説明

屋内配線システム、及び、電源モジュール

【課題】個別電源の供給端に電源供給を行う設備を低コストで容易に変更可能な屋内配線システムに適用される電源モジュールの提供。
【解決手段】屋内配線20からの交流電源の供給を遮断する遮断部102と、屋内配線20から供給される交流電源を200[V]から100[V]に降圧する変圧部101と、他のモジュールを着脱可能に接続するモジュール接続部103と、個別電源の供給端に交流電源を供給する個別配線301〜303が接続される配線接続部104〜106とを有する。モジュール接続部103には、屋内配線20と接続され、モジュール接続部103に接続された他のモジュールに交流電源を供給する交流電圧線401と、他のモジュールと通信を行う情報線402とが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引込線から供給される交流電源を分電盤で分配して屋内配線を介して屋内の各部に設けられた個別電源の供給端へ供給する屋内配線システム、及び、この屋内配線に接続され屋内の各部に設けられた個別電源の供給端に交流電源を供給する電源モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から住宅内などで使われる電気機器は、単体では省電力化が進んでいるものの、利用される電気機器の種類と数が増加しており、またガス給湯器やガス調理器が電気温水器や電磁調理器に置き換わるなど、以前より使われる電力量が全体として増加している。
【0003】
また一部の電気機器では単体で大きな電力を消費し、また高度な運転制御を行うことから、例えば瞬間的に大きな電力を消費する機器が輻輳すると、分電盤の遮断器が作動してしまうという問題もある。
【0004】
今後も住宅内において使用される電気機器の増加、各電気機器の消費電力の大容量化、及び、これらを複数並行して使用する使用状況の増加などが見込まれことから、電気機器や屋内配線の異常を監視するための機能を充実させた屋内配線システムが安全に電気を使用する観点から必要になってきている。
【0005】
上述したような必要性を満たすためには、交流電源を屋内の各部に供給する屋内配線に係る設備を変更する必要がある。
【0006】
一般的な住宅においては、引込線を介して屋外から供給される100[V]及び200[V]の交流電源を分電盤でそれぞれ分配して、100[V]及び200[V]の交流電源を屋内の各部に設置された個別電源の供給端であるコンセントに供給するように屋内配線が設けられている。従来の住宅においては、一般的に屋内配線が設けられる新築時に、屋内の各部で使用可能な電力容量、コンセントの数や配置が決定されている。
【0007】
新築後の屋内配線の変更が極めて面倒であり作業性も悪いのでこの作業を容易にするため、特許文献1には、分電盤からの電線を、屋内の各ゾーン毎に分岐させる分岐盤を使用する屋内配線方法が記載されている。
【0008】
【特許文献1】特開平6−14428号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記引用文献1の屋内配線方法により屋内配線が設けられた住宅を含め、従来の住宅において屋内の各部で使用可能な電力容量を変更するには、分電盤まで遡って屋内配線に係る設備を変更しなくてはならないため、施工性が悪く、また非常にコストがかかるという問題がある。すなわち、従来の住宅においては、屋内配線に係る設備変更を柔軟に行うことが困難である。
【0010】
したがって、従来の住宅においては、屋内の各部に設けられたコンセントを増設したり移動させたりすることが困難かつコスト高であるため、結果として、既設の1つコンセントからテーブルタップ等を介して複数の電気器具に電源を供給するような使用形態がとられているため安全対策が十分に図られていないという問題がある。また、従来の住宅においては、例えば、大容量の電力を消費する電気機器が同時に使用される状況に対応した安全対策が十分に図られていないという問題がある。
【0011】
また、住宅の各部に交流電源を供給する屋内配線に係る設備においては、住人のライフスタイルやライフステージの変化に柔軟に対応して、例えば屋内の各部で使用可能な電力容量を変更したり、上述した監視機能を実現する機器を設置したりすることを低コストで容易に実現できることが望まれる。
