少なくとも2種類の可変表面タンパク質(VSP)を発現する変性原生動物、それを含むワクチン及び製造方法、用途及び使用方法
【課題】2種類以上の可変表面タンパク質(VSP)の同時表面発現からなる変性寄生原生動物を提供すること。
【解決手段】本発明の好ましい実施態様では、原生動物は可変表面タンパク質の完全レパートリーの同時表面発現からなる。原生動物はDicer(低分子2本鎖RNAを切り出す酵素)、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)又は両方の抑制された発現を示す。この場合、RdRP遺伝子又はDicer遺伝子若しくはこれらの混合物はサイレンシング(沈黙)させられている。この原生動物は抗原変異機構を有する任意の原生動物であり得る。この場合、その抗原変異機構はその任意の構成成分のサイレンシングにより無秩序化させ得る。
【解決手段】本発明の好ましい実施態様では、原生動物は可変表面タンパク質の完全レパートリーの同時表面発現からなる。原生動物はDicer(低分子2本鎖RNAを切り出す酵素)、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)又は両方の抑制された発現を示す。この場合、RdRP遺伝子又はDicer遺伝子若しくはこれらの混合物はサイレンシング(沈黙)させられている。この原生動物は抗原変異機構を有する任意の原生動物であり得る。この場合、その抗原変異機構はその任意の構成成分のサイレンシングにより無秩序化させ得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2種類以上の可変表面タンパク質(VSP)を発現する変性原生動物、それを含むワクチン、ハイブリドーマ系、タンパク質認識モノクローナル抗体、処置、用途及びこれらの方法に関する。更に詳細には、本発明は、2種類以上の可変表面タンパク質(VSP)の同時表面発現からなる変性寄生原生動物に関する。また、変性原生動物は可変表面タンパク質の完全なレパートリーも同時に発現し得る。原生動物はDicer(低分子2本鎖RNAを切り出す酵素)、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)又は両方の抑制された発現を示す。この場合、RdRP遺伝子又はDicer遺伝子はサイレンス(発現停止又は発現抑制)させられている。この原生動物は抗原変異機構を有する任意の原生動物であり得る。また、発現はこの機構を規制する分子によりサイレンスさせることもできる。
【背景技術】
【0002】
抗原変異は、抗原決定基が露出された表面を含む病原性微生物により発生されたクローン形質変化である。これらの微生物は表面抗原発現を変化させるために異なる機構を使用する。従って、宿主により産生される連続的な免疫圧力下で慢性感染を維持することができる(Deitsch, K.W.,Moxon,E.R.&Wellems,T.E.Microbiol.Mol.Biol.Rev.61,281-293(1997))(非特許文献1)。ランブル鞭毛虫(Giardia lamblia、別名Giardia intestinalis又はGiardia duodenalis)は最も普遍的なヒト腸管寄生虫の一つである。原生動物のランブル鞭毛虫は、当該寄生虫が慢性感染又は反復感染を発生させることができるプロセスにおいて抗原変異も示す(Adam, R.D. Clin. Microbiol.Rev.14,447-475(2001))(非特許文献2)。可変表面タンパク質(VSP)をコード化(codifying)する約190個の遺伝子のレパートリーから、ランブル鞭毛虫だけが特定の時点に各寄生虫の表面上に1種類のVSPを発現するが、未知の機構により自然発生的に別のVSPにスィッチする。ランブル鞭毛虫において、抗原変異は複数の感染の傾向と同様に、何らかの感染の可変又は恒久的コースの原因であり、その結果、VSPとして既知のタンパク質ファミリーを包含している(Adam, R.D.Clin.Microbiol.Rev.14,447-475(2001)及びNash, T.E. Phil.Trans. R. Soc. Lond. B352, 1369-1375(1997))(非特許文献2及び非特許文献3)。
【0003】
VSPは完全トロホゾイト表面に一列に並び、宿主免疫応答により認識される主抗原である。VSPは30kDa〜200kDaのサイズ範囲内であり、可変システインリッチアミノ末端領域と保存カルボキシ末端領域を保有する。保存カルボキシ末端領域は疎水性貫膜ドメインとアミノ酸5個だけからなる短いサイトゾル側末端(CRGKA)を有する。ゲノム寄生虫はVSPをコード化する〜190個の遺伝子のレパートリーをエンコード(符号化)するが(Morison,H.G. et al., Science 317,1921-1926(2007))(非特許文献4)、唯1種類だけのVSPが各トロホゾイトの表面に任意の所定時間にしか発現されない。免疫学的圧力の不存在下であっても、別のVSPの発現へのスイッチングは6〜13世代毎に1回しか起きない(Nash, T.E. , Alling, D.W., Merritt, J.W. Jr & Conrad, J. T. Exp. Parasitol. 71, 415-421(1990))(非特許文献5)。その他のランブル鞭毛虫と同様に、VSPコード化遺伝子はイントロン(介在配列)を有さず、その結果、これらの上流側領域は比較的短く、限定的な配列保存性を有するか又は配列保存性を全く有しないことが発見されている。更に、これらの領域には典型的な真核生物のプロモーターが存在しない。ランブル鞭毛虫のVSP遺伝子を含むメッセンジャーRNAの非翻訳3’領域も短い傾向があり、ヌクレオチドの長さは一般的に0〜30である。これまで、遺伝子再配列プロセス及びプロモーター依存性スイッチオン/オフ機構のどちらも、ランブル鞭毛虫の抗原スイッチングに含まれることは例証されていない(Adam, R.D. Clin. Microbiol. Rev.14, 447-475(2001)及びNash, T.E. Phil.Trans. R. Soc. Lond. B352, 1369-1375(1997)及びNash, T.E. , Alling, D.W., Merritt, J.W. Jr & Conrad, J. T. Exp. Parasitol. 71, 415-421(1990))。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Deitsch,K.W., Moxon,E.R. & Wellems,T.E. Microbiol.Mol.Biol.Rev. 61, 281-293(1997)
【非特許文献2】Adam, R.D.Clin.Microbiol.Rev.14,447-475(2001)
【非特許文献3】Nash, T.E. Phil.Trans. R. Soc. Lond. B352, 1369-1375(1997)
【非特許文献4】Morison,H.G. et al., Science 317,1921-1926(2007)
【非特許文献5】Nash, T.E. , Alling, D.W., Merritt, J.W. Jr & Conrad, J. T. Exp. Parasitol. 71, 415-421(1990)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、2種類以上の可変表面タンパク質(VSP)の同時表面発現からなる変性寄生原生動物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の好ましい実施態様では、原生動物は可変表面タンパク質の完全レパートリーの同時表面発現からなる。原生動物はDicer(低分子2本鎖RNAを切り出す酵素)、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)又は両方の抑制された発現を示す。この場合、RdRP遺伝子又はDicer遺伝子若しくはこれらの混合物はサイレンシング(沈黙)させられている。この原生動物は抗原変異機構を有する任意の原生動物であり得る。この場合、その抗原変異機構はその任意の構成成分のサイレンシングにより無秩序化させ得る。
【0007】
また、本発明は、原生動物により発生される感染症に対するワクチンも提供する。このワクチンは少なくとも、その表面上に少なくとも2種類の可変表面タンパク質(VSP)を発現する変性原生動物からなる。好ましい実施態様では、原生動物はその表面上への可変表面タンパク質の完全レパートリーの同時発現からなる。原生動物は、Dicer、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)又は両方の抑制された発現を示す。この場合、RdRP遺伝子又はDicer遺伝子若しくはこれらの混合物はサイレンスされている。この原生動物は抗原変異機構を示す任意の原生動物であり得る。ワクチンは賦形剤又はアジュバントも含有することができる。
【0008】
更に、本発明は原生動物可変表面タンパク質の完全レパートリーの精製方法も提供する。この精製方法は次のステップからなる。
(a)VSP・CRKGAアミノ酸配列を認識する抗体を固体サポートに結合するステップと、
(b)前記固体サポートを原生動物に接触させるステップと、
(c)可変表面タンパク質(VSP)の完全レパートリーを分離するステップ。
前記原生動物は野生原生動物クローンの混合物であることができ、各クローンは異なる可変表面タンパク質を発現し、又は前記原生動物は完全VSPレパートリーを発現するクローンであることができる。
【0009】
更に、本発明は、2種類以上の原生動物可変表面タンパク質及び賦形剤又はアジュバントからなるワクチンも提供する。前記各タンパク質は異なる。好ましい実施態様では、ワクチンは原生動物可変表面タンパク質の完全レパートリーからなり、前記各タンパク質は異なる。
【0010】
更に、本発明は、少なくとも可変表面タンパク質(VSP)を発現するか又は複数の原生動物VSPの完全レパートリーを同時に発現する変性原生動物からなるワクチンを所定量だけ哺乳類に投与することからなる免疫方法も提供する。この方法は、原生動物により発生される感染症に対して哺乳類を免疫するために適用される。前記原生動物は抗原変異機構を有する。
【0011】
更に、本発明により、原生動物可変表面タンパク質の組合せからなるワクチンを所定量だけ哺乳類に投与することからなる免疫方法も提供される。前記可変表面タンパク質の組合せは、サイレンスRdRP遺伝子、Dicer遺伝子又は両方からなる変性原生動物から単離される。この方法は、原生動物により発生される感染症に対して哺乳類を免疫するために適用される。前記原生動物は抗原変異機構を有する。或る実施態様では、ワクチンの投与量は原生動物可変表面タンパク質50〜500μgの範囲内である。
【0012】
また、本発明はヌクレオチド配列も提供する。前記配列は、配列SEQ ID N゜1aSEQ ID N゜112の何れかの間から選択できる。前記配列はARNdcである。
【0013】
RdRP遺伝子をサイレンスするため又はDicer遺伝子をサイレンスするために、配列SEQ ID N゜1aSEQ ID N゜112の何れかの間から選択された少なくとも1個の配列を使用する方法も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ランブル鞭毛虫の幾つかのVSP遺伝子が同時に転写されることを示す図である。図1aは[32P]UTPの存在下でインビトロ(in vitro, 試験管内)で転写するために誘導され使用直前に単離されたランブル鞭毛虫細胞核を用いた核ランオンアッセイ(nuclear run-on assay)の結果を示す図である。図1bは全てのVSP内に存在する保存領域からなるプローブを用いてクローンWB9B10及びWB1267から抽出された総RNAのノーザンブロット(Northern blot)試験の結果を示す図である。図1cはインビトロで産生されたセンス及びアンチセンス転写体(vsp9B10, vsp1267, vspA6, vspH7, cwp2及びGDH)が、図1aと同じ条件下における核ランオンのアッセイ生成物でブロットされ、かつ、ハイブリダイズ(雑種形成)された結果を示す図である。図1dはクローンWB9B10トロホゾイトから産生されたPCR生成物と、ゲノムDNAに関する特定のプライマー(9B10F/9B10R及び1267F/1267R)(ランウエィ1及び5)、又はリバースプローブR2(ランウエィ2及び6)又はセンスプローブS1(ランウエィ3及び7)の何れかにより産生されたcDNAとの比較を示し、ランウエィ4はRT無しの反応対照である。図中の白抜矢線はゲノムDNA及びセンスcDNAには存在するがアンチセンスcDNAには存在しないvsp9B10フラグメント(断片)を示し、黒塗矢線はゲノムDNA、センスcDNA及びアンチセンスcDNAに存在するvsp1267フラグメントを示し、Mは分子マーカーを示す。
【図2】ランブル鞭毛虫における抗原変異を研究するための新規なツールを示す図である。図2aにおいて、PCRにより大量のVSPコード化遺伝子に増幅させるのに好適なオリゴヌクレオチドが産生された。また、VSP1267、VSP9B10及びVSPA6並びにGS(VSPH7)から単離された4個のランブル鞭毛虫VSPの配列が選択された。これら4個のVSP配列を整列させ、そしてプライマーをデザインするために4個の保存領域を使用した。オリゴヌクレオチド配列下部の矢線は、デザインされた一般的VSPプライマーの(S1-S4及びR1-R2)の配列を示す。図2bにおいて、4個のセンスプライマー(S1-S4)とドス(dos)リバースプライマー(R1-R2)との組合せをランブル鞭毛虫WB9B10クローン(これはその表面にvsp9B10だけを発現する)からのゲノムDNAのPCR試験に使用した。使用したプライマーコンビネーションの幾つかのDNAフラグメントを個別に増幅した。これらの反応の59個の主生成物を単離し、クローン化し、そして配列決定した。その結果、これらは全てVSPフラグメントをコード化することが示された。これらの生成物のうちの幾つか(白色で1〜8とラベルされたもの)をゲノムDNAライブラリーの精査用プローブとして引き続き使用した。これにより、ランブル鞭毛虫VSPの典型的特徴(VSPS1-S8、ジェンバンク(GenBank)アクセス番号:AY142122〜AY142129)を有する新規なタンパク質をコード化するORF(オープン・リーディング・フレームワーク)の識別ができた。図2cにおいて、ランブル鞭毛虫VSP転写体が、間接的VSPアンチセンスARNをサイレンシングするか否か確かめるために、独特なVSPを発現するトロホゾイトから単離されたARN標本(プレパレーション)でこれらの分子をサーチした。RT-PCRは、ゲノムDNAで先に使用されたものと同じVSPプライマー・コンビネーションと、逆転写(RT)反応中にセンスプライマーを用いて行った。センスプライマー(S1〜S4)はトップに示されている。ランウェイ(a)〜(h)は各PCR反応で使用されたプライマー・コンビネーションを示す。すなわち、(a)S1-R1,(b)S2-R1,(c)S3-R1,(d)S4-R1,(e)S1-R2,(f)S2-R2,(g)S3-R2及び(h)S4-R4である。更に、逆転写(RT)無しの負対照も示されている。これらの条件下で、38個の増幅生成物を単離し、クローン化し、そして配列決定した。VSPをコード化するアンチセンスを例証するために、これらの12個の生成物(ターゲットにおいて1〜12とマーキングされている)もゲノムライブラリーにおけるプローブとして使用した。これにより、VSPID遺伝子アンチセンス転写体の機能性ターゲットを示す、新規なVSP遺伝子(VSPAS1〜VSPAS12,ジェンバンクアクセス番号:AY143130〜AY143141)の完全配列を得ることができた。
【図3】図3aはWB9B10クローントロホゾイトに発現されたHAエピトープで標識されたgRdRPバージョンの免疫学的局在(immunolocation)を示す図である。la酵素(赤色)は両方の寄生核を包囲する領域に局在している。この領域は、シャペロンER-BiP(Mab9C9,緑色)の共免疫学的局在(co-immunolocation)により示されるような粗面小胞体(黄色)を主に示す。図3bはRdRP活性度を示す図である。異なるRNAサブストレート・コンビネーション(A,B及びDはvsp9B10及びvsp1267、C及びEはvsp9B10,vsp1267及びvspH7)を、(A-C)の不存在下又はプライマーR1(D)又はプライマーR2(E)の存在下で使用した。Aは精製RdRP無しの対照である。図3cは、WB9B10クローントロホゾイトに発現されたHAエピトープで標識されたgDicerバージョンの免疫学的局在を示す図である。酵素(緑色)は細胞の細胞質内に局在し、核はDAPI(青色)で染色されている。図3dは、WB9B10クローントロホゾイトに発現されたHAエピトープで標識されたgAgoバージョンの免疫学的局在を示す図である。酵素(緑色)は細胞の細胞質内に局在し、核はDAPI(青色)で染色されている。図3eは、4,6又は12時間における嚢胞形成に対して誘発されたWB9B10クローントロホゾイト及び12時間における通常の成長培地(NT)中に維持されたトロホゾイトから抽出された総RNAに関するgRdRP、gAgo、gDicer、GDH及びCWP1用のプローブによるノーザンブロットを示す図である。結果は、これらPTGSの構成性発現(転写後遺伝子サイレンシング)を示している。
【図4】Dicer活性度とランブル鞭毛虫内の小型VSPRNAの検出を示す図である。図4aは、Dicer型活性度を例証するランブル鞭毛虫抽出物によるdsRNAからの小型RNAの生成を示す図である。vsp1267dsRNAの場合、両方のストランド(鎖)(ランウェィ1)、センスRNAストランドのみ(ランウェィ2)又はアンチセンスのみ(ランウェィ3)を放射性同位元素で標識した。vsp9B10及びgdhの場合、両方のストランドを標識した。二重鎖RNAをWB9B10クローンからのランブル鞭毛虫抽出物と共に37℃で1時間インキュベーション(恒温培養)した。次いで、総RNAを単離し、電気泳動に使用した。全てのケースにおいて、小型RNAが得られた。図4bは、ランブル鞭毛虫によるdsRNA処理におけるATPの存在効果を示す図である。ランウェィ1及び2は非処理対照(すなわち、ATPを消費すること無くランブル鞭毛虫細胞質溶解液と共にvsp1267dsRNAをそれぞれ1時間及び3時間インキュベーションした)を示す。ランウェィ3はグルコース2mM及びヘキソキナーゼ0.1UμL−1の添加によるATP減少を示す。ランウェィ4はホスホクレアチン(CP)を用いるATP再生成を示す。ランウェィ5はクレアチンキナーゼ(CK)を用いるATP再生成を示す。ランウェィ6はホスホクレアチン(CP)及びクレアチンキナーゼ(CK)の両方を用いるATP再生成を示す。図4cは、ランブル鞭毛虫WB9B10クローンからの抽出物と共にVSPリボプローブのインキュベーションによる小型RNA生成を示す図である。1種類、2種類又は3種類の異なるVSPRNAm(vsp9B10、vsp1267、vspH7)をランブル鞭毛虫抽出物と混合した。2種類以上の転写体の存在下で小型RNA生成が起きた。gdhを非関連遺伝子対照として使用した。ヌクレオチドにおけるRNAサイズマーカーは左側に配置した。図4dは、全WB9B10クローンRNA、WB1267クローントロホゾイト及び低分子量WB1267クローンRNAを電気泳動にかけ、ブロットし、そして部分的に消化されたインビトロ転写vsp9B10RNAプローブを用いてハイブリダイズした結果を示す図である。WB9B10ではRNAは全く存在しなかった。これに対して、小型vsp9B10RNA(矢線参照)がWB1267クローン中に存在したがVSP9B10には発現しなかった。奇妙なことに、70ヌクレオチド長のRNA(*印参照)が存在したが、部分的消化RNAmは再発現できなかった。
【図5】ランブル鞭毛虫WB1267クローン抽出物と一緒にVSPリボプローブをインキュベーションすることによる小型RNA生成を示す図である。異なるVSP(vsp9B10、vsp1267、vspH7)の1種類、2種類又は3種類のRNAmをブレンドし、ランブル鞭毛虫トロホゾイト抽出物に直面させた。2種類以上の転写体が存在したときに、小型[32P]標識RNAが生成された。ヌクレオチド内のRNAサイズマーカーは左側に配置した。
【図6】VSPH7を過剰発現するWB9B10トロホゾイトにおける抗原転換を示す図である。図6aは、WB9B10クローントロホゾイトが、α−チューブリンプロモータの制御下でCWP1又はVSPH7発現を指図するpTubCWP1.Pacベクター又はpTubH7.Pacベクターでトランスフェクションされた結果を示す図である。図中、逆三角印は対照ベクター(pTubCWP1.Pac)によりトランスフェクションされたVSPH7を発現するGS菌株からのトロホゾイトによる対照を示し、四角印は対照ベクターによりトランスフェクションされたWB9B10トロホゾイトを示す。VSP9B10発現は表面タンパク質の自発的交換により時間と共に減少する。WB9B10トロホゾイトが連続的にvspH7を連続的に発現することは、VSP9B10(丸印)又はVSPH7(三角印)の発現が各対照ベクターよりも速く減少することを示している。図6aに示された結果は、3回の個別試験±SDの平均百分率を描写する。図6bは、時間ゼロにおけるVSPH7発現WB9B10トロホゾイトの代表的画像を示す図である。全ての細胞はその表面上にVSP9B10及びVSPH7を同時に発現する。図6cは、15日間培養した後のVSPH7発現WB9B10トロホゾイトの代表的画像を示す図である。幾つかの細胞はその表面上にVSP9B10及びVSPH7を発現するが、その他の細胞はVSP9B10又はVSPH7しか発現せず、更に、他の細胞は何れも発現しない。核はDAPIで青色にマークした。図6aにおいて、縦軸はポジティブトロホゾイトの割合(%)を示し、横軸は培養時間(日数)を示す。
【図7】vsp9B10アンチセンスフラグメントを発現するWB9B10トロホゾイトにおける抗原転換を示す図である。図7aは、vsp9B10遺伝子5’(丸印)又は3’(三角印)の中間部分メディアのアンチセンス配列を含むpTubCWP1.Pacベクター(四角印)又はpTub.PacベクターによりトランスフェクションされたWB9B10を示す図である。結果は3回の個別試験±SDの平均値を示し、更に、VSP9B10ポジティブトロホゾイトの量が対照よりも速く減少することを示している。図7bは、異なるVSP遺伝子でトランスフェクションされたWB9B10トロホゾイトの代表的画像を示す図である。全ての細胞がその表面上にVSP9B10を発現している。図7cは、15日間培養した後のvsp9B10のアンチセンスフラグメント3’を発現するWB9B10トロホゾイトの代表的画像を示す図である。VSP9B10は約50%の個体群中に存在する。核はDAPIで青色にマークした。図7aにおいて、縦軸はポジティブトロホゾイトの割合(%)を示し、横軸は培養時間(日数)を示す。
【図8】異なる転写体の濃度の変動が、どの転写体がサイレンシングシステムを逃れるか決定できることを示す図である。1267、vsp9B10及びcwp1遺伝子をコード化するVSPはpGEM-T-イージーベクターにクローンされ、32P-UTPの存在下又は不存在下でインビトロで転写される。異なる濃度の非標識vsp9B10及びCWP1転写体が、固定濃度のvsp1267放射性同位元素標識RNAを含有するWB1267細胞質抽出物により異なる時間中に生成された。ランウェィ1は12個のヌクレオチド(Decade-Ambion社製)のマーカーであり、ランウェィ2,3及び4は750ngのvsp9B10及び250ngのvsp1267(比率3:1)を1時間、5時間及び24時間それぞれインキュベーションした結果であり、ランウェィ5,6及び7は等量のvsp9B10及びvsp1267(各250ng、比率1:1)を1時間、5時間及び24時間それぞれインキュベーションした結果であり、ランウェィ8及び9は750ngのCWP1と250ngのvsp1267を5時間及び24時間それぞれインキュベーションした結果であり、ランウェィ10は250ngのvsp1267転写体を短時間(1時間)インキュベーションした結果であり、混合物に添加されたvsp9B10の量(ランウェィ2及び5)に関係無くWB1267クローンにおいてvsp1267減成は生じなかった。これに対して。長時間(5時間)インキュベーションした後では、vsp9B10の存在(ランウェィ10とランウェィ3,6及び8との比較)により小型放射性同位元素標識vsp1267RNAの出現が増大したが、CWP1転写体の存在は高濃度で含有(ランウェィ8)していても効果が無かった。24時間のインキュベーション時点では、殆どの放射性同位元素標識転写体が完全に崩壊した。
【図9】ランブル鞭毛虫トロホゾイトにおけるDicer及びRdRP遺伝子のサイレンシング結果を示す図である。ランブル鞭毛虫Dicer-AS及びRdRP-ASは非トランスフェクションWB9B10トロホゾイトに比べてRNAメッセンジャーレベルが65%〜75%低下した。これらの値は、RT-PCR及びノーザンブロットを5回行うことにより得られたバンドのデンシトメトリー(濃度測定)アッセイにより測定した。結果は平均値±s.d.を示す。図9の各グラフにおいて縦軸は相対的RdRP発現を示す。
【図10】サイレンスされたRdRP及びDicer酵素による、形質転換ランブル鞭毛虫トロホゾイトにおける様々なVSPの発現を示す図である。図10aは、5Clモノクローナル抗体(VSP1267,右パネル)にコンジュゲート(接合)されたTRITC及び9B10モノクローナル抗体(VSP9B10,左パネル)にコンジュゲートされたFITCを用いて、Dicer-ASトランスフェクショントロホゾイト(下パネル)又は空ベクター(上パネル)における免疫傾向測定法のダイレクトを示す図である。ランブル鞭毛虫におけるDicer発現がサイレンスされている場合、トロホゾイト発現表面VSP9B10はVSP1267も発現する(融合画像、中央パネル)。図10bは、フローサイトメトリーアッセイにより測定された特定のVSPを発現するランブル鞭毛虫トロホゾイトの百分率を示す図であり、この測定には9B10、1267における特定のモノクローナル抗体(VSP9B10、9B10モノクローナル抗体;VSP1267、5Clモノクローナル抗体;VSPA6、6E7モノクローナル抗体)、クローン及び負対照として抗ラットヤギ免疫グロブリンが使用されるので、ランブル鞭毛虫RdRP(RdRP-AS)又はDicer(Dicer-AS)用のアンチセンス構築を有する形質転換された細胞を使用した。図10cは、野生型WB9B10及びトロホゾイトWB9B10のタンパク質抽出物のノーザンブロット試験の結果を示す図である。この試験では、Dicer遺伝子はノックアウトされており、電気泳動及びニトロセルロースへのトランスフェクション後に、フィルターを(1)本発明の12Flモノクローナル抗体G3クローン(全VSP中のCRGKA保存ドメインに対して産生されたもの)又は(2)9B10モノクローナル抗体(VSP9B10用)でハイブリダイズさせた。図10bの縦軸は各VSPに関するポジティブトロホゾイトの割合(%)を示す。
【図11】野生型ランブル鞭毛虫及び抗原変異の調節解除により変性されたランブル鞭毛虫におけるVSPの発現を示す図である。トロホゾイトの共焦免疫蛍光画像が示されている。Dicer(a)及びRdRP(b)はサイレンスされており、DAPI(青色)と対比する抗VSPモノクローナル抗体(緑色)を用いる、WB9B10(d),WB1267(e)及びGS/M-H7(f)の間接免疫蛍光測定法の代表的画像が示されている。更に、本発明の抗CRGKA12Flモノクローナル抗体で染色された単離非クローン化WB個体群(c)の免疫蛍光測定画像が示されている。
【図12】野生型及び形質転換トロホゾイトの様々な個体群で感染され、かつ、WB9B10及びWB1267で攻撃されたスナネズミ由来のデポジションサンプルにおけるランブル鞭毛虫嚢胞の検出及び定量結果を示す図である。図中(a)は、WB9B10、WB1267又は形質転換トロホゾイトのクローン個体群で初期感染されたランブル鞭毛虫を示す図である。ここで、前記形質転換トロホゾイトはDicer(DAS)又はRdRP(RAS)及び両方の1:1混合物の発現がサイレンスされたものである。図中(b-e)は、WB9B10及びWB1267のクローン個体群で初期感染させた後、ランブル鞭毛虫WB9B10(b)、WB1267(c)、DAS(d)及びRAS(e)で予め感染されたスナネズミを2ヶ月間攻撃した結果を示す図である。スナネズミにより分泌された嚢胞の量を計量した。図は5回の実験の中間値を示す。
【図13】VSPの完全なレパートリーを発現するランブル鞭毛虫トロホゾイトによる一次感染を続ける特定のVSPを発現するトロホゾイトによるスナネズミの攻撃結果を示す図である。WB9B10、WB1267、DAS及びRASクローン(a-d)で予め感染させたスナネズミをWB9B10(e-h)、WB1267クローン(i-l)又は精製嚢胞(m-p)の個体群で攻撃した。図は、抗CWP2FITC(緑色)とコンジュゲートされたモノクローナル抗体を使用してスナネズミの糞便を免疫蛍光分析で測定した代表的画像である。図13において、左端の列は一次感染を示し、左端から二番目の列はWB9B10による再感染を示し、左端から三番目の列はWB1267による再感染を示し、右端の列は嚢胞による再感染を示す。
【図14】VSPの完全なレパートリーを発現する形質転換トロホゾイトで感染されたスナネズミの血清及び腸内容物は様々なランブル鞭毛虫クローンをインビトロで膠着させることができることを示す図である。WB9B10クローンで感染されたスナネズミの血清(1b、3f及び5f)又は腸内容物(2b、4f及び6f)、WB1267クローンで感染されたスナネズミの血清(2b及び1f)又は腸内容物(3b及び2f)、GS/MH7クローンで感染されたスナネズミの血清)又は腸内容物(5b及び6b)で攻撃されたWB9B10(1-2)、WB1267(3-4)及びGS/MH7クローン(5-6)、VSP9B10特異性モノクローナル抗体(1c及び2c)、VSP1267特異性モノクローナル抗体(3c及び4c)、VSPH7のモノクローナル抗体(5c及び6c)、非感染スナネズミの血清(1a、2a、3a、4a、5a及び6a)、ノックアウトDASで感染されたスナチネズミの血清(1d、2d、3d、4d、5d及び6d)及びRASで感染されたスナネズミの血清(1e、2e、3e、4e、5e及び6e)の位相差顕微鏡観察の代表的画像である。図14において、1,3,5は血清に対する反応性を示し、2,4,6は腸内容物に対する反応性を示す。
