説明

尿サンプルを採取する装置及び方法

チャネルと、チャネルの開口と、開口に結合するコレクタとを備える、尿サンプルを採取する装置及び方法が開示される。チャネルは、その第1の端から第2の端へ尿が流れることができるように形成される。開口は、チャネルの第1の端と第2の端との間の点に設けられる。コレクタは、尿を受け取ることができるようにチャネルの開口に結合する。一つの実施形態では、尿との接触後に尿が通過することを可能にする部材で開口を覆うことができる。具体的には、この部材は、細菌汚染を回避するために初期の尿の流れからではない尿サンプルを検査するように、ある期間後に溶解するか又は尿が開口を通過することを他の方法で可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包括的には、人体からの生体試料又はサンプルを採取する装置及び方法に関し、より詳細には、尿サンプルを採取する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
尿路の状態を検査するときの推奨された手法として、中間尿サンプル採取の原理を用いることがよく知られている。この手法を用いる主な根拠は、患者からの初期の尿の流れには常に有意レベルの細菌が含まれているという医療専門家の認識及び理解によるものである。特に、初期の尿の流れは、尿道自体だけでなく、尿道口(urethral entrance)を通る尿の流れからの細菌を含む。
【0003】
その結果、医療専門家は、初期の尿の流れの採取を回避することによってサンプルからの細菌の大半を排除して、サンプルに対して行われる検査への妨害を回避するよう努めている。通常、中間サンプルを採取する際の現在の慣例は、尿道を石鹸及び水で洗浄してから排尿を開始し、しばらくしてから尿の流れの中にカップを置いて尿サンプルを採取するよう患者に指示することを伴い、この尿サンプルで尿路感染症を検査することができる。サンプルが採取されると、続いてこのサンプルを培養及び感受性検査のために検査室に送ることによってサンプルの検査が行われる(検査のために検査室に届けられるまでユーザがサンプルを冷蔵する必要があるか、又は医療専門家の診療室/クリニックで試料を採取する)。医療専門家又は(医療専門家による訓練を正式に受けている)ユーザによる現在の尿のディップスティック測定及び検査では、(pH、デキストロース、浸透度のような)尿の特性が測定されるが、尿路感染症の有無は示されない。
【発明の開示】
【0004】
この現在の慣例は、機能はするが、この慣例が示す問題のいくつかによって理想的とは程遠いものになっている。より具体的には、試料を家庭で採取した場合はこれを検査室に運ばなければならず、又は診療室/クリニック環境で試料を採取する必要があるため不便であるという点で、この慣例は多くの医療専門家にとっても患者にとっても同様に問題のあるものとして認識されており、誤り(試料採取のタイミング、尿の採取量、採取容器の汚染の可能性、ひいては試料の汚染)が生じやすい手法が必要となり、且つ患者に代わってかなりの移動性及び器用さを必要とする。結果として、容易に検査することができる正確な中間無菌試料を得られるようにする装置及び採取方法があることが望ましい。
【0005】
[開示の概要]
したがって、本開示は、チャネルと、チャネルの開口と、開口に結合する(associated with)コレクタとを備える、尿サンプルを採取する装置に関する。チャネルは、その第1の端から第2の端へ尿が流れることができるように形成される。開口は、チャネルの第1の端と第2の端との間の点に設けられ、コレクタは、尿を受け取るようにチャネルの開口に結合する。有利には、尿との接触後に尿がチャネルを通過することを可能にする部材でチャネルの開口を覆うとよい。特に、この部材がある期間にわたって尿がチャネルを通過した後で溶解する可溶性膜であることで、コレクタが初期の尿の流れからではない尿サンプルを受け取るようになる。
【0006】
可溶性膜の代替形態として、チャネルの開口を覆う部材は、液体(尿)と接触すると接着効果が弱まる接着要素によって所定位置に固定される不溶性膜、温度が上昇すると接着効果が弱まる接着要素によって所定位置に固定される不溶性膜、又は最初は不透過性であるが液体(尿)と接触すると透過性が高まる不溶性膜であってもよい。
【0007】
例示的な一つの実施形態では、尿が流れることのできるチャネルは、尿道カテーテルに結合する内腔によって画定される。尿道カテーテルは、チャネルを画定する内腔が漏斗(funnel)内に位置付けられ得るように漏斗を含むことが有利であり得る。代替的に、尿道カテーテルは、カテーテルチューブ内に位置するチャネルを画定する内腔を有してもよい。
