説明

尿素プラントの製造能力を増大させる方法

【課題】圧縮区間、高圧合成区間、尿素溶融物が形成されるところの尿素回収区間、及び任意的に粒状化区間を含む尿素プラントの製造能力を増大させる方法の提供。
【解決手段】上記尿素プラントにメラミンプラントを追加的に設置することにより尿素プラントの尿素回収区間からの尿素溶融物が、メラミンプラントに全体的又は部分的に供給され、かつメラミンプラントからの残留ガス(二酸化炭素及びアンモニアを含有)が、尿素プラントの高圧合成区間及び/又は尿素回収区間に全体的又は部分的に戻され尿素の製造能力を増大させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮区間、高圧合成区間、尿素溶融物が形成されるところの尿素回収区間、及び任意的に粒状化区間を含む尿素プラントの製造能力を増大させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
尿素プラント及びその区間の製造能力は、本明細書において、合成された又は合成され得るところの尿素の量に関係する。種々のプロセスが、尿素プラントの製造能力を増大させるために開発された。
【0003】
そのような方法の例は、例えば、「Revamping urea plants」、Nitrogen 第157号、1985年、第37〜42頁に開示されている。
【0004】
今まで知られているプロセスの欠点は、尿素プラントの製造能力を増大させるために尿素プラントが構成する全ての区間の容量を増加することが必要であると言うことである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高圧合成区間及び尿素回収区間の容量のみを増加することを可能にするところの尿素プラントの製造能力を増大させるための方法が今開発された。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これは、メラミンプラントの追加の設置により達成され、ここで、尿素プラントの尿素回収区間からの尿素溶融物が、メラミンプラントに全体的に又は部分的に供給され、かつメラミンプラントからの残留ガスが、尿素プラントの高圧合成区間及び/又は尿素回収区間に全体的に又は部分的に戻される。
【発明の効果】
【0007】
残留ガスが、メラミンプラントから尿素プラントの高圧合成区間及び/又は尿素回収区間に戻される故に、尿素製造は、圧縮区間の容量を拡張することなしに増加される。追加的に製造された尿素はメラミンプラントに尿素溶融物の形態で計量供給され、従って、また粒状化区間の容量を増加する必要もない。この方法の利点は、追加的に製造された尿素が得られる一方、プラントの一部分のみの容量が増加されることであり、従って、製造能力拡張は低い投資コストを要する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
もし、粒状化区間が尿素プラントに存在しないなら、尿素溶融物は異なる様式で回収されるか、又はそのまま取り除かれ、如何なる場合においても、圧縮区間が拡張される必要がない故に、この方法はまた有利である。この発明の構成において、尿素プラントは例えば、慣用の尿素プラント、尿素ストリッピングプラント、又は慣用の尿素プラントと尿素ストリッピングプラントとの組み合わせであり得る。
【0009】
尿素プラントの両者のタイブのために、圧縮区間は、二酸化炭素及び/又はアンモニアが高圧、高圧合成区間における圧力を与えられる区間を形成する。
【0010】
慣用の尿素プラントは、尿素に転化されなかったカルバミン酸アンモニウムの分解及び未転化アンモニア及び二酸化炭素の除去が、合成反応器自体における圧力より本質的に低い圧力でなされるところの尿素プラントを意味すると理解される。慣用の尿素プラントにおいて、高圧合成区間は通常合成反応器から単独でなり、ここで、尿素合成溶液が形成され、これは続いて、尿素回収区間に取り除かれる。慣用の尿素プラントにおいて、合成反応器は通常、180〜250℃の温度及び15〜40MPaの圧力で操作される。尿素素回収区間における膨張、解離及び凝縮後に、慣用の尿素プラントにおいて尿素に転化されなかったところの原料は、1.5〜10MPaの圧力で分離され、そして尿素合成にカルバミン酸アンモニウム流として戻される。更に、慣用の尿素プラントにおいて、アンモニア及び二酸化炭素は、合成反応器に直接に供給される。続いて、通常0.1〜0.8MPaのより低い圧力における尿素回収区間において、殆ど全ての残存する未転化アンモニア及び二酸化炭素が、尿素合成溶液から取り除かれて、水中の尿素の溶液をもたらす。この水中の尿素の溶液は次いで、水の蒸発により、減圧において濃縮された尿素溶融物に転化される。尿素‐水混合物の分離はときどき、通常該蒸発に代えて結晶化によりなされ、その後、結晶は溶融されて、尿素溶融物を形成する。尿素溶融物は次いで任意的に、粒状化区間において更に処理され得、ここで、所望の粒子寸法を有する尿素顆粒物が得られる。
