説明

居室の収納構造

【課題】収納空間の一方側にいる家族員と、収納空間の他方側にいる家族員との互いのプライバシーを確保することができる居室の収納構造を提供する。
【解決手段】居室3の収納構造1では、娘が寝室4に入ることなく共用の衣類の出し入れを行うことを可能とし、寝室4を使用する夫婦のプライバシーを保つ。また、遮光性を有する建具21により、納戸空間5に娘がいる場合、娘が建具21に隠れて着替え等を行うことを可能とし、寝室4に父親がいる場合であっても、娘のプライバシーを保つ。また、透光性を有する建具20により、父親が、建具20が閉まった状態においても収納空間6にいる娘の動きを建具21の開閉等により察知することを可能とし、娘のプライバシーを保つ。このようにして、寝室4にいる夫婦と、納戸空間5にいる子との互いのプライバシーを確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、居室の収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅に設けられる収納構造として、クローゼット(納戸)を備えた構造が知られている。クローゼットの収納空間には、衣類、調度類、家具、および寝具などといった様々なものが収納・保管される。クローゼットの収納空間に収納されるものの中には、例えば衣類や装身具など、複数の家族員が共用するものも多く含まれる。
【0003】
ところで、このようなクローゼットは、居室に付随して設けられ、居室に面する出入口を1つだけ備えている場合が多い。そのため、クローゼットにアクセスするには、必ずその居室に入らなければならない。しかし、例えば居室が夫婦の寝室などであってプライバシーが重視される空間である場合、夫婦以外の家族員はその居室にむやみに入ることができず、その家族員にとってクローゼットへのアクセスが困難となる。その結果、共用のものがクローゼットの収納空間に収納されていても、その家族員は共用のものを出し入れできないといった問題が生じる。
【0004】
このような問題に対処すべく、下記特許文献1には、リビングルームと廊下との間に配置されたクローゼットが開示されている。このクローゼットは、リビングルームとの間に出入口を備えると共に、廊下との間にも出入口を備えている。特許文献1に記載の構造では、家族員は廊下からクローゼットに直接アクセスできるので、共用のものを出し入れする際においても居室に入る必要がなくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−87051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の構造では、リビングルームと廊下との両方からクローゼットの収納空間にアクセスできるものの、収納されたものの出し入れに伴う行為、例えば着替え等が考慮されていない。例えば、廊下側にいる家族員がもし着替え等を行った場合には、リビングルーム側の家族員が収納空間にアクセスした途端、廊下側で着替えている家族員が不用意に見えてしまう等といった問題がある。このように、別々の空間からクローゼットの収納空間にアクセスできる場合において、収納空間の一方側にいる家族員と、収納空間の他方側にいる家族員との互いのプライバシーを確保することが難しかった。
【0007】
本発明は、収納空間の一方側にいる家族員と、収納空間の他方側にいる家族員との互いのプライバシーを確保することができる居室の収納構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る居室の収納構造は、廊下に接して設けられる居室の収納構造であって、居室は、廊下に面する第1開口部を有する主室空間と、主室空間に隣り合って設けられて廊下に面する第2開口部を有する納戸空間とを備え、第1開口部および第2開口部の間には、主室空間と納戸空間とを区画する収納空間がさらに設けられ、収納空間と主室空間とは、透光性を有する第1建具によって区画され、収納空間と納戸空間とは、遮光性を有する第2建具によって区画されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る居室の収納構造によれば、主室空間を使用する第1家族員は、第1開口部を通って廊下から主室空間に入り、主室空間と収納空間とを区画する第1建具を開けることにより収納空間にアクセスできる。また、主室空間を使用しない第2家族員は、第2開口部を通って廊下から納戸空間に入り、納戸空間と収納空間とを区画する第2建具を開けることにより収納空間にアクセスできる。よって、第1家族員と第2家族員とが共用するものが収納空間に収納されている場合においても、第2家族員は、主室空間に入ることなく、そのものの出し入れを行うことができ、主室空間を使用する第1家族員のプライバシーが保たれる。ここで、第2建具は遮光性を有している。