説明

展示装置

【課題】準備作業を低減して効率よく、展示物に対して、通常と同様な照明の他、文字情報等の自由度が高い照明を投影して様々な展示を行なうことができる展示装置を提供する。
【解決手段】このディスプレイケース10は、底面部11、背面部12、透過面(13a〜13c)、上面部14から構成される。背面部12が、上面部14を支持しており、透過面(13a〜13c)が、背面部12以外の側面部を覆っている。底面部11の内部空間には、画像を再生する制御装置20が配置され、この制御装置20は、上面部14の内部空間に配置されたプロジェクタ30に接続されている。プロジェクタ30からの照明光は、上面部14に配置されたミラー40を介して、底面部11の上面に投影される。プロジェクタ30からは、商品を底面部11の上面に配置するためのガイド画像や、商品が配置された際に投影される動画が出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納した展示物に対して光を投影して展示を行なうための展示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
商品展示の演出として、照明を点滅させたり、照明の強度や投影位置を変化させたり、カクテル光線を投影したりすることにより、観客の注目を集め、展示物体の印象を強めるといった技術が利用されている。照明光の形を変化させるために、投影機器にゴボやマスクなどと呼ばれるフィルタを設置した照明装置を用いることがある。この照明装置では、投影機器から出射された照明光の一部がフィルタの形に従って遮断されるため、フィルタを通過した照明光は、フィルタの形に切り抜かれた状態となる。具体的には、丸、三角、四角などで構成されるベース形状で切り抜かれたフィルタ(ゴボなど)を投影機器に取り付けて、照明光の輪郭を、丸、三角、四角などの形にする。
【0003】
更に、従来においては、投影機器であるプロジェクタを照明器具の代わりに使用して、空間演出を行う照明システムがある。この照明システムに使用される照明器具は、ムービングプロジェクタとも呼ばれる。このムービングプロジェクタは、照明光を出射する。このため、照明光の形、色を自由に設定した動画として、映像光を変化させることが可能である。
【0004】
そこで、動画を投影対象物体の形状や移動等に応じて、リアルタイムに制御する技術が検討されている(例えば、特許文献1参照)。この文献に記載された技術では、展示物体の基準点に対する位置と基準点から見た展示物体の3次元形状に基づき画像生成制御装置により電子動画像を作成し、作成された電子動画像を液晶プロジェクタにより投影する。
【0005】
また、演出空間において動画を取り入れ、出力する技術が検討されている(例えば、特許文献2参照)。この文献に記載された技術では、映像信号及び音声信号を再生する再生装置と再生装置と接続し、音声信号をスピーカに、映像信号をプロジェクタに、各駆動信号を駆動制御装置に出力する。そして、比較的暗い大画面の背景部分に比較的明るい動画の小画面をスクリーンに投影し、小画面の中の移動物体の動作に応じた自然な動きを描写する。
【0006】
また、ユーザが希望する形態で光を投影する技術が検討されている(例えば、特許文献3参照)。この文献に記載された技術では、所定の空間に対して、所定の投影範囲の照明光を投影するプロジェクタを備える。投影制御装置によって、プロジェクタが投影する投影範囲に投影される投影光のうちの照明光の特徴を設定し、ユーザの操作に基づいて、照明光の形状を予め記憶されたベース形状群から選択するとともに、この選択された形状の照明光の投影範囲内の照明位置を設定する。
【0007】
更に、商品と、商品の下又は背後から発出する画像との組合体である図を提供する商品ディスプレイケースが検討されている(例えば、特許文献4参照)。この文献に記載された技術では、フレームハウジング、画像投影機、鏡、及び商品を支持しかつ展示する後ディスプレイパネルを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−249428号公報(第1頁、図1)
【特許文献2】特開平9−149296号公報(第1頁、図1)
【特許文献3】特開2009−290354号公報(第1頁、図1)
【特許文献4】特表2005−520659号公報(第1頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、プロジェクタを用いることにより、文字情報等、多様な投影を行なうことができる。しかしながら、商品展示場所の外部からプロジェクタで照明光を投影する場合、商品配置、プロジェクタの配置や投影角度等の準備負担が大きくなる。
