説明

屋外用ウレタン接着剤

【課題】剥離強度が高く、耐候性に優れた屋外用ウレタン接着剤、その接着剤を使用して得られる太陽電池バックシート、及びその太陽電池バックシートを用いて得られる太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】(A)イソシアネート化合物(a1)とエステル結合を有するポリオール(a2)が反応して得られるウレタン樹脂及び(B)ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を含み、イソシアネート化合物(a1)は、脂肪族イソシアネート及び脂環式イソシアネートから選択される少なくとも1種を含む、剥離強度が高く、耐候性に優れる屋外用ウレタン接着剤13。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外用ウレタン接着剤に関する。更に、本発明は、その接着剤を用いて得られる太陽電池バックシート、及びその太陽電池バックシートを用いて得られる太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
防壁材、屋根材、太陽電池パネル材、窓材、屋外フローリング材、照明保護材、自動車部材、及び看板等の屋外材料は、構成材料として、複数のフィルムが接着剤で貼り合わされた積層体を有する。積層体を構成するフィルムとして、例えば、アルミニウム、銅、及び鋼板等の金属箔、金属板及び金属蒸着フィルム、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、フッ素樹脂、及びアクリル樹脂等のプラスチックフィルム等を例示できる。
【0003】
これらの積層体は長期にわたって紫外線に曝されるので、屋外用接着剤には優れた耐候性が要求される。屋外用接着剤の中でも、特に太陽光を電力に変換する太陽電池用途の接着剤には、通常の屋外用接着剤よりも高いレベルの耐候性が望まれる。
【0004】
太陽電池は、有用なエネルギー資源として実用化が進んでいる。太陽電池には様々な形態があり、代表的なものとして、シリコン系太陽電池、化合物系太陽電池、及び有機系太陽電池等が知られている。
【0005】
これらの太陽電池は、一般的に、太陽光が入射する側に、表面を保護する目的で表面保護シートが設けられている。太陽光が入射する面と反対側の面にも、太陽電池セルを保護する目的で裏面保護シート(バックシート)が設けられている。
【0006】
図1に示すように、バックシート10は複数のフィルム11及び12の積層体であり、フィルム11及び12は接着剤13を介して積層される。バックシート10は、封止材20、太陽電池セル30、ガラス板40と一緒に太陽電池モジュール1を構成する(図3参照)。
【0007】
太陽電池モジュール1は、屋外で長期間太陽光に曝されるので、十分な耐久性や耐候性が要求される。特に、接着剤13の性能が低いと、フィルム11及び12が剥がれ、バックシート10の外観が損なわれる。このため、太陽電池バックシート用接着剤には、長期間暴露されてもフィルムが剥離しないことが要求される。
【0008】
特許文献1及び2は、太陽電池バックシート用接着剤として、ウレタン系接着剤が用いられることを開示する(例えば、特許文献1請求項1、及び特許文献2段落番号0037等参照)。ウレタン系接着剤は、フィルム同士を貼り合わせる接着剤として知られているが、屋外で長期間暴露される太陽電池バックシート用途としては、十分な耐久性を有するとは言い難い。
【0009】
特許文献3は、特定のポリエステルポリオールを用い、耐久性能が向上した屋外用ウレタン系接着剤を開示する(特許文献3特許請求の範囲、段落番号0014等参照)。特定のポリエステルポリオールを接着剤原料とすることで、ウレタン接着剤の耐加水分解性が向上し、太陽電池バックシート用途に有効な接着剤が得られることを開示する(特許文献3段落番号0070〜0072等参照)。
【0010】
しかし、太陽電池バックシートには非常に高いレベルの耐久性能が望まれているので、ウレタン接着剤にも高いレベルの耐候性が求められる。さらに、近年、シリコンや無機化合物材料を用いた太陽電池よりも生産コストの安い有機系太陽電池の開発が進められている。有機系太陽電池は、着色性や柔軟性を持たせられるという特徴があるので、太陽電池バックシートを構成するフィルムとして透明なフィルムが採用される傾向がある。従って、太陽電池バックシート用接着剤には、長期間、剥離強度を維持するだけではなく、色差変化が小さく、耐候性が著しく優れることも要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−004691号公報
【特許文献2】特開2009−248377号公報
【特許文献3】特許第4416047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたもので、その課題は、剥離強度が高く、更に、耐候性に優れた屋外用ウレタン接着剤、その接着剤を使用して得られる太陽電池バックシート、及びその太陽電池バックシートを用いて得られる太陽電池モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、驚くべきことに、ウレタン樹脂の原料として特定のポリオール及び特定のイソシアネート化合物を用い、更に、特定の紫外線吸収剤を添加することで、接着強度及び耐候性の双方が著しく向上した屋外用ウレタン接着剤が得られることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
即ち、本発明は、第1の要旨において、
(A)イソシアネート化合物(a1)とエステル結合を有するポリオール(a2)が反応して得られるウレタン樹脂及び
(B)ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物
を含んで成り、
前記イソシアネート化合物(a1)は、脂肪族イソシアネート及び脂環式イソシアネートから選択される少なくとも1種を含む、屋外用ウレタン接着剤を提供する。
【0015】
本発明は、一の態様において、ポリオール(a2)は、ポリエステルポリオール及びアクリルポリオールから選択される少なくとも1種を含んで成る屋外用ウレタン接着剤を提供する。
