説明

尿素の製造方法

【課題】
【解決手段】尿素の生成方法を記載する。この方法において、アンモニアを二酸化炭素と反応させ尿素を生成させる。ここでは、アンモニアは、塩基性のアルカリ金属合成物および/またはアルカリ土類金属合成物の存在下、窒化ケイ素/窒化アルミニウムまたは窒化ケイ素/窒化アルミニウム含有素材および水から、得られる。窒化ケイ素/窒化アルミニウムは、炭素源の添加が為され、SiO2/Al23また はSiO2/Al23含有素材とガス状窒素とが反応して、得られる。この場合、用いられる炭素源は、バイオマスの熱分解によって得られる炭素で良い。この尿素生成方法は、簡単に、そして、高価で無く実施可能であり、特に、天然資源の有効な開発を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニアを二酸化炭素に反応させることにより尿素を製造する方法に関する。この種の方法は、尿素の工業的生産とともに、一般に知られている。この方法にとって必要であるアンモニアを製造するための製法は、多数あり、そのなかで、「ハーバー・ボッシュ法」が最もよく知られている。同様に知られているのが、窒化物の加水分解(2AlN+3H2O→4Al23+2NH3)に 関係する「セルペック法」と呼ばれる製法である。最も重要な窒化物のひとつは、窒化ケイ素(Si34)である。二酸化ケイ素(SiO2 )源から、炭窒化法により窒化ケイ素を造ることは知られている。炭窒化法において、炭素源の添加により、二酸化ケイ素を、ガス状の窒素と高温にて、反応させる。
【0002】
この明細書の優先日以前に公開が為されていない、本願より早いドイツ特許出願102009011311.8は、炭素源の添加により、二酸化ケイ素もしくは二酸化ケイ素含有原料(素材)を、高温にてガス状窒素と反応させて、窒化ケイ素(Si34)もしくは窒化ケイ素含有原料(素材)を生じさせ、更に、前記の反応で生じた窒化ケイ素もしくはケイ素含有素材を、塩基性のアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物の存在下、水と、高温にて、反応させることにより、アンモニアおよび、アルカリ金属ケイ酸塩および/またはアルカリ土類金属ケイ酸塩を生じさせることによりアンモニアを製造する方法を記載している。
【0003】
本発明の根源を成す「目的」は、容易に実施可能であって、天然資源の特に有効な利用を可能ならしめる尿素製造方法を提供することである。
【0004】
この目的は、炭素源の添加のもとにSiO2/Al23 (二酸化ケイ素/酸化アルミニウム)もしくはSiO2/Al23 含有素材のガス状窒素との高温での反応による窒化ケイ素(Si34)/窒化アルミニウム(AlN)もしくは窒化ケイ素/窒化アルミニウム含有素材の生成、更に、前記の反応で生じた窒化ケイ素/窒化アルミニウムもしくは窒化ケイ素/窒化アルミニウム含有素材を、塩基性のアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物の存在下、水と、高温で、反応させることにより、アンモニア、並びに、アルカリ金属ケイ酸塩/アルミン酸塩および/またはアルカリ土類金属ケイ酸塩/アルミン酸塩を生成し、ここで得られたアンモニアが二酸化炭素と反応させられて尿素を生むことを特徴とするここに詳述したタイプの方法により本発明に基づき達成される。
【0005】
従って、この本発明の方法は、ケイ素(Si)および/またはアルミニウム(Al)を、従来二酸化炭素と反応させて尿素を生み出すアンモニアの製造のためのキャリア(担体)素材として利用する。この本発明方法はアンモニアを作成するためのハーバーボッシュ法を回避するので、高圧を利用する必要性を排除できる。
【0006】
