説明

少なくとも1種類の炭酸カルシウムを含む、1種類以上の無機材料の乾式磨砕方法

本発明は、少なくとも1種類の炭酸カルシウムを含む、1種類以上の無機材料の乾式磨砕方法であって、a)10cm未満のd95を有する粉砕された材料が得られるまで、少なくとも1つの粉砕装置において無機材料を粉砕する工程;b)必要に応じ、工程a)による粉砕された材料を改善する工程;c)工程a)および/もしくはb)による粉砕された材料を少なくとも1つの磨砕装置において、(i)少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーにグラフト化された少なくとも1つのポリアルキレンオキシド官能基を含有する、少なくとも1種類の親水性櫛ポリマーの存在下で、(ii)前記磨砕装置内の液体の量が前記磨砕装置内の前記粉砕された材料の15乾燥重量%未満であるような方法で乾式磨砕する工程;d)必要に応じ、工程c)による乾式磨砕材料を少なくとも1つの分別装置で分別する工程;e)必要に応じ、工程c)および/もしくはd)から得られる乾式磨砕材料のすべてもしくは一部に対して工程c)および/もしくはd)を反復する工程を含むことを特徴とし、並びに工程c)および/もしくはd)および/もしくはe)の後に収集される材料が0.5から500ミクロンのd50(平均径)を有することを特徴とする方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の第1の目的は、少なくとも1種類の炭酸カルシウムを含む、1種類以上の無機材料の乾式磨砕方法であって、
a)粉砕された材料が10cm未満のd95で得られるまで、少なくとも1つの粉砕装置において無機材料を粉砕する段階;
b)必要に応じ、段階a)に従って粉砕された材料のすべてもしくは一部を改善する段階;
c)段階a)および/もしくはb)に従って粉砕された材料を少なくとも1つの磨砕装置において、
(i)少なくとも1つの不飽和エチレンモノマーにグラフト化された少なくとも1つのポリアルキレンオキシド官能基を含有する、少なくとも1種類の櫛形親水性ポリマーの存在下で、
(ii)前記磨砕装置内の液体の量が前記粉砕装置において粉砕される前記材料の15乾燥重量%未満であるような様式で;
乾式磨砕(dry grinding)する段階;
d)必要に応じ、段階c)に従って乾式磨砕された材料を少なくとも1つの分別装置で分別する段階;
e)必要に応じ、段階c)および/もしくはd)から得られる乾式磨砕材料のすべてもしくは一部に対して段階c)および/もしくはd)を反復する段階;
を含むことを特徴とし、
並びに段階c)および/もしくはd)および/もしくはe)に続いて回収される材料が0.5から500ミクロンのd50(平均径)を有することを特徴とする、
方法である。
【0002】
本発明の別の目的は、本発明による方法の段階c)および/もしくはd)および/もしくはe)から得られる製造物である。
【0003】
本発明の別の目的は、湿式法を用いる磨砕方法における本発明による方法の段階c)および/もしくはd)および/もしくはe)から得られる製造物の使用であって、0.4から1.0ミクロンのd50(平均径)を有する磨砕製造物を得るため、好ましくは0.6から0.9ミクロンのd50(平均径)を有する磨砕製造物を得るため、前記湿式磨砕を場合による分散剤の存在下で行うことができる使用である。
【背景技術】
【0004】
本出願の全体において、「親水性」ポリマーという用語は弱い攪拌の力を受ける水大量中の水溶性もしくは乳化ポリマーを示す。
【0005】
本出願の全体において、「櫛形」ポリマーという表現は少なくとも3つの巨大分子側方セグメントがグラフト化する直鎖基本主鎖から本質的になるポリマーを示し、巨大分子という用語は500g/moleを上回る重量平均分子量(Mw)の分子、とりわけ、少なくとも1つの側方セグメントが不飽和エチレンモノマーにグラフト化したポリアルカリンオキシド(polyalkaline oxide)官能基からなるものを示す。この、もしくはこれらの「櫛形」ポリマーはホモポリマーおよび/もしくはコポリマーおよび/もしくはより高次のポリマーであり得る。
【0006】
前記側方セグメントは、巨大分子モノマー、即ち、500g/moleを上回る分子量のモノマーの、前記モノマーの末端位の1つに位置する不飽和エチレン官能基による、必要に応じ、重合によってポリマーに導入される。
【0007】
本発明に関しては、すべての分子量(Mw)は、以下で説明される方法に従って立体排除クロマトグラフィー(Stearic Exclusion Chromatography)(CES)によって決定される、重量平均分子量である。
【0008】
ポリマー溶液1mlをカプセルに入れた後、周囲温度でベーンポンプ真空において蒸発させる。溶質をCESの溶離液1mlによって回収した後、この全体をCES機器に注入する。CES溶離液はNaHCO水溶液:0.05mole/l、NaNO:0.1mole/L、トリエチルアミン0.02mole/L、NaN0.03質量%である。CESチェーンは、この流速が0.5ml/分に調節されるアイソクラチックポンプ(Waters(商標)515)、「Guard Column Ultrahydrogel Waters(商標)」型のプレカラムを含む釜、「Ultrahydrogel Waters(商標)」型の内径7.8nmおよび長さ30cmの寸法の直線カラム並びにRI Waters(商標)410型の屈折計検出器を含む。釜は60℃の温度に加熱し、屈折計は50℃に加熱する。クロマトグラムの検出および処理アプリケーションは、「L.M.O.P.S.CNRS,Chemin du Canal,Vernaison,69277」によって供給されるSECentialアプリケーションである。
【0009】
本発明による櫛形親水性ポリマーの場合、CESはPolymer Standards Service(商標)によって供給される5つのナトリウムポリ(アクリレート)標準の系列によって較正する。研磨剤EG、PEGおよびMPGの場合、CESは、以下の名称を有する、ドイツ、MayenceのPolymer Standards Service GmbH社から入手可能な標準DINポリエチレングリコールの系列によって較正する。PSS−dpeg400、PSS−dpeg600、PSS−dpeg1k、PSS−dpeg1.5k、PSS−dpeg2k、PSS−dpeg3k、PSS−dpeg4k、PSS−dpeg6kおよびPSS−dpeg10k。
【0010】
最後に、本出願の全体において、「d」の値は、100ミクロン未満の粒子サイズについてはMalvern(商標)Mastersizer(商標)S粒度計バージョン2.8でなされ、100ミクロンを上回る粒子サイズについてはふるい掛けでなされる測定からの決定で、粒子のX重量%がこの値を下回る直径を有する値である。
【0011】
無機材料磨砕段階の最中に導入される添加物は、磨砕方法を容易にし、粒子サイズを減少させる方法を補助し、および磨砕方法の受容量および効率を高めるのに用いられる。このような添加物は研磨助剤(grinding aid agent)として公知である。
【0012】
磨砕のための無機材料の乾燥重量に対して15重量%を上回る液体含有率を用い、この液体が常習的に主に水からなる湿潤環境において無機材料の磨砕に用いることができる研磨助剤とは異なり、乾燥媒体中でのこのような材料の磨砕に用いられる研磨助剤は湿潤媒体中で用いることができる研磨剤とは異なる表面吸収および脱着エネルギーを受ける。加えて、およびさらなる相異のうちでも、これらの乾燥研磨剤は、湿潤媒体研磨剤が一般に用いられる親水性環境とは反対に、必要に応じ疎水性環境、例えば空気中で用いることが特に意図される。
【0013】
乾式磨砕は、一般に、研磨機において達成され、磨砕のための粒子に相互衝突が施される自生磨砕操作または1以上の他の材料、例えば研磨ボール、磨砕バーもしくは磨砕スピンドルとのさらなる衝突から生じる。このような磨砕は、例えばボールミル、振動研磨機もしくはホイール研磨機において行うことができる。磨砕の種類に依存して、前記磨砕は静止もしくは回転磨砕チャンバー内で行うことができる。乾燥研磨剤は供給物に、および/もしくは磨砕チャンバー内に、および/もしくは磨砕方法の過程で添加することができる。
【0014】
乾燥研磨剤および磨砕方法の最中のこれらの役割に関する一般的な議論は、「Beitrag zur Aufklarung der Wirkungsweise von Mahlhilfsmitteln」by K.Graichen et al.published in「Freiberger Forschungshefte」VEB Deutscher Verlag fur Grundstoffindustrie,Leipzig,Germany(1975)に見出すことができる。炭酸カルシウムの乾式磨砕に関する他の一般論文が存在する。「Calcium Carbonate」by F.W.Tegethoff(Birkhauser Verlag,2001)。
【0015】
一般的に述べると、乾燥研磨剤は以下の3つの範疇のうちの1つに分類することができる。
【0016】
炭酸カルシウムを含む無機材料の乾燥研磨助剤の第1群は、伝統的に、弱ブレンステッド酸、例えばギ酸、酢酸、乳酸、lignitic acid、アジピン酸もしくは乳酸、または脂肪酸、特にパルミチン酸およびステアリン酸、並びにスルホン酸リグニン(sulphonic lignine)、または弱ブレンステッド酸の塩、例えばナトリウム塩、特にスルホン酸リグニンナトリウムもしくは酢酸ナトリウムからなる。
【0017】
この脈絡において、文献FR 2 863 914は、磨砕材料の引き続く再凝集もしくは磨砕の最中の粉塵の形成の防止の観点で、無機材料の乾式磨砕の最中のアジピン酸の使用を記載する。しかしながら、このような酸は高い電気抵抗を必要とする製品、例えば特にポリエチレンもしくはPVCから形成される、フレキシブルポリマーケーブルにおける磨砕材料の使用を制限する。このような添加物は磨砕の効率を特定の方式で高めるのにも用いられる。
【0018】
この目的のため、文書FR 2 203 670は脂肪族エステル、例えば脂肪族アセテートの形態にある乾式磨砕用の分散剤を記載するが、この分散剤はこれらが磨砕された製造物の適用の最中に容易に揮発するという不利な点を有している。
【0019】
セメント産業において通常用いられるスルホン酸リグニンの塩は、この薬剤によって乾式磨砕されている材料で積載されるポリマーの抵抗性を低下させるという、フレキシブルケーブルの分野において望ましくない結果である不利な点を有する。
【0020】
最後に、文書WO 98/21158は、磨砕された製造物の流動性、磨砕の効率および本発明に従って乾式磨砕された製造物が用いられる最終製造物のレオロジー特性を改善する観点で、アンモニウムポリアクリレートを乾燥研磨助剤として用いることによる、焼成されたカオリンの乾式磨砕方法を記載する。
【0021】
乾燥研磨助剤の第2群は弱ブレンステッド塩基によって構成される;この群には、特にアミンが含まれる。
【0022】
前出の2つの群を例示すると、当業者には文書EP 0 510 890が公知であり、この文書は固体粒子材料、より具体的には炭酸塩系材料であり得、特に乾燥状態にある、無機材料を磨砕するための装置を記載し、研磨補助添加物を無機材料全体に均一に分布させることを目的とする、このような材料の磨耗による磨砕方法をも記載する。処理剤は脂肪酸、および特にステアリン酸であり得、これは少なくとも1つのアルキル基を有するアミンもしくは四級アンモニウムまたは置換シランによって例示される。逆に、四級アンモニウムの大部分はPVCに影響を及ぼすことが知られており、特にこの熱安定性を低下させることに注意すべきである。
【0023】
加えて、このような添加物は、乾式磨砕方法の最中もしくはこの後に、磨砕材料の凝集の形成を最小限に止めるこれらの能力について周知である。
【0024】
文書GB 2 179 268は、炭酸塩を含んでいてもよく、特に乾燥状態にある材料の磨砕方法を記載する。この方法の最中に導入される添加物には、凝集の形成を最小限に止める観点で、短鎖および/もしくは疎水性添加物、特に脂肪酸、例えばステアリン酸(これは例示もされる。)および脂肪酸塩、例えば自然状態でカチオン性である表面活性剤、例えばアミン、および具体的にはジアミン(アルキルプロピレンジアミンが例示される。)およびシランが含まれる。アルキルおよびエトキシル化アルキルフェニル、特にオクチルフェノキシポリエトキシエチルベンジルエーテルも記載される。ホスフェートエステル、無水マレイン酸およびジ−イソブチレンのコポリマーの金属一もしくは二アルカリ塩も挙げられている。最後に、スルホスクシネートもこの文書による方法において用いることができるものとして記載される。
【0025】
前述の乾燥研磨助剤の2つの群に関しては、文書FR 2 863 914がステアリン酸に関する顕著な不利益を明らかにする。これでは25μm未満の直径の磨砕粒子を得ることができない。加えて、このような脂肪酸には粒子の表面張力に対する実質的な影響があり、これが粒子を疎水性にすることは当業者に公知である。
【0026】
アミンおよびアミン塩に関しては、これらが、乾式磨砕材料が見出される最終製品の電気抵抗を改変するという事実に加えて、このような乾燥研磨助剤がこれらを用いることができる最終用途において、および特にポリエステルの製造の最中に用いられるコバルト系化合物に対して、キレート剤として挙動することがあり、前記ポリエステルの抵抗性の制御を困難にすることが注目されている。加えて、一級および二級アミンの場合、窒素含有アミンの形成を観察することができる。
【0027】
ルイス塩基が乾燥研磨助剤の第3群を構成し、および特にアルコールが含有される。このようなアルコールは、特にエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコールおよびジプロピレングリコールである。例えば文書WO 2002/081 573およびUS 2003/019 399は、これらの文書の各々における表1において、乾燥研磨助剤としてのジエチレングリコールの使用を記載する。
【0028】
文書WO 2005/071 003は、各々段階が異なる処理を実施する2つの別々の連続的な処理段階によって付加される層で少なくとも部分的に覆われる、炭酸カルシウムコアを記載する。この発明の目的は、改善された分散性を有し、凝集の傾向が減少した炭酸カルシウム粒子を供給することである。この発明は、一般法において、多価アルコール、即ち、エチレングリコールを参照し、これは第1および/もしくは第2処理剤を構成する。
【0029】
これらの添加物の特定のものは、最終用途における磨砕材料の相溶性を改善する観点で添加される。
【0030】
この目的に達するのに、当業者には文書WO 2005/026 252が公知であり、これは、他の代替物のうちでも炭酸カルシウムであり得る、特定のロード(load)を含む表面修飾ロードを記載し、このロードの表面は多数のヒドロキシル基で修飾される。このようなロードはポリマー樹脂と相溶性に、およびポリマー樹脂中で分散性にすることができる。前記ロードが天然炭酸カルシウムである場合、この文書は、前記天然炭酸カルシウムが吸湿性もしくは親水性化学種が存在しない状態での乾式磨砕によって優先的に修飾されることを示す。乾燥研磨助剤はトリエタノールアミン、ポリプロピレングリコールもしくはエチレングリコールであり得る。
【0031】
実際には、モノもしくは多グリコール型の、一般に300g/mole未満の分子量の研磨助剤が産業界で頻繁に用いられ、これらの低コストを含めて、多くの利点を有する。
【0032】
しかしながら、研磨助剤のこれらの種類の対象に関しては、このような薬剤によって磨砕された製造物が揮発性有機化合物(VOC)を比較的大量に有し、従って、環境汚染に関する義務を満たさないことが言及されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2 863 914号明細書
