説明

局所化粧用組成物

皮膚への局所適用のための化粧用組成物を開示する。化粧用組成物は、その外側表面にポリマーコーティングを有するミクロンサイズのポリマー被覆ガラスボールレンズを含む。ポリマー被覆ガラスボールレンズは、照明工学的及び光工学的技術により性能向上され、且つ、化粧品を適用した皮膚の外観は、下層にある皮膚を覆い隠すことなく観察可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚への局所適用のための化粧用組成物に関する。化粧用組成物は、ミクロンサイズのポリマー被覆ガラスボールレンズを含むボールレンズを含む。ポリマー被覆ガラスボールレンズは、化粧品を適用した皮膚の外観を、下層にある皮膚を覆い隠すことなく向上させる。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚の欠点を隠す特徴的な方法は、本質的に不透明なメークアップを適用することであった。不透明な物質は、皮膚に現れるしみ、欠陥又はその他の皮膚の欠点をカバーし、したがってこのような皮膚の欠点を光学視野から隠すのに役立つ。以前から使用されてきたタイプのメークアップ又は化粧用組成物は典型的に、メークアップの下に存在する欠陥を隠す目に見えない効果的なバリアを提供するのに役立つ高濃度の金属酸化物を含む。このような不透明メークアップの使用に関連する1つの欠点は、メークアップが典型的に、かなり厚く、且つ重い被覆として適用される必要があることである。メークアップの使用者は、このことを不快で、したがって一般に好ましくないとしばしば感じている。
【0003】
最近、化粧品業界は、厚くて重い被覆として適用する必要のないメークアップ組成物ではなく、皮膚の表面に存在する可能性がある欠陥又はしみが観察者の目に見えることを防止するために特定の方法で光を反射するメークアップ組成物を開発しようと努めてきた。このようなアプローチの1つは、2004年6月24日に公開のCohen他による米国特許出願公開US2004/0120908A1に開示されている。このアプローチは、透明成分並びに特定の光透過率及び光反射率を有する「非干渉性の」小板状成分を含む皮膚への局所適用物を利用する。透明成分は、本質的に典型的なマジックミラーの光透過部として働くガラスの球体又はビーズを含む。アルミナフレークなどの小板状成分は、欠陥やしみを隠すための光学的バリアとして働く。
【0004】
Atochemの米国特許第4,764,424号は、ガラス粒子又はビーズを保護するために、又は溶融又は冷却によりそれらを他の素材と結合するためにポリアミド又はナイロン層によって被覆されたガラス粒子又はビーズを開示している。化粧品用途において、このようなポリアミド又はナイロン層は、典型的には不透明又は半透明であり、したがって光学的バリアを提供する。
【0005】
L’Orealの米国特許第5,830,485号、第6,123,951号及び第6,333,043号は、特定のフィラー及び着色剤を含み、少なくともフィラーの一部分が着色剤を含むポリマーによって被覆されている着色化粧用組成物を開示している。特定のフィラーは、例えば180ミクロン以上の粒子サイズを有するガラスビーズを含む有機及び無機素材両方の混合物から選択することができる。このような大きなサイズの粒子を含む化粧用組成物は、肉眼にも見えることになり、消費者にとって不快なものとなる。
【0006】
Cibaの公開された米国特許出願第20050031558号及び第20050276774号は、化粧用組成物が皮膚に適用されたときに自然な外観を与えると言われている少なくとも2つのマイクロカプセル化着色剤の混合物を含む化粧用組成物を開示している。ポリマーカプセル素材は、スチレン及びメタクリレートなどのモノマーで作られ、不透明性を与えて、下層に存在する皮膚の欠点を隠す。
【0007】
化粧品製造業界は、皮膚の欠点を覆い隠すために、光学的バリアの使用の代替となるものを望んでいる。1つの代替法は、Asahi Glass Company,Ltd.の日本国特許出願JP2002020235に開示されている。この日本国特許出願は、25ミクロン以下の平均粒子サイズを有する中空ガラス球体粒子の化粧用組成物における使用を開示している。化粧用組成物は、優れた柔軟性、弾力性及び肌理を提供すると言われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