【0012】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、屋内の各部に設けられる個別電源の供給端に電源供給を行う設備を低コストで容易に変更可能な屋内配線システム、及び、この屋内配線システムに適用される電源モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するために、本発明に係る屋内配線システムは、第1の電圧の交流電源を分配する分電盤と、上記分電盤と接続される屋内配線と、少なくとも一の屋内配線に接続される電源モジュールと、上記電源モジュールに接続され、個別電源の供給端に上記交流電源を供給する個別配線とを備え、上記電源モジュールは、上記屋内配線からの交流電源の供給を遮断する遮断部と、上記屋内配線から供給される交流電源を第1の電圧から第2の電圧に降圧する変圧部と、他のモジュールを着脱可能に接続するモジュール接続部と、上記個別配線が接続される配線接続部とを有し、上記モジュール接続部には、上記屋内配線と接続され、該モジュール接続部に接続された他のモジュールに交流電源を供給する交流電圧線と、該モジュール接続部に接続された他のモジュールと通信を行う情報線とが設けられ、上記電源モジュールは、上記配線接続部に上記個別配線が接続されることによって上記供給端に上記第1又は第2の電圧の交流電源を供給し、上記モジュール接続部に上記他のモジュールが接続されることによって該他のモジュールと上記情報線を介して通信を行うことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る電源モジュールは、第1の電圧の交流電源を分配する分電盤と接続される屋内配線のうち、少なくとも一の屋内配線に接続される電源モジュールであって、上記屋内配線からの交流電源の供給を遮断する遮断部と、上記屋内配線から供給される交流電源を第1の電圧から第2の電圧に降圧する変圧部と、他のモジュールを着脱可能に接続するモジュール接続部と、個別電源の供給端に上記交流電源を供給する個別配線が接続される配線接続部とを有し、上記モジュール接続部には、上記屋内配線と接続され、該モジュール接続部に接続された他のモジュールに交流電源を供給する交流電圧線と、上記他のモジュールと通信を行う情報線とが設けられ、上記配線接続部に上記個別配線が接続されることによって上記供給端に上記第1又は第2の電圧の交流電源を供給し、上記モジュール接続部に上記他のモジュールが接続されることによって該他のモジュールと上記情報線を介して通信を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、屋内配線から交流電源が供給される電源モジュールが、配線接続部に個別配線が接続されることによって個別電源の供給端に第1又は第2の電圧の交流電源を供給するので、個別電源に係る設備変更を、分電盤まで遡って屋内配線に係る設備を変更しなくても電源モジュールに遡って個別配線に係る設備を変更することで容易に行うことができる。また、本発明によれば、屋内配線の施工後に使用目的に応じた機能を有する他のモジュールを電源モジュールのモジュール接続部に接続することができ、例えば情報線を介して遮断部の動作を制御する遮断機能などの新たな機能を容易に追加したり変更したりすることができるので、屋内配線の施工時における初期コストを抑えつつ、施工後に屋内の各部に設けられる個別電源の供給端に電源供給を行う設備に対して新たな機能を低コストで導入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明が適用された屋内配線システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。この屋内配線システムは、引込線から供給される交流電源を分電盤で分配して屋内配線を介して屋内の各部に設けられた個別電源の供給端へ供給するものである。
【0017】
図1は、本発明が適用された屋内配線システム1の一例を示したものである。すなわち、屋内配線システム1は、電柱2から引き出された引込線3を介して住宅などの屋内4に供給される交流電源を分配する分電盤10と、分電盤10と接続される屋内配線20と、屋内配線20を介して分電盤10から交流電源が供給される2つの基本電源モジュール30、40と、個別電源の供給端となる複数のコンセント31、32、41、42、43と、基本電源モジュール30、40に接続され各コンセント31、32、41、42、43に交流電源を供給する個別配線51、52とを備える。
【0018】
なお、この屋内配線システム1では、全てのコンセントが基本電源モジュールを介して交流電源が供給されるが、基本電源モジュールを介さずに屋内配線から供給される交流電源を直接供給するコンセントを設けるようにしてもよい。
【0019】
