局部洗浄装置付便器
【課題】清潔な状態をより容易に維持することが可能な局部洗浄装置付便器を得る。
【解決手段】ボウル６を有する便器本体１に局部洗浄装置１５が取り付けられた局部洗浄装置付便器２０であって、前記便器本体１の上部であって当該便器本体１の上部開口６ａに対して着座時に臀部側の外方となる位置に、前記局部洗浄装置１５を取り付け、前記便器本体１の上端面１ｇと前記局部洗浄装置１５の上端面１５ｇとが略面一となる状態で連接され、それらの全域に亘って平滑面状となるようにした。
【解決手段】ボウル６を有する便器本体１に局部洗浄装置１５が取り付けられた局部洗浄装置付便器２０であって、前記便器本体１の上部であって当該便器本体１の上部開口６ａに対して着座時に臀部側の外方となる位置に、前記局部洗浄装置１５を取り付け、前記便器本体１の上端面１ｇと前記局部洗浄装置１５の上端面１５ｇとが略面一となる状態で連接され、それらの全域に亘って平滑面状となるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、局部洗浄装置付便器に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来から知られている局部洗浄装置付便器は、例えば特許文献１に示すように、局部洗浄装置を便器のボウルよりも後方の後端部上に載設している。そして局部洗浄装置の前端部はボウルの上開口の後縁よりも前方に突出してあり、この突出部分に設けられてボウル内に臨むノズルから水を吐出して局部を洗浄する。
【特許文献１】特開２００５−３０７４７２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
しかしながら、上記特許文献１に示される従来例にあっては、便器の上面から局部洗浄装置が突出して便器の上面が凹凸形状を有しているため、汚れが付着した場合に掃除が面倒であり、汚れが残存しやすいという問題があった。
【０００４】
そこで、本発明は、清潔な状態をより容易に維持することが可能な局部洗浄装置付便器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
請求項１の発明にあっては、ボウルを有する便器本体に局部洗浄装置が取り付けられた局部洗浄装置付便器であって、前記便器本体の上部であって当該便器本体の上部開口に対して着座時に臀部側の外方となる位置に、前記局部洗浄装置を取り付け、前記便器本体の上端面と前記局部洗浄装置の上端面とが略面一となる状態で連接され、それらの全域に亘って平滑面状となるようにしたことを特徴としている。
【０００６】
請求項２の発明にあっては、請求項１に記載の局部洗浄装置付便器において、前記便器本体の上部であって当該便器本体の上部開口に対して着座時に臀部側の外方となる位置に切欠部を形成し、前記切欠部に前記局部洗浄装置を嵌め込むように取り付けたことを特徴としている。
【０００７】
請求項３の発明にあっては、請求項１または２に記載の局部洗浄装置付便器において、前記便器本体と前記局部洗浄装置とを面接触させ、便器本体の局部洗浄装置との接触面および局部洗浄装置の便器本体との接触面のうちの少なくともいずれか一方に撥水性材料を塗布したことを特徴としている。
【０００８】
請求項４の発明にあっては、請求項１または２に記載の局部洗浄装置付便器において、前記便器本体と前記局部洗浄装置との間の隙間をシール材で塞いだことを特徴としている。
【発明の効果】
【０００９】
本発明によれば、便器の上端面を全域に亘って平滑面状に形成することができるため、便器上端面の汚れが拭き取りやすくなり、清潔な状態をより容易に維持することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１０】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図１は、本実施形態にかかる局部洗浄装置付便器の分解斜視図、図２は、局部洗浄装置付便器を後方から見た断面斜視図、図３は、図４のＡ−Ａ断面図、図４は、便座および便蓋を起立させた状態における局部洗浄装置付便器の平面図、図５は、便座および便蓋を起立させた状態における局部洗浄装置付便器の側面図である。なお、以下では、便宜上、使用者が便座に着座した時の背面側を後方、正面側を前方と称することにする。