【0011】
尿素ストリッピングプラントは、主要な部分のための尿素に転化されなかったところのアンモニア及び二酸化炭素の除去が、合成反応器における圧力と本質的に実質的に等しいところの圧力でなされるところの尿素プラントであると理解される。尿素ストリッピングプラントにおいて、合成反応器、ストリッパー及びカーバメートコンデンサーは一緒になって通常、高圧合成区間を形成する。
【0012】
未転化のカルバミン酸アンモニウムの分解及び過剰のアンモニアの除去の大部分は、ストリッピングガスが加えられるか又は加えられないかのいずれかにおいて、ストリッパーで行われる。ストリッピング法において、二酸化炭素及び/又はアンモニアは、これらの成分が合成反応器に供給される前にストリッングガスとして使用され得る。ここで「熱ストリッピング」を適用することがまた可能である。これは、カルバミン酸アンモニウムが熱供給により専ら分解され、かつ存在するアンモニア及び二酸化炭素が尿素溶液から取り除かれることを意味する。ストリッピングは一つ以上の区間において実行され得る。例えば、まず専ら熱ストリッピングが実行され、その後、CO2ストリッピング段階がより多くの熱が供給されてなされる方法が知られている。アンモニア及び二酸化炭素を含むところの、ストリッパーから放出されたガス流が任意的に、高圧カーバメートコンデンサーを経て反応器に戻される。
【0013】
尿素ストリッピングプラントにおける合成反応器は通常、160〜240℃の温度及び好ましくは170〜220℃の温度で操作される。合成反応器における圧力は、12〜21MPa及び好ましくは12.5〜19.5MPaである。
【0014】
尿素ストリッピング法は、Ullmann’s Encyclopaedia of Industrial Chemistry, 第A 27巻、第5版、第344〜350頁に開示されている。尿素ストリッピング法の例は、Stamicarbon(商標)CO2ストリッピング法、ACES法、IDR法及びSnamprogettiSelf-Stripping法である。
【0015】
ストリッパーの下流で、ストリッピングされた尿素合成溶液は、尿素回収区間において一つ以上の圧力段階でより低い圧力に膨張されかつ蒸発され、ここで、濃縮された尿素溶融物が得られ、かつ低圧カルバミン酸アンモニウム流が高圧合成区間に戻される。該プロセスに依存して、このカルバミン酸アンモニウムは、単一のプロセス段階又は異なる圧力で操作されるいくつかのプロセス段階で回収され得る。
【0016】
尿素溶融物は粒状化区間において顆粒に加工される。粒状化区間に代えて、尿素溶融物はまた、小球化タワーにおいて小球に加工され得る。
【0017】
追加されるところのメラミンプラントは、気相法に従うプラントであり得るが、また高圧法に従うプラントであり得る。気相法は低圧法であり、ここで、メラミン反応器は、0.1〜3MPaの間の圧力で操作される。メラミン製造法は、例えば、Ullmann’s Encyclopaedia of Industrial Chemistry, 第A 16巻、第5版、第174〜179頁に開示されている。
【0018】
尿素プラントにおける高圧合成区間及び尿素回収区間における容量を増加することは、元の尿素プラントの技術に依存して異なる様式で成し遂げられ得る。好ましくは、尿素プラントは尿素ストリッピングプラントである。
【0019】
尿素回収区間を出る尿素溶融物は全体的又は部分的にメラミンプラントに供給され、ここで、通常いくつかの前処理の後、溶融された尿素が反応器に供給される。
【0020】
メラミンプラントにおいて、尿素は、下記式
【0021】
【化1】



【0022】
に従ってメラミンに転化される。
【0023】