【図15】野生型又は本発明の形質転換ランブル鞭毛虫トロホゾイトの様々なクローン個体群由来の精製VSPで予め免疫されたスナネズミの糞便サンプル中のランブル鞭毛虫嚢胞の検出及び定量結果を示す図である。嚢胞分泌を確認するために抗CWP2モノクローナル抗体を使用し1ヶ月間の間、免疫スナネズミの糞便を毎日モニターした。スナネズミはWB9B10又はWB1267トロホゾイトのクローン個体群で感染させた。免疫化は本発明の形質転換トロホゾイトDAS、RAS(及びこれらの混合物)由来の精製VSPを用いて行った。スナネズミは精製DAS(a)、RAS(b)VSP又はこれらの混合物(c)で予め免疫化させた。これらのスナネズミはWB9B10又はWB1267クローンによる事後感染に対して保護されていた。対照スナネズミ(d)又は細胞内タンパク質で免疫化されたスナネズミ(e)は事後感染に対して保護されていた。数値は5回の個別実験の中間値を示す。
【図16】感染及び攻撃中のスナネズミの小腸の形態を示す写真図である。上パネルは実験動物の小腸を示す。(a)は接種後15日間のVSP完全レパートリー発現トロホゾイトによる初期感染中のスナネズミの小腸を示す。(b)は対照スナネズミに比べて、パイエル板におけるサイズ増大(矢印参照)が認められたことを示す。(c)はDASトロホゾイトの精製VSPにより免疫化されたスナネズミの攻撃中の小腸を示す。下パネルは、実験動物の小腸の顕微鏡観察の写真図である。(d)は感染スナネズミがパイエル板の拡大及び粘膜及び粘膜下組織における穏やかな潤滑性炎症を起こすことを示す。幾つかのランブル鞭毛虫トロホゾイトが小腸内腔内に認められる(*印参照、400倍)。(e)は非感染対照/非ワクチン接種スナネズミ(400倍)を示す。(f)はワクチン接種されたスナネズミの組織学的に正常な小腸粘膜(400倍)を示す。挿入画像は一般的な小腸形態(250倍)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について詳述する。
【0016】
本明細書において、「トロホゾイト」という用語は単細胞寄生体(例えば、原生動物)の特定の段階の細胞を意味する。本発明の効果に対して、「トロホゾイト」、「寄生体」、「寄生体細胞」又は「原生動物」と言う用語は皆同じ意味を有し、相互に互換的に使用できる。
【0017】
本明細書において、本発明の形質転換又は変性寄生体、トロホゾイト又は原生動物は、Dicer遺伝子又はRdRP遺伝子内の原生動物であり得るか、又はこれらの形質転換原生動物の混合物はサイレンスされている。これらの原生動物は形質転換、形質移入又は変性トロホゾイト、原生動物又は寄生体として互換可能的に知られている。サイレンスされている場合、本発明のトロホゾイト又は原生動物Dicer遺伝子はDicer-AS又はDASとしても知られている。サイレンスされている場合、本発明のトロホゾイト又は原生動物RdRP遺伝子はRdRP-AS又はRASとしても知られている。形質転換トロホゾイト又は原生動物の混合物を使用する場合、これらはDicer-AS+RdRP-AS又はDAS+RASとしても知られている。
【0018】
本明細書において、可変表面タンパク質のトロホゾイト又は原生動物発現完全レパートリーは、抗原変異機構が不活化された任意の原生動物寄生体又は病原体であり得る。
【0019】
ランブル鞭毛虫におけるVSP発現調整は、RNA依存性RNAポリメラーゼ、Dicer及びアルゴノート(Argonaute)、RNA干渉機構からなるシステムを含む。表面中に単一表面抗原(タンパク質)を発現するクローンは幾つかのVSPコード化遺伝子を効率的に転写するが、細胞表面に発現させるべきVSPを符合化(encoding)する転写体を集積するだけである。
【0020】
サイレンスVSP及びサイレンスタンパク質由来の小型RNAに対応するアンチセンスRNAの検出は、抗原変異調整におけるRNA干渉パスウエィを暗示する。明らかに、Dicer酵素及びRNA依存性-RNAポリメラーゼのサイレンシングは各寄生体におけるVSP発現を単一から複数に変換させる。
【0021】
VSP発現調整が転写又は転写後レベルでコントロ−ルされるか否か決定するために核ランオンアッセイを行った。次いで、RNAの存在を、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)により、VSPをコード化するセンス及びアンチセンス時点のトロホゾイト中で研究し、更に、高次真核生物(例えば、RNA依存性-RNAポリメラーゼ(RdRP)、Dicer及びアルゴノート)内の二重鎖RNA(dsRNA)の合成及び減成に含まれる酵素の活性度についても研究した。キャラクタリゼーションは、これら遺伝子のクローニング及び発現並びにdsRNAをコード化するVSPから産生された小型RNAの分析を含む。更に、異なるVSPの発現は、ランブル鞭毛虫RNA干渉(RNAi)パスウェィ(経路)成分のサイレンシング後に評価した。
【0022】
病原体微生物における可変表面タンパク質の完全レパートリーを発現する細胞を産生するための抗原変異機構の崩壊は未だ記載されていない。ワクチンとして使用可能な寄生体を産生するための病原体微生物の表面タンパク質の完全レパートリー発現又はこれら病原体により引き起こされる疾患類の免疫学的予防のための可変表面タンパク質の完全レパートリー精製は未だ可能になっていない。
【0023】
ランブル鞭毛虫におけるVSPの転写
WB9B10クローントロホゾイト由来の核から単離されたRNAを用いて核ランオンアッセイによりVSP遺伝子の転写を分析した(図1a参照)。前記クローンはその表面上にVSP9B10(ジェンバンクアクセス番号AAK97086)だけを発現する。その結果は、VSPをコード化する殆どの遺伝子が同時に転写されたことを示す。これに対して、異なるランブル鞭毛虫クローン(WB9B10及びWB1267)から抽出された全RNAをVSP遺伝子の保存3’末端に対応するプローブとして使用されるオリゴヌクレオチドと共にインキュベーションすると、これらクローンの表面上に発現されたVSPに対応する分子サイズの1種類の転写体のみが検出された(図1b参照)。更に、減成生成物と思われる超低分子量バンドも観察された。唯一のVSP転写体の蓄積は、VSP特異性プローブを使用する異なるランブル鞭毛虫クローンにおいて観察された(Nash,T.E.Phil.Trans. R.Soc. Lond. B352,1369-1375(1997)参照)。この実験は、2個以上のVSPが寄生体核中に転写される場合、唯一個のVSP転写体だけが蓄積されることを例証している。
【0024】
ランブル鞭毛虫における転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)
PTGSのキーステップはサイレンスされた遺伝子と相同性のdsRNAの生成である。センス又はアンチセンスVSP生成物を特異的に増幅するようにデザインされたRT-PCRアッセイは、これらのフラグメントをクローニング及び配列決定した後、両方のストランド(鎖)のRNAがトロホゾイト内に存在することを示した(図2参照)。VSPコーディング(符号化)遺伝子用のセンス及びアンチセンスRNAの起こり得る同時転写を評価するために、特定のセンス及びアンチセンスプローブを用いて第2の核ランオン実験をを行った(図1c参照)。このアッセイでは、VSPアンチセンスRNAは検出できなかった。この事実は、これらの分子が転写後に生成されるであろうことを示している。vsp9B10及びvsp1267特異性プライマーを用いるWB9B10からのPCRにより産生された生成物も分析した(図1d参照)。vsp9B10に対応するバンドはゲノムDNA及びセンス相補性DNA中には存在したが、アンチセンスcDNAには殆ど存在しなかった。これに対して、WB9B10クローンの表面上には発現されないvsp1267はゲノムDNAから増幅させることができ、また、同時に、センス及びアンチセンスcDNAの両方からも増幅させることができる。これらの結果は、VSPが同時に転写されること(このことは核ランオンアッセイの結果も裏付けている)及び発現されるアンチセンスVSP転写体が少ししか存在せず、そして、転写はされるが翻訳はされないアンチセンスVSPが存在することを例証している。
【0025】
ランブル鞭毛虫RNAi機構の成分
迷走性RNAからのdsRNAのRdRP媒介・非刺激生成及び短干渉RNA(siRNA)によりガイドされるdsRNAのRdRP媒介・非刺激生成は或る微生物ではRNAiのトリガリングが必要である。RdRPのランブル鞭毛虫相同性が同定された。このRdRP遺伝子155,257Daの基礎タンパク質を符号化する。この基礎タンパク質は他の真核性RdRPと高い相同性を共有し、そして、同定遺伝子の原生動物特性を示すランブル鞭毛虫ウイルス16により符号化されたものとは著しく異なる。
【0026】
ランブル鞭毛虫RdRP転写はRT-PCR及びノーザンブロットにより裏付けられた。また、その局在化はヘムアグルチニン(赤血球凝集素)で標識された発現(HA)により評価された。ランブル鞭毛虫RdRPはおそらく、小胞体の細胞質サイド上に存在するリボソームに結合されている。更に、この酵素はトロホゾイト内で活性である。なぜなら、この酵素は、相同性VSPRNAの存在下でインビトロで高分子量RNAを生成できるからである(図3参照)。RNAの特徴は、dsRNA特異性DicerRNaseによりdsRNAを21-25-ヌクレオチドsiRNAに減成することである。予めランブル鞭毛虫Dicer相同性を同定した。その構造を解明した。また、組換えタンパク質のインビトロDicer活性度を例証した(Macrae,I.J. et al. Science 311, 195-198(2006)参照)。
【0027】
ランブル鞭毛虫ゲノムデータベースにおける相同性遺伝子をサーチするためにショウジョウバエのDicer-1配列を使用し、Dicerドメインと高度な相同性を有する幾つかのクローンを同定した。PCRと後からのゲノムライブラリーとの比較により、2種類の独立したORFが観察された。これは既知のDicer酵素内に存在するドメインを含有している。一つは、PIWI及びPAZドメインを有するアルゴノートタンパク質(gAgo, ジェンバンクアクセス番号AY142142)であり、もう一つは、bidentedRNaseIII(gDicer, ジェンバンクアクセス番号AY142144)である。後者は、RISC及びRNAの各々の他の成分と相互作用する酵素中におそらく含まれるロイシンジッパーモチーフとPAZドメインを含有する。
【0028】
図3に示される結果によれば、Dicer酵素は細胞質の場所と共に完全ランブル鞭毛虫のライフサイクル中に構成的に発現する(図3参照)。ランブル鞭毛虫Dicer活性度を評価するために、インビトロアッセイを行った。放射性同位元素で標識されたdsRNAを後核(post-nuclear)ランブル鞭毛虫抽出物に曝露させた。図4aに示される結果は、標識された遺伝子及びストランド(センス、アンチセンス又は両方)に関係無く、dsRNAは20-30個のヌクレオチドの小型RNAフラグメントに処理されたことを例証している。この処理は、ATPの存在により真核生物が高くなるにつれて促進される(図4b参照)。これらの実験から得られた小型RNAは、5'-P及び3'-OH末端を有するsiRNAと同様にクローン化することができる。 これらのsiRNAの配列決定は、これらが入力VSP遺伝子から由来するものであり、かつ、これらは22-25個のヌクレオチド長であることを示している。結果を下記の表1に示す。下記の表1において「sense small」は『センス小型』を意味し、「antisense small」は『アンチセンス小型』を意味する。
【0029】
表1−1
表1−2
表1−3
【0030】
表1に示された結果から明らかなように、PIWI及びPAZドメインにより単一のランブル鞭毛虫アルゴノートタンパク質(GiardiaAGO)が同定された。その発現はノーザンブロット法により評価した。また、その細胞局在化はタンパク質のヘムアグルチニン(赤血球凝集素)タグ付バージョンの発現により決定された。GiardiaAGOは細胞質に局在化する。
【0031】
VSP発現の調整
この実験において、多数の相同性VSP転写体の出現は、幾つかのVSP遺伝子の転写が起こった後に、ランブル鞭毛虫RdRPによりアンチセンスRNAの生成を指図できる。更に、Dicer(及び、恐らくAGO)の存在及び活性度は、RNAi様機構がランブル鞭毛虫における表面抗原変異の発現の調整に関与していることを示唆している。
【0032】
ランブル鞭毛虫PTGS機構が、インビトロで産生された1種類、2種類又は3種類の異なるVSP転写体とランブル鞭毛虫細胞質抽出物と混合することにより、異なるVSPmRNAの存在を識別出来るか否か分析した。2種類以上の標識付mRNAをRNAi機構を有するトロホゾイト抽出物と一緒にインキュベーションした時、小型VSPRNAが生成された。これは、Dicer活性度アッセイ生成物と同一パターンを有していた(図4a及び図4cを比較されたい)。これに対して、単一の転写体がインキュベーションされるときは何時も、mRNAの減成は起こらなかった。更に、(嚢胞壁タンパク質2を符号化する)非関連遺伝子cwp2又は(グルタミン酸デヒドロゲナーゼを符号化する)gdhを単一の放射性同位元素標識付VSPmRNAに添加した場合でも、小型mRNAへの減成は検出されなかった(図4c参照)。この事実は、サイレンス機構が相同性RNAを特異的に処理することを意味する。異なるランブル鞭毛虫遺伝子(例えば、WBA6、WB1267又はGSH7)由来の細胞抽出物を使用した場合にも同様な結果が得られた。他の相同性VSP遺伝子と併用された場合にはvsp9B10RNAは小型RNAに処理されたが、VSPだけが反応混合物に添加されたときはvsp9B10RNAは小型RNAに処理されなかった(図5参照)。内在性siRNA及び様々なセンス及びアンチセンスVSPRNAのトロホゾイト抽出物における存在は確かにサイレンシングプロセスを妨げないことが明らかになった。これらの実験で使用されたVSPmRNAはインビトロで合成されるので、サイレンス機構は、如何なる転写後RNA変性の不存在下でも相同性mRNAを識別できることは明かである。センス及びアンチセンスVSP転写がランブル鞭毛虫において発見されたこと及びDicer活性度が実験的に実証されたことを考慮して、VSPdsRNA減成から得られた小型RNAを探索した。
【0033】
ランブル鞭毛虫WB9B10及びWB1267クローンにおいて、ノーザンブロットアッセイ用に分部的に消化されたvsp9B10RNAプローブを使用すると、発現されないVSP(この場合はVSP1267)について小型RNAが検出されたが、WB9B10クローンの表面上に発現されるVSP9B10については小型RNAは検出されなかった(図4d参照)。これらの結果は、単一のVSP転写がこのサイレンシングプロセスをどのようにして回避するか、また、どのようにして寄生体の表面で翻訳され、かつ、発現されるかという疑問を惹起させる。
【0034】
異なるVSP転写濃度が抗原変異に役割を有するか否か証明するために、vsp9B10及びvspH7(ジェンバンク登録番号AAA18202)の両方の錐状体により、又は、deα-チューブリン(微小管構成タンパク質)遺伝子のような強力なプロモーターの制御下でvsp9B10アンチセンス領域含有構築により、インビボ(in vivo)でのVSP発現を不平衡化させた(Touz,M.C.,Gotting,N.,Nash,T.E.&Lujan,H.D.,J.Biol.Chem.277,50557-50563(2002)及びErmendorf,H.G. et al., Mol.Biochem.Parasitol.113,157-169(2001)参照)。VSPH7は選択薬物の圧力下でも可変発現を示した。また、VSP9B10も時間の経過につれて減少した(図6参照)。そのうえ、VSP9B10がノックダウンされた場合、寄生体表面上のその発現は対照よりも速く減少した(図7参照)。これらの結果は、VSPのプロモーター領域はVSP発現に殆ど又は全く影響を与えないこと示唆している。従って、PTGS機構はランブル鞭毛虫抗原変異に含まれなければならないことを示唆している。
【0035】
更に、異なるVSP転写濃度が不平衡化されたインビトロ実験は、mRNA濃度が、サイレンシング機構を回避し、そして翻訳されるべき所定のVSPに関連していることを実証した(図8参照)。これらの結果は、ランブル鞭毛虫抽出物は特定のVSP転写体を非変性の状態に維持するようにプログラムされているが、異なるVSP濃度が一層高い(所定の転写の処理が各VSPの相対的細胞質濃度に依存する)場合よりもRNA減成を開始できることを示唆する。
【0036】
ランブル鞭毛虫RdRP、Dicer及びAGOのサイレンシング
ランブル鞭毛虫の倍数性及び核が2個存在するために、ランブル鞭毛虫における特定の遺伝子サイレンシングは不可能なので、トロホゾイトのアンチセンス転写体の一部の構成的発現によるランブル鞭毛虫RdRP、Dicer及びAGOの発現をノックダウンすることにより抗原変異中の特徴的RNAi成分の関与を示すための直接試験を行った。RdRP(RdRP-AS)又はDicer(Dicer-AS)の発現減少が起きた場合(図9参照)、その表面に2種類以上のVSPを発現するトロホゾイトが産生された。このトロホゾイト産生は、特異的モノクローナル抗体(図10a及び表2参照)、フローサイトメトリー(図10b参照)及びウエスタンブロット(図10c参照)を用いる免疫蛍光測定法により決定した。ランブル鞭毛虫AGOのサイレンシングは可変クローンを全く産生しなかった。この事実は、この分子が寄生体にとって必須成分であることを示唆する。Dicer又はRdRPがノックダウンされた本発明のトロホゾイトは、増殖しそして通常のように培養物を包嚢し、サイレンシング又はノックダウン処置が適用されてもVSP調整に対して有害な作用を及ぼさない(表2参照)。本明細書に記載した教示から、変性原生動物(例えば、変性マラリア原虫原生動物、トリパノソーマ原生動物又は抗原変異機構を示すその他の全ての原生動物など)を得るために、Dicer、RdRP又はその両方をサイレンスさせるか又はノックダウンさせることができる。
【0037】
表2
ノックダウン又はサイレンスされたRdRP(RdRP-AS)及びDicer(Dicer-AS)を有するランブル鞭毛虫(Giardia)におけるvsp発現の定量分析
VSP 無し ニセ GiardiaRdRP-AS GiardiaRdRP-AS
VSP9B10 99±0.5 98±1.2 90±0.6 18±2.0
VSP1267 0 0.5±0.12 96±0.2 22±0.9
VSPA6 0 0 48±2.3 17±1.3
VSPS1 0 0 62±4.1 36±2.1
VSPS2 0 0 33±1.1 28±3.9
VSPS7 0 0 73±0.3 65±4.4
【0038】
表2は特定のVSPを発現するランブル鞭毛虫トロホゾイトの百分率(%)を示す。これらの値は免疫蛍光測定法により決定した。この測定法では、5日間培養した後に、RdRP及びDicerをコード化するランブル鞭毛虫遺伝子のアンチセンス構築物が形質移入されたWB9B10トロホゾイトで特異的モノクローナル抗体(Mab)を使用した。例えば、WB9B10についてはモノクローナル抗体9B10を使用し、VSP1267についてはモノクローナル抗体5Clを使用し、VSPA6についてはモノクローナル抗体6A7を使用し、VSPS1についてはモノクローナル抗体1B2を使用し、VSPS2についてはモノクローナル抗体7B8を使用し、VSPS7についてはモノクローナル抗体6F8を使用した。表中の「ニセ」は空プラスミド単独による形質移入の結果を示し、「無し」は形質移入無しの結果を示す。対照として、ヤギ抗マウス免疫グロブリンを使用した。反応は全く示されなかった。データは3個の個別実験(各実験は2回行った)の平均値±SD(標準偏差)として示されている。各%の加法から判断すると、これらの結果は、多くの異なるVSPが単一のトロホゾイトにより発現され得ることを示している。
【0039】
図10bから認められるように、クローンは明確な単一のVSP発現パターンを示したが、RdRP-AS及びDicer-ASトロホゾイトは、各トロホゾイト毎に2種類以上のVSPの発現を明示した。
【0040】
図10cに示されるように、特異的モノクローナル抗体(抗VSP9B10)は9B10クローン及び変性トロホゾイトにおいて一本のバンドを認識するだけであるが、本発明の12F1モノクローナル抗体は変性トロホゾイトにおいて多数のタンパク質種と反応する。この事実は、RNAiパスウェイが遮られるか又はサイレンスされる場合、多数のVSPを同時に発現させ得ることを示している。
【0041】
要約すると、(少なくともRdRP及びDicerからなる)PTGS系はランブル鞭毛虫における表面抗原発現の調整に関与される。実験及び自然ランブル鞭毛虫感染宿主の両方における体液免疫反応はオリジナルVSPの排除も同時に起こすので、表現型変異の選択及び感染過程における細胞及び抗体の機能的役割が提案された。特異的免疫反応に対する寄生体防御が免疫学的に別個の表面タンパク質間の発現のスィッチングに依拠すると仮定すれば、宿主が特異的免疫反応による感染を阻止できる一つの方法は、全ての表面抗原決定因子に対する抗体を産生することによる。これらの結果は、RNAi機構構成成分の消失調整がトロホゾイト又は原生動物における2種類以上の表面タンパク質の発現を行うことを実証する。これらの変性原生動物は重要なヒト又は動物病原体に対する又は抗原変異性を有する全ての病原性微生物(例えば、マラリア原虫又はトリパノソーマ)に対するワクチン生成用の基本的ツールを構成する。
【0042】
使用されるサイレンシング方法と関係無く、表面タンパク質の完全レパートリーを発現するように変性された全ての原生動物が本発明の範囲内に含まれる。
【0043】
同様に、原生動物における全てのRdRP又はDicerサイレンシング方法も本発明の範囲内に含まれる。
【0044】
全てのVSPレパートリーを発現する変性ランブル鞭毛虫がワクチンとして使用できるか否か決定するために、実験的スナネズミランブル鞭毛虫症モデルにおける研究を行った。最初に、本実施例に示されるようなランブル鞭毛虫Dicer(DAS)又はランブル鞭毛虫RdRP(RAS)発現をノックダウンすることによる発現完全VSPレパートリーのアイゾレーションからトロホゾイトにWBを産生させた。更に、表面VSPだけを発現するトロホゾイト個体群は所定のVSPに対するモノクローナル抗体を使用することにより制御されるWB及びGS細胞アイゾレーションにおける限界希釈により得た。図11は、例えば、VSP9B10(緑色)及びVSP1267(赤色)の共局在化(黄色)を示す直接免疫蛍光分析法で示されるように、Dicer(図11a参照)又はRdRP(図11b参照)がサイレンスされたトロホゾイトがその表面上に多数のVSPを発現することを示す。この図から明らかなように、殆どのトロホゾイトはその表面上に2種類以上のVSPを発現する。その表面上に異なるVSPを発現する細胞の百分率は、異なるVSPに対して差し向けられたモノクローナル抗体のパネルを使用することにより決定した(下記の表3参照)。
【0045】
表3
モノクローナル抗体 WB9B10 DAS RAS DAS+RAS
対照 0 0 0 0
9B10 99 78 67 75
5Cl 0 96 51 93
6E7 0.1 89 93 84
G10/4 0 0 0 0
9C9 0 0 0 0
1B2 0 66 92 91
7B8 0 89 74 84
6F8 0 87 46 71
7G8 0 90 89 88
1B4 0 77 52 68
【0046】
これらの%は細胞がその表面上に大量のVSP(>100%)を同時に発現したことを実証している。これらの変性トロホゾイトは成長し、野生型細胞としてインビトロで包嚢する。このことは、これら酵素のサイレンシングが他の細胞プロセスにより干渉されないことを示している。培養中、トロホゾイトは一方のVSPから他方のVSPに内発的に切り替わる。従って、それらの表面上に特異的VSPを発現する細胞の個体群は、個体群の相同性を確保するために、クローニング及び選別の後に、24時間にわたって培養液中に独占的に維持される。図11eは、WBアイソレートの非クローン化培養物の全トロホゾイトは(透過処理後)、全ての既知VSPに普遍的なCRKGA細胞質側末端に特異的な本発明のモノクローナル抗体で標識することができることを示している。DAPIと対照をなす間接免疫蛍光分析法により決定されるような唯1種類のVSP(VSP9B10、VSP1267、VSPA6)を発現するトロホゾイトのクローナル個体群は、図1d-1f(それぞれモノクローナル抗体9B10、モノクローナル抗体5Cl、モノクローナル抗体6E7に対応する)で観察することができる。ランブル鞭毛虫個体群はSPFスナネズミを感染させるために最初に使用される。感染は経口胃トロホゾイト接種と嚢胞分泌で開始され。これは明らかに動物感染を示す。ランブル鞭毛虫嚢胞は、特異的CWP2モノクローナル抗体(Mab7D2)で免疫蛍光分析法により糞便サンプル中で評価され、かつ同定される。更に、各変性型及び野生型細胞個体群の感染力及び病原性を決定するために、これらの動物により生成された糞便1g当たりの嚢胞量を計測した。図12aは、全個体群が健康なスナネズミに感染を起こさせたことを示している。糞便サンプル中の嚢胞発生の徴候及び嚢胞量は使用される異なるトロホゾイト間で僅かに変動した。小腸内のトロホゾイトの存在を検証するために、何匹かの動物を殺処分し、そして腸内容物を回収した。感染動物は第2感染週中に何らかの下痢症状を示し、また、何匹かの動物は体重が減少した。少量のトロホゾイトにより何匹かの慢性的に感染された動物の見込みを防ぐために、動物のうちの半数をメトロニダゾール(抗原虫薬)で処理し、全ての検出不能感染を治療した。
【0047】
特定のVSP(VSP9B10及びVSP1267)を発現するトロホゾイトによる初期感染又は完全VSPレパートリー(DAS、RAS、DAS+RAS)を発現するトロホゾイトによる初期感染が後の感染に対して動物を保護するか否か決定するために、初期感染が自然治癒した後2ヶ月してから、何匹かの動物に特異的VSP(VSP9B10及びVSP1267)を発現するトロホゾイトのクローン個体群を接種した。図12b及び12cはそれぞれVSP9B10又はVSP1267に予め感染させられた動物における嚢胞消失の結果を示す。図12d及び12eはそれぞれDAS又はRASに予め感染させられた動物の結果を示す。これらの結果は明らかに次の(a)〜(c)の事項を示す。すなわち、(a)1種類の単一VSPを発現するトロホゾイトに感染された動物は同じVSPを発現する細胞による二次感染に対して免疫性がある。この事実は、所定の表面タンパク質(図12a及び図12b参照)に対する初期感染中に強力な免疫応答が発達したことを示唆する。(b)特定のVSPを発現する細胞に感染された動物は異なるVSPを発現するトロホゾイトに容易に再感染する。この事実は、ヒトの感染観察と同様に、治癒又は医学的治療(図12b及び図12c参照)の後の再感染が一般的であることを示唆する。(c)これに対して、完全VSPレパートリーを発現するトロホゾイトの個体群に感染された動物はこれらの表面上に唯1種類のVSPを発現するクローン個体群(図12d及び図12e参照)によるその後の感染に対して保護された。同じ実験的攻撃を初期感染後2,4,6及び12ヶ月後に行った。同じ結果が得られた。結果を下記の表4及び5に示す。表中の「MNZ」はメトロニダゾールの略号である。
【0048】
表4
WB9B10クローントロホゾイトによる攻撃及びスナネズミ感染率(%)
初期感染 スナネズミ MNZ 2ヶ月後攻撃 4ヶ月後攻撃 12ヶ月後攻撃
物質 頭数 処理 (感染率:%) (感染率:%) (感染率:%)
無し 30 有 30+ (100%) N/A N/A
無し 30 無 30+ (100%) N/A N/A
WB9B10 30 有 30- (0%) N/A N/A
WB9B10 30 無 29-1+ (3.3%) N/A N/A
WB1267 30 有 30+ (100%) N/A N/A
WB1267 30 無 29+1k (100%) N/A N/A
WBA6 30 有 30+ (100%) N/A N/A
WBA6 30 無 30+ (100%) N/A N/A
Dicer-AS 90 有 27-3+ (10%) 30- (0%) 30- (0%)
Dicer-AS 90 無 29-1k (0%) 28-2k(0%) 27-3k(0%)
RdRP-AS 90 有 29-1+ (3.3%) 29-1k (0%) 29-1k (0%)
RdRP-AS 90 無 28-2+ (6.6%) 28-2k(0%) 29-1k (0%)
Dicer-AS+ 90 有 28-1+1k(3.3%) 30- (0%) 29-1+ (3.3%)
RdRP-AS
Dicer-AS+ 90 無 29-1k (0%) 29-1+ (3.3%) 30- (0%)
RdRP-AS
【0049】
表5
WB1267クローントロホゾイトによる攻撃及びスナネズミスナネズミ感染率(%)
初期感染 スナネズミ MNZ 2ヶ月後攻撃 4ヶ月後攻撃 12ヶ月後攻撃
物質 頭数 処理 (感染率:%) (感染率:%) (感染率:%)
無し 30 有 30+ (100%) N/A N/A
無し 30 無 30+ (100%) N/A N/A
WB9B10 30 有 30+ (100%) N/A N/A
WB9B10 30 無 30+ (100%) N/A N/A
WB1267 30 有 30- (0%) N/A N/A
WB1267 30 無 29-1+ (3.3%) N/A N/A
WBA6 30 有 30+ (100%) N/A N/A
WBA6 30 無 30+ (100%) N/A N/A
Dicer-AS 90 有 28-2+ (6.6%) 28-1+1k(3.3%) 30- (0%)
Dicer-AS 90 無 29-1+ (3.3%) 29-1d (0%) 29-1k(0%)
RdRP-AS 90 有 29-1+ (3.3%) 29-1+ (3.3%) 29-1+ (3.3%)
RdRP-AS 90 無 28-1+ 1k(3.3%) 28-2k(0%) 30- (0%)