【００１１】
本実施形態における局部洗浄装置付便器２０は、図１に示すように、トイレの床面上に設置される樹脂製の便器本体１と、便器本体１内部に取り付けられる局部洗浄装置１５と、局部洗浄装置１５に回動可能に取り付けられる便座２および便蓋４とを備えている。
【００１２】
便器本体１は、上方に開口したボウル部７と、ボウル部７の上端部に設けられ、便器本体１の上端部をなすリム部８と、外周壁をなすスカート部９とを備えている。これらボウル部７，リム部８，スカート部９は別体の成型品であり、溶着等することで一体化される。そして、これらが一体化されてなる便器本体１の内部には空洞が形成される。
【００１３】
ボウル部７はリム部８の下側に装着され、これにより用を足すためのボウル６が形成されている。また、ボウル部７の下端部には、図２に示すように、後方に向けて排水管部１９が突設されており、この排水管部１９から図外のターントラップ装置を介してボウル６内の溜水が排水される。
【００１４】
また、ボウル部７の内周面には、図１に示すように、洗浄水の吐水孔１３と、ボウル部７の内面全体に洗浄水を供給する溝状の洗浄水流路１４とが形成されている。
【００１５】
スカート部９は、図１および図２に示すように、後方に開口部を有する平面視Ｕ字状に形成されており、その上端縁は、リム部８の下端縁に接続されている。
【００１６】
局部洗浄装置１５は、略箱状をしており、その内部には局部洗浄用のノズル１７や、当該ノズル１７を駆動させるための各種装置、制御回路等が設けられている。そして、本体部の前壁部１５ｃの中央下部には、図１に示すように、略箱状のノズル出し入れ部１６が突設されている。ノズル１７は、伸縮可能となるように構成されており、局部洗浄装置１５が便器本体１の所定位置に取り付けられた状態で、ノズル孔１６ｂを介してボウル６内に進出し、その先端部から水もしくは温水を吐出することで、使用者の局部を洗浄できるようになっている。
【００１７】
なお、ノズル出し入れ部１６の前部には、ノズル孔１６ｂを開閉可能なシャッター部材１６ａが設けられており、使用時にのみ、伸長したノズル１７に押されてノズル孔１６ｂを開放するようになっている。
【００１８】
さらに、便器本体１の後部かつ上部（すなわち、便器本体１の上部であって当該便器本体１のボウル６の開口部６ａに対して着座時臀部側の外方となる位置）には、便器本体１を側面視で略Ｌ字状（階段状）に切り欠く切欠部１２が形成されており、当該切欠部１２に局部洗浄装置１５を嵌め込む状態で、当該局部洗浄装置１５を便器本体１に取り付けている。このとき、局部洗浄装置１５のノズル出し入れ部１６が便器本体１に設けた開口部１８に挿入され、ノズル１７がボウル６内に進出可能となるようにしてある。
【００１９】
また、本実施形態では、便器本体１の上端面１ｇと局部洗浄装置１５の上端面１５ｇとが略面一となるように形成するとともに、局部洗浄装置付便器２０の上端面２０ａを全域に亘って段差が無く滑らかでありかつほぼ平坦な平滑面状となるように形成している。
【００２０】
さらに、本実施形態では、図１および図６に示すように、便器本体１の前方側、すなわちボウル６が形成される側では、上端面２０ａを略水平となるように形成するとともに、便器本体１の後部側、すなわち局部洗浄装置１５を装着した側では、上端面２０ａを後側程上方に位置するように傾斜させ、全体としては段差のない滑らかな緩斜面となるようにしている。
【００２１】
このとき、ボウル６の開口部６ａの周囲では、上端面２０ａを、開口部６ａ側が下、周縁側が上となるようにわずかに傾斜させるのが好適である。
【００２２】