特に、チェーン店においては、同じ商品を複数の店舗において展示する場合もあり、店舗毎に個別に準備する必要があり、その作業負担が大きくなるという課題がある。
更に、商品展示においては、一般の照明と同様に、自然な状態での照明を行ないたい場合もある。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、準備作業を低減して効率よく、展示物に対して、自由度が高い照明を投影して様々な展示を行なうことができる展示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、展示する対象物を上面に配置するための底面部と、前記対象物に対して画像を投影するためのプロジェクタと、前記プロジェクタに接続され、このプロジェクタに供給する画像データを記憶した制御手段とを備えた展示装置であって、前記制御手段が、前記プロジェクタからの画像を、前記対象物の上方から投影することを要旨とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の展示装置において、前記制御手段には、展示物の設置場所をガイドするガイド画像データと、展示中に投影する展示画像データとを画像データとして記録したデータ記憶部が接続されており、前記制御手段は、前記ガイド画像データを前記プロジェクタに供給して、ガイド画像を前記底面部の上面に投影し、前記展示画像データを前記プロジェクタに供給して、ディスプレイ画像を前記底面部に配置された商品に投影することを要旨とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の展示装置において、前記底面部に設置された対象物の配置レイアウトを撮影し、前記配置レイアウトに基づいて、画像データを作成する画像生成手段を更に備え、前記画像生成手段において作成された画像データを前記制御手段に記録したことを要旨とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の展示装置において、前記底面部に設置された対象物に貼付されたコード画像を読み取り、前記コード画像に基づいて、画像データを作成する画像生成手段を更に備え、前記画像生成手段において作成された画像データを前記制御手段に記録したことを要旨とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の展示装置において、前記底面部には、タッチセンサが設けられており、前記タッチセンサによって検知した対象物の配置レイアウトに基づいて、画像データを作成する画像生成手段を更に備え、前記画像生成手段において作成された画像データを前記制御手段に記録したことを要旨とする。
【0016】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、展示物を底面部に設置して、制御手段から画像データを出力することにより、プロジェクタを介して、簡単に多様な照明を行なうことができる。プロジェクタを用いることにより、例えば、通常と同様な照明の他、文字情報等を投影することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、出力されたガイド画像により、展示物を配置することができる。
請求項3に記載の発明によれば、撮影画像を用いて効率的に展示物に投影する画像を作成することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、コード画像を用いて、効率的に展示物に投影する画像を作成することができる。
請求項5に記載の発明によれば、タッチセンサを用いて、効率的に展示物に投影する画像を作成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、準備作業を低減して効率よく、展示物に対して、通常と同様な照明の他、文字情報等の自由度が高い照明を投影して様々な展示を行なうことができる展示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態のディスプレイケースの斜視図であって、(a)は外観、(b)は内部の説明図。
【図2】本発明のディスプレイケースの説明図であって、(a)はディスプレイケースの右側断面図、(b)制御装置の機能ブロック図、(c)はガイド画像の説明図。
【図3】本発明の第2の実施形態のディスプレイケースの説明図であって、(a)は右側断面図、(b)は制御装置の機能ブロック図。