皮膚上に不透明な層を生じさせることなく皮膚の外観を向上させることになる化粧品に関して、化粧品製造業界による更なる改善の必要性がある。本発明は、この必要性に対する1つの解決策を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、皮膚への局所適用のための化粧用組成物における使用に特に適した光学特性を有する比較的小さなミクロンサイズのポリマー被覆ガラスボールレンズを提供する。被覆されたガラスボールレンズは、約1.25から約1.75の間の屈折率を有するポリマーの外側保護コーティング内にカプセル化されている。一実施形態において、ポリマーはガラスの光学特性と任意選択で同一の又はほぼ同一の光学特性を有する。カプセルを形成するポリマーは、好ましくは、着色剤又は染料、コントラスト向上剤及びコントラスト抑制剤のうちの少なくとも1つを任意選択で含むポリウレタンコーティングである。
【0010】
カプセルを形成するポリマーコーティングは、例えばポリウレタンの場合、シランなどのガラス/ポリマー結合剤をまた含んでもよい。例証となるシランは、グリシドキシ反応性官能基及びトリメトキシシリル無機官能基を含む二官能性シランであるDow CorningのZ−6040などのエポキシシランである。化粧用組成物に使用すると、ポリマー被覆ガラスボールレンズは、しみ及びしわなどの皮膚の欠点を認めるヒトの目の能力を低減するか又は最小化するのに役立ち、その一方で、化粧品の不透明な層が皮膚上に形成されるのを回避する。任意選択の着色剤又は染料、コントラスト向上剤及びコントラスト抑制剤は、皮膚の健康的な外観を向上させるのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】は、本発明に基づくポリマーカプセル化ガラスボールレンズの断面図である。
【図2】は、典型的なポリマー被覆ガラスボールレンズの概略描写図であり、本発明に基づく化粧用組成物において使用されるときのレンズを介しての周辺光の収集及び通過を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
今般、驚くべきことに、皮膚の外観を向上するポリマー被覆された透明な光透過性ガラスボールレンズが、化粧品用途への使用のために提供されうることが判明した。いかなる特定の理論による拘束をも望むことなく、本発明者は、被覆されたガラスボールレンズが「両凸レンズ」、すなわち、一方を反対方向に向けて、1つの球体を形成するように一緒に置いた、大文字「D」形レンズ2枚に類似のレンズ配置として有効に作用するものと考えている。この「両凸レンズ」セットにおいて、レンズ効果は、ガラスボールレンズ自体によって提供され、その他の効果は、ガラスボールレンズの外側表面のポリマーコーティングによって提供される。ポリマーレンズコーティングは、染料又は他の着色剤、及び、化粧用組成物に使用されたときに皮膚の外観を向上させる働きをするコントラスト向上剤又はコントラスト抑制剤などの光学的特性改良剤のうちの少なくとも1つを提供するための媒体として任意選択で、働く。ポリマーレンズコーティングは、活性物質、例えば皮膚保湿剤、ビタミンEなどのビタミン、抗菌性添加剤、他の活性成分、及び活性成分の組合せなどを送達するための媒体として任意選択で働く。
【0013】
したがって、本発明は、光学レンズ、具体的には「両凸レンズ」特性を示す被覆されたボールレンズを提供し、着色剤及び/又はボールレンズを含む化粧品を適用した皮膚の光学的特性を該化粧品を適用していない皮膚と比較して変化させる他の視覚的特性改良剤を任意選択で使用する。その結果、老化、皮膚の欠点、しみ、しわ、くま、発疹などを効果的に隠すことになる。光学的着色剤、染料及び/又は他の視覚的特性改良剤は、約1.25から約1.75の間の屈折率を有する外側のカプセル形成ポリマーコーティング内に適切に使用される。一実施形態において、ポリマーは、ボールレンズのガラスコアの屈折率と実質的に等しい屈折率を有する。ポリマーコーティングはまた、ボールレンズ中のガラスとの直接的接触から皮膚を守る働きをし、更にボールレンズに付随するヒトが触れた際の触感において「ソフトな感触」を向上させるのに役立つ。
【0014】
中実又は中空のガラスボールレンズの本発明における使用は適切であるが、ボールレンズは好ましくは中実である。被覆されたボールレンズ製造のための使用に適するガラスビーズは、例えば、Prizmalite Industries Inc.に付与された米国特許第6,525,111号に記述されている。
【0015】
図1は、本発明を具体化する典型的なカプセル化ボールレンズマイクロスフィアを示す。図に示すように、ボールレンズは、外側の保護ポリマーコーティング12の中に完全にカプセル化された中実ガラスコア10を含む。ガラスコア10の屈折率は、約1.51である。カプセルを形成するポリマーコーティング12は、約1.25から約1.75の間の屈折率を有する。ポリウレタンは、コーティング12に好ましいポリマーであるが、ポリプロピレン又はポリエステルなどの他のポリマーもまた使用することができる。但し、ポリマーの屈折率は約1.25から約1.75の間であるものとする。有利には、ガラスコア10のメディアン径は、25ミクロン以下、好ましくは15ミクロン以下、より好ましくは10ミクロン以下である。ガラスコア10の最も好ましい直径範囲は、約0.5ミクロンから約10ミクロンの間である。カプセルを形成するポリマーコーティングは、約0.1から20ミクロンの間の厚さを有し、全重量の約0.2重量%から約25重量%、好ましくは約1重量%から約20重量%の被覆されたボールレンズを含んでよい。
