説明

局所脳内温度可変装置

【課題】生体内温度測定を行い加熱冷却も出来る装置を製作する。
【解決手段】温度センサーと効率よく伝達する為の熱伝達部分を樹脂で覆うことで補強し、更にガラスで保護した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
正確に長期間において生体内の温度を安定した測定と加熱と冷却が可能な温度可変装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体内の温度を可変させる為には液体を通したチューブと温度センサーの2つを埋め込む方法が取られていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の温度可変方法には次のような欠点があった。
(イ)温度測定センサーと温度可変用チューブを埋め込む為に小型化が難しく、広範囲に渡って生体組織に物理的な悪影響が及ぶ可能性があった。
【0004】
(ロ)チューブによる加熱冷却では、チューブの折返しにより面積が大きくなり生体の目的組織以外の部分まで温度変化を与える可能性があった。
【0005】
(ハ)チューブによる温度可変では、センサーの配線とチューブの取り回しが別になることが多く引っ掛かける、絡む等が発生しやすく損傷の原因となりやすかった。
【0006】
(ニ)チューブを使用した加熱冷却では樹脂又は金属で出来たチューブから放出される微量成分が生体に影響を与える可能性があった。本発明は、以上のような欠点をなくす為になされた物である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従来技術の欠点をなくす目的で、熱伝達に優れた熱伝達部と温度測定の温度測定部品と配線接続部、並びに配線への生体からの応力を防ぎ性能の確保。
【0008】
及び、生体への樹脂及び金属イオンの流出を防ぎ、更に、補強樹脂、温度測定部品と配線接続部、及び配線への吸湿や物質の侵入を防ぐガラス層により形成され長期信頼性を得る。
【0009】
温度を可変させる為に冷却、加熱素子である小型ペルチェ素子と目的の生体組織に熱を伝える熱伝導部分を設ける。
【0010】
本発明は、これらペルチェ素子による冷却、加熱部分と生体組織までの熱伝導部分と温度測定部分を樹脂で一体化しガラスにより保護された構造とすることをもっとも主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上の発明により、実際にマウスの生体脳温度を安定した状態での連続測定と温度可変が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】 本発明の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
生体内の温度を、長期間に安定した状態で温度測定を行うために最小の部品点数で生体内に取り付けることが可能な先端の直径1mm以下、全長3.5mm以上を実現した。
【0014】
温度測定部品と配線接続部、及び配線への安定した絶縁性の確保を行う為に絶縁性樹脂により温度センサーの保護をおこなう。
【0015】
直径1mm以下の形状を作成するには、従来の金属カバー内に絶縁物質を充填する方法では困難な作業であったが樹脂型による成型が可能になり製造が容易となった。
【0016】
また、金属カバーの方法では先端が細い場合は十分な剛性が得られなかったが樹脂補強構造で高い曲げ弾性率を得ることが可能になった。
【0017】
高い曲げ弾性率の補強樹脂の使用により動きの発生する生体内においても、内部温度測定部品と部品と配線の接続部、及び配線への応力の発生を抑えることが可能となる。
【0018】
熱膨張係数の少ない補強樹脂の使用により生体内及び温度可変機構からの温度変化によるサーミスタチップと配線接続部、及び配線への応力の発生を抑えることが可能となる。
【0019】
形成した絶縁樹脂の上に、更にガラス層を作成する
【0020】
ガラス層の形成は150度以下の温度で可能な方法を用いる事によりサーミスタチップとその接合部及び配線及び補強樹脂に悪影響が及ばない方法で行った。
【0021】
ガラス層は200ミクロン以下の層での形成を行う。
【0022】
その事からガラス層に柔軟性を持つ事が可能となり生体の動きによる応力からの割れが発生する事を防止することが可能となった。
【産業上の利用可能性】
【0023】
生体内温度と生命活動の関係を証明する研究に利用された。更に、疾患の治療法の研究にも利用されるものと考えられている。
【符号の説明】
【0024】
1 ガラス層
2 サーミスタチップ
3 樹脂
4 配線
5 熱伝達部
6 放熱部
7 配線接続部
8 配線接続端子
9 ペルチェ素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂により一体とした熱伝導部と温度センサーをガラスで保護した生体内温度可変装置。

【図1】
image rotate