説明

履帯式走行装置のセンターフレーム

【課題】センターフレーム上に土砂が残存或いは堆積することを防止出来る履帯式走行装置の提供。
【解決手段】センターフレーム(1)と、接続部材(3)によりセンターフレーム(1)に接続しており且つセンターフレーム(1)の左右両側部に設けられたサイドフレーム(2)と、サイドフレーム(2)に設けられた履帯(8)とを有する履帯式走行装置(C)において、前記センターフレーム(1)は平面形状が円環状に構成されており、円環状のセンターフレーム(1)の外径寸法は旋回輪(R)の外径寸法以下となる様に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建設機械の運転台下方領域の構造(下部構造)等で用いられている履帯(クローラー)式の走行装置に関する。より詳細には、その様な履帯式走行装置のフレーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図43は、建設用機械の1例を示している。ブームU1、アームU2、バケットU3、操作室U4を有する上部構造体Uを、履帯式走行装置で構成されている下部構造体Bが支持している。
【0003】
下部構造体Bは、例えば、図44で示す様な構成である。即ち、センターフレーム1Jと、左右一対の(2個の)サイドフレーム2Jと、センターフレーム1Jとサイドフレーム2Jとを接続する接続部材3Jとから概略構成されている。
【0004】
図43をも参照して、左右のサイドフレーム2Jには、前端部にアイドラー4を、後端にはモーターケース5を有している。そのモーターケース5には、例えば、油圧駆動のモーター6が取り付けられ、そのモーター6によってスプロケット7が回転させられるように構成されている。
前記アイドラー4とスプロケット7には、帯状で、エンドレスの履帯(クローラー)8の内周側が係合されており、スプロケットの回転によって、クローラー8が回動するように構成されている。
さらに、クローラー8の上方側の内周面には上側ローラー91が、クローラー8の下側の内周面には図示の例では4個の下側ローラー92が、共に、クローラー8に接しながら回転するように構成されている。
すなわち、クローラー8は、スプロケット7とアイドラー4と上下のローラー91、92とに亘って巻き掛けられるように構成されている。
【0005】
ここで、図45、図46で示す様な構成のセンターフレーム1JA及び(センターフレームとサイドフレームとを接続する)接続部材3JAも存在する。
すなわち、図45では、円環11を固着したセンターフレーム1JAに接続材3JAが一体で構成された構造である。それに対して、図46の例では、センターフレーム1JBは、図45の円環11を省略した構造である。
尚、図46で示すにおいて、2点鎖線で示すように接続材3JBの一部が切り欠かれた様な形状のセンターフレームが構成される場合もある。
【0006】
従来のセンターフレームの構造では、図47及び図48(図47の部分拡大図)で示す様に、センターフレーム1Jの上面に土砂Mが残存し、或いは堆積してしまうという問題がある。
即ち、センターフレーム1Jの上面には図45で説明したと同様な円環11が設けてありその円環11を除いたセンターフレーム1Jの上面には土砂が堆積しがちである。一方、上部構造Uは円環11よりも大きいので、堆積した土砂を排除するための接近性が悪い。
【0007】
また、図45〜図47に示した例では、鋼板を所定の形状に切断し、その切断された鋼材は曲げられ、或いは溶接され、さらに機械加工も含まれるためにセンターフレーム1Jから接続材3Jにかけての製造にはコストが嵩んでしまう。
【0008】
これに対して、トラックフレームのクローラーベルト巻き掛け部分の上部後部側を、傾斜させて構成した技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
しかし、係る従来技術では、センターフレーム上に堆積した土砂の除去には役に立たない。
【0009】
また、下部構造体の一部を可動構造として、土砂の堆積を防止する技術も提案されている(例えば、特許文献2)。
しかし、センターフレーム上の土砂堆積部分に係る構成を採用することは困難であるため、センターフレーム状の土砂の除去には不適当である。
【0010】
その他の従来技術として、トラックフレームの本体側に対して、大きな段差を生じさせること無くモーターケースを取り付ける技術が存在する(例えば、特許文献3)が、上述した問題を解決するものではない。
【特許文献1】特開2002−96770号公報
【特許文献2】特開平8−333773号公報
【特許文献3】特開2003−56005号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上述した従来技術に鑑みて提案されたものであり、センターフレーム上に土砂が残存或いは堆積することを防止することが出来る様な履帯式走行装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の履帯式走行装置のセンターフレームは、(当該センターフレーム1の)接続部材(3)を介して左右両側に接続されたサイドフレーム(2)と、該サイドフレーム(2)に設けられた履帯(8)とを有する履帯式走行装置(C)のセンターフレーム(1)において、平面形状が円環状に構成されており、(円環状に構成された部分の上端面における)外径寸法が旋回輪(R)の外径寸法以下となる様に(すなわち、水平方向について、センターフレーム1の上面は旋回輪Rの半径方向外方に位置する部分を有していない様に)構成されていることを特徴としている(請求項1)。
【0013】
