説明

屈折率変化装置及び屈折率変化方法

【課題】透明領域において1%を超える屈折率変化率特性を有し、かつ、この屈折率変化を記録する。
【解決手段】複数の量子ドット106が基底準位と励起準位とが周囲の環境温度によるエネルギーによって交わることがない離散的なエネルギー準位を有する。バリア構造部106が複数の量子ドットを取り囲む誘電体からなる。注入部105がバリア構造部を介して複数の量子ドットの基底準位に、エネルギー準位を変化させて電子をトンネル注入あるいは注入を阻止する。光源101Aが基底準位の電子を励起準位に励起させるエネルギーを有する光を量子ドットに照射する。光源101Bが光源101Aが照射する光のエネルギーとは異なるエネルギーを有する光を前記量子ドットに照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈折率変化装置及び屈折率変化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多数の研究者が屈折率変化材料の研究開発を進めている(例えば、特許文献1参照)。屈折率は光の伝播特性を制御するため、屈折率の大きさや分布を制御する光を制御することになるからである。これまでは、液晶による屈折率変化制御技術の開発の成功により、液晶ディスプレイが製品化された。これ以外には屈折率変化は光コンピュータの主要なメカニズムになると考えられたため、この方面では主にポッケルス効果やカー効果等、二次あるいは三次の非線形光学材料の研究が数多く行われてきている。
【特許文献1】特開2002−217488公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、二次あるいは三次の非線形光学材料による、実際に透明領域での屈折率の変化率は実質的には1%を超えるものはほとんどない。10%程度の屈折率変化を達成しているものとしては液晶があるが、液晶は液状のため応用用途が限られる。また、液晶は電圧をきった場合、記録を保持することはできない。
【0004】
本発明は、上述した従来の問題点に鑑み、透明領域において1%を超える屈折率変化率特性を有し、かつ、この屈折率変化を記録することができる屈折率変化装置及び屈折率変化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の屈折率変化装置によれば、基底準位と励起準位とが周囲の環境温度によるエネルギーによって交わることがない離散的なエネルギー準位を有する複数の量子ドットと、前記複数の量子ドットを取り囲む誘電体からなるバリア構造部と、前記バリア構造部を介して前記複数の量子ドットの基底準位に、エネルギー準位を変化させて電子をトンネル効果により注入あるいは注入を阻止するための注入部と、前記基底準位の電子を前記励起準位に励起させるエネルギーを有する光を前記量子ドットに照射する第1の光源と、前記第1の光源が照射する光のエネルギーとは異なるエネルギーを有する光を前記量子ドットに照射する第2の光源を具備することを特徴とする。
【0006】
本発明の屈折率変化方法によれば、基底準位と励起準位とが周囲の環境温度によるエネルギーによって交わることがない離散的なエネルギー準位を有する量子ドットの基底準位の電子を励起準位に励起させるエネルギーを有する光を前記量子ドットに照射し、基底準位と励起準位とが周囲の環境温度によるエネルギーによって交わることがない離散的なエネルギー準位を有する複数の量子ドットを取り囲む誘電体からなるバリア構造部を介して前記複数の量子ドットの基底準位に、電子を注入する注入部のエネルギー準位を変化させて電子をトンネル効果により注入あるいは注入を阻止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の屈折率変化装置及び屈折率変化方法によれば、透明領域において1%を超える屈折率変化率特性を有し、かつ、この屈折率変化を記録することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態の屈折率変化装置及び屈折率変化方法について詳細に説明する。
本実施形態の屈折率変化装置は、図1に示すように、光源101A、光源101B、制御部102、電子注入部の準位制御部103、屈折率変化素子構造部104からなる。屈折率変化素子構造部104は、例えば、電子注入部としてITO(Indium-Tin Oxide)透明電極105、複数の量子ドット、バリア構造部を含む量子構造部106からなる。透明電極105は量子構造部106とは反対側にガラス基板が付いたものでも良い。
量子ドットとは、電子のド・ブロイ波長程度の大きさをもつドット状の領域に電子を閉じ込めることにより、状態密度エネルギーが離散化された0次元電子系のことである。量子ドットは離散的なエネルギー準位を有する。量子ドットとしては金属微粒子、半導体微粒子、フラーレン分子、カーボンナノチューブ、及び有機分子からなる群より選択される少なくとも1種が用いられる。また、バリア構造部では、電子のエネルギーが量子ドットのエネルギー準位にほぼ一致すれば電子がトンネリングする特性を有する。