【0008】
別の例示的な実施の形態では、尿が流れることのできるチャネルは、尿道カテーテルに接続される検査装置の内腔である。
【0009】
さらなる詳細に関して、チャネルの開口に結合するコレクタは、開口を囲む採尿カップを備えることに適していてもよい。コレクタは、代替的に、尿サンプルを検査する目的で設けられるチャンバに通じていてもよい。さらにまた、コレクタは、可溶性部材が溶解した後で尿を受け取って検査するために、少なくとも1つの検査手段、例えば検査パッドを有することに適していてもよい。
【0010】
本開示は、細菌汚染を回避するように尿サンプルを採取する方法にも関する。この方法は、第1の端から第2の端へ尿が流れることのできるチャネルを設けるステップと、チャネルの第1の端と第2の端との間の点に開口を形成するステップと、尿との接触後に溶解する可溶性部材で開口を覆うステップと、開口と動作的に(operative)結合させてチャネルの外部にコレクタを位置付けるステップと、可溶性部材を溶解させるために、ある期間にわたって尿をチャネルに流すステップとを含む。本開示の方法により、コレクタは、初期の尿の流れからではない尿サンプルを受け取ることが可能である。
【0011】
本開示の他の目的、利点、及び特徴は、添付図面と共に以下の明細書を考察すれば明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[好適な開示の詳細な説明]
図面を参照し、まず図1及び図2を参照すると、参照符号10は、尿サンプルを採取する装置を概括的に示している。装置10は、第1の端12aから第2の端12bへ尿が流れることのできるチャネル12を有している。装置10は、第1の端12aと第2の端12bとの間の点に位置付けられるチャネル12の開口14も有している。装置10は、尿を受け取るようにチャネル12の開口14に結合するコレクタ16をさらに有している。装置10は、チャネル12の開口14を覆う部材18をさらに有することができる。部材18は、ある期間にわたってチャネル12を流れた尿との接触後に、尿が開口14を通過することを可能にする。したがって、コレクタ16は、チャネル12を通過する初期の尿の流れからではない尿サンプルを受け取ることができる。
【0013】
さらに図1及び図2を参照すると、チャネル12の開口14に結合するコレクタ16は、図1に示す場合は開口14を囲む採尿カップであるが、図2に示す場合の対応するコレクタ16は、尿検査チャンバである。いずれの場合も、チャネル12の開口14を覆う部材18は、PVOHから形成されるか、又はある期間にわたって尿が部材18と接触した後で尿で溶解するか若しくは尿が開口を通過することを他の方法で可能にする任意の同様のタイプの材料から形成された可溶性膜を備えることが有利である。尿検査チャンバの場合、コレクタ16は、部材18が開口14への尿の通過を可能にした後で尿を受け取って検査することが可能である検査パッド又は任意の他の同様のタイプの検査装置のような少なくとも1つの検査手段20を有している(図2)。
【0014】
上述した可溶性膜の代替形態として、装置は、液体(尿)と接触すると接着効果が弱まる接着要素によって所定位置に固定される不溶性膜を用いることができることが理解されるであろう。例えば、不溶性膜は、スリーエム社工業接着剤及びテープ部門(3M Industrial Adhesives and Tape Division)が販売しているWater-Soluble Wave Solder Tape 5414のような水溶性接着剤を含むテープを備えてもよい。別の代替形態として、装置は、温度が上昇すると接着効果が弱まる接着要素によって所定位置に固定される不溶性膜を用いることができる。例えば、通常の尿の温度以下で接着効果を失う接着剤で所定位置に固定される任意の不溶性膜を用いることができる。さらに別の例として、装置は、最初は不透過性であるが液体(尿)と接触すると透過性が高まる不溶性膜を用いることができる。例えば、ポリビニルアルコール等の可溶性層でコーティングされる任意の透過性織物を用いることができる。
【0015】
図3を参照すると、尿が流れることのできるチャネルは、概括的に30で示される尿道カテーテルに結合した内腔によって画定されることが有利である。図1及び図2に示される概略図に関連して、これらの図に示されるチャネル12は、尿道カテーテルに結合する内腔であり得るか、又は以下のさらなる説明から認められるように、特に尿サンプルを検査するように設計された装置のような任意の関連するタイプの装置に結合した内腔であり得ることが認められるであろう。換言すれば、図1及び図2は、少なくとも本開示に記載される概念の2つの具体的な実施形態に示されるものの概略図にすぎない。