Dicer-AS+ 90 有 28-2+ (6.6%) 29-1+ (3.3%) 29-1k (0%)
RdRP-AS
Dicer-AS+ 90 無 30- (0%) 30- (0%) 30- (0%)
RdRP-AS
【0050】
ランブル鞭毛虫CEP2に対して標的化されたモノクローナル抗体を使用して選択された動物の糞便について行われた免疫蛍光分析法は明らかに感染動物の嚢胞分泌とこれらの保護の不存在を示した(図13参照)。観察されるように、WB9B10クローンに予め感染された動物は同じクローン(糞便中には嚢胞は発見されなかった)によるその後の感染に対して抵抗性であったが、これらの動物はVSP1267を発現するトロホゾイト(非常に多量の嚢胞が検出された)に感染した。DAS又はRASトロホゾイトに予め感染したスナネズミはWB9B10又はWB1267クローン(糞便のサンプル内には嚢胞は発見されなかった)によるその後の感染に対して保護された。
【0051】
(分泌されたトロホゾイトの未知VSPの)初期感染で得られた嚢胞がこれらの動物を感染させることができるか否か確かめるために、DAS、RAS及びDAS+RAS個体群で予め感染されたスナネズミに大量の嚢胞を接種した。結果を表6に示す。表6に示された結果から明らかなように、特定のトロホゾイト個体群を接種された動物と同様に、対照のスナネズミと比較して、動物は感染に対して抵抗性であった。要するに、これらの結果は、全てのVSPに対する免疫応答が新規な感染の発生に必要であることと明確に示している。
【0052】
表6
嚢胞感染による攻撃及びスナネズミ感染率(%)
初期感染 スナネズミ MNZ 2ヶ月後攻撃 4ヶ月後攻撃 12ヶ月後攻撃
物質 頭数 処理 (感染率:%) (感染率:%) (感染率:%)
無し 30 有 30+ (100%) N/A N/A
無し 30 無 30+ (100%) N/A N/A
WB9B10 30 有 30+ (100%) N/A N/A
WB9B10 30 無 29+1k(100%) N/A N/A
WB1267 30 有 30+ (100%) N/A N/A
WB1267 30 無 29+1k(96.6%) N/A N/A
WBA6 30 有 30+ (100%) N/A N/A
WBA6 30 無 30+ (100%) N/A N/A
Dicer-AS 90 有 30- (0%) 30- (0%) 30- (0%)
Dicer-AS 90 無 29-1k (0%) 30- (0%) 29-1k(0%)
RdRP-AS 90 有 29-1+ (3.3%) 29-1k (0%) 29-1k (0%)
RdRP-AS 90 無 29-1+ (3.3%) 28-1+1k(3.3%) 29-1k (0%)
Dicer-AS+ 90 有 29-1+ (3.3%) 30- (3.3%) 30- (0%)
RdRP-AS
Dicer-AS+ 90 無 29-1+ (3.3%) 29-1+ (3.3%) 29-1k (0%)
RdRP-AS
【0053】
更に、初期感染中に観察された症候は攻撃感染中に消失した。これらの結果は新たな感染を防ぐために全てのVSPに対する免疫応答の必要性を再び示している。
【0054】
他方、感染動物及び対照動物から血清と腸内容物を得た。そして、これらを1種類又は数種類のVSPを発現するトロホゾイトと共にインビトロ実験にかけた。非感染動物の血清又は腸内容物は寄生体の形態、生存率又は運動性に対して無効であった(図14参照)。これに対して、単一のVSPを発現するトロホゾイトのクローン個体群を前記タンパク質に対して標的化されたモノクローナル抗体又は前記のように感染された動物の血清又は腸内容物と共にインキュベーションした場合、全個体群のディスアタッチメント及び凝集が起きた。この事実は、表面タンパク質に対する抗体の存在を示唆する。別種のクローンに感染されたスナネズミの血清又は腸内容物とのインキュベーションでは顕著な効果は示されなかった(図14参照)。クローン個体群をサイレンスされたDicer又はRdRPに感染されたスナネズミ由来の血清又は腸内容物と直面させた場合、強烈なトロホゾイト凝集が起きた(図14参照)。これらの結果は、感染スナネズミはトロホゾイト内に存在するVSPに対する強烈な免疫反応を発現させることができ、細胞表面に存在するかもしれないその他の抗原は、抗原産生ばかりでなく後の感染に対する保護を付与することにも無関係であることを示している。
【0055】
更に、単離GS/M(アセンブリーB)のトロホゾイトに対する分泌液。この場合、DAS及びRASトロホゾイトを有する感染動物の血清及び腸内容物は部分的な細胞凝集(凝集率30〜40%)を示した。この事実は、これらのアセンブリーがこれらのVSP内の幾つかの共通エピトープを共有していることを示す。
【0056】
他方、CRKGAアミノ酸配列を有するVSP細胞質側尾部に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ系が得られた。
【0057】
精製VSPによるスナネズミの免疫化
全VSP内に存在する細胞質側尾部の5個のアミノ酸に対して反応するモノクローナル抗体を用いて変性DAS及びRASトロホゾイト(実施例参照)から完全VSPレパートリーを精製した。対照として、ランブル鞭毛虫細胞内抗原GRP78/BiPを過剰発現させ、そして、免疫精製した。次いで、3日間、所定の投与量で3回経口胃投与することにより、これらのアジュバント不含有タンパク質製剤でスナネズミを免疫化させたあ。全ての事例において、ワクチン接種は疾患の症候を引き起こさなかった。この事実は、VSP単独では動物に対して有毒ではないことを示す。動物感染は糞便中の嚢胞を計数することによりモニターし、また、或る場合には、小腸内のトロホゾイトの存在を観察するために、動物を殺処分した。完全VSPレパートリーによる経口免疫化は強烈な免疫応答を発生する。この免疫応答は動物感染を防止する。同様な結果は一次感染中にも観察された。更に、溶媒又はGRP78/BiPが接種された対照動物はクローントロホゾイト個体群に即座に感染した(図15参照)。
【0058】
免疫原として使用された個別的精製VSPも前記の感染実験で観察された結果と同一の結果を示した。完全VSPレパートリー製剤により生み出された保護は少なくとも1年間は持続した。この結果を下記の表7、8及び9に示す。
【0059】
表7
WB9B10クローントロホゾイトによる攻撃及び精製VSPによる免疫化後のスナネズミ感染率(%)
初期感染 スナネズミ MNZ 2ヶ月後攻撃 4ヶ月後攻撃 12ヶ月後攻撃
物質 頭数 処理 (感染率:%) (感染率:%) (感染率:%)
無し 30 有 30+ (100%) N/A N/A
無し 30 無 30+ (100%) N/A N/A
WB9B10 30 有 30- (0%) N/A N/A
WB9B10 30 無 28-2+(6.6%) N/A N/A
WB1267 30 有 30+ (100%) N/A N/A
WB1267 30 無 30+ (100%) N/A N/A
WBA6 30 有 30+ (100%) N/A N/A
WBA6 30 無 30+ (100%) N/A N/A
Dicer-AS 90 有 25-5+ (16.6%) 27-3+ (0%) 28-1+1k(3.3%)Dicer-AS 90 無 26-3+1k(10%) 25-1+4k(3.3%) 27-3+(10%)
RdRP-AS 90 有 28-2+ (6.6%) 28-1+1d(3.4%) 28-1+1k(3.3%)
RdRP-AS 90 無 26-2+2k(6.6%) 27-2+1k(6.6%) 30- (0%)
Dicer-AS+ 90 有 29-1+ (3.3%) 29-1+ (3.3%) 30- (0%)
RdRP-AS
Dicer-AS+ 90 無 29-1k (0%) 29-1+ (3.3%) 29-1k (0%)
RdRP-AS
BiP 30 有 30+ (100%) N/A N/A
BiP 30 無 30+ (100%) N/A N/A
【0060】
表8
クローンWB1276トロホゾイトによる攻撃及び精製VSPによる免疫化後のスナネズミ感染率(%)
初期感染 スナネズミ MNZ 2ヶ月後攻撃 4ヶ月後攻撃 12ヶ月後攻撃
物質 頭数 処理 (感染率:%) (感染率:%) (感染率:%)
無し 30 有 30+ (100%) N/A N/A
無し 30 無 30+ (100%) N/A N/A
WB9B10 30 有 30+ (100%) N/A N/A
WB9B10 30 無 30+ (100%) N/A N/A
WB1267 30 有 30- (0%) N/A N/A
WB1267 30 無 29-1+ (3.3%) N/A N/A
WBA6 30 有 30+ (100%) N/A N/A
WBA6 30 無 29+1k(100%) N/A N/A
Dicer-AS 90 有 29-1+ (3.3%) 27-2+1k(6.6%) 29-1+(3.3%)
Dicer-AS 90 無 27-3+1(10%) 24-2+4k(10%) 29-1+(3.3%)
RdRP-AS 90 有 28-2+ (6.6%) 29-1+ (3.3%) 28-2k (0%)
RdRP-AS 90 無 26-3+1k(10%) 29-1+ (3.3%) 30- (0%)
Dicer-AS+ 90 有 29-1+ (3.3%) 29-1+ (3.3%) 29-1k (3.3%)
RdRP-AS
Dicer-AS+ 90 無 29-1k (0%) 29-1+ (3.3%) 29-1k (3.3%)
RdRP-AS
BiP 30 有 30+ (100%) N/A N/A
BiP 30 無 30+ (100%) N/A N/A
【0061】
表9
嚢胞感染の攻撃及びスナネズミ感染率(%)
初期感染 スナネズミ MNZ 2ヶ月後攻撃 4ヶ月後攻撃 12ヶ月後攻撃
物質 頭数 処理 (感染率:%) (感染率:%) (感染率:%)
無し 30 有 30+ (100%) N/A N/A
無し 30 無 30+ (100%) N/A N/A
WB9B10 30 有 30+ (100%) N/A N/A
WB9B10 30 無 29+1k(100%) N/A N/A
WB1267 30 有 30+ (100%) N/A N/A
WB1267 30 無 30+ (100%) N/A N/A
WBA6 30 有 29+1- (96.6%) N/A N/A
WBA6 30 無 30+ (100%) N/A N/A
Dicer-AS 90 有 27-3+ (10%) 27-3+(10%) 28-2+(6.6%)
Dicer-AS 90 無 25-3+2k(10%) 23-2+5k(10%) 30- (0%)
RdRP-AS 90 有 30- (0%) 28-1+1k (3.3%) 29-1+ (3.3%)
RdRP-AS 90 無 28-2+ (10%) 27-1+2k (6.6%) 29-1+ (3.3%)
Dicer-AS+ 90 有 29-1+ (3.3%) 29-1+ (3.3%) 29-1k (0%)
RdRP-AS
Dicer-AS+ 90 無 29-1+ (3.3%) 29-1k (0%) 29-1k (0%)
RdRP-AS
BiP 30 有 30+ (100%) N/A N/A
BiP 30 無 30+ (100%) N/A N/A
【0062】
興味深いことに、ランブル鞭毛虫感染は時々免疫化を示さないことがあるが、外寄生されたスナネズミの腸はバイエル板のサイズの増大及び腸上皮における浸潤好中球、肥満細胞及びリンパ球のサイズの増大を示したことを指摘しなければならない。高い小腸の巨視的及び微視的変化は免疫化スナネズミでは明白ではなかった(図16参照)。
【0063】
これらの結果は、初期感染及びVSP製剤による免疫化の両方とも動物に免疫保護を付与することができることを示している。この免疫保護は、ランブル鞭毛虫嚢胞又は感染したヒトの糞便サンプルから得られたクローンによる二次感染を防止することができる。
【0064】
前記の表4〜9の全てにおいて、「N/A」は『該当無し』を意味する。また、「d」は腸寄生体を検出するために殺処分された動物を意味する。
【0065】
本発明の変性原生動物及びワクチンは、宿主の免疫反応を打ち破るための抗原変異機構を有する原生動物により発生される感染に対して全ての哺乳動物の免疫性を高める。明らかに、寄生体は前記機構を有する任意の原生動物(例えば、マラリア原虫、トリパノソーマ、バベシア等)であることができる。
【0066】
野生型及び変性又はサイレンス原生動物の両方とも15日目の嚢胞最大排出で感染を発症し、30日目に自己解決した。
【0067】
メトロニダゾール(MNZ)で処理した又は処理しなかった動物は二次感染に対して相似的保護パターンを示した。
【0068】
野生型及び変性(サイレンス)の両方のタイプのトロホゾイトにより産生された嚢胞は天然のスナネズミに対して感染性である。
【0069】
その表面上に唯1種類のVSPを発現する生ランブル鞭毛虫で感染されたスナネズミは同じクローンによる二次感染に対して保護される。
【0070】
その表面上に唯1種類のVSPを発現する生ランブル鞭毛虫で感染されたスナネズミは異なるクローンによる二次感染に対して保護されない。
【0071】
例えば、Dicer又はRdRPのサイレンシングにより完全VSPレパートリーを発現する生ランブル鞭毛虫で感染されたスナネズミは異なるクローン個体群による二次感染に対して保護される。
【0072】
例えば、Dicer又はRdRPのサイレンシングにより完全VSPレパートリーを発現する生ランブル鞭毛虫で感染されたスナネズミはヒトの糞便サンプルから得られた嚢胞による二次感染に対して保護される。
【0073】
例えば、Dicer又はRdRPのサイレンシングにより完全VSPレパートリーを発現する死滅ランブル鞭毛虫で感染されたスナネズミは異なるクローン個体群による二次感染に対して保護される。
【0074】
精製VSPで感染されたスナネズミは異なるクローン個体群による二次感染に対して保護される。
【0075】
精製細胞内抗原で感染されたスナネズミは二次感染に対して保護されない。
【0076】
完全VSPレパートリーを発現する細胞による一次感染は二次感染に対して動物を保護(保護率87%〜100%)する免疫応答を発生する。
【0077】
ワクチン製剤で動物に対して毒性効果を示したものは皆無である。
【0078】
以下、実施例により本発明を更に詳細に例証する。
【実施例1】
【0079】
寄生体培養及びクローニング
ランブル鞭毛虫を、成牛の血清及び胆汁が補足されたTY-33培地中で培養した(Lujan,H.D.,Mowatt,M.R.,Conrad,J.T.,Bowers,B.及びNash,T.E.,J.Biol.Chem.270,29307-29313(1995))。対応する抗VSPモノクローナル抗体を用いて免疫蛍光分析法に基づく限界希釈及び選択によりトロホゾイトの連続的クローニングを行った。被嚢形成は既に報告されている通りに行った(Lujan,H.D.,Mowatt,M.R.,Conrad,J.T.,Bowers,B.及びNash,T.E.,J.Biol.Chem.270,29307-29313(1995))。WB株クローン9B10、1267及びA6並びにGSクローン株H7のランブル鞭毛虫トロホゾイトを使用した。
【0080】
PCR
Mowatt,M.R.L.,H.D.;Cotten,D.B.;Bowers,B.及びNash,T.E.;Yee,J.;Nash,T.E.;Stibbs,H.H.,
Mol Microbol 15,955-63(1995)に記載された方法に従って全ランブル鞭毛虫DNAを単離した。
【0081】
センスプライマー:S1(5'-CVT GTG CHR RST GCA A-3')(SEQ ID N゜113),S2(5'-TGC ACS RSC TGC YAB CC-3')(SEQ ID N゜114),S3(5'-TAG TGY DSY VMV TGY AA-3')(SEQ ID N゜115)及びS4(5'-CGA TCA TGA CGG GCT TCT-3')(SEQ ID N゜116)。 アンチセンスプライマー:R1(5'-CCB ACG AGG CCY CCS ACG AC-3')(SEQ ID N゜117)及びR2(5'-CGC CTT CCC KCK RCA KAY GA-3')(SEQ ID N゜118)。PCR条件:変性94℃、40分間、ハイブリダイゼーション53℃、40秒間及び伸張72℃、90秒間でTaqポリメラーゼ高忠実度(Invirogen社製)を用いトータル35サイクルで行った。
【0082】
RT-PCR
VSPセンスプライマー(S1-S4)を1μgの総RNAに添加し、70℃で5分間加熱した。前記に列挙された全ての見込みのあるプライマーセンス/アンチセンス組合せを使用するか又は特異的vsp1267及びvsp9B10プライマー(1267_F,5'-ATG TTG TTG ATA GCC TTC TAT C-3')(SEQ ID N゜119); 1267_R,5'-CTA CGC CTT CCC CCT GCA TAT G-3')(SEQ ID N゜120); 9B10_F,5'-ATG TTT GGC AGT TTT GTT CTC-3')(SEQ ID N゜121); 9B10_R,5'-TCA CGC CTT CCC TCT ACA TAT G-3')(SEQ ID N゜122))を用いて、逆転写反応サンプル(2μL)を増幅した。RT-PCR生成物を電気泳動法により分析し、QiaexIIゲル抽出キット(Qiagen社製)により精製した。ランブル鞭毛虫トロホゾイト分化中又はサイレンシング実験中に異なる遺伝子の発現を研究するために、RT-PCRを下記の特異的プライマー対と共に使用した。gDicer(645bp):HL160, 5'-TGG CGG CGT CGT ATC AGT TAT-3')(SEQ ID N゜123)、 HL161, 5'-TCC CCG CAC GCA AGA AGA A-3')(SEQ ID N゜124)、gAgo(912bp): HL-164, 5'-ATT GCC CCC TAC GGT GTC-3')(SEQ ID N゜125)、HL-165, 5'-CTC TGC CGG CCT TCC TAC-3')(SEQ ID N゜126)、gRdRP(569bp): HL187, 5'-CAT GGG TTG CAG TTT CTT GAC GA-3')(SEQ ID N゜127)、HL188, 5'-AGC CCC TTA TCT GTT GCC TCC TTC-3')(SEQ ID N゜128)、yCWP1差示的発現対照(533bp): HL183, 5'-TCG CCC TGG ATG TTT CGG ACA T-3')(SEQ ID N゜129), HL184, 5'-AGG CGG CTC AGG CAG TA-3')(SEQ ID N゜130)及びGDH構成的発現(407bp): HL185, 5'-AGT GGG GCG GGT CTT TAC TCA-3')(SEQ ID N゜131), HL186, 5'-TGT TCG CGC CCA TCT GGT AGT TCT TCT-3')(SEQ ID N゜132)。これらの反応生成物も単離し、下記に示すようにノーザンブロット法のためのプローブとして使用した。
【0083】
ノーザン・ハイブリダイゼーション
総RNA(10〜15μg)を1.2%アガロース・ホルムアルデヒドゲルで分画し、ハイボンド(Hybond)N+(GE社製)に移し、常法によりUV架橋剤(UVP社製)で固定させた。保存されたC-末端フラグメント(アンチセンスプライマーR2)を、γ-[32P]-ATP(5'末端標識系、Promega社製)を用いてT4ポリヌクレオチドキナーゼと共に放射性同位元素標識した。grdrpおよびその他のDANフラグメントはランダムプライミング(プライム-A-遺伝子標識系、Promega社製)により一律に標識した。
【0084】
核ランオン分析
細胞を4℃の氷冷溶解バッファー(10mM Tris-HCl pH8.4, 1.5mM MgCl2, 0.14M NaCl及び完全プロテアーゼ阻害剤カクテル)1mLに再懸濁させた。2.25μlのNonidet(ノニデット)P-40(界面活性剤)を添加し、懸濁液を氷上で15分間インキュベーションした。2000gで1分間遠心分離することにより核を回収し、4℃の氷冷核洗浄バッファー(20mM Tris-HCl pH8.4, 140mM KCl, 10mM MgCl2, 20%(V/V)グリセロール及び14mM β-メルカプトエタノール)1mLで2回洗浄した。次いで、この核を50μLのラベリングバッファー(20mM Tris-HCl (pH8.4, 4℃), 10mM MgCl2, 20%(V/V)グリセロール及び14mM β-メルカプトエタノール, 各1mMのATP, GTP及びCTP, 10mM ホスホクレアチン, 100μg/mLホスホクレアチンキナーゼ並びに0.1μM[32P]UTP, 5000μCi/mL)に再懸濁させ、37℃で40分間インキュベーションした。RT-PCRによりVSP生成物が産生された。p-GEM T-easyベクター(Promega社製)にクローン化された3μgのvsp9B10、vsp1267、vspH7及びvspA6をスロット・ブロット装置(BioRad社製)を用いてハイボンドN+上に移送した。更に、インビトロ転写反応で産生されたセンス及びアンチセンス転写体も同様な条件下でブロットした。
【0085】
小型RNAの検出
小型RANの検出は既に報告されている方法(35, Hutvagner, G., Mlynarova,L及びNap,J.P., RNA 6, 1445-1454(2000))に従って行った。簡単に言えば、15μgのランブル鞭毛虫総RNAを1Xローディングバッファー中で65℃で10分間にわたって変性し、そして、15%ポリアクリルアミド/7M 尿素ゲル上にロードした。電気泳動により分離した後、RNAを0.5X Trisborate-EDTAバッファー(pH8)中でハイボンドN+メンブラン上に、TBE 0.5Xにおいて100Vで45分間にわたって電気ブロッティングし、最後にUVで固定させた。[32P]標識リボプローブを、p-GEM T-easyベクター(Promega社製)にクローン化されたvsp遺伝子9B10、1267及びH7を用いてT7又はSP6RNAポリメラーゼによりインビトロで転写した。80mM NaHCO3及び160mM Na2CO3の存在下で60℃で1時間にわたってインキュベーションすることにより標識RNAは部分的に加水分解された。各加水分解VSPを25%ホルムアルデヒド、0.5 NaCl、25mM EDTA, 1X Denhardt溶液及び150μg/mL 変性サケ精液DNA中でハイブリダイゼーションさせ、そして42℃で一晩インキュベーションした。ハイブリダイゼーション完了後、メンブランを2X SSC, 0.5% SDSで30分間2回洗浄し、そして、0.5X SSC, 0.5% SDSで45℃で15分間1回洗浄した。続いて、各逆加水分解vsp転写体を同じ方法でハイブリダイゼーションさせ、メンブラン信号をコダック社の-70℃のXARフィルムに曝露させるか又はホスホイメージャー(phosphoimager)(Amersham社製)に曝露させることにより検出した。鎖長は市販のソース(Decade(登録商標)RNAマーカース, Ambion社製)から得た。
【0086】
エンドヌクレアーゼ活性度
ランブル鞭毛虫クローンWB9B10、WBA6又はWB1267の細胞質抽出物と共にdsRNA分子をインキュベーションすることにより、Dicer活性度を分析した。GEM T-easyベクター(Promega社製)にクローン化されたp-vsp9B10、vsp1267、vspH7、cwp2及びgdh遺伝子をインビトロで転写し、全長のセンス[32P]標識RNAプローブを生成した。これらを精製し、そして小型RNA汚染物質の不存在についてテストした。純粋又は混合vsp転写体をランブル鞭毛虫抽出物と共に37℃で1時間インキュベーションした。[32P]UTPで標識されたか又は標識されていない等量の転写センス及びアンチセンスRNA(vsp1267、vsp9B10、cwp2及びgdh)をインビトロでアニーリングすることによりdsRNAを生成した。これらのdsRNAをTris-HCl (pH7.5)/20mM NaCl中に再懸濁させ、95℃で1分間加熱し、そして、12時間かけて室温にまで放冷させた。細胞溶解物を1x107-1x108細胞から産生させた。これを500μLのバッファー(25mL Tris-HCl (pH7.5)、250mM スクロース及び完全TMプロテアー阻害剤カクテル含有)に再懸濁させ、超音波処理し、そして、2000gで15分間遠心分離して非分解細胞と核を分離し、次いで、dsRNAと共に37℃で1時間インキュベーションした。その後、全RNAを抽出し、電気泳動し、そして、小型RNAについて既に説明したようにして移送した。低分子量RNAの選別はMicrocon-100濾過装置により行った。小型RNAを含有する濾液を300mM NaCl/0.6mL イソプロパノールで沈殿させ、20%ポリアクリルアミド/7M 尿素ゲルにロードし、そして電気泳動した。エンドヌクレアーゼ活性度に対するATPの効果を測定するために、ランブル鞭毛虫細胞質抽出物を2mM グルコース/0.1U/μLヘキソキナーゼ(Sigma社製)と共に35℃で30分間インキュベーションすることにより、ATPを涸渇させた。10mM ホスホクレアチン、100μg/mL ホスホクレアチンキナーゼ又はこれら両方の存在下又は不存在下で、[32P]UTP標識vsp1267dsRNAを溶解物に添加した。トリゾールを用いて全RNAを抽出した。このRNAサンプルは、前記のようなMicrocon-100濾過装置を用いた低分子量RNAに富むRNAサンプルであった。このサンプルを電気泳動し、そして生成物を前記に記載したようにして検出した。ランブル鞭毛虫抽出物を用いて処理するdsRNAの生成物をゲル精製し、リゲーションし、増幅し、クローン化、そして配列決定した(Ngo,H., Tschudi、C., Gull,K.及びUllu,e., Proc.Natl.Acad.Sci.USA95,14687-14692(1998))。
【0087】
小型RNAの特性を測定するため、これらをアルカリホスファターゼ(5'ホスフェートの存在の実証のため)で処理するか又は過沃素酸塩酸化とβ-エリミネーション(3'ヒドロキシル基の存在の実証のため)処理を行う(Elbashir,S.M., Lendeckel,W.及びTuschl,T.,Gene Dev 15, 188-200(2001))。
【0088】
RdRPクローニング、配列決定及び活性度
RT-PCRのために、トロホゾイトからの全RNA抽出物及びプライマーとしてのオリゴ(dT)20を用いて、cDNA合成を行った。ランブル鞭毛虫におけるコドン利用知識と共に、幾つかの微生物からの既知RdRPのアライメントは、適度に退化されたプライマーのデザインを可能にする。このようなプライマーは例えば、RdRP_F: (5'-TA(T/C),GT(T/C)TTT AC(T/C)GAT GGC G(C/G)A GG)-3')SEQ ID N゜133及びSEQ ID N゜134; 及びRdRP_R: (5'-TCA CC(A/G) TCC AGG TC(G/A) CTG CC)-3')SEQ ID N゜135及びSEQ ID N゜136などである。これらオリゴヌクレオチドを用いて産生されたPCRを電気泳動し、ゲル精製し、ランダムプライミングにより放射性同位元素で標識し、そしてElbashir,S.M., Lendeckel,W.及びTuschl,T.,Gene Dev 15, 188-200(2001)に報告されているように、λgt22aにおけるランブル鞭毛虫cDNAライブラリのスクリーニングするために使用した。λZAPgDNAライブラリのスクリーニングはElbashir,S.M., Lendeckel,W.及びTuschl,T.,Gene Dev 15, 188-200(2001)に記載されているようにして行った。DNAフラグメントをpBlueScript SKII+にクローン化させ、そして、自動配列決定にかけた。Invitrogen社から市販されているキット及びプライマーの5'-CTT GTG CAT AGT AAA CAA AG-3' SEQ ID N゜137及び5'-CAA ATG GTC GAT GCT GGG-3' SEQ ID N゜138を用いて3,5'-RACEを行った。インビトロにおけるgRdRP活性度について、抗HA-セファロース(Sigma社製)を用いるアフィニティにより形質移入トロホゾイトからHA-タグ付RdRPを精製した。酵素活性度を20μLの反応混合物中で35℃で60分間かけて検定した。この反応混合物は、50mM Hepes(pH7.6)、20mM 酢酸アンモニウム、5mM MgCl2、0.1% Triton X-100、各1mLの4個のリボヌクレオシド トリホスフェート([α-32P]含有)及び1U/μLRNasinを含有し、更に、VSPと寄生プライマーの存在下又は不存在下で前記のようにしてインビトロで転写することにより生成されたssRNAサブストレート(250μg/mL)が添加されていた。反応生成物をアガロースゲル電気泳動、続いて転送及びオートラジオグラフにより分析した。
【0089】
形質移入及び免疫蛍光測定分析
全gRdRP、gDicer、gAgo及びVSPH7を導入し、更に、対応する場合には、TAA停止コドンの前にインフルエンザ・ヘムアグルチニン・エピトームを導入するためにプラスミドPTubPac37を変性させた(Touz,M.C.,Gottig,n.,Nash,T.E.及びLujuan,H.D., J.Biol.Chem.277, 50557-50563(2002))。gAgoコーディング領域をプラスミドpTubNterPacに導入した。ここで、起こるかもしれないHAタグとPIWIドメインとの干渉を避けるために、遺伝子はヘムアグルチニンのコーディング領域の後に導入した。ランブル鞭毛虫のトロホゾイトのトランスフェクション(形質移入)は既報のエレクトロポレーション(電気穿孔法)(Yee,J.及びNash,T.E., Proc.Natl.Acad.Sci. USA 92,5615-5619(1995))により行った。細胞を氷上で10分間インキュベーションし、成長培地中で37℃で一晩培養し、プロマイシン(puromycin)耐性細胞として選別した。公知文献(Touz,M.C.,Gotting,N.,Nash,T.E.&Lujan,H.D.,J.Biol.Chem.