【0009】
光源101A及び光源101Bは、制御部102に指定された所定のエネルギーを有する光を発生する。発生した光は、屈折率変化素子構造部104に照射される。光源101Aは、例えば、屈折率変化素子構造部104内部の量子ドットの電子を励起するための励起光を発生する。光源101Bは、例えば、屈折率変化素子構造部104に屈折率を変化させることにより記録された画像を再生するための再生光を発生する。再生光のエネルギーは、量子ドット及びバリア材料が吸収しない、あるいは吸収係数が小さい程度の大きさが好ましく、例えば、屈折率変化素子構造部104を透過した光の透過率が50%以上有る程度のエネルギーに調整されることが好ましい。励起光のエネルギーの詳細については後に図3を参照して説明する。
【0010】
制御部102は、屈折率変化装置を制御するものであり、例えば、光源101A及び101Bが発生する光のエネルギーの大きさ、電子注入部のエネルギー準位制御部103が屈折率変化素子構造部104に注入するための電子注入部のエネルギー準位を決定する。
【0011】
電子注入部105から、電子注入部のエネルギ-準位制御部103に指定された所定のエネルギーを有する電子を介して量子構造部106に注入する。電子注入部105のエネルギー準位を制御しトンネル効果によって電子を注入する。トンネル効果による電子注入はシュレーディンガー方程式によればバリア層が薄くなければトンネル効果が起こる確率は著しく低くなってしまうので、或る程度の薄さのバリア層が必要である。バリア層の厚みについては後に図3を参照して説明する。電子注入部105は、例えば、屈折率変化素子構造部104を挟む1対の電極や、近接場光学顕微鏡(Near-field Scanning Optical Microscope,NSOM)のプローブとITO透明電極105との対であり、これらで電子を量子構造部106に注入する。
【0012】
屈折率変化素子構造部104は、量子ドットを含むポリスチレン膜をITO透明電極105で挟んだ構造を有する。量子構造部106は、例えば、量子ドットとしてC60、バリア構造部としてポリスチレン膜からなる。量子ドットとしては金属微粒子、半導体微粒子、フラーレン分子、カーボンナノチューブ、及び有機分子からなる群より選択される少なくとも1種が用いられる。量子構造部106は、量子ドットとバリア構造部により量子ドットのエネルギー準位が量子井戸型構造を有する。量子構造部106の詳細は後に図2を参照して説明する。
【0013】
ここで、本発明の実施形態にかかる屈折率変化装置の原理を説明する。
屈折率は、基底準位(HOMO:Highest Occupied Molecular Orbital、SOMO:Single Occupied Molecular Orbital)と励起準位(LUMO:Lowest Unoccupied Molecular Orbital)との間のエネルギーギャップの大きさに関係している。
電子注入部105が量子構造部106の量子ドットに電子を注入すると、屈折率の決定に大きく寄与する最外殻オービタル(すなわち、最高被占分子軌道)の外側に、新たに最外殻オービタル(すなわち、より高エネルギーの最高被占分子軌道)が形成され、この新たな最外殻オービタルが維持されれば大きな屈折率変化の効果を維持することができる。
【0014】
本発明の実施形態においては、電子注入部105が量子構造部106へ電子を注入した後であれば電子が新たな最外殻オービタルに維持されるので屈折率変化素子構造部104の屈折率変化の効果が維持される。したがって、本実施形態の屈折率変化装置では、電子注入後に電子注入部105からエネルギーを注入する必要がなくなる。これは本実施形態の屈折率変化装置を記録装置になぞらえると、光源101A、電子注入部のエネルギー準位制御部105、電子注入部105が書き込み装置、電子が注入される量子構造部106が媒体(屈折率変化媒体)に相当する。
本発明の実施形態の屈折率変化装置及び屈折率変化方法は、屈折率変化の新しいメカニズムを提案するものであり、本発明の実施形態にかかる屈折率変化装置によればこれまでの手法よりも大きな屈折率変化を得ることができる。
【0015】
次に、屈折率変化素子構造部104の構造を図2を参照して説明する。
屈折率変化素子構造部104は、図2に示したように、ITO透明電極105、量子構造部106からなり、量子構造部106はバリア構造部201、複数の量子ドット202からなる。
図2に示すように、ITO透明電極105は2つあり量子構造部106をサンドイッチ状に挟んで保持する。量子構造部106は、例えば、バリア構造部201だけの層と量子ドット202を含んだバリア構造部201の層が積層されている。各ITO透明電極(電子注入部)105は、電子注入部のエネルギー準位制御部103と接続していて、一方のITO透明電極105から量子構造部106に電子がトンネル効果により注入される。また、バリア構造部201は、比誘電率が7以上であることが好ましい。
