説明

屋根・天井一体化パネル

【課題】組み立て式建屋の屋根部分の現場作業を大幅に削減する。
【解決手段】屋根用パネル材12と天井用パネル材13とを鉄骨からなる補強金具14を挟んで一体化し、屋根・天井一体化パネル7を構成する。屋根・天井一体化パネル7を工場生産し、現地では屋根・天井一体化パネル7を躯体に組み付けるだけでよいので、現場作業が大幅に削減される。また、必要に応じ照明器具19を一体的に組み付けて工場出荷すれば、現場での照明工事が不要となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、簡易店舗などに用いられる組み立て式の建屋に関し、特にその屋根構造に関する。
【背景技術】
【0002】
軽量鉄骨からなる柱や梁、パネル材からなる壁面や間仕切りなどを工場生産し、これらを現地で組み立てることにより、現場での工期やコストの削減を図った組み立て式の建屋が知られており、この種の建屋については、例えば特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開平6−272317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した組み立て式の建屋は現場作業の削減を図ったものであるが、従来のこの種の建屋は屋根構造についてのその点の配慮が足りない。すなわち、従来の屋根構造は小屋組みをした上で、その上部に屋根材を敷き、下部に天井材を組み付けている。そのため、建屋の躯体については現場作業が大幅に削減される一方で、屋根の施工に多くの工数を要し、短時間での店舗設置が求められる立地では屋根作業が工期のネックとなっている。
【0004】
そこで、この発明の課題は、組み立て式の建屋において、屋根部分の現場作業を大幅に削減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、屋根用パネル材と天井用パネル材とを鉄骨からなる補強金具を挟んで一体化し、屋根・天井一体化パネルを構成するものとする。請求項1の発明によれば、屋根・天井一体化パネルを工場生産し、現地ではこの屋根・天井一体化パネルを躯体に組み付けるだけでよいので、現場作業が大幅に削減される。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記屋根用パネル材と天井用パネル材との間に配線・配管ダクトを形成するものである。パネル内に予めダクトを形成しておくことにより、空調や照明に必要な配線や配管を一緒に組みつけて工場出荷することができる。
【0007】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、照明器具を一体的に組み付けるものである。従来は照明器具の取り付けや配線を現場で行っているが、照明器具を組み付けて工場出荷することにより、現場での照明工事が不要となる。また、顧客の要望に応じた照明器具を工場段階で組み付けておけるので、顧客のデザイン満足度も高くなる。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1〜請求項3の発明において、前記屋根用パネル材と天井用パネル材との間に発泡断熱材を封入するものである。これにより、工場段階でパネルに断熱性を与えることができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、現場での小屋組みや屋根材及び天井材の組み付け作業が不要になるので、組み立て式建屋の利点をますます生かして、現場作業を一層削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1の(A)は、この発明に係る屋根・天井一体化パネルを備えた簡易店舗用建屋、図示の場合は駅構内売店用建屋の全体を示す斜視図である。また、図1の(B)は、(A)当該建屋から屋根・天井一体化パネル7を取外した状態を示したものである。図1の(A)及び(B)に示すように、軽量鉄骨の枠組みからなる土台1上にやはり軽量鉄骨からなる柱2及び梁3が組み付けられ、建屋躯体が構成されている。この躯体には、シャッター4、壁面パネル5、看板枠6が組み付けられ、次いで屋根・天井一体化パネル7が組みつけられる。その後、看板枠6に図示しない看板が取り付けられ、最後に床パネル8が組みつけられる。図示店舗は売店スペース9と保管庫スペース10とからなり、その間の凹部11は自動販売機スペースとなっている。
【0011】
屋根・天井一体化パネル7は短冊形で、複数枚が互いに隣接するように並べられているが、図2は図1の(A)に図示したII−II線に沿う断面図を示したものである。図2において、屋根・天井一体化パネル7は、いずれも鋼板からなる屋根用パネル材12と天井用パネル材13とが鉄骨からなる補強金具14を挟んで一体化されることにより構成されている。屋根用パネル材12と天井用パネル材13とは同一形状・寸法で、四辺に側壁12a及び13aがそれぞれ折り曲げ形成され、側壁12a,13a同士が向き合うように、かつ側壁12a,13a間に若干の隙間15を置いて配置されている。
【0012】
補強金具14は図示の通り断面Z字状で、屋根・天井一体化パネル7の長手方向に沿い左右一対設けられ、屋根用パネル材12及び天井用パネル材13とに固定されている。屋根・天井一体化パネル7には、図2の左右中心部に長手方向に平行に配線・配管ダクト16が形成されるが、そのために側壁12a,13aの一部は互いに対向するように方形状に切り欠かれている。
【0013】
一方、屋根・天井一体化パネル7の周囲には、隙間15を塞ぐように化粧枠17が装着されている。図3に図2のP部を拡大して示す。化粧枠17は樹脂成形品で図3に示す断面形状を有し、屋根用パネル材12及び天井用パネル材13は側壁12a及び13aが化粧枠17の溝17aに上下から嵌め込まれて隙間15が塞がれている。化粧枠17が装着された屋根・天井一体化パネル7には、配線・配管ダクト16を除いて図示しない発泡断熱材が封入されている。屋根・天井一体化パネル7は工場で生産され、現場で隣接する化粧枠17同士が接するように躯体に組み付けられた後、図3に示すように側壁12a,12a間の隙間のシール材18は、工場で左右いずれかの側壁に貼り付けられており、現場での充填作業を不要としている。
【0014】
再び、図2において、屋根・天井一体化パネル7には、必要に応じて照明器具19が取り付けられて工場出荷される。図示の照明器具19は4灯式の蛍光灯器具で、天井用パネル材13に固定されている。照明器具19の配線は配線・配管ダクト16を通して工場で施され、そのまま出荷される。図示しないが空調用などの配管の必要があれば、配線・配管ダクト16を用いて工場で配管が施される。
【0015】
上述の通り、屋根・天井一体化パネル7は工場で生産され、必要に応じて配線・配管が施された上で完成品として出荷されるので、現場ではそのまま組み付けるだけで屋根施工と天井施工が同時に達成され、小屋組みをする従来技術に比べ現場作業が大幅に低減する。また、照明器具や各種の配線・配管も工場でビルトインしておくことにより、照明や空調の現場工事も大幅に縮小する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(A)はこの発明の実施の形態を示す店舗建屋の斜視図であり、(B)は(A)の店舗建屋の床板パネル7及び屋根・天井一体化パネル7を取外した状態を示す店舗建屋の斜視図である。
【図2】図1の(A)に図示したII−II線に沿う断面図である。
【図3】図2に図示したP部の拡大図である。
【符号の説明】
【0017】
7 屋根・天井一体化パネル
12 屋根用パネル材
13 天井用パネル材
14 補強金具
16 配線・配管ダクト
19 照明器具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根用パネル材と天井用パネル材とを鉄骨からなる補強金具を挟んで一体化して構成したことを特徴とする屋根・天井一体化パネル。
【請求項2】
前記屋根用パネル材と天井用パネル材との間に配線・配管ダクトを形成したことを特徴とする請求項1記載の屋根・天井一体化パネル。
【請求項3】
照明器具を一体的に組み付けたことを特徴とする請求項2記載の屋根・天井一体化パネル。
【請求項4】
前記屋根用パネル材と天井用パネル材との間に発泡断熱材を封入したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の屋根・天井一体化パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−70957(P2007−70957A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−261607(P2005−261607)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)