本発明は、他の態様において、シラン化合物を、更に含んで成る屋外用ウレタン接着剤を提供する。
【0016】
本発明は、好ましい態様において、ヒンダードフェノール系化合物を、更に含んで成る屋外用ウレタン接着剤を提供する。
本発明は、更なる態様において、ヒンダーアミン系化合物を、更に含んで成る屋外用ウレタン接着剤を提供する。
【0017】
本発明は、他の要旨において、上記屋外用ウレタン接着剤を用いて得られる太陽電池バックシートを提供する。
本発明は、好ましい要旨において、上記太陽電池バックシートを用いて得られる太陽電池モジュールを提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る屋外用ウレタン接着剤は、
(A)イソシアネート化合物(a1)とエステル結合を有するポリオール(a2)が反応して得られるウレタン樹脂及び
(B)ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物
を含んで成り、
前記イソシアネート化合物(a1)は、脂肪族イソシアネート及び脂環式イソシアネートから選択される少なくとも1種を含むので、
剥離強度及び耐候性の両方の性能が向上して、太陽電池バックシート用接着剤として適する接着剤になる。特に、有機系太陽電池バックシートには着色性及び柔軟性が要求されるので、本発明の屋外用ウレタン接着剤は、有機系太陽電池バックシート用接着剤としてより好ましい。
【0019】
ポリオール(a2)は、ポリエステルポリオール及びアクリルポリオールから選択される少なくとも1種を含んで成る場合、ポリエステルポリオール、アクリルポリオールのいずれかを含むので、剥離強度が更に向上した屋外用ウレタン接着剤が得られる。
【0020】
更に、本発明の屋外用ウレタン接着剤は、シラン化合物を更に含むことで、剥離強度が向上することに加え、耐候性がより向上し、太陽電池バックシート用接着剤としてより好適な接着剤となる。
本発明の屋外用ウレタン接着剤は、更に、ヒンダードフェノール系化合物を含むことで、耐候性がより向上し、太陽電池バックシート用接着剤としてより適切な接着剤となる。
本発明の屋外用ウレタン接着剤は、更に、ヒンダーアミン系化合物を含むことで、ヒドロキシフェニルトリアジンとの相乗効果によって耐候性が向上し、太陽電池バックシート用接着剤としてより好ましく使用することができる。
【0021】
本発明に係る太陽電池バックシートは、上記屋外用ウレタン接着剤を用いて得られるので、長期間屋外に暴露されても、接着剤が劣化してフィルムが剥離せず、フィルムが変色しない。
近年、光吸収層に有機化合物を用いた有機系太陽電池が開発されており、有機系太陽電池に着色性や柔軟性を持たせることが要求されている。従って、有機系太陽電池のバックシートを構成するフィルムが透明化する傾向があるので、色差変化が小さい本発明の太陽電池バックシートは、かかる点からも有用である。
本発明に係る太陽電池モジュールは、上記太陽電池バックシートを用いて得られるので、外観に優れ、更に耐久性能にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の太陽電池バックシートの一実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明の太陽電池バックシートの別の実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明の太陽電池モジュールの一実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る屋外用ウレタン接着剤は、(A)ウレタン樹脂と、(B)ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を含有する。
本発明に係る(A)ウレタン樹脂は、イソシアネート化合物(a1)と、エステル結合を有するポリオール(a2)の反応によって得られるポリマーであって、ウレタン結合を有する。
【0024】
イソシアネート化合物(a1)は、脂肪族イソシアネート及び脂環式イソシアネートから選択される少なくとも1種を含んで成り、本発明が目的とする屋外用ウレタン接着剤を得ることができる限り、特に限定されるものではない。
本発明に係る「イソシアネート化合物(a1)」は、脂肪族イソシアネート及び脂環式イソシアネートのみから構成されることを意味しない。本発明が目的とする屋外用ウレタン接着剤を得られる限り、即ち、本発明の屋外用ウレタン接着剤の剥離強度及び耐候性に悪影響を与えない範囲で、イソシアネート化合物(a1)は、芳香族イソシアネートを含んでもよい。尚、イソシアネート化合物(a1)は、耐候性の観点から、エチレン性二重結合(例えば、エチレン基、ブチレン基等)を含まないことが好ましい。
【0025】
本明細書ではイソシアネートを、上述のように脂肪族イソシアネート、脂環式イソシアネート、芳香族イソシアネートに分類するが、本発明の構成要件であるイソシアネート化合物(a1)は、脂肪族イソシアネート及び脂環式イソシアネートから選択される少なくとも1種を含むので、芳香族イソシアネートのみで構成されることはない。
【0026】
本明細書では、「脂肪族イソシアネート」とは、鎖状の炭化水素鎖を有し、その炭化水素鎖にイソシアネート基が直接結合している化合物であって、環状の炭化水素鎖を有さない化合物をいう。「脂肪族イソシアネート」は、芳香環を有してもよいが、直接その芳香環と、イソシアネート基は、結合していない。
尚、本明細書では、芳香環は環状の炭化水素鎖に含まれない。
「脂環式イソシアネート」とは、環状の炭化水素鎖を有し、鎖状の炭化水素鎖を有してよい化合物である。イソシアネート基は、環状の炭化水素鎖と直接結合しても、有し得る鎖状の炭化水素鎖と直接結合してもよい。「脂環式イソシアネート」は、芳香環を有してもよいが、その芳香環と、イソシアネート基は、直接結合していない。
【0027】
「芳香族イソシアネート」とは、芳香環を有し、かつ、イソシアネート基がその芳香環と直接結合している化合物をいう。従って、たとえ芳香環をその分子内に有していたとしても、イソシアネート基が芳香環に直接結合していない化合物は、脂肪族イソシアネートか、脂環式イソシアネートに分類される。