また、本発明の履帯式走行装置(C)のセンターフレームは、(当該センターフレーム1の)接続部材(3)を介して左右両側に接続されたサイドフレーム(2)と、該サイドフレーム(2)に設けられた履帯(8)とを有する履帯式走行装置(C)のセンターフレーム(1)において、平面形状が非円形形状(例えば、多角形状や楕円形状)に構成されており、該非円形形状の寸法は旋回輪(R)の外径に内接する形状以下となる様に構成され(水平方向について、センターフレーム1Dの上面は旋回輪Rの半径方向外方に位置する部分を有していない様に構成され)ていることを特徴としている(請求項2)。
【0014】
さらに、本発明の履帯式走行装置は、上述した様な(請求項1又は請求項2)センターフレームを有していることを特徴としている(請求項3)。
【0015】
ここで、センターフレーム(1)と1つのサイドフレーム(2)とは、1本又は複数本(例えば2本)の接続部材(3)により接続されているのが好ましい。
そして、本発明の履帯式走行装置(請求項3)は、センターフレームとサイドフレームとを接続する接続部材の横断面形状は上部が(円弧状、山形状などの)凸状をしていることが好ましい(請求項4)。
すなわち、接続部材(3)の横断面形状は、必要な強度を有し、且つ、その上部に土砂等が載置し難い形状に設定されている。
【0016】
さらに、前記センターフレーム(1A)の上端部には、旋回輪(R)との寸法及び/又は形状の相違による不連続を吸収してセンターフレーム上端部に旋回輪(R)を結合するためのフランジ部分(14A,14B)が設けられているのが好ましい。
【0017】
これに加えて、センターフレーム(1)と接続部材(3E)との接合箇所及び/又は接続部材(3E)とサイドフレーム(2)の接合箇所には、制振構造(31、32)が介装されているのが好ましい(請求項5:図19参照)
【0018】
本発明の履帯式走行装置の実施に際して、センターフレーム(1)と、接続部材(3)によりセンターフレーム(1)に接続しており且つセンターフレーム(1)の左右両側部に設けられたサイドフレーム(2)と、履帯(8)とを有し、該履帯(8)は、スプロケット(7)とアイドラー(4)と上下のローラー(91、92)とに亘って巻き掛けられている履帯式走行装置(C)において、アイドラー(4)及び/又はスプロケット(7)とサイドフレーム(2)との間の領域に、振動を抑制する手段(制振構造:例えば、ゴム等の制振材Dを含む構造21,21A、21B)を介装することが好ましい(図14〜図24参照)。
具体的には、サイドフレーム(2)とアイドラーフレーム(41)との境界部分、サイドフレーム(2)とモーターケース(5)との境界部分、サイドフレーム(2)と下側のローラー(92)のブラケット(92B)との境界部分の何れかに、振動を抑制する手段(制振構造:例えば、ゴム等の制振材Dを含む構造21,21A、21B)を介装すれば良い。
【0019】
ここで、振動を抑制する手段(制振構造:例えば、ゴム等の制振材Dを含む構造21B、32)は、そこに設けられている制振材(例えばゴムD)にセンターフレーム(1)及び上部構造などからの荷重が負荷されて剪断されてしまうことが無い様に、荷重を支持する構造を具備することが好ましい(図16、図17〜図22参照)。
【0020】
具体的には、振動を抑制する手段が、制振材(D)を接続板(21、21B)で挟み込んで構成されている場合には、一方の接続板(21B)にフランジ部分(21Bh)を形成し、当該フランジ部分(21Bh)が他方の接続板(21)上端部に係合し、以って、振動を抑制する手段に負荷される荷重が当該フランジ部分(21Bh)と他方の接続板(21)上端部により支持される様に構成する(図17参照)。
【0021】
或いは、振動を抑制する手段が、制振材(D)を接続板(21A、21A)で挟み込んで構成されている場合に、制振材(D)及び接続板(21A)に水平部分(21Ah)を構成し、当該水平部分(21Ah)が振動を抑制する手段に負荷される荷重を支持する様に構成する(図16参照)。
【0022】
さらに、振動を抑制する手段を、一体化された部材(23)内部に制振材(例えば、シリコンのような液状の制振材G)を封入(或いは密閉)して構成する(図22参照)。
【0023】
また、アイドラー(4)の回転軸(4s)に結合したアイドラーヨーク(42)及び/又は(アイドラーヨーク42を挟み込んで支持する)アイドラーガイド(41a)の摺動面に、振動を抑制する構造(例えば、ゴム等の制振材D)を設けるのが好ましい(図23参照)。
この場合、振動を抑制する構造(例えば、ゴム等の制振材D)の摩耗を防止するため、当該振動を抑制する構造(例えば、ゴム等の制振材D造)を摺動材(43)で覆うのが好ましい(図24参照)。
【0024】
本発明の履帯式走行装置の実施に際して、センターフレーム(1)と、接続部材(3)によりセンターフレーム(1)に接続しており且つセンターフレーム(1)の左右両側部に設けられたサイドフレーム(2)と、履帯(8)とを有し、該履帯(8)は、スプロケット(7)とアイドラー(4)と上下のローラー(91、92)とに亘って巻き掛けられている履帯式走行装置(C)において、アイドラー(4)の回転軸(4s)に結合したアイドラーヨーク(42)を挟み込んで支持するアイドラーガイド(41ab)の摺動面が、アイドラー(4)側が下降する様に傾斜して構成されるのが好ましい(図25〜図29参照)。
【0025】
ここで、アイドラーヨーク(42)の上方のアイドラーガイド(41au)と、下方のアイドラーガイド(41ab)とは、別体に構成されていても良く(図25参照)、或いは、一体に構成されていても良い(図27参照)。
また、アイドラーガイドは、アイドラーを包囲するアイドラーフレーム(41)と別体(41au、41ab、41B)に構成してもよいが(図25、図27参照)、一体(41C)に構成する(図28参照)ことも可能である。
【0026】
また、アイドラーヨーク(42A)の下側に位置する摺動面のみが傾斜して構成されていても良いが(図25参照)、アイドラーヨーク(42B)の上下の摺動面が何れも傾斜していても良い(図29参照)。
【0027】