よって、納戸空間にいる第2家族員は、第2建具に隠れて着替え等を行うことができ、主室空間に第1家族員がいる場合であっても、第2家族員のプライバシーが保たれる。また、第1建具は透光性を有するため、第1建具が閉まった状態においても、第1家族員は、納戸空間にいる第2家族員の動きを察知することができる。第1家族員は、納戸空間で例えば着替え等を行っている第2家族員を不用意に見てしまうことのないよう配慮できるので、この観点からも第2家族員のプライバシーが保たれる。したがって、収納空間の一方側である主室空間にいる第1家族員と、収納空間の他方側である納戸空間にいる第2家族員との互いのプライバシーを確保することができる。さらに、第1建具が透光性を有するため、主室空間が明るくなる。また、第1建具を開けておき、第2建具を閉めた状態にすれば、収納空間に収納した衣類などへの通気を行いつつも、納戸空間にいる家族員のプライバシーを確保することができる。さらにまた、第1建具および第2建具を開けた状態にすれば、主室空間および納戸空間における通風・換気を行うこともできる。
【0010】
ここで、収納空間には、ハンガー等の吊下げ物を掛けるパイプが着脱可能に設置されていると好適である。この構成によれば、収納空間に普段よく使う衣類などを収納することができると共に、納戸空間には普段あまり使わない衣類や装身具などを保管でき、収納物とその使用頻度によって収納する位置を分けることができる。
【0011】
また、主室空間には、第1建具および第2建具を取り付けるための建具取付部が設けられていると好適である。この構成によれば、主室空間に設けられた建具取付部を用いて第1建具および第2建具を移設して取り付けることで、主室空間と納戸空間との間に収納空間を設けた状態で納戸空間の大きさを自在に調整することができる。
【0012】
また、建具取付部は、第1開口部よりも納戸空間側の位置に設けられていると好適である。この構成によれば、第1建具および第2建具を移設した場合においても、主室空間の第1開口部は、これらの建具によって塞がれることなく、廊下に対する出入口の機能を維持する。よって、納戸空間を大きくすることにより、納戸空間を1つの部屋として利用することができると共に、収納空間を納戸空間と主室空間との共用の収納部として使用することができる。したがって、入居者のライフステージの変化に柔軟に対応することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、収納空間の一方側にいる家族員と、収納空間の他方側にいる家族員との互いのプライバシーを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る居室の収納構造を示す平面図である。
【図2】第1建具を主室空間側から見た正面図である。
【図3】第2建具を納戸空間側から見た正面図である。
【図4】収納空間に設置されたパイプの斜視図である。
【図5】(a)〜(d)は、図1の収納構造の使用態様を示す平面図である。
【図6】第1建具および第2建具を移設した場合の収納構造を示す平面図である。
【図7】第2実施形態に係る居室の収納構造を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0016】
図1は、第1実施形態に係る居室の収納構造を示す平面図である。図1に示すように、収納構造1は、住宅内において、廊下2に接して設けられた居室3の収納構造である。本実施形態では、この住宅に住む家族は、例えば夫婦(すなわち父親および母親)と、その夫婦の子(すなわち娘や息子)とから構成される。居室3は、廊下2に沿って設けられた主室空間としての夫婦の寝室4と、廊下2に沿って設けられた納戸空間5と、寝室4および納戸空間5の間に設けられた収納空間6と、を備えている。すなわち、収納構造1は、廊下2と、寝室4と、納戸空間5と、収納空間6とを備えて構成されている。
【0017】
寝室4は、夫婦の寝室として使用される部屋である。寝室4は、平面視で長方形状をなしており、廊下2との間の壁部10、壁部10に対向する壁部11、および壁部10,11の一端部同士を連結する壁部12から形成された平面視コ字状の壁体と、寝室4と収納空間6とを区画する建具20とによって囲まれている。寝室4は、長辺壁である壁部10の一部に形成された開口部(第1開口部)7を有している。開口部7は、廊下2に面しており、寝室4の出入口として用いられる。開口部7には、図示しないドア等が設けられる。短辺壁である壁部12には、窓8aが設けられている。長辺壁である壁部11には、2つの窓8b,8cが設けられている。窓8a,8b,8cを介して、外気が寝室4内に流入可能になっている。寝室4には、2つのベッド9a,9bからなるツインベッド9が配置されている。
【0018】