従って、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(OCN−C−CH−C−NCO)は、イソシアネート基が芳香環に直接結合しているので、芳香族イソシアネートに該当する。一方、例えば、キシリレンジイソシアネート(OCN−CH−C−CH−NCO)は、芳香環を有するが、イソシアネート基が芳香環に直接結合せず、メチレン基と結合しているので、脂肪族イソシアネートに該当する。
尚、芳香環は、二つ以上のベンゼン環が縮環していてもよい。
【0028】
脂肪族イソシアネートとして、例えば、1,4−ジイソシアナトブタン、1,5−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン(以下、HDI)、1,6−ジイソシアナト−2,2,4−トリメチルヘキサン、2,6−ジイソシアナトヘキサン酸メチル(リジンジイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(キシリレンジイソシアネート)等を例示できる。
脂環式イソシアネートとしては、例えば、5−イソシアナト−1−イソシアナトメチル−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(水添キシリレンジイソシアネート)、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(水添ジフェニルメタンジイソシアネート)、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン等を例示できる。
【0029】
本発明において、イソシアネート化合物(a1)は、本発明が目的とするウレタン接着剤を得ることができる限り、芳香族イソシアネートを含んでもよい。芳香族イソシアネートとして、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート等を例示できる。
これらのイソシアネート化合物は、単独で又は組み合わせて使用することができる。特に、HDI、イソホロンジイソシアネート及びキシリレンジイソシアネートが好ましく、特に、HDIの3量体、イソホロンジイソシアネートの3量体及びキシリレンジイソシアネートの単量体が好ましい。
【0030】
本発明において、エステル結合を有するポリオール(a2)は、ポリエステルポリオールとアクリルポリオールのいずれかを含み、本発明が目的とする屋外用ウレタン接着剤を得ることができる限り、特に制限されるものではない。尚、エステル結合を有するポリオール(a2)は、耐候性の観点から、エチレン性二重結合を含まないことが好ましい。
【0031】
本発明において「ポリエステルポリオール」とは、「主鎖型」ポリエステルであって、「主鎖」にエステル結合と水酸基を有する化合物をいう。この水酸基は、主鎖の末端に通常位置し、イソシアネート基と反応する官能基として作用する。
ポリエステルポリオールは、一般に、低分子ポリオールと、ジカルボン酸及びその無水物との縮合重合反応によって得られる。
【0032】
そのようなジカルボン酸として、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリト酸、トリメシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等が例示される。これらは、単独又は組み合わせて使用される。
カルボン酸無水物として、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸が挙げられる。これらは、単独で用いても、複数種類を用いても良い。
【0033】
低分子ポリオールとして、官能基数が1〜3個のものが好ましく、特に、二官能性ポリオール、いわゆるジオールが好ましい。ポリオールは、単独で又は組み合わせて用いることができる。
ジオールとして、例えば、エチレングリコール、1−メチルエチレングリコール、1−エチルエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、シクロヘキサンジメタノール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジブチル−1,5−ペンタンジオール等の低分子量ジオールが含まれる。エチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール及びデカンジオールから選択される少なくとも一種が好ましい。
【0034】
本発明において、「アクリルポリオール」とは、水酸基を有する(メタ)アクリレートの付加重合反応によって得られる化合物をいい、「側鎖」にエステル結合を有する。
「アクリルポリオール」は、水酸基を有する(メタ)アクリレートの単独重合体でも、「その他の重合性単量体」との共重合体であってもよい。アクリルポリオールの水酸基がイソシアネート基と反応する。
「水酸基を有する(メタ)アクリレート」として、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等を例示できる。
【0035】
「その他の重合性単量体」とは、「水酸基を有する(メタ)アクリレート」以外の「エチレン性二重結合を有するラジカル重合性単量体」である。具体的には、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、スチレン及びビニルトルエン等を例示できる。
【0036】
尚、本発明が目的とする屋外用ウレタン接着剤を得られる限り、エステル結合を有するポリオール(a2)は、ポリエーテルポリオールを含んでもよい。ポリエーテルポリオールとして、例えば、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)及びポリオキシエチレングリコール(PEG)等を例示できる。
【0037】