【特許文献2】仏国特許出願公開第2 203 670号明細書
【特許文献3】国際公開第98/21158号
【特許文献4】欧州特許出願公開第0 510 890号明細書
【特許文献5】英国特許出願公開第2 179 268号明細書
【特許文献6】国際公開第2002/081 573号
【特許文献7】米国特許出願公開第2003/019 399号明細書
【特許文献8】国際公開第2005/071 003号
【特許文献9】国際公開第2005/026 252号
【非特許文献】
【0034】
【非特許文献1】「Beitrag zur Aufklarung der Wirkungsweise von Mahlhilfsmitteln」by K.Graichen et al.published in「Freiberger Forschungshefte」VEB Deutscher Verlag fur Grundstoffindustrie,Leipzig,Germany(1975)
【非特許文献2】「Calcium Carbonate」by F.W.Tegethoff(Birkhauser Verlag,2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
従って、当業者は以下の問題と向き合わなければならない。即ち、各々が少なくとも1種類の炭酸カルシウムを含む1種類以上の無機材料の粒子のサイズを、揮発性有機化合物(VOC)を磨砕製造物中に大量に導入することなしに、特に0.5から500ミクロンのd50(平均径)を有する磨砕材料を得るため、このような粒子のほとんどの適用分野において求められる平均径を有する粒子を得ることを可能にする乾式磨砕によって減少させることである。
【0036】
加えて、この解決法は磨砕材料の特性もしくは前記磨砕材料を含有する最終製品の特性を実質的に変化させ得る研磨助剤を大量に用いてはならない。
【課題を解決するための手段】
【0037】
これらの問題の解答において、出願人は、驚くべきことに、上述のすべての問題を解決する方法を開発している。
【0038】
これは、少なくとも1種類の炭酸カルシウムを含む、1種類以上の無機材料の乾式磨砕方法であって、
a)粉砕された材料が10cm未満のd95で得られるまで、少なくとも1つの粉砕装置において無機材料を粉砕する段階;
b)必要に応じ、段階a)に従って粉砕された材料のすべてもしくは一部を改善する段階;
c)段階a)および/もしくはb)に従って粉砕された材料を少なくとも1つの磨砕装置において、
(i)少なくとも1つの不飽和エチレンモノマーにグラフト化された少なくとも1つのポリアルキレンオキシド官能基を含有する、少なくとも1種類の櫛形親水性ポリマーの存在下で、
(ii)前記磨砕装置内の液体の量が前記粉砕装置において粉砕される前記材料の15乾燥重量%未満であるような様式で;
乾式磨砕する段階;
d)必要に応じ、段階c)に従って乾式磨砕された材料を少なくとも1つの分別装置で分別する段階;
e)必要に応じ、段階c)および/もしくはd)から得られる乾式磨砕材料のすべてもしくは一部に対して段階c)および/もしくはd)を反復する段階;
を含むことを特徴とし、
並びに段階c)および/もしくはd)および/もしくはe)に続いて回収される材料が0.5から500ミクロンのd50(平均径)を有することを特徴とする、
方法である。
【0039】
従って、出願人は、イソシアネートモノマーおよび非プロトン性モノマーの共重合、次いでモノアルキル化アミンもしくはグリコールポリアルキレンのエーテルによる官能化によって得られるポリマーの調製を教示する、文書EP 0 610 534を引用することができる。このような薬剤は有機顔料の水性磨砕に特に有効である。
【0040】
同様に、出願人は、文書WO 00/077 058がモノもしくはジカルボン酸の不飽和誘導体、不飽和ポリシロキサン化合物もしくは不飽和エステルの、櫛構造を有する不飽和誘導体に基づくポリマーを記載することを示す。これらのコポリマーは、特にセメント部門において、無機充填剤の水性懸濁液における分散剤として用いられる。
【0041】
文書WO 91/09067は、エチレン性モノマー塩基およびカルボン酸官能基、非イオン性エチレン性モノマー塩基およびカチオン性エチレン性モノマー塩基を有する水溶性両性剤を記載し、このカチオン性基はオキシアルキル化基によってエチレン鎖から分離され、少なくとも2つのアルキル基を坦持する。これらの薬剤は、制限されることなしに、顔料および/もしくは無機充填剤の水相における磨砕において用いられる。
【0042】
文書WO 01/096 007も公知であり、この文書は、櫛構造を有する、グラフト化されたアルコキシもしくはヒドロキシ官能基を有するイオン性水溶性コポリマーを記載し、この役割は水性媒体中で顔料および/もしくは無機充填剤を分散させ、並びに/またはこれらの磨砕を補助することである。前記コポリマーは、高いものであり得る乾燥材料濃度を有し、いつまでも低くて安定なBrookfield(商標)粘度を有し、滴定によって決定されるイオン電荷が低い顔料表面を有するという特性を有する、前記精製材料の水性懸濁液を得ることを可能にする。従って、これは本発明が解決することを求めるものとは異なる技術的問題である。
【0043】
出願人には文書WO 2004/041 883も既知であり、この文書は、少なくとも1つの不飽和エチレンモノマーにグラフト化された櫛構造を有する少なくとも1つのアルコキシもしくはヒドロキシ官能基を有する、水溶性の、好ましくは弱イオン性および水溶性のコポリマーの、最終製品、例えば紙もしくはプラスチックのシートの明度を改善する薬剤としての使用を教示する。
【0044】
この文献を読むことにより、前記コポリマーは、制限されるものではないが、水性媒体における磨砕のための方法であり得る方法において用いることができ(実施例1、2、6)、これが最終製品(実施例1、2、3、4、6および7における塗料もしくはコートされた紙のシート)に改善された光沢をもたらす分散液もしくは懸濁液を生じるものと思われる。前記コポリマーは直接添加剤として用いることもできるが、湿潤媒体において、紙コーティングの混合物の場合には、前記コーティングは後にコートされた紙のシートに改善された光沢をもたらす(実施例5)。従って、この文書によって解決される技術的問題は本出願の主題を形成するものとは非常に異なる。
【0045】
最後に、出願人には文書WO 2004/044 022も既知であり、この文書は、少なくとも1つの不飽和エチレンモノマーにグラフト化された櫛構造を有する少なくとも1つのアルコキシもしくはヒドロキシ官能基を有する水溶性コポリマーの、紙、テキスタイル、洗浄剤および塗料分野における光学的輝きの活性化を改善する薬剤としての使用を記載する。光学的紺化(optical azuring)の活性化は本出願の主題を形成するものから遠く隔たった特性であることに注意すべきである。
【0046】
出願人は未公開特許出願FR 05 11274も既知であり、この出願は、第1に、無機物質もしくは炭酸化物質が投入され、必要に応じ有機耐衝撃性改質剤を含有する、熱可塑性樹脂を製造する方法であって、前記樹脂に少なくとも1つのポリアルキレンオキシド官能基がグラフト化された少なくとも1つの不飽和エチレンモノマーを含む櫛ポリマーを導入することによる方法に関する。この特許出願は、本発明の複数の段階を含むことを特徴とする、少なくとも1種類の炭酸カルシウムを含む1種類以上の無機材料の乾式磨砕を参照してはいない。同様に、この特許出願の試験番号16は、この特許出願によるポリマーをモノプロピレングリコールでの乾式磨砕の段階の後にのみ用いる。
【0047】
最後に、出願人は未公開特許出願FR 06 09535も既知であり、この出願は、第1に、無機材料が添加された塩素化熱可塑性樹脂を製造する方法における、少なくとも1つのポリアルキレンオキシド官能基がグラフト化された少なくとも1つのアニオン性不飽和エチレンモノマーを有する櫛ポリマーの相溶剤としての使用に関する。この特許出願は、本発明の複数の段階を含むことを特徴とする、少なくとも1種類の炭酸カルシウムを含む1種類以上の無機材料の乾式磨砕を参照してはいない。
【0048】
従って、これらの従来技術の文書のうちには、当業者が解決しなければならない以下の問題に関するものはない。即ち、各々が少なくとも1種類の炭酸カルシウムを含む1種類以上の無機材料の磨砕および分割を、揮発性有機化合物(VOC)の過剰に多量を含む製造物を導くことなしに、乾式磨砕法によって達成することである。
【0049】
より具体的には従来技術の文書のうちで、この問題の解決法を、当業者の他の要求、即ち、
特に従来技術の解決法と比較して、各々が少なくとも1種類の炭酸カルシウムを含む1種類以上の無機材料を磨砕するための(生成能力および必要とされる磨砕エネルギーの観点で)効率的な方法であって、このような磨砕材料の適用の多様な分野の大部分において求められる平均径(0.5から500ミクロン)を導く方法を提供すること、
効率的な磨砕を達成するため、最終製造物の特性を変化させ得る研磨助剤を大量に用いることを回避すること、
ポリエスエルの製造中に錯化剤として挙動し、従って、反応の速度を制御が困難なものとする研磨助剤の使用を回避すること、
環境汚染に関する義務を満たすため、磨砕製造物中の揮発性有機化合物(VOC)の量の減少につながる研磨助剤を供給すること、
との組み合わせで記載もしくは教示するものはない。
【0050】
この後者の要求に関しては、10−2mmHgのオーダーの低い蒸気圧および250℃以上のオーダーの沸点でさえ、従来技術において乾燥研磨助剤として用いられるグリコールの大部分は、45℃のオーダーの低温で約16時間の期間の間に、完全に蒸発することが可能であることに注意すべきである。
【0051】
共沸混合物は環境汚染の高い危険性を有するため、磨砕製造物を見出すことができる媒体である水溶液および/もしくはアルコールおよび/もしくは有機溶媒との組み合わせで共沸混合物の形成につながることのない研磨助剤を供給することが特に重要である。
【0052】
出願人は、出願人が未公開特許出願FR 06 04690を既知であることを示すことを熱望しており、この出願は本発明によって解決される問題に類似する問題を網羅する。未公開特許出願FR 06 04690の解決法は、炭酸化物(carbonated ore)を含有する材料を乾式磨砕するための方法であって、制限されるものではないが、この材料を少なくとも1種類のポリアルキレングリコールポリマーの存在下で乾式磨砕する段階を含み、前記ポリマーの主鎖を形成するモノマー単位の少なくとも90%がエチレンオキシド、プロピレンオキシドもしくはこれらの組み合わせからなり、この分子量が少なくとも400g/moleに等しいことを特徴とする方法に関する。この特許出願は櫛形疎水性ポリマーの乾燥研磨助剤としての使用を参照してはいない。
【発明を実施するための形態】
【0053】
前述のように、本発明の第1の目的は、少なくとも1種類の炭酸カルシウムを含む、1種類以上の無機材料の乾式磨砕方法であって、
a)粉砕された材料が10cm未満のd95で得られるまで、少なくとも1つの粉砕装置において無機材料を粉砕する段階;
b)必要に応じ、段階a)に従って粉砕された材料のすべてもしくは一部を改善する段階;
c)段階a)および/もしくはb)に従って粉砕された材料を少なくとも1つの磨砕装置において、
(i)少なくとも1つの不飽和エチレンモノマーにグラフト化された少なくとも1つのポリアルキレンオキシド官能基を含有する、少なくとも1種類の櫛形親水性ポリマーの存在下で、
(ii)前記磨砕装置内の液体の量が前記粉砕装置において粉砕される前記材料の15乾燥重量%未満であるような様式で;
乾式磨砕する段階;
d)必要に応じ、段階c)に従って乾式磨砕された材料を少なくとも1つの分別装置で分別する段階;
e)必要に応じ、段階c)および/もしくはd)から得られる乾式磨砕材料のすべてもしくは一部に対して段階c)および/もしくはd)を反復する段階;
を含むことを特徴とし、
並びに段階c)および/もしくはd)および/もしくはe)に続いて回収される材料が0.5から500ミクロンのd50(平均径)を有することを特徴とする、
方法からなる。
【0054】
本発明に関しては、前記粉砕段階a)は少なくとも1つの不飽和エチレンモノマーにグラフト化された少なくとも1つのポリアルキレンオキシド官能基を含有する櫛形親水性ポリマーは用いない。
【0055】
粉砕段階、例えば本発明の段階a)において実施されるものは、磨砕段階、例えば本発明の段階c)において実施されるものと、粉砕が本質的に粗い組み合わせであって、一般に、1センチメートルもしくは1ミリメートルのオーダーの平均径で得られる断片につながり、これに対して磨砕は、0.5から500ミクロンの平均径の、破砕製造物よりも実質的に細かい製造物につながる細分化操作からなる点で区別される。
【0056】
本発明による方法は、段階a)の粉砕装置の少なくとも1つがハンマーミルおよび/もしくは自生粉砕装置であることをも特徴とする。
【0057】
段階a)において、本発明による方法は、前記粉砕装置内の液体の量が前記粉砕装置内の前記無機材料の15乾燥重量%未満、および好ましくは10乾燥重量%未満であることをも特徴とする。
【0058】
本発明による方法の段階a)は、前記無機材料を破砕された材料が30mm未満、および好ましくは5mm未満のd95で得られるまで粉砕することをも特徴とする。
【0059】
一実施形態において、本発明による方法は、段階b)を行うこと、即ち、段階a)に従って粉砕された材料のすべてもしくは一部を改善することを特徴とする。段階a)に従って粉砕された材料のすべてもしくは一部を精製する段階であるこの改善段階は、特に浮遊および/もしくは磁気分離および/もしくはふるい分け段階および/もしくは化学的処理、例えば酸化的もしくは還元的漂白処理の段階によって行うことができる。
【0060】
本発明による方法の段階c)に関しては、本発明に従って用いられるポリマーは、既知触媒系および移動剤の存在下での溶液、直接もしくは逆エマルジョン、懸濁液または適切な溶媒中での沈殿におけるラジカル重合法により、または、制御されたラジカル重合法、例えば可逆的付加開裂移動(Reversible Addition Fragmentation Transfer)(RAFT)という名称の方法、原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization)(ATRP)という名称の方法、ニトロキシド媒介重合(Nitroxide Mediated Polymerization)(NMP)という名称の方法もしくは、コバロキシム媒介フリーラジカル重合(Cobaloxime Mediated Free Radical Polymerization)という名称の方法によって得られる。
【0061】
この、もしくはこれらのポリマーは、必要に応じ、重合の最中に存在するすべての溶媒を除去するため、蒸留することができる。
【0062】
本発明による方法は、段階c)において、即ち、乾式磨砕段階において、櫛形親水性ポリマーのうちにあり、少なくとも1つのポリアルキレンオキシド官能基がグラフト化される不飽和エチレンモノマーが、各々、500から20,000g/moleの重量平均分子量(Mw)を有することをも特徴とする。
【0063】
本発明による方法の一実施形態において、段階c)において用いられる不飽和エチレンモノマーは非イオン性および/もしくはアニオン性である。
【0064】
本発明による方法は、段階c)において、1つのポリアルキレンオキシド官能基のみが前記不飽和エチレンモノマーにグラフト化されることをも特徴とする。
【0065】
本発明による方法の別の実施形態においては、段階c)において、少なくとも1つのポリアルキレンオキシド官能基がグラフト化される不飽和エチレンモノマーの少なくとも1つが式(I)、
【0066】
【化1】