分電盤10は、引込線3から例えば電源周波数が50[Hz]又は60[Hz]であって、100[V]及び200[V]の交流電源が供給され、図2に示すように、配線接続部11と、2つの配線用遮断器12、13とを備えている。配線接続部11は、引込線3から供給される交流電源を単相3線式又は単相2線式による配線接続によって100[V]又は200[V]の交流電源に分配する。配線接続部11によって分配された交流電源は、配線用遮断器12、13を介してそれぞれ後述する基本電源モジュール30、40に供給される。ここで、屋内配線システム1において、屋内配線20に流すことが可能な電流値が予め決められているので、配線用遮断器12、13は、過剰な電流が屋内配線20に流れるのを防止するため、屋内配線20を介して基本電源モジュール30、40に供給される交流電源の電流を検出して、この検出結果に応じて交流電源の供給を遮断する動作を行う。
【0020】
基本電源モジュール30、40は、屋内4の各部に設けられた屋内配線20のうち、一又は複数の屋内配線20と接続されて、例えば200[V]の交流電源が供給される。基本電源モジュール30は、例えば、屋内4の1階部分に設けられた各コンセント31、32に交流電源を供給する。また、基本電源モジュール40は、例えば屋内4の2階に設けられたコンセント41、42、43に交流電源を供給する。なお、基本電源モジュール30、40は、屋内配線20を介して100[V]の交流電源が供給されてもよい。
【0021】
また、各基本電源モジュール30、40には、新たな機能を拡張したり変更したりするため、他のモジュールが33、44が着脱可能に接続される。
【0022】
なお、屋内配線システム1は、上述したように基本電源モジュールの設置数が2つに限定されるものではなく、屋内配線20の使用状況に応じた数の基本電源モジュールを用いるようにしてもよい。
【0023】
以上のような構成からなる屋内配線システム1では、基本電源モジュール30、40及び個別配線51、52を介して、屋内4に設けられた複数のコンセント31、32、41、42、43に交流電源を供給するので、このような基本電源モジュールを介さずに個々のコンセントと分電盤とを屋内配線で接続する従来の屋内配線システムに比べて、分電盤に接続される屋内配線の回線数を少なくすることができ、屋内配線を敷設する施工性の向上を実現することができる。さらに、従来に比べて分電盤に接続される屋内配線の回線数を少なくすることができるので、屋内配線システム1では、単相3線式の200[V]用の屋内配線20を予め基本電源モジュール30、40との間で接続して、既設のコンセントの数に応じた電力容量よりも余裕のある電力容量を各基本電源モジュール30、40に設定することができ、これにより分電盤10まで遡って新たに屋内配線を設けなくても、例えば、基本電源モジュール30、40から容易に新たなコンセントを増設することができる。
【0024】
以上のように、屋内配線システム1では、予め電力容量に余裕をもたせて屋内配線20から各基本電源モジュール30、40に交流電源を供給することができるので、具体的には以下に示すように基本電源モジュール30、40に新たな機能を拡張したり変更したりすることが容易にできる。
【0025】
また、屋内配線システム1においては、分電盤に接続される屋内配線の回線数を従来に比べて低減できるので、分電盤10から交流電源を供給する屋内配線以外にも、情報の伝送を行うためのLAN(Local Area Network)ケーブルや電話回線などを配線することが容易にできる。
【0026】
そこで、各基本電源モジュール30、40を総称して基本電源モジュール100とし、この基本電源モジュール100の具体的な構成に注目して以下のとおり説明する。
【0027】
基本電源モジュール100は、例えば図3に示すように、屋内4の1階又は2階の床200の床下部に設けられる。また、基本電源モジュール100は、個別配線301、302、303を介して、それぞれ床200に設けられた各コンセント201、202、203に交流電源を供給するのに加えて、屋内配線システム1に係る機能を拡張するための他のモジュールとして、例えば、基本電源モジュール100内の異常を検知する異常検知モジュール110と、交流電源を直流電源に変換して直流用配線304を介して床200に設けられた直流用のコンセント204に供給する直流電源モジュール120とが着脱可能に接続される。また、基本電源モジュール100には、交流電源が供給される屋内配線20以外に、例えばLAN(Local Area Network)ケーブルや電話回線などが接続されている。
【0028】