本発明の方法は、三段階式の方法である。第一段階において、窒化ケイ素および/または窒化アルミニウムが造られ、そして第二段階において、アンモニアが、窒化ケイ素および/または窒化アルミニウムから造られる。第三段階において 、アンモニアを二酸化炭素(CO2)と反応させ、尿素を生み出す。窒化ケイ素/窒化アルミニウム、もしくは、窒化ケイ素/窒化アルミニウム含有素材の反応は、塩基性のアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物の存在下、水とにより、発生する。「窒化ケイ素/窒化アルミニウムを獲得するために必要な物質(二酸化ケイ素もしくは二酸化ケイ素含有素材および/または酸化アルミニウムもしくは酸化アルミニウム含有素材、炭素源、ガス状窒素)のみならず、アンモニアの生成に必要な物質(塩基性のアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物、水)および、尿素を生成する反応のための二酸化炭素が、天然の安価な資源として入手、利用可能」という事実のおかげで、本発明の方法は、簡単に、且つ、費用効果高く実施可能である。更に、この方法では、高圧を必要とせず、高温が必要であるだけなので、本発明方法は、プロセス工学の見地からも、比較的簡単に、そして、高価で無く、実施可能である。
【0007】
本発明の方法のための適当な出発点は、二酸化ケイ素(SiO2 )もしくは二酸化ケイ素含有素材、更に詳記すると、砂(石英砂、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、粘土等、並びに、ボーキサイトなど酸化アルミニウムAl23または酸化アルミニウム含有素材という形態の二酸化ケイ素もしくは二酸化ケイ素含有素材である。純粋な出発物質を用いる必要は無く、逆に、そのような物質は、二酸化ケイ素含有および/またはケイ酸塩含有および/または酸化アルミニウム含有および/またはアルミン酸塩含有である場合、相応の不純物もしくは添加物をも有する可能性がある。従って、本発明の方法において、コストがかかり且つ不便な、純化(purification)手段の必要は無い。
【0008】
炭素含有素材(炭素源)として、例えば、瀝青炭、褐炭、コークスもしくはその他、例えば、藁、麦ワラ、とうもろこしワラ, なたねワラ, こめワラなど農業副産物の炭化で得られるチャコール(炭、木炭)、活性炭や、石炭など、再生源からの他の石炭等の物質を用いることが出来る。望ましい炭素含有素材は、酸素の無い状態もしくは限定された酸素供給状態において再生的に得られる炭素含有素材の熱分解で得られるものである。このような炭素含有素材についての例(これに限定はしないが)としては、木材や藁、アシなどのバイオマス(生物資源)である。
【0009】
本発明の方法の更なる利点は、純粋の窒化ケイ素および/または窒化アルミニウムを造る必要が無く;逆に、アンモニアを作るために、窒化ケイ素および/または窒化アルミニウム含有素材を作れば十分であり、そうであるから、すでに述べたように、(単一もしくは複数種の)出発原料を純化するための、経費の掛かる且つ不便な手段が不要である。従って、例えば、なおも実質的な量の二酸化ケイ素(SiO2 )、酸化第二鉄(Fe23)等を含んだままのボーキサイト(Al(OH)3 /AlO(OH))や、「製造」のための長石、石灰石(CaCO3 )、石膏、硫化物等を含んだままの石英砂などを、高価で無い出発原料として利用することが可能である。
【0010】
本発明の方法にとっては、生成される窒化ケイ素/窒化アルミニウムもしくは窒化ケイ素/窒化アルミニウム含有素材と、水(蒸気)との反応が、塩基性のアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物の存在下、起きることが、必須のことがらである。この塩基性のアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物を、水の添加に先立ち、窒化ケイ素/窒化アルミニウムもしくは窒化ケイ素/窒化アルミニウム含有素材に添加して良い。塩基性のアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物の源として、相応の操作温度において塩基性のアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物を放出する同様の種類の化合物を添加することもできる。限定はしないが、例としては、アルカリ金属/アルカリ土類金属の酸化物、硫化物、水酸化物、及び、アルカリ金属ケイ酸塩/アルカリ金属炭酸塩である。いずれの場合も水との反応は、塩基性の環境において発生しなければならない。
【0011】