のモノマーであり、式中、
mおよびpは125以下のアルキレンオキシド単位の数を表し、
nは125以下のエチレンオキシド基の数を表し、
qは、少なくとも1に等しく、12≦(m+n+p)q≦450であるような、および好ましくは25≦(m+n+p)q≦140であるような整数を表し、
は水素またはメチルもしくはエチル基を表し、
は水素またはメチルもしくはエチル基を表し、
Rは、不飽和重合性官能基を含有し、好ましくはビニル体の群またはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸もしくはビニルフタル酸エステルの群または不飽和ウレタンの群、例えばアクリルウレタン、メタクリルウレタン、α−α’ジメチル−イソプロペニル−ベンジルウレタン、アリルウレタンまたは、置換されていようといまいと、アリルもしくはビニルエステルの群または、エチレン性不飽和アミドもしくはイミドの群に属する基を表し、
R’は、水素または1から22個、および好ましくは8から18個の炭素原子を有する炭化水素化基またはイオン性もしくはイオン化可能な基、例えばホスフェート、ホスホネート、スルフェート、スルホネート、カルボン酸または、一級、二級もしくは三級アミンまたは、これらの混合物を表す。
【0067】
本発明による方法は、段階c)において、少なくとも1つのポリアルキレンオキシド官能基がグラフト化される前記不飽和エチレンモノマーの少なくとも3つが式(I)、
【0068】
【化2】

のモノマーであることをも特徴とし、式中、
mおよびpは125以下のアルキレンオキシド単位の数を表し、
nは125以下のエチレンオキシド基の数を表し、
qは、少なくとも1に等しく、12≦(m+n+p)q≦450であるような、および好ましくは25≦(m+n+p)q≦140であるような整数を表し、
は水素またはメチルもしくはエチル基を表し、
は水素またはメチルもしくはエチル基を表し、
Rは、不飽和重合性官能基を含有し、好ましくはビニル体の群またはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸もしくはビニルフタル酸エステルの群または不飽和ウレタンの群、例えばアクリルウレタン、メタクリルウレタン、α−α’ジメチル−イソプロペニル−ベンジルウレタン、アリルウレタンまたは、置換されていようといまいと、アリルもしくはビニルエステルの群または、エチレン性不飽和アミドもしくはイミドの群に属する基を表し、
R’は、水素または1から22個、および好ましくは8から18個の炭素原子を有する炭化水素化基またはイオン性もしくはイオン化可能な基、例えばホスフェート、ホスホネート、スルフェート、スルホネート、カルボン酸または、一級、二級もしくは三級アミンまたは、これらの混合物を表す。
【0069】
本発明による方法は、段階c)において、櫛形親水性ポリマーが、
a)モノカルボン酸もしくはジカルボン酸もしくはリン酸もしくはホスホン酸もしくはスルホン酸官能基またはこれらの混合物を有する少なくとも1つのアニオン性不飽和エチレンモノマー、
b)式(I)、
【0070】
【化3】

