説明

屋根構造体

【課題】棟を挟んで対向して設置される垂木の各々が逆方向に転びにくくなり、棟を挟んで対向して設置される野地板の各々が一体的に変位する、水平力に対する屋根全体の剛性を向上させることができる屋根構造体を提供する。
【解決手段】つなぎ部材15が、棟木11の軸方向に隣り合う垂木13同士の間かつ棟木11の上に、連続して設置されている。つなぎ部材15は、例えば釘16等の締結具が側方から斜め下方に打ち込まれて、棟木11の上に固定されている。更に、野地板14の上方からつなぎ部材15の上面23に向かって釘17等の締結具が打ち込まれて、つなぎ部材15に野地板14が固定されている。棟木11を挟んで対向して配置されている野地板14同士は、つなぎ部材15を介して接合されている。したがって、棟を挟んで対向して設置された垂木13及び野地板14は、つなぎ部材15を介して接合されているため一体的に変位する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は屋根構造体に関し、特に棟を挟んで下方に傾斜する傾斜面を有する屋根構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の木造住宅の棟を挟んで下方に傾斜する傾斜面を有する屋根構造体は、平行に配置される軒桁と、軒桁に直交して軒桁同士を所定の間隔で接続する小屋梁と、軒桁と平行に最上部に配置される棟木と、軒桁と平行に軒桁と棟木との間に配置される母屋と、棟木、母屋及び軒桁の上にそれらに直交して取り付けられる垂木と、垂木の上に取り付けられる野地板とを備えている。棟木及び母屋は、小屋梁から立ち上げられた小屋束によって支持される。上記垂木の上方端は棟木に釘等で固定されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−220244号公報(第7頁、図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の屋根構造体では、地震や台風等により屋根構造体が水平力を受けた場合に、棟を挟んで配置される垂木が逆方向に転んだり、棟を挟んで配置される野地板がばらばらに変位して、屋根全体の剛性が、鉄骨住宅やコンクリート住宅の屋根構造体と比較して低くなっている。したがって、大空間を有する間取りを作るのが困難であった。
図22は、従来の屋根構造体の野地板についての問題点を示す概略図であり、図23は、従来の屋根構造体の垂木についての問題点を示す概略図である。
図22を参照して、図22の(1)は従来の屋根構造体の小屋梁方向の概略構成を示した断面図である。従来の屋根構造体は、上述した軒桁90、小屋梁91、棟木92、母屋93、垂木94、野地板95及び小屋束96とを備えている。図22の(2)は、図22の(1)で示した野地板95を上から見た図である。従来の屋根構造体が水平力を受けると、棟を挟んで対向する野地板95同士が接合されていないため、図22の(2)で示した野地板95が、図22の(3)で示したように、棟を挟んでばらばらに変位する。
図23を参照して、図23の(1)は図22の(1)で示した断面図の棟木部分の拡大図である。棟木92を切り欠いて、垂木94の上方端が釘等により固定されている。図23の(2)は、図23の(1)で示した棟木92部分を野地板95を取り外して上から見た図である。従来の屋根構造体が水平力を受けると、棟を挟んで対向する垂木94同士が接合されていないため、図23の(2)で示した垂木94が、図23の(3)の矢印で示したように、棟を挟んで逆方向に転ぶ。以上のような現象が、屋根全体の剛性の向上の妨げとなっている。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、棟を挟んで対向して設置される垂木の各々が逆方向に転びにくくなり、棟を挟んで対向して設置される野地板の各々が一体的に変位する、水平力に対する屋根全体の剛性を向上させることができる屋根構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、棟を挟んで対向するように下方に傾斜する傾斜面を有する屋根構造体であって、棟木と、前記棟木を挟んで対向するように設置され、前記棟木に上方端側が支持される垂木と、前記垂木の上面に設置される野地板と、前記棟木の軸方向に隣り合う前記垂木同士の間かつ前記棟木の上に、前記垂木の側面をつなぐように設置されたつなぎ部材とを備え、前記棟木を挟んで対向する前記野地板の双方が前記つなぎ部材に固定され、前記つなぎ部材は、前記つなぎ部材がつながれた前記垂木に固定され、前記つなぎ部材は、前記棟木の上面と前記野地板の下面とに沿って、前記軸方向に延びると共に中空に形成され、前記つなぎ部材は、前記棟木の上面に設置される前記軸方向に延びる底板と、前記底板の前記軸方向の辺の各々から上方に延びるように接続される側板と、前記側板の各々の上辺から前記野地板の下面に沿って延びるように接続される傾斜板とを含むものである。
【0007】
このように構成すると、屋根構造体が水平力を受けた場合に、棟木の上の垂木が転びにくくなり、棟を挟んで対向して設置された垂木の各々が逆方向に転びにくくなる。又、棟を挟んで対向して設置された野地板の各々が一体的に変位する。また、つなぎ部材と垂木が一体的に変位する。また、つなぎ部材が棟木及び野地板と面で接触する。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、前記側板は、前記軸方向の辺の各々から上方に延びると共に前記棟木の側面に沿って下方に延びるように接続されるものである。
【0009】