本発明の実施に際して、センターフレーム(1)と、接続部材(3)によりセンターフレーム(1)に接続しており且つセンターフレーム(1)の左右両側部に設けられたサイドフレーム(2)と、履帯(8)とを有し、該履帯(8)は、スプロケット(7)とアイドラー(4)と上下のローラー(91、92)とに亘って巻き掛けられている履帯式走行装置(C)において、スプロケット(7)を駆動するモーターを収納するモーターケース(5A〜5C)の下側を区画する板状部材(モーターケース下リム52Ab〜52Cb)が、スプロケット(7)から離隔する側が下降する様に傾斜して構成されるのが好ましい(図30〜図33参照)。
【0028】
ここで、モーターケース(5A)の下側を区画する板状部材(モーターケース下リム52Ab)のみを傾斜してもよいが(図30参照)、モーターケース(5B)の上側を区画する板状部材(モーターケース上リム52Bu)をも傾斜して構成することが可能である(図31参照)。
【0029】
さらに、モーターケース(5C)の下側を区画する板状部材(モーターケース下リム52Cb)はスプロケットから離隔する側が下降する様に傾斜して構成されるが、モーターケースの上側を区画する板状部材(モーターケース上リム52Cu)はスプロケット(7)から離隔する側が上昇する様に傾斜して構成されても良い(図33参照)。
【0030】
これに加えて、本発明の履帯式走行装置(C)の実施に際して、センターフレーム(1)と、接続部材(3)によりセンターフレーム(1)に接続しており且つセンターフレーム(1)の左右両側部に設けられたサイドフレーム(2)と、履帯(8)とを有し、該履帯(8)は、スプロケット(7)とアイドラー(4)と上下のローラー(91、92)とに亘って巻き掛けられている履帯式走行装置(C)において、スプロケット(7)を駆動するモーター(6)を取り付けるモーターケース(5)には、配管と接続するモーター(6)の部分(油圧配管との油圧ジョイントを接続するための接続金具61を設けている部分)を挿入するための貫通孔(モーター取付穴55)が形成されており、該貫通孔(55)の周縁部の一部領域に切欠部(逃し55c)が形成されているのが好ましい(図34参照)。
【0031】
そして、該切欠部(逃し55c)は、貫通孔(55)周縁部のアイドラーから離隔した側の領域(α)に形成されていることが好ましい(図35参照)。
【0032】
前記切欠部(逃し55c)はモーターケース(5)の板厚の全域に亘って切欠いて構成してもよいが、(モーターケース5の)モーター(6)と配管とが接続される側(Fα)を一部面取り(55e)して前記切欠部を構成しても良い(図36、37参照)。
或いは、モーターケース(5)の板厚方向について段部(55f)を形成し、(モーターケース5の)モーターと配管とが接続される側(Fα)は切り欠かれているが、(モーターケース5の)反対側は切り欠かれていない様に構成しても良い(図38参照)。
【0033】
(モーターケース5の)モーターと配管とが接続される側を一部面取りして前記切欠部(55e)を構成した場合(図36、図37参照)、及び、モーターケースの板厚方向に段部(55f)を形成し、モーターと配管とが接続される側(Fα)は切り欠かれているが、(モーターケースの)反対側は切り欠かれていない様に構成した場合には(図38参照)、前記切欠部(55eまたは55f)を貫通孔(55)周縁部におけるアイドラー側の領域に形成することも可能である。
係る場合には、切欠部(55eまたは55f)はモーターケース(5)の板厚方向全体に亘って切り欠かれている訳ではない。従って、上述した場合(面取りした場合、モーターケースの板厚方向に段部を形成した場合)には、モーターがモーターケース(5)に対して、当該切欠部に応力集中が発生しないと考えられるからである。
【0034】
モーター(6)をモーターケース(5)に取り付けるに際しては、配管(62)と接続される以前のモーター(6)の接続金具(61)が設けられた部分をモーターケースの貫通孔(55)に設けられた切欠部(55c)に位置させ、当該切欠部(55c)を介してモーター(6)の接続金具(61)が設けられた部分を(モーターケース5の)配管(62)と接続する側へ向けて挿入し、モーター(6)の接続金具(61)が設けられた部分が(モーターケース5の)配管(62)と接続する側に位置したならば、接続金具(61)がアイドラー(4)側を向く様にモーター(6)を(約半回転だけ)回転し、配管(62)をモーターの接続金具(61)に接続せしめるのが好ましい。
【発明の効果】
【0035】
上述した様に構成されている本発明の履帯式走行装置(C)のセンターフレーム(1)によれば、円環状のセンターフレーム(1)上面の外径寸法は旋回輪(R)の外径寸法以下となる様に構成され(請求項1)、或いは、前記センターフレーム(1D)上面の平面形状が旋回輪(R)の外径に内接する非円形形状(例えば、多角形状や楕円形状)の寸法以下に構成されている(請求項2)ので、水平方向について、センターフレーム(1,1D)が旋回輪(R)の半径方向外方に位置する(或いは、はみ出してしまう)ような略水平な部分は存在しない。従って、センターフレーム(1,1D)には、旋回輪(R)に載置される上部構造体(U)よりも、水平方向について、はみ出してしまうような略水平な部分が存在せず、センターフレーム上に土砂等が載置、残留してしまうことが防止される。
【0036】
ここで、センターフレーム(1)とサイドフレーム(2)とを接続する接続部材(3)の横断面形状の上部が、円弧状、山形状などの凸形状をしていれば(請求項4)、接続部材(3)上に土砂が載置されてしまうことは無い。仮に、接続部材(3)上に土砂が載置されたとしても、本発明の履帯式走行装置(C)が走行する際の振動で、当該土砂は接続部材(3)上から直ちに除去されることとなる。
【0037】
また、センターフレーム(1)と接続部材(3)との接合箇所及び/又は接続部材とサイドフレーム(2)の接合箇所に、制振構造(31、32)を介装すれば(請求項5)、本発明の履帯式走行装置(C)に架装される上部構造体(U)に不快な振動や騒音が伝達されることが防止され、いわゆる「乗り心地」が改善される。
【0038】