本発明に係る(A)ウレタン樹脂は、イソシアネート化合物(a1)と、エステル結合を有するポリオール(a2)を反応させることで得ることができる。反応は、既知の方法を用いることができ、通常、イソシアネート化合物(a1)とエステル結合を有するポリオール(a2)を混合することで行うことができる。混合方法は、本発明に係る(A)ウレタン樹脂を得ることができる限り、特に限定されるものではない。
【0038】
本明細書において「(B)ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物」とは、トリアジン誘導体の一種であり、トリアジン誘導体の炭素原子にヒドロキシフェニル誘導体が結合した化合物であって、一般的にヒドロキシフェニルトリアジン系化合物とされるものであり、本発明が目的とする屋外用ウレタン接着剤を得られる限り、特に制限されるものではない。
【0039】
そのような(B)ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物として、例えば、下記式(1)〜(5)で示される化合物及びその異性体を例示することができ、これらが好ましいが、これらに限定されることはない。
【0040】
【化1】

【0041】
【化2】

【0042】
【化3】

【0043】
【化4】

【0044】
【化5】

【0045】
化学式(1)〜(5)の(B)ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物は、一般に、紫外線吸収剤として使用されており、本発明が目的とする屋外用ウレタン接着剤を得ることができる限り、他の紫外線吸収剤を組み合わせて使用することができる。(B)ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物は、市販されているものを使用することができる。例えば、BASF株式会社から、商品名チヌビン400、チヌビン405、チヌビン479、チヌビン477及びチヌビン460等として市販されている。
【0046】
本発明の屋外用ウレタン接着剤は、成分(A)及び成分(B)の他に、更に、(C)シラン化合物を含むことが好ましい。
本発明では、(C)シラン化合物として、例えば、(メタ)アクリロキシアルキルトリアルコキシシラン類、(メタ)アクリロキシアルキルアルキルアルコキシシラン類、ビニルトリアルコキシシラン類、ビニルアルキルアルコキシシラン類、エポキシシラン類、メルカプトシラン類及びイソシアヌレートシラン類を用いることができるが、これらのシラン化合物のみに限定されることはない。
【0047】
「(メタ)アクリロキシアルキルトリアルコキシシラン類」として、例えば、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、4−(メタ)アクリロキエチルトリメトキシシラン等を例示できる。
「(メタ)アクリロキシアルキルアルキルアルコキシシラン類」として、例えば、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルエチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシエチルメチルジメトキシシラン等を例示できる。
「ビニルトリアルコキシシラン類」として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルジメトキシエトキシシラン、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリ(エトキシメトキシ)シラン等が例示できる。
【0048】
「ビニルアルキルアルコキシシラン類」として、例えば、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルエチルジ(メトキシエトキシ)シラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジエチル(メトキシエトキシ)シラン等を例示できる。
「エポキシシラン類」は、例えば、グリシジル系シラン及びエポキシシクロヘキシル系シランに分類できる。「グリシジル系シラン」は、グリシドキシ基を有するもので、具体的には、例えば、3−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジエトキシシラン等を例示できる。
「エポキシシクロヘキシル系シラン」は、3,4−エポキシシクロヘキシル基を有するもので、具体的には、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等を例示できる。
【0049】
「メルカプトシラン類」として、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等を例示できる。
「イソシアヌレートシラン類」として、例えば、トリス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)イソシアヌレート等を例示できる。
これら(C)シラン化合物は、剥離強度を向上させることに加え、(B)ヒドロキシフェニルトリアジンが含まれた接着剤の耐候性を向上させることができる。本発明では、特に、エポキシシラン類を添加すると、屋外用ウレタン接着剤の性能が著しく向上するので好ましい。
【0050】
本発明の屋外用ウレタン接着剤は、更に、(D)ヒンダードフェノール系化合物及び(E)ヒンダードアミン系化合物から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
「(D)ヒンダードフェノール系化合物」とは、一般にヒンダードフェノール系化合物とされるものであり、本発明が目的とする屋外用ウレタン接着剤を得られる限り、特に制限されるものではない。
(D)ヒンダードフェノール系化合物は、市販されているものを使用することができる。(D)ヒンダードフェノール系化合物として、例えば、商品名IRGANOX1010、IRGANOX1035、IRGANOX1076、IRGANOX1135、IRGANOX1330及びIRGANOX1520等を使用することができる。ヒンダードフェノール系化合物は、酸化防止剤として接着剤に添加され、例えば、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等と組み合わせて使用してもよい。