このように構成すると、つなぎ部材が棟木の側面及び野地板と面で接触する。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の発明の構成において、前記つなぎ部材は、前記底板の上面から上方に延びるように接続される仕切板を更に含むものである。
【0011】
このように構成すると、つなぎ部材の剛性が向上する。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明の構成において、前記つなぎ部材は、前記側板の垂木側の辺から前記垂木の側面に沿って延びるように接続される小口板とを含むものである。
【0013】
このように構成すると、つなぎ部材が垂木の側面と面で接触する。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の構成において、前記つなぎ部材は、前記小口板から延びて前記側板に接続される補強板を更に含むものである。
【0015】
このように構成すると、つなぎ部材の小口板の剛性が向上する。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明の構成において、上面が前記野地板の下面に沿うと共に小口面が前記垂木の側面に沿って前記側板の外方面に取り付けられた桟木とを含むものである。
【0017】
このように構成すると、つなぎ部材の桟木が垂木及び野地板と面で接触する。
【0018】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明の構成において、前記小口板は、垂木の側面に沿って棟木の上面まで下方に延びるように接続され、前記つなぎ部材の各々は、前記垂木を挟んで、前記小口板の下辺から棟木の上面に沿って延びる底板によって接続され、前記棟木を挟んで対向する前記野地板の双方が前記つなぎ部材に固定されたものである。
【0019】
このように構成すると、棟木の上の垂木が転びにくくなり、棟を挟んで対向して設置された垂木の各々が逆方向に転びにくくなる。又、棟を挟んで対向して設置された野地板の各々が一体的に変位する。更に、つなぎ部材と垂木が一体的に変位する。更に、垂木の取付け間隔が一定となる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、屋根構造体が水平力を受けた場合に棟木の上の垂木が転びにくくなり、棟を挟んで対向して設置された垂木の各々が逆方向に転びにくくなる。又、棟を挟んで対向して設置された野地板の各々が一体的に変位する。そのため、水平力に対する屋根構造体全体の剛性を向上させることができる。また、つなぎ部材と垂木が一体的に変位するため、水平力に対する屋根構造体全体の剛性を更に向上させることができる。また、つなぎ部材が棟木及び野地板と面で接触するため、野地板をつなぎ部材に安定して固定することができる。
【0021】
請求項2記載の発明は、つなぎ部材が棟木の側面と面で接触するため、つなぎ部材を所定の位置に容易に配置することができ、つなぎ部材を棟木に側方から容易に固定することができる。又、つなぎ部材が野地板と面で接触するため、野地板をつなぎ部材に安定して固定することができる。
【0022】
請求項3記載の発明は、つなぎ部材の剛性が向上するため、屋根構造体が水平力を受けた場合に垂木及び野地板の変位を小さくすることができる。
【0023】
請求項4記載の発明は、つなぎ部材が垂木の側面と面で接触するため、つなぎ部材を垂木に容易に固定することができる。
【0024】
請求項5記載の発明は、つなぎ部材の小口板の剛性が向上するため、つなぎ部材を垂木に安定して容易に固定することができる。
【0025】
請求項6記載の発明は、つなぎ部材の桟木が垂木及び野地板と面で接触するため、木ネジや一般的な釘等を使用してつなぎ部材に垂木及び野地板を固定することができる。
【0026】
請求項7記載の発明は、棟木の上の垂木が転びにくくなり、棟を挟んで対向して設置された垂木の各々が逆方向に転びにくくなる。又、棟を挟んで対向して設置された野地板の各々が一体的に変位する。更に、つなぎ部材と垂木が一体的に変位する。更に、垂木の取付け間隔が一定となる。そのため、水平力に対する屋根構造体全体の剛性を向上させることができると共に、つなぎ部材に垂木を効率的に施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】参考例の形態による屋根構造体の概略構成を示した斜視図である。
【図2】図1で示したつなぎ部材の概略構成を示した斜視図である。
【図3】図1で示したIII―IIIラインの概略構成を示した断面図である。
【図4】この発明の実施の形態による屋根構造体に用いられるつなぎ部材の概略構成を示した斜視図である。
【図5】この発明の実施の形態による屋根構造体に用いられるつなぎ部材の概略構成を示した斜視図である。
【図6】この発明の実施の形態による屋根構造体に用いられるつなぎ部材の概略構成を示した斜視図である。
【図7】この発明の実施の形態による屋根構造体に用いられるつなぎ部材の概略構成を示した斜視図である。
【図8】この発明の実施の形態による屋根構造体に用いられるつなぎ部材の概略構成を示した斜視図である。
【図9】この発明の実施の形態による屋根構造体に用いられるつなぎ部材の概略構成を示した斜視図である。
【図10】この発明の実施の形態による屋根構造体に用いられるつなぎ部材の概略構成を示した斜視図である。
【図11】この発明の実施の形態による屋根構造体に用いられるつなぎ部材の概略構成を示した斜視図である。