【0016】
さらに図3を参照すると、尿道カテーテル30は、カテーテルチューブ32及びその一端にある漏斗34を有している。チャネル36を画定する内腔は、漏斗34内に位置付けられているが、カテーテルチューブ32内に位置付けることもできる。しかしながら、図示された実施形態では、チャネル36は、図5A及び図5Bに最もよく示されているように、漏斗34内に位置付けられている。
【0017】
さらに図5A及び図5Bを参照すると、カテーテルチューブ32自体が、チャネル36を画定する内腔と直接流体連通する尿の流れ用のチャネル38を画定する内腔を有することが分かるであろう。しかしながら、可溶性部材によって覆われる少なくとも1つの開口40を有するのはチャネル36である。図示されていないが、開口40は、カテーテルチューブ32に設けることもでき、その場合、カテーテルチューブの開口は、可溶性部材によって覆われ、コレクタが結合する。
【0018】
図7を参照すると、尿が流れることのできるチャネルは、尿サンプルを受け取るために尿道カテーテルに接続されるのに適した検査装置60の内腔によって画定されることが有利であり、検査装置の実施形態及び図3に示されると共に予め上述した尿道カテーテルの実施形態の詳細な構造及び動作は、以下に、より詳細に記載される。
【0019】
図3を再度参照し、図4A〜図4Dと共に考察すると、カテーテルチューブ32及び漏斗34から成る尿道カテーテル30は、尿サンプルコレクタ42を有することが分かるであろう。特に図3、図5A、及び図5Bの考察から、尿道カテーテル30が、漏斗34及びカテーテルチューブ32にそれぞれのチャネル36及び38を画定する内腔を有する軸方向に延びる本体を備え、チャネル36及び38を通って30aにあるようなカテーテル30の第1の端から30bにあるようなその第2の端へ尿が流れることができることが認められるであろう。上述のように、チャネル36は、漏斗34内にあるが、尿道カテーテル30の端30aから端30bまで連続した尿の流路を画定するようにカテーテルチューブ32内のチャネル38と軸方向に整列する。
【0020】
次に図4A、図5A、及び図5Bを参照すると、尿道カテーテル30は、内腔から内腔の外部の点まで軸方向に延びる本体を貫通して延びる少なくとも1つの概ね半径方向の開口40を有している。図示された実施形態では、尿道カテーテル30は、漏斗36内のチャネル36を画定する内腔を貫通して延びる一対の直径方向に対向する半径方向の開口40を有している。図5A及び図5Bに最もよく示されているように、尿サンプルを受け取る尿サンプルコレクタ42は、軸方向に延びる本体の外部で直径方向に対向する半径方向の開口40を囲んでいる(図3も参照)。
【0021】
図4B、図5A、及び図5Bを参照すると、可溶性部材44は、概ね半径方向の開口40を覆っており、ある期間にわたる尿との接触後に溶解する。直径方向に対向する半径方向の開口40を利用する場合、半径方向の開口40は、一対の可溶性部材44、又は図4Bに最もよく示されているように、漏斗34の円周全体に延びることのできる単一の可溶性部材44によって覆うことができる。いずれの場合も、可溶性部材44が、ある期間にわたって溶解するようになっているため、尿サンプルコレクタ42が初期の尿の流れからではない尿サンプルを受け取ることができる。
【0022】
図示されるように、漏斗34は、カテーテルチューブ32に締着された概ね均一な直径の第1の部分34aと、カテーテルチューブ32から離れて外方に直径が広がる第2の部分34bとを有している。概ね均一な直径の第1の部分34aは、カテーテルチューブ32と外方に直径が広がる第2の部分34bとの概ね中間に、小径領域34c(図4A)を有している。概ね半径方向の開口40は、小径領域34c内に延びており、可溶性部材44は、概ね半径方向の開口40を完全に覆うように小径領域34c内に位置付けられている。尿道カテーテル30は、尿を受け取って検査するために、小径領域34c内で可溶性部材44の外側に位置付けられる1つ又は複数の検査パッド46も有している(図4C、図5A、及び図5B)。さらに、尿道カテーテル30は、概ね均一な直径の第1の部分34aの周りに延びて尿漏れに対してその領域を覆ってシールする透明防水フィルム層48を有している(図4D、図5A、及び図5B)。
【0023】