納戸空間5は、寝室4に隣り合って設けられている。納戸空間5は、例えば調度類や貴金属などの装身具を収納・保管するための空間であり、収納空間6にアクセスするための空間でもある。納戸空間5は、平面視で長方形状をなしており、廊下2との間の壁部10、壁部10に対向する壁部11、および壁部10,11の一端部同士を連結する壁部13から形成された平面視コ字状の壁体と、納戸空間5と収納空間6とを区画する建具21とによって囲まれている。納戸空間5の床面積は、寝室4の床面積よりも小さい。納戸空間5は、長辺壁である壁部10の一部に形成された開口部(第2開口部)14を有している。開口部14は、廊下2に面しており、納戸空間5の出入口として用いられる。開口部14には、図示しないドア等が設けられる。長辺壁である壁部11には、窓15が設けられている。窓15を介して、外気が納戸空間5内に流入可能になっている。
【0019】
収納空間6は、寝室4および納戸空間5の間に設けられて、寝室4と納戸空間5とを区画している。収納空間6は、例えば衣類などを収納・保管するための空間である。収納空間6は、平面視で長方形状をなしており、一方側の長辺が寝室4に面すると共に、他方側の長辺が納戸空間5に面している。収納空間6の一対の短辺壁は、前述した壁部10,11の一部により構成される。
【0020】
図1および図2に示すように、収納空間6と寝室4との間には、天地丈の建具(第1建具)20が設置されている。すなわち建具20は、収納空間6の寝室4側に設けられて、収納空間6と寝室4とを仕切って(区画して)いる。建具20は、4枚の引き戸20a〜20dからなり、天井および床には、引き戸20a〜20dの上端部および下端部が摺動するレール22a,22bが固定されている。建具20は、レール22a,22bに対して着脱可能に取り付けられた着脱式の引き戸建具である。
【0021】
ここで、引き戸20a〜20dは、例えば乳白色のアクリル版など、透光性を有する部材によって構成されている。この透光性は、引き戸20a〜20dを隔てて反対側(寝室4側から見た場合の納戸空間5側)の気配や様子が窺える程度の光の透過性である。言い換えれば、引き戸20a〜20dは、半透明である。よって、建具20が閉まった状態でも、引き戸20a〜20dの向こう側に家族員がいるか否かを視認できる。引き戸20a〜20dを構成する部材としては、ガラリ扉や擦りガラス等を用いることもでき、また、部分的に透明なガラスを用いることもできる。
【0022】
図1および図3に示すように、収納空間6と納戸空間5との間には、天地丈の建具(第2建具)21が設置されている。すなわち建具21は、収納空間6の納戸空間5側に設けられて、収納空間6と納戸空間5とを仕切って(区画して)いる。建具21は、4枚の引き戸21a〜21dからなり、天井および床には、引き戸21a〜21dの上端部および下端部が摺動するレール23a,23bが固定されている。建具21は、レール23a,23bに対して着脱可能に取り付けられた着脱式の引き戸建具である。
【0023】
ここで、引き戸21a〜21dは、例えば不透明な板材など、遮光性を有する部材によって構成されている。引き戸21a〜21dが光の透過性を有しないため、引き戸21a〜21dを隔てて反対側(納戸空間5側から見た場合の寝室4側)の様子は見えないようになっている。外引き戸である引き戸21b,21cには、例えばベルト等を掛け置きできるバー28がそれぞれ2本ずつ固定されている。内引き戸である引き戸21a,21dには、等身大のミラー29が各1枚ずつ固定されている。バー28およびミラー29は納戸空間5に面して設けられており、納戸空間5における着替え等が行いやすくなっている。
【0024】
寝室4および納戸空間5に誰も居らず、寝室4や納戸空間5で誰も着替えを行っていないような通常の状態、すなわち収納空間6に誰もアクセスしていない状態では、図1に示すように、建具20は閉められており、建具21は開けられている。
【0025】
図1および図4に示すように、収納空間6には、ハンガー33等の吊下げ物を掛けるパイプ24が着脱可能に設置されている。このパイプ24は、室内物干しに用いられるハンガーパイプと同様の構成を有している。具体的には、パイプ24は、天井30に固定された略円板状の複数の取付部31と、取付部31に基端が固定されて垂下する複数のポール32とによって支持されている。パイプ24は、収納空間6の奥行き方向において2列に並設されると共に、上下2段構成となっている。パイプ24は、長尺の上パイプ24aと短尺の下パイプ24bとによって構成されている。パイプ24a,24bのそれぞれは、ポール32の途中および先端に設けられたリングに挿入されて、ポール32に懸架されている。ポール32は、取付部31に対して着脱可能である。なお、パイプ24は、壁部10,11に固定された取付部に懸架される態様であってもよい。
【0026】
このような収納空間6には、夫婦の衣類が収納されると共に、例えば母親と娘が衣類を共有する場合には、その衣類も収納される。共有の衣類は、母親が着る場合には寝室4側から出し入れされ、娘が着る場合には納戸空間5側から出し入れされる。また、例えば父親が寝室4側からワイシャツを出して着て、娘が納戸空間5側からワンピースを出して着るような使い方もできる。このような場合でも、収納構造1では、互いのプライバシーが保たれる。