また、本実施形態では、局部洗浄装置１５を便器本体１に取り付けたときに、切欠部１２の前面１２ｅに局部洗浄装置１５の前壁部１５ｃの前面１５ｅを面接触させるとともに、切欠部１２の下面１２ｆに局部洗浄装置１５の底壁部１５ｄの下面１５ｆを面接触させている。すなわち、前面１２ｅと下面１２ｆとが便器本体１の局部洗浄装置１５との接触面に、前面１５ｅと下面１５ｆとが局部洗浄装置１５の便器本体１との接触面に相当する。
【００２３】
そして、少なくとも切欠部１２の前面（便器本体１の上部後端面）１２ｅまたは前壁部１５ｃの前面１５ｅに、例えばフッ素（撥水性材料）を塗布するなどして撥水処理を施し、切欠部１２の前面１２ｅと前壁部１５ｃの前面１５ｅとの間の隙間２１に、小便等の汚水が毛細管現象によって浸入するのを抑制できるようにしている。さらに、切欠部１２の下面１２ｆと底壁部１５ｄの下面１５ｆとの間の隙間２２にも同様の撥水処理を施せばより効果的である。
【００２４】
なお、撥水性材料としてはシリコンを使用してもよい。また、撥水性材料を塗布する替わりに、切欠部１２の前面１２ｅと前壁部１５ｃの前面１５ｅとの間の隙間２１をシール部材（図示せず）でシールするようにしてもよい。
【００２５】
なお、便器本体１の周面と局部洗浄装置１５の周面とで形成される局部洗浄装置付便器２０の周面も略面一となるようにしている。
【００２６】
また、本実施形態では、便座２および便蓋４の両側端部には、それぞれ局部洗浄装置１５に取り付けるための取付部３，３および取付部５，５が形成されており、これら取付部３，５は、図１および図６に示すように、各本体部の後端部から側面視で略Ｌ字状となるように突出するアーム状に形成されている。そして、便座２の取付部３，３には貫通穴３ａ，３ａが形成される一方、便蓋４の取付部５，５にはピン５ａ，５ａが内側に向けて突設されている。また、局部洗浄装置１５の両側壁部の上側かつ後側には、外側に向けてピン１１，１１が突設されている。そして、各取付部３に形成された貫通穴３ａの両側にピン１１およびピン５ａを嵌め込むことで局部洗浄装置１５に便座２および便蓋４が回動可能に取り付けられる。すなわち、便座２および便蓋４は、局部洗浄装置１５に同軸上で回動支持されている。
【００２７】
さらに本実施形態では、図５および図６に示すように、便座２および便蓋４を起立させた状態で、平面視で便座２および便蓋４の本体部が便器本体１および局部洗浄装置１５の後方に位置するようにして、平面視で上端面２０ａ全体を露出させている。
【００２８】
以上の本実施形態によれば、便器本体１に局部洗浄装置１５を取り付けた状態で、それらの上端面１ｇ，１５ｇによって形成される上端面２０ａを全域に亘って段差のない平滑面状となるようにしているため、従来のように段差に汚れが溜まることがなくなるとともに、段差がない分、局部洗浄装置付便器２０の上端面２０ａの汚れが拭き取りやすくなり、清潔な状態をより容易に維持することが可能となる。
【００２９】
また、本実施形態によれば、少なくとも切欠部１２の前面１２ｅまたは前壁部１５ｃの前面１５ｅに、例えばフッ素（撥水性材料）を塗布して撥水処理を施すことで、小便等の汚水が毛細管現象により切欠部１２の前面１２ｅと前壁部１５ｃの前面１５ｅとの間の隙間２１に浸入することを抑制できる。また、撥水処理を施す替わりに切欠部１２の前面１２ｅと前壁部１５ｃの前面１５ｅとの間の隙間２１をシール部材（図示せず）でシールすることで、便器と局部洗浄装置との間の隙間に汚れが溜まらなくなる分、局部洗浄装置付便器２０の上部をより清潔な状態に維持することができる上、局部洗浄装置付便器２０の上端面２０ａの掃除をより簡単に行うことができるようになる。
【００３０】
このとき、局部洗浄装置１５のノズル出し入れ部１６を便器本体１に形成された開口部１８に挿入して嵌め込むことで、局部洗浄装置１５を便器本体１の所定位置に位置決めしてもよい。
【００３１】
また、本実施形態によれば、上端面２０ａを、ボウル６を配設した側が下となり局部洗浄装置１５を配設した側が上となる傾斜面として形成しているため、小便等の汚水が上端面２０ａの後部側にかかったとしても、汚水が後方に飛び散ることを抑制することができるとともに、滑らかな緩斜面を伝ってボウル内に汚水を落下させることができ、局部洗浄装置付便器２０の上端面２０ａの掃除をより簡単に行うことができるようになる。