277,50557-50563(2002))に記載されているように、トランスフェクションの後15日目に、抗HA-モノクローナル抗体(Sigma社製)を用いる間接免疫蛍光分析を非被嚢トロホゾイトに対して行った。公知文献(Touz,M.C.,Gotting,N.,Nash,T.E.&Lujan,H.D.,J.Biol.Chem.277,50557-
50563(2002))に記載されているように、固定トロホゾイトにおける異なるVSPの発現をテストするために、抗VSPモノクローナル抗体を使用した。この研究において産生された新規なモノクローナル抗体を同様に使用した。アルゴン/ヘリウム/ネオンレーザとX100(開口数=1.4)油浸対物レンズを備えたツァイス(Zeisss)社製のLSM5パスカルレーザスキャンニング共焦点顕微鏡を用いて共焦点像を集めた。0.3μmの単一共焦点セクションをオーバースリップ(zセクション)に対して平行にした。ツァイス(Zeisss)社製の電荷結合素子(CCD)カメラを用いて像を捕捉し、LSM及びアドビ(Adobe)社製のホトショップ(Photoshop)ソフトウェアで処理した。gRdRP、gDicer及びgAgoの機能的分析のために、VSP9B10特異的センスプライマー(Eco RVサイト含有)及びアンチセンスプライマー(Nco Iサイト含有)を使用し、各遺伝子のORFの一部をPCRにより増幅した。PCR生成物を精製し、制限し、そしてベクターpTubHAPacにクローンさせた。この方法において、遺伝子はpTubHAPac内部に逆に挿入され、アンチセンス構造体が得られた。このアンチセンス構造体はその後、発現の阻止のために使用した(Touz,M.C.,Gotting,N.,Nash,T.E.&Lujan,
H.D., J.Biol.Chem.277,50557-50563(2002))。配列は常に、ダイ・ターミネーター・サイクルシークエンス法により確認した。遺伝子ノックダウンはトランスフェクションされたトロホゾイトから抽出された全RNAについて上記に示した遺伝子特異的プライマーを用いてRT-PCR及びqRT-PCRにより確認し、そして、ベクターのみで又は各分子のHAタグ付バージョンを発現する同じベクターでトランスフェクションされた対照細胞と比較した。
【実施例2】
【0090】
VSP5アミノ酸に対する及び個別VSPに対するモノクローナル抗体の産生
各200mgの(a)sMBSクロスリンカーを用いてKLHにコンジュゲートされたNH2-CRGKA-COOHペプチドのHPLC精製製剤又は(b)合成多重抗原ペプチド[NH2-CRGKA]8-[K]7-bAla-OH(何れもBiosynthesis社製)又はWBアイソレート由来でSigmaアジュバント系(Sigma社製)に乳化された培養トロホゾイトのタンパク質抽出物を皮下注射することにより、6週齢の雌のBALB/cマウスを免疫化させた。21日間経過後に同一製剤200mgを皮下注射することによりマウスを追加免疫し、更に20日間経過後に抗原製剤を静脈注射することによりマウスを追加免疫した。それから3日後に、マウスを安楽死させ、NSO骨髄腫細胞への融合のために脾臓細胞を使用した。オリジナルペプチドを用いるELISA法及び非被嚢トロホゾイト及び被嚢トロホゾイトを用いる感染免疫蛍光分析法によりハイブリドーマ分泌抗体を選別した。VSPに対するモノクローナル抗体を既報(Mowatt,M.R.L.,H.D.;Cotten,D.B.;Bowers,B.,Yee,J.,Nash,T.E.,Stibbs,H.H., Mol Microbol
15,955-63(1995))の通りに全トロホゾイトを用いて産生した。
【0091】
DNAメチル化
ランブル鞭毛虫クローン1267からの生成物をフェノール及びクロロホルム/イソアミルアルコール(24/1% v/v)で抽出することにより精製し、ARNaseと共にインキュベーションすることによりARN夾雑物を取り除き、そしてメタノールで沈殿させた。メチルデオキシリボヌクレオチドの存在を高速液体クロマトグラフ(HPLC)により決定した。デオキシリボヌクレオチドの分離は、フェノメネックス・ルナ(Phenomenex Luna)(HPLCカラム)5μm C18, 4.6x150mmで行った。この方法は、既知濃度の標準デオキシリボヌクレオチドの吸収に基づいて較正した。
【実施例3】
【0092】
異なるワクチンの生成及び保護アッセイ
1.寄生体
アフガニスタンでランブル鞭毛虫症に罹患したと思われる症候性患者からランブル鞭毛虫WC株(ATCC30957)を単離した(“アフガニスタン、プエルトリコ、エクアドル及びオレゴン由来のランブル鞭毛虫の抗原分析”, Smith PD, Gillin FD, Kaushal NA及びNash
TE, Infect. Immun. 1882 May; 36(2): 714-9 )。また、米国からの症候性患者からGS/M株を単離した(“アフガニスタン、プエルトリコ、エクアドル及びオレゴン由来のランブル鞭毛虫の抗原分析”, Smith PD, Gillin FD, Kaushal NA及びNash TE, Infect. Immun. 1882 May; 36(2): 714-9 )。12mLのネジ式キャップ付ホウケイ酸塩ガラス管内に充填された、20%成人血清(Invitrogen社製)、牛胆汁(Sigma社製)及び抗生物質/抗真菌溶液(Invitrogen社製)が補充されたTYI-S-33培地中で37℃で、WB株由来のクローン及び形質転換トロホゾイトを培養した(“医学的に重要な管腔寄生性原生生物の培養方法”, Clark CG, Diamond LS, Clin. Microbiol. Rev. 2002 Jul; 15(3):329-41 )。異なる表面タンパク質を発現するランブル鞭毛虫クローンを、嫌気性チャンバー(BD)内の96穴培養プレート(DeltaLabs社製)で限界希釈することにより得た。このクローンを特異的モノクローナル抗体を用いる免疫蛍光分析法により選別した(“限界希釈の統計的検討の考察を伴うランブル鞭毛虫の新規なクローン化方法”, Baum KF, Berens RL, Jones RH, Marr JJ., J. Parasitol. 1988 Apr.; 74(2): 267-9)。反応性クローンを培養培地中で一晩増幅し、使用前に均質性を検証した。WB1267(Mab5Cl)、9B10(Mab9B10)、A6(MabA6)及びGS/M/H7(MabG10/4)クローンを対照実験及び感染で使用した(Nash, T.“ランブル鞭毛虫における表面抗原変異性及び抗原変異”, Parasitol Today 8, 229-234(1992))。
【0093】
完全VSPレパートリーを発現する形質転換トロホゾイトの産生
ランブル鞭毛虫RdRP及びDicer酵素をコード化する遺伝子に対する相補的配列はpTubHApacプラスミド中でクローン化された(“保存チロシン系モチーフを必要とするランブル鞭毛虫におけるリソソーム様末梢液胞に対する胞嚢特異性システインプロテアーゼの選別”, Touz MC, Lujan HD, Hayes SF, Nash TE, J. Biol. Chem. 2003 Feb. 21; 278(8):6420-6. Epub 2002 Dec. 3)。α−チュブリンプロモータの存在及び抗生物質ピューロマイシンの選択により、ランブル鞭毛虫トロホゾイトにおける構成性及び安定的遺伝子発現が可能になった。白金HiFi TaqDANポリメラーゼ(Invitogen社製)を使用し、Ncol及びEcoRV制限部位を含有し、その後ベクターをクローン化するオリゴヌクレオチドプローブを使用し、WB/9B10クローンcDNAからPCRにより、Dicer及びRdRP酵素をコード化する遺伝子を増幅した。プライマーは、DAF:5'-AGT TGA AAC TAT CAT GGT TGC TCC CGA A-3' SEQ ID N゜141、DAF:5'-CCA CCA TGG TTG AAC GCC GAA TCC AAC-3' SEQ ID N゜142、RAF:
5'-GCG ATA GGT TGC AGT TCC ATG ACG TTC TTG A-3' SEQ ID N゜143及びRAR: 5'-
CCA CCA TGG TCG CTA CCT TAG CAT CAT CC-3' SEQ ID N゜144であった。制限酵素による消化により構成を検証し、後に配列決定した。酵素サイレンシング検証は前記のようなqRT-PCRにより行った。
【0094】
ランブル鞭毛虫トランスフェクション
“ランブル鞭毛虫におけるホタルルシフェラーゼの一過性形質転換及び発現”,Yee J., Nash TE, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1995 June 6;92(12):5615-9に詳細に報告されているように、エレクトロポレーションによりランブル鞭毛虫のトランスフェクション(形質転換)を行った。概要を述べれば、12mLチューブ内で交会するまで成長したWB/9B10クローントロホゾイト培養物を0.4cmプレート内の0.3mL完全TYI-S-33培地に再懸濁させた。次いで、最終容量が100μLになるまで、プラスミドを10〜15μL添加した。この混合物を氷上で10分間培養した。細胞をBTXエレクトロポレーター内で350V、100μF及び700Ωでエレクトロポレーションした。氷上で10分間培養した後、細胞を完全培地を12mL含有するチューブに移し、嫌気性雰囲気中で37℃で一晩インキュベーションした。翌日、培地をピューロマイシンで補完し、トロホゾイトを37℃で7〜10日間インキュベーションした。クローン細胞系を得るために、限界希釈を96穴プレート内で実行した。
【0095】
共焦点免疫蛍光分析及び顕微鏡観察
氷中で20分間冷却することにより、トロホゾイトをチューブから分離させた。細胞を回収し、成長培地中に再懸濁させ、ガラス板に塗布し、このガラス板を37℃の湿気の多いカメラ内で1時間インキュベーションし、トロホゾイトをガラス板に再接着させた。このプレパラートを温培地で3回洗浄し、更に温PBSで2回洗浄した。-20℃で30分間1:1アセトン/メタノール混合液で固定することにより細胞を透過性に転性させ、そして、1XPBS/0.05%Tween20, BSA2.5%中で30分間ブロックした。最初、1XPBS/0.05%Tween20, BSA2.5%中で希釈された異なるVSPに対するモノクローナル抗体と共に細胞を1時間インキュベーションした。異なるVSPに対して標的化されたモノクローナル抗体は、mAb9B10(抗VSP-9B10)、mAb5Cl(抗VSP1267)、mAb6E7(抗VSPA6)、mAb1B2(抗VSPS1)、
mAb2D5(抗VSPS2)、mAb2EI(抗VSPS3)、mAb2G2(抗VSPS4)、mAb6F8(抗VSPS5)、
mAb7A9(抗VSPS6)、mAb7B8(抗VSPS7)、mAb7C2(抗VSPS8)、mAb7C9(抗VSPS9)、
mAb7C10(抗VSPS10)、mAb7D4(抗VSPS11)、mAb2D4(抗VSPS12)、mAb3B8(抗VSPS13)、
mAb4A2(抗VSPS14)、mAb7F4(抗VSPS15)、mAb7H2(抗VSPS16)などである。適当なモノクローナル抗体と共にインキュベーションした後、ガラス板を1XPBS/0.05%Tween20で2回洗浄し、次いで、1/200希釈FITC又はTRITCで標識された第2のヤギ抗マウス免疫グロブリン抗体と共に、ブロッキング溶液中で1時間にわたってインキュベーションした。核をDAPIと対比させた。アルゴン/ヘリウム/ネオンレーザとX100(開口数=1.4)油浸対物レンズを備えたLSM5ツァイスパスカルレーザ共焦点顕微鏡(Zeiss Plan Apochromat社製)により共焦点像を得た。カバースライドに対して平行に0.3ミクロン共焦点セクション(セクションz)を撮像した。像はZeissカメラを使用するデバイスにより集め、LSM及びAdobeホトショップソフトウエアで処理した。特定のVSPを発現する細胞の%は500個の細胞を3回計数するか又はフローサイトメトリー(流動細胞計測法)により演算した。
【0096】
5アミノ酸VSP尾部に対するモノクローナル抗体の産生
前記の実施例2で述べたようにして5アミノ酸VSP尾部に対するモノクローナル抗体の産生を行った。
【0097】
2.ポリアクリルアミドゲル電気泳動及びウエスタンブロッティング
“ロイシンリッチ反復を有する新規なランブル鞭毛虫嚢胞壁タンパク質の同定”及び“分泌顆粒形成及びタンパク質アセンブリーの嚢胞壁への包含”,Lujan HD, Mowatt MR, Conrad JT, Bowers B及びNash TE, J. Biol. Chem. 270, 29307-29313(1995)に報告されている方法に従い。タンパク質トロホゾイト抽出物をポリアクリルアミドゲル電気分解(SDS-PAGE)及びウエスタンブロッティング分析にかけた。
【0098】
動物
動物に対して行われた全ての処置は、Catolica de cordoba大学の動物のケア及び使用の制度委員会により承認されたプロトコルに従って実行された。また、免疫化ガイドラインは全ての動物により十分に許容された。6週齢の雌の内生繁殖スナネズミの病原体非感染標本(SPF)(Meriones unguiculatus)を、Catolica de Cordoba大学のBioterio de animales de investigacionから入手し、各スナネズミを12時間照明,12時間暗黒サイクルで空調(18-22℃, 40-50%湿度)されたバイオハザードラック(Techniplast社製)に収容した。スナネズミには、高圧滅菌処理された飼料と、フィルター滅菌されたビタミン溶液混合物が追補された滅菌水をアドリブで与えた。この研究において、使用されるスナネズミがランブル鞭毛虫寄生体又は全ての他の関連物に絶対に感染していないことを保証するために、当研究所内で誕生したスナネズミのみを使用した。全ての動物は、動物ケアのアルゼンチン・カウンシルの規則及び決定に従い、かつ、国際的動物注意規則に従い、SPF研究室条件下で飼育された。感染前に、トロホゾイト及び嚢胞から抽出された全てのタンパク質の製剤を使用してELIZA法により、スナネズミがランブル鞭毛虫又はランブル鞭毛虫のタンパク質に対する血清抗体に対して陰性であることを試験した。感染後、スナネズミのうちの何匹かの対照群に20mgのメトロニダゾールを3日間経口投与し、低レベルの腸内ランブル鞭毛虫の全ての存在可能性を除外するために、攻撃感染前に10日間放置した。
【0099】
メトロニダゾールで処置することによる原生動物寄生体の除去
処置を開始するために、スナネズミを濾過空気が供給される滅菌ゲージ内に配置し、水及び飼料は高圧滅菌釜(オートクレーブ)で滅菌した。濃度が100mg/mLのメトロニダゾール使用液を調製した。この溶液500μLを日用量としてスナネズミに3日間連続的に経口投与した。引き続く4日間はスナネズミに抗生物質は投与しなかった。その後、メトロニダゾール使用液500μLによる処置を数日間継続した。メトロニダゾール2mLをオートクレーブ滅菌された飲料水400mLに添加することにより処置を補完した。この飲料水は処置全期間を通してスナネズミが飲むことが出来る唯一の水である(スナネズミはこの希釈メトロニダゾール水溶液を9日間摂取する)。処置全期間を通して毎日糞便を集め、モノクローナル抗体7D2(嚢胞壁抗タンパク質))について、嚢胞の存在を決定するために、免疫蛍光分析法による顕微鏡観察コントロールを毎日行った(“ロイシンリッチ反復を有する新規なランブル鞭毛虫嚢胞壁タンパク質の同定”及び“分泌顆粒形成及びタンパク質アセンブリーの嚢胞壁への包含”,Lujan HD, Mowatt MR, Conrad JT, Bowers B及びNash TE, J. Biol. Chem. 1995 Dec 8; 270, 29307-29313)。処置の期間中、正常なスナネズミのフローラ(細菌叢)は酵母の増大を被り、処置完了後数日中にその正常な状態を回復した。
【0100】
3.感染
0.5mLのリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)に再懸濁されたトロホゾイト又は嚢胞2x105を経口胃摂取することによりスナネズミに感染を誘発させた。何匹かのスナネズミには同じ投与経路で0.5mLのPBSを投与した。感染したスナネズミから得られたサンプルが有する生育力及び感染力が急速に失われることを避けるために、感染したスナネズミから収集した新鮮な嚢胞を使用した。感染スナネズミからの糞便収集は、初日(0日目)から30日目まで毎日行った。嚢胞又はトロホゾイトは光学顕微鏡により、又は嚢胞(mAb7D2)又はトロホゾイト特異的抗原(BIP; Mab9C9)を用いる免疫蛍光分析法により視覚的に同定した。
【0101】
4.殺処分
定期的にかつ無作為に選択されたスナネズミを殺処分し、小腸を単離し、長手方向に切開し、そして、培養培地中に4℃で30分間懸濁させた。上澄液を集め、ランブル鞭毛虫トロホゾイトについて試験した。この試験は光学及び蛍光顕微鏡により行うか又は“ランブル鞭毛虫の優性表面抗原に対するnu/+及び再構築nu/nuマウス由来のインビトロ合成免疫グロブリンA”,Gottstein B, Deplazes P及びTanner I, Parasitol Res 79, 644-648(1993)に報告された方法に従い培養培地中に6日間配置させることにより行った。
【0102】
個別的にケージ内に収容されているスナネズミから24時間周期で大便(糞便)球粒を回収することによりスナネズミにより排出されたランブル鞭毛虫嚢胞を定量した。糞便サンプルを秤量し、2mLのPBSに再懸濁させ、そして、3層重ねの綿ガーゼで濾過した。濾液を冷凍遠心分離器(Beckman社製)中で250gで10分間遠心分離した。この濾液を4℃の冷凍遠心分離器(Beckman社製)中で250gで10分間遠心分離した。3回洗浄した後、ペレットを2mLのPBSに懸濁させ、嚢胞をFITC標識化7D2mAbで染色し、血球計数機でカウントした。嚢胞が糞便中に発見されなかった場合又は6日間培養した後でもトロホゾイトが検出されなかった場合、ランブル鞭毛虫は感染されなかったものと見做された。
【0103】
Dicer-AS及びRdRP-AS形質転換トロホゾイト由来のVSPの精製
前掲書に記載された方法に従って産生された、これらの形質転換トロホゾイト内に発現されたVSPの完全レパートリーを、保存VSP尾部の5アミノ酸に対して産生された本発明のMab12F1を用いる免疫アフィニティ法により精製した。A-セファロース(Amersham社製)を使用し、ハイブリドーマ細胞の培養物のIP注射により生成された腹水液からマウスの免疫グロブリンを単離した。生成mAbを磁気ビーズ(Dynal社製)に結合させ、そして、トロホゾイトの血漿膜含有ミクロソーム画分由来のVSPを精製するために使用した。精製VSPを0.01%Tween20含有PBSに再懸濁させ、定量し、そして、スナネズミを経口的に免疫するために使用した。個々のVSPは特異的mAbを用いる同じ方法論により精製した。
【0104】
ランブル鞭毛虫GRP78/BiPの精製
9B10WBから単離されたランブル鞭毛虫トロホゾイトを、プラスミドpTubHA.pacでトランスフェクションした。このプラスミドpTubHA.pacは、完全長のランブル鞭毛虫小胞体シャペロンBiP/GRP78を含有していた(“原始的真核生物の分化中の分子シャペロンBiP/GRP78の増大発現”, Lujan hd, Mowatt MR, Conrad JT, Nash TE, Biol cell. 1996;86(1):
11-8)。このエピトープの3個のコピーをヘムアグルチニン(HA-BIP)で標識した。形質転換トロホゾイトをRIPAバッファ液に溶菌させ、そして、抗HA免疫精製キット(Sigma社製)を用いてBIPタンパク質を単離した。
【0105】
経口免疫
滅菌PBS/0.01%Tween20混合液に懸濁された寄生体タンパク質200μgを、各投与間に3日間の時差を設けて、スナネズミに連続的に3回経口投与して免疫化させた。BIP、膜標本又は精製VSPが免疫抗原として使用された場合、同量のタンパク質をスナネズミに投与した。
【0106】
血液サンプル
下記に記載されるような血中抗体の存在を検出するために、感染又は免疫化の初日後に血液サンプルを回収した。スナネズミをエーテルで安楽死させ、眼窩静脈叢から血液を採取するか又は心臓内穿刺により血液を採取した。血液サンプルを800xgで15分間遠心分離することにより血清を回収し、使用するまで-70℃で保存した。スナネズミを二酸化炭素で殺処分した。
【0107】
5.腸内容物
感染、非感染及び免疫化スナネズミの小腸分泌物をマウスにおけるように回収した(Heyworth, M.F.,“異なるアイソタイプのマウス抗体による死滅に対するジアルジア・ムリス・トロホゾイトの比較感受性”, J Parasitol 78, 73-76(1992))。
要約すれば、スナネズミを水を与えながら1日間断食させ、その後、殺処分した。小腸を十二指腸から盲腸まで抉り出し、その内容物をシリンジで吸引し、そして分別した。或る場合には、腸内容物を4℃で5000xgで遠心分離し、細胞、遺残及び細菌を分別した。また、或る実験では、小腸の内腔を3mLの冷PBSで5回洗浄し、前記のように遠心分離した。上澄液を濾過滅菌し、使用するまで-70℃で保存した。
【0108】
凝集アッセイ
このアッセイは96穴平坦底面プレートで実施した。成牛血清無しのTYI-S-33培地中のVSP(全て加熱不活化済)に対する特異的抗原を含有するスナネズミの腸分泌物、血清又は腹水の幾つかの希釈液と共に約5x105個のトロホゾイトを4℃で1時間インキュベーションした。これらを混合し、顕微鏡によりトロホゾイト凝集をアッセイした。寄生体表面に結合した抗体はヤギ抗マウス免疫グロブリン標識TRITCにより例証された。
LIST OF SEQUENCES
<110> Conicet
Luj n, Hugo
<120> Modified protozoan expressing at least two dos variable surface proteins (VSP), a vaccine comprising it, and procedures, uses and methods thereof
<130> Conicet
<160> 144
<170> PatentIn version 3.5
<210> 1
<211> 25
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
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<221> misc_feature
<222> (5)..(5)
<223> n is a, c, g, or t
<400> 93
gcgtnatcat tagggaaata tcc 23
<210> 94
<211> 24
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<220>
<221> misc_feature
<222> (8)..(9)
<223> n is a, c, g, or t
<400> 94
ttaagggnnc tcaggctatt cgtg 24
<210> 95
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<220>
<221> misc_feature
<222> (14)..(14)
<223> n is a, c, g, or t
<400> 95
tcaggacaga cccngggtag cag 23
<210> 96
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 96
cgtcggcgca gttttccaaa tac 23
<210> 97
<211> 25
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 97
agtgcaaact ccgttggttt tatcc 25
<210> 98
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 98
gcatcggctg tcgtgcacaa cgt 23
<210> 99
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<220>
<221> misc_feature
<222> (12)..(12)
<223> n is a, c, g, or t
<400> 99
gccgctggtc tngacgtagc agg 23
<210> 100
<211> 24
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 100
agtcgtagag caagctcctg caag 24
<210> 101
<211> 24
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 101
accccgttga tgggcacata gttt 24
<210> 102
<211> 25
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<220>
<221> misc_feature
<222> (11)..(12)
<223> n is a, c, g, or t
<400> 102
cttccgtctt nnaaataatc ctacc 25
<210> 103
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 103
gaatcgtaac cccggttgcg tcg 23
<210> 104
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 104
acttagcaca accggccaca ccc 23
<210> 105
<211> 24
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 105
cttatcagcc gtactacagg taag 24
<210> 106
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 106
acggtgctag ccctagttgt aga 23
<210> 107
<211> 25
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<220>
<221> misc_feature
<222> (13)..(14)
<223> n is a, c, g, or t
<400> 107
cgttcttcaa ggnnctcaga ttgtt 25
<210> 108
<211> 22
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 108
ctctgcaatg catgttccct tt 22
<210> 109
<211> 24
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 109
cgacccgggt ggtgccgctc ttgc 24
<210> 110
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<220>
<221> misc_feature
<222> (13)..(13)
<223> n is a, c, g, or t
<400> 110
ccattgctgt ctntatcttg ccc 23
<210> 111
<211> 22
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<220>
<221> misc_feature
<222> (11)..(11)
<223> n is a, c, g, or t
<400> 111
gtgttatctt ngcacacgat gc 22
<210> 112
<211> 24
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 112
gacgggagta gaactctgag gaga 24
<210> 113
<211> 16
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer sentido S1
<400> 113
cvtgtgchrr stgcaa 16
<210> 114
<211> 17
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer sentido S2
<400> 114
tgcacsrsct gcyabcc 17
<210> 115
<211> 17
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer sentido S3
<400> 115
tagtgydsyv mvtgyaa 17
<210> 116
<211> 18
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer sentido S4
<400> 116
cgatcatgac gggcttct 18
<210> 117
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer antisentido R1
<400> 117
ccbacgaggc cyccsacgac 20
<210> 118
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer antisentido R2
<400> 118
cgccttccck ckrcakayga 20
<210> 119
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer sentido para vsp1267
<400> 119
atgttgttga tagccttcta tc 22
<210> 120
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer antisentido vsp1267
<400> 120
ctacgccttc cccctgcata tg 22
<210> 121
<211> 21
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer hacia adelante vsp9B10
<400> 121
atgtttggca gttttgttct c 21
<210> 122
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer antisentido vsp9B10
<400> 122
tcacgccttc cctctacata tg 22
<210> 123
<211> 21
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer HL60 gDicer
<400> 123
tggcggcgtc gtatcagtta t 21
<210> 124
<211> 19
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer HL161 gDicer
<400> 124
tccccgcacg caagaagaa 19
<210> 125
<211> 18
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer HL164 gAgo
<400> 125
attgccccct acggtgtc 18
<210> 126
<211> 18
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer HL165 gAgo
<400> 126
ctctgccggc cttcctac 18
<210> 127
<211> 23
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer HL187 gRdRP
<400> 127
catgggttgc agtttcttga cga 23
<210> 128
<211> 24
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer HL188 gRdRP
<400> 128
agccccttat ctgttgcctc cttc 24
<210> 129
<211> 21
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer HL 183 CWP1
<400> 129
tcgccctgga tgtttcggac a 21
<210> 130
<211> 17
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer HL184 CWP1
<400> 130
aggcgggtga ggcagta 17
<210> 131
<211> 21
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer HL185 GDH
<400> 131
agtggggcgg gtctttactc a 21
<210> 132
<211> 24
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer HL186 GDH
<400> 132
tgttcgcgcc catctggtag ttct 24
<210> 133
<211> 23
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer F RdRP_F
<400> 133
tatgttttta ctgatggcgc agg 23
<210> 134
<211> 23
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer RdRP_F 2
<400> 134
tacgtcttta ccgatggcgg agg 23
<210> 135
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer RdRP_R
<400> 135
tcaccatcca ggtcgctgcc 20
<210> 136
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer RdRP_R 2
<400> 136
tcaccgtcca ggtcactgcc 20
<210> 137
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer of sequencemiento F
<400> 137
cttgtgcata gtaaacaaag 20
<210> 138
<211> 18
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer of sequencemiento R
<400> 138
caaatggtcg atgctggg 18
<210> 139
<211> 51
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> MCSnewSense
<400> 139
gattccgggc ccagatctat cgatacgcgt atgcattcgc gagatatctg c 51
<210> 140
<211> 52
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> MCSnewAntisense
<400> 140
gcggccgcag atatctcgcg aatgcatacg cgtatcgata gatctgggcc cg 52
<210> 141
<211> 28
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer DAF
<400> 141
agttgaaact atcatggttg ctcccgaa 28
<210> 142
<211> 27
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer DAR
<400> 142
ccaccatggt tgaacgccga atccaac 27
<210> 143
<211> 31
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer RAF
<400> 143
gcgataggtt gcagttccat gacgttcttg a 31
<210> 144
<211> 29
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer RAR
<400> 144
ccaccatggt cgctacctta gcatcatcc 29
【0109】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。用語「又は」に関して、例えば「A又はB」は、「Aのみ」、「Bのみ」ならず、「AとBの両方」を選択することも含む。特に記載のない限り、物質、装置又は手段の数は、単数か複数かを問わない。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2種類以上の可変表面タンパク質(VSP)を発現する変性原生動物、それを含むワクチン、ハイブリドーマ系、タンパク質認識モノクローナル抗体、処置、用途及びこれらの方法に関する。更に詳細には、本発明は、2種類以上の可変表面タンパク質(VSP)の同時表面発現からなる変性寄生原生動物に関する。また、変性原生動物は可変表面タンパク質の完全なレパートリーも同時に発現し得る。原生動物はDicer(低分子2本鎖RNAを切り出す酵素)、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)又は両方の抑制された発現を示す。この場合、RdRP遺伝子又はDicer遺伝子はサイレンス(発現停止又は発現抑制)させられている。この原生動物は抗原変異機構を有する任意の原生動物であり得る。また、発現はこの機構を規制する分子によりサイレンスさせることもできる。
【背景技術】
【0002】
抗原変異は、抗原決定基が露出された表面を含む病原性微生物により発生されたクローン形質変化である。これらの微生物は表面抗原発現を変化させるために異なる機構を使用する。従って、宿主により産生される連続的な免疫圧力下で慢性感染を維持することができる(Deitsch, K.W.,Moxon,E.R.&Wellems,T.E.Microbiol.Mol.Biol.Rev.61,281-293(1997))(非特許文献1)。ランブル鞭毛虫(Giardia lamblia、別名Giardia intestinalis又はGiardia duodenalis)は最も普遍的なヒト腸管寄生虫の一つである。原生動物のランブル鞭毛虫は、当該寄生虫が慢性感染又は反復感染を発生させることができるプロセスにおいて抗原変異も示す(Adam, R.D. Clin. Microbiol.Rev.14,447-475(2001))(非特許文献2)。可変表面タンパク質(VSP)をコード化(codifying)する約190個の遺伝子のレパートリーから、ランブル鞭毛虫だけが特定の時点に各寄生虫の表面上に1種類のVSPを発現するが、未知の機構により自然発生的に別のVSPにスィッチする。ランブル鞭毛虫において、抗原変異は複数の感染の傾向と同様に、何らかの感染の可変又は恒久的コースの原因であり、その結果、VSPとして既知のタンパク質ファミリーを包含している(Adam, R.D.Clin.Microbiol.Rev.14,447-475(2001)及びNash, T.E. Phil.Trans. R. Soc. Lond. B352, 1369-1375(1997))(非特許文献2及び非特許文献3)。