【図12】この発明の実施の形態による屋根構造体に用いられるつなぎ部材の概略構成を示した斜視図である。
【図13】この発明の実施の形態による屋根構造体に用いられるつなぎ部材の概略構成を示した斜視図である。
【図14】図13で示したつなぎ部材が用いられた屋根構造体の棟部分の概略構成を示した断面図である。
【図15】この発明の実施の形態による屋根構造体に用いられるつなぎ部材の概略構成を示した斜視図である。
【図16】この発明の実施の形態による屋根構造体に用いられるつなぎ部材の概略構成を示した斜視図である。
【図17】参考例の形態による屋根構造体に用いられる接合部材の概略構成を示した斜視図である。
【図18】参考例の形態による屋根構造体に用いられる接合部材の概略構成を示した斜視図である。
【図19】参考例の形態による屋根構造体の棟部分の一部の概略構成を示した分解斜視図である。
【図20】参考例の形態による屋根構造体の棟部分の一部の概略構成を示した分解斜視図である。
【図21】参考例の形態による屋根構造体の棟部分及び軒桁部分の一部の概略構成を示した分解斜視図である。
【図22】従来の屋根構造体の野地板についての問題点を示す概略図である。
【図23】従来の屋根構造体の垂木についての問題点を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
【0029】
図1は参考例による屋根構造体の概略構成を示した斜視図であり、図2は図1で示したつなぎ部材の概略構成を示した斜視図であり、図3は図1で示したIII―IIIラインの概略構成を示した断面図である。
【0030】
図1に示すように、例えば木造住宅の切妻屋根のように、棟を挟んで下方に傾斜する傾斜面を有する屋根構造体は、平行に配置される軒桁10と、軒桁10と平行に最上部に配置される棟木11と、軒桁10と平行に軒桁10と棟木11との間に配置される母屋12と、棟木11、母屋12及び軒桁10の上にそれらに直交して所定の間隔で取り付けられる垂木13と、垂木13の上面に設置される野地板14とを備えている。設置される高さが、棟木11、母屋12、軒桁10の順に低くなり、棟から軒先に向かって下方に傾斜する傾斜面が構成される。垂木13の上方端が棟木11に支持され、垂木13の下方端が軒桁10に支持される。軒桁10、棟木11、母屋12及び垂木13は断面が矩形形状を有する。尚、軒桁10の各々は、軒桁10に直交して配置される図示しない小屋梁によって所定の間隔で接続されている。棟木11及び母屋12は、上記小屋梁から立ち上げられた図示しない小屋束によって支持される。垂木13は、棟木11を挟んで対向するように設置されている。棟木11、母屋12及び軒桁10には、垂木13を取り付けるための切欠きが形成されている。つなぎ部材15が、棟木11の軸方向に隣り合う垂木13同士の間かつ棟木11の上に、連続して設置されている。
【0031】
図2に示すように、つなぎ部材15は、例えばLVL等の木質系材料よりなり、棟木11の上面19と野地板14の下面18とに沿って棟木11の軸方向に延びると共に中実に形成さている。又、つなぎ部材15は、棟木11の上面19に、棟木11の軸方向に隣り合う垂木13の側面22をつなぐように設置されている。よって、つなぎ部材15の小口面25と垂木13の側面22が面で接触し、つなぎ部材15の上面23と野地板14の下面18が面で接触している。尚、つなぎ部材15の側面24は、棟木11の側面20に整列している。つなぎ部材15の上面23は、垂木13の上面21に整列している。つなぎ部材15の断面形状は、下辺27が棟木11の上面19接する矩形形状と上辺26が野地板14の下面18と接する二等辺三角形形状との組み合わせからなる形状に形成さている。
【0032】
図3に示すように、つなぎ部材15は、例えば釘16等の締結具が側方から斜め下方に打ち込まれて、棟木11の上に固定されている。更に、野地板14の上方からつなぎ部材15の上面23に向かって釘17等の締結具が打ち込まれて、つなぎ部材15に野地板14が固定されている。棟木11を挟んで対向して配置されている野地板14同士は、つなぎ部材15を介して接合されている。つなぎ部材15と垂木13とは、釘等の締結具を用いて接合しても、つなぎ部材15の小口面25と垂木13の側面22とを接触させるだけで接合しなくてもよい。
【0033】
上記のように構成される屋根構造体では、屋根構造体が地震や台風等により水平力を受けた場合に、つなぎ部材15によって垂木13の側面22の移動が拘束されるため、棟木11の上の垂木13が転びにくくなる。又、図23の(3)で示した従来の屋根構造とは異なり、棟を挟んで対向して設置された垂木13の各々が逆方向に転びにくくなる。更に、棟を挟んで対向して設置された野地板14の各々は、つなぎ部材15を介して接合されているため一体的に変位する。したがって、水平力に対する屋根構造体全体の剛性を向上させることができる。
【0034】
更に、つなぎ部材15と垂木13とを締結具を用いて接合することにより、つなぎ部材15と垂木13とが一体的に変位するため、水平力に対する屋根構造体全体の剛性を更に向上させることができる。
【0035】
更に、つなぎ部材15は、棟木11、垂木13及び野地板14と面で接触するため、つなぎ部材15を棟木11及び垂木13に安定して固定することができ、野地板14をつなぎ部材15に安定して固定することができる。又、つなぎ部材15が設置されることにより、棟木11と野地板14とがつなぎ部材15を介して接合されることとなる。尚、つなぎ部材15の横幅は、つなぎ部材15の側面24が棟木11の側面20に整列するような大きさに構成されているため、つなぎ部材15の位置決めが容易となる。
【0036】