【００３２】
また、本実施形態によれば、便座２および便蓋４を起立させた状態で、便座２および便蓋４の本体部が局部洗浄装置付便器２０の後方に位置するようにすることで、平面視で上端面２０ａ全体を露出させたため、局部洗浄装置付便器２０の上端面２０ａの掃除をより簡単に行うことができるようになる。
【００３３】
また、便座２および便蓋４を、同軸上で局部洗浄装置１５に取り付けることで、局部洗浄装置付便器２０への取付部が複数ある場合に比べて構造が簡素化される上、局部洗浄装置付便器２０による直接的な回動支持部を１か所とすることができるため、汚れが溜まる箇所を減らすことができるという利点もある。
【００３４】
以上、本発明にかかる局部洗浄装置付便器の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限ることなく要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態を採用することができる。
【００３５】
例えば、本実施形態においては、局部洗浄装置付便器および局部洗浄装置の材質として樹脂を用いているが、例えばそれらの一部又は全部を陶器等の他の材質を用いて形成してもよい。
【００３６】
さらに、本実施形態において使用される局部洗浄装置付便器および局部洗浄装置の形状は、種々の形状を取り得る。
【００３７】
また、本実施形態においては、便器本体の後部かつ上部の全域に切欠部を設けているが、例えば幅方向両端部に側壁部が残るように切欠部を設けてもよい。
【００３８】
また、本実施形態においては、ターントラップ式便器について例示したが、サイフォン式便器としても本発明を実施することができる。その場合、逆Ｕ字状配管の上方位置に切欠部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【００３９】
【図１】本発明の実施形態にかかる局部洗浄装置付便器の分解斜視図。
【図２】本発明の実施形態にかかる局部洗浄装置付便器を後方から見た断面斜視図。
【図３】図４のＡ−Ａ断面図。
【図４】本発明の実施形態にかかる便座および便蓋を起立させた状態における局部洗浄装置付便器の平面図。
【図５】本発明の第１実施形態にかかる便座および便蓋を起立させた状態における局部洗浄装置付便器の側面図。
【符号の説明】
【００４０】
１ 便器本体
１ｇ 上端面
６ ボウル
６ａ 開口部（上部開口）
１２ 切欠部
１２ｅ 前面（便器本体の局部洗浄装置との接触面）
１２ｆ 下面（便器本体の局部洗浄装置との接触面）
１５ 局部洗浄装置
１５ｅ 前面（局部洗浄装置の便器本体との接触面）
１５ｆ 下面（局部洗浄装置の便器本体との接触面）
２０ 局部洗浄装置付便器
２１ 便器本体と局部洗浄装置との間の隙間
【技術分野】
【０００１】
本発明は、局部洗浄装置付便器に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来から知られている局部洗浄装置付便器は、例えば特許文献１に示すように、局部洗浄装置を便器のボウルよりも後方の後端部上に載設している。そして局部洗浄装置の前端部はボウルの上開口の後縁よりも前方に突出してあり、この突出部分に設けられてボウル内に臨むノズルから水を吐出して局部を洗浄する。
【特許文献１】特開２００５−３０７４７２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
しかしながら、上記特許文献１に示される従来例にあっては、便器の上面から局部洗浄装置が突出して便器の上面が凹凸形状を有しているため、汚れが付着した場合に掃除が面倒であり、汚れが残存しやすいという問題があった。
【０００４】
そこで、本発明は、清潔な状態をより容易に維持することが可能な局部洗浄装置付便器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