本発明の方法の別の実施例においては、すでに塩基性のアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物、もしくはそれらの源を備えている二酸化ケイ素/酸化アルミニウム含有素材を用いる。従って、この本発明の方法の別法の場合は、塩基性のアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物、もしくはそれらの源は、添加せず、但し、そのかわりに、用いられている出発原料にすでに、そのような化合物、もしくはそれらの源が備わっている。これは、例えば、相応の操作温度で塩基性のアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物を解放する構成物質もしくは不純物から成る二酸化ケイ素/酸化アルミニウム含有素材の使用により、実現し得る。これらについての例(限定はしない)としては、長石、石灰、白雲石、石膏またはアルカリ金属/アルカリ土類金属の硫化物、硝酸塩、硫酸塩である。
【0012】
本発明の方法の更なる別法においては、二酸化ケイ素/酸化アルミニウム、もしくは、二酸化ケイ素/酸化アルミニウム含有素材に加えて、出発原料として、塩基性のアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物、もしくはそれらの源を、出発時から用いる。従って本発明の方法のこの更なる別法とともに、二酸化ケイ素/酸化アルミニウム、もしくは、二酸化ケイ素/酸化アルミニウム含有素材のみならず、塩基性のアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物、もしくはそれらの源を備えた出発原料混合物を用いる。それゆえ、この場合も、塩基性のアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物の源は、相応の操作温度において塩基性のアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物を遊離させる。
【0013】
本発明の方法の主要な利点は、循環操作として実施できるという点である。その場合、最終生成物として得られたアルカリ金属ケイ酸塩/アルミン酸塩、および/またはアルカリ土類金属ケイ酸塩/アルミン酸塩も、再び、出発物質として、すなわち、二酸化ケイ素/酸化アルミニウム含有素材として用いる。得られたアルカリ金属ケイ酸塩/アルミン酸塩および/またはアルカリ土類金属ケイ酸塩/アルミン酸塩になおも塩基性のアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物の源が備わっているかどうかに応じて、場合により、新たな塩基性のアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物もしくはそれらに相応する源を追加する必要はもはや無い。この本発明の方法の別法にはアンモニアの製造で得られたアルカリ金属ケイ酸塩/アルミン酸塩素材および/またはアルカリ土類金属ケイ酸塩/アルミン酸塩素材が特に再び、出発生成物として利用でき、それにより、本発明の方法に使用された生成物の特に有効な応用が可能になるという利点があることは明白である。従って、必要な二酸化ケイ素/酸化アルミニウム、もしくは、二酸化ケイ素/酸化アルミニウム含有素材を補充しさえすれば良い。それ故に、本発明によれば、アンモニアは、循環操作において二酸化ケイ素/酸化アルミニウム、もしくは、二酸化ケイ素/酸化アルミニウム含有素材から、得られる。
【0014】
酸化物、水酸化物、ケイ酸塩および/または炭酸塩は、塩基性のアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物として望ましく用いられる。従ってこのような化合物の源として相応の酸化物、水酸化物、ケイ酸塩および/または炭酸塩を放出する素材を用いることが望ましい。これについての、限定しない例としては、曹長石または正長石等の長石、石灰、白雲石、石膏、炭酸ナトリウム、ソーダ、または、例えばNaNO3(硝酸ナトリウム)、Na2S(硫化ナトリウム)、K2SO4(硫酸カリウム)等アルカリ金属/アルカリ土類金属の、硫化物、硝酸塩、硫酸塩である。