(式中、
mおよびpは125以下のアルキレンオキシド基の数を表し、
nは125以下のエチレンオキシド基の数を表し、
qは、少なくとも1に等しく、12≦(m+n+p)q≦450であるような、および好ましくは25≦(m+n+p)q≦140であるような整数を表し、
は水素またはメチルもしくはエチル基を表し、
は水素またはメチルもしくはエチル基を表し、
Rは、不飽和重合性官能基を含有し、好ましくはビニル体の群またはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸もしくはビニルフタル酸エステルの群または不飽和ウレタンの群、例えばアクリルウレタン、メタクリルウレタン、α−α’ジメチル−イソプロペニル−ベンジルウレタン、アリルウレタンまたは、置換されていようといまいと、アリルもしくはビニルエステルの群または、エチレン性不飽和アミドもしくはイミドの群に属する基を表し、
R’は、水素または1から22個、および好ましくは8から18個の炭素原子を有する炭化水素化基またはイオン性もしくはイオン化可能な基、例えばホスフェート、ホスホネート、スルフェート、スルホネート、カルボン酸または、一級、二級もしくは三級アミンまたは、これらの混合物を表し、および好ましくは1から12個の炭素原子を有する炭化水素化基、および非常に好ましくは1から4個の炭素原子を有する炭化水素化基を表す。)
の少なくとも1つのモノマーもしくは式(I)の幾つかのモノマーの混合物、
c)必要に応じ、少なくとも1つのアクリルアミドもしくはメタクリルアミド型のモノマーまたはこれらの誘導体、例えばN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミドもしくはN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドおよびこれらの混合物、または、少なくとも1つの非水溶性モノマー、例えばアルキルアクリレートもしくはメタクリレート、不飽和エステル、例えばN−[2−(ジメチルアミノ)エチル]メタクリレートもしくはN−[2−(ジメチルアミノ)エチル]アクリレート、ビニル体、例えば酢酸ビニル、ビニルピロリドン、スチレン、アルファメチルスチレンおよびこれらの誘導体、
からなることをも特徴とする。
【0071】
本発明による方法は、段階c)において、前記櫛形親水性ポリマーが、
a)モノカルボン酸官能基を有する不飽和エチレンモノマー、例えばアクリル酸もしくはメタクリル酸または、二酸ヘミエステル、例えばマレイン酸もしくはイタコン酸のCからCモノエステルまたはこれらの混合物のうちから選択され、またはジカルボン酸官能基を有する不飽和エチレンモノマー、例えばクロトン酸、イソクロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、マレイン酸もしくは、カルボン酸の無水物、例えば無水マレイン酸のうちから選択され、またはスルホン酸官能基を有する不飽和エチレンモノマー、例えばアクリルアミド−メチル−プロパン−スルホン酸、ナトリウムメタリルスルホネート、ビニルスルホン酸およびスチレンスルホン酸のうちから選択され、または、リン酸官能基を有する不飽和エチレンモノマー、例えばビニルリン酸、エチレングリコールメタクリレートホスフェート、プロピレングリコールメタクリレートホスフェート、エチレングリコールアクリレートホスフェートのうちから選択され、または、ホスホン酸官能基を有する不飽和エチレンモノマー、例えばビニルホスホン酸もしくはこれらの混合物のうちから選択される少なくとも1つのアニオン性不飽和エチレンモノマー、
b)式(I)、
【0072】
【化4】

(式中、
mおよびpは125以下のアルキレンオキシド基の数を表し、
nは125以下のエチレンオキシド基の数を表し、
qは、少なくとも1に等しく、12≦(m+n+p)q≦450であるような、および好ましくは25≦(m+n+p)q≦140であるような整数を表し、
は水素またはメチルもしくはエチル基を表し、
は水素またはメチルもしくはエチル基を表し、
Rは、不飽和重合性官能基を含有し、好ましくはビニル体の群またはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸もしくはビニルフタル酸エステルの群または不飽和ウレタンの群、例えばアクリルウレタン、メタクリルウレタン、α−α’ジメチル−イソプロペニル−ベンジルウレタン、アリルウレタンまたは、置換されていようといまいと、アリルもしくはビニルエステルの群または、エチレン性不飽和アミドもしくはイミドの群に属する基を表し、
R’は、水素または1から22個、および好ましくは8から18個の炭素原子を有する炭化水素化基またはイオン性もしくはイオン化可能な基、例えばホスフェート、ホスホネート、スルフェート、スルホネート、カルボン酸または、一級、二級もしくは三級アミンまたは、これらの混合物を表し、および好ましくは1から12個の炭素原子を有する炭化水素化基、および非常に好ましくは1から4個の炭素原子を有する炭化水素化基を表す。)
の少なくとも1つの不飽和エチレンモノマーもしくは式(I)の幾つかのモノマーの混合物、
c)必要に応じ、少なくとも1つのアクリルアミドもしくはメタクリルアミド型のモノマーまたはこれらの誘導体、例えばN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミドもしくはN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドおよびこれらの混合物、または、少なくとも1つの非水溶性モノマー、例えばアルキルアクリレートもしくはメタクリレート、不飽和エステル、例えばN−[2−(ジメチルアミノ)エチル]メタクリレートもしくはN−[2−(ジメチルアミノ)エチル]アクリレート、ビニル体、例えば酢酸ビニル、ビニルピロリドン、スチレン、アルファメチルスチレンおよびこれらの誘導体、
からなることをも特徴とする。
【0073】
本発明による方法は、段階c)において、前記櫛形親水性ポリマーが、重量による表示で、
a)モノカルボン酸官能基を有する不飽和エチレンモノマー、例えばアクリル酸もしくはメタクリル酸または、二酸ヘミエステル、例えばマレイン酸もしくはイタコン酸のCからCモノエステルまたはこれらの混合物のうちから選択され、またはジカルボン酸官能基を有する不飽和エチレンモノマー、例えばクロトン酸、イソクロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、マレイン酸もしくは、カルボン酸の無水物、例えば無水マレイン酸のうちから選択され、またはスルホン酸官能基を有する不飽和エチレンモノマー、例えばアクリルアミド−メチル−プロパン−スルホン酸、ナトリウムメタリルスルホネート、ビニルスルホン酸およびスチレンスルホン酸のうちから選択され、または、リン酸官能基を有する不飽和エチレンモノマー、例えばビニルリン酸、エチレングリコールメタクリレートホスフェート、プロピレングリコールメタクリレートホスフェート、エチレングリコールアクリレートホスフェートのうちから選択され、または、ホスホン酸官能基を有する不飽和エチレンモノマー、例えばビニルホスホン酸もしくはこれらの混合物のうちから選択される少なくとも1つのアニオン性不飽和エチレンモノマー1%から15%、およびさらにより厳密には、2%から10%、
b)式(I)、
【0074】
【化5】