請求項１の発明にあっては、ボウルを有する便器本体に局部洗浄装置が取り付けられた局部洗浄装置付便器であって、前記便器本体の上部であって当該便器本体の上部開口に対して着座時に臀部側の外方となる位置に、前記局部洗浄装置を取り付け、前記便器本体の上端面と前記局部洗浄装置の上端面とが略面一となる状態で連接され、それらの全域に亘って平滑面状となるようにしたことを特徴としている。
【０００６】
請求項２の発明にあっては、請求項１に記載の局部洗浄装置付便器において、前記便器本体の上部であって当該便器本体の上部開口に対して着座時に臀部側の外方となる位置に切欠部を形成し、前記切欠部に前記局部洗浄装置を嵌め込むように取り付けたことを特徴としている。
【０００７】
請求項３の発明にあっては、請求項１または２に記載の局部洗浄装置付便器において、前記便器本体と前記局部洗浄装置とを面接触させ、便器本体の局部洗浄装置との接触面および局部洗浄装置の便器本体との接触面のうちの少なくともいずれか一方に撥水性材料を塗布したことを特徴としている。
【０００８】
請求項４の発明にあっては、請求項１または２に記載の局部洗浄装置付便器において、前記便器本体と前記局部洗浄装置との間の隙間をシール材で塞いだことを特徴としている。
【発明の効果】
【０００９】
本発明によれば、便器の上端面を全域に亘って平滑面状に形成することができるため、便器上端面の汚れが拭き取りやすくなり、清潔な状態をより容易に維持することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１０】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図１は、本実施形態にかかる局部洗浄装置付便器の分解斜視図、図２は、局部洗浄装置付便器を後方から見た断面斜視図、図３は、図４のＡ−Ａ断面図、図４は、便座および便蓋を起立させた状態における局部洗浄装置付便器の平面図、図５は、便座および便蓋を起立させた状態における局部洗浄装置付便器の側面図である。なお、以下では、便宜上、使用者が便座に着座した時の背面側を後方、正面側を前方と称することにする。
【００１１】
本実施形態における局部洗浄装置付便器２０は、図１に示すように、トイレの床面上に設置される樹脂製の便器本体１と、便器本体１内部に取り付けられる局部洗浄装置１５と、局部洗浄装置１５に回動可能に取り付けられる便座２および便蓋４とを備えている。
【００１２】
便器本体１は、上方に開口したボウル部７と、ボウル部７の上端部に設けられ、便器本体１の上端部をなすリム部８と、外周壁をなすスカート部９とを備えている。これらボウル部７，リム部８，スカート部９は別体の成型品であり、溶着等することで一体化される。そして、これらが一体化されてなる便器本体１の内部には空洞が形成される。
【００１３】
ボウル部７はリム部８の下側に装着され、これにより用を足すためのボウル６が形成されている。また、ボウル部７の下端部には、図２に示すように、後方に向けて排水管部１９が突設されており、この排水管部１９から図外のターントラップ装置を介してボウル６内の溜水が排水される。
【００１４】
また、ボウル部７の内周面には、図１に示すように、洗浄水の吐水孔１３と、ボウル部７の内面全体に洗浄水を供給する溝状の洗浄水流路１４とが形成されている。
【００１５】
スカート部９は、図１および図２に示すように、後方に開口部を有する平面視Ｕ字状に形成されており、その上端縁は、リム部８の下端縁に接続されている。
【００１６】
局部洗浄装置１５は、略箱状をしており、その内部には局部洗浄用のノズル１７や、当該ノズル１７を駆動させるための各種装置、制御回路等が設けられている。そして、本体部の前壁部１５ｃの中央下部には、図１に示すように、略箱状のノズル出し入れ部１６が突設されている。ノズル１７は、伸縮可能となるように構成されており、局部洗浄装置１５が便器本体１の所定位置に取り付けられた状態で、ノズル孔１６ｂを介してボウル６内に進出し、その先端部から水もしくは温水を吐出することで、使用者の局部を洗浄できるようになっている。
【００１７】