【0016】
一実施形態において、ガラスコア10は、約2.48の比重、約5.0ミクロンの半径、及びレンズ軸から約4.90ミクロンの焦点距離を有する。カプセル化されたボールレンズは、中実コア10を有するように示されているが、ガラス球はまた、中空であって、且つ、同一のポリマーコーティング12の中にカプセル化されていてもよいことが理解されるであろう。
【0017】
ボールレンズは、分析装置及び光ファイバシステム内のデータ転送に広範に使用されてきた一種の双方向性両凸レンズである。レンズの焦点は、下記の方程式から計算してよい:
【数1】


式中、
f= レンズの焦点距離
n= レンズ素材の屈折率
R1= 光源(又は像)に最も近いレンズ表面の曲率半径
R2= 光源(又は像)から最も遠いレンズ表面の曲率半径
d= レンズの厚さ(2表面の頂点間のレンズ軸に沿った距離)
である。
【0018】
図2に示すようにボールレンズ10は、レンズを介して周辺光を収束し、それにより、レンズから内側の皮膚に向かって発する変化した周辺光で近くの皮膚14を照らし、したがって皮膚を明るくする。光に照らされると、皮膚の像14は、今度はボールレンズ10を通過し、レンズ10が皮膚の像を観察者18に向かって収束する焦点16を通過して戻る。像14は、実際にはボールレンズ10によって拡大されるが、このことは一般に観察者の目18には気付かれることはない。カプセルを形成するコーティング12は、皮膚の中に入る光を変化させ、且つ、観察者の目18に届く皮膚の像を変化させる光学的特性改良剤によって具体化される。この構造の重要な優位性は、カプセルを形成するポリマーコーティング12に、皮膚の欠点を認めるヒトの目の能力を変化させる着色剤を入れ込むという選択肢である。使用された光学的及び色彩改良剤が、深さや向きなどの最も周辺的な細部を欠いていると思われる像14に遠近感を与えるために、ボールレンズ10を通して皮膚の像14を見ている偶然の観察者にとっては、像が拡大されていることは問題とすべきことではないものと考えられる。ボールレンズの優位性は、焦点16が通常又はほとんど、中実コア10の半径方向表面にあることである。この場合、中実コアの半径は5ミクロンであり、焦点は、垂直軸の前方向及び真後ろ方向4.9ミクロンの位置にある。
【0019】
前述の効果は、基質皮膚の像14が、レンズの焦点から観察者への距離全体にわたって増大し又は拡大している像を伴って、焦点16から発せられる明るくはっきりした小さな円板であることである。ボールレンズをポリウレタンでカプセル化することの利点は、像改良剤によって、コーティング12が光学的に、ガラスコア10に近くなっているということである。カプセルを形成する素材は、皮膚の欠点を認める目の能力を最小化する特定の色、例えば、酒さ、瘢痕、しみ、を最小化する緑色、その一方で挫傷、セルライト及びしわを最小化する他の色など、を含む。明るい赤色は、青白さ及び黄ばんだ色を最小化し、健康的な「輝き」のある外観を創り出し、緑色とともに、若々しい皮膚にかつて存在しておりまた同様に、皮膚像を再び回復して、より若々しく健康的な人についての視覚的知見を与え、しみ、不均一な皮膚の色調及び全体的な輝きの欠乏などを含む、老化の兆候の発現を最小化する助けとなる色彩帯域を含む。透明ナノ二酸化チタン及び透明ナノ酸化亜鉛などのコントラスト向上剤及びコントラスト改良剤は、例えば、観察者の目に被写界深度が変化した印象を与え、顔の形についての知見を変化させ、細部の明瞭さを変化させる。明暗のコントラストの増強剤及び低下剤の化粧品への使用は、顔の個々の造作の深さ及び平坦さを視覚野に誤って解釈させる。
【0020】
上述のように、本発明のガラスボールレンズは中実であってよく、又は中空であってもよい。いずれの場合にも、ガラスボールレンズは、ガラスの屈折率とほとんど同一か又はそれに近い、すなわち約1.25から約1.75の屈折率を有する保護ポリマーコーティング内に完全にカプセル化される。カプセルを形成するポリマーコーティングは、不活性であり、化粧用組成物の他の成分とは反応を起こさない。好ましくは、ポリマーはまた、化粧用組成物に処方されるマイクロカプセルの加工過程及び化粧品の使用に先立つ保管及び輸送過程で遭遇する可能性がある120°Fまで、又はそれ以上の昇温において劣化耐性を有する。カプセルを形成するポリマーは、有利には、化粧用組成物中に存在する可能性のある水、溶媒、及び油による劣化に対して耐性がある。本発明のマイクロカプセルに任意選択で使用される着色剤、染料及び他の光学的改良剤は、有利には、カプセルを形成するポリマー内に固定され、したがって化粧用組成物に使用されたとき、自由に皮膚内に入ることはできない。