上述のように、概ね半径方向の開口は、カテーテルチューブを貫通して延びることができ、可溶性部材は、概ね半径方向の開口を覆うようにカテーテルチューブの外部に位置付けることができる。この代替的な実施形態では、図3のカテーテルチューブ32は、図1及び図2のチャネル12を画定するカテーテルチューブとなり、すなわち、図1及び図2に示されるカテーテルチューブは、図3に示されるカテーテルチューブ32の概略図となる。これに関して、チャネル12の開口14は、膀胱から排尿するために、カテーテルが挿入されているときに尿道の外側にあるようにカテーテルのドレナージアイの反対側の端付近に位置付けられる。
【0024】
図1及び図2のチャネル12を画定するカテーテルチューブが、図3の32のようなカテーテルチューブである場合、コレクタ16は、開口14を囲むフィッティング16aに取り外し可能に取り付けられる採取カップであり得る。採取カップ16は、可溶性部材18が溶解した後で尿を受け取るためにカテーテルチューブの外部でフィッティング16aに取り外し可能に取り付けられている(図1)。代替的に、コレクタ16は、可溶性部材18が溶解した後で尿を受け取って検査するための少なくとも1つの検査パッドを有する、カテーテルチューブの外部の検査チャンバであり得る(図2)。
【0025】
図7を再度参照すると、検査装置60は、第1の端62aから第2の端62bへ尿が流れることのできる主チャネル64を画定する内腔を備えた軸方向に延びる本体62を有している。図8A及び図9Aに示されるように、検査装置60は、内腔から内腔の外部の点まで軸方向に延びる本体62を貫通して延びる少なくとも1つの開口66も有している。図8A及び図9Aに示されるように、検査装置60は、軸方向に延びる本体62を貫通して延びる開口66と連通する、尿を受け取るコレクタ68をさらに有している。図8B及び図9Bに示されるように、検査装置60は、ある期間にわたる尿との接触後に溶解する、開口66を覆う可溶性部材70をさらに有している。この構成により、コレクタ68が初期の尿の流れからではない尿サンプルを受け取ることが可能であることから、検査装置60は尿サンプルの検査によく適している。
【0026】
図示された実施形態では、軸方向に延びる本体62は、尿道カテーテルと接続されるようになっている第1の端62aと、そこから離れた第2の端62bとを有している(図7)。軸方向に延びる本体62は、第1の端62aと第2の端62bとの中間に、軸方向に延びる本体に貫通して延びる開口66と連通する外部凹部72も有している(図8A及び図9A)。さらに、検査装置60は、両端72a及び72bに概ね隣接してコレクタ68を画定する外部凹部72と連通するように、軸方向に延びる本体62を貫通して延びる一対の軸方向に離間した開口66を有することが好ましい(図8A及び図9A)。図8A及び図9Aから認められるように、外部凹部72は、軸方向に離間した開口66の一方から他方まで延びるチャネルを画定している。
【0027】
特に、開口66は、外部凹部72と協働して二次尿流路すなわちチャネルを画定し、この二次尿流路すなわちチャネルは、最初に尿が流れる主チャネルから離れて斜め下方に延び、続いて尿が流れる主チャネルと概ね平行に延び、続いて尿が流れる主チャネルに向かって斜め下方に延びて、二次尿流路すなわちチャネルに沿って流れる尿は、外部凹部72によって画定されるコレクタ68内に導かれる(図8B及び図9B)。
【0028】
図9Bを具体的に参照すると、外部凹部72によって画定される経路すなわちチャネルは、矢印74で示されるように、軸方向に離間した開口66の一方から軸方向に離間した開口66の他方への二次尿流路すなわちチャネルの主要部分となることが理解されるであろう。ここで、矢印76は、検査装置60を通る尿が流れる主チャネルを示している。
【0029】
図8B及び図9Bを再度参照すると、可溶性部材70は、軸方向に離間した開口66の両方を覆うように、軸方向に延びる本体62の外部凹部72内に配置されることが分かるであろう。検査装置60は、可溶性部材70が尿の流れによって溶解された後で尿を受け取って検査するために可溶性部材70の外側で外部凹部72内に位置付けられたパッド78のような1つ又は複数の検査手段を有することが好ましいことも、図8C及び図9Bから分かるであろう。図示されるように、検査手段すなわちパッド78は、可溶性部材70が尿によって溶解された後で尿を受け取って検査するために、外部凹部72内の二次尿流路すなわちチャネル内に配置されている。
【0030】