【0003】
VSPは完全トロホゾイト表面に一列に並び、宿主免疫応答により認識される主抗原である。VSPは30kDa〜200kDaのサイズ範囲内であり、可変システインリッチアミノ末端領域と保存カルボキシ末端領域を保有する。保存カルボキシ末端領域は疎水性貫膜ドメインとアミノ酸5個だけからなる短いサイトゾル側末端(CRGKA)を有する。ゲノム寄生虫はVSPをコード化する〜190個の遺伝子のレパートリーをエンコード(符号化)するが(Morison,H.G. et al., Science 317,1921-1926(2007))(非特許文献4)、唯1種類だけのVSPが各トロホゾイトの表面に任意の所定時間にしか発現されない。免疫学的圧力の不存在下であっても、別のVSPの発現へのスイッチングは6〜13世代毎に1回しか起きない(Nash, T.E. , Alling, D.W., Merritt, J.W. Jr & Conrad, J. T. Exp. Parasitol. 71, 415-421(1990))(非特許文献5)。その他のランブル鞭毛虫と同様に、VSPコード化遺伝子はイントロン(介在配列)を有さず、その結果、これらの上流側領域は比較的短く、限定的な配列保存性を有するか又は配列保存性を全く有しないことが発見されている。更に、これらの領域には典型的な真核生物のプロモーターが存在しない。ランブル鞭毛虫のVSP遺伝子を含むメッセンジャーRNAの非翻訳3’領域も短い傾向があり、ヌクレオチドの長さは一般的に0〜30である。これまで、遺伝子再配列プロセス及びプロモーター依存性スイッチオン/オフ機構のどちらも、ランブル鞭毛虫の抗原スイッチングに含まれることは例証されていない(Adam, R.D. Clin. Microbiol. Rev.14, 447-475(2001)及びNash, T.E. Phil.Trans. R. Soc. Lond. B352, 1369-1375(1997)及びNash, T.E. , Alling, D.W., Merritt, J.W. Jr & Conrad, J. T. Exp. Parasitol. 71, 415-421(1990))。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Deitsch,K.W., Moxon,E.R. & Wellems,T.E. Microbiol.Mol.Biol.Rev. 61, 281-293(1997)
【非特許文献2】Adam, R.D.Clin.Microbiol.Rev.14,447-475(2001)
【非特許文献3】Nash, T.E. Phil.Trans. R. Soc. Lond. B352, 1369-1375(1997)
【非特許文献4】Morison,H.G. et al., Science 317,1921-1926(2007)
【非特許文献5】Nash, T.E. , Alling, D.W., Merritt, J.W. Jr & Conrad, J. T. Exp. Parasitol. 71, 415-421(1990)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、2種類以上の可変表面タンパク質(VSP)の同時表面発現からなる変性寄生原生動物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の好ましい実施態様では、原生動物は可変表面タンパク質の完全レパートリーの同時表面発現からなる。原生動物はDicer(低分子2本鎖RNAを切り出す酵素)、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)又は両方の抑制された発現を示す。この場合、RdRP遺伝子又はDicer遺伝子若しくはこれらの混合物はサイレンシング(沈黙)させられている。この原生動物は抗原変異機構を有する任意の原生動物であり得る。この場合、その抗原変異機構はその任意の構成成分のサイレンシングにより無秩序化させ得る。
【0007】
また、本発明は、原生動物により発生される感染症に対するワクチンも提供する。このワクチンは少なくとも、その表面上に少なくとも2種類の可変表面タンパク質(VSP)を発現する変性原生動物からなる。好ましい実施態様では、原生動物はその表面上への可変表面タンパク質の完全レパートリーの同時発現からなる。原生動物は、Dicer、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)又は両方の抑制された発現を示す。この場合、RdRP遺伝子又はDicer遺伝子若しくはこれらの混合物はサイレンスされている。この原生動物は抗原変異機構を示す任意の原生動物であり得る。ワクチンは賦形剤又はアジュバントも含有することができる。
【0008】
更に、本発明は原生動物可変表面タンパク質の完全レパートリーの精製方法も提供する。この精製方法は次のステップからなる。
(a)VSP・CRKGAアミノ酸配列を認識する抗体を固体サポートに結合するステップと、
(b)前記固体サポートを原生動物に接触させるステップと、
(c)可変表面タンパク質(VSP)の完全レパートリーを分離するステップ。
前記原生動物は野生原生動物クローンの混合物であることができ、各クローンは異なる可変表面タンパク質を発現し、又は前記原生動物は完全VSPレパートリーを発現するクローンであることができる。
【0009】
更に、本発明は、2種類以上の原生動物可変表面タンパク質及び賦形剤又はアジュバントからなるワクチンも提供する。前記各タンパク質は異なる。好ましい実施態様では、ワクチンは原生動物可変表面タンパク質の完全レパートリーからなり、前記各タンパク質は異なる。
【0010】
更に、本発明は、少なくとも可変表面タンパク質(VSP)を発現するか又は複数の原生動物VSPの完全レパートリーを同時に発現する変性原生動物からなるワクチンを所定量だけ哺乳類に投与することからなる免疫方法も提供する。この方法は、原生動物により発生される感染症に対して哺乳類を免疫するために適用される。前記原生動物は抗原変異機構を有する。
【0011】
更に、本発明により、原生動物可変表面タンパク質の組合せからなるワクチンを所定量だけ哺乳類に投与することからなる免疫方法も提供される。前記可変表面タンパク質の組合せは、サイレンスRdRP遺伝子、Dicer遺伝子又は両方からなる変性原生動物から単離される。この方法は、原生動物により発生される感染症に対して哺乳類を免疫するために適用される。前記原生動物は抗原変異機構を有する。或る実施態様では、ワクチンの投与量は原生動物可変表面タンパク質50〜500μgの範囲内である。
【0012】
また、本発明はヌクレオチド配列も提供する。前記配列は、配列SEQ ID N゜1aSEQ ID N゜112の何れかの間から選択できる。前記配列はARNdcである。
【0013】
RdRP遺伝子をサイレンスするため又はDicer遺伝子をサイレンスするために、配列SEQ ID N゜1aSEQ ID N゜112の何れかの間から選択された少なくとも1個の配列を使用する方法も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ランブル鞭毛虫の幾つかのVSP遺伝子が同時に転写されることを示す図である。図1aは[32P]UTPの存在下でインビトロ(in vitro, 試験管内)で転写するために誘導され使用直前に単離されたランブル鞭毛虫細胞核を用いた核ランオンアッセイ(nuclear run-on assay)の結果を示す図である。図1bは全てのVSP内に存在する保存領域からなるプローブを用いてクローンWB9B10及びWB1267から抽出された総RNAのノーザンブロット(Northern blot)試験の結果を示す図である。図1cはインビトロで産生されたセンス及びアンチセンス転写体(vsp9B10, vsp1267, vspA6, vspH7, cwp2及びGDH)が、図1aと同じ条件下における核ランオンのアッセイ生成物でブロットされ、かつ、ハイブリダイズ(雑種形成)された結果を示す図である。図1dはクローンWB9B10トロホゾイトから産生されたPCR生成物と、ゲノムDNAに関する特定のプライマー(9B10F/9B10R及び1267F/1267R)(ランウエィ1及び5)、又はリバースプローブR2(ランウエィ2及び6)又はセンスプローブS1(ランウエィ3及び7)の何れかにより産生されたcDNAとの比較を示し、ランウエィ4はRT無しの反応対照である。図中の白抜矢線はゲノムDNA及びセンスcDNAには存在するがアンチセンスcDNAには存在しないvsp9B10フラグメント(断片)を示し、黒塗矢線はゲノムDNA、センスcDNA及びアンチセンスcDNAに存在するvsp1267フラグメントを示し、Mは分子マーカーを示す。
【図2】ランブル鞭毛虫における抗原変異を研究するための新規なツールを示す図である。図2aにおいて、PCRにより大量のVSPコード化遺伝子に増幅させるのに好適なオリゴヌクレオチドが産生された。また、VSP1267、VSP9B10及びVSPA6並びにGS(VSPH7)から単離された4個のランブル鞭毛虫VSPの配列が選択された。これら4個のVSP配列を整列させ、そしてプライマーをデザインするために4個の保存領域を使用した。オリゴヌクレオチド配列下部の矢線は、デザインされた一般的VSPプライマーの(S1-S4及びR1-R2)の配列を示す。図2bにおいて、4個のセンスプライマー(S1-S4)とドス(dos)リバースプライマー(R1-R2)との組合せをランブル鞭毛虫WB9B10クローン(これはその表面にvsp9B10だけを発現する)からのゲノムDNAのPCR試験に使用した。使用したプライマーコンビネーションの幾つかのDNAフラグメントを個別に増幅した。これらの反応の59個の主生成物を単離し、クローン化し、そして配列決定した。その結果、これらは全てVSPフラグメントをコード化することが示された。これらの生成物のうちの幾つか(白色で1〜8とラベルされたもの)をゲノムDNAライブラリーの精査用プローブとして引き続き使用した。これにより、ランブル鞭毛虫VSPの典型的特徴(VSPS1-S8、ジェンバンク(GenBank)アクセス番号:AY142122〜AY142129)を有する新規なタンパク質をコード化するORF(オープン・リーディング・フレームワーク)の識別ができた。図2cにおいて、ランブル鞭毛虫VSP転写体が、間接的VSPアンチセンスARNをサイレンシングするか否か確かめるために、独特なVSPを発現するトロホゾイトから単離されたARN標本(プレパレーション)でこれらの分子をサーチした。RT-PCRは、ゲノムDNAで先に使用されたものと同じVSPプライマー・コンビネーションと、逆転写(RT)反応中にセンスプライマーを用いて行った。センスプライマー(S1〜S4)はトップに示されている。ランウェイ(a)〜(h)は各PCR反応で使用されたプライマー・コンビネーションを示す。すなわち、(a)S1-R1,(b)S2-R1,(c)S3-R1,(d)S4-R1,(e)S1-R2,(f)S2-R2,(g)S3-R2及び(h)S4-R4である。更に、逆転写(RT)無しの負対照も示されている。これらの条件下で、38個の増幅生成物を単離し、クローン化し、そして配列決定した。VSPをコード化するアンチセンスを例証するために、これらの12個の生成物(ターゲットにおいて1〜12とマーキングされている)もゲノムライブラリーにおけるプローブとして使用した。これにより、VSPID遺伝子アンチセンス転写体の機能性ターゲットを示す、新規なVSP遺伝子(VSPAS1〜VSPAS12,ジェンバンクアクセス番号:AY143130〜AY143141)の完全配列を得ることができた。
【図3】図3aはWB9B10クローントロホゾイトに発現されたHAエピトープで標識されたgRdRPバージョンの免疫学的局在(immunolocation)を示す図である。la酵素(赤色)は両方の寄生核を包囲する領域に局在している。この領域は、シャペロンER-BiP(Mab9C9,緑色)の共免疫学的局在(co-immunolocation)により示されるような粗面小胞体(黄色)を主に示す。図3bはRdRP活性度を示す図である。異なるRNAサブストレート・コンビネーション(A,B及びDはvsp9B10及びvsp1267、C及びEはvsp9B10,vsp1267及びvspH7)を、(A-C)の不存在下又はプライマーR1(D)又はプライマーR2(E)の存在下で使用した。Aは精製RdRP無しの対照である。図3cは、WB9B10クローントロホゾイトに発現されたHAエピトープで標識されたgDicerバージョンの免疫学的局在を示す図である。酵素(緑色)は細胞の細胞質内に局在し、核はDAPI(青色)で染色されている。図3dは、WB9B10クローントロホゾイトに発現されたHAエピトープで標識されたgAgoバージョンの免疫学的局在を示す図である。酵素(緑色)は細胞の細胞質内に局在し、核はDAPI(青色)で染色されている。図3eは、4,6又は12時間における嚢胞形成に対して誘発されたWB9B10クローントロホゾイト及び12時間における通常の成長培地(NT)中に維持されたトロホゾイトから抽出された総RNAに関するgRdRP、gAgo、gDicer、GDH及びCWP1用のプローブによるノーザンブロットを示す図である。結果は、これらPTGSの構成性発現(転写後遺伝子サイレンシング)を示している。
【図4】Dicer活性度とランブル鞭毛虫内の小型VSPRNAの検出を示す図である。図4aは、Dicer型活性度を例証するランブル鞭毛虫抽出物によるdsRNAからの小型RNAの生成を示す図である。vsp1267dsRNAの場合、両方のストランド(鎖)(ランウェィ1)、センスRNAストランドのみ(ランウェィ2)又はアンチセンスのみ(ランウェィ3)を放射性同位元素で標識した。vsp9B10及びgdhの場合、両方のストランドを標識した。二重鎖RNAをWB9B10クローンからのランブル鞭毛虫抽出物と共に37℃で1時間インキュベーション(恒温培養)した。次いで、総RNAを単離し、電気泳動に使用した。全てのケースにおいて、小型RNAが得られた。図4bは、ランブル鞭毛虫によるdsRNA処理におけるATPの存在効果を示す図である。ランウェィ1及び2は非処理対照(すなわち、ATPを消費すること無くランブル鞭毛虫細胞質溶解液と共にvsp1267dsRNAをそれぞれ1時間及び3時間インキュベーションした)を示す。ランウェィ3はグルコース2mM及びヘキソキナーゼ0.1UμL−1の添加によるATP減少を示す。ランウェィ4はホスホクレアチン(CP)を用いるATP再生成を示す。ランウェィ5はクレアチンキナーゼ(CK)を用いるATP再生成を示す。ランウェィ6はホスホクレアチン(CP)及びクレアチンキナーゼ(CK)の両方を用いるATP再生成を示す。図4cは、ランブル鞭毛虫WB9B10クローンからの抽出物と共にVSPリボプローブのインキュベーションによる小型RNA生成を示す図である。1種類、2種類又は3種類の異なるVSPRNAm(vsp9B10、vsp1267、vspH7)をランブル鞭毛虫抽出物と混合した。2種類以上の転写体の存在下で小型RNA生成が起きた。gdhを非関連遺伝子対照として使用した。ヌクレオチドにおけるRNAサイズマーカーは左側に配置した。図4dは、全WB9B10クローンRNA、WB1267クローントロホゾイト及び低分子量WB1267クローンRNAを電気泳動にかけ、ブロットし、そして部分的に消化されたインビトロ転写vsp9B10RNAプローブを用いてハイブリダイズした結果を示す図である。WB9B10ではRNAは全く存在しなかった。これに対して、小型vsp9B10RNA(矢線参照)がWB1267クローン中に存在したがVSP9B10には発現しなかった。奇妙なことに、70ヌクレオチド長のRNA(*印参照)が存在したが、部分的消化RNAmは再発現できなかった。
【図5】ランブル鞭毛虫WB1267クローン抽出物と一緒にVSPリボプローブをインキュベーションすることによる小型RNA生成を示す図である。異なるVSP(vsp9B10、vsp1267、vspH7)の1種類、2種類又は3種類のRNAmをブレンドし、ランブル鞭毛虫トロホゾイト抽出物に直面させた。2種類以上の転写体が存在したときに、小型[32P]標識RNAが生成された。ヌクレオチド内のRNAサイズマーカーは左側に配置した。
【図6】VSPH7を過剰発現するWB9B10トロホゾイトにおける抗原転換を示す図である。図6aは、WB9B10クローントロホゾイトが、α−チューブリンプロモータの制御下でCWP1又はVSPH7発現を指図するpTubCWP1.Pacベクター又はpTubH7.Pacベクターでトランスフェクションされた結果を示す図である。図中、逆三角印は対照ベクター(pTubCWP1.Pac)によりトランスフェクションされたVSPH7を発現するGS菌株からのトロホゾイトによる対照を示し、四角印は対照ベクターによりトランスフェクションされたWB9B10トロホゾイトを示す。VSP9B10発現は表面タンパク質の自発的交換により時間と共に減少する。WB9B10トロホゾイトが連続的にvspH7を連続的に発現することは、VSP9B10(丸印)又はVSPH7(三角印)の発現が各対照ベクターよりも速く減少することを示している。図6aに示された結果は、3回の個別試験±SDの平均百分率を描写する。図6bは、時間ゼロにおけるVSPH7発現WB9B10トロホゾイトの代表的画像を示す図である。全ての細胞はその表面上にVSP9B10及びVSPH7を同時に発現する。図6cは、15日間培養した後のVSPH7発現WB9B10トロホゾイトの代表的画像を示す図である。幾つかの細胞はその表面上にVSP9B10及びVSPH7を発現するが、その他の細胞はVSP9B10又はVSPH7しか発現せず、更に、他の細胞は何れも発現しない。核はDAPIで青色にマークした。図6aにおいて、縦軸はポジティブトロホゾイトの割合(%)を示し、横軸は培養時間(日数)を示す。
【図7】vsp9B10アンチセンスフラグメントを発現するWB9B10トロホゾイトにおける抗原転換を示す図である。図7aは、vsp9B10遺伝子5’(丸印)又は3’(三角印)の中間部分メディアのアンチセンス配列を含むpTubCWP1.Pacベクター(四角印)又はpTub.PacベクターによりトランスフェクションされたWB9B10を示す図である。結果は3回の個別試験±SDの平均値を示し、更に、VSP9B10ポジティブトロホゾイトの量が対照よりも速く減少することを示している。図7bは、異なるVSP遺伝子でトランスフェクションされたWB9B10トロホゾイトの代表的画像を示す図である。全ての細胞がその表面上にVSP9B10を発現している。図7cは、15日間培養した後のvsp9B10のアンチセンスフラグメント3’を発現するWB9B10トロホゾイトの代表的画像を示す図である。VSP9B10は約50%の個体群中に存在する。核はDAPIで青色にマークした。図7aにおいて、縦軸はポジティブトロホゾイトの割合(%)を示し、横軸は培養時間(日数)を示す。
【図8】異なる転写体の濃度の変動が、どの転写体がサイレンシングシステムを逃れるか決定できることを示す図である。1267、vsp9B10及びcwp1遺伝子をコード化するVSPはpGEM-T-イージーベクターにクローンされ、32P-UTPの存在下又は不存在下でインビトロで転写される。異なる濃度の非標識vsp9B10及びCWP1転写体が、固定濃度のvsp1267放射性同位元素標識RNAを含有するWB1267細胞質抽出物により異なる時間中に生成された。ランウェィ1は12個のヌクレオチド(Decade-Ambion社製)のマーカーであり、ランウェィ2,3及び4は750ngのvsp9B10及び250ngのvsp1267(比率3:1)を1時間、5時間及び24時間それぞれインキュベーションした結果であり、ランウェィ5,6及び7は等量のvsp9B10及びvsp1267(各250ng、比率1:1)を1時間、5時間及び24時間それぞれインキュベーションした結果であり、ランウェィ8及び9は750ngのCWP1と250ngのvsp1267を5時間及び24時間それぞれインキュベーションした結果であり、ランウェィ10は250ngのvsp1267転写体を短時間(1時間)インキュベーションした結果であり、混合物に添加されたvsp9B10の量(ランウェィ2及び5)に関係無くWB1267クローンにおいてvsp1267減成は生じなかった。これに対して。長時間(5時間)インキュベーションした後では、vsp9B10の存在(ランウェィ10とランウェィ3,6及び8との比較)により小型放射性同位元素標識vsp1267RNAの出現が増大したが、CWP1転写体の存在は高濃度で含有(ランウェィ8)していても効果が無かった。24時間のインキュベーション時点では、殆どの放射性同位元素標識転写体が完全に崩壊した。
【図9】ランブル鞭毛虫トロホゾイトにおけるDicer及びRdRP遺伝子のサイレンシング結果を示す図である。ランブル鞭毛虫Dicer-AS及びRdRP-ASは非トランスフェクションWB9B10トロホゾイトに比べてRNAメッセンジャーレベルが65%〜75%低下した。これらの値は、RT-PCR及びノーザンブロットを5回行うことにより得られたバンドのデンシトメトリー(濃度測定)アッセイにより測定した。結果は平均値±s.d.を示す。図9の各グラフにおいて縦軸は相対的RdRP発現を示す。
【図10】サイレンスされたRdRP及びDicer酵素による、形質転換ランブル鞭毛虫トロホゾイトにおける様々なVSPの発現を示す図である。図10aは、5Clモノクローナル抗体(VSP1267,右パネル)にコンジュゲート(接合)されたTRITC及び9B10モノクローナル抗体(VSP9B10,左パネル)にコンジュゲートされたFITCを用いて、Dicer-ASトランスフェクショントロホゾイト(下パネル)又は空ベクター(上パネル)における免疫傾向測定法のダイレクトを示す図である。ランブル鞭毛虫におけるDicer発現がサイレンスされている場合、トロホゾイト発現表面VSP9B10はVSP1267も発現する(融合画像、中央パネル)。図10bは、フローサイトメトリーアッセイにより測定された特定のVSPを発現するランブル鞭毛虫トロホゾイトの百分率を示す図であり、この測定には9B10、1267における特定のモノクローナル抗体(VSP9B10、9B10モノクローナル抗体;VSP1267、5Clモノクローナル抗体;VSPA6、6E7モノクローナル抗体)、クローン及び負対照として抗ラットヤギ免疫グロブリンが使用されるので、ランブル鞭毛虫RdRP(RdRP-AS)又はDicer(Dicer-AS)用のアンチセンス構築を有する形質転換された細胞を使用した。図10cは、野生型WB9B10及びトロホゾイトWB9B10のタンパク質抽出物のノーザンブロット試験の結果を示す図である。この試験では、Dicer遺伝子はノックアウトされており、電気泳動及びニトロセルロースへのトランスフェクション後に、フィルターを(1)本発明の12Flモノクローナル抗体G3クローン(全VSP中のCRGKA保存ドメインに対して産生されたもの)又は(2)9B10モノクローナル抗体(VSP9B10用)でハイブリダイズさせた。図10bの縦軸は各VSPに関するポジティブトロホゾイトの割合(%)を示す。
【図11】野生型ランブル鞭毛虫及び抗原変異の調節解除により変性されたランブル鞭毛虫におけるVSPの発現を示す図である。トロホゾイトの共焦免疫蛍光画像が示されている。Dicer(a)及びRdRP(b)はサイレンスされており、DAPI(青色)と対比する抗VSPモノクローナル抗体(緑色)を用いる、WB9B10(d),WB1267(e)及びGS/M-H7(f)の間接免疫蛍光測定法の代表的画像が示されている。更に、本発明の抗CRGKA12Flモノクローナル抗体で染色された単離非クローン化WB個体群(c)の免疫蛍光測定画像が示されている。
【図12】野生型及び形質転換トロホゾイトの様々な個体群で感染され、かつ、WB9B10及びWB1267で攻撃されたスナネズミ由来のデポジションサンプルにおけるランブル鞭毛虫嚢胞の検出及び定量結果を示す図である。図中(a)は、WB9B10、WB1267又は形質転換トロホゾイトのクローン個体群で初期感染されたランブル鞭毛虫を示す図である。ここで、前記形質転換トロホゾイトはDicer(DAS)又はRdRP(RAS)及び両方の1:1混合物の発現がサイレンスされたものである。図中(b-e)は、WB9B10及びWB1267のクローン個体群で初期感染させた後、ランブル鞭毛虫WB9B10(b)、WB1267(c)、DAS(d)及びRAS(e)で予め感染されたスナネズミを2ヶ月間攻撃した結果を示す図である。スナネズミにより分泌された嚢胞の量を計量した。図は5回の実験の中間値を示す。
【図13】VSPの完全なレパートリーを発現するランブル鞭毛虫トロホゾイトによる一次感染を続ける特定のVSPを発現するトロホゾイトによるスナネズミの攻撃結果を示す図である。WB9B10、WB1267、DAS及びRASクローン(a-d)で予め感染させたスナネズミをWB9B10(e-h)、WB1267クローン(i-l)又は精製嚢胞(m-p)の個体群で攻撃した。図は、抗CWP2FITC(緑色)とコンジュゲートされたモノクローナル抗体を使用してスナネズミの糞便を免疫蛍光分析で測定した代表的画像である。図13において、左端の列は一次感染を示し、左端から二番目の列はWB9B10による再感染を示し、左端から三番目の列はWB1267による再感染を示し、右端の列は嚢胞による再感染を示す。
【図14】VSPの完全なレパートリーを発現する形質転換トロホゾイトで感染されたスナネズミの血清及び腸内容物は様々なランブル鞭毛虫クローンをインビトロで膠着させることができることを示す図である。WB9B10クローンで感染されたスナネズミの血清(1b、3f及び5f)又は腸内容物(2b、4f及び6f)、WB1267クローンで感染されたスナネズミの血清(2b及び1f)又は腸内容物(3b及び2f)、GS/MH7クローンで感染されたスナネズミの血清)又は腸内容物(5b及び6b)で攻撃されたWB9B10(1-2)、WB1267(3-4)及びGS/MH7クローン(5-6)、VSP9B10特異性モノクローナル抗体(1c及び2c)、VSP1267特異性モノクローナル抗体(3c及び4c)、VSPH7のモノクローナル抗体(5c及び6c)、非感染スナネズミの血清(1a、2a、3a、4a、5a及び6a)、ノックアウトDASで感染されたスナチネズミの血清(1d、2d、3d、4d、5d及び6d)及びRASで感染されたスナネズミの血清(1e、2e、3e、4e、5e及び6e)の位相差顕微鏡観察の代表的画像である。図14において、1,3,5は血清に対する反応性を示し、2,4,6は腸内容物に対する反応性を示す。
【図15】野生型又は本発明の形質転換ランブル鞭毛虫トロホゾイトの様々なクローン個体群由来の精製VSPで予め免疫されたスナネズミの糞便サンプル中のランブル鞭毛虫嚢胞の検出及び定量結果を示す図である。嚢胞分泌を確認するために抗CWP2モノクローナル抗体を使用し1ヶ月間の間、免疫スナネズミの糞便を毎日モニターした。スナネズミはWB9B10又はWB1267トロホゾイトのクローン個体群で感染させた。免疫化は本発明の形質転換トロホゾイトDAS、RAS(及びこれらの混合物)由来の精製VSPを用いて行った。スナネズミは精製DAS(a)、RAS(b)VSP又はこれらの混合物(c)で予め免疫化させた。これらのスナネズミはWB9B10又はWB1267クローンによる事後感染に対して保護されていた。対照スナネズミ(d)又は細胞内タンパク質で免疫化されたスナネズミ(e)は事後感染に対して保護されていた。数値は5回の個別実験の中間値を示す。
【図16】感染及び攻撃中のスナネズミの小腸の形態を示す写真図である。上パネルは実験動物の小腸を示す。(a)は接種後15日間のVSP完全レパートリー発現トロホゾイトによる初期感染中のスナネズミの小腸を示す。(b)は対照スナネズミに比べて、パイエル板におけるサイズ増大(矢印参照)が認められたことを示す。(c)はDASトロホゾイトの精製VSPにより免疫化されたスナネズミの攻撃中の小腸を示す。下パネルは、実験動物の小腸の顕微鏡観察の写真図である。(d)は感染スナネズミがパイエル板の拡大及び粘膜及び粘膜下組織における穏やかな潤滑性炎症を起こすことを示す。幾つかのランブル鞭毛虫トロホゾイトが小腸内腔内に認められる(*印参照、400倍)。(e)は非感染対照/非ワクチン接種スナネズミ(400倍)を示す。(f)はワクチン接種されたスナネズミの組織学的に正常な小腸粘膜(400倍)を示す。挿入画像は一般的な小腸形態(250倍)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について詳述する。
【0016】
本明細書において、「トロホゾイト」という用語は単細胞寄生体(例えば、原生動物)の特定の段階の細胞を意味する。本発明の効果に対して、「トロホゾイト」、「寄生体」、「寄生体細胞」又は「原生動物」と言う用語は皆同じ意味を有し、相互に互換的に使用できる。
【0017】
本明細書において、本発明の形質転換又は変性寄生体、トロホゾイト又は原生動物は、Dicer遺伝子又はRdRP遺伝子内の原生動物であり得るか、又はこれらの形質転換原生動物の混合物はサイレンスされている。これらの原生動物は形質転換、形質移入又は変性トロホゾイト、原生動物又は寄生体として互換可能的に知られている。サイレンスされている場合、本発明のトロホゾイト又は原生動物Dicer遺伝子はDicer-AS又はDASとしても知られている。サイレンスされている場合、本発明のトロホゾイト又は原生動物RdRP遺伝子はRdRP-AS又はRASとしても知られている。形質転換トロホゾイト又は原生動物の混合物を使用する場合、これらはDicer-AS+RdRP-AS又はDAS+RASとしても知られている。
【0018】
本明細書において、可変表面タンパク質のトロホゾイト又は原生動物発現完全レパートリーは、抗原変異機構が不活化された任意の原生動物寄生体又は病原体であり得る。
【0019】
ランブル鞭毛虫におけるVSP発現調整は、RNA依存性RNAポリメラーゼ、Dicer及びアルゴノート(Argonaute)、RNA干渉機構からなるシステムを含む。表面中に単一表面抗原(タンパク質)を発現するクローンは幾つかのVSPコード化遺伝子を効率的に転写するが、細胞表面に発現させるべきVSPを符合化(encoding)する転写体を集積するだけである。
【0020】
サイレンスVSP及びサイレンスタンパク質由来の小型RNAに対応するアンチセンスRNAの検出は、抗原変異調整におけるRNA干渉パスウエィを暗示する。明らかに、Dicer酵素及びRNA依存性-RNAポリメラーゼのサイレンシングは各寄生体におけるVSP発現を単一から複数に変換させる。
【0021】
VSP発現調整が転写又は転写後レベルでコントロ−ルされるか否か決定するために核ランオンアッセイを行った。次いで、RNAの存在を、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)により、VSPをコード化するセンス及びアンチセンス時点のトロホゾイト中で研究し、更に、高次真核生物(例えば、RNA依存性-RNAポリメラーゼ(RdRP)、Dicer及びアルゴノート)内の二重鎖RNA(dsRNA)の合成及び減成に含まれる酵素の活性度についても研究した。キャラクタリゼーションは、これら遺伝子のクローニング及び発現並びにdsRNAをコード化するVSPから産生された小型RNAの分析を含む。更に、異なるVSPの発現は、ランブル鞭毛虫RNA干渉(RNAi)パスウェィ(経路)成分のサイレンシング後に評価した。
【0022】
病原体微生物における可変表面タンパク質の完全レパートリーを発現する細胞を産生するための抗原変異機構の崩壊は未だ記載されていない。ワクチンとして使用可能な寄生体を産生するための病原体微生物の表面タンパク質の完全レパートリー発現又はこれら病原体により引き起こされる疾患類の免疫学的予防のための可変表面タンパク質の完全レパートリー精製は未だ可能になっていない。
【0023】
ランブル鞭毛虫におけるVSPの転写
WB9B10クローントロホゾイト由来の核から単離されたRNAを用いて核ランオンアッセイによりVSP遺伝子の転写を分析した(図1a参照)。前記クローンはその表面上にVSP9B10(ジェンバンクアクセス番号AAK97086)だけを発現する。その結果は、VSPをコード化する殆どの遺伝子が同時に転写されたことを示す。これに対して、異なるランブル鞭毛虫クローン(WB9B10及びWB1267)から抽出された全RNAをVSP遺伝子の保存3’末端に対応するプローブとして使用されるオリゴヌクレオチドと共にインキュベーションすると、これらクローンの表面上に発現されたVSPに対応する分子サイズの1種類の転写体のみが検出された(図1b参照)。更に、減成生成物と思われる超低分子量バンドも観察された。唯一のVSP転写体の蓄積は、VSP特異性プローブを使用する異なるランブル鞭毛虫クローンにおいて観察された(Nash,T.E.Phil.Trans. R.Soc. Lond. B352,1369-1375(1997)参照)。この実験は、2個以上のVSPが寄生体核中に転写される場合、唯一個のVSP転写体だけが蓄積されることを例証している。
【0024】
ランブル鞭毛虫における転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)
PTGSのキーステップはサイレンスされた遺伝子と相同性のdsRNAの生成である。センス又はアンチセンスVSP生成物を特異的に増幅するようにデザインされたRT-PCRアッセイは、これらのフラグメントをクローニング及び配列決定した後、両方のストランド(鎖)のRNAがトロホゾイト内に存在することを示した(図2参照)。VSPコーディング(符号化)遺伝子用のセンス及びアンチセンスRNAの起こり得る同時転写を評価するために、特定のセンス及びアンチセンスプローブを用いて第2の核ランオン実験をを行った(図1c参照)。このアッセイでは、VSPアンチセンスRNAは検出できなかった。この事実は、これらの分子が転写後に生成されるであろうことを示している。vsp9B10及びvsp1267特異性プライマーを用いるWB9B10からのPCRにより産生された生成物も分析した(図1d参照)。vsp9B10に対応するバンドはゲノムDNA及びセンス相補性DNA中には存在したが、アンチセンスcDNAには殆ど存在しなかった。これに対して、WB9B10クローンの表面上には発現されないvsp1267はゲノムDNAから増幅させることができ、また、同時に、センス及びアンチセンスcDNAの両方からも増幅させることができる。これらの結果は、VSPが同時に転写されること(このことは核ランオンアッセイの結果も裏付けている)及び発現されるアンチセンスVSP転写体が少ししか存在せず、そして、転写はされるが翻訳はされないアンチセンスVSPが存在することを例証している。
【0025】
ランブル鞭毛虫RNAi機構の成分
迷走性RNAからのdsRNAのRdRP媒介・非刺激生成及び短干渉RNA(siRNA)によりガイドされるdsRNAのRdRP媒介・非刺激生成は或る微生物ではRNAiのトリガリングが必要である。RdRPのランブル鞭毛虫相同性が同定された。このRdRP遺伝子155,257Daの基礎タンパク質を符号化する。この基礎タンパク質は他の真核性RdRPと高い相同性を共有し、そして、同定遺伝子の原生動物特性を示すランブル鞭毛虫ウイルス16により符号化されたものとは著しく異なる。
【0026】
ランブル鞭毛虫RdRP転写はRT-PCR及びノーザンブロットにより裏付けられた。また、その局在化はヘムアグルチニン(赤血球凝集素)で標識された発現(HA)により評価された。ランブル鞭毛虫RdRPはおそらく、小胞体の細胞質サイド上に存在するリボソームに結合されている。更に、この酵素はトロホゾイト内で活性である。なぜなら、この酵素は、相同性VSPRNAの存在下でインビトロで高分子量RNAを生成できるからである(図3参照)。RNAの特徴は、dsRNA特異性DicerRNaseによりdsRNAを21-25-ヌクレオチドsiRNAに減成することである。予めランブル鞭毛虫Dicer相同性を同定した。その構造を解明した。また、組換えタンパク質のインビトロDicer活性度を例証した(Macrae,I.J. et al. Science 311, 195-198(2006)参照)。
【0027】
ランブル鞭毛虫ゲノムデータベースにおける相同性遺伝子をサーチするためにショウジョウバエのDicer-1配列を使用し、Dicerドメインと高度な相同性を有する幾つかのクローンを同定した。PCRと後からのゲノムライブラリーとの比較により、2種類の独立したORFが観察された。これは既知のDicer酵素内に存在するドメインを含有している。一つは、PIWI及びPAZドメインを有するアルゴノートタンパク質(gAgo, ジェンバンクアクセス番号AY142142)であり、もう一つは、bidentedRNaseIII(gDicer, ジェンバンクアクセス番号AY142144)である。後者は、RISC及びRNAの各々の他の成分と相互作用する酵素中におそらく含まれるロイシンジッパーモチーフとPAZドメインを含有する。
【0028】
図3に示される結果によれば、Dicer酵素は細胞質の場所と共に完全ランブル鞭毛虫のライフサイクル中に構成的に発現する(図3参照)。ランブル鞭毛虫Dicer活性度を評価するために、インビトロアッセイを行った。放射性同位元素で標識されたdsRNAを後核(post-nuclear)ランブル鞭毛虫抽出物に曝露させた。図4aに示される結果は、標識された遺伝子及びストランド(センス、アンチセンス又は両方)に関係無く、dsRNAは20-30個のヌクレオチドの小型RNAフラグメントに処理されたことを例証している。この処理は、ATPの存在により真核生物が高くなるにつれて促進される(図4b参照)。これらの実験から得られた小型RNAは、5'-P及び3'-OH末端を有するsiRNAと同様にクローン化することができる。 これらのsiRNAの配列決定は、これらが入力VSP遺伝子から由来するものであり、かつ、これらは22-25個のヌクレオチド長であることを示している。結果を下記の表1に示す。下記の表1において「sense small」は『センス小型』を意味し、「antisense small」は『アンチセンス小型』を意味する。
【0029】
表1−1
表1−2
表1−3
【0030】
表1に示された結果から明らかなように、PIWI及びPAZドメインにより単一のランブル鞭毛虫アルゴノートタンパク質(GiardiaAGO)が同定された。その発現はノーザンブロット法により評価した。また、その細胞局在化はタンパク質のヘムアグルチニン(赤血球凝集素)タグ付バージョンの発現により決定された。GiardiaAGOは細胞質に局在化する。
【0031】
VSP発現の調整