【0016】
屈折率変化素子構造部104は、エネルギー準位が量子井戸構造を持つ必要があり、量子ドット202とバリア構造部201を備えている。また、量子ドット202に電子を注入することのできる構造が必要であり、制御部102が量子ドット202に電子を注入できる状態に制御することができることが必要であるので、電子注入部であるITO透明電極105とそのエネンルギー準位の制御部103が設けられる。さらに、電子が注入された量子ドット202は安定な状態を維持することができること、電子が注入されるITO透明電極105のエネルギー準位であるフェルミレベルと量子ドット202のエネルギー準位の相対関係を変化することが可能なように電子注入部のエネルギー準位制御部103がITO透明電極105に接続される。この電子注入については後に図3を参照して説明する。
【0017】
また、屈折率変化素子構造部104は光機能素子であることから光の入射部及び出射部が必要となるが、ITO透明電極105が透明であることにより、ITO透明電極105が光の入射部及び射出部となる。図2では、左右のどちらか、あるいは両方のITO透明電極105の左方から励起光又は再生光が入射し、左右のどちらか、あるいは両方のITO透明電極105から透過光が射出する。
【0018】
量子ドットの材料としては、金属ナノ粒子、半導体ナノ粒子、有機分子がある。代表的な量子ドットの材料は、ナノ粒子材料である、Cu、Au、Ag、Fe、Ni等の金属、 Si、Ge、Sn、Pb、ダイヤモンド、GaAs、AlAs、InAs、GaP、InSb等のIII−V族半導体、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、等のII−VI族半導体、C60、カーボンナノチューブ等の有機分子、無機分子がある。また、バリア構造部の材料としては、ガラスやポリマー等、基底準位(HOMO、SOMO)と励起準位(LUMO)との間のエネルギーギャップが大きく、かつ、量子ドットを励起する光の波長を吸収しない材料が好ましい。また、再生光が屈折率変化素子構造部104を透過した光の透過率が50%以上有るような材料が好ましい。
ところで、三次非線形光学材料は適さない。なぜなら、三次非線形光学材料では量子効果により量子ドットに電場を印加し、電子や励起子の波動関数を変調して、屈折率変化の効果が増大することが知られているが、三次非線形光学材料による屈折率変化は本実施形態の屈折率変化装置による屈折率変化よりも少なく本実施形態によるものよりも1、2桁以上も小さくなるからである。三次非線形光学効果は理論的には電場を大きくすればそれなりに屈折率変化は大きくなるが、実際には材料が強電場で破壊されてしまい、報告されている変化率はほとんど1%以下である。三次非線形光学効果の場合、本実施形態の屈折率変化装置での場合のように電子を注入する訳ではなく、強電場に強くするためバリア層は厚くしているのが一般的である。
【0019】
次に、光源101Aが発生する励起光に関する現象について図3を参照して説明する。
光源101Aは、上述した励起光として、図3に示すように、量子ドットの基底準位G1とそのすぐ上のエネルギー準位である励起準位E1のエネルギーギャップ差に相当するエネルギーを有する光を屈折率変化素子構造部104に照射する。基底準位G1にある1つの電子が励起光のエネルギーを吸収して励起準位E1に励起される。この場合、この励起光は量子ドットのエネルギー準位に共鳴するエネルギーを有していると言われ、この励起光のエネルギーを共鳴エネルギーと呼ぶ。
【0020】
さらに、このとき、電子注入部105が、励起によって量子ドットの基底準位G1に生じたホールに、電子を注入する。基底準位G1に1つの電子が注入されることにより、エネルギーを放射して励起準位E1から基底準位G1に電子が落ち込むこともなくなる。すなわち、基底準位G1に電子が注入されることにより、電子が励起準位E1に安定して存在することができる。
より詳細には、次の様にして、電子注入部のエネルギー準位制御部103が、電子注入部105が注入する電子のエネルギー準位を決定する。基底準位G1、励起準位E1等に存在する電子は、常に温度によるエネルギーを得たり、放出したりしている。すなわち、基底準位G1等は温度によるエネルギー分だけ余計に幅が広がる。ここで、本説明ではエネルギー準位は温度の影響がなければ、デルタ関数のように幅がないとして説明することができるが、実際は状態密度分布だけ幅があり、エネルギー準位の高さあるいは大きさとはその幅の範囲を全て含むものとする。その幅は、厳密にはフェルミ−ディラック分布関数によって決定されるが、ほぼkT(k:ボルツマン係数(約8.61×10−5(eV/K))、T:温度(単位はK[ケルビン]))で示されることが知られている。