次に図8D及び図9Cを参照すると、検査装置60は、検査装置60からの尿の漏れに対して軸方向に延びる本体62の外部凹部72を覆ってシールするように、外部凹部72の上に延びる防水透明体80をさらに有している。換言すれば、防水透明体80は、二次尿流路すなわちチャネルへの尿の流れを制限するため、尿は、軸方向に離間した開口66の一方に流れ込んで外部凹部72を通ってから軸方向に離間した開口66の他方から流れ出なければならない。さらに、検査装置60は、軸方向に延びる本体62の第1の端62aを尿道カテーテルの漏斗端に接続することができると共に、軸方向に延びる本体の第2の端62bを採尿バッグに直接接続することができるように形成することが好ましい。
【0031】
上記から、初期の尿の流れがいずれかの実施形態の検査手段又はパッドにアクセスするのではなく、むしろ可溶性部材を溶解する役割を果たすことで、後続の尿の流れのみが検査パッドに吸収されることが認められるであろう。パッドの形態である場合の検査手段は、尿検査の結果に応じて変色し、透明防水フィルム層すなわち防水透明体80を通して変色を観察することができる。検査パッドの変色の観察後、検査パッドで得られた色は、色の見本と比較され、色の見本はごく一例として、図6に白黒で示されるタイプのような亜硝酸塩、白血球、及びpHの色の見本であってもよい。
【0032】
本開示によれば、尿サンプルを採取する方法が提供され、この方法は、第1の端から第2の端へ尿が流れることのできるチャネルを設けるステップと、チャネルの第1の端と第2の端との間の点に開口を形成するステップとを含む。この方法は、ある期間にわたって尿と接触した後で尿が開口を通過することを可能にする部材で開口を覆うステップと、開口と動作的に結合するようにチャネルの外部にコレクタを位置付けるステップとも含む。さらに、この方法は、尿が開口を通過することを可能にすることにより、コレクタが初期の尿の流れからではない尿サンプルを受け取ることができるように、ある期間にわたって尿をチャネルに流すステップを含む。
【0033】
この方法に関する他の点で、尿が流れることのできるチャネルは、尿道カテーテルに結合する内腔によって画定されることが適している。尿道カテーテルは、漏斗を含んでいてもよく、その場合、チャネルを画定する内腔は漏斗内に位置付けられてもよく、又は代替的に、チャネルを画定する内腔はカテーテルチューブ内に位置付けられてもよい。さらなる代替形態として、尿が流れることのできるチャネルは、尿道カテーテルと接続される検査装置の内腔であってもよい。
【0034】
この方法に関するさらに他の点では、チャネルの開口に結合するコレクタは、開口を囲む採尿カップであってもよく、又は尿検査チャンバに通じていてもよい。さらにまた、チャネルの開口を覆う部材は、PVOHから形成されるか、又はある期間にわたる尿との接触後に溶解可能であるか若しくは尿が開口を通過することを他の方法で可能にするという必要な特性を有する別の材料から形成された可溶性膜を備えてもよい。さらに、この方法では、上記部材が尿と接触してから尿が開口を通過することを可能にした後で尿を受け取って検査するための1つ又は複数の検査パッドをコレクタが含むことを意図している。
【0035】
上記では、好適な開示の詳細な説明が記載されているが、添付の特許請求の範囲に記載されている開示の精神及び範囲から逸脱せずに本明細書で示した詳細を変えることができることが、当業者には認められるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本開示による尿サンプルを採取する装置の第1の実施形態の概略図である。
【図2】本開示による尿サンプルを採取する装置の第2の実施形態の概略図である。
【図3】本開示に従って形成される一体型尿サンプルコレクタを有する尿道カテーテルの立面図である。
【図4A】図3の尿道カテーテルの一体型尿サンプルコレクタの組み立てを示す一連の立面図の1つである。
【図4B】図3の尿道カテーテルの一体型尿サンプルコレクタの組み立てを示す一連の立面図の1つである。
【図4C】図3の尿道カテーテルの一体型尿サンプルコレクタの組み立てを示す一連の立面図の1つである。
【図4D】図3の尿道カテーテルの一体型尿サンプルコレクタの組み立てを示す一連の立面図の1つである。
【図5A】図3の尿道カテーテルの一体型尿サンプルコレクタの内部構造を示す一対の断面図の1つである。
【図5B】図3の尿道カテーテルの一体型尿サンプルコレクタの内部構造を示す一対の断面図の1つである。
【図6】図3に示された一体型尿サンプルコレクタに組み込まれる一対の検査パッドからの結果を読み取るための代表的なチャートである。
【図7】本開示による尿道カテーテルと共に尿サンプルを検査する装置の立面図である。
【図8A】従来の尿道カテーテルで尿サンプルを検査する装置の組み立てを示す一連の立面図の1つである。
【図8B】従来の尿道カテーテルで尿サンプルを検査する装置の組み立てを示す一連の立面図の1つである。