この実験において、多数の相同性VSP転写体の出現は、幾つかのVSP遺伝子の転写が起こった後に、ランブル鞭毛虫RdRPによりアンチセンスRNAの生成を指図できる。更に、Dicer(及び、恐らくAGO)の存在及び活性度は、RNAi様機構がランブル鞭毛虫における表面抗原変異の発現の調整に関与していることを示唆している。
【0032】
ランブル鞭毛虫PTGS機構が、インビトロで産生された1種類、2種類又は3種類の異なるVSP転写体とランブル鞭毛虫細胞質抽出物と混合することにより、異なるVSPmRNAの存在を識別出来るか否か分析した。2種類以上の標識付mRNAをRNAi機構を有するトロホゾイト抽出物と一緒にインキュベーションした時、小型VSPRNAが生成された。これは、Dicer活性度アッセイ生成物と同一パターンを有していた(図4a及び図4cを比較されたい)。これに対して、単一の転写体がインキュベーションされるときは何時も、mRNAの減成は起こらなかった。更に、(嚢胞壁タンパク質2を符号化する)非関連遺伝子cwp2又は(グルタミン酸デヒドロゲナーゼを符号化する)gdhを単一の放射性同位元素標識付VSPmRNAに添加した場合でも、小型mRNAへの減成は検出されなかった(図4c参照)。この事実は、サイレンス機構が相同性RNAを特異的に処理することを意味する。異なるランブル鞭毛虫遺伝子(例えば、WBA6、WB1267又はGSH7)由来の細胞抽出物を使用した場合にも同様な結果が得られた。他の相同性VSP遺伝子と併用された場合にはvsp9B10RNAは小型RNAに処理されたが、VSPだけが反応混合物に添加されたときはvsp9B10RNAは小型RNAに処理されなかった(図5参照)。内在性siRNA及び様々なセンス及びアンチセンスVSPRNAのトロホゾイト抽出物における存在は確かにサイレンシングプロセスを妨げないことが明らかになった。これらの実験で使用されたVSPmRNAはインビトロで合成されるので、サイレンス機構は、如何なる転写後RNA変性の不存在下でも相同性mRNAを識別できることは明かである。センス及びアンチセンスVSP転写がランブル鞭毛虫において発見されたこと及びDicer活性度が実験的に実証されたことを考慮して、VSPdsRNA減成から得られた小型RNAを探索した。
【0033】
ランブル鞭毛虫WB9B10及びWB1267クローンにおいて、ノーザンブロットアッセイ用に分部的に消化されたvsp9B10RNAプローブを使用すると、発現されないVSP(この場合はVSP1267)について小型RNAが検出されたが、WB9B10クローンの表面上に発現されるVSP9B10については小型RNAは検出されなかった(図4d参照)。これらの結果は、単一のVSP転写がこのサイレンシングプロセスをどのようにして回避するか、また、どのようにして寄生体の表面で翻訳され、かつ、発現されるかという疑問を惹起させる。
【0034】
異なるVSP転写濃度が抗原変異に役割を有するか否か証明するために、vsp9B10及びvspH7(ジェンバンク登録番号AAA18202)の両方の錐状体により、又は、deα-チューブリン(微小管構成タンパク質)遺伝子のような強力なプロモーターの制御下でvsp9B10アンチセンス領域含有構築により、インビボ(in vivo)でのVSP発現を不平衡化させた(Touz,M.C.,Gotting,N.,Nash,T.E.&Lujan,H.D.,J.Biol.Chem.277,50557-50563(2002)及びErmendorf,H.G. et al., Mol.Biochem.Parasitol.113,157-169(2001)参照)。VSPH7は選択薬物の圧力下でも可変発現を示した。また、VSP9B10も時間の経過につれて減少した(図6参照)。そのうえ、VSP9B10がノックダウンされた場合、寄生体表面上のその発現は対照よりも速く減少した(図7参照)。これらの結果は、VSPのプロモーター領域はVSP発現に殆ど又は全く影響を与えないこと示唆している。従って、PTGS機構はランブル鞭毛虫抗原変異に含まれなければならないことを示唆している。
【0035】
更に、異なるVSP転写濃度が不平衡化されたインビトロ実験は、mRNA濃度が、サイレンシング機構を回避し、そして翻訳されるべき所定のVSPに関連していることを実証した(図8参照)。これらの結果は、ランブル鞭毛虫抽出物は特定のVSP転写体を非変性の状態に維持するようにプログラムされているが、異なるVSP濃度が一層高い(所定の転写の処理が各VSPの相対的細胞質濃度に依存する)場合よりもRNA減成を開始できることを示唆する。
【0036】
ランブル鞭毛虫RdRP、Dicer及びAGOのサイレンシング
ランブル鞭毛虫の倍数性及び核が2個存在するために、ランブル鞭毛虫における特定の遺伝子サイレンシングは不可能なので、トロホゾイトのアンチセンス転写体の一部の構成的発現によるランブル鞭毛虫RdRP、Dicer及びAGOの発現をノックダウンすることにより抗原変異中の特徴的RNAi成分の関与を示すための直接試験を行った。RdRP(RdRP-AS)又はDicer(Dicer-AS)の発現減少が起きた場合(図9参照)、その表面に2種類以上のVSPを発現するトロホゾイトが産生された。このトロホゾイト産生は、特異的モノクローナル抗体(図10a及び表2参照)、フローサイトメトリー(図10b参照)及びウエスタンブロット(図10c参照)を用いる免疫蛍光測定法により決定した。ランブル鞭毛虫AGOのサイレンシングは可変クローンを全く産生しなかった。この事実は、この分子が寄生体にとって必須成分であることを示唆する。Dicer又はRdRPがノックダウンされた本発明のトロホゾイトは、増殖しそして通常のように培養物を包嚢し、サイレンシング又はノックダウン処置が適用されてもVSP調整に対して有害な作用を及ぼさない(表2参照)。本明細書に記載した教示から、変性原生動物(例えば、変性マラリア原虫原生動物、トリパノソーマ原生動物又は抗原変異機構を示すその他の全ての原生動物など)を得るために、Dicer、RdRP又はその両方をサイレンスさせるか又はノックダウンさせることができる。
【0037】
表2
ノックダウン又はサイレンスされたRdRP(RdRP-AS)及びDicer(Dicer-AS)を有するランブル鞭毛虫(Giardia)におけるvsp発現の定量分析
VSP 無し ニセ GiardiaRdRP-AS GiardiaRdRP-AS
VSP9B10 99±0.5 98±1.2 90±0.6 18±2.0
VSP1267 0 0.5±0.12 96±0.2 22±0.9
VSPA6 0 0 48±2.3 17±1.3
VSPS1 0 0 62±4.1 36±2.1
VSPS2 0 0 33±1.1 28±3.9
VSPS7 0 0 73±0.3 65±4.4
【0038】
表2は特定のVSPを発現するランブル鞭毛虫トロホゾイトの百分率(%)を示す。これらの値は免疫蛍光測定法により決定した。この測定法では、5日間培養した後に、RdRP及びDicerをコード化するランブル鞭毛虫遺伝子のアンチセンス構築物が形質移入されたWB9B10トロホゾイトで特異的モノクローナル抗体(Mab)を使用した。例えば、WB9B10についてはモノクローナル抗体9B10を使用し、VSP1267についてはモノクローナル抗体5Clを使用し、VSPA6についてはモノクローナル抗体6A7を使用し、VSPS1についてはモノクローナル抗体1B2を使用し、VSPS2についてはモノクローナル抗体7B8を使用し、VSPS7についてはモノクローナル抗体6F8を使用した。表中の「ニセ」は空プラスミド単独による形質移入の結果を示し、「無し」は形質移入無しの結果を示す。対照として、ヤギ抗マウス免疫グロブリンを使用した。反応は全く示されなかった。データは3個の個別実験(各実験は2回行った)の平均値±SD(標準偏差)として示されている。各%の加法から判断すると、これらの結果は、多くの異なるVSPが単一のトロホゾイトにより発現され得ることを示している。
【0039】
図10bから認められるように、クローンは明確な単一のVSP発現パターンを示したが、RdRP-AS及びDicer-ASトロホゾイトは、各トロホゾイト毎に2種類以上のVSPの発現を明示した。
【0040】
図10cに示されるように、特異的モノクローナル抗体(抗VSP9B10)は9B10クローン及び変性トロホゾイトにおいて一本のバンドを認識するだけであるが、本発明の12F1モノクローナル抗体は変性トロホゾイトにおいて多数のタンパク質種と反応する。この事実は、RNAiパスウェイが遮られるか又はサイレンスされる場合、多数のVSPを同時に発現させ得ることを示している。
【0041】
要約すると、(少なくともRdRP及びDicerからなる)PTGS系はランブル鞭毛虫における表面抗原発現の調整に関与される。実験及び自然ランブル鞭毛虫感染宿主の両方における体液免疫反応はオリジナルVSPの排除も同時に起こすので、表現型変異の選択及び感染過程における細胞及び抗体の機能的役割が提案された。特異的免疫反応に対する寄生体防御が免疫学的に別個の表面タンパク質間の発現のスィッチングに依拠すると仮定すれば、宿主が特異的免疫反応による感染を阻止できる一つの方法は、全ての表面抗原決定因子に対する抗体を産生することによる。これらの結果は、RNAi機構構成成分の消失調整がトロホゾイト又は原生動物における2種類以上の表面タンパク質の発現を行うことを実証する。これらの変性原生動物は重要なヒト又は動物病原体に対する又は抗原変異性を有する全ての病原性微生物(例えば、マラリア原虫又はトリパノソーマ)に対するワクチン生成用の基本的ツールを構成する。
【0042】
使用されるサイレンシング方法と関係無く、表面タンパク質の完全レパートリーを発現するように変性された全ての原生動物が本発明の範囲内に含まれる。
【0043】
同様に、原生動物における全てのRdRP又はDicerサイレンシング方法も本発明の範囲内に含まれる。
【0044】
全てのVSPレパートリーを発現する変性ランブル鞭毛虫がワクチンとして使用できるか否か決定するために、実験的スナネズミランブル鞭毛虫症モデルにおける研究を行った。最初に、本実施例に示されるようなランブル鞭毛虫Dicer(DAS)又はランブル鞭毛虫RdRP(RAS)発現をノックダウンすることによる発現完全VSPレパートリーのアイゾレーションからトロホゾイトにWBを産生させた。更に、表面VSPだけを発現するトロホゾイト個体群は所定のVSPに対するモノクローナル抗体を使用することにより制御されるWB及びGS細胞アイゾレーションにおける限界希釈により得た。図11は、例えば、VSP9B10(緑色)及びVSP1267(赤色)の共局在化(黄色)を示す直接免疫蛍光分析法で示されるように、Dicer(図11a参照)又はRdRP(図11b参照)がサイレンスされたトロホゾイトがその表面上に多数のVSPを発現することを示す。この図から明らかなように、殆どのトロホゾイトはその表面上に2種類以上のVSPを発現する。その表面上に異なるVSPを発現する細胞の百分率は、異なるVSPに対して差し向けられたモノクローナル抗体のパネルを使用することにより決定した(下記の表3参照)。
【0045】
表3
モノクローナル抗体 WB9B10 DAS RAS DAS+RAS
対照 0 0 0 0
9B10 99 78 67 75
5Cl 0 96 51 93
6E7 0.1 89 93 84
G10/4 0 0 0 0
9C9 0 0 0 0
1B2 0 66 92 91
7B8 0 89 74 84
6F8 0 87 46 71
7G8 0 90 89 88
1B4 0 77 52 68
【0046】
これらの%は細胞がその表面上に大量のVSP(>100%)を同時に発現したことを実証している。これらの変性トロホゾイトは成長し、野生型細胞としてインビトロで包嚢する。このことは、これら酵素のサイレンシングが他の細胞プロセスにより干渉されないことを示している。培養中、トロホゾイトは一方のVSPから他方のVSPに内発的に切り替わる。従って、それらの表面上に特異的VSPを発現する細胞の個体群は、個体群の相同性を確保するために、クローニング及び選別の後に、24時間にわたって培養液中に独占的に維持される。図11eは、WBアイソレートの非クローン化培養物の全トロホゾイトは(透過処理後)、全ての既知VSPに普遍的なCRKGA細胞質側末端に特異的な本発明のモノクローナル抗体で標識することができることを示している。DAPIと対照をなす間接免疫蛍光分析法により決定されるような唯1種類のVSP(VSP9B10、VSP1267、VSPA6)を発現するトロホゾイトのクローナル個体群は、図1d-1f(それぞれモノクローナル抗体9B10、モノクローナル抗体5Cl、モノクローナル抗体6E7に対応する)で観察することができる。ランブル鞭毛虫個体群はSPFスナネズミを感染させるために最初に使用される。感染は経口胃トロホゾイト接種と嚢胞分泌で開始され。これは明らかに動物感染を示す。ランブル鞭毛虫嚢胞は、特異的CWP2モノクローナル抗体(Mab7D2)で免疫蛍光分析法により糞便サンプル中で評価され、かつ同定される。更に、各変性型及び野生型細胞個体群の感染力及び病原性を決定するために、これらの動物により生成された糞便1g当たりの嚢胞量を計測した。図12aは、全個体群が健康なスナネズミに感染を起こさせたことを示している。糞便サンプル中の嚢胞発生の徴候及び嚢胞量は使用される異なるトロホゾイト間で僅かに変動した。小腸内のトロホゾイトの存在を検証するために、何匹かの動物を殺処分し、そして腸内容物を回収した。感染動物は第2感染週中に何らかの下痢症状を示し、また、何匹かの動物は体重が減少した。少量のトロホゾイトにより何匹かの慢性的に感染された動物の見込みを防ぐために、動物のうちの半数をメトロニダゾール(抗原虫薬)で処理し、全ての検出不能感染を治療した。
【0047】
特定のVSP(VSP9B10及びVSP1267)を発現するトロホゾイトによる初期感染又は完全VSPレパートリー(DAS、RAS、DAS+RAS)を発現するトロホゾイトによる初期感染が後の感染に対して動物を保護するか否か決定するために、初期感染が自然治癒した後2ヶ月してから、何匹かの動物に特異的VSP(VSP9B10及びVSP1267)を発現するトロホゾイトのクローン個体群を接種した。図12b及び12cはそれぞれVSP9B10又はVSP1267に予め感染させられた動物における嚢胞消失の結果を示す。図12d及び12eはそれぞれDAS又はRASに予め感染させられた動物の結果を示す。これらの結果は明らかに次の(a)〜(c)の事項を示す。すなわち、(a)1種類の単一VSPを発現するトロホゾイトに感染された動物は同じVSPを発現する細胞による二次感染に対して免疫性がある。この事実は、所定の表面タンパク質(図12a及び図12b参照)に対する初期感染中に強力な免疫応答が発達したことを示唆する。(b)特定のVSPを発現する細胞に感染された動物は異なるVSPを発現するトロホゾイトに容易に再感染する。この事実は、ヒトの感染観察と同様に、治癒又は医学的治療(図12b及び図12c参照)の後の再感染が一般的であることを示唆する。(c)これに対して、完全VSPレパートリーを発現するトロホゾイトの個体群に感染された動物はこれらの表面上に唯1種類のVSPを発現するクローン個体群(図12d及び図12e参照)によるその後の感染に対して保護された。同じ実験的攻撃を初期感染後2,4,6及び12ヶ月後に行った。同じ結果が得られた。結果を下記の表4及び5に示す。表中の「MNZ」はメトロニダゾールの略号である。
【0048】
表4
WB9B10クローントロホゾイトによる攻撃及びスナネズミ感染率(%)
初期感染 スナネズミ MNZ 2ヶ月後攻撃 4ヶ月後攻撃 12ヶ月後攻撃
物質 頭数 処理 (感染率:%) (感染率:%) (感染率:%)
無し 30 有 30+ (100%) N/A N/A
無し 30 無 30+ (100%) N/A N/A
WB9B10 30 有 30- (0%) N/A N/A
WB9B10 30 無 29-1+ (3.3%) N/A N/A
WB1267 30 有 30+ (100%) N/A N/A
WB1267 30 無 29+1k (100%) N/A N/A
WBA6 30 有 30+ (100%) N/A N/A
WBA6 30 無 30+ (100%) N/A N/A
Dicer-AS 90 有 27-3+ (10%) 30- (0%) 30- (0%)
Dicer-AS 90 無 29-1k (0%) 28-2k(0%) 27-3k(0%)
RdRP-AS 90 有 29-1+ (3.3%) 29-1k (0%) 29-1k (0%)
RdRP-AS 90 無 28-2+ (6.6%) 28-2k(0%) 29-1k (0%)
Dicer-AS+ 90 有 28-1+1k(3.3%) 30- (0%) 29-1+ (3.3%)
RdRP-AS
Dicer-AS+ 90 無 29-1k (0%) 29-1+ (3.3%) 30- (0%)
RdRP-AS
【0049】
表5
WB1267クローントロホゾイトによる攻撃及びスナネズミスナネズミ感染率(%)
初期感染 スナネズミ MNZ 2ヶ月後攻撃 4ヶ月後攻撃 12ヶ月後攻撃
物質 頭数 処理 (感染率:%) (感染率:%) (感染率:%)
無し 30 有 30+ (100%) N/A N/A
無し 30 無 30+ (100%) N/A N/A
WB9B10 30 有 30+ (100%) N/A N/A
WB9B10 30 無 30+ (100%) N/A N/A
WB1267 30 有 30- (0%) N/A N/A
WB1267 30 無 29-1+ (3.3%) N/A N/A
WBA6 30 有 30+ (100%) N/A N/A
WBA6 30 無 30+ (100%) N/A N/A
Dicer-AS 90 有 28-2+ (6.6%) 28-1+1k(3.3%) 30- (0%)
Dicer-AS 90 無 29-1+ (3.3%) 29-1d (0%) 29-1k(0%)
RdRP-AS 90 有 29-1+ (3.3%) 29-1+ (3.3%) 29-1+ (3.3%)
RdRP-AS 90 無 28-1+ 1k(3.3%) 28-2k(0%) 30- (0%)
Dicer-AS+ 90 有 28-2+ (6.6%) 29-1+ (3.3%) 29-1k (0%)
RdRP-AS
Dicer-AS+ 90 無 30- (0%) 30- (0%) 30- (0%)
RdRP-AS
【0050】
ランブル鞭毛虫CEP2に対して標的化されたモノクローナル抗体を使用して選択された動物の糞便について行われた免疫蛍光分析法は明らかに感染動物の嚢胞分泌とこれらの保護の不存在を示した(図13参照)。観察されるように、WB9B10クローンに予め感染された動物は同じクローン(糞便中には嚢胞は発見されなかった)によるその後の感染に対して抵抗性であったが、これらの動物はVSP1267を発現するトロホゾイト(非常に多量の嚢胞が検出された)に感染した。DAS又はRASトロホゾイトに予め感染したスナネズミはWB9B10又はWB1267クローン(糞便のサンプル内には嚢胞は発見されなかった)によるその後の感染に対して保護された。
【0051】
(分泌されたトロホゾイトの未知VSPの)初期感染で得られた嚢胞がこれらの動物を感染させることができるか否か確かめるために、DAS、RAS及びDAS+RAS個体群で予め感染されたスナネズミに大量の嚢胞を接種した。結果を表6に示す。表6に示された結果から明らかなように、特定のトロホゾイト個体群を接種された動物と同様に、対照のスナネズミと比較して、動物は感染に対して抵抗性であった。要するに、これらの結果は、全てのVSPに対する免疫応答が新規な感染の発生に必要であることと明確に示している。
【0052】
表6
嚢胞感染による攻撃及びスナネズミ感染率(%)
初期感染 スナネズミ MNZ 2ヶ月後攻撃 4ヶ月後攻撃 12ヶ月後攻撃
物質 頭数 処理 (感染率:%) (感染率:%) (感染率:%)
無し 30 有 30+ (100%) N/A N/A
無し 30 無 30+ (100%) N/A N/A
WB9B10 30 有 30+ (100%) N/A N/A
WB9B10 30 無 29+1k(100%) N/A N/A
WB1267 30 有 30+ (100%) N/A N/A
WB1267 30 無 29+1k(96.6%) N/A N/A
WBA6 30 有 30+ (100%) N/A N/A
WBA6 30 無 30+ (100%) N/A N/A
Dicer-AS 90 有 30- (0%) 30- (0%) 30- (0%)
Dicer-AS 90 無 29-1k (0%) 30- (0%) 29-1k(0%)
RdRP-AS 90 有 29-1+ (3.3%) 29-1k (0%) 29-1k (0%)
RdRP-AS 90 無 29-1+ (3.3%) 28-1+1k(3.3%) 29-1k (0%)
Dicer-AS+ 90 有 29-1+ (3.3%) 30- (3.3%) 30- (0%)
RdRP-AS
Dicer-AS+ 90 無 29-1+ (3.3%) 29-1+ (3.3%) 29-1k (0%)
RdRP-AS
【0053】
更に、初期感染中に観察された症候は攻撃感染中に消失した。これらの結果は新たな感染を防ぐために全てのVSPに対する免疫応答の必要性を再び示している。
【0054】
他方、感染動物及び対照動物から血清と腸内容物を得た。そして、これらを1種類又は数種類のVSPを発現するトロホゾイトと共にインビトロ実験にかけた。非感染動物の血清又は腸内容物は寄生体の形態、生存率又は運動性に対して無効であった(図14参照)。これに対して、単一のVSPを発現するトロホゾイトのクローン個体群を前記タンパク質に対して標的化されたモノクローナル抗体又は前記のように感染された動物の血清又は腸内容物と共にインキュベーションした場合、全個体群のディスアタッチメント及び凝集が起きた。この事実は、表面タンパク質に対する抗体の存在を示唆する。別種のクローンに感染されたスナネズミの血清又は腸内容物とのインキュベーションでは顕著な効果は示されなかった(図14参照)。クローン個体群をサイレンスされたDicer又はRdRPに感染されたスナネズミ由来の血清又は腸内容物と直面させた場合、強烈なトロホゾイト凝集が起きた(図14参照)。これらの結果は、感染スナネズミはトロホゾイト内に存在するVSPに対する強烈な免疫反応を発現させることができ、細胞表面に存在するかもしれないその他の抗原は、抗原産生ばかりでなく後の感染に対する保護を付与することにも無関係であることを示している。
【0055】
更に、単離GS/M(アセンブリーB)のトロホゾイトに対する分泌液。この場合、DAS及びRASトロホゾイトを有する感染動物の血清及び腸内容物は部分的な細胞凝集(凝集率30〜40%)を示した。この事実は、これらのアセンブリーがこれらのVSP内の幾つかの共通エピトープを共有していることを示す。
【0056】
他方、CRKGAアミノ酸配列を有するVSP細胞質側尾部に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ系が得られた。
【0057】
精製VSPによるスナネズミの免疫化
全VSP内に存在する細胞質側尾部の5個のアミノ酸に対して反応するモノクローナル抗体を用いて変性DAS及びRASトロホゾイト(実施例参照)から完全VSPレパートリーを精製した。対照として、ランブル鞭毛虫細胞内抗原GRP78/BiPを過剰発現させ、そして、免疫精製した。次いで、3日間、所定の投与量で3回経口胃投与することにより、これらのアジュバント不含有タンパク質製剤でスナネズミを免疫化させたあ。全ての事例において、ワクチン接種は疾患の症候を引き起こさなかった。この事実は、VSP単独では動物に対して有毒ではないことを示す。動物感染は糞便中の嚢胞を計数することによりモニターし、また、或る場合には、小腸内のトロホゾイトの存在を観察するために、動物を殺処分した。完全VSPレパートリーによる経口免疫化は強烈な免疫応答を発生する。この免疫応答は動物感染を防止する。同様な結果は一次感染中にも観察された。更に、溶媒又はGRP78/BiPが接種された対照動物はクローントロホゾイト個体群に即座に感染した(図15参照)。
【0058】
免疫原として使用された個別的精製VSPも前記の感染実験で観察された結果と同一の結果を示した。完全VSPレパートリー製剤により生み出された保護は少なくとも1年間は持続した。この結果を下記の表7、8及び9に示す。
【0059】
表7
WB9B10クローントロホゾイトによる攻撃及び精製VSPによる免疫化後のスナネズミ感染率(%)
初期感染 スナネズミ MNZ 2ヶ月後攻撃 4ヶ月後攻撃 12ヶ月後攻撃
物質 頭数 処理 (感染率:%) (感染率:%) (感染率:%)
無し 30 有 30+ (100%) N/A N/A
無し 30 無 30+ (100%) N/A N/A
WB9B10 30 有 30- (0%) N/A N/A
WB9B10 30 無 28-2+(6.6%) N/A N/A
WB1267 30 有 30+ (100%) N/A N/A
WB1267 30 無 30+ (100%) N/A N/A
WBA6 30 有 30+ (100%) N/A N/A
WBA6 30 無 30+ (100%) N/A N/A
Dicer-AS 90 有 25-5+ (16.6%) 27-3+ (0%) 28-1+1k(3.3%)Dicer-AS 90 無 26-3+1k(10%) 25-1+4k(3.3%) 27-3+(10%)
RdRP-AS 90 有 28-2+ (6.6%) 28-1+1d(3.4%) 28-1+1k(3.3%)
RdRP-AS 90 無 26-2+2k(6.6%) 27-2+1k(6.6%) 30- (0%)
Dicer-AS+ 90 有 29-1+ (3.3%) 29-1+ (3.3%) 30- (0%)
RdRP-AS
Dicer-AS+ 90 無 29-1k (0%) 29-1+ (3.3%) 29-1k (0%)
RdRP-AS
BiP 30 有 30+ (100%) N/A N/A
BiP 30 無 30+ (100%) N/A N/A
【0060】
表8
クローンWB1276トロホゾイトによる攻撃及び精製VSPによる免疫化後のスナネズミ感染率(%)
初期感染 スナネズミ MNZ 2ヶ月後攻撃 4ヶ月後攻撃 12ヶ月後攻撃
物質 頭数 処理 (感染率:%) (感染率:%) (感染率:%)
無し 30 有 30+ (100%) N/A N/A
無し 30 無 30+ (100%) N/A N/A
WB9B10 30 有 30+ (100%) N/A N/A
WB9B10 30 無 30+ (100%) N/A N/A
WB1267 30 有 30- (0%) N/A N/A
WB1267 30 無 29-1+ (3.3%) N/A N/A
WBA6 30 有 30+ (100%) N/A N/A
WBA6 30 無 29+1k(100%) N/A N/A
Dicer-AS 90 有 29-1+ (3.3%) 27-2+1k(6.6%) 29-1+(3.3%)
Dicer-AS 90 無 27-3+1(10%) 24-2+4k(10%) 29-1+(3.3%)
RdRP-AS 90 有 28-2+ (6.6%) 29-1+ (3.3%) 28-2k (0%)
RdRP-AS 90 無 26-3+1k(10%) 29-1+ (3.3%) 30- (0%)
Dicer-AS+ 90 有 29-1+ (3.3%) 29-1+ (3.3%) 29-1k (3.3%)
RdRP-AS
Dicer-AS+ 90 無 29-1k (0%) 29-1+ (3.3%) 29-1k (3.3%)
RdRP-AS
BiP 30 有 30+ (100%) N/A N/A
BiP 30 無 30+ (100%) N/A N/A
【0061】
表9
嚢胞感染の攻撃及びスナネズミ感染率(%)
初期感染 スナネズミ MNZ 2ヶ月後攻撃 4ヶ月後攻撃 12ヶ月後攻撃
物質 頭数 処理 (感染率:%) (感染率:%) (感染率:%)
無し 30 有 30+ (100%) N/A N/A
無し 30 無 30+ (100%) N/A N/A
WB9B10 30 有 30+ (100%) N/A N/A
WB9B10 30 無 29+1k(100%) N/A N/A
WB1267 30 有 30+ (100%) N/A N/A
WB1267 30 無 30+ (100%) N/A N/A
WBA6 30 有 29+1- (96.6%) N/A N/A
WBA6 30 無 30+ (100%) N/A N/A
Dicer-AS 90 有 27-3+ (10%) 27-3+(10%) 28-2+(6.6%)
Dicer-AS 90 無 25-3+2k(10%) 23-2+5k(10%) 30- (0%)
RdRP-AS 90 有 30- (0%) 28-1+1k (3.3%) 29-1+ (3.3%)
RdRP-AS 90 無 28-2+ (10%) 27-1+2k (6.6%) 29-1+ (3.3%)
Dicer-AS+ 90 有 29-1+ (3.3%) 29-1+ (3.3%) 29-1k (0%)
RdRP-AS
Dicer-AS+ 90 無 29-1+ (3.3%) 29-1k (0%) 29-1k (0%)
RdRP-AS
BiP 30 有 30+ (100%) N/A N/A
BiP 30 無 30+ (100%) N/A N/A
【0062】
興味深いことに、ランブル鞭毛虫感染は時々免疫化を示さないことがあるが、外寄生されたスナネズミの腸はバイエル板のサイズの増大及び腸上皮における浸潤好中球、肥満細胞及びリンパ球のサイズの増大を示したことを指摘しなければならない。高い小腸の巨視的及び微視的変化は免疫化スナネズミでは明白ではなかった(図16参照)。
【0063】
これらの結果は、初期感染及びVSP製剤による免疫化の両方とも動物に免疫保護を付与することができることを示している。この免疫保護は、ランブル鞭毛虫嚢胞又は感染したヒトの糞便サンプルから得られたクローンによる二次感染を防止することができる。
【0064】
前記の表4〜9の全てにおいて、「N/A」は『該当無し』を意味する。また、「d」は腸寄生体を検出するために殺処分された動物を意味する。
【0065】
本発明の変性原生動物及びワクチンは、宿主の免疫反応を打ち破るための抗原変異機構を有する原生動物により発生される感染に対して全ての哺乳動物の免疫性を高める。明らかに、寄生体は前記機構を有する任意の原生動物(例えば、マラリア原虫、トリパノソーマ、バベシア等)であることができる。
【0066】
野生型及び変性又はサイレンス原生動物の両方とも15日目の嚢胞最大排出で感染を発症し、30日目に自己解決した。
【0067】
メトロニダゾール(MNZ)で処理した又は処理しなかった動物は二次感染に対して相似的保護パターンを示した。
【0068】
野生型及び変性(サイレンス)の両方のタイプのトロホゾイトにより産生された嚢胞は天然のスナネズミに対して感染性である。
【0069】
その表面上に唯1種類のVSPを発現する生ランブル鞭毛虫で感染されたスナネズミは同じクローンによる二次感染に対して保護される。
【0070】
その表面上に唯1種類のVSPを発現する生ランブル鞭毛虫で感染されたスナネズミは異なるクローンによる二次感染に対して保護されない。
【0071】
例えば、Dicer又はRdRPのサイレンシングにより完全VSPレパートリーを発現する生ランブル鞭毛虫で感染されたスナネズミは異なるクローン個体群による二次感染に対して保護される。
【0072】
例えば、Dicer又はRdRPのサイレンシングにより完全VSPレパートリーを発現する生ランブル鞭毛虫で感染されたスナネズミはヒトの糞便サンプルから得られた嚢胞による二次感染に対して保護される。
【0073】
例えば、Dicer又はRdRPのサイレンシングにより完全VSPレパートリーを発現する死滅ランブル鞭毛虫で感染されたスナネズミは異なるクローン個体群による二次感染に対して保護される。
【0074】
精製VSPで感染されたスナネズミは異なるクローン個体群による二次感染に対して保護される。
【0075】
精製細胞内抗原で感染されたスナネズミは二次感染に対して保護されない。
【0076】
完全VSPレパートリーを発現する細胞による一次感染は二次感染に対して動物を保護(保護率87%〜100%)する免疫応答を発生する。
【0077】
ワクチン製剤で動物に対して毒性効果を示したものは皆無である。
【0078】
以下、実施例により本発明を更に詳細に例証する。
【実施例1】
【0079】
寄生体培養及びクローニング
ランブル鞭毛虫を、成牛の血清及び胆汁が補足されたTY-33培地中で培養した(Lujan,H.D.,Mowatt,M.R.,Conrad,J.T.,Bowers,B.及びNash,T.E.,J.Biol.Chem.270,29307-29313(1995))。対応する抗VSPモノクローナル抗体を用いて免疫蛍光分析法に基づく限界希釈及び選択によりトロホゾイトの連続的クローニングを行った。被嚢形成は既に報告されている通りに行った(Lujan,H.D.,Mowatt,M.R.,Conrad,J.T.,Bowers,B.及びNash,T.E.,J.Biol.Chem.270,29307-29313(1995))。WB株クローン9B10、1267及びA6並びにGSクローン株H7のランブル鞭毛虫トロホゾイトを使用した。
【0080】
PCR
Mowatt,M.R.L.,H.D.;Cotten,D.B.;Bowers,B.及びNash,T.E.;Yee,J.;Nash,T.E.;Stibbs,H.H.,
Mol Microbol 15,955-63(1995)に記載された方法に従って全ランブル鞭毛虫DNAを単離した。
【0081】
センスプライマー:S1(5'-CVT GTG CHR RST GCA A-3')(SEQ ID N゜113),S2(5'-TGC ACS RSC TGC YAB CC-3')(SEQ ID N゜114),S3(5'-TAG TGY DSY VMV TGY AA-3')(SEQ ID N゜115)及びS4(5'-CGA TCA TGA CGG GCT TCT-3')(SEQ ID N゜116)。 アンチセンスプライマー:R1(5'-CCB ACG AGG CCY CCS ACG AC-3')(SEQ ID N゜117)及びR2(5'-CGC CTT CCC KCK RCA KAY GA-3')(SEQ ID N゜118)。PCR条件:変性94℃、40分間、ハイブリダイゼーション53℃、40秒間及び伸張72℃、90秒間でTaqポリメラーゼ高忠実度(Invirogen社製)を用いトータル35サイクルで行った。
【0082】
RT-PCR
VSPセンスプライマー(S1-S4)を1μgの総RNAに添加し、70℃で5分間加熱した。前記に列挙された全ての見込みのあるプライマーセンス/アンチセンス組合せを使用するか又は特異的vsp1267及びvsp9B10プライマー(1267_F,5'-ATG TTG TTG ATA GCC TTC TAT C-3')(SEQ ID N゜119); 1267_R,5'-CTA CGC CTT CCC CCT GCA TAT G-3')(SEQ ID N゜120); 9B10_F,5'-ATG TTT GGC AGT TTT GTT CTC-3')(SEQ ID N゜121); 9B10_R,5'-TCA CGC CTT CCC TCT ACA TAT G-3')(SEQ ID N゜122))を用いて、逆転写反応サンプル(2μL)を増幅した。RT-PCR生成物を電気泳動法により分析し、QiaexIIゲル抽出キット(Qiagen社製)により精製した。ランブル鞭毛虫トロホゾイト分化中又はサイレンシング実験中に異なる遺伝子の発現を研究するために、RT-PCRを下記の特異的プライマー対と共に使用した。gDicer(645bp):HL160, 5'-TGG CGG CGT CGT ATC AGT TAT-3')(SEQ ID N゜123)、 HL161, 5'-TCC CCG CAC GCA AGA AGA A-3')(SEQ ID N゜124)、gAgo(912bp): HL-164, 5'-ATT GCC CCC TAC GGT GTC-3')(SEQ ID N゜125)、HL-165, 5'-CTC TGC CGG CCT TCC TAC-3')(SEQ ID N゜126)、gRdRP(569bp): HL187, 5'-CAT GGG TTG CAG TTT CTT GAC GA-3')(SEQ ID N゜127)、HL188, 5'-AGC CCC TTA TCT GTT GCC TCC TTC-3')(SEQ ID N゜128)、yCWP1差示的発現対照(533bp): HL183, 5'-TCG CCC TGG ATG TTT CGG ACA T-3')(SEQ ID N゜129), HL184, 5'-AGG CGG CTC AGG CAG TA-3')(SEQ ID N゜130)及びGDH構成的発現(407bp): HL185, 5'-AGT GGG GCG GGT CTT TAC TCA-3')(SEQ ID N゜131), HL186, 5'-TGT TCG CGC CCA TCT GGT AGT TCT TCT-3')(SEQ ID N゜132)。これらの反応生成物も単離し、下記に示すようにノーザンブロット法のためのプローブとして使用した。
【0083】
ノーザン・ハイブリダイゼーション
総RNA(10〜15μg)を1.2%アガロース・ホルムアルデヒドゲルで分画し、ハイボンド(Hybond)N+(GE社製)に移し、常法によりUV架橋剤(UVP社製)で固定させた。保存されたC-末端フラグメント(アンチセンスプライマーR2)を、γ-[32P]-ATP(5'末端標識系、Promega社製)を用いてT4ポリヌクレオチドキナーゼと共に放射性同位元素標識した。grdrpおよびその他のDANフラグメントはランダムプライミング(プライム-A-遺伝子標識系、Promega社製)により一律に標識した。
【0084】
核ランオン分析
細胞を4℃の氷冷溶解バッファー(10mM Tris-HCl pH8.4, 1.5mM MgCl2, 0.14M NaCl及び完全プロテアーゼ阻害剤カクテル)1mLに再懸濁させた。2.25μlのNonidet(ノニデット)P-40(界面活性剤)を添加し、懸濁液を氷上で15分間インキュベーションした。2000gで1分間遠心分離することにより核を回収し、4℃の氷冷核洗浄バッファー(20mM Tris-HCl pH8.4, 140mM KCl, 10mM MgCl2, 20%(V/V)グリセロール及び14mM β-メルカプトエタノール)1mLで2回洗浄した。次いで、この核を50μLのラベリングバッファー(20mM Tris-HCl (pH8.4, 4℃), 10mM MgCl2, 20%(V/V)グリセロール及び14mM β-メルカプトエタノール, 各1mMのATP, GTP及びCTP, 10mM ホスホクレアチン, 100μg/mLホスホクレアチンキナーゼ並びに0.1μM[32P]UTP, 5000μCi/mL)に再懸濁させ、37℃で40分間インキュベーションした。RT-PCRによりVSP生成物が産生された。p-GEM T-easyベクター(Promega社製)にクローン化された3μgのvsp9B10、vsp1267、vspH7及びvspA6をスロット・ブロット装置(BioRad社製)を用いてハイボンドN+上に移送した。更に、インビトロ転写反応で産生されたセンス及びアンチセンス転写体も同様な条件下でブロットした。
【0085】
小型RNAの検出