図4はこの発明の実施の形態による屋根構造体に用いられるつなぎ部材の概略構成を示した斜視図である。屋根構造体は、図2に示した形態と基本的な構成は共通するため、異なる点を説明する。
【0037】
図4に示した形態は、図2に示した形態と比較してつなぎ部材30の形状のみが異なっている。つなぎ部材30は、例えば鉄板等の加工により形成され、棟木11の上面19に設置されると共に棟木11の軸方向に延びる底板31と、底板31の棟木11の軸方向の辺の各々から上方に垂直に延びるように接続される側板32と、側板32の各々の上辺から野地板14の下面18に沿って斜め上方に延びるように接続される傾斜板33とを備えている。傾斜板33の各々は、上辺同士が接続してつなぎ部材30の頂部を構成している。側板32の各々は、棟木11の側面20に整列している。つなぎ部材30は、棟木11の軸方向に対向する垂木13の側面22の各々に接するような長さに形成されている。底板31、側板32、傾斜板33は各々矩形平板状に形成されている。
【0038】
上記のように構成される屋根構造体では、つなぎ部材30を鉄板で形成することにより、つなぎ部材30の曲げ剛性が向上すると共に、つなぎ部材30が反りにくくなる。又、棟木11及び野地板14と面で接触するため、野地板14をつなぎ部材30に安定して固定することができる。
【0039】
図5はこの発明の実施の形態による屋根構造体に用いられるつなぎ部材の概略構成を示した斜視図であり、図2に対応した図である。
図5を参照して、図4で示した形態と比較して、つなぎ部材34の側板35の形状のみが異なっている。側板35は、底板31の棟木11の軸方向の辺の各々から上方に延びると共に棟木11の側面20に沿って下方に延びるように接続されている。又、側板35の棟木11の側面20と接触する部分には、木ネジ等の締結具を挿通させるための孔36が水平方向に所定の間隔をあけて複数形成されている。側板35は矩形平板状に形成されている。
【0040】
上記のように構成される屋根構造体では、つなぎ部材34が棟木11の側面20と面で接触するため、つなぎ部材34を所定の位置に容易に配置することができ、つなぎ部材34を棟木11の側方から容易に固定することができる。側板35には上記孔36が形成されているため、締結具を容易に貫通させてつなぎ部材34を棟木11に固定させることができる。
【0041】
図6はこの発明の実施の形態による屋根構造体に用いられるつなぎ部材の概略構成を示した斜視図であり、図2に対応した図である。
【0042】
図6を参照して、図5で示した形態と比較して、つなぎ部材37の傾斜板38の形状のみが異なっている。傾斜板38は、側板35の各々の上辺から野地板14の下面18に沿って上方及び下方に延びるように接続されている。傾斜板38の各々は、上辺同士が接続してつなぎ部材37の頂部を構成している。傾斜板38は矩形平板状に形成されている。
【0043】
上記のように構成される屋根構造体では、つなぎ部材37と野地板14とが接触する面積が大きくなる。そのため、野地板14の上方から傾斜板38に向かって釘等の締結具を打ち込んで、野地板14をつなぎ部材37に容易に固定することができる。
【0044】
図7はこの発明の実施の形態による屋根構造体に用いられるつなぎ部材の概略構成を示した斜視図であり、図2に対応した図である。
【0045】
図7を参照して、図6で示した形態と比較して、つなぎ部材39が小口板40を更に備えている点のみが異なっている。小口板40は、垂木13の側面22に沿って、傾斜板38の垂木13側の辺から下方にかつ側板35の垂木13側の辺から外方に延びるように続されている。又、小口板40の垂木13の側面22と接触する部分には、木ネジ等の締結具を挿通させるための孔41が複数形成されている。小口板40は三角形平板状に形成されている。
【0046】
上記のように構成される屋根構造体では、つなぎ部材39が垂木13の側面22と面で接触するため、つなぎ部材39を垂木13に容易に固定することができる。又、小口板40には上記孔41が形成されているため、締結具を容易に貫通させてつなぎ部材39を垂木13に固定させることができる。
【0047】
図8はこの発明の実施の形態による屋根構造体に用いられるつなぎ部材の概略構成を示した斜視図であり、図2に対応した図である。
【0048】
図8を参照して、図5で示した実施の形態と比較して、つなぎ部材42の傾斜板43の形状が異なっている。傾斜板43は、側板35の各々の上辺から野地板14の下面18に沿って下方に延びるように接続されている。傾斜板43は矩形平板状に形成されている。底板31には、木ネジ等の締結具を挿通させるための孔61が、棟木11の軸方向に2列に整列して複数形成されている。
【0049】
上記のように構成される屋根構造体では、野地板14の棟側の端部から離れた位置で、つなぎ部材42の傾斜板43と野地板14が面で接触する。そのため、端あき寸法を十分に確保した上で、野地板14の上方から傾斜板43に向かって釘等の締結具を打ち込んで、野地板14をつなぎ部材42に固定することができる。又、底板31には上記孔61が形成されているため、締結具を挿通させてつなぎ部材42を棟木11に容易に固定させることができる。更に、つなぎ部材42は棟の頂部に当たる部分が開放されているため、つなぎ部材42と棟の頂部に取り付けられる他の部材との干渉を避けることができる。
【0050】
図9はこの発明の実施の形態による屋根構造体に用いられるつなぎ部材の概略構成を示した斜視図であり、図2に対応した図である。
【0051】