ここで、本発明において、アイドラー(4)及び/又はスプロケット(7)とサイドフレーム(2)との間の領域に、振動を抑制する手段(制振構造:例えば、ゴム等の制振材Dを含む構造21,21A、21B)を介装すれば(図14〜図24参照)、不快な振動や騒音を抑制することが出来る。
発明者が種々研究した結果、振動、騒音の最大の発生源は、アイドラー(4)、スプロケット(7)である事が分かった。したがって、アイドラー(4)、スプロケット(7)と、サイドフレーム(2)とを、振動的に切り離すことが出来れば、センターフレーム(1)及びそこに架装される上部構造体(U)には、不快な振動や騒音が伝達されなくなる。
【0039】
この際に、振動を抑制する手段(制振構造:例えば、ゴム等の制振材を含む構造21A、21B、32)が荷重(センターフレーム1及び上部構造などからの荷重)を支持する構造を備えていれば(図17〜図22参照)、比較的強度が弱い制振材(例えばゴムD)にセンターフレーム(1)及び上部構造などからの荷重が直接負荷されることが無くなり、当該荷重により当該制振材(D)が剪断されてしまうことが防止される。
【0040】
そして本発明において、アイドラー(4)の回転軸(4s)に結合したアイドラーヨーク(42A)を挟み込んで支持するアイドラーガイド(41ab)の摺動面が、アイドラー(4)側が下降する様に傾斜して構成されるのであれば(図25〜図29参照)、当該アイドラーガイド(41ab、41B、41C)の摺動面(41Ab、41Bb、41Cb)に異物(例えば、水、土砂等)が侵入しても、当該摺動面の傾斜により、異物はアイドラー(4)側端部から下方(地上)へ排出される。そのため、異物による摺動面の劣化(錆等)が防止され、アイドラーガイド(41ab、41B、41C)とアイドラーヨーク(42A)との間の摺動は良好な状態に保たれ、張力調整、その他のメンテナンスが容易となる。
さらに、傾斜を有することにより、鋳造などに際して、いわゆる「抜き勾配」を設けることが出来るので、製造の労力が軽減される。
【0041】
また本発明において、スプロケット(7)を駆動するモーター(6)を収納するモーターケース(5)の下側を形成する板状部材(モーターケース下リム52Ab、52Bb、52Cb)が、スプロケット(7)から離隔する側が下降する様に傾斜して構成されるのであれば(図30〜図33参照)、異物がモーターケース(5A、5B、5C)内に侵入しても、モーターケース(5A、5B、5C)の下側を形成する板状部材(モーターケース下リム52Ab、52Bb、52Cb)の傾斜に沿って、直ちにモーターケース(5A、5B、5C)外に排出される。従って、モーターケース(5A、5B、5C)内が劣化(例えば錆の発生)し難くなり、また、異物の存在によるモーター故障の要因を排斥することが出来る。
【0042】
ここで本発明において、スプロケット(7)を駆動するモーター(6)を取り付けるモーターケース(5)には(モーター6の)配管(62(図42参照))と接続する部分(油圧配管62との油圧ジョイントを接続するための接続金具61(を設けている部分)を挿入するための貫通孔(モーター取付穴55)が形成されており、該貫通孔(55)の周縁部の一部領域に切欠部(55c)が形成されていれば(図34参照)、配管(62)と接続するためモーター(6)に設けられている接続金具(61)を、貫通孔(55)に設けられた切欠部(55c)を介してモーターケース(5)の反対側から挿入することにより、接続金具(61)或いは油圧ジョイントをモーターケース(5)と衝突させること無く、所定の位置へ容易に設置することが出来る。そのため、モーター(6)をモーターケース(5)に取り付ける作業が、極めて容易且つ効率的に行われる。
【0043】
そして、該切欠部(55c)を、貫通孔周縁部のアイドラー(4)から離隔した側の領域に形成すれば(図34参照)、履帯(8)が移動している際に、アイドラー(4)側に向う力がスプロケット(7)(及びモーター6)に作用するが、当該力がモーターケース(5)に作用する領域(アイドラー4側の領域)には前記切欠部(55c)は形成されないので、当該力によって切欠部(55c)に応力集中が生じてしまうことが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0045】
図1〜図3は、本発明の実施形態に係る履帯式走行装置Cの全体構成を示している。
図1〜図3の実施形態において、全体を符号Cで示すクローラー式走行装置は、センターフレーム1と、センターフレーム1の両側部に設けられたサイドフレーム2と、そのサイドフレーム2と前記センターフレーム1を接続する接続部材3とから構成されている。
【0046】
センターフレーム1は図1〜図3では円環状を成しており、その円環状のセンターフレーム1の上面には、旋回輪Rが搭載されている。その旋回輪Rの上方には従来例(図43)で説明したような上部構造体(上物)Uが旋回輪Rと一体となって回動可能に配置されている。
なお、前記円環状のセンターフレーム1の外径は、旋回輪Rと等しく作られている(旋回輪よりも大きくは作られない)ので、土砂はセンターフレーム1には堆積しようがない。
【0047】
図3では、センターフレーム1と左右両側部のサイドフレーム2を接続する接続部材3は、断面が図10〜図12に示すように、その横断面の上部が凸状の管状の部材4本を図2(図4も参照)に示すようにX字状に配置している。
【0048】
図1及び図2を参照すれば、サイドフレーム2には、前端部にアイドラー4を、後端にはモーターケース5を有している。
そのモーターケース5には、例えば、油圧駆動のモーター6が取り付けられ、そのモーター5によってスプロケット7が回転させられるように構成されている。
前記アイドラー4とスプロケット7には、帯状で且つエンドレスの履帯(クローラー)8の内周側が係合されており、スプロケット7の回転によって、クローラー8が回動するように構成されている。
【0049】