【0021】
本発明のカプセル化されたボールレンズは、サイズの点でヒトの目の解像度よりも小さなものに限定されている。したがって、カプセル化されたボールレンズは、目には見えず、個々の粒子が感知されることがなく、その一方で同時にボールレンズの光学的効果を提供する。
【0022】
本発明のカプセル化されたボールレンズは、いくつかの方法により製造することができ、最も有効な方法は、流動床システムの使用である。このシステムを使用すると、ガラスビーズは、渦として形成された気流に送り込まれ、渦の中では気流が固体及び液体、この場合、ボールレンズ及び液体水ベースのポリウレタン分散物小滴、を任意選択の揮発性物質、例えばm−ピロールとともに含む流体床となる。カプセルを形成するポリマー物質は、シランなどのガラス/ウレタン結合剤を含んでよく、ポリウレタンの場合には、ポリマーコーティングの弾力性を更に強化する傾向がある金属塩、例えば、塩化カルシウム(CaCl)、塩化マグネシウム(MgCl)、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、及びこれらの混合物なども含んでもよい。好ましい金属塩は塩化カルシウムである。ガラス粒子を、気流中に懸濁し、ポリマー層によって均一に被覆する。ガラスビーズは、m−ピロールなどの光学的溶媒とともにポリマーを含む流体床を通過させてもよい。流動床システムは、ガラスビーズが被覆されるまでの間、ガラスビーズの凝集を回避するのを助ける。被覆されたガラスビーズを乾燥して、活性成分又は染料がほとんど又は全く浸出することなく、確実に揮発性物質を取り除く。被覆及び乾燥後に、ポリマー被覆ビーズを乾燥したパウダーの形態で適切に回収する。
【0023】
任意選択で、被覆された粒子を化粧用組成物に使用したときに観察者の目にいくつかの所望の視覚的認知を生じさせるために、カプセルを形成するコーティングに着色剤及び/又は染料を使用してよい。以下に例を示す:
青白い皮膚又は黄ばんだ皮膚の外観を低減し、適用領域に「健康的な輝き」を加える赤色染料。
目の下などの薄い皮膚下の緩慢な酸素が行き届かない血流の現れ、並びに目の下の傷及びくまを緩和する黄色の染料。
皮膚に若々しい外観を与え、しわの現れを低減する緑色の染料。
くすんだ又は黒ずんだ皮膚を明るくし輝きを与えるバイオレットの染料。
白さを向上させるか又は皮膚の色素沈着の視覚的認知を低減し、皮膚の明るさを創り出す青色染料。
皮膚の視覚的存在感を拡大し、且つ、入って来る周辺光を収束するための視覚的には透明な着色のないカプセル化。
染料及び粒子サイズの混合もまた、特定の所望の効果を生むために使用してよい。例えば、必要とされる何らかのエスニックブレンドを作るために、より小さい緑色粒子を、透明染料によって引き出される色合いをもつ一般に容認された赤色蛍光染料の大き目の粒子と混合することができる。黄色/緑色染料を赤色とともに用いると茶色がかった色ができ、赤色と青色を加え合わせると茶色ができる。
【0024】
一般的に、ポリマーコーティングは、組成物の約0.2重量%から約25重量%の被覆されたボールレンズ、及び約0.001重量%から約5.0重量%の着色染料、改良剤などを含んでよい。化粧用組成物は、化粧品産業においてよく知られているように、鉱油又は植物油などのベース媒体、アルコールなどの溶媒、水、香料、及び他の添加剤もまた含んでよい。
【0025】
下記の実施例は、例証を意図されたものであるが、決して本発明の範囲を限定するものではない。特に明示的記述がない限り、全ての部及びパーセンテージは重量部及び重量%であり、全ての温度は摂氏度である。
【実施例】
【0026】
(例1)
皮膚像を変化させるためのポリマー被覆ガラスボールレンズの製造方法:
ホモジナイザー付きのビーカー浴
ホモジナイザーを備えた500mlのビーカーに、100gの水を入れ、それに続いて、約10ミクロンの平均粒子径及び3から14ミクロンの粒子径範囲を有する中実ガラスボールレンズ75gを入れる。ホモジナイザーは、高せん断力タイプであり、せん断ヘッドを約1000rpmから1600rpmの間の速度で回転するようにセットした。速度は、全てのガラスボールレンズを動かして混合容器の底面上には全くレンズが残らないようにするのに十分であるように調節する。使用する速度は、ヘッドの直径及びビーカー/容器の直径及び内容物の粘度に依存する。せん断ヘッドは「グレープフルーツ」構造と称され、且つ、Arde BarencoのスピードACコントローラ付きの1馬力ユニットである。
【0027】
