を形成するように構成される、1以上の肩部8のような手段を含むことを特徴とする請求項14に記載の継手1。
【請求項16】
金属またはセラミックス材料でできていることを特徴とする請求項14または15に記載の継手1。
【請求項17】
C:最大0.08wt%、
Si:最大0.7wt%、
Cr:10wt%〜25wt%、
Al:1wt%〜10wt%、
Mo:1.5wt%〜5wt%、
Mn:最大0.4wt%、
残部:Feおよび通常存在する不純物
を含む分散強化型合金より作られること特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の継手1。
【請求項18】
少なくとも1つが溶接困難な材料より作られる、少なくとも2つのチューブと、チューブ継手1とを含むチューブ接合部であって、チューブ継手1は、請求項15〜18のいずれかに記載のチューブ継手1であり、チューブが接合する端面に、より厚い壁部を有し、少なくとも1つのチューブが、前記より厚い端部壁部にネジ部Tを有することを特徴とするチューブ接合部。
【請求項19】
前記チューブ2、3が、それぞれの前記端面に最も近接する部分に、より厚い壁部を備え、ネジ部を備えたチューブの壁部の厚さが、前記部分において、前記チューブの残りの部分に対して、前記ネジ部Tの深さの少なくとも1.4倍、好ましくは、2倍〜3.5倍だけより厚いことを特徴とする請求項18に記載のチューブ接合部。
【請求項20】
チューブが、それぞれの前記端面に最も近接する部分に、より厚い壁部を備え、前記それぞれのチューブの壁部の厚さが、前記部分において、チューブの残りの部分の壁部の厚さに対して、33%〜100%、好ましくは、50%〜80%だけより厚いことを特徴とする請求項18または19に記載のチューブ接合部。
【請求項21】
前記チューブ2、3が、前記端面に最も近接する部分に、より厚い壁部を備え、より厚い壁部が、それぞれのチューブのこの部分を鍛造することによって作られることを特徴とする請求項18〜20のいずれかに記載のチューブ接合部。
【請求項22】
チューブ継手1の端面を前記少なくとも2つのチューブ2、3に溶接することで、少なくとも1つの流体密シール5を備えることを特徴とする請求項18〜21のいずれかに記載のチューブ接合部。
【請求項23】
前記少なくとも2つのチューブ2、3の間で、それらの接触面にて溶接部4を有することを特徴とする請求項18〜22のいずれかに記載のチューブ接合部。
【請求項24】
前記端面に最も近接する、前記より厚い壁部に、外側ネジ部をそれぞれ有する2つのチューブ2、3を含み、継手が、それぞれのチューブの前記外側ネジ部に係合するように構成される2つの内部ネジ部と、チューブの内径と実質的に同じ、小さい内径を備え、前記内側ネジ部を分け、接合の際に、前記チューブの前記端面を分けるように構成され、かつ、チューブの隣接する内面と実質的に同一面となる、チューブ接合部の内面を形成する部分9と、を有することを特徴とする請求項18〜21のいずれかに記載のチューブ接合部。
【請求項25】
請求項1〜13のいずれかに記載の方法、請求項14〜17のいずれかに記載の継手、または請求項18〜24のいずれかに記載のチューブ接合部の、腐食条件、または900度より高い温度のような高温での使用。
【請求項26】
請求項1〜13のいずれかに記載の方法、請求項14〜17のいずれかに記載の継手、または請求項18〜24のいずれかに記載のチューブ接合部のクラッキングファーネスでの使用。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【公表番号】特表2008−524539(P2008−524539A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548153(P2007−548153)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【国際出願番号】PCT/SE2005/001989
【国際公開番号】WO2006/068606
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(505277521)サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ (284)
【Fターム(参考)】