次に、図4を参照して、各モジュールの具体的な構成とその動作について説明する。
【0029】
基本電源モジュール100は、屋内配線20から供給される200[V]の交流電源を例えば100[V]に降圧する変圧部101と、屋内配線20からの交流電源の供給を遮断する遮断部102と、他のモジュールと着脱可能に接続するためのモジュール接続部103と、各個別配線301、302、303とそれぞれ接続される配線接続部104、105、106とを備えている。
【0030】
変圧部101は、屋内配線20から開閉スイッチ107を介して供給される200[V]の交流電源を、例えば電磁誘導を利用して電源電圧を変圧するトランスによって、又は、単層3線式で供給される200[V]の交流電源を単相2線式の配線接続にすることによって100[V]の交流電源に降圧する。そして、変圧部101は、配線接続部104、105にそれぞれ個別配線301、302が接続されることによって、コンセント201、202に100[V]に降圧した交流電源を供給する。なお、基本電源モジュール100では、屋内配線20から開閉スイッチ107を介して供給される200[V]の交流電源を配線接続部106に接続された個別配線302を介してコンセント203に供給する。コンセント203は、例えば空調機器やIH調理器などの比較的消費電力量が大きい電気機器の供給端として使用される。
【0031】
遮断部102は、例えば、後述する異常検知モジュール110から情報線402を介して伝送されてくる遮断指令信号に応じて開閉スイッチ107を開放することによって屋内配線20からの電力供給を遮断して、コンセント201〜203への交流電源の供給を制御するとともに後述する交流電圧線401を介した他のモジュールへの電力供給を制御する。
【0032】
モジュール接続部103は、他のモジュールと着脱可能に接続される。具体的に、モジュール接続部103は、屋内配線20と接続され他のモジュールに交流電源を供給する交流電圧線401と、他のモジュールと通信を行う情報線402と、後述する直流電源モジュール120で変換された直流電源が供給される直流電圧線403とが並列して配線されており、接続された他のモジュールとの間で任意の配線と電気的に並列接続される。
【0033】
このようなモジュール接続部103によって着脱可能に接続される異常検知モジュール110は、交流電圧線401及び直流電圧線403で伝送されている電気信号を検出する検出部111と、検出部111による検出結果に応じて交流電圧線401及び直流電圧線403の異常を検知して、屋内配線20と変圧部101との電気的な接続を遮断する遮断指令信号を出力する異常検知部112とを備える。
【0034】
検出部111は、交流電圧線401及び直流電圧線403で伝送されている電気信号の信号特性を検出して、この検出結果を異常検知部112に供給する。具体的に、検出部111では、電気信号の信号特性として、各電圧線に流れる電流の振幅値や周波数特性を検出結果として異常検知部112に供給する。
【0035】
異常検知部112は、検出部111により検出される検出結果を解析し、各電圧線の伝送路に異常があるかを判断して、異常があると判断したとき遮断指令信号を情報線402に出力する。具体的に、異常検知部112は、検出部111により検出される各電圧線に流れる電流の振幅値が所定の規定値より大きくなったとき異常と判断する。また、異常検知部112は、検出部111により検出される各電気信号の周波数特性を解析して、例えば高周波数帯域の信号成分が所定の閾値より大きくなったときに異常と判断する。
【0036】
そして、異常検知モジュール110では、交流電圧線401及び直流電圧線403の伝送路に関する異常を検知して遮断指令信号を基本電源モジュール100の遮断部102に対して情報線402を介して出力して、基本電源モジュール100においてコンセント201、202、203及びモジュール接続部103に接続された他のモジュールへの交流電圧の供給を遮断する。なお、遮断指令信号は、情報線402を介さずに、異常検知モジュール110の異常検知部112から基本電源モジュール100の遮断部102に直接入力するようにしてもよい。
【0037】
このようにして、屋内配線システム1では、基本電源モジュール100において異常が生じたとき、分電盤10の配線用遮断器12、13を遮断することなく、コンセント201、202、203及びモジュール接続部103に接続された他のモジュールへの交流電圧の供給を遮断することができる。
【0038】
なお、異常検知モジュール110では、上述したように交流電圧線401及び直流電圧線403の両方の伝送路に関する異常を検知するのに限定されず、何れか一方の電圧線の伝送路に関する異常を検知するような構成にしてもよい。