(式中、
mおよびpは125以下のアルキレンオキシド基の数を表し、
nは125以下のエチレンオキシド基の数を表し、
qは、少なくとも1に等しく、12≦(m+n+p)q≦450であるような、および好ましくは25≦(m+n+p)q≦140であるような整数を表し、
は水素またはメチルもしくはエチル基を表し、
は水素またはメチルもしくはエチル基を表し、
Rは、不飽和重合性官能基を含有し、好ましくはビニル体の群またはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸もしくはビニルフタル酸エステルの群または不飽和ウレタンの群、例えばアクリルウレタン、メタクリルウレタン、α−α’ジメチル−イソプロペニル−ベンジルウレタン、アリルウレタンまたは、置換されていようといまいと、アリルもしくはビニルエステルの群または、エチレン性不飽和アミドもしくはイミドの群に属する基を表し、
R’は、水素または1から22個、および好ましくは8から18個の炭素原子を有する炭化水素化基またはイオン性もしくはイオン化可能な基、例えばホスフェート、ホスホネート、スルフェート、スルホネート、カルボン酸または、一級、二級もしくは三級アミンまたは、これらの混合物を表し、および好ましくは1から12個の炭素原子を有する炭化水素化基、および非常に好ましくは1から4個の炭素原子を有する炭化水素化基を表す。)
の少なくとも1つの不飽和エチレンモノマーもしくは式(I)の幾つかのモノマーの混合物80%から99%、およびさらにより特定すると90%から98%、
c)少なくとも1つのアクリルアミドもしくはメタクリルアミド型のモノマーまたはこれらの誘導体、例えばN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミドもしくはN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドおよびこれらの混合物、または、少なくとも1つの非水溶性モノマー、例えばアルキルアクリレートもしくはメタクリレート、不飽和エステル、例えばN−[2−(ジメチルアミノ)エチル]メタクリレートもしくはN−[2−(ジメチルアミノ)エチル]アクリレート、ビニル体、例えば酢酸ビニル、ビニルピロリドン、スチレン、アルファメチルスチレンおよびこれらの誘導体0%から50%、
からなることを特徴とし、
成分a)、b)およびc)の合計割合は100%に等しい。
【0075】
エチレン性不飽和アニオン性モノマーがモノカルボン酸もしくはジカルボン酸官能基を有するエチレン性不飽和アニオン性モノマーであり、および式(I)の不飽和エチレンモノマーにおいて、R、RおよびR’が水素を表すとき、本発明による方法の段階c)は、櫛形親水性ポリマーにおける式(I)の不飽和エチレンモノマーの、モノカルボン酸もしくはジカルボン酸官能基を有するエチレン性不飽和アニオン性モノマーに対するモル比が、(m+n+p)qが50から100である場合には2:3から1:2、および(m+n+p)qが25から50である場合には1:2から1:4、(m+n+p)qが12から25である場合には1:4から1:10であることをも特徴とする。
【0076】
別の実施形態において、本発明による方法の段階c)は、エチレン性不飽和アニオン性モノマーがモノカルボン酸もしくはジカルボン酸官能基を有するエチレン性不飽和アニオン性モノマーであり、および式(I)の不飽和エチレンモノマーが、(m+n+p)qが40から130である、エチレンオキシドメタクリレートエステルであるとき、櫛形親水性ポリマーにおける式(I)の不飽和エチレンモノマーのモノカルボン酸もしくはジカルボン酸官能基を有するエチレン性不飽和アニオン性モノマーに対するモル比が1:2であることをも特徴とする。
【0077】
酸形態で得られるこの、もしくはこれらの、ポリマーは、一価中和性官能基もしくは多価中和性官能基を有する1種類以上の中和剤、例えば一価官能基については、アルカリ性カチオンによって構成される群から選択されるもの、特にナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニアまたは一級、二級もしくは三級脂肪族および/もしくは環状アミン、例えばステアリルアミン、エタノールアミン(モノ−、ジ−、トリエタノールアミン)、モノ−およびジエチルアミン、シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、アミノメチルプロパノール、または、多価官能基については、アルカリ土類二価カチオンによって構成される群から選択されるもの、特にマグネシウムおよびカルシウムもしくは、亜鉛、並びに、その上、三価カチオン、特にアルミニウム、または、より高い原子価の特定のカチオンによって部分的に、もしくは全体的に、中和することもできる。
【0078】
従って、各々の中和剤は各原子価官能基に固有の中和率で作用する。
【0079】
出願人は、前記櫛形親水性ポリマーが、これらが本発明の方法に従って用いられるとき、乾燥粉末の状態であっても液体状態、即ち、エマルジョンもしくは水性懸濁液の形態であってよく、および好ましくは前記櫛形親水性ポリマーは液体状態で用いられることを強調したいと願っている。当業者には、液体状態にあるこのような櫛形親水性ポリマーを、前記磨砕装置内の液体の量が前記磨砕装置内の前記材料の15乾燥重量%未満であるように用いる方法は公知である。
【0080】
別の実施形態によると、櫛形親水性ポリマーは、段階c)においてこれらを用いる前に、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、テトラヒドロフランもしくはこれらの混合物によって構成される群に特に属する1種類以上の極性溶媒によって処理し、幾つかの相に分離させる。
【0081】
この場合、この分画の最中に存在する溶媒を排除するため、この、もしくはこれらの、櫛形親水性ポリマーを、段階c)においてこれらを用いる前に、蒸留する。
【0082】
方法の段階c)の最中に用いられる櫛形親水性ポリマーに関して、本発明は、前記櫛形親水性ポリマーが、各々、1,800から100,000g/mole、および好ましくは20,000から50,000g/moleの重量平均分子量(Mw)を有することをも特徴とし得る。
【0083】
本発明において用いられる櫛形親水性ポリマーの量に関しては、この量は当業者によって粒子サイズの観点での最終目標に従って決定されなければならない。しかしながら、各磨砕装置内で粉砕される材料の乾燥重量に対して櫛形親水性ポリマー0.005から1.0乾燥重量%、および好ましくは0.03から0.5乾燥重量%を用いることが有利であり得る。
【0084】
別の実施形態によると、本発明による方法は、各磨砕装置内で用いられる櫛形親水性ポリマーの量が回収される材料のmあたり櫛形親水性ポリマー0.1から1mg、および好ましくは回収される材料のmあたり櫛形親水性ポリマー0.2から0.6mgであるように実施することができる。
【0085】
さらに、45℃の温度を16時間施したとき、水50mlに入れた櫛形親水性ポリマー50mgの75%を上回るもの、および好ましくは90%を上回るものが揮発しないことを特徴とする、少なくとも1種類の櫛形親水性ポリマーを用いることが有利であり得る。
【0086】
本発明の方法の段階c)において用いることができる少なくとも2種類の櫛形親水性ポリマーの混合物を形成するため、本発明の方法による櫛形親水性ポリマーの様々な形態を一緒にして混合することができる。
【0087】
本発明の方法において用いられる櫛形親水性ポリマーの様々な形態は、櫛形のものではない薬剤と、方法の段階c)の前もしくは最中に混合することもできる。この場合、前記櫛形親水性ポリマーは、櫛形親水性ポリマーおよび櫛形のものではない薬剤によって構成される総重量の少なくとも50重量%、および好ましくは少なくとも85重量%、および非常に好ましくは少なくとも95重量%に相当するはずであることが好ましい。
【0088】
本発明の特定の実施形態において、櫛形のものではない薬剤は炭水化物、ポリエチレングリコール(PEG)、トリイソプロパノールアミン(TIPA)もしくはこれらの混合物である。
【0089】
前記PEGは、500から10,000、および好ましくは1,000から8,000g/moleの分子量の櫛形親水性ポリマーとの組み合わせで、50:50に等しい比PEG:櫛形親水性ポリマーで有利に用いることができる。
【0090】
前記TIPAは、櫛形親水性ポリマーとの組み合わせで、20:80に等しい比TIPA:櫛形親水性ポリマーで有利に用いることができる。
【0091】
前記炭水化物はスクロース、ソルビトールもしくはこれらの混合物であり得る。
【0092】
本発明による方法は、特に前記磨砕装置内の前記材料の重量に対して炭酸カルシウムを少なくとも80重量%、および好ましくは少なくとも90重量%含有する材料に対して実施することができる。
【0093】
炭酸カルシウムに関しては、これは石灰石、大理石、白亜、苦灰石もしくはこれらの混合物であり得、および好ましくは石灰石、大理石もしくはこれらの混合物である。
【0094】
前記磨砕装置内の材料の非炭酸カルシウム部分は粘土、非粘土状ケイ酸塩、二酸化ケイ素もしくはこれらの混合物からなるものであり得る。好ましくはこの粘土はベントナイト、カオリン、長石、焼成粘土もしくはこれらの混合物であり得、およびこの非粘土状ケイ酸塩はタルク、雲母もしくはこれらの混合物である。
【0095】
本発明による方法において、磨砕装置内の液体の量は、前記磨砕装置内の磨砕用の材料の総乾燥重量に対して15重量%未満、好ましくは10重量%未満、およびより好ましくは5重量%未満、およびさらにより好ましくは1重量%未満である。この液体の量は、磨砕装置内の磨砕材料を一定重量が得られるまで釜において120℃に加熱するときに観察される重量の損失によって決定される;元の材料の初期重量のパーセンテージとして表される重量の損失が液体含有率を示す。
【0096】
磨砕装置内の液体は水および/もしくは1種類以上の有機溶媒および/もしくは1種類以上の添加物を液体状態で含有することができる。本発明の一実施形態によると、この液体は、この液体の重量に対して、水を少なくとも60重量%、および好ましくは少なくとも70重量%含有する。
【0097】
段階c)の最中に用いられる磨砕装置に関して、これらは研磨ホイールを有する少なくとも1つのホイール研磨機および/もしくは研磨ボールを有する少なくとも1つのボールミルおよび/もしくはスピンドル研磨機からなるものであり得る。前記装置に関しては、周辺速度5から60m/s、および好ましくは20から40m/sを用いることが有利であり得る。段階c)の最中に用いられる磨砕装置において到達する温度は、一般に5から150℃、および特に50から110℃である。
【0098】
ボールミルの場合、この内部に存在する研磨ボールは510から600のBrinell硬度を有する。好ましくはこれらは鉄、例えばモリブデンもしくはクロムとの鉄系合金、磁器および/もしくはケイ酸塩で製造され、5から50mm、および好ましくは15から25mmの平均ボール径を有する。本発明の好ましい態様において、これらの研磨ボールは1/3から3/1のアスペクト比(長さ/直径比)を有する。特定の場合においては、直径の二峰分布を有する研磨ボールを用いることが有利であり得る。
【0099】
別の好ましい態様によると、これらの研磨ボールはボールミル内に収容される磨砕用の材料に対して1.8:1から3.6:1の体積比で存在し、この比は、好ましくは2.5:1に等しい。
【0100】
本発明による方法の乾式磨砕の段階c)に1以上の分別段階d)を続けることもできる。
【0101】
少なくとも2つの分別段階を任意の次の段階c)に先立って行う場合、これら2つの段階の一方もしくは他方を連続して、もしくは平行して、行うことができる。
【0102】
この分別は、特にサイクロン型および/もしくはローター型分別機において行うことができる。その際、好ましくは空気である、この分別装置の搬送ガスの上昇流は、速度3から15m/s、および好ましくは8から12m/sを有することが好ましい。
【0103】
特定の場合において、さらなる磨砕のために段階c)に戻して再循環される段階d)の分別から得られる材料の一部があることが有利であり得る。これは、特に「回収された材料」と呼ばれる本発明の磨砕材料に要求される範囲外の平均径を有する、分別された粒子の場合である。本発明による回収された材料が0.7から150ミクロン、好ましくは1から45ミクロン、およびより好ましくは1.2から5ミクロンのd50(平均径)を有する場合、これは有利であり得る。
【0104】
回収された材料が分別段階に続いて抽出され、残りの材料が段階c)に再導入される場合、段階d)から得られる回収された材料の量に等しい粉砕材料の新たな量を段階c)に添加することが、磨砕装置内での材料の一定量を維持する観点から、有利であり得る。
【0105】
本発明の別の目的は、本発明による方法によって得られることを特徴とする製造物からなる。
【0106】
本発明の別の目的は、本発明による方法の段階c)および/もしくはd)および/もしくはe)から得られる製造物の、湿式法を用いる磨砕方法における使用であって、0.4から1.0ミクロンのd50(平均径)を有する磨砕製造物を得るため、および好ましくは0.6から0.9ミクロンのd50(平均径)を有する磨砕製造物を得るため、前記湿式磨砕を必要に応じ分散剤の存在下で行うことができる使用である。
【0107】
(実施例)
以下の実施例は非制限的であり、ここでは本発明の特定の態様を説明する目的を有する;これらはいかなる方法であっても本発明の範囲を限定することはできない。
【0108】
測定法
以下の実施例において測定される粒度分布特性は、100ミクロン未満の粒子サイズについてはMalvern(商標)Mastersizer(商標)S粒度計バージョン2.8で、100ミクロンを上回る粒子サイズについてはふるい分けによってなされる測定を用いて決定される。
【0109】
研磨助剤
PEG 6000と呼ばれる研磨助剤は6,000g/moleの分子量を有するポリエチレングリコールからなり、FLUKA(商標)社から入手した。
【0110】
MPGと呼ばれる研磨助剤は1,2−プロパンジオールからなり、FLUKA(商標)社から入手した。
【0111】
EGと呼ばれる研磨助剤はエチレングリコールからなり、FLUKA(商標)社から入手した。
【0112】
PP1と呼ばれる研磨助剤は、2,000g/moleの分子量のポリエチレングリコールメタクリレート14.0モル%、アクリル酸66.0モル%およびマレイン酸20.0モル%のラジカル重合によって形成されるポリマーからなり、45,300g/moleの分子量を有する。
【0113】
PP2と呼ばれる研磨助剤は、分子量2,000g/moleのポリエチレングリコールメタクリレート27.4モル%、アクリル酸33.6モル%およびマレイン酸39.0モル%のラジカル重合によって形成されるポリマーからなり、46,870g/moleの分子量を有する。
【0114】
PP3と呼ばれる研磨助剤は、分子量2,000g/moleのポリエチレングリコールメタクリレート41.3モル%およびマレイン酸58.8モル%のラジカル重合によって形成されるポリマーからなり、48,000g/moleの分子量を有する。
【0115】
PP4と呼ばれる研磨助剤は、分子量5,000g/moleのポリエチレングリコールメタクリレート15.4モル%、アクリル酸67.0モル%およびマレイン酸17.6モル%のラジカル重合によって形成されるポリマーからなり、36,000g/moleの分子量を有する。
【0116】
PP5と呼ばれる研磨助剤は、分子量5,000g/moleのポリエチレングリコールメタクリレート31.0モル%、アクリル酸33.8モル%およびマレイン酸35.2モル%のラジカル重合によって形成されるポリマーからなり、49,270g/moleの分子量を有する。
【0117】
PP6と呼ばれる研磨助剤は、分子量5,000g/moleのポリエチレングリコールメタクリレート46.8モル%およびマレイン酸53.2モル%からなり、44,700g/moleの分子量を有する。
【0118】
PP7と呼ばれる研磨助剤は、分子量2,000g/moleのポリエチレングリコールメタクリレート81.3重量%およびアクリル酸18.7重量%のラジカル重合によって形成されるポリマーからなり、35,000g/moleの分子量を有する。アニオン性モノマー(アクリル酸)のカルボン酸基はナトリウムによって完全に中和される。
【0119】
PP8と呼ばれる研磨助剤は、分子量5,000g/moleのポリエチレングリコールメタクリレート84.4重量%およびアクリル酸15.6重量%のラジカル重合によって形成されるポリマーからなり、42,000g/moleの分子量を有する。アニオン性モノマー(アクリル酸)のカルボン酸基はナトリウムによって完全に中和される。
【0120】
PP9と呼ばれる研磨助剤は、分子量5,600g/moleのポリエチレングリコールの側鎖を有するマレイン酸のモノエステル93.2重量%およびマレイン酸6.8重量%のラジカル重合によって形成されるポリマーからなり、約35,000g/moleの分子量を有する。
【0121】
使用に先立ち、流体懸濁液を得るため、上述の研磨助剤を水性懸濁液に、これらが水性懸濁液の総重量に対して60重量%に相当するように入れた。このようにしてこれらの研磨助剤の懸濁液によって磨砕方法に導入される水の量は、磨砕封入体(grinding enclosure)における材料の総重量に対して1重量%未満の水量であった。
【実施例1】
【0122】
この実施例は、乾燥研磨剤もしくは従来技術の乾燥研磨剤を用いない方法と比較した、ボールミルおよびオーストラリア大理石を用いる、本発明による方法における改善された磨砕能力を説明する。
【0123】
磨砕に先立ち、平均径5cmの大理石をハンマーミルにおいて予め粉砕した。
【0124】
この粉砕段階後のサイズの分布を下記表に示す。
【0125】
【表1】