メラミンプロセスからの残留ガス、主として二酸化炭素及びアンモニアガスは、尿素プラントにそのまま戻され得るが、またカーバメート含有流としても戻され得る。カーバメート含有流は、二酸化炭素及びアンモニアを含む液体流であり、該ガスは、全体的に又は部分的に反応し続けて、下記式
【0024】
【化2】



【0025】
に従ってカルバミン酸アンモニウム(ここではまた、省略して「カーバメート」と言われる)を形成する。
【0026】
カーバメート含有流は通常水を含む。二酸化炭素、アンモニア及びカーバメートは水に溶解される。水は通常カーバメート含有流中に存在して、カーバメートの結晶化を防ぐ。
【0027】
戻されるべき残留ガスはまた、二酸化炭素に富んだ流れとアンモニアに富んだ流れに、尿素プラントに戻される前に分割され得る。そのような分割操作の利点は、異なるガス流が尿素プラントにおける異なる場所に戻され得ることである。二酸化炭素に富んだ流れは、例えば、ストリッピングガスとしてストリッパーに供給され得、一方、アンモニアに富んだ流れはカーバメートコンデンサーに戻される。アンモニアに富んだ流れの一部はまた、メラミンプラントに戻され得、ここで、それはメラミンの製造に使用され得る。
【0028】
メラミンプラントからの残留ガスの供給の結果として、残留ガスは、尿素プラントの高圧合成区間におけるCO2要求の一部を満たし得る。尿素プラントに供給されるCO2の合計量に対して、メラミンプラントからもたらされるCO2重量フラクションは、5%を超え、好ましくは10%を超え、より好ましくは25%を超え、かつ最も好ましくは40%を超える量に達する。該重量フラクションは通常、80%より少なく、より好ましくは70%より少なく、更に好ましくは60%より少ないであろう。もし、尿素プラントに供給される残留ガスがまたNH3を含むなら、メラミンプラントからもたらされる一緒になったNH3とCO2重量フラクションは、尿素プラントに供給されるCO2とNH3の合計量に対して、5%を超え、好ましくは10%を超え、より好ましくは25%を超え、かつ最も好ましくは50%を超える。該重量フラクションは通常、80%より少なく、より好ましくは70%より少なく、最も好ましくは60%より少ないであろう。
【0029】
気相のメラミンプラントからもたらされる残留ガスは通常凝縮されて、水に富んだカーバメート含有流を形成する。この水に富んだカーバメート含有流は合成圧力にされなければならず、かつまた、このカーバメート含有流中の水含有量は、該カーバメート含有流が尿素プラントラ戻され得る前に減じられなければならない。下記のいくつかの実施態様は、気相メラミンプラントからの残留ガス又は水に富んだカーバメート含有流の処理のための例として与えられ、本発明は該実施態様に限定されないことが意味される。
【0030】
水に富んだカーバメート含有流は例えば、脱離により水に乏しくされ得て、その後、主として二酸化炭素及びアンモニアから成る脱離されたガスは続いて凝縮されて、そして尿素プラントの高圧合成区間にポンプにより計量供給される。
【0031】
水に富んだカーバメート含有流はまたまず合成圧力にされ得、そしてその後、別のカーバメートストリッパーにおいてストリッピングされ得る。このストリッピング操作は熱的になされ得るが、また、ストリッピングガスとして二酸化炭素及び/又はアンモニアを供給することによりなされ得る。カーバメートストリッパーを出る、主として二酸化炭素とアンモニアとから成るガス流は、尿素プラントの高圧合成区間に戻される。
【0032】
残留ガスを回収するための一つの方法は下記の通りである。残留ガスは、残留ガスの水含有量を減じるように分離区間と組み合わされた、一つ又は多数の引き続く部分凝縮及び圧縮段階に供給される。加えて、尿素プラントの高圧合成区間における圧力よりいくらか高いところの圧力に(任意的に仮の部分凝縮を伴う)残留ガスの圧力を徐々に増加することにより、得られたガス流は尿素プラントの高圧合成区間に供給され得る。残留ガスは例えば、尿素反応器、ストリッパー、カーバメートコンデンサー又はこれらの間の配管に供給され得る。
【0033】
該プロセスの好ましい実施態様において、気相メラミンプラント又はカーバメート含有流からもたらされる残留ガスは、カーバメートコンデンサー又はカーバメートコンデンサーに続く配管に供給される。
【0034】