【0027】
収納空間6の床上には、歩行の妨げとなるような障害物は設置されていない。そして、建具20b,20c(図2参照)および引き戸21b,21c(図3参照)を左右両側に引き寄せる(開ける)ことにより、寝室4と納戸空間5とが収納空間6を介して連絡される。これにより、夫婦や子は、寝室4および納戸空間5を行き来することができる。このように、収納空間6は、寝室4と納戸空間5との間に設けられたウォークスルークローゼットとして機能する。
【0028】
図1に戻り、寝室4の天井には、壁部10から壁部11まで延在する一対のレール26,27が固定されている。これらのレール26,27は、建具20,21を取り付けるための前述のレール22a,23aと同じものである。これらのレール26,27は、図1に示す現状においては使用されないが、将来において間取りを変更するため、建具20,21が移設され取り付けられる建具取付部である。レール26,27は、窓8bと窓8cとの間において、壁部10,11の延在方向において互いに離間して配置されている。言い換えれば、レール26,27は、寝室4の開口部7よりも納戸空間5側の位置に設けられている。なお、現状における寝室4の利便性を考慮して、床にはレールを設けず、将来建具20,21の移設が必要となったときにレールを設けるようにする。
【0029】
以上説明した本実施形態の居室3の収納構造1によれば、寝室4を使用する夫婦は、開口部7を通って廊下2から寝室4に入り、建具20を開けることにより収納空間6にアクセスできる。また、寝室4を使用しない子は、開口部14を通って廊下2から納戸空間5に入り、建具21を開けることにより収納空間6にアクセスできる。よって、例えば母親と娘とが共用する衣類が収納空間6に収納されている場合においても、娘は、寝室4に入ることなく共用の衣類の出し入れを行うことができ、寝室4を使用する夫婦のプライバシーが保たれる。また、図5(a)に示すように、建具21は遮光性を有するため、納戸空間5に例えば娘Bがいる場合、娘Bは建具21を隠れ板として着替え等を行うことができ、寝室4に父親Aがいる場合であっても、娘のプライバシーが保たれる。もちろん娘Bは、寝室4から納戸空間5側が完全に見えないようにするため、衣類を取り出した後は建具21を閉めることができる。また、建具20は透光性を有するため、父親Aは、建具20が閉まった状態においても収納空間6にいる娘Bの動きを建具21の開閉(光や音など)等により察知することができ、収納空間6で例えば着替え等を行っている娘Bを不用意に見てしまうことのないよう配慮する。よって、この観点からも娘Bのプライバシーが保たれる。これとは逆に、娘Bは、建具20が閉まった状態においても寝室4に父親Aがいるか否かを視認することができ、寝室4にいる父親Aに対して配慮する。よって、例えば父親Aが寝室4で着替える場合であっても、結果として父親Aのプライバシーが保たれる。したがって、収納空間6の一方側である寝室4にいる夫婦と、収納空間6の他方側である納戸空間5にいる子(娘Bなど)との互いのプライバシーが確保される。さらに、図1に示す通常の状態においては、建具20が透光性を有するため、寝室4が明るくなる。また、図5(b)に示すように、建具20を開けておき、建具21を閉めた状態にすれば、収納空間6に収納した衣類などへの通気を行いつつも、納戸空間5にいる家族員(子など)のプライバシーが確保される。さらにまた、図5(c)に示すように、建具20および建具21を開けた状態にすれば、寝室4および納戸空間5における通風・換気を行うこともできる。また、衣類の出し入れといった作業も行いやすい。建具20および建具21を開けた状態にすることは、衣替えや梅雨の時期において特に効果的である。
【0030】
また、収納空間6には、ハンガー33を掛けるパイプ24が着脱可能に設置されているため、収納空間6に普段よく使う衣類などを収納することができると共に、納戸空間5には普段あまり使わない衣類や装身具などを保管でき、収納物とその使用頻度によって収納する位置を分けることができる。
【0031】
また、寝室4には、建具20および建具21を取り付けるためのレール26,27が設けられているため、レール26,27を用いて建具20および建具21を移設して取り付けることで、寝室4と納戸空間5との間に収納空間6を設けた状態で納戸空間5の大きさを自在に調整することができる。例えば、図6に示すように、納戸空間5を大きくし、新たに寝室40として利用することもできる。
【0032】