【0039】
また、屋内配線システム1では、図5に示すように異常検知モジュール110の機能を取り込んだ基本電源モジュール100を構成するようにしてもよい。この基本電源モジュール100では、異常検知部112から出力される遮断指令信号を情報線402を介することなく直接遮断部102に出力するような構成となる。
【0040】
また、基本電源モジュール100と着脱可能に接続される直流電源モジュール120は、たとえば交流電圧線401により供給される200[V]の交流電源を12[V]の直流電源に変換する変換部121と、交流電圧線401から変換部121に供給される交流電源を遮断する遮断部122と、変換部121で変換された直流電源を直流用のコンセント204に供給する直流用配線304が接続される接続部123とを備える。
【0041】
変換部121は、交流電圧線401から開閉スイッチ124を介して供給される200[V]の交流電源を例えば12[V]の直流電源に変換する。そして、変換部121は、変換した12[V]の直流電源を、床200に設けられた直流用のコンセント204及び直流電圧線403に出力する。また、変換部121は、変換した12[V]の直流電源を直流電圧線403に出力する。直流電圧線403に出力された直流電源は、基本電源モジュール100及び、モジュール接続部103に接続された更なる他のモジュールに供給される。
【0042】
遮断部122は、異常検知モジュール110から情報線402を介して供給される遮断指令信号に応じて、交流電圧線401と変換部121とを接続する開閉スイッチ107を電気的に遮断することで直流用のコンセント204への電源供給を制御する。
【0043】
このようにして、直流電源モジュール120では、基本電源モジュール100に接続され、交流電圧線401で伝送される交流電源を直流電源に変換して、直流用のコンセント204に出力することができるので、例えばコンピュータやデジタルスチルカメラなどの直流駆動用の電気機器に、別途交流/直流変換器を取り付けることなく直流電源を直接供給することができる。また、直流電源モジュール120は、変換した直流電源を直流電圧線403に出力するので、基本電源モジュール100のモジュール接続部103に接続される直流駆動用の他のモジュールに対して別途直流変換器を設けることなく直流電源を供給することができる。
【0044】
以上のような異常検知モジュール110及び直流電源モジュール120以外にも、基本電源モジュール100には、例えば次に示すような機能を有する他のモジュールがモジュール接続部103に接続される。
【0045】
ここで、基本電源モジュール100では、図6に示すように、モジュール接続部103が交流電圧線401、情報線402、直流電圧線403に加えて、例えば後述するように屋外の監視装置と通信を行う電話線404が接続されている。基本電源モジュール100は、情報線402で通信される情報を電話線404を介して屋外へ伝送するためのADSLモデムモジュール130が、他のモジュールとして着脱可能に接続される。
【0046】
このADSLモデムモジュール130は、例えば、直流電圧線403から直流電源を供給して動作するモジュールであって、情報線402との間で通信する通信部131と、通信部131で通信される通信データを電話線404におけるデータ通信用の高周波数帯の信号に変換して電話線404へ入出力するスプリッタ132とを備える。
【0047】
通信部131は、情報線402との間で通信するとともに、例えば直流用のコンセント204からの直流電源によって動作するコンピュータ500との間で通信を行い、受信した通信データをスプリッタ132に出力するとともに、スプリッタ132から入力された通信データを情報線402及びコンピュータ500に送信する。
【0048】
スプリッタ132は、通信部131で通信される通信データを電話線404におけるデータ通信用の高周波数帯の信号に変換して電話線404へ入出力する。
【0049】
以上の構成からなるADSLモデムモジュール130では、例えば異常検知モジュール110で出力される遮断指令信号を情報線402を介して通信部131が受信し、この遮断指令信号をスプリッタ132で電話線404を介して外部の監視装置へ送信して、屋内4で発生した異常を屋外で管理することができる。例えば、監視装置は、電話線404を介して送信される遮断指令信号に応じた異常検知情報を、屋外にいる住人に通知することによって、屋内4で発生した異常を迅速に住人に知らせることができる。