【0015】
すでに述べたように、アンモニアを得るための、本発明の方法における二つの「段階」のどちらも高温を用いる。従って、熱エネルギーを供給することが必要である。これは、従来の方法で行えばよい。但し、本発明の方法における特に望ましい別法において、第一及び/又は第二方法「段階」における高温は、マイクロ波エネルギーにより生み出される。これは、とりわけ、Cセンターにおけるライトアーク(light arcs)により本発明方法の第一段階において窒素(N2 )の、所要の反応形態を得るために、相応の反応温度を達成する特に有効な方法を示している。この本発明方法における第三段階においても同様に、選出された相応の温度を達成するために、マイクロ波エネルギーを用いることは可能である。
【0016】
更に特に、窒化ケイ素/窒化アルミニウムもしくは窒化ケイ素/窒化アルミニウム含有素材を生む反応は、望ましくは、1100−2000℃の温度で、更に望ましくは、1250−1500℃の温度で行なわれる。アンモニアを生む反応は、望ましくは、200−1000℃の温度で、更に望ましくは、400−800℃の温度で行なわれる。
【0017】
窒化物の「熱式生成」に用いられる出発原料が既に、塩基性のアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物、更に特に、アルカリ金属酸化物/アルカリ土類金属酸化物の、一つもしくはそれ以上の源を備えている場合、得られる窒化物には既に、塩基性素材が濃縮されていて、従って、塩基性素材の更なる添加を実行しないことが可能となるという事実については、前述のようにすでに言及している。その場合、アンモニアの放出のためには、高温における蒸気との反応で十分である。
【0018】
アンモニア合成の生成物、即ち、結果として生じるアルカリ金属ケイ塩/アルミン酸塩および/またはアルカリ土類金属ケイ酸塩/アルミン酸塩は、この生成物になおも相応の塩基性素材を含んでいるかぎり、更なる炭素の添加ののち、窒化物形成のためにふたたび直接的に適当となる。塩基性素材の更なる添加は、その事象において余計、不必要である。
【0019】
本発明の方法の実施に適当な二酸化ケイ素を含有した出発原料は、アルミノケイ酸塩等のアルミニウムと、陶土質の各種の土壌を備えた素材を含む。その場合の窒化物生成の結果として、窒化アルミニウムを不純物としてともなう窒化ケイ素を生じる。
得られた窒化ケイ素は、例えば、酸窒化ケイ素の形態でも存在し得る。
【0020】
本発明の方法のために用いる出発原料は、望ましくは、砂、更に特に石英砂の形態の二酸化ケイ素、及び、酸化アルミニウム(ボーキサイト)のほかにも、アルカリ金属ケイ酸塩および/またはアルカリ土類金属ケイ酸塩、および、更にはアルミノケイ酸塩をも備えた素材を含む。これらの素材は、操作のための塩基性のアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物(酸化物、水酸化物、など)を、これらの素材を後で添加する必要無しに、自動的に備えることができるという利点を有する。従って、使用された出発原料に関しては、この種のケイ酸塩含有素材が、出発素材として望まれるし、また、純粋な二酸化ケイ素や酸化アルミニウムの使用が全く不必要であることから、例えば、広範囲な純化手段無しで済ませることが可能である。
【0021】
本発明の方法の、ひとつの特に望ましい具体例の態様は、炭素源が、バイオマス(木材、藁、米藁、アシ、群葉、剪定物、製材屑等)の熱分解により得られることである。このような熱分解により水素(H2 )、一酸化炭素(CO)のほかにも、多少ながら、純粋な炭素(チャコール、炭化素材などの形態にて)も生み出され、それが、本発明の方法において窒化ケイ素/窒化アルミニウムを得るための炭素源として用いられる。熱分解の操作コースで生み出される一酸化炭素(CO)は、望ましくは、二酸化炭素(CO2 )に転換され、これが、本発明で生じるアンモニアと反応させられて尿素を生成する。
【0022】
用いられた熱分解温度は、望ましくは、≧800℃(800℃以上)の温度である。
【0023】
バイオマスは熱分解に先立ち、有益に、乾燥させる。これは、バイオマスの変動する水分から見て、通常、必要である。