したがって、電子注入部のエネルギー準位制御部103は、電子注入部105が基底準位G1を中心とした幅kTのエネルギー(すなわち、G1−kTとG1+kTの間のエネルギー)を持つ電子を屈折率変化素子構造部104に注入するように制御すればよい。より好ましくは、電子注入部のエネルギー準位制御部103は、電子注入部105が基底準位G1よりもkT以下だけ高いエネルギー(すなわち、G1よりも高くG1+(kT以下)であるエネルギー)を持つ電子を屈折率変化素子構造部104に注入するように制御することである。その後、電子注入部のエネルギー準位制御部103が、屈折率変化素子構造部104に接続している電子注入部105の部位の電位をドット基底準位よりkT(eV)以上上げるように制御すると、基底準位G1に在る電子が電子注入部105へ戻ることはできず、励起準位に在る電子が基底準位G1に落ち込まず安定する。
また、本実施形態では、電子注入部のエネルギー準位制御部103が電子注入部105を制御しない状態に於いて電子注入部105が量子ドットの基底準位よりkT(eV)以上差がある状態であるとし、電子注入する場合に電子注入部105のエネルギ-準位制御部103が電子注入部105を制御してトンネル注入によって量子構造部106へ電子を注入した場合、注入後電子注入部のエネルギー準位制御部103が制御を止めた場合、電子注入部と量子ドットの基底準位との相互作用がなくなり、基底準位G1に在る電子が電子注入部105へ戻らず、励起準位に在る電子が基底準位G1に落ち込まず安定する。
すなわち、本実施形態の屈折率変化装置によれば、消費電力が無い状態で励起準位に在る電子が基底準位G1に落ち込まず安定させることができる。この場合、温度による電子のエネルギー準位の幅を考慮しても基底準位G1のエネルギー準位と励起準位E1のエネルギー準位がそれぞれ電子注入部のエネルギー準位と交わらないような量子ドット材料と電子注入部の材料を用意しておくことが必要である。すなわち、量子ドットでは、基底準位G1と励起準位E1とのエネルギーギャップが2kTよりも大きいという条件が必要であり、基底準位G1と電子注入部のエネルギー準位との差、励起準位E1と電子注入部のエネルギー準位との差がそれぞれkT以上あれば消費電力を少なく屈折率変化を保持することができる。また、この条件を満たせば、電子注入部105が励起準位E1に電子を注入しないようにするために、基底準位G1よりもkTだけ高いエネルギーが、励起準位E1が温度によるエネルギーにより揺らいだ場合を考慮した励起準位E1のエネルギーのkTだけ低いエネルギーよりも小さくする、すなわち、励起準位E1と基底準位G1が2kT以上離れているという条件も満たす。
さらに、温度による電子の擾乱によりエネルギー準位が揺らいで励起準位E1のエネルギー準位と励起準位E2のエネルギー準位が交わらないような量子ドット材料を用意しておくことが好ましい。すなわち、量子ドットでは、励起準位E1と励起準位E2とのエネルギーギャップが2kTよりも大きいことが好ましい。
【0021】
電子注入部105と屈折率変化を起こす量子ドットの間のどこかにトンネリングバリアが必要だが、例えば電子注入部105と量子ドットの集合体との間にトンネリングバリアがあれば量子ドット間にはトンネリングバリアはなくてもよい。ただし、量子ドットでは、離散的エネルギー準位が保持されていることが必要となる。
【0022】
また逆に、量子ドット間がトンネリングバリアに覆われていれば、量子ドットの集合体の表面と電子注入部105との間にトンネリングバリアがある必要がなく、この場合は最表面の量子ドットは電子注入部105の一部として機能する。励起光が屈折率変化素子構造部104に照射される以前に電子注入部105の電子のエネルギー準位であるフェルミレベルと量子ドットの基底準位あるいは励起準位のエネルギー準位との差が小さければ、励起光により励起準位に励起された電子は間もなく基底準位に落ち込んでしまう。言い換えれば、この場合、励起準位にある電子が温度によるエネルギーにより揺らぐことにより、この電子とホールはすぐに再結合してしまう。励起準位に電子が存在していないと、屈折率の変化は生じない。したがって、電子注入部のエネルギー準位制御部103は、屈折率変化を起こすか起こさないかを電極準位で決定する。
【0023】
以上のようにして電子が励起された状態が保持されている場合、複素屈折率の実部が変化する。この変化率は、励起準位に保持された電子がさらに上位の励起準位E2に励起されるエネルギーギャップ、すなわちE1とE2との間のエネルギーギャップ、とG1とE1との間のエネルギーギャップとの差が大きいほど大きくなる。また、ドットのサイズが小さくE1の電子密度が小さく飽和しやすいほど、屈折率変化が大きくなる。電子が励起された状態が保持されている場合の屈折率の変化率の大きさは非常に大きく10%以上が可能であり、従来の非線形光学材料の2桁以上も大きい変化率を達成することができる。
【0024】