【図4】本発明の第3の実施形態のディスプレイケースの説明図であって、(a)は右側断面図、(b)は制御装置の機能ブロック図。
【図5】本発明の他の実施形態のディスプレイケースの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を、図1及び図2に基づいて説明する。本実施形態における展示装置としてのディスプレイケース10は、図1(a)に示すように、商品(展示物)が展示された空間に対して、プロジェクタからの照明光により、演出効果を与える装置である。このディスプレイケース10においては、後述するように、商品を設置するステージや、照明光を投影するための照明手段が一体化している。
【0022】
このディスプレイケース10は、底面部11、背面部12、透過面(13a〜13c)、上面部14から構成される。背面部12及び透過面(13a〜13c)の下部は、底面部11の周縁部に接続されており、背面部12及び透過面(13a〜13c)の上部は上面部14の周縁部に接続されている。本実施形態では、背面部12が上面部14を支持しており、透過面(13a〜13c)が背面部12以外の側面部を覆っている。商品の閲覧者は、正面の透過面13a、左側面の透過面13b及び右側面の透過面13cを通して、商品を閲覧することができる。
【0023】
ディスプレイケース10の底面部11は、図1(b)に示すように、内部空間が区画されている。この内部空間には、後述する制御装置20が、取り出しできる状態で設置されている。この制御装置20は、背面部12に配置されたケーブルを介して、後述するプロジェクタ30に接続されている。
【0024】
透過面(13a〜13c)は、ディスプレイケース10から取り外しできる状態で、底面部11、背面部12、上面部14に取り付けられている。展示する商品をディスプレイケース10に収納する場合には、これら透過面(13a〜13c)を取り外すことにより、底面部11の上面を外部に解放し、この上面に商品を配置する。
上面部14は、内部空間が区画されており、この内部空間には、プロジェクタ30と、平面形状のミラー40とが設置されている。
【0025】
プロジェクタ30は、制御装置20からの画像データに基づいて、出光部32を介して、画像を出力する。このプロジェクタ30は、両側面に設けられた回転支持体35を介して上面部14に固定されている。この回転支持体35を支点として揺動させることにより、プロジェクタ30から出力される画像の投影角度を調整する。また、この場合、プロジェクタ30からの照明光は、底面部11の上面にフォーカスが合うように設定される。
【0026】
ミラー40は、プロジェクタ30からの照明光を反射して、底面部11の上面に投影する。このため、上面部14の下面には、ミラー40に対向する位置に、照明光を取り出すための開口部が設けられている。このミラー40は、回転支持体45を介して上面部14に固定されている。この回転支持体45を支点としてミラー40を揺動させることにより、プロジェクタ30からの照明光の反射角度を調整する。本実施形態では、プロジェクタ30及びミラーの上面部14における取付角度を予め調整することにより、プロジェクタ30からの照明光を投影させる。
【0027】
次に、画像を表示するための電気的装置について詳述する。
図2(b)に示すように、制御手段としての制御装置20は、画像データを出力するコンピュータ端末である。この制御装置20は、制御部21、データ記憶部22及び操作部23を備えている。
【0028】
制御部21は、画像データを出力し、プロジェクタ30に供給する。
データ記憶部22には、画像データを含む各種データが記録される。本実施形態では、このデータ記憶部22には、ガイド画像データ221及び展示画像データ222が記録される。
【0029】
ガイド画像データ221は、底面部11の上面に、商品を設置する場合の注意点等を示すためのガイド情報を含む画像データである。このガイド画像データ221は、例えば、商品の配置位置や、商品の設置方向を示すためのガイド情報が含まれた静止画像である。
展示画像データ222は、商品の展示時に、商品に投影する動画データである。
【0030】
操作部23は、各種情報を入力する入力機能や、各種情報を出力する出力機能を実現する。本実施形態では、タッチパネルディスプレイを用いる。この操作部23を用いて、モードの切換を行なって、データ記憶部22に各種画像データを記録したり、画像データを出力したりする。
【0031】
次に、上述したディスプレイケース10における作用について説明する。