残留ガス又はカーバメート含有流は尿素回収区間に供給されることが可能であり、その後、それらは、尿素回収区間からのカーバメート含有流と一緒に高圧合成区間に戻され得る。この方法の利点は、残留ガスを高圧にする必要がないことである。何故ならば、尿素回収区間は、高圧合成区間よりはるかに低い圧力を有するからである。
【0035】
好ましくは、メラミンプラントからもたらされる水に富んだカーバメート含有流及び尿素プラントの尿素回収区間からもたらされるカーバメート含有流は一緒に回収され、そして得られたカーバメート含有流が尿素プラントの高圧合成区間に戻される。このように、一つの回収区間が十分であろうし、かつ二つの回収区間の必要がない。即ち、一つは、尿素プラントからのカーバメート含有流の回収のためであり、かつ一つは、メラミンプラントからカーバメート含有流の回収のためである。投資の理由のためにこれは有利である。
【0036】
好ましくは、尿素プラントに送られるところの、気相メラミンプラントからもたらされるカーバメート含有流中の水の量は、40重量%より少なく、かつとりわけ25重量%より少ない。尿素プラントに送られるところカーバメート含有流は、カーバメート含有流中に固体を形成することを防ぐために、好ましくは10重量%より少なくない水を含み、特に好ましくは15重量%により少なくない水を含む。
【0037】
主としてアンモニア及び二酸化炭素から成る、高圧メラミンプロセスからのガス流は、尿素ストリッピングプラントの尿素回収区間及び/又は高圧合成区間に供給され得、かつそこ、例えば、尿素反応器、ストリッパー、カーバメートコンデンサー又はそれらの間の配管に供給され得る。好ましくは、メラミンプロセスからもたらされるガス流は、尿素ストリッピングプラントの高圧合成区間に供給される。より好ましくは、メラミンプロセスからもたらされるガス流は、カーバメートコンデンサー又はカーバメートコンデンサーに通じるラインに供給される。
【0038】
ガス流はまた、反応器とストリッパーとの間に設置されたプレストリッパー又はストリッパーとカーバメートコンデンサーとの間に設置されたフラッシュ容器に供給され得る。このプレストリッパーは断熱的に操作される。
【0039】
高圧メラミンプラントからのガス流の使用の利点は、アンモニア及び二酸化炭素から成る殆ど水を含まないガス流が、その殆ど水を含まない性質のために、気相メラミンプラントからの水に富んだカーバメート流で供給されるところの尿素プラントと比較して尿素プラントにおける改善された効率を提供するところの尿素ストリッピングプラントのために得られることである。更に、本プロセスによれば、メラミンプラントからもたらされるガス流は、水除去段階に付される必要がない。何故ならば、該ガス流は既に殆ど水を含まずかつ十分に高圧を有するからである。更に、高圧メラミンプラントからのガス流の凝縮後に放出される余分の熱は、更なる水蒸気製造にために使用され得る。
【0040】
主としてアンモニア及び二酸化炭素から成る高圧メラミンプラントからもたらされるガス流の圧力は、5〜50MPa、好ましくは8〜30MPaにある。とりわけ、高圧メラミンプラントからもたらされるガス流の圧力は、尿素反応器における圧力より0〜10MPa、よりとりわけ0〜2MPa高い。メラミンプラントからのガス流の圧力はまず、水蒸気が尿素プラントに運ばれる前に低下されるか又は増加され得る。このガス流の温度は135〜275℃、好ましくは160〜235℃の間にある。
【0041】
他の実施態様において、高圧メラミンプラントからのガス流はまず、この流れが尿素プラントに戻される前に、他のカーバメート含有流における凝縮及び/又は吸収によりカーバメート含有流に転化される。尿素プラントに戻されるところの高圧メラミンプラントからのカーバメート含有流は好ましくは、25重量%より低い、かつとりわけ10重量%より低い水含有量を有する。
【0042】
凝縮は、メラミン反応器における圧力に実質的に等しいところの圧力で操作されるところのコンデンサーにおいて実行され得る。好ましくは、該コンデンサーは熱交換器として設計される。この場合に、冷媒がジャケット側に供給され、かつ二酸化炭素とアンモニアから成るガス流が管束を通して供給される。該コンデンサーにおける凝縮温度が100〜230℃である故に、蒸発しているボイラー供給水が冷媒として使用され得、これは、凝縮の熱が、低圧水蒸気(0.3〜1.0MPa)を製造するために有益に使用され得ると言う更なる利点を有する。もし、該低圧水蒸気のためのプラント環境において有益な使用が存在しないなら、冷却水がまた、もちろん、冷媒として使用され得る。