光源101Aからの励起光ω1により変化した屈折率実部の変化は、光源101Bが再生光ω2を屈折率変化素子構造部104に照射することにより、屈折率変化素子構造部104は透明でありながらここから励起光により書き込まれた屈折率変化パターンを読み出すことができる。一方、励起電子の保持を止める場合には電子注入部の電位を基底準位G1あるいは励起エネルギーE1よりやや低エネルギーにあわせれば、ホール生成から光放出によって、元の状態に戻るか、励起準位E1から電子注入部へ直接排出し、元の状態に戻る。すなわち、このようにして屈折率変化素子構造部104に記録された屈折率変化パターンを消去することができる。このように本実施形態形態の屈折率変化装置は、映像やアナログデータ、デジタルデータを記録する記録装置としても使用することができる。
【0025】
以上に示したように、本実施形態の屈折率変化装置によれば、励起状態に電子を定常的に安定して存在させることができ、屈折率変化素子構造部104の屈折率を定常的に安定して局所的に変化させることができる。
【0026】
電子を量子構造部106に注入する手法は、電子のトンネル効果を用いる。バリア構造部201が薄い場合にトンネリングが起こりやすい。トンネル効果はトンネリングバリアを形成するバリア構造部201が厚さに依存する。トンネル効果の生じる確率は、シュレーディンガー方程式に基づいて計算することができ、バリア構造部201の厚みが薄いほどトンネル効果が生じやすい。
より詳細には、トンネル効果は、量子力学的な系でポテンシャルVの高さがあるバリアに、Vよりも小さいエネルギーEの電子が衝突した時にバリアを突き抜ける現象である。バリアの内側でも外側でも確率tがゼロでない場合に起こる。シュレーディンガー方程式にしたがって計算すれば、バリアを通り抜ける透過率すなわちトンネル効果の確率tは下記の式で表わされる(例えば、「単一電子トンネリング概論」春山純志著、コロナ社、2002年初版参照)。
【0027】
【数1】

【0028】
この式によると、バリアの厚みaが薄いほどトンネリングが起こり易いことがわかる。
【0029】
また、量子構造部106に集積された離散的なエネルギー準位をもつ量子ドット202に電子が注入されると、クーロンブロッケードが起こる場合があり、量子ドット202に電子が捕獲され安定化する。クーロンブロッケードが起こるためには以下の3つの条件を満たす必要がある。
【0030】
【数2】

【0031】
ここで、kはボルツマン定数、Tは温度、Rは接合トンネル抵抗、Rは抵抗量子(25.8kΩ)、Re(Zt(ω))は外場電磁場環境インピーダンスの実部、εは誘電率、Sは接合面積、aはトンネリングバリアの厚みである。まず、バリアとなるバリア構造部201は電子がトンネルできるほど薄い必要があり、次にバリア構造部201の帯電エネルギー(量子ドットのエネルギー準位上昇分)が環境温度エネルギーkT(k:ボルツマン定数、T:絶対温度)より大きい必要がある。したがって、バリア構造部201の静電容量が小さい必要があるが、その静電容量を決める因子の1つである膜厚は上記のようにトンネリング可能な薄さにとどめるという制限がある。また、面積すなわち量子ドットの表面積の影響が決定的となり、必然的に量子ドットのサイズは小さいことが必要となる。
【0032】
クーロンブロッケードをエネルギー準位の観点から説明すれば、電極のエネルギー準位であるフェルミレベルとトンネリング先である量子ドットのエネルギー準位(Ecとする)との関係で決定される。すなわち、電子1個の注入でEcがkT以上変化すればよい。
【0033】
本発明の実施形態にかかる屈折率変化素子の効果は、ポッケルス効果を代表する2次や3次の非線形光学効果によって構造部の屈折率変化を得る従来技術とは大きく異なる。両者の相違点について以下に説明する。
(1)従来技術では、電子は構造部に電場を加えるための電極にとどまっている。一方、本発明の実施形態では、電子は電子注入部から構造部の量子ドットへと移動する。
【0034】
(2)従来技術では、構造部に電圧を印加することを止めたときに、非線形光学効果が失われ、屈折率変化効果も失われる。一方、本発明の実施形態では、電子が量子ドットにとどまっている限り、屈折率変化の効果が持続する。
【0035】
(3)従来技術のポッケルス効果では、屈折率変化の度合いはたかだか10-3程度である。一方、本発明の実施形態では、屈折率変化の度合いは10-1又はそれ以上になる。
【0036】
(4)一般にフォトクロミズムなど吸収スペクトルを変化させる方法はいくつかある。また、クラマース−クロニッヒの関係が導くように、吸収端近傍における屈折率変化は比較的大きくできる。このため、吸収スペクトル又は吸収係数を変化させて屈折率実部を変化させる方法はよく用いられている。しかし、透明領域においては大きく屈折率を変化させることは難しい。一方、本発明の実施形態においては、透明領域においても大きな屈折率変化をもたらすことができる。
【0037】