【0024】
熱分解は、本発明の方法のための最大量の炭素を得るため、望ましくは、蒸気の添加無しに行われる。
【0025】
熱分解で生み出される水素物質、一酸化炭素物質は、合成ガス(H2 とCOの混合物)の形態で得られる。この合成ガスは、望ましくは、エネルギー回収のために燃焼され、結果として生じる二酸化炭素CO2 がアンモニアと反応させられて、尿素を生じる。
【0026】
従って、本発明の方法の前述した別法により、尿素は、バイオマスから、換言すれば、再生可能な材料から獲得できるのであるから、それは、この方法にとって、化石燃料は必要無いことを意味する。バイオマスの熱分解において得られる合成ガスを、エネルギーを生み出すために用いる。この場合そのプロセスで生じた二酸化炭素は、尿素を得るために大量に用いられ、それ故に、大気中へ大量に放出されない。窒素担体として必要なSi(ケイ素)物質および/またはAl(アルミニウム)物質は、特に、二酸化ケイ素もしくはケイ酸塩含有原料の形態で、大規模に、入手、利用可能であって、いづれにしても、概略的に前述したように、アンモニア製造時に生み出される最終産物から回収もしくはリサイクルできる。従って、全体的に見れば、本発明の方法は簡単に且つ安価に実施可能であって、更に、化石燃料の消費無く天然資源を有効利用できる。
【0027】
尚、ここで用いている用語「窒化ケイ素/窒化アルミニウム」および「窒化ケイ素/窒化アルミニウム含有素材」は、当該の物質が、『「窒化ケイ素および/または窒化アルミニウム」および「窒化ケイ素および/または窒化アルミニウム含有素材」』であることを意味している。
【0028】
実施例
1.窒化ケイ素の熱合成
実験準備に際し、粉末の活性炭、シリカゲル60(粒子サイズ<0.063mm、メルック社(Merck))、並びに、デンプン(クラシック社(Classic))を2:1:1の比率で混合し、水に懸濁させて、粘性の高い液体を生じさせる。この混合液を小さな短冊片状に金属シートに吹き付け、そして、150℃の乾燥キャビネット内で乾燥させる。得られた固体を、約0.5cm3 のサイズの細粒に成るよう細かく砕く。この細粒5〜6gを石英ウール間の栓として、直径25mmの石英管へ導入する。この石英管は、ゲーロ(Gero)の管状炉内に、垂直に固定され、下方から窒素ガスを供給される。この試料を、650℃で1時間、750℃で半時間、毎分0.5Lの窒素流の中で焼成する。温度は、その後、所望の反応温度まで上げ、この材料を3時間加熱する。そして、これを、なおも窒素流のなかで、室温まで冷却しそして、最後には、毎分4Lの空気流のなかで、残りの活性炭を、650℃で3時間燃焼させる。
【0029】
1a) 管状炉において、1330℃及び1380℃の温度による二酸化ケイ素の活性炭及び窒素との反応
出発原料:粉状活性炭、シリカゲル60、及び、デンプン、(比率2:1:1)の細粒、サイズ0.5cm3〜1cm3
生成物: クリストバライト、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素
反応時間: 3時間
窒素流: 0.5L/min
得られた固体生成物は、粉末X線回折測定法によって分析した。
【0030】
1b)管状炉において、1430℃及び1480℃の温度による二酸化ケイ素の活性炭及び窒素との反応
出発原料:粉状活性炭、シリカゲル60、及び、デンプン、(比率2:1:1)の細粒、サイズ0.5cm3〜1cm3
生成物: 窒化ケイ素
反応時間: 3時間
窒素流: 0.5L/min
得られた固体生成物は、粉末X線回折測定法によって分析した。
【0031】
2.窒化ケイ素のマイクロ波支援式合成
窒化ケイ素の作成は、熱合成とは、バッチサイズだけが大きく相違している。粉状の活性炭、シリカゲル60及びデンプンの混合物から成る、生成された細粒2〜3gを、100W(ワット(W))の減圧(10-3mbar)下、この圧力が一定になるまで、直径25mmの石英管において石英ウール間の栓として焼成する。電力は最後にゆっくりと上げる。そして再度、一定の圧力の存在を待つ。微調整により、このシステムに窒素が、所望の圧力まで、この時点で供給される。窒素圧力が調整され、紫色のプラズマが反応ゾーンに維持されると、窒化ケイ素が、反応の主たる生成物となる。反応は3時間にわたって実施され、それに続き、周囲圧力での窒素流における冷却を行う。残余の活性炭は、ヘレウス(Heraeus )管状炉を使って650−700℃で、毎分4Lの空気流のなかで、燃焼させる。大気圧での窒素流における反応の場合、前記細粒は、ゲーロ(Gero)管状炉で、予め、焼成する。