なお、ノズル出し入れ部１６の前部には、ノズル孔１６ｂを開閉可能なシャッター部材１６ａが設けられており、使用時にのみ、伸長したノズル１７に押されてノズル孔１６ｂを開放するようになっている。
【００１８】
さらに、便器本体１の後部かつ上部（すなわち、便器本体１の上部であって当該便器本体１のボウル６の開口部６ａに対して着座時臀部側の外方となる位置）には、便器本体１を側面視で略Ｌ字状（階段状）に切り欠く切欠部１２が形成されており、当該切欠部１２に局部洗浄装置１５を嵌め込む状態で、当該局部洗浄装置１５を便器本体１に取り付けている。このとき、局部洗浄装置１５のノズル出し入れ部１６が便器本体１に設けた開口部１８に挿入され、ノズル１７がボウル６内に進出可能となるようにしてある。
【００１９】
また、本実施形態では、便器本体１の上端面１ｇと局部洗浄装置１５の上端面１５ｇとが略面一となるように形成するとともに、局部洗浄装置付便器２０の上端面２０ａを全域に亘って段差が無く滑らかでありかつほぼ平坦な平滑面状となるように形成している。
【００２０】
さらに、本実施形態では、図１および図６に示すように、便器本体１の前方側、すなわちボウル６が形成される側では、上端面２０ａを略水平となるように形成するとともに、便器本体１の後部側、すなわち局部洗浄装置１５を装着した側では、上端面２０ａを後側程上方に位置するように傾斜させ、全体としては段差のない滑らかな緩斜面となるようにしている。
【００２１】
このとき、ボウル６の開口部６ａの周囲では、上端面２０ａを、開口部６ａ側が下、周縁側が上となるようにわずかに傾斜させるのが好適である。
【００２２】
また、本実施形態では、局部洗浄装置１５を便器本体１に取り付けたときに、切欠部１２の前面１２ｅに局部洗浄装置１５の前壁部１５ｃの前面１５ｅを面接触させるとともに、切欠部１２の下面１２ｆに局部洗浄装置１５の底壁部１５ｄの下面１５ｆを面接触させている。すなわち、前面１２ｅと下面１２ｆとが便器本体１の局部洗浄装置１５との接触面に、前面１５ｅと下面１５ｆとが局部洗浄装置１５の便器本体１との接触面に相当する。
【００２３】
そして、少なくとも切欠部１２の前面（便器本体１の上部後端面）１２ｅまたは前壁部１５ｃの前面１５ｅに、例えばフッ素（撥水性材料）を塗布するなどして撥水処理を施し、切欠部１２の前面１２ｅと前壁部１５ｃの前面１５ｅとの間の隙間２１に、小便等の汚水が毛細管現象によって浸入するのを抑制できるようにしている。さらに、切欠部１２の下面１２ｆと底壁部１５ｄの下面１５ｆとの間の隙間２２にも同様の撥水処理を施せばより効果的である。
【００２４】
なお、撥水性材料としてはシリコンを使用してもよい。また、撥水性材料を塗布する替わりに、切欠部１２の前面１２ｅと前壁部１５ｃの前面１５ｅとの間の隙間２１をシール部材（図示せず）でシールするようにしてもよい。
【００２５】
なお、便器本体１の周面と局部洗浄装置１５の周面とで形成される局部洗浄装置付便器２０の周面も略面一となるようにしている。
【００２６】
また、本実施形態では、便座２および便蓋４の両側端部には、それぞれ局部洗浄装置１５に取り付けるための取付部３，３および取付部５，５が形成されており、これら取付部３，５は、図１および図６に示すように、各本体部の後端部から側面視で略Ｌ字状となるように突出するアーム状に形成されている。そして、便座２の取付部３，３には貫通穴３ａ，３ａが形成される一方、便蓋４の取付部５，５にはピン５ａ，５ａが内側に向けて突設されている。また、局部洗浄装置１５の両側壁部の上側かつ後側には、外側に向けてピン１１，１１が突設されている。そして、各取付部３に形成された貫通穴３ａの両側にピン１１およびピン５ａを嵌め込むことで局部洗浄装置１５に便座２および便蓋４が回動可能に取り付けられる。すなわち、便座２および便蓋４は、局部洗浄装置１５に同軸上で回動支持されている。
【００２７】
さらに本実施形態では、図５および図６に示すように、便座２および便蓋４を起立させた状態で、平面視で便座２および便蓋４の本体部が便器本体１および局部洗浄装置１５の後方に位置するようにして、平面視で上端面２０ａ全体を露出させている。