小型RANの検出は既に報告されている方法(35, Hutvagner, G., Mlynarova,L及びNap,J.P., RNA 6, 1445-1454(2000))に従って行った。簡単に言えば、15μgのランブル鞭毛虫総RNAを1Xローディングバッファー中で65℃で10分間にわたって変性し、そして、15%ポリアクリルアミド/7M 尿素ゲル上にロードした。電気泳動により分離した後、RNAを0.5X Trisborate-EDTAバッファー(pH8)中でハイボンドN+メンブラン上に、TBE 0.5Xにおいて100Vで45分間にわたって電気ブロッティングし、最後にUVで固定させた。[32P]標識リボプローブを、p-GEM T-easyベクター(Promega社製)にクローン化されたvsp遺伝子9B10、1267及びH7を用いてT7又はSP6RNAポリメラーゼによりインビトロで転写した。80mM NaHCO3及び160mM Na2CO3の存在下で60℃で1時間にわたってインキュベーションすることにより標識RNAは部分的に加水分解された。各加水分解VSPを25%ホルムアルデヒド、0.5 NaCl、25mM EDTA, 1X Denhardt溶液及び150μg/mL 変性サケ精液DNA中でハイブリダイゼーションさせ、そして42℃で一晩インキュベーションした。ハイブリダイゼーション完了後、メンブランを2X SSC, 0.5% SDSで30分間2回洗浄し、そして、0.5X SSC, 0.5% SDSで45℃で15分間1回洗浄した。続いて、各逆加水分解vsp転写体を同じ方法でハイブリダイゼーションさせ、メンブラン信号をコダック社の-70℃のXARフィルムに曝露させるか又はホスホイメージャー(phosphoimager)(Amersham社製)に曝露させることにより検出した。鎖長は市販のソース(Decade(登録商標)RNAマーカース, Ambion社製)から得た。
【0086】
エンドヌクレアーゼ活性度
ランブル鞭毛虫クローンWB9B10、WBA6又はWB1267の細胞質抽出物と共にdsRNA分子をインキュベーションすることにより、Dicer活性度を分析した。GEM T-easyベクター(Promega社製)にクローン化されたp-vsp9B10、vsp1267、vspH7、cwp2及びgdh遺伝子をインビトロで転写し、全長のセンス[32P]標識RNAプローブを生成した。これらを精製し、そして小型RNA汚染物質の不存在についてテストした。純粋又は混合vsp転写体をランブル鞭毛虫抽出物と共に37℃で1時間インキュベーションした。[32P]UTPで標識されたか又は標識されていない等量の転写センス及びアンチセンスRNA(vsp1267、vsp9B10、cwp2及びgdh)をインビトロでアニーリングすることによりdsRNAを生成した。これらのdsRNAをTris-HCl (pH7.5)/20mM NaCl中に再懸濁させ、95℃で1分間加熱し、そして、12時間かけて室温にまで放冷させた。細胞溶解物を1x107-1x108細胞から産生させた。これを500μLのバッファー(25mL Tris-HCl (pH7.5)、250mM スクロース及び完全TMプロテアー阻害剤カクテル含有)に再懸濁させ、超音波処理し、そして、2000gで15分間遠心分離して非分解細胞と核を分離し、次いで、dsRNAと共に37℃で1時間インキュベーションした。その後、全RNAを抽出し、電気泳動し、そして、小型RNAについて既に説明したようにして移送した。低分子量RNAの選別はMicrocon-100濾過装置により行った。小型RNAを含有する濾液を300mM NaCl/0.6mL イソプロパノールで沈殿させ、20%ポリアクリルアミド/7M 尿素ゲルにロードし、そして電気泳動した。エンドヌクレアーゼ活性度に対するATPの効果を測定するために、ランブル鞭毛虫細胞質抽出物を2mM グルコース/0.1U/μLヘキソキナーゼ(Sigma社製)と共に35℃で30分間インキュベーションすることにより、ATPを涸渇させた。10mM ホスホクレアチン、100μg/mL ホスホクレアチンキナーゼ又はこれら両方の存在下又は不存在下で、[32P]UTP標識vsp1267dsRNAを溶解物に添加した。トリゾールを用いて全RNAを抽出した。このRNAサンプルは、前記のようなMicrocon-100濾過装置を用いた低分子量RNAに富むRNAサンプルであった。このサンプルを電気泳動し、そして生成物を前記に記載したようにして検出した。ランブル鞭毛虫抽出物を用いて処理するdsRNAの生成物をゲル精製し、リゲーションし、増幅し、クローン化、そして配列決定した(Ngo,H., Tschudi、C., Gull,K.及びUllu,e., Proc.Natl.Acad.Sci.USA95,14687-14692(1998))。
【0087】
小型RNAの特性を測定するため、これらをアルカリホスファターゼ(5'ホスフェートの存在の実証のため)で処理するか又は過沃素酸塩酸化とβ-エリミネーション(3'ヒドロキシル基の存在の実証のため)処理を行う(Elbashir,S.M., Lendeckel,W.及びTuschl,T.,Gene Dev 15, 188-200(2001))。
【0088】
RdRPクローニング、配列決定及び活性度
RT-PCRのために、トロホゾイトからの全RNA抽出物及びプライマーとしてのオリゴ(dT)20を用いて、cDNA合成を行った。ランブル鞭毛虫におけるコドン利用知識と共に、幾つかの微生物からの既知RdRPのアライメントは、適度に退化されたプライマーのデザインを可能にする。このようなプライマーは例えば、RdRP_F: (5'-TA(T/C),GT(T/C)TTT AC(T/C)GAT GGC G(C/G)A GG)-3')SEQ ID N゜133及びSEQ ID N゜134; 及びRdRP_R: (5'-TCA CC(A/G) TCC AGG TC(G/A) CTG CC)-3')SEQ ID N゜135及びSEQ ID N゜136などである。これらオリゴヌクレオチドを用いて産生されたPCRを電気泳動し、ゲル精製し、ランダムプライミングにより放射性同位元素で標識し、そしてElbashir,S.M., Lendeckel,W.及びTuschl,T.,Gene Dev 15, 188-200(2001)に報告されているように、λgt22aにおけるランブル鞭毛虫cDNAライブラリのスクリーニングするために使用した。λZAPgDNAライブラリのスクリーニングはElbashir,S.M., Lendeckel,W.及びTuschl,T.,Gene Dev 15, 188-200(2001)に記載されているようにして行った。DNAフラグメントをpBlueScript SKII+にクローン化させ、そして、自動配列決定にかけた。Invitrogen社から市販されているキット及びプライマーの5'-CTT GTG CAT AGT AAA CAA AG-3' SEQ ID N゜137及び5'-CAA ATG GTC GAT GCT GGG-3' SEQ ID N゜138を用いて3,5'-RACEを行った。インビトロにおけるgRdRP活性度について、抗HA-セファロース(Sigma社製)を用いるアフィニティにより形質移入トロホゾイトからHA-タグ付RdRPを精製した。酵素活性度を20μLの反応混合物中で35℃で60分間かけて検定した。この反応混合物は、50mM Hepes(pH7.6)、20mM 酢酸アンモニウム、5mM MgCl2、0.1% Triton X-100、各1mLの4個のリボヌクレオシド トリホスフェート([α-32P]含有)及び1U/μLRNasinを含有し、更に、VSPと寄生プライマーの存在下又は不存在下で前記のようにしてインビトロで転写することにより生成されたssRNAサブストレート(250μg/mL)が添加されていた。反応生成物をアガロースゲル電気泳動、続いて転送及びオートラジオグラフにより分析した。
【0089】
形質移入及び免疫蛍光測定分析
全gRdRP、gDicer、gAgo及びVSPH7を導入し、更に、対応する場合には、TAA停止コドンの前にインフルエンザ・ヘムアグルチニン・エピトームを導入するためにプラスミドPTubPac37を変性させた(Touz,M.C.,Gottig,n.,Nash,T.E.及びLujuan,H.D., J.Biol.Chem.277, 50557-50563(2002))。gAgoコーディング領域をプラスミドpTubNterPacに導入した。ここで、起こるかもしれないHAタグとPIWIドメインとの干渉を避けるために、遺伝子はヘムアグルチニンのコーディング領域の後に導入した。ランブル鞭毛虫のトロホゾイトのトランスフェクション(形質移入)は既報のエレクトロポレーション(電気穿孔法)(Yee,J.及びNash,T.E., Proc.Natl.Acad.Sci. USA 92,5615-5619(1995))により行った。細胞を氷上で10分間インキュベーションし、成長培地中で37℃で一晩培養し、プロマイシン(puromycin)耐性細胞として選別した。公知文献(Touz,M.C.,Gotting,N.,Nash,T.E.&Lujan,H.D.,J.Biol.Chem.
277,50557-50563(2002))に記載されているように、トランスフェクションの後15日目に、抗HA-モノクローナル抗体(Sigma社製)を用いる間接免疫蛍光分析を非被嚢トロホゾイトに対して行った。公知文献(Touz,M.C.,Gotting,N.,Nash,T.E.&Lujan,H.D.,J.Biol.Chem.277,50557-
50563(2002))に記載されているように、固定トロホゾイトにおける異なるVSPの発現をテストするために、抗VSPモノクローナル抗体を使用した。この研究において産生された新規なモノクローナル抗体を同様に使用した。アルゴン/ヘリウム/ネオンレーザとX100(開口数=1.4)油浸対物レンズを備えたツァイス(Zeisss)社製のLSM5パスカルレーザスキャンニング共焦点顕微鏡を用いて共焦点像を集めた。0.3μmの単一共焦点セクションをオーバースリップ(zセクション)に対して平行にした。ツァイス(Zeisss)社製の電荷結合素子(CCD)カメラを用いて像を捕捉し、LSM及びアドビ(Adobe)社製のホトショップ(Photoshop)ソフトウェアで処理した。gRdRP、gDicer及びgAgoの機能的分析のために、VSP9B10特異的センスプライマー(Eco RVサイト含有)及びアンチセンスプライマー(Nco Iサイト含有)を使用し、各遺伝子のORFの一部をPCRにより増幅した。PCR生成物を精製し、制限し、そしてベクターpTubHAPacにクローンさせた。この方法において、遺伝子はpTubHAPac内部に逆に挿入され、アンチセンス構造体が得られた。このアンチセンス構造体はその後、発現の阻止のために使用した(Touz,M.C.,Gotting,N.,Nash,T.E.&Lujan,
H.D., J.Biol.Chem.277,50557-50563(2002))。配列は常に、ダイ・ターミネーター・サイクルシークエンス法により確認した。遺伝子ノックダウンはトランスフェクションされたトロホゾイトから抽出された全RNAについて上記に示した遺伝子特異的プライマーを用いてRT-PCR及びqRT-PCRにより確認し、そして、ベクターのみで又は各分子のHAタグ付バージョンを発現する同じベクターでトランスフェクションされた対照細胞と比較した。
【実施例2】
【0090】
VSP5アミノ酸に対する及び個別VSPに対するモノクローナル抗体の産生
各200mgの(a)sMBSクロスリンカーを用いてKLHにコンジュゲートされたNH2-CRGKA-COOHペプチドのHPLC精製製剤又は(b)合成多重抗原ペプチド[NH2-CRGKA]8-[K]7-bAla-OH(何れもBiosynthesis社製)又はWBアイソレート由来でSigmaアジュバント系(Sigma社製)に乳化された培養トロホゾイトのタンパク質抽出物を皮下注射することにより、6週齢の雌のBALB/cマウスを免疫化させた。21日間経過後に同一製剤200mgを皮下注射することによりマウスを追加免疫し、更に20日間経過後に抗原製剤を静脈注射することによりマウスを追加免疫した。それから3日後に、マウスを安楽死させ、NSO骨髄腫細胞への融合のために脾臓細胞を使用した。オリジナルペプチドを用いるELISA法及び非被嚢トロホゾイト及び被嚢トロホゾイトを用いる感染免疫蛍光分析法によりハイブリドーマ分泌抗体を選別した。VSPに対するモノクローナル抗体を既報(Mowatt,M.R.L.,H.D.;Cotten,D.B.;Bowers,B.,Yee,J.,Nash,T.E.,Stibbs,H.H., Mol Microbol
15,955-63(1995))の通りに全トロホゾイトを用いて産生した。
【0091】
DNAメチル化
ランブル鞭毛虫クローン1267からの生成物をフェノール及びクロロホルム/イソアミルアルコール(24/1% v/v)で抽出することにより精製し、ARNaseと共にインキュベーションすることによりARN夾雑物を取り除き、そしてメタノールで沈殿させた。メチルデオキシリボヌクレオチドの存在を高速液体クロマトグラフ(HPLC)により決定した。デオキシリボヌクレオチドの分離は、フェノメネックス・ルナ(Phenomenex Luna)(HPLCカラム)5μm C18, 4.6x150mmで行った。この方法は、既知濃度の標準デオキシリボヌクレオチドの吸収に基づいて較正した。
【実施例3】
【0092】
異なるワクチンの生成及び保護アッセイ
1.寄生体
アフガニスタンでランブル鞭毛虫症に罹患したと思われる症候性患者からランブル鞭毛虫WC株(ATCC30957)を単離した(“アフガニスタン、プエルトリコ、エクアドル及びオレゴン由来のランブル鞭毛虫の抗原分析”, Smith PD, Gillin FD, Kaushal NA及びNash
TE, Infect. Immun. 1882 May; 36(2): 714-9 )。また、米国からの症候性患者からGS/M株を単離した(“アフガニスタン、プエルトリコ、エクアドル及びオレゴン由来のランブル鞭毛虫の抗原分析”, Smith PD, Gillin FD, Kaushal NA及びNash TE, Infect. Immun. 1882 May; 36(2): 714-9 )。12mLのネジ式キャップ付ホウケイ酸塩ガラス管内に充填された、20%成人血清(Invitrogen社製)、牛胆汁(Sigma社製)及び抗生物質/抗真菌溶液(Invitrogen社製)が補充されたTYI-S-33培地中で37℃で、WB株由来のクローン及び形質転換トロホゾイトを培養した(“医学的に重要な管腔寄生性原生生物の培養方法”, Clark CG, Diamond LS, Clin. Microbiol. Rev. 2002 Jul; 15(3):329-41 )。異なる表面タンパク質を発現するランブル鞭毛虫クローンを、嫌気性チャンバー(BD)内の96穴培養プレート(DeltaLabs社製)で限界希釈することにより得た。このクローンを特異的モノクローナル抗体を用いる免疫蛍光分析法により選別した(“限界希釈の統計的検討の考察を伴うランブル鞭毛虫の新規なクローン化方法”, Baum KF, Berens RL, Jones RH, Marr JJ., J. Parasitol. 1988 Apr.; 74(2): 267-9)。反応性クローンを培養培地中で一晩増幅し、使用前に均質性を検証した。WB1267(Mab5Cl)、9B10(Mab9B10)、A6(MabA6)及びGS/M/H7(MabG10/4)クローンを対照実験及び感染で使用した(Nash, T.“ランブル鞭毛虫における表面抗原変異性及び抗原変異”, Parasitol Today 8, 229-234(1992))。
【0093】
完全VSPレパートリーを発現する形質転換トロホゾイトの産生
ランブル鞭毛虫RdRP及びDicer酵素をコード化する遺伝子に対する相補的配列はpTubHApacプラスミド中でクローン化された(“保存チロシン系モチーフを必要とするランブル鞭毛虫におけるリソソーム様末梢液胞に対する胞嚢特異性システインプロテアーゼの選別”, Touz MC, Lujan HD, Hayes SF, Nash TE, J. Biol. Chem. 2003 Feb. 21; 278(8):6420-6. Epub 2002 Dec. 3)。α−チュブリンプロモータの存在及び抗生物質ピューロマイシンの選択により、ランブル鞭毛虫トロホゾイトにおける構成性及び安定的遺伝子発現が可能になった。白金HiFi TaqDANポリメラーゼ(Invitogen社製)を使用し、Ncol及びEcoRV制限部位を含有し、その後ベクターをクローン化するオリゴヌクレオチドプローブを使用し、WB/9B10クローンcDNAからPCRにより、Dicer及びRdRP酵素をコード化する遺伝子を増幅した。プライマーは、DAF:5'-AGT TGA AAC TAT CAT GGT TGC TCC CGA A-3' SEQ ID N゜141、DAF:5'-CCA CCA TGG TTG AAC GCC GAA TCC AAC-3' SEQ ID N゜142、RAF:
5'-GCG ATA GGT TGC AGT TCC ATG ACG TTC TTG A-3' SEQ ID N゜143及びRAR: 5'-
CCA CCA TGG TCG CTA CCT TAG CAT CAT CC-3' SEQ ID N゜144であった。制限酵素による消化により構成を検証し、後に配列決定した。酵素サイレンシング検証は前記のようなqRT-PCRにより行った。
【0094】
ランブル鞭毛虫トランスフェクション
“ランブル鞭毛虫におけるホタルルシフェラーゼの一過性形質転換及び発現”,Yee J., Nash TE, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1995 June 6;92(12):5615-9に詳細に報告されているように、エレクトロポレーションによりランブル鞭毛虫のトランスフェクション(形質転換)を行った。概要を述べれば、12mLチューブ内で交会するまで成長したWB/9B10クローントロホゾイト培養物を0.4cmプレート内の0.3mL完全TYI-S-33培地に再懸濁させた。次いで、最終容量が100μLになるまで、プラスミドを10〜15μL添加した。この混合物を氷上で10分間培養した。細胞をBTXエレクトロポレーター内で350V、100μF及び700Ωでエレクトロポレーションした。氷上で10分間培養した後、細胞を完全培地を12mL含有するチューブに移し、嫌気性雰囲気中で37℃で一晩インキュベーションした。翌日、培地をピューロマイシンで補完し、トロホゾイトを37℃で7〜10日間インキュベーションした。クローン細胞系を得るために、限界希釈を96穴プレート内で実行した。
【0095】
共焦点免疫蛍光分析及び顕微鏡観察
氷中で20分間冷却することにより、トロホゾイトをチューブから分離させた。細胞を回収し、成長培地中に再懸濁させ、ガラス板に塗布し、このガラス板を37℃の湿気の多いカメラ内で1時間インキュベーションし、トロホゾイトをガラス板に再接着させた。このプレパラートを温培地で3回洗浄し、更に温PBSで2回洗浄した。-20℃で30分間1:1アセトン/メタノール混合液で固定することにより細胞を透過性に転性させ、そして、1XPBS/0.05%Tween20, BSA2.5%中で30分間ブロックした。最初、1XPBS/0.05%Tween20, BSA2.5%中で希釈された異なるVSPに対するモノクローナル抗体と共に細胞を1時間インキュベーションした。異なるVSPに対して標的化されたモノクローナル抗体は、mAb9B10(抗VSP-9B10)、mAb5Cl(抗VSP1267)、mAb6E7(抗VSPA6)、mAb1B2(抗VSPS1)、
mAb2D5(抗VSPS2)、mAb2EI(抗VSPS3)、mAb2G2(抗VSPS4)、mAb6F8(抗VSPS5)、
mAb7A9(抗VSPS6)、mAb7B8(抗VSPS7)、mAb7C2(抗VSPS8)、mAb7C9(抗VSPS9)、
mAb7C10(抗VSPS10)、mAb7D4(抗VSPS11)、mAb2D4(抗VSPS12)、mAb3B8(抗VSPS13)、
mAb4A2(抗VSPS14)、mAb7F4(抗VSPS15)、mAb7H2(抗VSPS16)などである。適当なモノクローナル抗体と共にインキュベーションした後、ガラス板を1XPBS/0.05%Tween20で2回洗浄し、次いで、1/200希釈FITC又はTRITCで標識された第2のヤギ抗マウス免疫グロブリン抗体と共に、ブロッキング溶液中で1時間にわたってインキュベーションした。核をDAPIと対比させた。アルゴン/ヘリウム/ネオンレーザとX100(開口数=1.4)油浸対物レンズを備えたLSM5ツァイスパスカルレーザ共焦点顕微鏡(Zeiss Plan Apochromat社製)により共焦点像を得た。カバースライドに対して平行に0.3ミクロン共焦点セクション(セクションz)を撮像した。像はZeissカメラを使用するデバイスにより集め、LSM及びAdobeホトショップソフトウエアで処理した。特定のVSPを発現する細胞の%は500個の細胞を3回計数するか又はフローサイトメトリー(流動細胞計測法)により演算した。
【0096】
5アミノ酸VSP尾部に対するモノクローナル抗体の産生
前記の実施例2で述べたようにして5アミノ酸VSP尾部に対するモノクローナル抗体の産生を行った。
【0097】
2.ポリアクリルアミドゲル電気泳動及びウエスタンブロッティング
“ロイシンリッチ反復を有する新規なランブル鞭毛虫嚢胞壁タンパク質の同定”及び“分泌顆粒形成及びタンパク質アセンブリーの嚢胞壁への包含”,Lujan HD, Mowatt MR, Conrad JT, Bowers B及びNash TE, J. Biol. Chem. 270, 29307-29313(1995)に報告されている方法に従い。タンパク質トロホゾイト抽出物をポリアクリルアミドゲル電気分解(SDS-PAGE)及びウエスタンブロッティング分析にかけた。
【0098】
動物
動物に対して行われた全ての処置は、Catolica de cordoba大学の動物のケア及び使用の制度委員会により承認されたプロトコルに従って実行された。また、免疫化ガイドラインは全ての動物により十分に許容された。6週齢の雌の内生繁殖スナネズミの病原体非感染標本(SPF)(Meriones unguiculatus)を、Catolica de Cordoba大学のBioterio de animales de investigacionから入手し、各スナネズミを12時間照明,12時間暗黒サイクルで空調(18-22℃, 40-50%湿度)されたバイオハザードラック(Techniplast社製)に収容した。スナネズミには、高圧滅菌処理された飼料と、フィルター滅菌されたビタミン溶液混合物が追補された滅菌水をアドリブで与えた。この研究において、使用されるスナネズミがランブル鞭毛虫寄生体又は全ての他の関連物に絶対に感染していないことを保証するために、当研究所内で誕生したスナネズミのみを使用した。全ての動物は、動物ケアのアルゼンチン・カウンシルの規則及び決定に従い、かつ、国際的動物注意規則に従い、SPF研究室条件下で飼育された。感染前に、トロホゾイト及び嚢胞から抽出された全てのタンパク質の製剤を使用してELIZA法により、スナネズミがランブル鞭毛虫又はランブル鞭毛虫のタンパク質に対する血清抗体に対して陰性であることを試験した。感染後、スナネズミのうちの何匹かの対照群に20mgのメトロニダゾールを3日間経口投与し、低レベルの腸内ランブル鞭毛虫の全ての存在可能性を除外するために、攻撃感染前に10日間放置した。
【0099】
メトロニダゾールで処置することによる原生動物寄生体の除去
処置を開始するために、スナネズミを濾過空気が供給される滅菌ゲージ内に配置し、水及び飼料は高圧滅菌釜(オートクレーブ)で滅菌した。濃度が100mg/mLのメトロニダゾール使用液を調製した。この溶液500μLを日用量としてスナネズミに3日間連続的に経口投与した。引き続く4日間はスナネズミに抗生物質は投与しなかった。その後、メトロニダゾール使用液500μLによる処置を数日間継続した。メトロニダゾール2mLをオートクレーブ滅菌された飲料水400mLに添加することにより処置を補完した。この飲料水は処置全期間を通してスナネズミが飲むことが出来る唯一の水である(スナネズミはこの希釈メトロニダゾール水溶液を9日間摂取する)。処置全期間を通して毎日糞便を集め、モノクローナル抗体7D2(嚢胞壁抗タンパク質))について、嚢胞の存在を決定するために、免疫蛍光分析法による顕微鏡観察コントロールを毎日行った(“ロイシンリッチ反復を有する新規なランブル鞭毛虫嚢胞壁タンパク質の同定”及び“分泌顆粒形成及びタンパク質アセンブリーの嚢胞壁への包含”,Lujan HD, Mowatt MR, Conrad JT, Bowers B及びNash TE, J. Biol. Chem. 1995 Dec 8; 270, 29307-29313)。処置の期間中、正常なスナネズミのフローラ(細菌叢)は酵母の増大を被り、処置完了後数日中にその正常な状態を回復した。
【0100】
3.感染
0.5mLのリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)に再懸濁されたトロホゾイト又は嚢胞2x105を経口胃摂取することによりスナネズミに感染を誘発させた。何匹かのスナネズミには同じ投与経路で0.5mLのPBSを投与した。感染したスナネズミから得られたサンプルが有する生育力及び感染力が急速に失われることを避けるために、感染したスナネズミから収集した新鮮な嚢胞を使用した。感染スナネズミからの糞便収集は、初日(0日目)から30日目まで毎日行った。嚢胞又はトロホゾイトは光学顕微鏡により、又は嚢胞(mAb7D2)又はトロホゾイト特異的抗原(BIP; Mab9C9)を用いる免疫蛍光分析法により視覚的に同定した。
【0101】
4.殺処分
定期的にかつ無作為に選択されたスナネズミを殺処分し、小腸を単離し、長手方向に切開し、そして、培養培地中に4℃で30分間懸濁させた。上澄液を集め、ランブル鞭毛虫トロホゾイトについて試験した。この試験は光学及び蛍光顕微鏡により行うか又は“ランブル鞭毛虫の優性表面抗原に対するnu/+及び再構築nu/nuマウス由来のインビトロ合成免疫グロブリンA”,Gottstein B, Deplazes P及びTanner I, Parasitol Res 79, 644-648(1993)に報告された方法に従い培養培地中に6日間配置させることにより行った。
【0102】
個別的にケージ内に収容されているスナネズミから24時間周期で大便(糞便)球粒を回収することによりスナネズミにより排出されたランブル鞭毛虫嚢胞を定量した。糞便サンプルを秤量し、2mLのPBSに再懸濁させ、そして、3層重ねの綿ガーゼで濾過した。濾液を冷凍遠心分離器(Beckman社製)中で250gで10分間遠心分離した。この濾液を4℃の冷凍遠心分離器(Beckman社製)中で250gで10分間遠心分離した。3回洗浄した後、ペレットを2mLのPBSに懸濁させ、嚢胞をFITC標識化7D2mAbで染色し、血球計数機でカウントした。嚢胞が糞便中に発見されなかった場合又は6日間培養した後でもトロホゾイトが検出されなかった場合、ランブル鞭毛虫は感染されなかったものと見做された。
【0103】
Dicer-AS及びRdRP-AS形質転換トロホゾイト由来のVSPの精製
前掲書に記載された方法に従って産生された、これらの形質転換トロホゾイト内に発現されたVSPの完全レパートリーを、保存VSP尾部の5アミノ酸に対して産生された本発明のMab12F1を用いる免疫アフィニティ法により精製した。A-セファロース(Amersham社製)を使用し、ハイブリドーマ細胞の培養物のIP注射により生成された腹水液からマウスの免疫グロブリンを単離した。生成mAbを磁気ビーズ(Dynal社製)に結合させ、そして、トロホゾイトの血漿膜含有ミクロソーム画分由来のVSPを精製するために使用した。精製VSPを0.01%Tween20含有PBSに再懸濁させ、定量し、そして、スナネズミを経口的に免疫するために使用した。個々のVSPは特異的mAbを用いる同じ方法論により精製した。
【0104】
ランブル鞭毛虫GRP78/BiPの精製
9B10WBから単離されたランブル鞭毛虫トロホゾイトを、プラスミドpTubHA.pacでトランスフェクションした。このプラスミドpTubHA.pacは、完全長のランブル鞭毛虫小胞体シャペロンBiP/GRP78を含有していた(“原始的真核生物の分化中の分子シャペロンBiP/GRP78の増大発現”, Lujan hd, Mowatt MR, Conrad JT, Nash TE, Biol cell. 1996;86(1):
11-8)。このエピトープの3個のコピーをヘムアグルチニン(HA-BIP)で標識した。形質転換トロホゾイトをRIPAバッファ液に溶菌させ、そして、抗HA免疫精製キット(Sigma社製)を用いてBIPタンパク質を単離した。
【0105】
経口免疫
滅菌PBS/0.01%Tween20混合液に懸濁された寄生体タンパク質200μgを、各投与間に3日間の時差を設けて、スナネズミに連続的に3回経口投与して免疫化させた。BIP、膜標本又は精製VSPが免疫抗原として使用された場合、同量のタンパク質をスナネズミに投与した。
【0106】
血液サンプル
下記に記載されるような血中抗体の存在を検出するために、感染又は免疫化の初日後に血液サンプルを回収した。スナネズミをエーテルで安楽死させ、眼窩静脈叢から血液を採取するか又は心臓内穿刺により血液を採取した。血液サンプルを800xgで15分間遠心分離することにより血清を回収し、使用するまで-70℃で保存した。スナネズミを二酸化炭素で殺処分した。
【0107】
5.腸内容物
感染、非感染及び免疫化スナネズミの小腸分泌物をマウスにおけるように回収した(Heyworth, M.F.,“異なるアイソタイプのマウス抗体による死滅に対するジアルジア・ムリス・トロホゾイトの比較感受性”, J Parasitol 78, 73-76(1992))。
要約すれば、スナネズミを水を与えながら1日間断食させ、その後、殺処分した。小腸を十二指腸から盲腸まで抉り出し、その内容物をシリンジで吸引し、そして分別した。或る場合には、腸内容物を4℃で5000xgで遠心分離し、細胞、遺残及び細菌を分別した。また、或る実験では、小腸の内腔を3mLの冷PBSで5回洗浄し、前記のように遠心分離した。上澄液を濾過滅菌し、使用するまで-70℃で保存した。
【0108】
凝集アッセイ
このアッセイは96穴平坦底面プレートで実施した。成牛血清無しのTYI-S-33培地中のVSP(全て加熱不活化済)に対する特異的抗原を含有するスナネズミの腸分泌物、血清又は腹水の幾つかの希釈液と共に約5x105個のトロホゾイトを4℃で1時間インキュベーションした。これらを混合し、顕微鏡によりトロホゾイト凝集をアッセイした。寄生体表面に結合した抗体はヤギ抗マウス免疫グロブリン標識TRITCにより例証された。
LIST OF SEQUENCES
<110> Conicet
Luj n, Hugo
<120> Modified protozoan expressing at least two dos variable surface proteins (VSP), a vaccine comprising it, and procedures, uses and methods thereof
<130> Conicet
<160> 144
<170> PatentIn version 3.5
<210> 1
<211> 25
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 1
gttttgttct cgcgggggta ctcgt 25
<210> 2
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
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<213> Giardia intestinalis
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<400> 35
tgatgctgcc tctggtacta ctgg 24
<210> 36
<211> 24
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 36
gcggctgata ccacggattc ctgt 24
<210> 37
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 37
caactggggt cacgattggt gag 23
<210> 38
<211> 24
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<220>
<221> misc_feature
<222> (13)..(14)
<223> n is a, c, g, or t
<400> 38
actaattgcg ttnngtgtac caaa 24
<210> 39
<211> 24
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 39
gagtgtgctt ccaatctgta tctg 24
<210> 40
<211> 25
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 40
gaaacttgca agacaggata tttcc 25
<210> 41
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<220>
<221> misc_feature
<222> (6)..(6)
<223> n is a, c, g, or t
<400> 41
tttccntaat gataacgctg ata 23
<210> 42
<211> 24
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 42
ccggtgctat tcttatcacc tgca 24
<210> 43
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 43
gcaaggacga caacactgcg gcc 23
<210> 44
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<220>
<221> misc_feature
<222> (22)..(22)
<223> n is a, c, g, or t
<400> 44
gtatcgcaga gtgcacggga ang 23
<210> 45
<211> 24
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 45
ggcagtgcac agctagcata gcag 24
<210> 46
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 46
cctttgcgtg tcggccgaaa cag 23
<210> 47
<211> 25
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 47
taaaaccaac ggagtttgca ctgcc 25
<210> 48
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 48
ctatcaggct gagaagtttc ctg 23
<210> 49
<211> 24
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 49
gcaggaaagt gcacgacctg tgcg 24
<210> 50
<211> 24
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 50
ggaaaccttg gtaggattat ttgc 24
<210> 51
<211> 24
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 51
aatgctaatc tgtacctgaa ggct 24
<210> 52
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 52
ggcatagatg ggtgctctgc atg 23
<210> 53
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 53
acaaagggaa catgcattgc aga 23
<210> 54
<211> 24
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<220>
<221> misc_feature
<222> (12)..(12)
<223> n is a, c, g, or t
<400> 54
acgccggata anaccaacgg agtt 24
<210> 55
<211> 22
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<220>
<221> misc_feature
<222> (8)..(9)
<223> n is a, c, g, or t
<220>
<221> misc_feature
<222> (21)..(21)
<223> n is a, c, g, or t
<400> 55
tgtgcaanng ataacactaa na 22
<210> 56
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 56
ctcgtcggct tcctctgctg gtg 23
<210> 57
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 57
acccccgcga gaacaaaact gcc 23
<210> 58
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 58
tcctgcccat gcaatctgga cga 23
<210> 59
<211> 25
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 59
attgagccgc gcgctctgtt gcttt 25
<210> 60
<211> 24
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 60
atgcttcctc tgcgcaatta gtgt 24
<210> 61
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 61
caatacaatt taccaccgat cag 23
<210> 62
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 62
tgcacattgt ccattgatag gaa 23
<210> 63
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 63
ctgatcagct gtatcgcctc cgg 23
<210> 64
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 64
gtaacagccg cccttgtaca tga 23
<210> 65
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<220>
<221> misc_feature