さらに、クローラー8の上方側の内周面には上側ローラー91が、クローラー8の下側の内周面には図示の例では4個の下側ローラー92が共にクローラー8に接しながら回転するように構成されている。
すなわち、クローラー8は、スプロケット7とアイドラー4と上下のローラー91、92とに亘って巻き掛けられるように構成されている。
【0050】
図4は、図1〜図3で説明した第1の実施例で用いられるセンターフレーム1と、(当該センターフレーム1とサイドフレームとを接続する)接続部材3とを示している。
尚、図4において、図示はしないが、各接続部材3のセンターフレーム1への接続位置では、複数のリブをセンターフレーム1及び各接続部材3に互いに当接するように溶接して接続箇所を補強することも可能である。
【0051】
図1〜図4の(センターフレーム1とサイドフレーム2とを接続する)接続部材3は管状の部材により構成され、該管状部材3は前方及び後方では別体に構成されている。
これに対して、当該接続部材3Aを、図5で示す様に構成することも可能である。すなわち、図5において、断面を破線で示すように、接続部材3Aは、例えば外周が4枚の板で箱状に囲われた箱状体に構成されている。
【0052】
図4で示すセンターフレーム1について、以下に説明する。
図6において、センターフレーム1は、円環部分11に底板部分12を溶接している。ここで、底板部分12が円環部分11よりも水平方向にはみ出さない様にする。底板12が水平方向へはみ出すと、当該はみ出した部分に土砂が載ってしまうからである。
【0053】
センターフレーム1の補強のために、図6の符号13で示すような円環部分の内部に補強部材13を設けている。この補強部材13に代えて、或いは、補強部材13に加えて、補強用のリブ(図示せず)を設けることも可能である。
【0054】
また、当該センターフレームにおいて、図7、図8で示す様に、センターフレーム1A、1Bの円環部分11と、旋回輪Rおよび上部構造Uとを取り付けるためのフランジ部分14A(図7)、14B(図8)を設けても良い。
センターフレーム1A、1Bのフランジ部分14A、14Bは、旋回輪Rの取り付けを容易にする為に設けられている(例えば、旋回輪Rを締結する際の取付ブラケットとして作用する)。或いは、旋回輪Rの外径寸法とセンターフレーム1A、1Bの円環部分11の外径寸法との差異を吸収して、種々のサイズの旋回輪を取り付け可能にするため設けられている。
【0055】
図9に示すように、センターフレーム1Cを一体形状としても良い。一体形状にするに際しては、全体を鋳造によって形成してもよいし、形鋼を曲げ加工(ロールフォーミング)してフランジ付きの円環状に形成してもよい。尚、一体型1Cとする場合、底部には開口部1Caを設けることが好ましい。
【0056】
図10〜図12に示すように、センターフレームとサイドフレームとを接続する接続部材3B(楕円断面)、3C(方円断面)、3D(逆U時断面)の断面形状は、円形断面、四角径断面のみならず、種々の断面形状を採用することが可能である。
連結部3Aは、図5で示すような鋼板を溶接した構造でもよいが、さらに図4で示した円環状や、図10、図11のように断面が楕円状、方円状にした方が泥落ちの点で好ましい。
また、図12(a)で符号3Dで示すように、逆U字状とした鋼板3Daに別の鋼板3Dbを鋼板3Daに溶接等で接合し、鋼板3Daの端部から鋼板3Dbが(図12の左右方向について)突出しないように構成してもよい。或いは、連結部3B、3C、3Dの断面における上部の形状を、図12(b)で示すように、山形状に形成しても良い。
【0057】
センターフレームの変形例が図13に示されている。図13において、センターフレーム1Dの平面形状は、円環形状ではなく、旋回輪R(図13では2点鎖線で示す)に内接する8角形管形状となっている。
但し、センターフレーム1Dの平面形状は8角形に限定される訳ではなく、2点鎖線で示す旋回輪Rに内接するような多角形状であれば、適用可能である。
ここで、「旋回輪Rに内接する」ような多角形状であるのは、旋回輪Rに対して水平方向についてはみ出す部分が存在すると、当該はみ出した部分に土砂が堆積する恐れがあることによる。もちろん、8角形形状のセンターフレーム1Dの寸法は、旋回輪Rと内接する形状よりも小さくすることが可能である。
【0058】
明確には図示されていないが、上記多角形管形状1Dへの接続部材を接続する場合も、センターフレームと(センターフレーム1Dとサイドフレーム2との)接続部分との接合部の強度を向上するために、当該接合部の段面積を大きくすることが好ましい。或いは、その接合部にリブを形成することが好ましい。
【0059】
ここで、上部構造体に伝達される音、振動を減少し、或いは防止したいという要請が存在する。
【0060】
図49で示す様に、履帯8及びその駆動機構はサイドフレーム2にモーターケース側の接続板21を介して溶接によってモーターケース5が取り付けられ、或いは、サイドフレーム2と一体でアイドラーフレーム4が取り付けられている。なお、上部ローラー91及び下部ローラー92も、サイドフレーム2に取り付けられている。
【0061】
一方、図50で示す様に、履帯8および駆動機構においては、モーターケース5、アイドラーフレーム41は、接続板21を介して、サイドフレーム2に取り付けられている。
【0062】
そして、従来のアイドラーヨーク42は、図51(の51-1)のように、アイドラーガイド41aとアイドラーヨーク42とが直接接触して支えている。ここで、51-1はアイドラーフレーム41の内部の正面図、51-2は同側面図を示す。
なお、ヨークの中に溝を切って、その溝にガイドを差し込んでいる従来技術も存在する。
【0063】
図49〜図51で示す従来技術では、アイドラー4、スプロケット7、上下ローラー91、92とクローラー8の接触による振動、或いは、路面、地面からの振動は、減衰することなく、サイドフレーム2からセンターフレーム1、上部構造Uに伝わる。そのため、乗り心地が悪化するのみならず、騒音も大きくなってしまうという問題を抱えていた。