【0050】
また、ADSLモデムモジュール130では、外部の監視装置から電話線404を介して異常情報を通信部131で受信して、受信した異常情報を示す信号をスプリッタ132から情報線402に出力するようにしてもよい。この場合、基本電源モジュール100では、ADSLモデムモジュール130から情報線402に出力される信号に応じて遮断部102が開閉スイッチ107を開放することによって、外部の監視装置からの異常情報に基づいて屋内配線20からの電源供給を遮断することができる。
【0051】
なお、屋内配線システム1においては、上述した電話線404を使用して外部と通信を行うADSLモデムモジュール130以外にも、例えば光ファイバ線を使用して外部と通信を行う光電変換部を備える光通信モジュールを用いるようにしてもよい。すなわち、光送信モジュールでは、例えば情報線402から遮断指令信号を受信して、受信した遮断指令信号を光電変換部により光信号に変換して光ファイバ線を介して外部の監視装置に送信する。また、光送信モジュールでは、外部の監視装置から光ファイバ線を介して送信されてくる異常情報を示す光信号を受信し、受信した光信号を光電変換部により電気信号に変換して、変換した電気信号を情報線402に出力する。
【0052】
また、基本電源モジュール100のモジュール接続部103には、図7に示すように、例えば災害時などにおいて屋内4への電力供給が遮断されたときに基本電源モジュール100内で使用するための電力を供給する外部電源モジュール140が接続される。この外部電源モジュール140は、電池141と、電池141で発生する直流電源を交流電源に変換する直流/交流変換部142と、電池141で発生した直流電源を交流電圧線401及び直流電圧線403に供給する制御を行う電源制御部143とを備える。
【0053】
電池141は、例えば一次電池であっても充電可能な二次電池であってもよく、起電力によって発生された直流電源を直流/交流変換部142及び電源制御部143に供給する。また、電池141は、電源制御部143によって、発生する電力量が制御される。
【0054】
直流/交流変換部142は、電池141から供給される直流電源を交流電源に変換して電源制御部143に供給する。
【0055】
電源制御部143は、所望の動作状況に応じて、電池141から供給される直流電源を直流電圧線403へ出力し、直流/交流変換部142で直流電源から変換された交流電源を交流電圧線401へ出力する。具体的に、電源制御部143は、異常検知モジュール110から情報線402へ遮断指令信号が出力されたとき、基本電源モジュール100が開閉スイッチ107を開放して屋内配線20からの電力供給を遮断するかどうかを判断する。この判断結果から、電源制御部143は、屋内配線20からの電力供給が遮断されたとき、電池141から供給される直流電源を直流電圧線403へ出力し、直流/交流変換部142で直流電源から変換された交流電源を交流電圧線401へ出力するように、電池141と直流/交流変換部142と制御する。
【0056】
電源制御部143は、電池141が供給可能な電力容量が有限であるため、例えば災害時において異常検知モジュール110で検知された検知情報を上述したADSLモデムモジュール130で外部の監視装置へ送信するような場合に、異常検知モジュール110及びADSLモデムモジュール130が必要最低限動作可能な電力を直流電圧線403に出力するように電池141を制御する。また、電源制御部143は、災害時において屋内配線20からの電源供給が遮断されたとき、配線接続部104〜106から個別配線301〜303へ交流電源を供給するするため、直流/交流変換部142で電池141で発生された直流電源を交流電源にして交流電圧線401に出力するように、直流/交流変換部142の動作を制御する。
【0057】
このように電源制御部143が動作することによって、外部電源モジュール140は、例えば災害時において屋内配線20から電力の供給が遮断しても、所望とする機器及びモジュールに電力を効率よく供給することができる。
【0058】
なお、外部電源モジュール140は、電池141がニッケル水素電池などの二次電池が用いられる場合には、交流電圧線401から交流電源を供給して、電池141を充電する充電回路が設けられることとなる。
【0059】
また、基本電源モジュール100のモジュール接続部103には、図8に示すように、例えば直流電圧線403から供給される直流電源によって駆動して、屋内4に設置されている火災報知器や監視カメラなどから無線通信から出力される異常検知信号を無線通信により受信して外部に送信する機能を有する無線通信モジュール150が接続される。この無線通信モジュール150は、無線通信信号を受信するアンテナ部151と、アンテナ部151で受信した信号に復調処理を施して情報線402に出力する復調部152とを備える。