<222> (12)..(12)
<223> n is a, c, g, or t
<220>
<221> misc_feature
<222> (17)..(18)
<223> n is a, c, g, or t
<400> 65
catctgccgc cngacanntg gtc 23
<210> 66
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 66
cccggcggca cgaagtatcc ttg 23
<210> 67
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 67
accgattggt gagaggcgtc tgc 23
<210> 68
<211> 24
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 68
actttttatc gttcttaact gtta 24
<210> 69
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 69
tgtgggagcg taacaccgag tgc 23
<210> 70
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 70
cacgcagtac acgtggcggc ctt 23
<210> 71
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 71
cacgcaggag gtggctgagt cct 23
<210> 72
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 72
gtgccggtgc actcttcttc tgt 23
<210> 73
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 73
ttgtttggct ggaccttctt att 23
<210> 74
<211> 24
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 74
gcactcaccg tctccgggca cttt 24
<210> 75
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 75
gcttcttcgt gcacccggtg ccc 23
<210> 76
<211> 24
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<220>
<221> misc_feature
<222> (17)..(18)
<223> n is a, c, g, or t
<220>
<221> misc_feature
<222> (22)..(22)
<223> n is a, c, g, or t
<400> 76
ctggtgccct cgtagtnncc tncc 24
<210> 77
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 77
tgaggacctg cttaggctcg cag 23
<210> 78
<211> 24
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<220>
<221> misc_feature
<222> (10)..(10)
<223> n is a, c, g, or t
<400> 78
cttcttgacn cacacgccgt tctc 24
<210> 79
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 79
tagcagcccc cgttcatgcg gaa 23
<210> 80
<211> 24
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 80
acctcctcac agacgctctt tcca 24
<210> 81
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 81
gcttgtatcc gtcggccgga gtc 23
<210> 82
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 82
cactcggagc acccagtggc gca 23
<210> 83
<211> 24
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 83
cacttggtgg cgtcgtccgc attg 24
<210> 84
<211> 25
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<220>
<221> misc_feature
<222> (7)..(7)
<223> n is a, c, g, or t
<400> 84
acagcgncgg agatccccgc tatgg 25
<210> 85
<211> 22
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 85
agaggaagcc cacgaggccc cc 22
<210> 86
<211> 22
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 86
ggcaattaat taatagaaac at 22
<210> 87
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 87
gctattaggc aattaattaa tag 23
<210> 88
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 88
ttccgcaaca caattagcct gag 23
<210> 89
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 89
tgcactttgt attactactg gcg 23
<210> 90
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 90
gcacttctta caagtctgat cag 23
<210> 91
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<220>
<221> misc_feature
<222> (14)..(15)
<223> n is a, c, g, or t
<400> 91
ttaaattacc agtnnctccc gct 23
<210> 92
<211> 24
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 92
attactctca ccaatcgtga cccc 24
<210> 93
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<220>
<221> misc_feature
<222> (5)..(5)
<223> n is a, c, g, or t
<400> 93
gcgtnatcat tagggaaata tcc 23
<210> 94
<211> 24
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<220>
<221> misc_feature
<222> (8)..(9)
<223> n is a, c, g, or t
<400> 94
ttaagggnnc tcaggctatt cgtg 24
<210> 95
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<220>
<221> misc_feature
<222> (14)..(14)
<223> n is a, c, g, or t
<400> 95
tcaggacaga cccngggtag cag 23
<210> 96
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 96
cgtcggcgca gttttccaaa tac 23
<210> 97
<211> 25
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 97
agtgcaaact ccgttggttt tatcc 25
<210> 98
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 98
gcatcggctg tcgtgcacaa cgt 23
<210> 99
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<220>
<221> misc_feature
<222> (12)..(12)
<223> n is a, c, g, or t
<400> 99
gccgctggtc tngacgtagc agg 23
<210> 100
<211> 24
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 100
agtcgtagag caagctcctg caag 24
<210> 101
<211> 24
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 101
accccgttga tgggcacata gttt 24
<210> 102
<211> 25
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<220>
<221> misc_feature
<222> (11)..(12)
<223> n is a, c, g, or t
<400> 102
cttccgtctt nnaaataatc ctacc 25
<210> 103
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 103
gaatcgtaac cccggttgcg tcg 23
<210> 104
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 104
acttagcaca accggccaca ccc 23
<210> 105
<211> 24
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 105
cttatcagcc gtactacagg taag 24
<210> 106
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 106
acggtgctag ccctagttgt aga 23
<210> 107
<211> 25
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<220>
<221> misc_feature
<222> (13)..(14)
<223> n is a, c, g, or t
<400> 107
cgttcttcaa ggnnctcaga ttgtt 25
<210> 108
<211> 22
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 108
ctctgcaatg catgttccct tt 22
<210> 109
<211> 24
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 109
cgacccgggt ggtgccgctc ttgc 24
<210> 110
<211> 23
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<220>
<221> misc_feature
<222> (13)..(13)
<223> n is a, c, g, or t
<400> 110
ccattgctgt ctntatcttg ccc 23
<210> 111
<211> 22
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<220>
<221> misc_feature
<222> (11)..(11)
<223> n is a, c, g, or t
<400> 111
gtgttatctt ngcacacgat gc 22
<210> 112
<211> 24
<212> DNA
<213> Giardia intestinalis
<400> 112
gacgggagta gaactctgag gaga 24
<210> 113
<211> 16
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer sentido S1
<400> 113
cvtgtgchrr stgcaa 16
<210> 114
<211> 17
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer sentido S2
<400> 114
tgcacsrsct gcyabcc 17
<210> 115
<211> 17
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer sentido S3
<400> 115
tagtgydsyv mvtgyaa 17
<210> 116
<211> 18
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer sentido S4
<400> 116
cgatcatgac gggcttct 18
<210> 117
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer antisentido R1
<400> 117
ccbacgaggc cyccsacgac 20
<210> 118
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer antisentido R2
<400> 118
cgccttccck ckrcakayga 20
<210> 119
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer sentido para vsp1267
<400> 119
atgttgttga tagccttcta tc 22
<210> 120
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer antisentido vsp1267
<400> 120
ctacgccttc cccctgcata tg 22
<210> 121
<211> 21
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer hacia adelante vsp9B10
<400> 121
atgtttggca gttttgttct c 21
<210> 122
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer antisentido vsp9B10
<400> 122
tcacgccttc cctctacata tg 22
<210> 123
<211> 21
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer HL60 gDicer
<400> 123
tggcggcgtc gtatcagtta t 21
<210> 124
<211> 19
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer HL161 gDicer
<400> 124
tccccgcacg caagaagaa 19
<210> 125
<211> 18
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer HL164 gAgo
<400> 125
attgccccct acggtgtc 18
<210> 126
<211> 18
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer HL165 gAgo
<400> 126
ctctgccggc cttcctac 18
<210> 127
<211> 23
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer HL187 gRdRP
<400> 127
catgggttgc agtttcttga cga 23
<210> 128
<211> 24
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer HL188 gRdRP
<400> 128
agccccttat ctgttgcctc cttc 24
<210> 129
<211> 21
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer HL 183 CWP1
<400> 129
tcgccctgga tgtttcggac a 21
<210> 130
<211> 17
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer HL184 CWP1
<400> 130
aggcgggtga ggcagta 17
<210> 131
<211> 21
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer HL185 GDH
<400> 131
agtggggcgg gtctttactc a 21
<210> 132
<211> 24
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer HL186 GDH
<400> 132
tgttcgcgcc catctggtag ttct 24
<210> 133
<211> 23
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer F RdRP_F
<400> 133
tatgttttta ctgatggcgc agg 23
<210> 134
<211> 23
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer RdRP_F 2
<400> 134
tacgtcttta ccgatggcgg agg 23
<210> 135
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer RdRP_R
<400> 135
tcaccatcca ggtcgctgcc 20
<210> 136
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer RdRP_R 2
<400> 136
tcaccgtcca ggtcactgcc 20
<210> 137
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer of sequencemiento F
<400> 137
cttgtgcata gtaaacaaag 20
<210> 138
<211> 18
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer of sequencemiento R
<400> 138
caaatggtcg atgctggg 18
<210> 139
<211> 51
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> MCSnewSense
<400> 139
gattccgggc ccagatctat cgatacgcgt atgcattcgc gagatatctg c 51
<210> 140
<211> 52
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> MCSnewAntisense
<400> 140
gcggccgcag atatctcgcg aatgcatacg cgtatcgata gatctgggcc cg 52
<210> 141
<211> 28
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer DAF
<400> 141
agttgaaact atcatggttg ctcccgaa 28
<210> 142
<211> 27
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer DAR
<400> 142
ccaccatggt tgaacgccga atccaac 27
<210> 143
<211> 31
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer RAF
<400> 143
gcgataggtt gcagttccat gacgttcttg a 31
<210> 144
<211> 29
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> primer RAR
<400> 144
ccaccatggt cgctacctta gcatcatcc 29
【0109】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。用語「又は」に関して、例えば「A又はB」は、「Aのみ」、「Bのみ」ならず、「AとBの両方」を選択することも含む。特に記載のない限り、物質、装置又は手段の数は、単数か複数かを問わない。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その表面上に2種類以上の可変表面タンパク質を同時発現することからなることを特徴とする変性原生動物寄生体。
【請求項2】
その表面上に可変表面タンパク質の完全レパートリーを同時発現することからなることを特徴とする請求項1に記載の変性原生動物寄生体。
【請求項3】
Dicer、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)及びこれら両方からなる群から選択される酵素を抑制発現することからなることを特徴とする請求項1に記載の変性原生動物寄生体。
【請求項4】
RdRP遺伝子はサイレンスされていることを特徴とする請求項1に記載の変性原生動物寄生体。
【請求項5】
Dicer遺伝子はサイレンスされていることを特徴とする請求項1に記載の変性原生動物寄生体。
【請求項6】
RdRP遺伝子及びDicer遺伝子はサイレンスされていることを特徴とする請求項1に記載の変性原生動物寄生体。
【請求項7】
前記原生動物は抗原変異機構を有することを特徴とする請求項1に記載の変性原生動物寄生体。
【請求項8】
前記原生動物はランブル鞭毛虫、マラリア原虫、バベシア及びトリパノソーマからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の変性原生動物寄生体。
【請求項9】
その表面上に2種類以上の可変表面タンパク質を発現する少なくとも変性原生動物からなることを特徴とする原生動物により発生された感染に対するワクチン。
【請求項10】
前記原生動物はその表面上に可変表面タンパク質の完全レパートリーを発現することを特徴とする請求項9に記載のワクチン。
【請求項11】
前記原生動物はDicer、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)及びこれら両方からなる群から選択される酵素を抑制発現することからなることを特徴とする請求項9に記載のワクチン。
【請求項12】
原生動物RdRP遺伝子はサイレンスされていることを特徴とする請求項9に記載のワクチン。
【請求項13】
原生動物Dicer遺伝子はサイレンスされていることを特徴とする請求項9に記載のワクチン。
【請求項14】
原生動物RdRP遺伝子及びDicer遺伝子はサイレンスされていることを特徴とする請求項9に記載のワクチン。
【請求項15】
前記原生動物は抗原変異機構を有することを特徴とする請求項9に記載のワクチン。
【請求項16】
前記原生動物はランブル鞭毛虫、マラリア原虫、バベシア及びトリパノソーマからなる群から選択されることを特徴とする請求項9に記載のワクチン。
【請求項17】
賦形剤又はアジュバントを更に有することを特徴とする請求項9に記載のワクチン。
【請求項18】
下記のステップ、
(a)VSP・CRKGAアミノ酸配列を認識する抗体を固体サポートに結合するステップと、
(b)前記固体サポートを原生動物に接触させるステップと、
(c)可変表面タンパク質(VSP)の完全レパートリーを分離するステップと、 (a)
からなることを特徴とする原生動物可変表面タンパク質(VSP)の完全VSPレパートリーの精製方法。
【請求項19】
原生動物は野生型原生動物のクローンの混合体であり、各クローンは異なる可変表面タンパク質を発現することを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
原生動物は2種類以上の異なるVSPを発現するクローンであり、前記クローンはRdRP、Dicer及びこれらの両方からなる群から選択される遺伝子をサイレンスすることからなる変性原生動物のクローンであることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
原生動物はVSPの完全レパートリーを発現するクローンであり、前記クローンはRdRP、Dicer及びこれらの両方からなる群から選択される遺伝子をサイレンスすることからなる変性原生動物のクローンであることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項22】
原生動物はランブル鞭毛虫、マラリア原虫、バベシア及びトリパノソーマからなる群から選択されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項23】
賦形剤又はアジュバントと、2種類以上の原生動物可変表面タンパク質とからなり、前記タンパク質の各々は異なることを特徴とするワクチン。
【請求項24】
原生動物可変表面タンパク質の完全レパートリーからなり、前記タンパク質の各々は異なることを特徴とする請求項23に記載のワクチン。
【請求項25】
原生動物はランブル鞭毛虫、マラリア原虫、バベシア及びトリパノソーマからなる群から選択されることを特徴とする請求項23に記載のワクチン。
【請求項26】
可変表面タンパク質(VSP)の完全レパートリーからなり、前記タンパク質は請求項18に記載された方法を使用して得られることを特徴とするワクチン。
【請求項27】
少なくとも2種類の可変表面タンパク質(VSP)を発現する変性原生動物からなるワクチンを所定量、哺乳動物に投与することからなることを特徴とする免疫化方法。
【請求項28】
原生動物はVSPの完全レパートリーを発現することを特徴とする請求項27に記載の免疫化方法。
【請求項29】
経口、皮下、静脈内及び筋肉内からなる群から選択される形態で投与されることを特徴とする請求項27に記載の免疫化方法。
【請求項30】
原生動物は、RdRP、Dicer及びこれらの両方からなる群から選択される遺伝子をサイレンスすることからなる変性原生動物であることを特徴とする請求項27に記載の免疫化方法。
【請求項31】
原生動物感染に対して哺乳動物を免疫化することからなり、前記原生動物は抗原変異機構を有することを特徴とする請求項27に記載の免疫化方法。
【請求項32】
原生動物可変表面タンパク質の組合せからなるワクチンを所定量、哺乳動物に投与することからなることを特徴とする免疫化方法。
【請求項33】
経口、皮下、静脈内及び筋肉内からなる群から選択される形態で投与されることを特徴とする請求項32に記載の免疫化方法。
【請求項34】
可変表面タンパク質の組合せは、RdRP、Dicer及びこれらの両方からなる群から選択される遺伝子をサイレンスすることからなる変性原生動物から単離されることを特徴とする請求項32に記載の免疫化方法。
【請求項35】
原生動物感染に対して哺乳動物を免疫化することからなり、前記原生動物は抗原変異機構を有することを特徴とする請求項32に記載の免疫化方法。
【請求項36】
少なくとも50〜500μgの範囲内の投与量の可変表面タンパク質が投与されることを特徴とする請求項32に記載の免疫化方法。
【請求項37】
配列SEQ ID N゜1aSEQ ID N゜112の範囲内で選択される配列であることを特徴とするヌクレオチド配列。
【請求項38】
dsRNAの配列であることを特徴とする請求項37に記載の配列。
【請求項39】
RdRP遺伝子をサイレンスするために、配列SEQ ID N゜1aSEQ ID N゜112の範囲内で選択される少なくとも一つの配列の使用。
【請求項40】
Dicer遺伝子をサイレンスするために、配列SEQ ID N゜1aSEQ ID N゜112の範囲内で選択される少なくとも一つの配列の使用。
【請求項1】
その表面上に2種類以上の可変表面タンパク質を同時発現することからなることを特徴とする変性原生動物寄生体。
【請求項2】
その表面上に可変表面タンパク質の完全レパートリーを同時発現することからなることを特徴とする請求項1に記載の変性原生動物寄生体。
【請求項3】
Dicer、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)及びこれら両方からなる群から選択される酵素を抑制発現することからなることを特徴とする請求項1に記載の変性原生動物寄生体。
【請求項4】
RdRP遺伝子はサイレンスされていることを特徴とする請求項1に記載の変性原生動物寄生体。
【請求項5】
Dicer遺伝子はサイレンスされていることを特徴とする請求項1に記載の変性原生動物寄生体。
【請求項6】
RdRP遺伝子及びDicer遺伝子はサイレンスされていることを特徴とする請求項1に記載の変性原生動物寄生体。
【請求項7】
前記原生動物は抗原変異機構を有することを特徴とする請求項1に記載の変性原生動物寄生体。
【請求項8】
前記原生動物はランブル鞭毛虫、マラリア原虫、バベシア及びトリパノソーマからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の変性原生動物寄生体。
【請求項9】
その表面上に2種類以上の可変表面タンパク質を発現する少なくとも変性原生動物からなることを特徴とする原生動物により発生された感染に対するワクチン。
【請求項10】
前記原生動物はその表面上に可変表面タンパク質の完全レパートリーを発現することを特徴とする請求項9に記載のワクチン。
【請求項11】
前記原生動物はDicer、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)及びこれら両方からなる群から選択される酵素を抑制発現することからなることを特徴とする請求項9に記載のワクチン。
【請求項12】
原生動物RdRP遺伝子はサイレンスされていることを特徴とする請求項9に記載のワクチン。
【請求項13】
原生動物Dicer遺伝子はサイレンスされていることを特徴とする請求項9に記載のワクチン。
【請求項14】
原生動物RdRP遺伝子及びDicer遺伝子はサイレンスされていることを特徴とする請求項9に記載のワクチン。
【請求項15】
前記原生動物は抗原変異機構を有することを特徴とする請求項9に記載のワクチン。
【請求項16】
前記原生動物はランブル鞭毛虫、マラリア原虫、バベシア及びトリパノソーマからなる群から選択されることを特徴とする請求項9に記載のワクチン。
【請求項17】
賦形剤又はアジュバントを更に有することを特徴とする請求項9に記載のワクチン。
【請求項18】
下記のステップ、
(a)VSP・CRKGAアミノ酸配列を認識する抗体を固体サポートに結合するステップと、
(b)前記固体サポートを原生動物に接触させるステップと、
(c)可変表面タンパク質(VSP)の完全レパートリーを分離するステップと、 (a)
からなることを特徴とする原生動物可変表面タンパク質(VSP)の完全VSPレパートリーの精製方法。
【請求項19】
原生動物は野生型原生動物のクローンの混合体であり、各クローンは異なる可変表面タンパク質を発現することを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
原生動物は2種類以上の異なるVSPを発現するクローンであり、前記クローンはRdRP、Dicer及びこれらの両方からなる群から選択される遺伝子をサイレンスすることからなる変性原生動物のクローンであることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
原生動物はVSPの完全レパートリーを発現するクローンであり、前記クローンはRdRP、Dicer及びこれらの両方からなる群から選択される遺伝子をサイレンスすることからなる変性原生動物のクローンであることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項22】
原生動物はランブル鞭毛虫、マラリア原虫、バベシア及びトリパノソーマからなる群から選択されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項23】
賦形剤又はアジュバントと、2種類以上の原生動物可変表面タンパク質とからなり、前記タンパク質の各々は異なることを特徴とするワクチン。
【請求項24】
原生動物可変表面タンパク質の完全レパートリーからなり、前記タンパク質の各々は異なることを特徴とする請求項23に記載のワクチン。
【請求項25】
原生動物はランブル鞭毛虫、マラリア原虫、バベシア及びトリパノソーマからなる群から選択されることを特徴とする請求項23に記載のワクチン。
【請求項26】
可変表面タンパク質(VSP)の完全レパートリーからなり、前記タンパク質は請求項18に記載された方法を使用して得られることを特徴とするワクチン。
【請求項27】
少なくとも2種類の可変表面タンパク質(VSP)を発現する変性原生動物からなるワクチンを所定量、哺乳動物に投与することからなることを特徴とする免疫化方法。
【請求項28】
原生動物はVSPの完全レパートリーを発現することを特徴とする請求項27に記載の免疫化方法。
【請求項29】
経口、皮下、静脈内及び筋肉内からなる群から選択される形態で投与されることを特徴とする請求項27に記載の免疫化方法。
【請求項30】
原生動物は、RdRP、Dicer及びこれらの両方からなる群から選択される遺伝子をサイレンスすることからなる変性原生動物であることを特徴とする請求項27に記載の免疫化方法。
【請求項31】
原生動物感染に対して哺乳動物を免疫化することからなり、前記原生動物は抗原変異機構を有することを特徴とする請求項27に記載の免疫化方法。
【請求項32】
原生動物可変表面タンパク質の組合せからなるワクチンを所定量、哺乳動物に投与することからなることを特徴とする免疫化方法。
【請求項33】
経口、皮下、静脈内及び筋肉内からなる群から選択される形態で投与されることを特徴とする請求項32に記載の免疫化方法。
【請求項34】
可変表面タンパク質の組合せは、RdRP、Dicer及びこれらの両方からなる群から選択される遺伝子をサイレンスすることからなる変性原生動物から単離されることを特徴とする請求項32に記載の免疫化方法。
【請求項35】
原生動物感染に対して哺乳動物を免疫化することからなり、前記原生動物は抗原変異機構を有することを特徴とする請求項32に記載の免疫化方法。
【請求項36】
少なくとも50〜500μgの範囲内の投与量の可変表面タンパク質が投与されることを特徴とする請求項32に記載の免疫化方法。
【請求項37】
配列SEQ ID N゜1aSEQ ID N゜112の範囲内で選択される配列であることを特徴とするヌクレオチド配列。
【請求項38】
dsRNAの配列であることを特徴とする請求項37に記載の配列。
【請求項39】
RdRP遺伝子をサイレンスするために、配列SEQ ID N゜1aSEQ ID N゜112の範囲内で選択される少なくとも一つの配列の使用。
【請求項40】
Dicer遺伝子をサイレンスするために、配列SEQ ID N゜1aSEQ ID N゜112の範囲内で選択される少なくとも一つの配列の使用。
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図3e】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図11d】
【図11e】
【図11f】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図12d】
【図12e】
【図13】
【図14】
【図15a】
【図15b】
【図15c】
【図15d】
【図15e】
【図16】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図3e】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図11d】
【図11e】
【図11f】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図12d】
【図12e】
【図13】
【図14】
【図15a】
【図15b】
【図15c】
【図15d】
【図15e】
【図16】
【公表番号】特表2012−510286(P2012−510286A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539158(P2011−539158)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【国際出願番号】PCT/IB2009/055470
【国際公開番号】WO2010/064204
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(511133819)ウニベルジダート カトリカ デ コルドバ (1)
【出願人】(511133820)コンセルヨ ナショナル デ インベスティガシオン シエンティフィカス イ テクニカス(コニセット) (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【国際出願番号】PCT/IB2009/055470
【国際公開番号】WO2010/064204
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(511133819)ウニベルジダート カトリカ デ コルドバ (1)
【出願人】(511133820)コンセルヨ ナショナル デ インベスティガシオン シエンティフィカス イ テクニカス(コニセット) (1)
【Fターム(参考)】
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