すなわち、図49〜図51で示す従来技術では、アイドラー4、スプロケット7等の振動や騒音は、直接、サイドフレーム2に伝わってしまうので、上部構造体に搭乗する乗員に対して不快な振動や騒音が発生してしまう。
【0064】
発明者が種々研究した結果、振動、騒音の最大の発生源は、アイドラー4、スプロケット7である事が分かった。
したがって、アイドラー4、スプロケット7と、サイドフレーム2とを、振動的に切り離すことが出来れば、センターフレーム等に騒音、振動が伝達されないのである。
係る知見に伴い、図示の実施形態では、以下のような構造とした。
【0065】
すなわち、図14で示すように、サイドフレーム2Aのスプロケット7側の端面およびモーターケースに接続板21を溶接する。一方、サイドフレーム2Aをアイドラー4側端部近傍で切断し、その切断部分の両側(アイドラー4側とスプロケット7側)の各々に、接続板21を溶接する。
そして、スプロケット7側では、前記モーターケース5の接続板21と、前記サイドフレーム2Aのスプロケット7側端面における接続板21との間に、ゴム等の制振材Dを挟み込む様に構成し、アイドラー4近傍では、2枚の接続板21の間にゴム等の制振材Dを挟む構造としている。
【0066】
ここで、図14の符号L1で示す距離(アイドラー4中心から直近の下ローラー92中心までの水平方向距離)や、符号L2で示す距離(スプロケット7中心から直近の下ローラー92中心までの水平方向距離)が長いと、クローラー8が撓んで、巻き込んでしまう可能性がある。
クローラー8を巻き込むと、制動性が悪くなる可能性がある。また、振動も大きくなる可能性がある。
【0067】
それに対して、図15で示す構造では、サイドフレーム2Bにおいて、アイドラー4側の下ローラー92を、接続板21及び制振材Dよりもアイドラー4側に取り付け、一方、スプロケット7側の下ローラー92を、接続板21及び制振材Dよりもモーターケース5側に取り付けている。
そのように構成することで、L1、L2の距離が減少しており、クローラー8を巻き込んでしまう恐れを解消している。
また、図15の構造であれば、L1の領域(スプロケット中心から直近の下ローラー中心までの領域)及びL2の領域(アイドラー中心から直近の下ローラー中心までの領域)に、制振材Dを挟み込めない場合にも有効である。
【0068】
例えば、図21で示されているように、制振材Dを接続板21で挟み込み、接続板をボルト26(図21)で締結すると、センターフレーム(1)及び上部構造などからの荷重が制振材及びボルトに負荷されてしまい、ボルト及び制振材を切断するように作用してしまう恐れがある。
そのため、センターフレーム(1)及び上部構造などからの荷重をボルトのみで負荷しないような構造が求められる。
【0069】
図16及び図17では、制振材Dを挟み込んでいるボルトに剪断力が掛からなくする構造(後述の図20も同様)を例示している。
すなわち、図16において、サイドフレーム2Cの接続板21Aに設けた水平部21Ahによって、上下方向に作用する(センターフレーム(1)及び上部構造などからの)荷重を、制振材Dを介して受け止めている。
また、図17では、サイドフレーム2Dの一対の接続板21、21Bの一方の接続版21Bの上端及び/又は下端に折り返しの水平部21Bhを設け、その水平部21Bhで上下方向に作用する荷重を、受け止めている。
【0070】
図18は、図15の構成に加えて、下ローラー92の振動の影響から、センターフレーム2Eを分離するべく、下ローラーブラケット92Bとサイドフレーム2Eとの間に制振材Dを介装した変形例を示している。図18において、下ローラー92の振動は、下ローラーブラケット92Bとサイドフレーム2Eとの間に介装された制振材Dにより、サイドフレーム2Eには伝達されない。
【0071】
図示の実施形態において、図19で示すように、センターフレーム1と接続部材3Eとの境界部分31、及び/又は、接続部材3Eとサイドフレーム2との境界部分32に、制振材Dを設けても良い。その様に構成すれば、制振材Dにより、アイドラー4、スプロケット7、ローラー92等で発生した振動は、センターフレーム1及びその上方に載置された上部構造体には伝達されない。
【0072】
図19で示すように制振材Dを配置する場合における制振材D介装の1態様が図20(図19のX-X断面図)で例示されている。図20では、制振材Dの水平方向部分全体で、センターフレーム1および上部構造Uなどからの荷重を負荷している。その結果、制振材Dの水平方向部分を上下方向に延在するボルト(図20では図示せず)で締結しても、当該ボルト及び制振材Dが剪断されてしまうことは防止される。
【0073】
図21では、制振材Dを接続板21で挟み込んで、ボルト等の締結手段26により締結して一体化した状態を示しているが、図22で示すように、接続板を溶接等で一体化した部材23を構成して、その内部に制振材Dを封入するような構造としても良い。すなわち、密閉構造23で制振しても良い。
【0074】
換言すれば、図21で示す様に接続板21で挟み込んで制振材Dを保持すると、溶接が出来ないので、ボルト26等による締結を行うしかない。しかし、ボルト26のみで荷重を受けると、上述した様にボルト26あるいは制振材Dを剪断してしまう場合が存在する。その様な事態(ボルト26あるいは制振材Dを剪断してしまう事態)は回避されなければならない。
図22で示すように、一体成形した部材23内に制振材Dを封入する構成にすれば、ボルトを使用する必要がなく、ボルトが剪断してしまう恐れが無くなる。それと共に、シリコンなどの粘性の強い液体Gを内部に封入することにより制振材に使用出来る(溶接後、封入しても良い)。
【0075】
図23は、アイドラーヨーク42とアイドラーガイド41aの間に制振材Dを配置した変形例である。アイドラーヨーク42、アイドラーガイド41aの何れか一方或いは双方(少なくとも一方)に、制振材を配置(固着)することが可能である。
図23において、符号4sはアイドラー4の回転軸を示す。