【図8C】従来の尿道カテーテルで尿サンプルを検査する装置の組み立てを示す一連の立面図の1つである。
【図8D】従来の尿道カテーテルで尿サンプルを検査する装置の組み立てを示す一連の立面図の1つである。
【図9A】図7に示されるような尿サンプルを検査する装置の内部構造を示す一連の断面図の1つである。
【図9B】図7に示されるような尿サンプルを検査する装置の内部構造を示す一連の断面図の1つである。
【図9C】図7に示されるような尿サンプルを検査する装置の内部構造を示す一連の断面図の1つである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端から第2の端へ尿が流れることのできるチャネルと、
該チャネルの前記第1の端と前記第2の端との間の点にある開口と、
尿を受け取るように前記チャネルの前記開口に結合するコレクタと、
ある期間にわたって前記チャネルを流れた尿との接触後にのみ、尿が前記開口を通過することを可能にすることで、前記コレクタが初期の尿の流れからではない尿サンプルを受け取ることができるようにする、前記チャネルの前記開口を覆う部材と
を備える、尿サンプルを採取する装置。
【請求項2】
尿が流れることのできる前記チャネルは、尿道カテーテルに結合する内腔によって画定される、請求項1に記載の尿サンプルを採取する装置。
【請求項3】
前記尿道カテーテルは、漏斗を含み、前記チャネルを画定する前記内腔は、前記漏斗内に位置付けられる、請求項2に記載の尿サンプルを採取する装置。
【請求項4】
前記尿道カテーテルは、カテーテルチューブを有し、前記チャネルを画定する前記内腔は、前記カテーテルチューブ内に位置付けられる、請求項2に記載の尿サンプルを採取する装置。
【請求項5】
尿が流れることのできる前記チャネルは、尿道カテーテルに接続される検査装置の内腔である、請求項1に記載の尿サンプルを採取する装置。
【請求項6】
尿が流れることのできる前記チャネルの前記第2の端に結合した採尿バッグを有する、請求項1に記載の尿サンプルを採取する装置。
【請求項7】
前記チャネルの前記開口に結合する前記コレクタは、前記開口を囲む採尿カップである、請求項1に記載の尿サンプルを採取する装置。
【請求項8】
前記チャネルの前記開口に結合する前記コレクタは、尿検査チャンバに通じる、請求項1に記載の尿サンプルを採取する装置。
【請求項9】
前記チャネルの前記開口を覆う前記部材は、PVOHから形成される可溶性膜である、請求項1に記載の尿サンプルを採取する装置。
【請求項10】
前記チャネルの前記開口を覆う前記部材は、液体と接触すると接着効果が弱まる接着要素によって所定位置に固定される不溶性膜である、請求項1に記載の尿サンプルを採取する装置。
【請求項11】
前記チャネルの前記開口を覆う前記部材は、温度が上昇すると接着効果が弱まる接着要素によって所定位置に固定される不溶性膜である、請求項1に記載の尿サンプルを採取する装置。
【請求項12】
前記チャネルの前記開口を覆う前記部材は、最初は不透過性であるが液体と接触すると透過性が高まる不溶性膜である、請求項1に記載の尿サンプルを採取する装置。
【請求項13】
前記コレクタは、前記可溶性部材が溶解した後で尿を受け取って検査する少なくとも1つの検査手段を含む、請求項1に記載の尿サンプルを採取する装置。
【請求項14】
尿サンプルコレクタを有する尿道カテーテルであって、
第1の端から第2の端へ尿が流れることのできるチャネルを画定する内腔を有した軸方向に延びる本体と、
前記内腔から該内腔の外部の点まで前記軸方向に延びる本体を貫通して延びる概ね半径方向の開口と、
前記軸方向に延びる本体の外部で前記概ね半径方向の開口を囲む、尿を受け取る尿コレクタと
を備え、
前記尿コレクタは、前記軸方向に延びる本体の前記内腔によって画定される前記チャネルを流れる尿から尿サンプルを受け取ることができる尿道カテーテル。
【請求項15】
前記軸方向に延びる本体は、漏斗を備え、前記チャネルを画定する前記内腔は、前記漏斗内に位置付けられる、請求項14に記載の尿道カテーテル。
【請求項16】
前記漏斗は、カテーテルチューブに締着される概ね均一な直径の第1の部分と、前記カテーテルチューブからから離れて外方に直径が広がる第2の部分とを含む、請求項15に記載の尿道カテーテル。
【請求項17】
前記概ね均一な直径の第1の部分は、前記カテーテルチューブと前記外方に直径が広がる第2の部分との概ね中間に小径領域を含む、請求項16に記載の尿道カテーテル。
【請求項18】
前記概ね半径方向の開口は、前記小径領域内に延びており、