(5)一般的な3次元のバルク半導体の場合、多数の電荷が同一励起バンド枝に存在するため、1個の電子を注入してもバンド(エネルギー準位)を占有する電子の分布の変化が非常に小さい。一方、本発明の実施形態では、量子ドットのエネルギー準位が離散化されているため、1個のエネルギー準位に存在できる電子の数は数えられる程度である。このため量子ドットに新たに1個の電子を注入した場合、電子はそれまで電子が存在していなかったエネルギー準位を占有する。また、量子ドットのエネルギー準位が離散化しているため、吸収スペクトルピークの幅が狭く透明領域が広い。
【0038】
(6)本発明の実施形態に係る屈折率変化素子は、光の導波を制御すること及び情報の光記録を目的とするものであり、この点で吸収や共鳴状態を伴うレーザや増幅器とは異なる。したがって、透明な波長領域が広ければ広いほど光デバイスとしての応用範囲は広くなる。さらに、本発明の実施形態は、吸収共鳴効果で3次非線形光学効果が増幅される量子ドット励起子効果とは原理も異なり、透明領域でも屈折率変化するという効果も異なる。
【0039】
(7)本発明の実施形態では、量子ドット以外の屈折率変化素子構造部104は屈折率変化しないため、量子ドットの密度が高いほど全体の平均屈折率変化が大きくなる。本発明の実施形態にかかる屈折率変化素子を導波路として使用する場合、平均屈折率変化が少なくとも1.5%を超えるように量子ドットの密度を設定することが有効である。1.5%とは現在使用されている導波路の屈折率変化の一般的な値である。
【0040】
上記の相違点に関連してさらに原理的な説明を述べる。量子ドットへ入射した光はその電場によって、電子殻を揺らす(励起)。揺らされた電子殻は光を放出する。この時の放出過程はアインシュタインのB係数に関わるもので、非共鳴領域においても励起から放出までに時間を要する。励起と放出を繰り返すことによって、光は伝播していく。この励起・放出にかかる時間が光伝播の位相速度Vpを決定する。真空中の光速をCとするとVp/Cが、本実施形態の屈折率変化装置で変化を起こそうとする屈折率実部である。屈折率は、以下に示すように、ローレンツ−ローレンスの式を通して分子分極率と関係づけられる。
【0041】
【数3】

【0042】
ここで、nは屈折率、Mはモル質量(1モルあたりの質量)、ρは密度、Nはアボガドロ数、αは分極率である。
【0043】
分子分極率を変化させるためには、2次、3次の非線形光学効果を利用し、電場を印加することによって電子のオービタルを歪ませるという方法が一般的である。しかし、この方法による分極率変化は小さい。一方、ナノスケールサイズの量子ビットに電子を注入した場合、新しくオービタルが形成され、かつクーロン反発がおこるため、HOMOやLUMOのケミカルポテンシャルやHOMO−LUMOギャップが大きく変動する。したがってこれらの効果により分極率が大きく変化する。なお、量子ビットから電子を排出した場合、新たなオービタルは形成されないため、電子を注入した場合に較べて屈折率の変化は小さい。それでも、従来技術である非線形光学効果による分極率変化に較べて大きな変化が期待できる。
【0044】
また、一般に、量子ドットに電子を過剰に供給すると量子ドットは安定して存在しにくくなる傾向がある。一方、本発明の実施形態のように、量子ドットの周囲を誘電体で取り囲むと、誘電緩和により全体のエネルギーが安定し、しかも分極率の変化も大きくなる。電子注入時には、バリア構造部のLUMOを量子ドットのLUMOよりも高くしておくことによって電子は量子ドットに捕獲される。
【0045】
電子注入時の駆動電圧は、量子ドット間に存在する誘電体をコンデンサーとして考え、このコンデンサーが電極間に直列に並んだ回路と考えて概算することができる。モデルとして、図4に示すように1辺の長さが1nmである立方体の量子ドットの周囲を膜厚0.5nmのバリア構造部が囲んでいると仮定し、図5に示すようにこれが直列に5個並んだコンデンサーを考える。このコンデンサー間に電子1個分ずつが蓄積されていったとして電圧Vを計算する。電圧Vとコンデンサーの容量Cと電荷Qの間にはV=Q/Cの関係がある。また、Cは下記の式で表される。
C=ε0εrS/d
ここで、ε0は真空の誘電率(ε0=8.85×10-12F/m)、εrは比誘電率、Sはコンデンサーの面積、dはコンデンサーの距離である。
【0046】
上記のモデルでは、S=1×10-182、d=1×10-9×5[m]である。ただし、量子ドットを含めた全厚みは10nmとなる。電荷Qは量子ドットに注入される電子5個分に相当するので、Q=e×5=1.6×10-19[C]×5=8×10-19[C]となる。
【0047】
εr=10とするとC=1.8×10-20となるのでVは約44Vとなる。全厚みを100nmとすると、εr=10の場合は440Vとなるが、εr=100の場合は44V、さらにεr=1000であれば4.4Vとなり、容易に電子注入可能である。上記のモデルではεr=880程度で駆動電圧が約5Vとなるので、駆動電圧の観点からみればこの程度の比誘電率が好ましい。さらに厚みを増したい場合には、電極を多層にして厚みを増してもよい。なお、電極に対して並列に並べることは問題ない。