【0043】
凝縮が高圧においてなされる故に、より高い温度がここで達成され得、従って、水含有量が、所望されない固体の形成のなんらの危険性なしに気相メラミンプロセスからカーバメート含有流におけるより低くあり得る。
【0044】
カーバメート流中のNH3/CO2モル比は、好ましくは2以上であり、かつ好ましくは6より小さく、とりわけ4より小さい。
【0045】
一つの実施態様において、尿素プラントからの実質的に全ての尿素はメラミンプラントに供給される。これは、分離された尿素生成物流は、(排水中における、空気又は精製要素、例えば、濾紙/吸収剤への)通常の尿素損失とは別に、メラミンプラント以外に尿素プラントから出ないことを意味すると理解される。特別の実施態様において、実質的に全ての残留ガスはメラミンプラントから尿素プラントに送られ得る。これは、通常の残留ガスの損失は別として、分離された残留ガス流が、尿素プラント以外にメラミンプラントから出ないことを意味すると理解される。もし、残留ガスが、液体カーバメート流として尿素プラントに送られるなら、一の実施態様において、カーバメート流は、尿素反応器における転化を促進するために20℃超だけ、好ましくは40℃超だけ温度上昇され得る。この加熱器は、尿素プラント又はメラミンプラントに配置され得る。カーバメート流は、そのまま、又は尿素ブラントからの他のカーバメート流と混合した後に加熱され得る。液体カーバメート流の加熱後の温度は250℃より低く、好ましくは220℃より低い。
【0046】
本発明はまた、圧縮区間、高圧合成区間、尿素回収区間及び任意的に粒状化区間を含む尿素プラントに関し、ここで、高圧合成区間及び尿素回収区間は、圧縮区間及び/又は任意的な粒状化区間より高い容量を有する。好ましくは、メラミンプラントからの残留ガスは、尿素プラントの高圧合成区間又は尿素回収区間に供給される。好ましくは、尿素プラントの高圧合成区間又は尿素回収区間の容量は、圧縮区間及び/又は任意的な粒状化区間の容量より5〜50重量%高い。
【0047】
本発明は、これらの実施態様に限定されることなしに、図1〜4に基づいて以下に説明される。
【0048】
図1は、二酸化炭素(CO2)及びアンモニア(NH3)が合成圧力にされたところの圧縮区間(COM)からなる先行技術に従う尿素プラントを示す。COMからCO2及びNH3は高圧合成区間(HP)に移送され、ここで、尿素が形成され、そして続いて、形成された尿素は尿素回収区間(UOP)において回収された。その後、形成された尿素溶融物(UM)が粒状化区間(GRAN)に供給された。
【0049】
図2は、二酸化炭素(CO2)及びアンモニア(NH3)が合成圧力にされたところの圧縮区間(COM)から成る本発明に従う尿素プラントを示す。COMからCO2及びNH3は高圧合成区間(HP)に移送され、ここで、尿素が形成され、そして続いて、形成された尿素は尿素回収区間(UOP)において回収された。その後、形成された尿素溶融物の一部(UM1)は粒状化区間(GRAN)に供給され、かつ他の部分(UM2)は高圧メラミンプラント(MELAF)に供給された。MELAFからの残留ガス(RG)はHPにおけるカーバメートコンデンサーに供給された。
【0050】
UM1とUM2とを一緒にした量は、図1に開示された先行技術に従う尿素プラントにおいて製造されたUMの量より多かった。
【0051】
図3は、二酸化炭素(CO2)及びアンモニア(NH3)が合成圧力にされたところの圧縮区間(COM)からなる先行技術に従う尿素プラントを示す。COMからCO2及びNH3は高圧合成区間(HP)に移送され、ここで、尿素が形成され、そして続いて、形成された尿素は尿素回収区間(UOP)において回収された。その後、形成された尿素溶融物(UM)が粒状化区間(GRAN)に供給され、かつ低圧カーバメート流(LPC)がUOP からHPにおけるカーバメートコンデンサーに戻された。LPCは30重量%の水を含んでいた。
【0052】