まず、展示する商品をディスプレイケース10に配置するためのガイド画像データ221を生成する。この場合、商品(展示物)の配置レイアウトを想定して、この想定に応じて、商品の配置位置や配置方向をガイドするための静止画データ(ガイド画像データ221)を生成する。
【0032】
次に、展示時に商品に投影する展示画像データ222を生成する。この場合、商品に対して所望の照明が投影されるように、商品の配置位置に対して、画像オブジェクトを設定した動画データを生成する。
そして、制御装置20のデータ記憶部22に、生成したガイド画像データ221及び展示画像データ222を登録する。
【0033】
商品を展示する際には、制御装置20の操作部23を介して、制御部21をガイドモードに切り替える。この場合、制御装置20の制御部21は、ガイド画像データ221をプロジェクタ30に供給する。プロジェクタ30は、ミラー40を介して、底面部11の上面に、ガイド画像データ221に基づいた画像を投影する。このガイド画像は、図2(c)に示すように、商品の配置位置や、設置の向きについての情報が含まれる。そして、このガイド画像を参考にしながら、商品を設置する。
【0034】
そして、商品の設置を完了した場合、制御装置20の操作部23を介して、制御部21を展示モードに変更する。この場合には、制御装置20の制御部21は、データ記憶部22の展示画像データ222をプロジェクタ30に供給する。そして、プロジェクタ30は、ミラー40を介して、底面部11の上面に設置された商品に、展示画像データ222に基づいた動画を投影する。これにより、動画による照明を商品に投影することができる。
【0035】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、プロジェクタ30からの動画が、展示物に投影される。これにより、展示物に対して、変化に富んだ、視覚効果が高い照明を行なうことができる。特に、展示物の上方から投影されるので、展示画像データ222として全面均一の画像を用いることにより、通常の照明と同様に用いることもできる。
【0036】
(2)本実施形態では、ディスプレイケース10の上面部14には、プロジェクタ30及びミラー40が内蔵されている。これにより、商品に対して投影する画像の角度に応じて、内蔵されたプロジェクタ30及びミラー40の取付角度を設定することができるので、ディスプレイケース10を移動した場合であっても、手間をかけることなく、視覚効果が高い向きや投影角度で、動画を投影することができる。従って、チェーン店等のように複数の店舗において展示を行なう場合においても、共通した展示内容を実現することができる。
【0037】
(3)本実施形態では、プロジェクタ30からの照明光を、ミラー40により反射させて、展示物に投影する。これにより、ミラー40を用いて光路を調整することができるので、上面部14の厚みを薄くして、コンパクトなディスプレイケース10を実現することができる。
【0038】
(4)本実施形態では、制御装置20は、ガイド画像データ221及び展示画像データ222を記憶している。ガイドモードの場合、制御装置20は、ガイド画像データ221をプロジェクタ30に供給し、プロジェクタ30から、商品を設置する場合の注意点等を示すための静止画像を、底面部11の上面に投影する。これにより、展示画像データ222に対応させて商品を配置できるので、準備の作業負担を少なくすることができる。
【0039】
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施形態を図3に基づいて説明する。上記第1の実施形態においては、展示物の配置レイアウトを想定してガイド画像データ221及び展示画像データ222を作成したが、本実施形態では、撮像装置を用いてガイド画像データ221及び展示画像データ222を作成する。この場合、展示物の種類を特定する情報が含まれたコード画像を用いて、展示物の種類に応じたデータを生成する。また、本実施形態において、上記実施形態と同様の部分については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0040】
本実施形態では、ガイド画像データ221や展示画像データ222を作成する場合、図3(a)に示すディスプレイケース10Aを用いる。このディスプレイケース10Aの制御部21が、画像生成手段として機能する。このディスプレイケース10Aは、上記第1実施形態のディスプレイケース10に、撮像装置としてのカメラ50を設けたものである。具体的には、ディスプレイケース10Aの上面部の内部空間には、プロジェクタ30と同じ視野角方向でカメラ50が配置されている。