図9を参照して、図8で示した実施の形態と比較して、つなぎ部材44が小口板45と仕切板46とを更に備えている点のみが異なっている。小口板45は、垂木13の側面22に沿って、底板31の垂木13側の辺から上方にかつ側板35の垂木13側の辺から内方に延びるように続されている。又、小口板45の垂木13の側面22と接触する部分には、木ネジ等の締結具を挿通させるための孔41が複数形成されている。仕切板46は、小口板45の各々の間を2等分に仕切るように棟木11の軸方向に直交する方向に配置されている。又、仕切板46は、底板31の上面から上方に延びるようにして、底板31と側板35の各々とを接続している。小口板45及び仕切板46は、矩形平板状に形成されている。底板31には、実施の形態と同様に複数の孔61が形成されている。
【0052】
上記のように構成される屋根構造体では、つなぎ部材44が垂木13の側面22と面で接触するため、つなぎ部材44を垂木13に容易に固定することができる。小口板40には上記孔41が形成されているため、締結具を容易に貫通させてつなぎ部材44を垂木13に固定させることができる。又、仕切板46によりつなぎ部材44の剛性が向上するため、屋根構造体が水平力を受けた場合に垂木13及び野地板14の変位を小さくすることができる。
【0053】
図10はこの発明の実施の形態による屋根構造体に用いられるつなぎ部材の概略構成を示した斜視図であり、図2に対応した図である。
【0054】
図10を参照して、図6で示した形態と比較して、つなぎ部材47が仕切板48を更に備えている点のみが異なっている。仕切板48は矩形平板状に形成され、側板35の各々の間に棟木11の軸方向に延びるように側板35に平行に配置されている。又、仕切板48は、底板31の上面から上方に延びるようにして、底板31と、傾斜板38の各々が接続する頂部とを接続している。
【0055】
上記のように構成される屋根構造体では、つなぎ部材47と野地板14の接触する面が大きくなると共につなぎ部材47の剛性が向上するため、野地板14の上方から傾斜板38に向かって釘等の締結具を打ち込んで、野地板14をつなぎ部材47に安定して容易に固定することができる。
【0056】
図11はこの発明の実施の形態による屋根構造体に用いられるつなぎ部材の概略構成を示した斜視図であり、図2に対応した図である。
【0057】
図11を参照して、図5で示した形態と比較して、つなぎ部材49が小口板50、補強板51及び仕切板48を更に備えている点のみが異なっている。小口板50は、垂木13の側面22に沿って、側板35の垂木13側の辺の底板31より上方部分から外方に延びるように続されている。小口板50の各々は、棟木11の軸方向からみて、上辺が野地板14の下面18に沿った平行四辺形平板状に形成されている。又、小口板50の垂木13の側面22と接触する部分には、木ネジ等の締結具を挿通させるための孔41が複数形成されている。補強板51は直角三角形平板状に形成され、小口板50の下辺から側板35に向かって延びるように、直角部分を小口板50と側板35との入隅部分に合わせて、側板35に接続されている。仕切板48は矩形平板状に形成され、側板35の各々の間に棟木11の軸方向に延びるように側板35に平行に配置されている。又、仕切板48は、底板31の上面から上方に延びるようにして、底板31と、傾斜板38の各々が接続する頂部とを接続している。
【0058】
上記のように構成される屋根構造体では、垂木13の棟側の端部から離れた位置で、つなぎ部材49の小口板50と垂木13の側面22が面で接触する。又、小口板50には補強板51が接続されているため、棟木11の軸方向に対する剛性が向上している。したがって、つなぎ部材49を垂木13に安定して固定することができる。又、小口板50には上記孔41が形成されているため、つなぎ部材49を垂木13に容易に固定することができる。
【0059】
図12はこの発明の実施の形態による屋根構造体に用いられるつなぎ部材の概略構成を示した斜視図であり、図2に対応した図である。
【0060】
図12を参照して、図11で示した形態と比較して、つなぎ部材52の傾斜板43及び小口板53の形状が異なり、つなぎ部材52が仕切板54を更に備え、つなぎ部材49の補強板51を備えていない点が異なっている。傾斜板43は、側板35の各々の上辺から野地板14の下面18に沿って下方に延びるように接続されている。傾斜板43は矩形平板状に形成されている。小口板53は、垂木13の側面22に沿って、底板31の垂木13側の辺から上方にかつ側板35の垂木13側の辺から内方に延びると共に、傾斜板43の垂木13側の辺から下方にかつ側板35の垂木13側の辺から外方に延びるように続されている。小口板53は、棟木11の軸方向からみてへの字状を有する平板から構成されている。小口板53の垂木13の側面22と接触する部分には、木ネジ等の締結具を挿通させるための孔41が複数形成されている。仕切板54は、底板31の上面から上方かつ棟木11の軸方向に直交する方向に接続されると共に、仕切板48と側板35の各々とを接続するように小口板53の各々の間に設置されている。仕切板54は、2角が直角である台形形状を有する平板から構成されている。仕切板48は、底板31の上面から上方かつ棟木11の軸方向に延びるように接続されると共に小口板53の各々を接続するように側板35の各々の間に設置されている。仕切板48が第1仕切板を構成し、仕切板54が第2仕切板を構成する。
【0061】
上記のように構成される屋根構造体では、小口板53により、棟を挟んで対向する垂木13の各々の側面22がつなぎ部材52の連続した1つの面と接触する。又、仕切板48及び仕切板54により、つなぎ部材52全体の剛性が向上する。そのため、棟を挟んで対向する垂木13をつなぎ部材52を介して強固に接合することができる。更に、小口板53には上記孔41が形成されているため、つなぎ部材52を垂木13に容易に固定することができる。