【００２８】
以上の本実施形態によれば、便器本体１に局部洗浄装置１５を取り付けた状態で、それらの上端面１ｇ，１５ｇによって形成される上端面２０ａを全域に亘って段差のない平滑面状となるようにしているため、従来のように段差に汚れが溜まることがなくなるとともに、段差がない分、局部洗浄装置付便器２０の上端面２０ａの汚れが拭き取りやすくなり、清潔な状態をより容易に維持することが可能となる。
【００２９】
また、本実施形態によれば、少なくとも切欠部１２の前面１２ｅまたは前壁部１５ｃの前面１５ｅに、例えばフッ素（撥水性材料）を塗布して撥水処理を施すことで、小便等の汚水が毛細管現象により切欠部１２の前面１２ｅと前壁部１５ｃの前面１５ｅとの間の隙間２１に浸入することを抑制できる。また、撥水処理を施す替わりに切欠部１２の前面１２ｅと前壁部１５ｃの前面１５ｅとの間の隙間２１をシール部材（図示せず）でシールすることで、便器と局部洗浄装置との間の隙間に汚れが溜まらなくなる分、局部洗浄装置付便器２０の上部をより清潔な状態に維持することができる上、局部洗浄装置付便器２０の上端面２０ａの掃除をより簡単に行うことができるようになる。
【００３０】
このとき、局部洗浄装置１５のノズル出し入れ部１６を便器本体１に形成された開口部１８に挿入して嵌め込むことで、局部洗浄装置１５を便器本体１の所定位置に位置決めしてもよい。
【００３１】
また、本実施形態によれば、上端面２０ａを、ボウル６を配設した側が下となり局部洗浄装置１５を配設した側が上となる傾斜面として形成しているため、小便等の汚水が上端面２０ａの後部側にかかったとしても、汚水が後方に飛び散ることを抑制することができるとともに、滑らかな緩斜面を伝ってボウル内に汚水を落下させることができ、局部洗浄装置付便器２０の上端面２０ａの掃除をより簡単に行うことができるようになる。
【００３２】
また、本実施形態によれば、便座２および便蓋４を起立させた状態で、便座２および便蓋４の本体部が局部洗浄装置付便器２０の後方に位置するようにすることで、平面視で上端面２０ａ全体を露出させたため、局部洗浄装置付便器２０の上端面２０ａの掃除をより簡単に行うことができるようになる。
【００３３】
また、便座２および便蓋４を、同軸上で局部洗浄装置１５に取り付けることで、局部洗浄装置付便器２０への取付部が複数ある場合に比べて構造が簡素化される上、局部洗浄装置付便器２０による直接的な回動支持部を１か所とすることができるため、汚れが溜まる箇所を減らすことができるという利点もある。
【００３４】
以上、本発明にかかる局部洗浄装置付便器の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限ることなく要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態を採用することができる。
【００３５】
例えば、本実施形態においては、局部洗浄装置付便器および局部洗浄装置の材質として樹脂を用いているが、例えばそれらの一部又は全部を陶器等の他の材質を用いて形成してもよい。
【００３６】
さらに、本実施形態において使用される局部洗浄装置付便器および局部洗浄装置の形状は、種々の形状を取り得る。
【００３７】
また、本実施形態においては、便器本体の後部かつ上部の全域に切欠部を設けているが、例えば幅方向両端部に側壁部が残るように切欠部を設けてもよい。
【００３８】
また、本実施形態においては、ターントラップ式便器について例示したが、サイフォン式便器としても本発明を実施することができる。その場合、逆Ｕ字状配管の上方位置に切欠部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【００３９】
【図１】本発明の実施形態にかかる局部洗浄装置付便器の分解斜視図。
【図２】本発明の実施形態にかかる局部洗浄装置付便器を後方から見た断面斜視図。
【図３】図４のＡ−Ａ断面図。
【図４】本発明の実施形態にかかる便座および便蓋を起立させた状態における局部洗浄装置付便器の平面図。
