説明

局部洗浄装置

【課題】局部洗浄ノズルの周囲を効率的かつ確実に除菌することができる局部洗浄装置を提供する。
【解決手段】局部洗浄装置10は、便器本体1の上面に載置されるケース本体20と、ケース本体20に収納される局部洗浄ノズル30とを備えている。また、ケース本体20の内部に収納され、プラスイオン及びマイナスイオンを放出するイオン発生装置40を備えている。イオン発生装置40は、送風機41と、送風機41に一端が接続されたダクト42と、ダクト42の中間部に介在するイオン発生器43とを有し、ダクト42の他端が局部洗浄ノズル30に向けて開口している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は局部洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の図2に従来の局部洗浄装置が開示されている。この局部洗浄装置は、便器本体の上面に載置されるケース本体と、ケース本体に収納される局部洗浄ノズルとを備えている。また、この局部洗浄装置は、ケース本体の内部に収納され、オゾンを放出するオゾン発生部を備えている。オゾン発生部は、ファンと、ファンに一端が接続された脱臭ダクトと、脱臭ダクトの中間部に介在するオゾナイザとを有している。脱臭ダクトの他端は便器本体の便鉢に開口している。
【0003】
このような構成である従来の局部洗浄装置は、ファンの回転方向を切り替えることにより、オゾンを脱臭ダクトから便鉢に向けて吹出す殺菌作業と、便鉢内の臭気を脱臭ダクトを通して吸引してオゾンと混合する脱臭作業とを行なうことができる。
【0004】
【特許文献1】特開平5−222755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の局部洗浄装置では、便鉢の上縁よりも高い位置に格納されている局部洗浄ノズルの周囲を除菌するためには、オゾンが便鉢内に充分に拡散されなければならない。一方、オゾンの人体への影響を考えると、大量のオゾンを放出するわけにはいかないため、局部洗浄ノズルの表面を殺菌することは現実には困難である。
【0006】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、局部洗浄ノズルの周囲を効率的かつ確実に除菌することができる局部洗浄装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の局部洗浄装置は、便器本体の上面に載置されるケース本体と、該ケース本体に収納される局部洗浄ノズルとを備えた局部洗浄装置であって、
前記ケース本体の内部に収納され、プラスイオン及びマイナスイオンを放出するイオン発生装置を備え、
該イオン発生装置は、送風機と、該送風機に一端が接続されたダクトと、該ダクトの中間部に介在するイオン発生器とを有し、該ダクトの他端が前記局部洗浄ノズルに向けて開口していることを特徴とする。
【0008】
このような構成である本発明の局部洗浄装置では、カビ等の細菌を除去可能なプラスイオン及びマイナスイオンを直接、局部洗浄ノズルへ向けて放出することとなる。このため、局部洗浄ノズルの周囲にプラスイオン及びマイナスイオンを大量に供給することができる。
【0009】
したがって、本発明の局部洗浄装置は、局部洗浄ノズルの周囲を効率的かつ確実に除菌することができる。
【0010】
イオン発生装置は、プラスイオン及びマイナスイオンにより局部洗浄ノズルの除菌が完了される時間を予測し、イオン発生装置の駆動を開始した後、その時間が経過すると駆動を停止するようにしても良い。このようにすれば、無駄にイオン発生装置を駆動しなくて済むため、省エネルギー化を図ることができる。
【0011】
本発明の局部洗浄装置において、ケース本体には、設置されるトイレ室内に向けて開口する開口部が形成され、イオン発生器の下流側のダクトには開口部に連通する分岐ダクトが分岐されていることが好ましい。
【0012】
この場合、局部洗浄装置が設置されたトイレ室内にプラスイオン及びマイナスイオンを放出することとなる。この結果、トイレ室内に浮遊する細菌も除去することができる。
【0013】
本発明の局部洗浄装置において、イオン発生装置は、送風機からの送風を局部洗浄ノズル又は開口部に導く切換手段を有していることが好ましい。
【0014】
この場合、プラスイオン及びマイナスイオンの放出を必要に応じて局部洗浄ノズル側及びトイレ室内側のどちらか一方又は両方に供給することができる。このようにすれば、より効率的に局部洗浄ノズル等を除菌することができる。
【0015】
切換手段は、局部洗浄装置に取り付けられた便座に使用者が着座している場合、プラスイオン及びマイナスイオンを開口部に導くように切り替えられるようにしても良い。
【0016】
このようにすれば、プラスイオン及びマイナスイオンを搬送する空気が、局部洗浄ノズルを経由して便座に着座した使用者の臀部等に当ることがなくなる。このため、使用者は快適に便器本体を使用することができる。その際、プラスイオン及びマイナスイオンは、トイレ室内に大量に供給することとなり、トイレ室内に浮遊する細菌をより効果的に除菌することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1及び図2に示すように、実施例の局部洗浄装置10は、便器本体1の上面に載置されるケース本体20と、ケース本体20に収納される局部洗浄ノズル30とを備えている。局部洗浄ノズル30はおしり洗浄用のノズル及びビデ洗浄用のノズルの2本を有している。ケース本体20は、回動可能に軸支された便座21を有している。
【0019】