【0032】
2a) モノモードマイクロ波、電力750Wによる酸化ケイ素と活性炭及び窒素との反応
出発原料:粉状活性炭、シリカゲル60、及び、デンプン、(比率2:1:1)の細粒、サイズ0.5cm3〜1cm3
生成物: クリストバライト, 石英、炭化ケイ素、窒化ケイ素
反応時間: 3時間
窒素圧力: 200 mbar
得られた固体生成物は、粉末X線回折測定法によって分析した。
【0033】
2b) モノモードマイクロ波、電力600W、750W、もしくは、900W、紫プラズマによる酸化ケイ素と活性炭及び窒素との反応
出発原料:粉状活性炭、シリカゲル60、及び、デンプン、(比率2:1:1)の細粒、サイズ0.5cm3〜1cm3
生成物: クリストバライト, 炭化ケイ素、窒化ケイ素(主たる生成物)
反応時間: 3時間
得られた固体生成物は、粉末X線回折測定法によって分析した。
【0034】
3.窒化アルミニウムの熱合成
窒化アルミニウムの作成のため、粉状の活性炭、細粒化した活性炭(細粒サイズ: 1.5mm)、酸化アルミニウム(粒子サイズ: 50−200μm、メルック社(Merck))、並びに、デンプン(クラシック社(Classic))を2:2:1:1の比率で混合し、窒化ケイ素合成手順を、出発原料の試料作成と同じ方法で実施する。これらの細粒5.3gを、650℃で1時間、更に750℃で半時間、毎分0.5Lの窒素流の中で焼成する。温度は、その後、反応温度まで上げる。反応が終わると、窒素流の中で冷却が生じ、生成物残余活性炭を、(水酸化カリウムと、分子篩により)乾燥した空気流の中で650℃で3時間燃焼させる。
【0035】
3a) 管状炉において、温度1430℃で、酸化アルミニウムと、活性炭及び窒素との反応
出発原料:粉状活性炭、細粒状活性炭、酸化アルミニウム、及び、デンプン、(比率2:2:1:1)の細粒、細粒サイズ0.5cm3〜1cm3
生成物: 窒化アルミニウム
反応時間: 3時間
窒素流: 0.5L/min
得られた固体生成物は、粉末X線回折測定法によって分析した。
【0036】
4.窒化アルミニウムのマイクロ波支援式合成
酸化アルミニウム、活性炭、及びデンプンの細粒1.5〜2.5gを、圧力が一定になるまで、100W(ワット)で、減圧(10-3mbar)下、加熱する。電力を所望のレベルまで上げて、そして再度、一定の圧力の成立を待つ。その後、微調整を行い、窒素を、選択した圧力まで、供給する。反応は3時間にわた って実施され、それに続き、窒素流の中で、室温まで冷却し、且つ、650℃−700℃の、毎分4リットルの乾燥した空気流の中で、残余の炭素から解放する。
【0037】
4a) モノモードマイクロ波、電力600ワットにおける酸化アルミニウムと活性炭及び窒素の反応
出発原料:粉状活性炭、細粒状活性炭、酸化アルミニウム、及び、デンプン、(比率2:2:1:1)の細粒、細粒サイズ0.5cm3〜1cm3
生成物: 窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム
反応時間: 3時間
窒素圧: 300 mbar
得られた固体生成物は、粉末X線回折測定法によって分析した。
【0038】
4b) モノモードマイクロ波、電力800ワット、紫プラズマにおける酸化アルミニウムと活性炭及び窒素の反応
出発原料:粉状活性炭、細粒状活性炭、酸化アルミニウム、及び、デンプン、(比率2:2:1:1)の細粒、細粒サイズ0.5cm3〜1cm3
生成物: 窒化アルミニウム、
反応時間: 3時間
得られた固体生成物は、粉末X線回折測定法によって分析した。
同様の手順を酸化ケイ素/酸化アルミニウム混合物により実施可能である。
【0039】
5.窒化ケイ素の加水分解