必要とされる速度は、観察によって全てのガラスレンズが活発な動き(渦を巻き、ビーカー底部の動かない場所に沈んでいることがない)をしていることが示されるような速度である。動きに関してこの速度が安定化したら、ポリウレタンコロイド分散物をビーカーに加える。量は、計算された重量に基づき、ボールレンズの重量を基にして、ポリウレタンが約0.2%から約25%(例えば、0.2%のポリウレタンと99.8%のガラス球体)となる。次いで、ビーカーを電気ホットプレートの最上部のベンチにしっかりと固定する。ガラスボールレンズの動きはホモジナイザーの速度により維持する。ホモジナイザーは、凝集を破壊し、クランピングを防止するために狭いヘッドクリアランスを有する必要がある。適切なヘッドクリアランスは、12〜19ミクロンのクリアランスであることが見出された。
【0028】
ガラスボールレンズをカプセル化するために使用されるポリウレタンのコロイド分散物は、SANCURE 847分散物の商標で市販されており、Noveonから入手できる製品である。別法として、他のSANCURE製品、例えば製品番号815、835、847、1828又は12954で入手可能なもの、又はこれらの組合せを使用することが可能であった。SANCURE 847分散物は、水、ポリウレタン、アミン及びN−メチル−2−ピロリジノンを含む脂肪族ポリエステルポリウレタン溶液である。脂肪族ポリエステルポリウレタン成分は、数平均分子量が約50,000であり、重量平均分子量が約100,000である。コロイド分散物の調製において、約22.5gのポリウレタンを制御された条件下で分散させ、加熱、pHの下降、並びにこれら2つの因子の制御された組合せによって溶液/分散物を導き出してもよい。ポリウレタンをコロイド分散させ、ボールレンズの上の渦の中で制御された不安定化によって分散物を導き出してもよい。ポリウレタンが、水ベースの溶液から導き出される場合、ポリウレタンは、全ての疎水性物質、例えば溶液中で動き回っているガラスボールレンズを被覆し、したがってガラスボールレンズのコーティングを達成する。
【0029】
次いで、系の中のポリウレタン固体の全重量を基にして0.001重量%から5重量%の範囲の量の染料を与えるために、約0.225gのD&C Green #5染料を系に加えた。ビーカー内の温度はまだ周囲温度である。硫酸アンモニウムを水の重量の8%加えて、十分に溶解する。これを加えるのは、アンモニアの揮発を促進し、ビーカーを加熱することによりゆっくりと生成される硫酸を残すためである。この現象が起こったら、温度をゆっくりと、70℃に上げる。この時点で、1%クエン酸溶液及び1%グリコール酸溶液を、別々に、非常にゆっくりと滴下して加え、系のpHを下げ、同時にポリウレタンを分散物からボールレンズ上へと導き出すのを促進した。全てのポリウレタンが導き出されたら、塩化カルシウムを浴に加えてポリウレタンカプセルを然るべく架橋させた。塩化カルシウム及び熱は、隣接するポリマー鎖上の2個のカルボキシル基の架橋を引き起こすと考えられている。生成したポリウレタンは、非架橋ポリウレタンコーティングと比べ、より丈夫で、より密閉性であり、且つ水、油、溶解性着色剤、及びほとんどの溶媒に対してより不浸透性である。
【0030】
得られた生成物、すなわちコーティング層厚さの中央値が約1ミクロン、且つ、厚さの範囲が約0.1から5ミクロンの間であるポリウレタンコーティングされ、染料を含むガラスボールレンズは次いで、ポアサイズ3ミクロンのシリコーン及びガラス繊維フィルタでろ過する。すすぎは、真空ブフナー漏斗の次の軽量漏斗及びフィルタで、蒸留水を用いて行い、ろ液に色がなくなるまで続ける。次いでろ過ケークをバラバラに壊し、次いでオーブンに入れ、オーブンファンユニットが最大流であること、クランピングの発生が最低限であること及び最良の取り扱いを確認しながら、120°Fで空気乾燥する。得られたパウダーは、光透過性を始めとする優れた光学的特性を示した。被覆されたガラスビーズの屈折率は、1.51であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスボールレンズを含み、ガラスボールレンズの少なくとも一部分が約1.25から約1.75の間の屈折率を有するポリマーの外側コーティング内にカプセル化されている、皮膚への局所適用のための組成物。
【請求項2】
外側のポリマーコーティングが、着色剤、染料及び視覚的特性改良剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
着色剤又は染料が、緑色、赤色、黄色、バイオレット、青色及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
外側のポリマーコーティングが、ガラスの屈折率と実質的に等しい屈折率を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