【0076】
ここで、図23の構造では、制振材Dが摩耗する恐れがある。したがって、図24で示す構成では、制振材Dにさらに摺動材43を被覆している。例えば鋼板等で製造される摺動材43の存在により、鋼鉄製の部材(アイドラーヨーク42、アイドラーガイド41a)と接触して、制振材Dが摩耗してしまうことが抑制される。
制振材Dを摺動材43とを組み合わせた構造も、ヨーク42側とガイド41a側の、少なくとも一方に構成することが可能である。
【0077】
上述したように、サイドフレーム2A〜2E、下ローラーのブラケット92B、接続部材3E及びアイドラーヨーク42周辺に制振材Dを介装することで、アイドラー4、スプロケット7、上下ローラー91、92と履帯8の接触による振動、或いは路面、地面からの振動を減衰でき、乗り心地が良くなる。
同様に騒音の低減にも寄与する。
【0078】
ここで、図52で示すように、従来のアイドラーガイド41aは、切断、曲げ加工したアイドラーフレーム41に角鋼、山形鋼等を、アイドラーヨーク摺動面41sが水平になるように、溶接されていた。
アイドラーヨーク摺動面41sとの摺動により、図53の矢印Yで示す様に、アイドラー4とアイドラーフレーム41とは、相対移動する。
係るアイドラーガイドの詳細は、図54〜図56で示されている。
【0079】
図54の例では、鋼板411に、土砂を排除するための傾斜が付くように曲げ加工し、その曲げ加工した鋼板411に幅の狭い平鋼412を溶接して摺動面41s、即ちアイドラーガイドを形成していた。
図55の例では、図54の、傾斜の付くように曲げ加工された鋼板411に、山形鋼413を向い合わせて溶接し、アイドラーガイドを形成して摺動面41sを確保していた。尚、図示の下方の山形鋼413と曲げ加工された鋼板411の間は幅の狭い平鋼412で補強されている。
図56の例では、摺動面41sの一方が、角鋼414を前記曲げ加工された鋼板411に溶接した構成である。
【0080】
しかし、図54から図56の従来例では、複雑な溶接組立を必要としており、上下の摺動面41sの間隔、平行度を精度良く組み立てることが困難であった。従って、精度を確保するためには、機械加工や溶接時の治具の位置決めが不可欠となり、製造に時間がかかっていた。
【0081】
さらに、アイドラーヨーク摺動面41sが水平になっているため、アイドラーガイド412(図54の例)、413(図55の例)、413及び414(図56の例)とアイドラーヨーク42(図52参照)との間に入った泥、泥水、水、土砂等が排出され難いという問題が存在する。
その結果、アイドラーガイドとアイドラーヨーク間の摺動性(滑り易さ)が悪化し、履帯の張力調整やその他のメンテナンスが容易に出来なくなる。さらに錆びも発生し易くなる。
【0082】
ここで、従来のモーターケース5の構成について以下に詳細に説明する。
モーターケース5は、図59に示すように、先ず、鋼板、或いは平鋼520をU字状に曲げ加工してモーターケースリム52に形成し、モーターベース53にモーターケースリム52の側部を溶接する。
そして片面がモーターベース5に溶接された状態のモーターケースリム52のU字の開口部に接続板21を溶接する。
なお、モーターベース53とモーターケースリム52の側部を接合する前に、モーターケースリム52のU字の開口部と接続板21との接合を行ってもよい。
【0083】
上述のように構成された従来のモーターケース5のリム部52(図57参照)は、図58の符号Hで示す様に、断面内側が水平になる様に構成されている。
すなわち、図59で詳細を示す従来のモーターケースリム部52は、鋼板或いは平鋼520を曲げ加工して構成されているので、図58の符号Hで示す様に水平となってしまう。
【0084】
モーターケースリム部52内側の水平面H(図58参照)が存在するため、モーターケース5のカバー54の隙間から泥、泥水、水、土砂等がモーターケース5内に浸入し、当該水平面Hに溜まった場合には、当該泥、泥水、水、土砂等が排出され難い。その結果、モーターケース内部に錆が発生し易くなる。
また、堆積した泥が図示しない油圧機器内に進入し易く、故障の原因となってしまう。
【0085】
これに対して、図示の実施形態では、上述した「アイドラーヨーク摺動面が水平になっているため、アイドラーガイドとアイドラーヨークとの間に入った泥、泥水、水、土砂等が排出され難いことに起因する問題」に対して、図25及び図26(図25の部分拡大図)で示す様に、上下のガイド41au、41abから成るアイドラーガイドにおいて、下側のガイド41abの上面側をアイドラーフレーム41の中央側が緩やかに下がるように勾配をつけて傾斜させている。
ここで、当該勾配について、傾斜角度が小さ過ぎると、水平面と同様となってしまう。一方、傾斜角度が大き過ぎると、上下のガイド41au、41ab間の隙間が大きくなり過ぎてしまう。係る見地から、下側のガイド41abの上面側に形成する勾配の傾斜角度は、水平に対して2°〜35°が好ましい。
それに伴い、アイドラーヨーク42Aの下面にも、同様な傾斜が形成されている。
【0086】
図27は、図25、図26で示したアイドラーガイドの一変形例を示しており、図25、図26における上側のアイドラーガイド41au及び下側のアイドラーガイド41abを一体としたアイドラーガイド41Bを設けている。図27の変形例によれば、鋳造、鍛造、圧延などでアイドラーガイド41Bを製造する場合の型の抜け勾配を付け易いというメリットがある。
【0087】
図28は、図25、図26の上側のアイドラーガイド41auと下側のアイドラーガイド41abを一体にするのに加えて、アイドラーフレーム41をも一体に形成したガイド部材41Cを備えた変形例を示している。
【0088】
さらに、アイドラーガイドを図29で示す様に構成することも出来る。