【0041】
このカメラ50は、制御装置20に接続されており、底面部11に設置された展示物を撮影し、撮影画像を制御装置20に供給する。制御装置20のデータ記憶部22には、展示物データ223を記録しておく。この展示物データ223には、展示物を特定するための識別情報(展示物コード)に対して、展示物の属性(種類、大きさ、配色等)に関するデータが記録されている。
【0042】
次に、図3(b)を用いて、ガイド画像データや展示画像データの作成を説明する。
ガイド画像データ221や展示画像データ222を作成する場合には、ディスプレイケース10Aの底面部11上に商品(展示物)を実際に配置する。この場合、各展示物の上面にコード画像を印字したシールを貼付しておく。このコード画像は、展示物の種類に対応した展示物コードを含めておく。
【0043】
そして、カメラ50を用いて、底面部11上に設置された商品を撮影する。次に、制御装置20の制御部21は、カメラ50から撮影画像を取得する。そして、この撮影画像に含まれるコード画像をデコードして、展示物の種類を特定するための展示物コードを取得する。更に、制御部21は、撮影画像におけるコード画像の位置に基づいて、展示物の場所を特定する。
【0044】
そして、制御部21は、展示物に対応して画像を調整しながら、ガイド画像データ221や展示画像データ222を作成する。ここでは、展示物コードに基づいて、展示物の種類、大きさ、配色を特定し、これらに対応したガイド画像データ221を生成する。
【0045】
更に、制御部21は、コード画像の位置に応じて展示画像データ222の画像オブジェクトのレイアウトを変更する。そして、制御部21は、ガイド画像データ221や展示画像データ222を、制御装置20のデータ記憶部22に記録する。
【0046】
本実施形態によれば、上記(1)〜(3)の記載の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(5)上記実施形態では、ガイド画像データ221や展示画像データ222を作成する場合には、展示物には、コード画像を印字したシールを貼付しておく。これにより、展示物の配置や種類を特定することができるので、これらを用いてガイド画像データ221や展示画像データ222を効率的に作成することができる。
【0047】
(第3の実施形態)
次に、本発明を具体化した第3の実施形態を図4に基づいて説明する。上記第2の実施形態においては、カメラ50を用いてガイド画像データ221及び展示画像データ222を作成したが、本実施形態では、タッチセンサを利用して作成する。本実施形態において、上記実施形態と同様の部分については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0048】
ガイド画像データや展示画像データを作成する場合、図4(a)に示すように、ディスプレイケース10Bを用いる。このディスプレイケース10Bの制御部21が、画像生成手段として機能する。このディスプレイケース10Bは、上記第1実施形態のディスプレイケース10に、タッチセンサフィルム60を設けたものである。このタッチセンサフィルム60は、底面部11の上面に配置されており、制御装置20に接続されている。このタッチセンサフィルム60は、この上に載置された商品の設置場所及び大きさ(設置範囲)を特定し、検知信号を制御装置20に供給する。
【0049】
次に、図4(b)を用いて、ガイド画像データや展示画像データの作成を説明する。
ガイド画像データ221や展示画像データ222を作成する場合には、ディスプレイケース10Bの底面部11上に商品(展示物)を実際に配置する。この場合、制御装置20は、タッチセンサフィルム60から商品の設置場所や大きさに関するデータを取得する。
【0050】
そして、制御部21は、展示物に対応して画像を調整しながら、ガイド画像データ221や展示画像データ222を作成する。ここでは、取得した商品の設置場所や大きさに対応したガイド画像データ221を生成する。更に、展示物の位置に応じて展示画像データ222の画像オブジェクトのレイアウトを変更する。そして、制御部21は、ガイド画像データ221や展示画像データ222を、制御装置20のデータ記憶部22に記録する。
【0051】
本実施形態によれば、上記(1)〜(3)の記載の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(6)上記実施形態では、ガイド画像データ221や展示画像データ222を作成する場合には、制御装置20は、タッチセンサフィルム60から展示物の設置場所や大きさに関するデータを取得する。これにより、展示物の配置や大きさを特定することができるので、これらを用いてガイド画像データ221や展示画像データ222を効率的に作成することができる。