【0062】
図13はこの発明の実施の形態による屋根構造体に用いられるつなぎ部材の概略構成を示した斜視図であり、図2に対応した図である。図14は図13で示したつなぎ部材が用いられた屋根構造体の棟部分の概略構成を示した断面図であり、図3に対応した図である。
【0063】
図13を参照して、図2に示した形態と比較してつなぎ部材55の形状のみが異なっている。つなぎ部材55は、棟木11の上面19に設置される棟木11の軸方向に延びる底板56と、底板56の上記軸方向の辺の各々から上方に延びるように接続される側板57と、側板57の外方面に取り付けられた桟木58とを備えている。底板56は矩形平板状に形成され、ほぼ中央に上記軸方向に整列して所定の間隔をあけて、木ネジ等の締結具を挿通させるための孔61が複数形成されている。側板57は矩形平板状に形成されている。底板56及び側板57は例えば鉄板等の加工により形成されている。桟木58は、木製からなり断面矩形形状を有する柱状に形成され、上面62が野地板14の下面18に沿うと共に、小口面63が垂木13の側面22に沿うように構成されている。桟木58は、例えば木ネジ60等の締結具により側板57に取り付けられている。
【0064】
図14を参照して、つなぎ部材55は、例えば木ネジ59等の締結具が上方から打ち込まれて、棟木11の上に固定されている。更に、野地板14の上方からつなぎ部材55の桟木58に向かって釘17等の締結具が打ち込まれて、つなぎ部材55に野地板14が固定されている。棟木11を挟んで対向して配置されている野地板14同士は、つなぎ部材55を介して接合されている。つなぎ部材55と垂木13とは、釘等の締結具を用いて接合しても、桟木58の小口面63と垂木13の側面22とを接触させるだけで接合しなくてもよい。
【0065】
上記のように構成される屋根構造体では、つなぎ部材55の木製からなる桟木58が垂木13及び野地板14と面で接触するため、木ネジや一般的な釘等を使用してつなぎ部材55に垂木13及び野地板14を固定することができる。又、底板56には上記孔61が形成されているため、つなぎ部材55を棟木11に容易に固定することができる。
【0066】
図15はこの発明の実施の形態による屋根構造体に用いられるつなぎ部材の概略構成を示した斜視図であり、図2に対応した図である。
【0067】
図15を参照して、図13に示した形態と比較してつなぎ部材64は小口板65を更に備えている点のみが異なっている。小口板65は、垂木13の側面22に沿って、底板56の垂木13側の辺から上方にかつ側板57の垂木13側の辺から内方に延びるように接続されている。小口板65は鉄板等からなり、逆台形平板状に形成されている。小口板65の垂木13の側面22と接触する部分には、木ネジ等の締結具を挿通させるための孔41が複数形成されている。
【0068】
上記のように構成される屋根構造体では、つなぎ部材64の小口板65が垂木13の側面22と面で接触するため、つなぎ部材64側から上記孔41を介して木ネジ等の締結具を打ち込んで、つなぎ部材64を垂木13に固定することができる。
【0069】
図16はこの発明の実施の形態による屋根構造体に用いられるつなぎ部材の概略構成を示した斜視図である。
【0070】
図16を参照して、図1に示した形態と比較してつなぎ部材66の形状が異なり、棟木11に垂木13を取り付けるための切欠きが形成されていない点が異なっている。つなぎ部材66は、例えば鉄板等の加工により形成され、野地板14の下面18に沿って断面ヘの字状に形成されるように接続される傾斜板33と、傾斜板33の垂木13側の辺から垂木13の側面22に沿って棟木11の上面19まで下方に延びるように接続される小口板67とを備えている。つなぎ部材66の各々は、垂木13を挟んで小口板67の下辺から棟木11の上面19に沿って延びる底板68によって接続されている。即ち、つなぎ部材66は垂木13の間隔をあけて連続して一体的に構成されている。小口板67の垂木13の側面22と接触する部分には、木ネジ等の締結具を挿通させるための孔41が複数形成されている。傾斜板33及び底板68は矩形平板状に形成されている。小口板67は矩形形状と二等辺三角形形状との組合せからなる形状を有する平板状に形成さている。
【0071】
つなぎ部材66は、上記孔41を介して木ネジ等の締結具を打ち込んで、つなぎ部材66がつながれた垂木13に固定される。又、棟木11を挟んで対向する野地板14の双方が、野地板14の上方から傾斜板33に向かって釘等の締結具を打ち込んで、1つのつなぎ部材66に固定される。
【0072】
上記のように構成される屋根構造体では、垂木13の取付け間隔が一定となり、棟木11に垂木13を取り付けるための切欠きを施工する必要がなくなるため、垂木13を効率的に施工することができる。又、垂木13及び野地板14を連続して一体的に構成されたつなぎ部材66に固定するため、水平力に対する屋根構造体全体の剛性を向上させることができる。
【0073】
図17は参考例の形態による屋根構造体に用いられる接合部材の概略構成を示した斜視図である。
【0074】