【0060】
アンテナ部151は、例えば監視カメラ600とその他火災報知器や、地震センサ、人感センサなどから送信される異常検知信号を受信して、受信した信号を復調部152に供給する。
【0061】
復調部152は、アンテナ部151から供給される異常検知信号を復調して、復調した異常検知情報を情報線402を介して基本電源モジュール100やADSLモデムモジュール130などに出力する。
【0062】
以上のような構成からなる無線通信モジュール150は、例えば監視カメラ600のように屋内4に既設されている異常検知装置の検知結果をアンテナ部151で受信して復調部152で復調処理を施して情報線402を介して基本電源モジュール100やADSLモデムモジュール130などへ出力することによって、屋内4で発生した異常に応じて基本電源モジュール100が電力の供給を遮断することができ、ADSLモデムモジュール130により屋内配線20を介して外部へ通報することで例えば高齢者の見守りや屋内4での防犯機能として用いることができる。
【0063】
以上のように、屋内配線システム1では、初期段階で基本電源モジュール100を屋内4の各部に設置した後に、上述した他のモジュールを接続することができるので、各モジュールが有する機能を拡張したり変更したりすることが容易に行うことができる。
【0064】
また、屋内配線システム1では、例えば、屋内配線20から交流電源が供給される基本電源モジュール100が、配線接続部104、105、106に個別配線301、302、303が接続されることによって個別電源の供給端となるコンセント201、202、203に200[V]又は100[V]の電圧の交流電源を供給するので、個別電源に係る設備変更を、分電盤10まで遡って屋内配線20に係る設備を変更しなくても基本電源モジュール100まで遡って個別配線301、302、303に係る設備を変更して行うことができ、モジュール接続部103に他のモジュールが接続されることによって他のモジュールと情報線402を介して通信を行うことで、情報線402を介して遮断部102の動作を制御するので、屋内の各部に設けられる個別電源の供給端に電源供給を行う設備を低コストで容易に変更することができる。
【0065】
以上のように、屋内配線システム1では、屋内配線20の施工後に使用目的に応じた機能を有する他のモジュールを基本電源モジュール100のモジュール接続部103に接続することができ、例えば情報線402を介して遮断部102の動作を制御する遮断機能などの新たな機能を用意に追加したり変更したりすることができるので、屋内配線20の施工時における初期コストを抑えつつ、施工後に電気設備に対して新たな機能を低コストで導入することができる。
【0066】
なお、基本電源モジュール100に接続される他のモジュールは、上述した機能を有するものに限定されるものではない。また、屋内配線システム1においては、使用目的に応じて、上述した他のモジュールが備える機能を、基本電源モジュール100に加えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明が適用された屋内配線システムの一例を示した図である。
【図2】分電盤の具体的な構成を示した図である。
【図3】屋内の床下部に設けられた基本電源モジュールと、この基本電源モジュールに接続される他のモジュールとを示した図である。
【図4】各モジュールの具体的な構成とその動作に係る説明に供する図である。
【図5】異常検知機能を有する基本電源モジュールの具体的な構成とその動作に係る説明に供する図である。
【図6】ADSLモデムモジュールの具体的な構成とその動作に係る説明に供する図である。
【図7】外部電源モジュールの具体的な構成とその動作に係る説明に供する図である。
【図8】無線通信モジュールの具体的な構成とその動作に係る説明に供する図である。
【符号の説明】
【0068】