【0052】
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・ 上記第1実施形態においては、ガイド画像データ221や展示画像データ222を、制御装置20のデータ記憶部22に記録する。この場合、これらのデータを、ネットワークを介して、制御装置20に供給するようにしてもよい。具体的には、制御装置20に、ネットワークに接続された通信部を設ける。更に、ガイド画像データ221及び展示画像データ222が格納された画像管理サーバのURLをデータ記憶部22に記憶させておく。そして、制御装置20の制御部21は、このURLを用いて画像管理サーバにアクセスする。制御部21は、ガイド画像データ221及び展示画像データ222を取得して、データ記憶部22に記録する。これにより、同じ商品を展示するチェーン店等において、ディスプレイケース10を設置した状態で、データ記憶部22にガイド画像データ221や展示画像データ222を、更新記録することができる。
【0053】
・ 上記第1実施形態においては、ディスプレイケース10は、プロジェクタ30からガイド画像を底面部11に投影することによって展示する商品の配置を指示する。ガイド画像において、展示物を設置する前に、照明光の強度、フォーカスや配置を確認するための準備画像を出力するようにしてもよい。この準備画像には、照明光の強度やフォーカスを確認するためのテストパターン画像や、底面部の位置を特定するためのマーカ画像を含める。そして、テストパターン画像により、プロジェクタ30の発光強度やフォーカスを調整する。更に、底面部11に投影される位置に基づいて、プロジェクタ30やミラー40の取付角度を調整する。これにより、底面部11において、的確な位置に照明を投影することができる。
【0054】
・ 上記第1実施形態においては、ガイド画像データ221や展示画像データ222を作成する場合には、展示物には、コード画像を印字したシールを貼付しておく。そして、カメラ50を用いて、このコード画像を撮影して、展示物の配置を特定する。カメラ50を用いて、展示物の配置を特定する方法は、これに限定されるものではない。例えば、撮影画像を用いて、画像処理を行なうことにより、展示物の配置を特定するようにしてもよい。この場合には、展示物の配置前の撮影画像と、配置後の撮影画像とを比較して、展示物の配置や大きさを特定する。
【0055】
・ 上記各実施形態においては、プロジェクタ30は、ディスプレイケース10の上面部14に配置する。プロジェクタ30の配置場所は、上面部14の内部に限定されるものではなく、背面部12や底面部11の内部でもよい。例えば、図5に示すように、プロジェクタ30を背面部12に配置してもよい。この場合、プロジェクタ30の出光部32が上方に向くように配置する。プロジェクタ30からの照明光を、上面部14に配置した複数のミラー(ミラー40を含む)を用いて、底面部11に投影させる。
【0056】
・ 上記各実施形態においては、プロジェクタ30からの照明光は、底面部11の上面にフォーカスが合うように設定する。これに代えて、展示物の高さに応じて、プロジェクタ30のフォーカスを変更してもよい。この場合には、展示物の高さに応じて、プロジェクタ30は、出光部32のフォーカスを、展示画像データ222の内容に応じて変更するように制御する。
【0057】
・ 上記各実施形態においては、プロジェクタ30を用いて、画像オブジェクトを含めた動画を投影する。ここで、展示物の高さに応じて、照明強度を変更した画像オブジェクトを生成するようにしてもよい。例えば、背が高い展示物については、比較的低い照明強度の画像オブジェクトを用いる。一方、背が低い展示物については、比較的高い照明強度の画像オブジェクトを用いる。光源から距離が離れる程、照明光が拡散するため、遠い位置に存在する展示物に対しては、光強度を上げておくことにより、バランスよく照明することができる。
【0058】
・ 上記各実施形態においては、展示モードにおいて、動画を商品に投影する。この場合、閲覧者の有無により、動画を変更するようにしてもよい。例えば、ディスプレイケース10に人感センサを設けておき、人感センサの信号を制御装置20に供給する。そして、人感センサによって、ディスプレイケース10の所定範囲に人の存在を検知した場合にのみ、制御装置20は、ディスプレイ用の動画をプロジェクタ30から出力させる。一方、人の存在を検知しない場合には、制御装置20は、照明を落としたり、変化が少ない画像を出力したりするスタンバイモードに自動的に切り替える。