図17を参照して、棟を挟んで対向するように下方に傾斜する傾斜面を有する屋根構造体であって、棟木11と、その棟木11を挟んで対向するように設置される垂木13と、その垂木13の各々を棟を挟んで接合する接合部材69とを備えている。垂木13の上方端は棟木11に支持されている。又、垂木13の上方端側の上部には、次に説明する接合部材69の傾斜部71の形状に合わせて切欠きが形成されている。接合部材69は、金属等の加工により形成され、垂木13の上面21より突出しないように上記切欠きに取り付けられる矩形平板状の傾斜部71と、棟木11の上面19に対して平行に延びると共に上記傾斜部71の各々を接続する矩形平板状の水平部70とを備えている。水平部70及び傾斜部71は、その幅が垂木13の幅とほぼ同一となっている。そのため、接合部材69を垂木13に取り付けるときに容易に接合部材69の位置決めを行うことができる。又、傾斜部71には、釘や木ネジ等の締結具を挿通させるための孔72が複数形成されている。これらの孔72を介して締結具を打ち込むことにより、垂木13に接合部材69が固定され、棟木11を挟んで対向するように設置される垂木13が一体的に接合される。
【0075】
上記のように構成される屋根構造体では、屋根構造体が水平力を受けた場合に、棟を挟んで対向する垂木13同士が、接合部材69により垂木13の上部が拘束されて一体的に変位する。そのため棟を挟んで対向する垂木13の各々が逆方向に転びにくくなり、水平力に対する屋根構造体全体の剛性を向上させることができる。又、傾斜部71には上記孔72が形成されているため、締結具を使用して接合部材69を垂木13に容易に固定することができる。
【0076】
図18は参考例の形態による屋根構造体に用いられる接合部材の概略構成を示した斜視図である。
【0077】
図18を参照して、屋根構造体は、棟を挟んで対向するように下方に傾斜する傾斜面を有する屋根構造体であって、棟木11と、その棟木11を挟んで対向するように設置される垂木13と、その垂木13の各々を棟を挟んで接合する接合部材73とを備えている。垂木13の上方端は棟木11に支持されている。接合部材73は、鉄板等の加工により棟木11の上面19視において断面H字状に形成され、垂木13を挟むように対向して設置されるフランジ部75と、フランジ部75の各々の中央部分を接続して棟木11の軸方向に設置されるウェブ部74とを備えている。フランジ部75は、垂木13の側面22に沿うようにして垂木13を挟んでいる。ウェブ部74は棟木11を挟んで対向するように設置される垂木13の各々の間に設置されている。接合部材73は、棟木11に垂木13が施工された後で、上方から嵌め込まれる。
【0078】
上記のように構成される屋根構造体では、屋根構造体が水平力を受けた場合に、棟を挟んで対向する垂木13同士が、接合部材73により垂木13の側面22が拘束されて一体的に変位する。そのため棟を挟んで対向する垂木13の各々が逆方向に転びにくくなり、水平力に対する屋根構造体全体の剛性を向上させることができる。又、接合部材73を垂木13の上方から嵌め込むだけで接合部材73の施工は完了するため、容易に屋根構造全体の剛性を向上させることができる。
【0079】
図19は参考例の実施の形態による屋根構造体の棟部分の一部の概略構成を示した分解斜視図である。
【0080】
図19を参照して、屋根構造体は、棟を挟んで対向するように下方に傾斜する傾斜面を有する屋根構造体であって、棟木11と、その棟木11を挟んで対向するように設置される垂木13と、その垂木13の各々を棟を挟んで接合する接合部材76とを備えている。垂木13の上方端は棟木11に支持されている。接合部材76は、筒状に形成され、両端が棟を挟んで対向する垂木13の各々の小口面83に差し込まれた筒体77と、上記垂木13の一方に垂木13の側面22から筒体77を貫通するように差し込まれた固定ピン78とを備えている。筒体77は、垂木13の小口面83から円柱状に掘り込まれた差込口81に差し込まれる。又、筒体77には、固定ピン78を挿通させるための孔79が形成されている。固定ピン78は、筒体77が差し込まれた後で、上記孔79を挿通するように垂木13の側面22から円柱状に貫通して形成された孔80に差し込まれる。
【0081】
上記のように構成される屋根構造体では、屋根構造体が水平力を受けた場合に、棟を挟んで対向する垂木13同士が、接合部材76により垂木13の小口面83が拘束されて一体的に変位する。そのため棟を挟んで対向する垂木13の各々が逆方向に転びにくくなり、水平力に対する屋根構造体全体の剛性を向上させることができる。
【0082】
図20は参考例の実施の形態による屋根構造体の棟部分の一部の概略構成を示した分解斜視図である。
【0083】
図20を参照して、屋根構造体は、棟を挟んで対向するように下方に傾斜する傾斜面を有する屋根構造体であって、棟木11と、その棟木11を挟んで対向するように設置される垂木13と、その垂木13の上面に設置される野地板14と、垂木13の各々を棟を挟んで接合する接合部材84とを備えている。垂木13の上方端は棟木11に支持されている。接合部材84は、棟を挟んで対向するように設置される垂木13の各々の上面21に沿って棟木11の軸方向からみて断面ヘの字状に形成され、野地板14と同一の厚みを有する矩形形状の板材から形成されている。又、接合部材84には、垂木13の上面21と接触する部分に、釘や木ネジ等の締結具を挿通させるための孔85が複数形成されている。野地板14には、接合部材84の外周の形状に合わせて矩形形状の切欠き86が形成されている。
【0084】
接合部材84は、上記切欠き86に合わせて設置され、上記孔85に釘や木ネジ等の締結具が打ち込まれることにより固定される。
【0085】
上記のように構成される屋根構造体では、屋根構造体が水平力を受けた場合に、棟を挟んで対向する垂木13同士及び野地板14同士が、接合部材84により一体的に変位する。そのため棟を挟んで対向する垂木13の各々が逆方向に転びにくくなり、水平力に対する屋根構造体全体の剛性を向上させることができる。