1 屋内配線システム、2 電柱、3 引込線、4 屋内、10 分電盤、11 変圧部、12 配線用遮断器、20 屋内配線、30、40、100 基本電源モジュール、31、32、41、42、43、201、202、203、204 コンセント、33、44 他のモジュール、51、52、301、302、303 個別配線、101 変圧部、102 遮断部、103 接続部、104、105、106 配線接続部、107、124 開閉スイッチ、110 異常検知モジュール、111 検出部、120 直流電源モジュール、121 変換部、122 遮断部、130 モデムモジュール、140 外部電源モジュール、141 電池、142 直流/交流変換部、143 電源制御部、150 無線通信モジュール、200 床、304 直流用配線、401 交流電圧線、402 情報線、403 直流電圧線、404 電話線、500 コンピュータ、600 監視カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電圧の交流電源を分配する分電盤と、
上記分電盤と接続される屋内配線と、
少なくとも一の屋内配線に接続される電源モジュールと、
上記電源モジュールに接続され、個別電源の供給端に上記交流電源を供給する個別配線とを備え、
上記電源モジュールは、
上記屋内配線からの交流電源の供給を遮断する遮断部と、
上記屋内配線から供給される交流電源を第1の電圧から第2の電圧に降圧する変圧部と、
他のモジュールを着脱可能に接続するモジュール接続部と、
上記個別配線が接続される配線接続部とを有し、
上記モジュール接続部には、上記屋内配線と接続され、該モジュール接続部に接続された他のモジュールに交流電源を供給する交流電圧線と、該モジュール接続部に接続された他のモジュールと通信を行う情報線とが設けられ、
上記電源モジュールは、上記配線接続部に上記個別配線が接続されることによって上記供給端に上記第1又は第2の電圧の交流電源を供給し、
上記モジュール接続部に上記他のモジュールが接続されることによって該他のモジュールと上記情報線を介して通信を行うことを特徴とする屋内配線システム。
【請求項2】
上記交流電圧線の異常を検知する異常検知部を、上記電源モジュール又は上記他のモジュールが有しており、
上記異常検知部は、異常を検知したとき遮断指令信号を上記遮断部に対して出力することを特徴とする請求項1記載の屋内配線システム。
【請求項3】
上記他のモジュールは、上記交流電圧線から供給される第1の電圧の交流電源を、直流電源に変換する変換部と、上記変換部で変換された直流電源を上記供給端に供給する直流用配線が接続される接続部とを有する直流電源モジュールであり、
上記モジュール接続部は、更に、上記変換部で変換された直流電源が供給される直流電圧線を有し、該モジュール接続部に接続された更なる他のモジュールに該直流電圧線を介して直流電源を供給することを特徴とする請求項1又は2記載の屋内配線システム。
【請求項4】
上記他のモジュールは、直流電源を発生する電池と、該電池で発生された直流電源を交流電源に変換して上記交流電圧線に供給する変換部と、該電池と該変換部とを制御する電源制御部とを有する外部電源モジュールであり、
上記モジュール接続部は、更に、上記電池により発生された直流電源が供給される直流電圧線を有し、該モジュール接続部に接続された更なる他のモジュールに該直流電圧線を介して直流電源を供給し、
上記電源制御部は、上記情報線から供給される情報に応じて、上記電池から上記直流電圧線への直流電源の供給と、上記変換部から上記交流電圧線への交流電源の供給とを制御することを特徴とする請求項1乃至3のうち何れか1項記載の屋内配線システム。
【請求項5】
第1の電圧の交流電源を分配する分電盤と接続される屋内配線のうち、少なくとも一の屋内配線に接続される電源モジュールにおいて、
上記屋内配線からの交流電源の供給を遮断する遮断部と、
上記屋内配線から供給される交流電源を第1の電圧から第2の電圧に降圧する変圧部と、
他のモジュールを着脱可能に接続するモジュール接続部と、
個別電源の供給端に上記交流電源を供給する個別配線が接続される配線接続部とを有し、
上記モジュール接続部には、上記屋内配線と接続され、該モジュール接続部に接続された他のモジュールに交流電源を供給する交流電圧線と、上記他のモジュールと通信を行う情報線とが設けられ、
上記配線接続部に上記個別配線が接続されることによって上記供給端に上記第1又は第2の電圧の交流電源を供給し、
上記モジュール接続部に上記他のモジュールが接続されることによって該他のモジュールと上記情報線を介して通信を行うことを特徴とする電源モジュール。
【請求項6】
更に、上記交流電圧線の異常を検知するとともに、該異常を検知したとき遮断指令信号を上記遮断部に対して出力する異常検知部を有することを特徴とする請求項5記載の電源モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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