【0051】
「(E)ヒンダードアミン系化合物」とは、一般にヒンダードアミン系化合物とされるものであり、本発明が目的とする屋外用ウレタン接着剤を得られる限り、特に制限されるものではない。
(E)ヒンダードアミン系化合物は、市販されているものを使用することができる。(E)ヒンダードアミン系化合物として、例えば、チヌビン765、チヌビン111FDL、チヌビン123、チヌビン144、チヌビン152、チヌビン292及びチヌビン5100等を使用することができる。ヒンダードアミン系化合物は、光安定剤として接着剤に添加され、例えば、ベンゾトリアゾール系光安定剤、ベンゾエート系光安定剤、ベンゾトリアゾール系光安定剤等と組み合わせて使用することができる。
【0052】
本発明に係る屋外用ウレタン接着剤は、目的とする屋外用ウレタン接着剤を得ることができる限り、更にその他の成分を含むことができる。
「その他の成分」を、屋外用ウレタン接着剤に添加する時期は、目的とする屋外用ウレタン樹脂が得られる限り、特に制限されるものではない。その他の成分は、例えば、(A)ウレタン樹脂を合成する際に、イソシアネート化合物(a1)及びポリオール(a2)と一緒に添加しても良く、また、まずイソシアネート化合物(a1)とポリオール(a2)とを反応させて(A)ウレタン樹脂を合成した後、(B)ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を加えるときに、一緒に添加してもよい。
【0053】
その他の成分」として、例えば、粘着付与樹脂、顔料、可塑剤、難燃剤、触媒及びワックス等を例示することができる。
「粘着付与樹脂」として、例えば、スチレン系樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族石油樹脂、芳香族石油樹脂、ロジンエステル、アクリル樹脂及びポリエステル樹脂(ポリエステルポリオールを除く)等を例示できる。
「顔料」として、例えば、酸化チタン及びカーボンブラック等を例示できる。
「可塑剤」として、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソノニルアジペート、ジオクチルアジペート及びミネラルスピリット等を例示できる。
「難燃剤」として、例えば、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、アンチモン系難燃剤及び、金属水酸化物系難燃剤等を例示できる。
【0054】
「触媒」として、金属触媒、例えば、錫触媒(トリメチルチンラウレート、トリメチルチンヒドロキサイド、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンマレエート等)、鉛系触媒(オレイン酸鉛、ナフテン酸鉛、オクテン酸鉛等)、そのほかの金属触媒(ナフテン酸コバルト等のナフテン酸金属塩等)、及びアミン系触媒、例えばトリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルへキシレンジアミン、ジアザビシクロアルケン類、ジアルキルアミノアルキルアミン類等を例示できる。
「ワックス」として、パラフィンワックスやマイクロクリスタリンワックス等のワックスが好ましい。
【0055】
本発明の屋外用ウレタン接着剤は、上述の成分(A)及び(B)、更に、場合により加えられる成分(C)、(D)、(E)及びその他の成分を混合することによって製造することができる。混合方法は、本発明が目的とする屋外用ウレタン接着剤を得ることができる限り、特に限定されるものではない。成分を混合する順序等についても、特に限定されるものではない。本発明に係る屋外用ウレタン接着剤は、特別な混合方法及び特別な混合順序等を要することなく製造することができる。そして得られた屋外用ウレタン接着剤は、接着強度及び耐候性の双方に優れる。
従って、防壁材、屋根材、太陽電池モジュール、窓材、屋外フローリング材、照明保護材、自動車部材、看板等の屋外材料用途として好適である。これらの屋外材料は、複数のフィルムが貼り合わされた積層体を含んでいる。フィルムとしては、プラスチック基材に金属が蒸着されたフィルム(金属蒸着フィルム)、金属が蒸着されていないフィルム(プラスチックフィルム)がある。
【0056】
屋外用接着剤のうち、太陽電池モジュールを製造する接着剤には特に高いレベルで強度、耐候性が要求されている。本発明の屋外用ウレタン接着剤は、剥離強度、耐候性の双方に優れているので、太陽電池バックシート用接着剤として好適なものとなる。
太陽電池バックシートを作製する際には、本発明の屋外用ウレタン接着剤をフィルムへ塗布する。塗布方法としては、グラビアコート、ワイヤーバーコート、エアナイフコート、ダイコート、リップコート、コンマコートなどの様々な方法により行うことができる。本発明の屋外用ウレタン接着剤が塗布された複数のフィルムを貼り合わせ、太陽電池バックシートが完成する。
【0057】
本発明の太陽電池バックシートの一の形態を図1〜3に例示するが、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の太陽電池バックシートの断面図である。太陽電池バックシート10は、2枚のフィルムとその間の屋外用ウレタン接着剤13から形成されており、2枚のフィルム11及び12は、屋外用ウレタン接着剤13によって貼り合わされている。フィルム11及び12は、同一の材料であっても、異なる材料であってもよい。図1では、2枚のフィルム11及び12は、貼り合わされているが、3枚以上のフィルムが貼り合わされていてもよい。
【0058】
本発明に係る太陽電池バックシートの他の形態を図2に示す。図2では、フィルム11と屋外ウレタン接着剤13との間に、箔膜11aが形成されている。例えば、フィルム11が、プラスチックフィルムである場合、フィルム11の表面に、金属薄膜11aが形成されている形態を示す。金属薄膜11aは、プラスチックフィルム11の表面に、例えば蒸着によって形成することができ、この金属薄膜11aが形成されたフィルム11とフィルム12を、屋外用ウレタン接着剤13を介して貼り付けて、図2に係る太陽電池バックシートを得ることができる。