ケース本体20の内部にはプラスイオン及びマイナスイオンを放出するイオン発生装置40が備えられている。イオン発生装置40は、送風機41と、送風機41に一端が接続されたダクト42と、ダクト42の中間部に介在するイオン発生器43とを有している。ダクト42の他端には、局部洗浄ノズル30に向けて開口する吹出し口44が形成されている。
【0020】
ケース本体20には、設置されるトイレ室内に向けて開口する開口部50が形成されている。イオン発生器43の下流側のダクト42には開口部50に連通する分岐ダクト60が分岐されている。この分岐部分には、送風機41からの送風を吹出し口44又は開口部50に導く切換弁46が設けられている。切換弁46は、図示しないモータ及び制御器により回動可能に制御されている。切換手段は、切換弁46、モータ及び制御器から構成されている。
【0021】
この局部洗浄装置10は、図示しないが、この局部洗浄装置10に接近又は離反する使用者を検知する人体検知センサ及び便座21の着座の有無を検知する着座検知センサを有している。
【0022】
人体検知センサが使用者の局部洗浄装置10への接近を検知すると、イオン発生装置40及び送風機41が駆動を開始する。その際、切換弁46は、吹出し口44及び開口部50の両方にプラスイオン及びマイナスイオンを導くように中間位置46mに位置している。
【0023】
次に、着座検知センサが使用者の便座21への着座を検知すると、切換弁46は、ダクト42を閉鎖する位置46aに移動し、プラスイオン及びマイナスイオンは開口部50のみに導入され、トイレ室内に放出される。
【0024】
その後、使用者が局部洗浄装置10から離反するのを人体検知センサが検知すると、切換弁46は、分岐ダクト60を閉鎖する位置46bに移動し、プラスイオン及びマイナスイオンは吹出し口44のみに導入され、局部洗浄ノズル30に向けて放出される。その後、特定の時間が経過すると、切換弁46は、中間位置46mに移動し、イオン発生装置40及び送風機41は駆動を停止する。
【0025】
また、人体検知センサが使用者を検知しなくても、切換弁46が中間位置46mに位置した状態で、イオン発生装置40及び送風機41は間欠的に駆動される。
【0026】
このような構成である実施例の局部洗浄装置10では、カビ等の細菌を除去可能なプラスイオン及びマイナスイオンを直接、局部洗浄ノズル30へ向けて放出することとなる。このため、局部洗浄ノズル30の周囲にプラスイオン及びマイナスイオンを大量に供給することができる。
【0027】
したがって、実施例の局部洗浄装置10は、局部洗浄ノズル30の周囲を効率的かつ確実に除菌することができる。
【0028】
また、プラスイオン及びマイナスイオンを局部洗浄ノズル30に向けて放出した後、特定の時間が経過すると、イオン発生装置40及び送風機41は停止する。このため、省エネルギー化を図ることができる。
【0029】
また、ケース本体20に設けられた開口部50からトイレ室内に向けてプラスイオン及びマイナスイオンを放出するため、トイレ室内に浮遊する細菌も除去することができる。
【0030】
また、切換弁46等からなる切換手段により、プラスイオン及びマイナスイオンを局部洗浄ノズル30側及びトイレ室内側のどちらか一方又は両方に供給するようにしているため、効率的に局部洗浄ノズル30等を除菌することができる。
【0031】
また、プラスイオン及びマイナスイオンを搬送する空気が便座21に着座した使用者の臀部等に当ることがないため、使用者は快適に便器本体1を使用することができる。その際には、トイレ室内にプラスイオン及びマイナスイオンを大量に供給することとなり、トイレ室内に浮遊する細菌をより効果的に除去することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は便器本体に組み付けられる局部洗浄装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施例の局部洗浄装置の一部を切り欠いた平面図である。
【図2】実施例の局部洗浄装置の一部を切り欠いた正面図である。
【符号の説明】
【0034】
1…便器本体
10…局部洗浄装置
20…ケース本体
30…局部洗浄ノズル
40…イオン発生装置
41…送風機
42…ダクト
43…イオン発生器
46…切換弁
50…開口部
60…分岐ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体の上面に載置されるケース本体と、該ケース本体に収納される局部洗浄ノズルとを備えた局部洗浄装置であって、
前記ケース本体の内部に収納され、プラスイオン及びマイナスイオンを放出するイオン発生装置を備え、
該イオン発生装置は、送風機と、該送風機に一端が接続されたダクトと、該ダクトの中間部に介在するイオン発生器とを有し、該ダクトの他端が前記局部洗浄ノズルに向けて開口していることを特徴とする局部洗浄装置。
【請求項2】
前記ケース本体には、設置されるトイレ室内に向けて開口する開口部が形成され、前記イオン発生器の下流側の前記ダクトには該開口部に連通する分岐ダクトが分岐されている請求項1記載の局部洗浄装置。
【請求項3】
前記イオン発生装置は、前記送風機からの送風を前記局部洗浄ノズル又は前記開口部に導く切換手段を有している請求項2記載の局部洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−190293(P2008−190293A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−28698(P2007−28698)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】