【0086】
図21は参考例の形態による屋根構造体の棟部分及び軒桁部分の一部の概略構成を示した分解斜視図である。
【0087】
図21を参照して、屋根構造体は、棟を挟んで対向するように下方に傾斜する傾斜面を有する屋根構造体であって、棟木11と、その棟木11を挟んで対向するように設置され棟木11に上方端側が支持される垂木13と、その垂木13の上面に設置される野地板14と、棟木11と平行に設置され、垂木13の下方端側を支持する軒桁10と、棟木11の軸方向に隣り合う垂木13同士の間、かつ棟木11及び軒桁10の上に、垂木13の側面22をつなぐよう設置されたつなぎ部材87とを備えている。つなぎ部材87は、例えば桟木やLVL等の木質系材料からなり、四角柱状に形成されている。つなぎ部材87は、棟木11及び軒桁10の軸方向に長手方向を合わせて、棟木11の上面19及び軒桁10の上面88に設置されている。つなぎ部材87の小口面89は垂木13の側面22と面で接触して棟木11の軸方向に隣り合う垂木13を接続している。つなぎ部材87と垂木13とは、釘等の締結具を用いて接合しても、つなぎ部材87の小口面89と垂木13の側面22とを接触させるだけで接合しなくてもよい。
【0088】
上記のように構成される屋根構造体では、屋根構造体が水平力を受けた場合に、棟木11及び軒桁10の上の垂木13が転びにくくなる。又、棟を挟んで対向する垂木13の各々が逆方向に転びにくくなる。したがって、水平力に対する屋根構造体全体の剛性を向上させることができる。
【0089】
尚、上記の各実施の形態では、屋根形状として切妻屋根の場合が示されているが、棟を挟んで対向するように下方に傾斜する傾斜面を部分的にでも有していれば、寄棟等他の屋根形状であってもよい。
【0090】
又、上記の各実施の形態では、つなぎ部材及び接合部材は鉄板あるいは木質系材料から形成されているが、樹脂等他の材料から形成されてもよい。
【符号の説明】
【0091】
10 軒桁
11 棟木
13 垂木
14 野地板
15,30,34,37,39,42,44,47,49,52,55,64,66,87 つなぎ部材
18 下面
19,21,62 上面
20,22 側面
31,56,68 底板
32,35,57 側板
33,38,43 傾斜板
40,45,50,53,65,67 小口板
46,48,54 仕切板
51 補強板
58 桟木
63,83 小口面
69,73,76,84 接合部材
70 水平部
71 傾斜部
74 ウェブ部
75 フランジ部
77 筒体
78 固定ピン
86 切欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棟を挟んで対向するように下方に傾斜する傾斜面を有する屋根構造体であって、
棟木と、
前記棟木を挟んで対向するように設置され、前記棟木に上方端側が支持される垂木と、
前記垂木の上面に設置される野地板と、
前記棟木の軸方向に隣り合う前記垂木同士の間かつ前記棟木の上に、前記垂木の側面をつなぐように設置されたつなぎ部材とを備え、
前記棟木を挟んで対向する前記野地板の双方が前記つなぎ部材に固定され、
前記つなぎ部材は、前記つなぎ部材がつながれた前記垂木に固定され、
前記つなぎ部材は、前記棟木の上面と前記野地板の下面とに沿って、前記軸方向に延びると共に中空に形成され、
前記つなぎ部材は、前記棟木の上面に設置される前記軸方向に延びる底板と、前記底板の前記軸方向の辺の各々から上方に延びるように接続される側板と、前記側板の各々の上辺から前記野地板の下面に沿って延びるように接続される傾斜板とを含む屋根構造体。
【請求項2】
前記側板は、前記軸方向の辺の各々から上方に延びると共に前記棟木の側面に沿って下方に延びるように接続される請求項1記載の屋根構造体。
【請求項3】
前記つなぎ部材は、前記底板の上面から上方に延びるように接続される仕切板を更に含む請求項1または請求項2記載の屋根構造体。
【請求項4】
前記つなぎ部材は、前記側板の垂木側の辺から前記垂木の側面に沿って延びるように接続される小口板とを含む請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の屋根構造体。
【請求項5】
前記つなぎ部材は、前記小口板から延びて前記側板に接続される補強板を更に含む請求項4に記載の屋根構造体。
【請求項6】
前記つなぎ部材は、上面が前記野地板の下面に沿うと共に小口面が前記垂木の側面に沿って前記側板の外方面に取り付けられた桟木とを含む請求項5に記載の屋根構造体。
【請求項7】
前記小口板は、垂木の側面に沿って棟木の上面まで下方に延びるように接続され、
前記つなぎ部材の各々は、前記垂木を挟んで、前記小口板の下辺から棟木の上面に沿って延びる底板によって接続され、
前記棟木を挟んで対向する前記野地板の双方が前記つなぎ部材に固定された請求項6に記載の屋根構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−153520(P2011−153520A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82319(P2011−82319)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【分割の表示】特願2007−276914(P2007−276914)の分割
【原出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【出願人】(304021277)国立大学法人 名古屋工業大学 (784)