また、図1および図6に示すように、レール26,27は、開口部7よりも納戸空間5側の位置に設けられているため、建具20および建具21を移設した場合においても、開口部7は、これらの建具20,21によって塞がれることなく、廊下2に対する出入口の機能を維持している。よって、納戸空間5を大きくすることにより、元の納戸空間5を1つの寝室40として利用することができると共に、元の寝室4を一人用の寝室41として引き続き利用することができ、収納空間42を寝室40と寝室41との共用の収納部として使用することができる。したがって、入居者のライフステージの変化に柔軟に対応することができる。
【0033】
また、収納空間6に設けられたパイプ24およびポール32は着脱式であるため、収納空間6の移設が容易であり、空間の用途に融通性を持たせている。また、建具21にバー28やミラー29が取り付けられるため、クローゼット(納戸)としての機能が充実しており、使い勝手の向上が図られている。
【0034】
また、図5(d)に示すように、収納空間6はウォークスルークローゼットとして機能するため、父親Aが収納空間6から衣類を取った後、納戸空間5で着替えて開口部14から出て行ったり、納戸空間5から調度類を取って寝室4に戻ってきたりでき、収納空間6や納戸空間5にアクセスする目的に応じて自由な使い方ができる。この場合、ハンガー33を左右に寄せることで、収納空間6を通りやすくなる。
【0035】
図7は、第2実施形態に係る居室の収納構造を示す平面図である。図7に示す収納構造1Aでは、居室50は、夫婦の寝室52と、寝室52に隣り合って設けられた納戸空間54と、寝室52および納戸空間54の間に設けられた収納空間55と、開口部59を介して納戸空間54に連絡する子供室53とを有している。また、廊下51は、寝室52および収納空間55に沿って延びると共に、納戸空間54に沿ってL字状に曲がっている。寝室52は、廊下51に面する開口部56を有し、納戸空間54は、廊下51に面する2つの開口部57,58を有している。収納空間55と寝室52とは、透光性を有する建具60によって区画され、収納空間55と納戸空間54とは、遮光性を有する建具61によって区画されている。
【0036】
収納構造1Aによれば、収納構造1と同様にして、寝室52にいる夫婦と、納戸空間54にいる子との互いのプライバシーが確保される。収納構造1Aでは、廊下51から納戸空間54に入ることができるばかりか、子は、開口部59を介して子供室53から直接納戸空間54に入ることができる。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態では、建具20,21の上下にレールが設けられる場合について説明したが、これらの建具は、吊り戸や折り戸などであってもよい。また、建具20,21を移設する場合において、図6では2つの居室を寝室40,41として利用する場合について説明したが、いずれか一方を書斎もしくはドレッシングコーナーとして利用してもよい。さらには、第2実施形態において、納戸空間54の開口部57,58,59のうち、いずれか1つ又は2つのみを設ける構成であってもよい。上記実施形態では、パイプ24にハンガー33を掛ける場合について説明したが、パイプには、例えばS字フックや、ベルト掛け若しくはネクタイ掛け等の吊下げ物を掛けてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1,1A…収納構造、2,51…廊下、3,50…居室、4,52…寝室(主室空間)、5,54…納戸空間、6,55…収納空間、7,56…開口部(第1開口部)、14,57,58…開口部(第2開口部)、20,60…建具(第1建具)、21,61…建具(第2建具)、24…パイプ、26,27…レール(建具取付部)、33…ハンガー(吊下げ物)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廊下に接して設けられる居室の収納構造であって、
前記居室は、前記廊下に面する第1開口部を有する主室空間と、前記主室空間に隣り合って設けられて前記廊下に面する第2開口部を有する納戸空間とを備え、前記第1開口部および第2開口部の間には、前記主室空間と前記納戸空間とを区画する収納空間がさらに設けられ、
前記収納空間と前記主室空間とは、透光性を有する第1建具によって区画され、
前記収納空間と前記納戸空間とは、遮光性を有する第2建具によって区画されている
ことを特徴とする居室の収納構造。
【請求項2】
前記収納空間には、ハンガー等の吊下げ物を掛けるパイプが着脱可能に設置されている
ことを特徴とする請求項1記載の居室の収納構造。
【請求項3】
前記主室空間には、前記第1建具および前記第2建具を取り付けるための建具取付部が設けられている
ことを特徴とする請求項1または2記載の居室の収納構造。
【請求項4】
前記建具取付部は、前記第1開口部よりも前記納戸空間側の位置に設けられている
ことを特徴とする請求項3記載の居室の収納構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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