【図５】本発明の第１実施形態にかかる便座および便蓋を起立させた状態における局部洗浄装置付便器の側面図。
【符号の説明】
【００４０】
１ 便器本体
１ｇ 上端面
６ ボウル
６ａ 開口部（上部開口）
１２ 切欠部
１２ｅ 前面（便器本体の局部洗浄装置との接触面）
１２ｆ 下面（便器本体の局部洗浄装置との接触面）
１５ 局部洗浄装置
１５ｅ 前面（局部洗浄装置の便器本体との接触面）
１５ｆ 下面（局部洗浄装置の便器本体との接触面）
２０ 局部洗浄装置付便器
２１ 便器本体と局部洗浄装置との間の隙間
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ボウルを有する便器本体に局部洗浄装置が取り付けられた局部洗浄装置付便器であって、
前記便器本体の上部であって当該便器本体の上部開口に対して着座時に臀部側の外方となる位置に、前記局部洗浄装置を取り付け、
前記便器本体の上端面と前記局部洗浄装置の上端面とが略面一となる状態で連接され、それらの全域に亘って平滑面状となるようにしたことを特徴とする局部洗浄装置付便器。
【請求項２】
前記便器本体の上部であって当該便器本体の上部開口に対して着座時に臀部側の外方となる位置に切欠部を形成し、
前記切欠部に前記局部洗浄装置を嵌め込むように取り付けたことを特徴とする請求項１に記載の局部洗浄装置付便器。
【請求項３】
前記便器本体と前記局部洗浄装置とを面接触させ、便器本体の局部洗浄装置との接触面および局部洗浄装置の便器本体との接触面のうちの少なくともいずれか一方に撥水性材料を塗布したことを特徴とする請求項１または２に記載の局部洗浄装置付便器。
【請求項４】
前記便器本体と前記局部洗浄装置との間の隙間をシール材で塞いだことを特徴とする請求項１または２に記載の局部洗浄装置付便器。
【請求項１】
ボウルを有する便器本体に局部洗浄装置が取り付けられた局部洗浄装置付便器であって、
前記便器本体の上部であって当該便器本体の上部開口に対して着座時に臀部側の外方となる位置に、前記局部洗浄装置を取り付け、
前記便器本体の上端面と前記局部洗浄装置の上端面とが略面一となる状態で連接され、それらの全域に亘って平滑面状となるようにしたことを特徴とする局部洗浄装置付便器。
【請求項２】
前記便器本体の上部であって当該便器本体の上部開口に対して着座時に臀部側の外方となる位置に切欠部を形成し、
前記切欠部に前記局部洗浄装置を嵌め込むように取り付けたことを特徴とする請求項１に記載の局部洗浄装置付便器。
【請求項３】
前記便器本体と前記局部洗浄装置とを面接触させ、便器本体の局部洗浄装置との接触面および局部洗浄装置の便器本体との接触面のうちの少なくともいずれか一方に撥水性材料を塗布したことを特徴とする請求項１または２に記載の局部洗浄装置付便器。
【請求項４】
前記便器本体と前記局部洗浄装置との間の隙間をシール材で塞いだことを特徴とする請求項１または２に記載の局部洗浄装置付便器。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２００７−２５５１５４（Ｐ２００７−２５５１５４Ａ）
【公開日】平成１９年１０月４日（２００７．１０．４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−８４１３４（Ｐ２００６−８４１３４）
【出願日】平成１８年３月２４日（２００６．３．２４）
【出願人】（０００００５８３２）松下電工株式会社 (17,916)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年１０月４日（２００７．１０．４）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年３月２４日（２００６．３．２４）
【出願人】（０００００５８３２）松下電工株式会社 (17,916)
【Ｆターム（参考）】
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