【0126】
この大理石を、1.5μmに等しいメジアン径を有し、300m/時の空気流速を有する磨砕材料を得るため、HOSOKAWA(商標)社によって販売される(25mmの平均径を有する、Cylpeb(商標)鉄で製造された樽型研磨ボール100kgを用いる)「Hosokawa(商標)Ball Mill S.O.80/32」に導入した。
【0127】
乾式磨砕は連続的に行った。
【0128】
磨砕チャンバーの排出口には、ALPINE(商標)社によって販売されるAlpine Turboplex(商標)100 ATP分別機につながる測定値20x6mmの開口部を取り付ける。分別機は、この回転速度および空気速度は所与の値以下の直径を有する磨砕材料を得るために調整されるものの、300m/時に設定する(この様式で磨砕される材料を回収された材料と呼ぶ。);この値を上回る直径の残りの磨砕材料は研磨機の供給部に再導入する。
【0129】
磨砕は磨砕用の材料15kgがシステム内に絶えず存在するように行う。従って、システムにおける材料15kgを維持するため、供給物はシステムを離れる回収された材料の量に等しい新たな粉砕材料の量で連続して供給する。
【0130】
システムを始動させた後、および以下に示される結果を記録する前に、用いることができる磨砕材料の量、磨砕能力および磨砕エネルギーについて安定な値が得られるまでシステムを稼働させた。
【0131】
乾燥研磨助剤は、磨砕用の材料に対して磨砕助剤の一定の量が維持されるように磨砕システムに導入した。
【0132】
【表2】

【0133】
表2の結果(これらは誤差を見込んで10%の余裕がとられている。)は、本発明の脈絡において磨砕能力が改善されることを明瞭に示す。
【実施例2】
【0134】
この実施例は、従来技術の研磨助剤を用いる方法と比較した、スピンドル研磨機およびSouth Tyrolからのイタリア大理石(Italian marble)を用いる、本発明による方法における改善された磨砕能力を説明する。
【0135】
磨砕に先立ち、以下に記載される磨砕のために1mmを上回る直径を有する画分を回収するため、メジアン径1から10cmの大理石をハンマーミルにおいて予め粉砕し、1mmでふるい掛けした。
【0136】
この粉砕段階後の粒子サイズの分布を下記表に示す。
【0137】
【表3】

【0138】
表3の大理石2,500gを以下に示される薬剤によって、この薬剤の存在下、ロータリー封入体内で2時間攪拌しながら処理した後、15分にわたって、HOSOKAWA(商標)社によって販売されるKolloplex 160 Z型(ローター径16cm、ローター速度14,000rpm)のスピンドル研磨機内に手で導入した。磨砕の後、回収された材料を100ミクロンふるいでふるい掛けする。100ミクロン未満の直径で回収された画分をMalvernによって分析した。
【0139】
本発明による方法を説明するため、PP8 50重量%およびPEG6000 50重量%からなる研磨助剤 500ppmをこの薬剤15重量%を含む水溶液の形態で大理石に添加した。
【0140】
従来技術による方法を説明するため、MPGからなる研磨助剤500ppmをこの薬剤15重量%を含む水溶液の形態で大理石に添加した。
【0141】
これらの結果を下記表に示す。
【0142】
【表4】

【0143】
本発明による方法は、従来技術の薬剤を用いる方法によって得られるものに匹敵する製造物を得ることを可能にする。
【実施例3】
【0144】
異なる溶媒における異なる研磨助剤の揮発性を、換気された釜において45℃で16時間保存した後に比較した。
【0145】
これらの試験の各々において、指示された研磨助剤50mgを開放ボウルに導入し、溶媒50mlと配合した後、釜に導入した。
【0146】
研磨助剤の重量基準での損失のパーセンテージを算出するため、16時間後に各タンク内の残留重量を測定することによって揮発度を決定した。
【0147】
【表5】

【0148】
表5の結果は、従来技術による研磨助剤が、これらの低蒸気圧にもかかわらず、本発明の方法において用いられるものよりも揮発性であることを示す。
【実施例4】
【0149】
この実施例は、研磨助剤を用いない方法と比較した、ボールミルおよびイタリア大理石を用いる、本発明による方法における改善された磨砕能力を説明する。
【0150】
磨砕に先立ち、平均径5cmの大理石をハンマーミルにおいて予め粉砕した。
【0151】
この粉砕段階後のサイズの分布を下記表に示す。
【0152】
【表6】

【0153】
この大理石を、3.0μmに等しいメジアン径を有し、300m/時の空気流速を有する磨砕材料を得るため、HOSOKAWA(商標)社によって販売される(25mmの平均径を有する、Cylpeb(商標)鉄で製造された樽型研磨ボール100kgを用いる)「Hosokawa(商標)Ball Mill S.O.80/32」に導入した。
【0154】
乾式磨砕は連続的に行った。
【0155】
磨砕チャンバーの排出口には、ALPINE(商標)社によって販売されるAlpine Turboplex(商標)100 ATP分別機につながる測定値20x6mmの開口部を取り付ける。分別機は、この回転速度および空気速度は所与の値以下の直径を有する磨砕材料を得るために調整されるものの、300m/時に設定する(この様式で磨砕される材料を回収された材料と呼ぶ。);この値を上回る直径の残りの磨砕材料は研磨機の供給部に再導入する。
【0156】
磨砕は磨砕用の材料15kgがシステム内に絶えず存在するように行う。従って、システムにおける材料15kgを維持するため、供給物はシステムを離れる回収された材料の量に等しい新たな粉砕材料の量で連続して供給する。試験の持続期間は6時間に等しい。
【0157】
乾燥研磨助剤は、磨砕用の材料に対して磨砕助剤の一定の量が維持されるように磨砕システムに導入した。
【0158】
PP10と呼ばれるこの研磨助剤は、ヘキシル1−デカニル疎水性R’基によって官能化された分子量1,100g/moleのポリエチレングリコールメタクリレート25.0重量%およびアクリル酸75.0重量%のラジカル共重合によって形成されるポリマーからなり、35,000g/moleのおおよそこの分子量を有する。アニオン性モノマー(アクリル酸)のカルボン酸基はナトリウムによって完全に中和される。
【0159】
【表7】

【0160】
表7の結果(これらは誤差を見込んで10%の余裕がとられている。)は、本発明の脈絡において磨砕能力が改善されることを明瞭に示す。
【実施例5】
【0161】
この実施例は湿式磨砕法における本発明による炭酸カルシウム乾式磨砕の使用を説明する。
【0162】
これを達成するため、6,000ダルトンのオーダーの分子量Mwおよび2.5に等しい多分散性のポリアクリル酸塩(カルボン酸基による算出でナトリウム/マグネシウム比=1:1)0.8乾燥重量%の存在下で実施例4に従って得られる乾燥炭酸カルシウム5kgを水中に懸濁させることにより、乾燥炭酸カルシウム物質75%からなる水性懸濁液を調製する。次に、この炭酸カルシウムの水性懸濁液を、Firma Bachhofen社(スイス)のDynomill(登録商標)型のボールミル内で、得られる水性懸濁液の粒子の90重量%が2マイクロメーターに等しい球直径を有するように循環させた。用いた研磨ボールは、イットリウムで安定化され、0.5から1.5mmの直径を有する、酸化ジルコニウムのボールである。
【0163】
次に得られる炭酸カルシウムの水性懸濁液は以下の特徴を有する。
【0164】
Micromeritics社のSedigraph(登録商標)5100を用いて決定される粒子サイズの分布:89重量%<2マイクロメートル、62重量%<1マイクロメートル、18重量%<0.2マイクロメートル。
【0165】
100rpmでのブルックフィールド粘度(Brookfield粘度計RVT mobile 3型):75.5%の乾燥重量基準濃度で1分の測定の後、1710mPas。
【0166】
100rpmでのブルックフィールド粘度(Brookfield粘度計RVT mobile 3型):71.9%の乾燥重量基準濃度で1分の測定の後、715mPas。
【0167】
この実施例は、本発明による方法によって得られる乾燥炭酸カルシウムを用いる湿潤媒体における磨砕が、懸濁が50体積%を上回る水性懸濁液中での炭酸カルシウムの濃度に相当する高い固体濃度(>73%)でさえ可能であることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類の炭酸カルシウムを含む、1種類以上の無機材料の乾式磨砕方法であって、
a)粉砕された材料が10cm未満のd95で得られるまで、少なくとも1つの粉砕装置において無機材料を粉砕する段階;
b)必要に応じ、段階a)に従って粉砕された材料のすべてもしくは一部を改善する段階;
c)段階a)および/もしくはb)に従って粉砕された材料を少なくとも1つの磨砕装置において、
(i)少なくとも1つの不飽和エチレンモノマーにグラフト化された少なくとも1つのポリアルキレンオキシド官能基を含有する、少なくとも1種類の櫛形親水性ポリマーの存在下で、
(ii)前記磨砕装置内の液体の量が前記粉砕装置において粉砕される前記材料の15乾燥重量%未満であるような様式で;
乾式磨砕する段階;
d)必要に応じ、段階c)に従って乾式磨砕された材料を少なくとも1つの分別装置で分別する段階;
e)必要に応じ、段階c)および/もしくはd)から得られる乾式磨砕材料のすべてもしくは一部に対して段階c)および/もしくはd)を反復する段階;
を含むことを特徴とし、
並びに段階c)および/もしくはd)および/もしくはe)に続いて回収される材料が0.5から500ミクロンのd50(平均径)を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
段階a)の粉砕装置の少なくとも1つがハンマーミルおよび/もしくは自生粉砕装置であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
段階a)において、前記粉砕装置内の水の量が、前記粉砕装置内の前記無機材料の15乾燥重量%未満、および好ましくは10乾燥重量%未満であることを特徴とする、請求項1もしくは2の一項に記載の方法。
【請求項4】
段階a)において、前記無機材料を、粉砕された材料が30mm未満、および好ましくは5mm未満のd95で得られるまで粉砕することを特徴とする、請求項1から3の一項に記載の方法。
【請求項5】
段階b)を行うことを特徴とする、請求項1から4の一項に記載の方法。
【請求項6】
段階b)において、段階a)に従って粉砕された材料のすべてもしくは一部を浮遊および/もしくは磁気分離および/もしくはふるい分け段階および/もしくは化学的処理、例えば酸化的もしくは還元的漂白処理の段階によって改善することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
段階c)において、少なくとも1つのポリアルキレンオキシド官能基がグラフト化される不飽和エチレンモノマーが、各々、500から20,000g/moleの重量平均分子量(Mw)を有することを特徴とする、請求項1から6の一項に記載の方法。
【請求項8】
段階c)において、前記不飽和エチレンモノマーがイオン性および/もしくはアニオン性であることを特徴とする、請求項1から7の一項に記載の方法。
【請求項9】
段階c)において、1つのポリアルキレンオキシド官能基のみが前記不飽和エチレンモノマーにグラフト化されることを特徴とする、請求項1から8の一項に記載の方法。
【請求項10】
段階c)において、少なくとも1つのポリアルキレンオキシド官能基がグラフト化される不飽和エチレンモノマーの少なくとも1つが式(I)、
【化1】