【0059】
更に、ディスプレイケース10に対する人の存在方向(閲覧方向)によって、展示画像データを変更するようにしてもよい。この場合には、ディスプレイケース10の周縁の複数の方向において人感センサを設けておく。そして、制御装置20の制御部21は、人を検知した方向が正面となるように動画の方向を変更した展示画像データ222をプロジェクタ30に供給して、プロジェクタ30から画像を出力させる。
【0060】
・ 上記各実施形態においては、平面形状のミラー40を用いて、プロジェクタ30からの動画を展示物に投影する。ミラー40の形状は、平面に限定されるものではなく、凹面鏡、凸面鏡、角度が異なる平面から構成されたミラーを用いることも可能である。この場合、プロジェクタ30から、複数に分割した画像を出力させて、それぞれミラー40の一部分で反射させて、複数の画像を、底面部11の上面に投影するようにしてもよい。
【0061】
・ 上記各実施形態においては、展示物の配置レイアウトを想定して、この想定に応じてガイド画像データ221や展示画像データ222を作成する。これに代えて、展示物の立体モデルを用いて作成するようにしてもよい。この場合、画像生成手段を用いて、予め展示物の形状及び配置を決定し、立体スキャナを用いて形状や配置を読み取り、立体モデルを作成する。そして、画像生成手段が、この立体モデルを用いて、照明内容のシミュレーションを行なう。このシミュレーションにより、展示物の形状や配置に対応したガイド画像データ221及び展示画像データ222を作成する。
【符号の説明】
【0062】
10,10A,10B…ディスプレイケース、11…底面部、12…背面部、13a,13b,13c…透過面、14…上面部、14…背面部、20…制御装置、21…制御部、22…データ記憶部、23…操作部、30…プロジェクタ、32…発光部、35,45…回転支持体、40…ミラー、50…カメラ、60…タッチセンサフィルム、221…ガイド画像データ、222…展示画像データ、223…展示物データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
展示する対象物を上面に配置するための底面部と、
前記対象物に対して画像を投影するためのプロジェクタと、
前記プロジェクタに接続され、このプロジェクタに供給する画像データを記憶した制御手段とを備えた展示装置であって、
前記制御手段が、前記プロジェクタからの画像を、前記対象物の上方から投影することを特徴とすることを特徴とする展示装置。
【請求項2】
前記制御手段には、展示物の設置場所をガイドするガイド画像データと、展示中に投影する展示画像データとを画像データとして記録したデータ記憶部が接続されており、
前記制御手段は、
前記ガイド画像データを前記プロジェクタに供給して、ガイド画像を前記底面部の上面に投影し、
前記展示画像データを前記プロジェクタに供給して、ディスプレイ画像を前記底面部に配置された商品に投影することを特徴とする請求項1に記載の展示装置。
【請求項3】
前記底面部に設置された対象物の配置レイアウトを撮影し、前記配置レイアウトに基づいて、画像データを作成する画像生成手段を更に備え、
前記画像生成手段において作成された画像データを前記制御手段に記録したことを特徴とする請求項1又は2に記載の展示装置。
【請求項4】
前記底面部に設置された対象物に貼付されたコード画像を読み取り、前記コード画像に基づいて、画像データを作成する画像生成手段を更に備え、
前記画像生成手段において作成された画像データを前記制御手段に記録したことを特徴とする請求項1又は2に記載の展示装置。
【請求項5】
前記底面部には、タッチセンサが設けられており、
前記タッチセンサによって検知した対象物の配置レイアウトに基づいて、画像データを作成する画像生成手段を更に備え、
前記画像生成手段において作成された画像データを前記制御手段に記録したことを特徴とする請求項1又は2に記載の展示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−44874(P2013−44874A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181582(P2011−181582)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(393007053)株式会社スピン (6)
【Fターム(参考)】