【0059】
プラスチックフィルムに蒸着する金属として、例えば、アルミニウム、鋼及び銅等を例示できる。プラスチックフィルムに蒸着加工を施すことで、フィルムにバリア性を付与することができる。蒸着材料としては、酸化珪素や酸化アルミニウムが用いられる。基材のプラスチックフィルム11は、透明でも、白や黒等に着色されていてもよい。
フィルム12として、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、フッ素樹脂、アクリル樹脂から成るプラスチックフィルムが用いられるが、耐熱性、耐候性及び剛性、絶縁性等を付与するためにポリエチレンテレフタレートフィルムやポリブチレンテレフタレートフィルムを用いることが特に好ましい。フィルム11及び12は、透明でも、着色されても良い。
フィルム11の蒸着薄膜11aとフィルム12とは、本発明の屋外用ウレタン接着剤13を用いて貼り付けられるが、フィルム11及び12は、ドライラミネート法によって積層されることが多い。
【0060】
図3は、本発明の太陽電池モジュールの一例の断面図を示す。図3では、本発明の太陽電池モジュール1は、ガラス板40、エチレン酢酸ビニル樹脂(EVA)等の封止材20、一般に複数の太陽電池セル30を接続して所望の電圧を発生するもの、バックシート10を重ね合わせて、スペーサ50でこれらの部材10、20、30及び40を固定して、得ることができる。
バックシート10は、上述したように、複数のフィルム11及び12の積層体なので、ウレタン接着剤13には、バックシート10が、たとえ長期間屋外に曝されても、フィルム11及び12が剥離しないことが要求される。
【0061】
太陽電子セル30は、シリコンを用いて製造されることが多いが、色素を含んだ有機樹脂を用いて製造されることもある。その場合、太陽電池モジュール1は、有機系(色素増感)太陽電池モジュールとなる。有機系(色素増感)太陽電池には着色性が要求されるので、太陽電池バックシート10を構成するフィルム11及び12として透明フィルムが使用されることが多い。従って、太陽電池バックシート用接着剤13には、長期間屋外で曝されたとしても、色差変化が極めて小さく、耐候性に優れていることが要求される。
【0062】
本発明の主な態様を以下に示す。
1.(A)イソシアネート化合物(a1)とエステル結合を有するポリオール(a2)が反応して得られるウレタン樹脂及び
(B)ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物
を含んで成り、
前記イソシアネート化合物(a1)は、脂肪族イソシアネート及び脂環式イソシアネートから選択される少なくとも1種を含む、屋外用ウレタン接着剤。
2.ポリオール(a2)は、ポリエステルポリオール及びアクリルポリオールから選択される少なくとも1種を含んで成る上記1に記載の屋外用ウレタン接着剤。
3.シラン化合物を、更に含んで成る上記1又は2に記載の屋外用ウレタン接着剤。
4.ヒンダードフェノール系化合物を、更に含んで成る上記1〜3のいずれかに記載の屋外用ウレタン接着剤。
5.ヒンダーアミン系化合物を、更に含んで成る上記1〜4のいずれかに記載の屋外用ウレタン接着剤。
6.上記1〜5のいずれかに記載の屋外用ウレタン接着剤を用いて得られる太陽電池バックシート。
7.上記6に記載の太陽電池バックシートを用いて得られる太陽電池モジュール。
【実施例】
【0063】
以下、本発明を実施例及び比較例を用いて説明するが、これらの例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を何ら限定するものではない。
実施例及び比較例で使用した屋外用ウレタン接着剤の原料を以下に記載する。
【0064】
(a1)脂肪族イソシアネート及び脂環式イソシアネート
(a1−1)脂肪族イソシアネート:1,6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)
(住化バイエルウレタン社製のスミジュールN3300(商品名))
(HDI イソシアヌレート3量体(脂肪族)、NCO%=21.8%)
(a1−2)脂環式イソシアネート:イソホロンジイソシアネート(IPDI)
(エボニックデグサ社製のVESTANATT1890(商品名))
(IPDIイソシアヌレート3量体(脂環式)、NCO%=17.3%)
(a1−3)脂肪族イソシアネート:キシリレンジイソシアネート(XDI)
(三井化学社製のタケネート500(商品名))
(XDI(脂肪族)、NCO%=44.7%)
【0065】
(a1’)芳香族イソシアネート
(a1’−4)4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)
(日本ポリウレタン社製のミリオネートMT(商品名))
(MDI(芳香族)、NCO%=33.6%)
(a1’−5)フェニルイソシアネート(東京化成工業社製)
(フェニルイソシアネート(芳香族)、NCO=35.3%)
【0066】
(a2)エステル結合を有するポリオール
(a2−1)ポリエステルポリオール
(旭川化学社製のPES229(商品名)のポリオール成分)
(アジピン酸、イソフタル酸、無水フタル酸、ジエチレングリコール、PPG400、トリメチロールプロパンからなるポリエステルポリオール)
(a2−2)ポリエステルポリオール
(旭川化学社製のPES8001(商品名)のポリオール成分)
(セバシン酸、テレフタル酸、ヘキサンジオール、メチルペンタンジオールからなるポリエステルポリオール)
(a2−3)ポリエステルポリオール
(豊国製油社製のHS 2N-226P(商品名))
(無水フタル酸、2,4−ジブチル−1,5−ペンタンジオールからなるポリエステルポリオール)
(a2−4)アクリルポリオール
(綜研化学社製のOG3(商品名))
(n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートからなるアクリルポリオール)
(a2−5)アクリルポリオール
(エストロンケミカル社製のイソクリルH270(商品名))
(メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メタクル酸からなるアクリルポリオール)