市販の、熱式で形成された窒化ケイ素の加水分解が、この場合、例えば、700℃の管状炉で生じる。アルドリッヒケミカル社の(−325メッシュの)窒化ケイ素0.5gを、僅かに過剰な理論量の基材とともに、石英ウール間の栓として石英管へ導入する。水を、(シリンジモーターで駆動する)シリンジによって滴状に、毎時7.6mL、デュラン(Duran)ガラス製のT形装置へ導入する。このT形装置と、石英管は、加熱ベルトで巻く。この加熱ベルトが、100〜200℃の温度で予加熱を行い、それにより、水を蒸発させる。窒素を、T形装置の第2接続部により、供給して、蒸気を反応スペースに流し込む。形成されたアンモニアは、ふたつの洗浄ビンを通過させ、洗浄ビンふたつのうちうしろの方のビンには、0.5M(0.5モーラー(モル濃度))の硫酸25mLを充填している。1Mの水酸化ナトリウム溶液による逆滴定により、最終的に、アンモニアの出来高を決定可能である。比較を目的として、選出したマイクロ波合成生成物0.3gを、同じ実験設定、同じ実験手順で、炭酸ナトリウム1.0gにより加水分解した。
【0040】
5a) 窒化ケイ素(市販品)の、炭酸ナトリウム及び蒸気との反応
出発原料:窒化ケイ素(市販品)、炭酸ナトリウム、蒸気
生成物: アンモニア、ケイ酸ナトリウム、窒化ケイ素
NH3(アンモニア)出来高:80.9%(反応時間:5時間)もしくは 75.1%(反応時間2.5時間)
管直径: 16mm
温度: 700℃
水の添加: 7.6mL/min
得られた固体生成物は、粉末X線回折測定法によって分析した。
【0041】
5b) 窒化ケイ素(市販品)の、炭酸カルシウム及び蒸気との反応
出発原料:窒化ケイ素(市販品)、炭酸カルシウム、蒸気
生成物: アンモニア、ケイ酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、窒化ケイ素
NH3収来高:60.6%
管直径: 16mm
温度: 700℃
反応時間: 5時間
水の添加: 7.6mL/min
得られた固体生成物は、粉末X線回折測定法によって分析した。
【0042】
6.窒化アルミニウムの加水分解
事前に合成した窒化アルミニウム0.4〜0.6gを、シュレンク管内で、20%濃度(strength)の水酸化ナトリウム溶液20mLと、混合し、還流で、2時間加熱する。窒素を、シュレンク管のガスポートから供給し、そして 、生成したアンモニアを、0.5Mの硫酸25mLを含んだ洗浄ビンへ移す。1Mの水酸化ナトリウム溶液による逆滴定によって、生成されたアンモニアの量を確かめる。
【0043】
6a) 窒化アルミニウムの、蒸気との反応
出発原料: 窒化アルミニウム
生成物: アンモニア(他の生成物は、測定されない。)
NH3出来高: 85.3%
反応時間: 2時間
【0044】
7.アンモニアを生成する石英砂の連続反応
石英砂を、1300℃の温度で、炭素及びガス状窒素の添加により反応させ、窒化ケイ素を生じた。Na2CO3(炭酸ナトリウム)の添加に続き、得られている窒化ケイ素を800℃で蒸気に反応させ、アンモニアを生じた。この操作においてNH3の85%出来高が達成された。
【0045】
8.放出されたアンモニアからの尿素の合成
生じたアンモニアを、250barの圧力のもとで、約200℃で、二酸化炭素と過剰に反応させ、尿素メルト(溶融物)を生じる。この尿素メルトを減圧により冷却し、ほとんど、固体形態で更に処理し、化学肥料を作成する。反応しないアンモニアは、操作へ戻す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアを二酸化炭素と反応させることにより尿素を製造する方法であって、下記を特徴とするもの、
炭素源を添加し、SiO2/Al23 、または、SiO2/Al23 含有素材を、ガス状窒素と高温で反応させることにより、窒化ケイ素(Si34)/窒化アルミニウム(AlN)、または、窒化ケイ素/窒化アルミニウム含有素材を生じる前記反応、ならびに、
結果として生じる窒化ケイ素/窒化アルミニウム、または、窒化ケイ素/窒化アルミニウム含有素材を、塩基性のアルカリ金属合成物および/またはアルカリ土類金属合成物の存在下、水と高温で反応させることにより、アンモニア、および、アルカリ金属ケイ酸塩/アルカリ金属アルミン酸塩および/またはアルカリ土類金属ケイ酸塩/アルカリ土類金属アルミン酸塩を生じる前記反応、
そして、得られた前記アンモニアを、二酸化炭素と反応させて尿素を生成する反応。
【請求項2】