前記尿道カテーテルは、ある期間にわたって尿と接触した後で尿が前記開口を通過することを可能にする、前記概ね半径方向の開口を覆う部材を有し、該部材は、前記概ね半径方向の開口を覆うために前記小径領域内に配置される、請求項17に記載の尿道カテーテル。
【請求項19】
前記半径方向の開口を覆う部材は、ある期間にわたる尿との接触後に溶解する可溶性膜と、液体と接触すると接着効果が弱まる接着要素によって所定位置に固定される不溶性膜と、温度が上昇すると接着効果が弱まる接着要素によって所定位置に固定される不溶性膜と、最初は不透過性であるが液体と接触すると透過性が高まる不溶性膜とのいずれかから選択される、請求項18に記載の尿道カテーテル。
【請求項20】
前記漏斗の外部で前記開口を囲むと共に前記半径方向の開口を覆う部材が前記開口への尿の通過を可能にした後で尿を受け取って検査する少なくとも1つの検査手段を収容した検査チャンバを有する、請求項19に記載の尿道カテーテル。
【請求項21】
前記半径方向の開口を覆う部材が前記開口への尿の通過を可能にした後で尿を受け取るように前記漏斗の外部で前記開口を囲むフィッティングに取り外し可能に取り付けられた採取カップを有する、請求項19に記載の尿道カテーテル。
【請求項22】
前記半径方向の開口を覆う部材が前記開口への尿の通過を可能にした後で尿を受け取って検査するように前記部材の外方で前記小径領域内に位置付けられた検査手段を有する、請求項19に記載の尿道カテーテル。
【請求項23】
尿漏れに対して前記小径領域を覆ってシールするように、前記概ね均一な直径の第1の部分の周りに延びる透明防水フィルム層を有する、請求項22に記載の尿道カテーテル。
【請求項24】
前記軸方向に延びる本体は、カテーテルチューブを有し、前記チャネルを画定する前記内腔は、前記カテーテルチューブ内に位置付けられる、請求項14に記載の尿道カテーテル。
【請求項25】
前記概ね半径方向の開口は、前記カテーテルチューブを貫通して延び、前記カテーテルチューブの外部に、前記概ね半径方向の開口を最初に覆う部材が位置付けられる、請求項24に記載の尿道カテーテル。
【請求項26】
前記半径方向の開口を最初に覆う部材は、ある期間にわたる尿との接触後に溶解する可溶性膜と、液体と接触すると接着効果が弱まる接着要素によって所定位置に固定される不溶性膜と、温度が上昇すると接着効果が弱まる接着要素によって所定位置に固定される不溶性膜と、最初は不透過性であるが液体と接触すると透過性が高まる不溶性膜とのいずれかから選択される、請求項25に記載の尿道カテーテル。
【請求項27】
前記カテーテルチューブの外部で前記開口を囲むと共に前記半径方向の開口を最初に覆う部材が前記開口への尿の通過を可能にした後で尿を受け取って検査する少なくとも1つの検査手段を収容する検査チャンバを有する、請求項26に記載の尿道カテーテル。
【請求項28】
前記半径方向の開口を最初に覆う部材が前記開口への尿の通過を可能にした後で尿を受け取るように前記カテーテルチューブの外部で前記開口を囲むフィッティングに取り外し可能に取り付けられた採取カップを有する、請求項26に記載の尿道カテーテル。
【請求項29】
第1の端から第2の端へ尿が流れることのできる主チャネルを画定する内腔を有した軸方向に延びる本体と、
前記内腔から該内腔の外部の点まで前記軸方向に延びる本体を貫通して延びる少なくとも1つの開口と、
前記軸方向に延びる本体を貫通して延びる前記少なくとも1つの開口を囲む、尿を受け取るコレクタと
を備え、
前記コレクタは、前記軸方向に延びる本体の前記内腔によって画定された前記チャネルを流れる尿から尿サンプルを受け取ることができる、尿サンプルを検査する装置。
【請求項30】
前記軸方向に延びる本体は、尿道カテーテルに接続される第1の端と、そこから離れた第2の端とを有する、請求項29に記載の尿サンプルを検査する装置。
【請求項31】
前記軸方向に延びる本体は、前記第1の端と前記第2の端との中間に、前記軸方向に延びる本体を貫通して延びる前記少なくとも1つの開口と連通する外部凹部を含む、請求項30に記載の尿サンプルを検査する装置。
【請求項32】
前記外部凹部の両端に概ね隣接して該外部凹部と連通するように、前記軸方向に延びる本体を貫通して延びる一対の軸方向に離間した開口を含む、請求項31に記載の尿サンプルを検査する装置。
【請求項33】
前記軸方向に離間した開口の一方から前記軸方向に離間した開口の他方まで延びて両者の間に二次尿流チャネルを画定するチャネルを有する、請求項32に記載の尿サンプルを検査する装置。
【請求項34】
ある期間にわたって尿と接触した後で尿の通過を可能にする部材が、前記軸方向に離間した開口の両方を覆うように、前記軸方向に延びる本体の前記外部凹部内に配置される、請求項33に記載の尿サンプルを検査する装置。