【0067】
(a2’)エステル結合を有さないポリオール
(a2’−6)ポリエーテルポリオール
(第一工業製薬社製のハイフレックスD2000(商品名))
(PPG2000)
尚、成分(a1)と成分(a2)が反応することで、本発明に係る(A)ウレタン樹脂が得られる。
【0068】
(B)ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤
(B1)ヒドロキシフェニルトリアジン
(BASF社製のチヌビン479(商品名))
2−[4−(オクチル−2−メチルエタノエート)オキシ−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−[ビス(2,4−ジメチルフェニル)]−1,3,5−トリアジン
(B2)ヒドロキシフェニルトリアジン
(BASF社製のチヌビン400(商品名))
2−[4−(2−ヒドロキシ−3−ドデシロキシ−プロピル)オキシ−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−[ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン及び2−[4−(2−ヒドロキシ−3−トリデシロキシ−プロピル)オキシ−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−[ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンの混合物
(B3)ヒドロキシフェニルトリアジン
(BASF社製のチヌビン405(商品名))
2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと(2−エチルヘキシル)−グリシド酸エステルの反応生成物
(B4)ヒドロキシフェニルトリアジン
(BASF社製のチヌビン460(商品名))
2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン
(B5)ヒドロキシフェニルトリアジン
(BASF社製のチヌビン477(商品名))
トリス[2,4,6−[2−{4−(オクチル−2−メチルエタノエート)オキシ−2−ヒドロキシフェニル}]−1,3,5−トリアジン
【0069】
(B’)非ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤
(B6’)ベンゾトリアゾール
(BASF社製のチヌビン328(商品名))
2−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール
(B7’)ベンゾトリアゾール
(BASF社製のチヌビン234(商品名))
2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール
(B8’)ベンゾトリアゾール
(SHUANG-BANG INDUSTRIAL CO., LTD製のSB-UVA626SP(商品名))
2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
(B9’)シュウ酸アニリド
(クラリアントジャパン社製のHostavin PR-25(商品名))
[(4−メトキシフェニル)−メチレン]マロン酸−ジメチルエステル
(B10’)マロン酸エステル
(クラリアントジャパン社製のHostavin B-CAP(商品名))
テトラエチル−2,2’−(1,4−フェニレン−ジメチリデン)−ビスマロネート
【0070】
(C)シラン化合物
(C1)エポキシシラン
(エボニックデグサ社製のダイナシランGLYEO(商品名))
3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
(C2)エポキシシラン
(エボニックデグサ社製のダイナシランGLYMO(商品名))
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(C3)エポキシシラン
(チッソ社製のサイラエースS530(商品名))
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
(C4)イソシアヌレートシラン
(モメンティブ社製のSilquest Y−11597(商品名))
トリス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)イソシアヌレート
(C5)メルカプトシラン
(チッソ社製のサイラエースS810(商品名))
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン
【0071】
(D)酸化防止剤
(D1)ヒンダードフェノール
(BASF社製のイルガノックス1330(商品名))
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン
(E)光安定剤
(E1)ヒンダードアミン
(BASF社製のチヌビン765(商品名))
セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)
下記の実施例1〜23及び比較例1〜9の屋外用ウレタン接着剤を、上記成分を用いて製造し、得られた屋外用ウレタン接着剤の性能を、評価した。以下に製造方法及び評価方法を示す。
【0072】
実施例1
<屋外用ウレタン接着剤の製造>
表1に示すように、
(a1−1)住化バイエルウレタン社製のスミジュールN3300(商品名)を13.16g、
(a2−1)旭川化学社製のPES229(商品名)を樹脂分として86.84g、
(B1)BASF社製のチヌビン479(商品名)を0.50g、
(D1)BASF社製のイルガノックス1330(商品名)を0.20g
を秤量して混合した後、これら混合物に酢酸エチルを添加して固形分30%の溶液を調製した。この調製液を屋外用ウレタン接着剤とし、以下の試験を行った。
【0073】
<フィルム積層物1の製造>
先ず、実施例1の屋外用ウレタン接着剤を透明ポリエチレンテレフタレート(PET)シート(三菱化学ポリエステルフィルム社製のO300EW36(商品名))に固形分重量が10g/mとなるように塗布し、80℃で10分間乾燥させた。