クレーム1に記載の方法であって、以下を特徴とするもの、
前記塩基性のアルカリ金属合成物および/またはアルカリ土類金属合成物、もしくは、それらの源を、水の添加に先立ち、窒化ケイ素/窒化アルミニウムまたは窒化ケイ素/窒化アルミニウム含有素材へ添加する。
【請求項3】
クレーム1に記載の方法であって、以下を特徴とするもの、
既に、塩基性のアルカリ金属合成物および/またはアルカリ土類金属合成物、もしくは、それらの源を備えているSiO2又はAl23含有素材を用いる。
【請求項4】
前述の各クレームのいずれかに記載の方法であって、以下を特徴とするもの、
二酸化ケイ素/酸化アルミニウムまたは二酸化ケイ素/酸化アルミニウム含有素材にくわえ、出発原料として、塩基性のアルカリ金属合成物および/またはアルカリ土類金属合成物もしくはそれらの源を用いる。
【請求項5】
前述の各クレームのいずれかに記載の方法であって、以下を特徴とするもの、
塩基性のアルカリ金属合成物および/またはアルカリ土類金属合成物が、当該操作条件の下で、相応の源から放出される。
【請求項6】
前述の各クレームのいずれかに記載の方法であって、以下を特徴とするもの、
この方法が、循環操作として行われ、結果として生じるアルカリ金属ケイ酸塩/アルカリ金属アルミン酸塩および/またはアルカリ土類金属ケイ酸塩/アルカリ土類金属アルミン酸塩を、再び、二酸化ケイ素/酸化アルミニウム‐含有出発原料として用いる。
【請求項7】
前述の各クレームのいずれかに記載の方法であって、以下を特徴とするもの、
酸化物、水酸化物および/または炭酸塩を、塩基性のアルカリ金属合成物および/またはアルカリ土類金属合成物として用いるもしくは生じさせる。
【請求項8】
前述の各クレームのいずれかに記載の方法であって、以下を特徴とするもの、
窒化ケイ素/窒化アルミニウムまたは窒化ケイ素/窒化アルミニウム‐含有素材を生成させる反応は、1100〜2000℃、望ましくは、1250〜1500℃の温度で実施される。
【請求項9】
前述の各クレームのいずれかに記載の方法であって、以下を特徴とするもの、
窒化ケイ素/窒化アルミニウムまたは窒化ケイ素/窒化アルミニウム含有素材からアンモニアを生成させる反応は、200〜1000℃、望ましくは、400〜800℃の温度で実施される。
【請求項10】
前述の各クレームのいずれかに記載の方法であって、以下を特徴とするもの、
第1および/または第2方法段階における高温は、マイクロ波エネルギーにより発生させる。
【請求項11】
前述の各クレームのいずれかに記載の方法であって、以下を特徴とするもの、
炭素源は、バイオマスの熱分解により得られる。
【請求項12】
クレーム11に記載の方法であって、以下を特徴とするもの、
熱分解の間に生じるCOは、CO2 に転換され、この二酸化炭素を当該アンモニアと反応させて、尿素を生成する。
【請求項13】
クレーム11または12に記載の方法であって、以下を特徴とするもの、
熱分解は、≧800℃(800℃以上)の温度で実施される。
【請求項14】
クレーム11〜13のうちいずれかに記載の方法であって、以下を特徴とするもの、
バイオマスは、熱分解に先立ち、乾燥させる。
【請求項15】
クレーム11〜14のうちいずれかに記載の方法であって、以下を特徴とするもの、
熱分解は、蒸気の添加無しに、実施される。
【請求項16】
クレーム11〜15のうちいずれかに記載の方法であって、以下を特徴とするもの、
熱分解の間に得られる合成ガス(H2 、CO)を燃焼させ、エネルギーを得る。そして、その結果生じるCO2 (二酸化炭素)を、アンモニアと反応させ、尿素を生成する。

【公表番号】特表2013−520477(P2013−520477A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554370(P2012−554370)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【国際出願番号】PCT/EP2011/052931
【国際公開番号】WO2011/104387
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(512216089)
【Fターム(参考)】