ガラスボールレンズが約0.5から25ミクロンの間の直径を有し、且つ外側のポリマーコーティングが約0.1から20ミクロンの間の厚さを有し、ポリマーが、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエステル及びこれらの組合せから成る群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
ポリマーがポリウレタンである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
外側のポリマーコーティングが、約0.2重量%から約25重量%の被覆されたガラスボールレンズを含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
外側のポリマーコーティングが、約1重量%から約20重量%の被覆されたガラスボールレンズを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
外側のポリマーコーティングが、ガラス/ウレタン結合剤を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項10】
ガラス/ウレタン結合剤がシランである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
外側のポリマーコーティングが、ポリマーコーティングの弾力性を向上させるための金属塩を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項12】
金属塩が塩化カルシウムである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
カプセル化されたボールレンズが、化粧用組成物を形成するために水又は水中油型エマルションを含むベース媒体に配合されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
ガラスボールレンズが、約5.0ミクロンの半径及びレンズ軸から測定して約4.9ミクロンの焦点距離を有する、請求項5に記載の組成物。
【請求項15】
ボールレンズ特性を有する多数のガラスボールレンズを提供すること、
約1.25から約1.75の間の屈折率を有するポリマーを含む外側コーティング内にボールレンズをカプセル化すること、及び
カプセル化されたボールレンズを皮膚に適用すること:
を含む、皮膚の外観を向上させるための方法。
【請求項16】
カプセル化されたボールレンズが、着色剤、染料及び視覚的特性改良剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ポリマーがポリウレタンである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
外側のポリマーコーティングが、ガラス/ウレタン結合剤を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
結合剤がシランである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
外側のポリマーコーティングが、ポリマーコーティングの弾力性を向上させるためのカルシウム塩を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
カルシウム塩が塩化カルシウムである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
約1.25から1.75の間の屈折率を有するポリマーを含む外側コーティング内にカプセル化されたガラスコアを含み、該コーティングが着色剤、染料及び視覚的特性改良剤のうちの少なくとも1つを含む、ボールレンズ。
【請求項23】
前記ポリマーが、ポリウレタン、ポリエステル、ポリプロピレン及びこれらの組合せから成る群から選択される、請求項22に記載のボールレンズ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2011−502993(P2011−502993A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532260(P2010−532260)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/081901
【国際公開番号】WO2009/059075
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(502075397)アーチ パーソナル ケア プロダクツ、エル.ピー. (6)
【Fターム(参考)】