【実施例】
【0048】
以下に、具体的な実験例を挙げて本発明の実施形態にかかる屈折率変化装置を説明する。
(実験例1)
屈折率変化素子構造部104を変形した具体的な実験例を図6を参照して説明する。
本例では、バリア構造部201としてポリスチレン膜を使用し、量子ドット202としてC60を使用する。図6の例では、ポリスチレン膜にC60を分散する。この量子ドット202を含んだポリスチレン膜を積層して、この積層したものをITO透明電極105でサンドイッチ状に挟む。ITO透明電極105の電位差を変えられるように、ITO透明電極(電子注入部)105には電子注入部のエネルギー準位制御部103が接続されている。図6に示した屈折率変化素子構造部は、このようなポリスチレン膜を透明電極105で挟んだものを10層積層したものである。
また、ITO透明電極105の電圧は、図6に示すように、端から、アース(0ボルト)、所定の電圧Vボルト、アース、Vボルト・・・と交互になるように設定する。まず、制御部102が電源電圧Vを図2のエネルギー準位G1に一致するように制御する。そして、制御部102は光源101Aに、屈折率変化素子構造部104に記録させるパターンの形状をしたエネルギー2.7eVの励起光を照射するように制御する。その後、制御部102は、電子注入部のエネルギー準位制御部103を通して電子注入部105に指示し、電子注入部105のエネルギ-準位を量子ドットのエネルギー準位G1より1.3eV上昇させ、光源101Aに指示し光照射を止めさせる。その結果、量子構造部106のC60を含んだポリスチレン膜にパターン形状が屈折率変化図として写しだされていることがわかった。
【0049】
この例では、光の照射が最も強かった部分の屈折率変化率は約10%であった。これは複素屈折率変化の実部の変化であるため、照射光ω1以外の光、例えば、0.95eVの再生光を屈折率変化素子構造部に照射してもパターンは認識できた。このパターン形状の他にもデジタルデータも同様に一括記録ができた。本例では、トンネリングバリアの役割はポリスチレンが果たしているため、ITO透明電極105とC60を含んだポリスチレン膜との間にバリア膜を形成する必要は無い。
また、屈折率変化素子構造部の形状をディスク型にし、この屈折率変化素子構造部を回転させながら光の照射を行い記録し、その後光を照射して再生を行っても同様な結果を得た。
【0050】
次に、図6に示した例に対応する、量子ドット202がC60であり、バリア構造部201がポリスチレンでできている場合を図7を参照して説明する。
図7に示したC60の場合、例えば、屈折率変化素子構造部104中の量子構造部106の量子ドットの温度が300Kとすると、この温度によるエネルギーの揺らぎの程度であるkTは約0.026eVになる。また、図7に示したC60の場合は、基底準位G1と励起準位E1とのエネルギーギャップは2.7eVであるので、2kT(約0.052eV)よりも大きい。さらに、図7に示したC60の場合は、励起準位E1と励起準位E2のエネルギーギャップは1.4eVであるので、やはり2kT(約0.052eV)よりも大きい。
【0051】
(実験例2)
実験例1において、電子注入部としてITO透明電極を金に変えた場合、電圧印加を止めた時、屈折率パターンは消去したが、この接続部分をセシウムにした場合は電圧印加を止めた後もパターンが保持されていた。
【0052】
(実験例3)
本例は、2つの励起光を対物レンズにより干渉させて、この干渉縞を量子構造部106に記録するものである。本例を図8を参照して説明する。
実験例1の屈折率変化素子構造部に対物レンズ501を通して2つの励起光ω1、ω2(共にエネルギー2.7eV、波長約460nm)を干渉させて照射し、干渉縞のスポットを量子構造部106に記録した。これはデジタルデータの記録にあたる。この干渉縞の密度は1cmあたり9個程度とした。この後、エネルギー0.95eV(波長約1.3μm)の光(再生光)を発生する光源101Bからビーム面積1cmで照射したところ、9ポイントで回折し、一度の読み出しでビーム径全ての読み出しが可能なことがわかった。
【0053】
(実験例4)
実験例1の量子ドット202であるC60の代わりに粒径約1.2nmのCdSeナノ結晶を用いた。励起光として3.0eV(410nm)、再生光として0.8eV(1.55μm)を使用したところ、実験例1と同様の結果を得ることができた。
【0054】
以上に示したように、本実施形態の屈折率変化装置及び屈折率変化方法によれば、離散的なエネルギー準位を有する量子ドットの基底準位の電子を励起準位に励起させるエネルギーを有する光を量子ドットに照射し、量子ドットの基底準位に電子を注入することにより、透明領域において1%を超える屈折率変化率特性を有し、かつ、この屈折率変化を記録することができる。