(式中、
mおよびpは125以下のアルキレンオキシド単位の数を表し、
nは125以下のエチレンオキシド基の数を表し、
qは、少なくとも1に等しく、ならびに12≦(m+n+p)q≦450であるような、および好ましくは25≦(m+n+p)q≦140であるような整数を表し、
は水素またはメチルもしくはエチル基を表し、
は水素またはメチルもしくはエチル基を表し、
Rは、不飽和重合性官能基を含有し、好ましくはビニル体の群またはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸もしくはビニルフタル酸エステルの群または不飽和ウレタンの群、例えばアクリルウレタン、メタクリルウレタン、α−α’ジメチル−イソプロペニル−ベンジルウレタン、アリルウレタンまたは、置換されていようといまいと、アリルもしくはビニルエステルの群または、エチレン性不飽和アミドもしくはイミドの群に属する基を表し、
R’は、水素または1から22個、および好ましくは8から18個の炭素原子を有する炭化水素化基またはイオン性もしくはイオン化可能な基、例えばホスフェート、ホスホネート、スルフェート、スルホネート、カルボン酸または、一級、二級もしくは三級アミンまたは、これらの混合物を表す。)
のモノマーであることを特徴とする、請求項1から9の一項に記載の方法。
【請求項11】
基R’が直鎖もしくは分岐炭化水素化基を表すことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
基R’がヘキシル1デカニル基を表すことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
段階c)において、少なくとも1つのポリアルキレンオキシド官能基がグラフト化される不飽和エチレンモノマーの少なくとも3つが式(I)、
【化2】

(式中、
mおよびpは125以下のアルキレンオキシド単位の数を表し、
nは125以下のエチレンオキシド基の数を表し、
qは、少なくとも1に等しく、ならびに12≦(m+n+p)q≦450であるような、および好ましくは25≦(m+n+p)q≦140であるような整数を表し、
は水素またはメチルもしくはエチル基を表し、
は水素またはメチルもしくはエチル基を表し、
Rは、不飽和重合性官能基を含有し、好ましくはビニル体の群またはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸もしくはビニルフタル酸エステルの群または不飽和ウレタンの群、例えばアクリルウレタン、メタクリルウレタン、α−α’ジメチル−イソプロペニル−ベンジルウレタン、アリルウレタンまたは、置換されていようといまいと、アリルもしくはビニルエステルの群または、エチレン性不飽和アミドもしくはイミドの群に属する基を表し、
R’は、水素または1から22個、および好ましくは8から18個の炭素原子を有する炭化水素化基またはイオン性もしくはイオン化可能な基、例えばホスフェート、ホスホネート、スルフェート、スルホネート、カルボン酸または、一級、二級もしくは三級アミンまたは、これらの混合物を表す。)
のモノマーであることを特徴とする、請求項1から10の一項に記載の方法。
【請求項14】
段階c)において、櫛形親水性ポリマーが、
a)モノカルボン酸もしくはジカルボン酸もしくはリン酸もしくはホスホン酸もしくはスルホン酸官能基またはこれらの混合物を有する少なくとも1つのアニオン性不飽和エチレンモノマー、
b)式(I)、
【化3】

(式中、
mおよびpは125以下のアルキレンオキシド基の数を表し、
nは125以下のエチレンオキシド基の数を表し、
qは、少なくとも1に等しく、ならびに12≦(m+n+p)q≦450であるような、および好ましくは25≦(m+n+p)q≦140であるような整数を表し、
は水素またはメチルもしくはエチル基を表し、
は水素またはメチルもしくはエチル基を表し、
Rは、不飽和重合性官能基を含有し、好ましくはビニル体の群またはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸もしくはビニルフタル酸エステルの群または不飽和ウレタンの群、例えばアクリルウレタン、メタクリルウレタン、α−α’ジメチル−イソプロペニル−ベンジルウレタン、アリルウレタンまたは、置換されていようといまいと、アリルもしくはビニルエステルの群または、エチレン性不飽和アミドもしくはイミドの群に属する基を表し、
R’は、水素または1から22個、および好ましくは8から18個の炭素原子を有する炭化水素化基またはイオン性もしくはイオン化可能な基、例えばホスフェート、ホスホネート、スルフェート、スルホネート、カルボン酸または、一級、二級もしくは三級アミンまたは、これらの混合物を表し、および好ましくは1から12個の炭素原子を有する炭化水素化基、および非常に好ましくは1から4個の炭素原子を有する炭化水素化基を表す。)
の少なくとも1つのモノマーもしくは式(I)の幾つかのモノマーの混合物、
c)必要に応じ、少なくとも1つのアクリルアミドもしくはメタクリルアミド型のモノマーまたはこれらの誘導体、例えばN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミドもしくはN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドおよびこれらの混合物、または、少なくとも1つの非水溶性モノマー、例えばアルキルアクリレートもしくはメタクリレート、不飽和エステル、例えばN−[2−(ジメチルアミノ)エチル]メタクリレートもしくはN−[2−(ジメチルアミノ)エチル]アクリレート、ビニル体、例えば酢酸ビニル、ビニルピロリドン、スチレン、アルファメチルスチレンおよびこれらの誘導体、
からなることを特徴とする、請求項1から13の一項に記載の方法。
【請求項15】
段階c)において、前記櫛形親水性ポリマーが、
a)モノカルボン酸官能基を有する不飽和エチレンモノマー、例えばアクリル酸もしくはメタクリル酸または、二酸ヘミエステル、例えばマレイン酸もしくはイタコン酸のCからCモノエステルまたはこれらの混合物のうちから選択され、またはジカルボン酸官能基を有する不飽和エチレンモノマー、例えばクロトン酸、イソクロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、マレイン酸もしくは、カルボン酸の無水物、例えば無水マレイン酸のうちから選択され、またはスルホン酸官能基を有する不飽和エチレンモノマー、例えばアクリルアミド−メチル−プロパン−スルホン酸、ナトリウムメタリルスルホネート、ビニルスルホン酸およびスチレンスルホン酸のうちから選択され、または、リン酸官能基を有する不飽和エチレンモノマー、例えばビニルリン酸、エチレングリコールメタクリレートホスフェート、プロピレングリコールメタクリレートホスフェート、エチレングリコールアクリレートホスフェートのうちから選択され、または、ホスホン酸官能基を有する不飽和エチレンモノマー、例えばビニルホスホン酸もしくはこれらの混合物のうちから選択される、少なくとも1つのアニオン性不飽和エチレンモノマー、
b)式(I)、
【化4】

(式中、
mおよびpは125以下のアルキレンオキシド基の数を表し、
nは125以下のエチレンオキシド基の数を表し、
qは、少なくとも1に等しく、ならびに12≦(m+n+p)q≦450であるような、および好ましくは25≦(m+n+p)q≦140であるような整数を表し、
は水素またはメチルもしくはエチル基を表し、
は水素またはメチルもしくはエチル基を表し、
Rは、不飽和重合性官能基を含有し、好ましくはビニル体の群またはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸もしくはビニルフタル酸エステルの群または不飽和ウレタンの群、例えばアクリルウレタン、メタクリルウレタン、α−α’ジメチル−イソプロペニル−ベンジルウレタン、アリルウレタンまたは、置換されていようといまいと、アリルもしくはビニルエステルの群または、エチレン性不飽和アミドもしくはイミドの群に属する基を表し、
R’は、水素または1から22個、および好ましくは8から18個の炭素原子を有する炭化水素化基またはイオン性もしくはイオン化可能な基、例えばホスフェート、ホスホネート、スルフェート、スルホネート、カルボン酸または、一級、二級もしくは三級アミンまたは、これらの混合物を表し、および好ましくは1から12個の炭素原子を有する炭化水素化基、および非常に好ましくは1から4個の炭素原子を有する炭化水素化基を表す。)
の少なくとも1つの不飽和エチレンモノマーもしくは式(I)の幾つかのモノマーの混合物、
c)必要に応じ、少なくとも1つのアクリルアミドもしくはメタクリルアミド型のモノマーまたはこれらの誘導体、例えばN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミドもしくはN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドおよびこれらの混合物、または、少なくとも1つの非水溶性モノマー、例えばアルキルアクリレートもしくはメタクリレート、不飽和エステル、例えばN−[2−(ジメチルアミノ)エチル]メタクリレートもしくはN−[2−(ジメチルアミノ)エチル]アクリレート、ビニル体、例えば酢酸ビニル、ビニルピロリドン、スチレン、アルファメチルスチレンおよびこれらの誘導体、
からなることを特徴とする、請求項1から14の一項に記載の方法。
【請求項16】
段階c)において、前記櫛形親水性ポリマーが、重量による表示で、
a)モノカルボン酸官能基を有する不飽和エチレンモノマー、例えばアクリル酸もしくはメタクリル酸または、二酸ヘミエステル、例えばマレイン酸もしくはイタコン酸のCからCモノエステルまたはこれらの混合物のうちから選択され、またはジカルボン酸官能基を有する不飽和エチレンモノマー、例えばクロトン酸、イソクロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、マレイン酸もしくは、カルボン酸の無水物、例えば無水マレイン酸のうちから選択され、またはスルホン酸官能基を有する不飽和エチレンモノマー、例えばアクリルアミド−メチル−プロパン−スルホン酸、ナトリウムメタリルスルホネート、ビニルスルホン酸およびスチレンスルホン酸のうちから選択され、または、リン酸官能基を有する不飽和エチレンモノマー、例えばビニルリン酸、エチレングリコールメタクリレートホスフェート、プロピレングリコールメタクリレートホスフェート、エチレングリコールアクリレートホスフェートのうちから選択され、または、ホスホン酸官能基を有する不飽和エチレンモノマー、例えばビニルホスホン酸もしくはこれらの混合物のうちから選択される、少なくとも1つのアニオン性不飽和エチレンモノマー1%から15%、およびさらにより厳密には、2%から10%、
b)式(I)、
【化5】