【請求項35】
前記開口を通過した尿を受け取って検査するように、前記尿の通過を可能にする部材の外方で前記外部凹部内に位置付けられた少なくとも1つの検査手段を有する、請求項34に記載の尿サンプルを検査する装置。
【請求項36】
前記検査手段は、尿が前記開口を通過した後で尿を受け取って検査するように前記二次尿流チャネルの上で前記外部凹部内に配置される、請求項35に記載の尿サンプルを検査する装置。
【請求項37】
尿漏れに対して前記軸方向に延びる本体の前記外部凹部を覆ってシールするように、該外部凹部の上に延びる防水透明体を有する、請求項36に記載の尿サンプルを検査する装置。
【請求項38】
ある期間にわたって尿と接触した後で尿の通過を可能にする、前記少なくとも1つの開口を覆う部材を有し、
該開口を覆う部材は、ある期間にわたる尿との接触後に溶解する可溶性膜と、液体と接触すると接着効果が弱まる接着要素によって所定位置に固定される不溶性膜と、温度が上昇すると接着効果が弱まる接着要素によって所定位置に固定される不溶性膜と、最初は不透過性であるが液体と接触すると透過性が高まる不溶性膜とのいずれかから選択される、請求項29に記載の尿道カテーテル。
【請求項39】
前記軸方向に延びる本体は、尿道カテーテルに接続される第1の端と、採尿バッグに接続される第2の端とを有する、請求項29に記載の尿サンプルを検査する装置。
【請求項40】
第1の端から第2の端へ尿が流れることのできるチャネルを設けるステップと、
該チャネルの前記第1の端と前記第2の端との間の点に開口を形成するステップと、
ある期間にわたる尿との接触後に尿が開口を通過することを可能にする部材で前記開口を覆うステップと、
前記開口と動作的に結合するように前記チャネルの外部にコレクタを位置付けるステップと、
前記尿が開口を通過することを可能にする部材が前記開口への尿の通過を可能にするまで前記期間にわたって尿を前記チャネルに流すステップと
を含み、
前記コレクタは、初期の尿の流れからではない尿サンプルを受け取ることができる、尿サンプルを採取する方法。
【請求項41】
尿が流れることのできる前記チャネルは、尿道カテーテルに結合する内腔によって画定される、請求項40に記載の尿サンプルを採取する方法。
【請求項42】
前記尿道カテーテルは、漏斗を有し、前記チャネルを画定する前記内腔は、前記漏斗内に位置付けられる、請求項41に記載の尿サンプルを採取する方法。
【請求項43】
前記尿道カテーテルは、カテーテルチューブを有し、前記チャネルを画定する前記内腔は、前記カテーテルチューブ内に位置付けられる、請求項41に記載の尿サンプルを採取する方法。
【請求項44】
尿が流れることのできる前記チャネルは、尿道カテーテルに接続される検査装置の内腔である、請求項40に記載の尿サンプルを採取する方法。
【請求項45】
前記チャネルの前記開口に結合する前記コレクタは、前記開口を囲む採尿カップである、請求項40に記載の尿サンプルを採取する方法。
【請求項46】
前記チャネルの前記開口に結合する前記コレクタは、尿検査チャンバに通じる、請求項40に記載の尿サンプルを採取する方法。
【請求項47】
前記尿が開口を通過することを可能にする部材は、ある期間にわたる尿との接触後に溶解する可溶性膜と、液体と接触すると接着効果が弱まる接着要素によって所定位置に固定される不溶性膜と、温度が上昇すると接着効果が弱まる接着要素によって所定位置に固定される不溶性膜と、最初は不透過性であるが液体と接触すると透過性が高まる不溶性膜とのいずれかから選択される、請求項40に記載の尿サンプルを採取する方法。
【請求項48】
前記コレクタは、前記可溶性部材が溶解した後で尿を受け取って検査する少なくとも1つの検査手段を含む、請求項40に記載の尿サンプルを採取する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【公表番号】特表2010−517044(P2010−517044A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547362(P2009−547362)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/051307
【国際公開番号】WO2008/094771
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(591000414)ホリスター・インコーポレイテッド (38)
【氏名又は名称原語表記】HOLLISTER INCORPORATED
【Fターム(参考)】