その後、PETシートの接着剤塗布面に、表面処理透明ポリオレフィンフィルム(フタムラ化学社製のリニアローデンシティポリエチレンフィルム LL−XUMN #30(商品名))の表面処理された面を被せ、平面プレス機(神藤金属工業社製のASF−5(商品名))で圧締圧1.0MPa 50℃で30分間、両フィルムをプレスした。プレスしたまま、両フィルムを40℃で1週間養生し、フィルム積層物1とした。
【0074】
<フィルム積層物2の製造>
実施例1の屋外用ウレタン接着剤を白色PET(東レ社製のルミラー#100−E20(商品名))に固形分重量が10g/mとなるように塗布し、80℃で10分間乾燥させた。
その後、PETシートの接着剤塗布面に、透明PETフィルム(三菱樹脂社製のテックバリアVグレード(商品名))の表面処理面を被せ、平面プレス機で圧締圧1.0MPa 50℃で30分間、両フィルムをプレスした。プレスしたまま、両フィルムを40℃で1週間養生し、フィルム積層物2とした。
【0075】
<評価>
屋外用ウレタン接着剤の評価を以下の方法で行った。
1.UV照射による黄変性の評価
フィルム積層物1のポリオレフィンフィルム側を照射面として、UV照射試験機(岩崎電気社製のアイスーパーUVテスター W13(商品名)))にセットし、照度1000W/m、60℃50%RHの条件下で15時間の照射を行った。色差計にて照射前後の色差(Δb)を測定し、黄変度を評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎:Δbが10未満
○:Δbが10以上 15未満
×:Δbが15以上
【0076】
2.高温養生による黄変性の評価
フィルム積層物2を、150℃オーブン(シミズ社製のPSFS−50(商品名))に投入し、7日間の静置養生を行った。色差計にて照射前後の色差(Δb)を測定し、黄変度を評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎:Δbが13未満
○:Δbが13以上 23未満
×:Δbが23以上
【0077】
3.剥離強度の測定
フィルム積層物1を15mm幅に切り出し、引っ張り強度試験機(オリエンテック社製のテンシロンRTM-250(商品名))を用いて、室温環境下、100mm/min、引っ張り速度180°の剥離試験を行った。評価基準は以下のとおりである。
◎:剥離強度が8N/15mm以上
○:剥離強度が6N/15mm以上8N/15mm未満
×:剥離強度が6N/15mm未満
【0078】
実施例2〜23、比較例1〜9についても、各成分を表1〜4に記載の組成で配合し、実施例1と同様の方法で屋外用ウレタン接着剤を製造した。フィルム積層物1及びフィルム積層物2の製造、評価方法についても実施例1と同様の方法で行った。
【0079】
【表1】

【0080】
【表2】

【0081】
【表3】

【0082】
【表4】

【0083】
表1〜3に示すように、実施例1〜25の屋外用ウレタン接着剤は、成分(a1)、成分(a2)及び成分(B)の3成分を含むことによって、剥離強度に優れ、なおかつ、耐候性にも優れており、総合的にバランスの良い接着剤となっている。両方の性能に優れていることで、実施例の屋外ウレタン接着剤は、太陽電池バックシート用接着剤として好適な接着剤である。
【0084】
特に、実施例8、14、20、22及び25の屋外用ウレタン接着剤は、剥離強度に優れ、色差変化が小さく耐候性に著しく優れるので、有機系(色素増感)太陽電池のバックシート用接着剤としてより好適である。
【0085】
これに対し、表4に示す比較例1〜9の屋外用ウレタン接着剤は、成分(a1)、成分(a2)、成分(B)の3成分のうち、いずれかを含まない。これら3成分のいずれかが欠けることにより、比較例の屋外ウレタン接着剤は、剥離強度、若しくは耐候性のいずれかの性能が実施例と比べて劣る。
【0086】
これらの結果から、屋外用ウレタン接着剤として、成分(a1)と成分(a2)との反応で得られた(A)ウレタン樹脂と、成分(B)とを必須成分として含むことが重要であることが実証された。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、屋外用ウレタン接着剤を提供する。本発明に係る屋外用ウレタン接着剤は、防壁材、屋根材、太陽電池モジュール、窓材、屋外フローリング材、照明保護材、自動車部材、看板等の屋外材料に用いられ、特に、太陽電池バックシートを製造するために適する。
【符号の説明】
【0088】
1 太陽電池モジュール
10 バックシート
11 フィルム
11a 蒸着薄膜
12 フィルム
13 接着剤層
20 封止材(EVA)
30 太陽電池セル
40 ガラス板
50 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)イソシアネート化合物(a1)とエステル結合を有するポリオール(a2)が反応して得られるウレタン樹脂及び
(B)ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物
を含んで成り、
前記イソシアネート化合物(a1)は、脂肪族イソシアネート及び脂環式イソシアネートから選択される少なくとも1種を含む、屋外用ウレタン接着剤。
【請求項2】
シラン化合物を、更に含んで成る請求項1に記載の屋外用ウレタン接着剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の屋外用ウレタン接着剤を用いて得られる太陽電池バックシート。
【請求項4】
請求項3に記載の太陽電池バックシートを用いて得られる太陽電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−116880(P2012−116880A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265365(P2010−265365)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(391047558)ヘンケルジャパン株式会社 (43)
【Fターム(参考)】