(式中、
mおよびpは125以下のアルキレンオキシド基の数を表し、
nは125以下のエチレンオキシド基の数を表し、
qは、少なくとも1に等しく、ならびに12≦(m+n+p)q≦450であるような、および好ましくは25≦(m+n+p)q≦140であるような整数を表し、
は水素またはメチルもしくはエチル基を表し、
は水素またはメチルもしくはエチル基を表し、
Rは、不飽和重合性官能基を含有し、好ましくはビニル体の群またはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸もしくはビニルフタル酸エステルの群または不飽和ウレタンの群、例えばアクリルウレタン、メタクリルウレタン、α−α’ジメチル−イソプロペニル−ベンジルウレタン、アリルウレタンまたは、置換されていようといまいと、アリルもしくはビニルエステルの群または、エチレン性不飽和アミドもしくはイミドの群に属する基を表し、
R’は、水素または1から22個、および好ましくは8から18個の炭素原子を有する炭化水素化基またはイオン性もしくはイオン化可能な基、例えばホスフェート、ホスホネート、スルフェート、スルホネート、カルボン酸または、一級、二級もしくは三級アミンまたは、これらの混合物を表し、および好ましくは1から12個の炭素原子を有する炭化水素化基、および非常に好ましくは1から4個の炭素原子を有する炭化水素化基を表す。)
の少なくとも1つの不飽和エチレンモノマーもしくは式(I)の幾つかのモノマーの混合物80%から99%、およびさらにより特定すると90%から98%、
c)少なくとも1つのアクリルアミドもしくはメタクリルアミド型のモノマーまたはこれらの誘導体、例えばN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミドもしくはN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドおよびこれらの混合物、または、少なくとも1つの非水溶性モノマー、例えばアルキルアクリレートもしくはメタクリレート、不飽和エステル、例えばN−[2−(ジメチルアミノ)エチル]メタクリレートもしくはN−[2−(ジメチルアミノ)エチル]アクリレート、ビニル体、例えば酢酸ビニル、ビニルピロリドン、スチレン、アルファメチルスチレンおよびこれらの誘導体0%から50%、
からなることを特徴とし、
成分a)、b)およびc)の合計割合が100%に等しい、請求項1から14の一項に記載の方法。
【請求項17】
エチレン性不飽和アニオン性モノマーがモノカルボン酸もしくはジカルボン酸官能基を有するエチレン性不飽和アニオン性モノマーであり、および式(I)の不飽和エチレンモノマーにおいて、R、RおよびR’が水素を表すとき、櫛形親水性ポリマーにおける式(I)の不飽和エチレンモノマーの、モノカルボン酸もしくはジカルボン酸官能基を有するエチレン性不飽和アニオン性モノマーに対するモル比が、(m+n+p)qが50から100である場合には2:3から1:2、および(m+n+p)qが25から50である場合には1:2から1:4、および(m+n+p)qが12から25である場合には1:4から1:10であることを特徴とする、請求項14から16の一項に記載の方法。
【請求項18】
エチレン性不飽和アニオン性モノマーがモノカルボン酸もしくはジカルボン酸官能基を有するエチレン性不飽和アニオン性モノマーであり、および式(I)の不飽和エチレンモノマーが、(m+n+p)qが40から130である、エチレンオキシドメタクリレートエステルであるとき、櫛形親水性ポリマーにおける式(I)の不飽和エチレンモノマーの、モノカルボン酸もしくはジカルボン酸官能基を有するエチレン性不飽和アニオン性モノマーに対するモル比が1:2であることを特徴とする、請求項14から17の一項に記載の方法。
【請求項19】
段階c)において、櫛形親水性ポリマーが酸形態にあるとき、これらを、一価中和性官能基もしくは多価中和性官能基を有する1種類以上の中和剤、例えば一価官能基については、アルカリ性カチオンによって構成される群から選択されるもの、特にナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニアまたは一級、二級もしくは三級脂肪族および/もしくは環状アミン、例えばステアリルアミン、エタノールアミン(モノ−、ジ−、トリエタノールアミン)、モノ−およびジエチルアミン、シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、アミノメチルプロパノール、モルホリン、または、多価官能基については、アルカリ土類二価カチオンによって構成される群から選択されるもの、特にマグネシウムおよびカルシウムもしくは、亜鉛、並びに、その上、三価カチオン、特にアルミニウム、または、より高い原子価の特定のカチオンによって部分的に、もしくは全体的に、中和することを特徴とする、請求項1から18の一項に記載の方法。
【請求項20】
段階c)において、櫛形親水性ポリマーが乾燥粉末状態もしくは液体状態、および好ましくは液体状態にあるこことを特徴とする、請求項1から19の一項に記載の方法。
【請求項21】
櫛形親水性ポリマーを、段階c)においてこれらを用いる前に、特に水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、テトラヒドロフランもしくはこれらの混合物によって構成される群に属する1種類以上の極性溶媒によって処理し、ならびに幾つかの相に分離させることを特徴とする、請求項1から20の一項に記載の方法。
【請求項22】
段階c)において、前記櫛形親水性ポリマーが、各々、1,800から100,000g/mole、および好ましくは20,000から50,000g/moleの重量平均分子量(Mw)を有することを特徴とする、請求項1から21の一項に記載の方法。
【請求項23】
段階c)において、各磨砕装置内で粉砕される材料の乾燥重量に対して櫛形親水性ポリマー0.005から1.0乾燥重量%、および好ましくは0.03から0.5乾燥重量%を用いることを特徴とする、請求項1から22の一項に記載の方法。
【請求項24】
段階c)において、各磨砕装置内で用いられる櫛形親水性ポリマーの量が回収される材料のmあたり櫛形親水性ポリマー0.1から1mg、および好ましくは回収される材料のmあたり櫛形親水性ポリマー0.2から0.6mgであることを特徴とする、請求項1から23の一項に記載の方法。
【請求項25】
段階c)の櫛形親水性ポリマーに45℃の温度を16時間施したとき、水50mlに入れた櫛形親水性ポリマー50mgの75%を上回るもの、および好ましくは90%を上回るものが揮発しないことを特徴とする、請求項1から24の一項に記載の方法。
【請求項26】
段階c)において、少なくとも2種類の櫛形親水性ポリマーを用いることを特徴とする、請求項1から25の一項に記載の方法。
【請求項27】
段階c)において、櫛形親水性ポリマーを櫛形のものではない薬剤と混合することを特徴とする、請求項1から26の一項に記載の方法。
【請求項28】
櫛形親水性ポリマーが、櫛形親水性ポリマーおよび櫛形のものではない薬剤によって構成される総重量の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも85重量%、および非常に好ましくは少なくとも95重量%に相当することを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
櫛形のものではない薬剤が炭水化物、ポリエチレングリコール(PEG)、トリイソプロパノールアミン(TIPA)もしくはこれらの混合物であることを特徴とする、請求項27もしくは28の一項に記載の方法。
【請求項30】
前記PEGを、500から10,000、および好ましくは1,000から8,000g/moleの分子量の櫛形親水性ポリマーとの組み合わせで、ならびに50:50に等しい比PEG:櫛形親水性ポリマーで用いることを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記TIPAを、櫛形親水性ポリマーとの組み合わせで、20:80に等しい比TIPA:櫛形親水性ポリマーで用いることを特徴とする、請求項29もしくは30に記載の方法。
【請求項32】
前記炭水化物がスクロース、ソルビトールもしくはこれらの混合物であることを特徴とする、請求項29から31の一項に記載の方法。
【請求項33】
段階c)において、前記磨砕装置の材料が、前記磨砕装置内の前記材料の重量に対して炭酸カルシウムを少なくとも80重量%、および好ましくは少なくとも90重量%含有することを特徴とする、請求項1から32の一項に記載の方法。
【請求項34】
炭酸カルシウムが石灰石、大理石、白亜、苦灰石もしくはこれらの混合物であり、および好ましくは石灰石、大理石もしくはこれらの混合物であることを特徴とする、請求項1から33の一項に記載の方法。
【請求項35】
段階c)において、前記磨砕装置内の材料の非炭酸カルシウム部分が粘土、非粘土状ケイ酸塩もしくはこれらの混合物からなることを特徴とする、請求項1から34の一項に記載の方法。
【請求項36】
前記粘土がベントナイト、カオリン、長石、焼成粘土もしくはこれらの混合物であることを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記非粘土状ケイ酸塩がタルク、雲母もしくはこれらの混合物であることを特徴とする、請求項35もしくは36に記載の方法。
【請求項38】
段階c)において、前記磨砕装置内の液体含有率が、前記磨砕装置内の磨砕用の材料の総乾燥重量に対して10重量%未満、より好ましくは5重量%未満、およびさらにより好ましくは1重量%未満であることを特徴とする、請求項1から37の一項に記載の方法。
【請求項39】
段階c)において、前記磨砕装置内の前記液体が水を少なくとも60重量%、および好ましくは少なくとも70重量%含有することを特徴とする、請求項1から38の一項に記載の方法。
【請求項40】
段階c)を、研磨ホイールを含む少なくとも1つのホイール研磨機および/もしくは研磨ボールを含む少なくとも1つのボールミルおよび/もしくは少なくとも1つのスピンドル研磨機において行うことを特徴とする、請求項1から39の一項に記載の方法。
【請求項41】
磨砕装置の周辺速度が5から60m/s、および好ましくは20から40m/sであることを特徴とする、請求項1から40の一項に記載の方法。
【請求項42】
段階c)を、研磨ボールを含む少なくとも1つのボールミルにおいて行うことを特徴とする、請求項1から41の一項に記載の方法。
【請求項43】
ボールミルが、510から600のBrinell硬度を有する研磨ボールを含むことと特徴とする、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
研磨ボールが鉄、例えばモリブデンもしくはクロムとの鉄系合金、磁器および/もしくはケイ酸塩で製造されることを特徴とする、請求項42もしくは43に記載の方法。
【請求項45】
研磨ボールが5から50mm、および好ましくは15から25mmのd50(平均径)を有することを特徴とする、請求項42から44の一項に記載の方法。
【請求項46】
研磨ボールが1/3から3/1のアスペクト比を有することを特徴とする、請求項42から45の一項に記載の方法。
【請求項47】
研磨ボールが二峰直径分布を有することを特徴とする、請求項42から46の一項に記載の方法。
【請求項48】
研磨ボールが、1.8:1から3.6:1のボールミル内に収容される磨砕用の材料に対する体積比で存在し、および好ましくはこの比が2.5:1に等しいことを特徴とする、請求項42から47の一項に記載の方法。
【請求項49】
段階d)を行うことを特徴とする、請求項1から48の一項に記載の方法。
【請求項50】
少なくとも2つの分別段階を任意の次の段階c)に先立って行ない、これら2つの段階の一方もしくは他方は連続して、もしくは平行して、行うことができることを特徴とする、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
分別をサイクロン型および/もしくはローター型分別機において行うことを特徴とする、請求項49もしくは50の一項に記載の方法。
【請求項52】
分別装置が上昇搬送ガス流を有することを特徴とする、請求項49から51の一項に記載の方法。
【請求項53】
分別装置の搬送ガスの上昇流が空気であることを特徴とする、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
分別装置の搬送ガスの上昇流が3から15m/s、および好ましくは8から12m/sの速度を有することを特徴とする、請求項52もしくは53に記載の方法。
【請求項55】
分別段階d)から得られる材料の一部をさらなる磨砕のために段階c)に戻して再循環させることを特徴とする、請求項49から54の一項に記載の方法。
【請求項56】
段階d)から得られる回収された材料が0.7から150ミクロン、好ましくは1から45ミクロン、およびより好ましくは1.2から5ミクロンのd50(平均径)を有することを特徴とする、請求項49から55の一項に記載の方法。
【請求項57】
段階d)から得られる回収された材料の量に等しい粉砕材料の新たな量を段階c)に添加することを特徴とする、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
請求項1から57の一項に記載の方法によって得られることを特徴とする製造物。
【請求項59】
湿式磨砕法における請求項58に記載の製造物の使用であって、0.4から1.0ミクロンのd50(平均径)を有する磨砕製造物を得るため、および好ましくは0.6から0.9ミクロンのd50(平均径)を有する磨砕製造物を得るため、前記湿式磨砕を必要に応じ分散剤の存在下で行うことができる、使用。

【公表番号】特表2010−520349(P2010−520349A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552291(P2009−552291)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【国際出願番号】PCT/IB2008/000513
【国際公開番号】WO2008/107780
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(505018120)オムヤ・デイベロツプメント・アー・ゲー (31)
【Fターム(参考)】