【0055】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態にかかる屈折率変化装置のブロック図。
【図2】図1の屈折率変化素子構造部の構造を示した図。
【図3】励起光による現象及び電子注入を説明するための図。
【図4】量子ドットとこれを囲むバリア構造部のモデルを示す図。
【図5】電子注入時の駆動電圧を求めるための回路を示す図。
【図6】屈折率変化素子構造部と電子注入部のエネルギー準位制御部103の接続の一例を示す模式図。
【図7】量子ドットがC60である場合の図3を示す図。
【図8】2つの励起光を対物レンズにより干渉させる場合の屈折率変化装置を示す図。
【符号の説明】
【0057】
101A、101B・・・光源、102・・・制御部、103・・・電子注入部のエネルギー準位制御部、104・・・屈折率変化素子構造部、105・・・電子注入部(透明電極)、106・・・量子構造部、201・・・バリア構造部、202・・・量子ドット、501・・・対物レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基底準位と励起準位とが周囲の環境温度によるエネルギーによって交わることがない離散的なエネルギー準位を有する複数の量子ドットと、
前記複数の量子ドットを取り囲む誘電体からなるバリア構造部と、
前記バリア構造部を介して前記複数の量子ドットの基底準位に、エネルギー準位を変化させて電子をトンネル効果により注入あるいは注入を阻止するための注入部と、
前記基底準位の電子を前記励起準位に励起させるエネルギーを有する光を前記量子ドットに照射する第1の光源と、
前記第1の光源が照射する光のエネルギーとは異なるエネルギーを有する光を前記量子ドットに照射する第2の光源を具備することを特徴とする屈折率変化装置。
【請求項2】
前記電子注入部へ電圧を印加していない状態での前記注入部のエネルギー準位が前記量子ドットの基底準位及び励起準位それぞれと、周囲の環境温度から得られるエネルギー以上の差を持つ前記請求項1の屈折率変化装置。
【請求項3】
前記注入部から量子ドットへ電子を注入する手段は、電子注入部のエネルギー準位が、量子ドットの前記基底準位を中心として、幅が周囲の環境温度から得られるエネルギー以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の屈折率変化装置。
【請求項4】
前記注入部から量子ドットへ電子を注入する手段は、電子注入部のエネルギー準位が、量子ドットの前記基底準位よりも、周囲の環境温度から得られるエネルギー以下だけ高いことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の屈折率変化装置。
【請求項5】
前記注入手段は、
前記バリア構造部を挟むように配置される2つの透明電極と、
各前記透明電極に電圧を印加する印加手段を具備することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の屈折率変化装置。
【請求項6】
各前記量子ドットは、基底準位と励起準位とのエネルギーのギャップが2kT(k:ボルツマン定数、Tは周囲の環境温度)よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の屈折率変化装置。
【請求項7】
各前記量子ドットは、基底準位と励起準位とのエネルギーのギャップがフェルミ−ディラック分布関数により規定されるエネルギーよりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の屈折率変化装置。
【請求項8】
各前記量子ドットは金属微粒子、半導体微粒子、フラーレン分子、カーボンナノチューブ、及び有機分子からなる群より選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の屈折率変化装置。
【請求項9】
基底準位と励起準位とが周囲の環境温度によるエネルギーによって交わることがない離散的なエネルギー準位を有する量子ドットの基底準位の電子を励起準位に励起させるエネルギーを有する光を前記量子ドットに照射し、
基底準位と励起準位とが周囲の環境温度によるエネルギーによって交わることがない離散的なエネルギー準位を有する複数の量子ドットを取り囲む誘電体からなるバリア構造部を介して、前記複数の量子ドットの基底準位に、電子を注入する注入部のエネルギー準位を変化させて電子をトンネル効果により注入あるいは注入を阻止することを特徴とする屈折率変化方法。
【請求項10】
前記電子を注入する場合に、前記注入部のエネルギー準位が量子ドットの前記基底準位を中心として幅が周囲の環境温度から得られるエネルギー以下で注入することを特徴とする請求項9に記載の屈折率変化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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