図4は、二酸化炭素(CO2)及びアンモニア(NH3)が合成圧力にされたところの圧縮区間(COM)からなる本発明に従う尿素プラントを示す。COMからCO2及びNH3は高圧合成区間(HP)に移送され、ここで、尿素が形成され、そして続いて、形成された尿素は尿素回収区間(UOP)において回収された。その後、形成された尿素溶融物の一部(UM1)は粒状化区間(GRAN)に供給され、かつ他の部分(UM2)は気相メラミンプラント(MELAF)に供給された。MELAFからの残留ガス(RG)はカーバメート回収区間(CAR)に供給され、ここで、これらは、UOPからの低圧カーバメート流(LPC)により凝縮された。LPCは30重量%の水を含んでいた。カーバメート流(C)は濃縮され、かつHPにおけるカーバメートコンデンサーに20重量%の水含有量を伴って戻された。
【0053】
UM1とUM2とを一緒にした量は、図3に開示された先行技術に従う尿素プラントにおいて製造されたUMの量より多かった。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、先行技術に従う尿素プラントのブロックフロー図である。
【図2】図2は、本発明に従う尿素プラントのブロックフロー図である。
【図3】図3は、先行技術に従う尿素プラントのブロックフロー図である。
【図4】図4は、本発明に従う尿素プラントのブロックフロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮区間、高圧合成区間、尿素溶融物が形成されるところの尿素回収区間、及び任意的な粒状化区間を含む尿素プラントの製造能力を増大させる方法において、尿素プラントの製造能力が、メラミンプラントの追加の設置により増加され、ここで、尿素プラントの尿素回収区間からの尿素溶融物が、メラミンプラントに全体的又は部分的に供給され、かつメラミンプラントからの残留ガスが、尿素プラントの高圧合成区間及び/又は尿素回収区間に全体的又は部分的に戻されることを特徴とする方法。
【請求項2】
尿素プラントが、尿素ストリッピングプラントであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
メラミンプラントが高圧メラミンプラントであることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
残留ガスが、カーバメートコンデンサー又は該カーバメートコンデンサーに通じる配管に供給されることを特徴とする、高圧合成区間がカーバメートコンデンサーを含むところの請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
メラミンプラントからの残留ガスが、カーバメート含有流として尿素プラントに戻され、ここで、このカーバメート流の水含有量が25重量%未満であることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
メラミンプラントからもたらされる残留ガス中のCO2重量フラクションが、尿素プラントに供給されるCO2の合計量に対して5%より多いことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
メラミンプラントからもたらされる残留ガス中のCO2及びNH3重量フラクションが、尿素プラントに供給されるCO2及びNH3の合計量に対して5%より多いことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
カーバメート含有流が尿素プラントの高圧合成区間に供給される前に、カーバメート含有流の温度が20℃超だけ上昇されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
戻されるべき残留ガスが、尿素プラントに全体的又は部分的に戻される前に、二酸化炭素に富んだ流れとアンモニアに富んだ流れとに分割されることを特徴とする請求項1記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−79829(P2011−79829A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−228829(P2010−228829)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【分割の表示】特願2004−524383(P2004−524383)の分割
【原出願日】平成15年7月10日(2003.7.10)
【出願人】(510264464)
【Fターム(参考)】