図25〜図28では、アイドラーガイドの下方の摺動面のみに傾斜が設けられているのに対して、図29においては、アイドラーフレーム41Dとアイドラーガイドとの上下の摺動面41Da(上側)、41Db(下側)が、共に勾配を有している(傾斜している)。そして、アイドラーヨーク42Bも、アイドラーガイドの摺動面41Da、41Dbと相補的に傾斜した形状とするべく、上下の摺動面が傾斜している。
【0089】
図29の様に構成すれば、アイドラーヨーク42Bとアイドラーガイド41Da、41Dbとの摺動箇所に溜まった水や泥などが良好に排出されることに加えて、上下のアイドラーガイド摺動面41Da、41Dbが傾斜しており、アイドラーヨーク42Bの摺動面が相補的な傾斜を有していることにより、位置決めや、センターリング(芯出し)が容易になる、という効果がある。
【0090】
図示の実施形態では、図25〜図29の構成を採用することにより、
(1)水、泥水の排出が良く、アイドラーガイドとアイドラーヨーク間の滑りが保たれ、張力調整、メンテナンスが容易、
(2)水、泥水の排出が良く、錆の発生が抑制出来る、
(3)堆積した泥の洗浄が容易、
(4)アイドラーガイドを一体構造とすることにより、製作精度が確保出来る、
という作用を奏する。
【0091】
また、従来技術における、「モーターケースリム部52内側の水平面H(図58参照)が存在するため、モーターケース5のカバー54の隙間から入って、当該水平面Hに溜まった泥、泥水、水、土砂等が排出され難い」という問題に対処するため、図示の実施形態では、図30で示す様にモーターケース5Aのモーターケースリム52Aの下側面52Abを傾斜させている。
【0092】
ここで、モーターケースリム52Aの下側面52Abの傾斜角度が大き過ぎると、当該モーターケースリム52Aがクローラー(図示せず)に干渉する。一方、下側面52Abの傾斜角度が小さ過ぎると、傾斜させることによる効果(後述する排水、排泥等の効果)が得られない。従って、モーターケースリム52Aの下側面52Abの傾斜角度は2°〜15°の範囲が適当である。
【0093】
図31は、モーターケース5Bの下側のモーターケースリム52Bbのみならず、上側のモーターケースリム52Buも傾斜させた変形例を示している。上側のモーターケースリム52Buに堆積した土砂を除去するというメリットを図ったものである。
【0094】
図33は、図31とは異なるモーターケースリムの変形例を示している。図33の変形例では、モーターケース5Cのリム52Cにおいて、モーター6から離れるに従い、モーターケース上リム52Cuは上方に、モーターケース下リム52Cbは下方になるように緩やかな傾斜を設けている。
図33で示すモーターケースリム52Cによれば、カバー54側の開口面積が広くなるため、メンテナンス性が向上する。また、モーター6の組み付け作業性が向上する。
【0095】
ここで、モーターケースリムに傾斜をつけるためには、図32で示す様に、鋼板521をカーブして加工(板取)すればよい。
【0096】
図示の実施形態において、モーターケースリムを図30〜図33で示す様な構成にすれば、
(1) 水、泥水の排出が良く、錆の発生が抑制出来る、
(2) 堆積した泥の洗浄が容易である、
(3) モーターケース内への泥の堆積が抑制でき、メンテナンス時に油圧機器への泥の侵入を防止出来る、
という作用効果を奏する。
【0097】
従来の履帯式走行装置は、図60に示すように、サイドフレーム2、アイドラー4、スプロケット7、モーターケース5、クローラー8、上下ローラー91、92から構成されていた。
図61及び図62に示すように、モーターケース5には油圧モーター6が取り付けられ、油圧モーター6には油圧ホース62及びスプロケット7が取り付けられている。
油圧モーター6のモーターケース5への位置決めを行うため、及び、クローラー8、スプロケット7からの力を受けるため、モーターケース5のモーター取付孔55と油圧モーターの嵌合部(嵌合孔)の隙間は、0.3mm程度以下と小さい。尚、図62において符号56はモーター取付用のボルト孔を示す。
【0098】
ここで、従来の履帯式走行装置のスプロケット7を駆動するモーター6においては、以下のような問題点があった。
(1) 油圧モーター6挿入時に、油圧ジョイント61がモーター取付孔55に当たってしまい、油圧ジョイント61を傷める。
(2) 油圧モーター挿入時及び取り外し時、油圧ジョイント61がモーター取付孔55に当たり、油圧ジョイントを外さなければ、挿入、及び取り外しが出来ない場合もある。
(3) 油圧モーター6がモーターケース5に挿入された状態での油圧ジョイント61の着脱は、工具が入り難く、作業に長い時間を費やしたり、工具による油圧ジョイントの締め付け、緩めが十分に出来ない。
【0099】
係る問題に対処するため、図示の実施形態では、図34で示す様に、配管(又はジョイント)を避けるための「切り欠き」55c或いは「逃がし」をモーターケース5の、モーターベース53の油圧モーター嵌合部(嵌合孔)55に形成している。
ここで、油圧モーター6は、地面からの反力、クローラー8の張力、モーター6駆動力により、アイドラー側(図34、図35では左側上方)に矢印Y1(図35参照)で示す様な力を受けるので、「逃がし」又は「切欠き」55cは、図35で示す領域αに形成するのが好ましい。
【0100】
図35のモーターベース53の領域αに、切り欠き55cを形成する理由を、次に述べる。
すなわち、図60において、クローラー走行時には、クローラー8からの反力、地面からの反力、それ等の反力の合力により、スプロケットには矢印Y1方向の力が作用する。
そのため、モーターケース5にも、図35において矢印Y1で示す方向に力が作用する。矢印Y1方向に切り欠き55cを設けると、当該切り欠き55cに応力集中が発生する恐れが存在する。
すなわち、矢印Y1方向の力による応力集中が発生してしまうことを防止するため、図35で特定された領域αに切り欠き55cを設けるのである。
【0101】
図34及び図35で示す切り欠き55c(モーターベース53に設ける切り欠き)は、モーターベース53の厚み方向の全域に設けることが出来る。
それに加えて、図36、図37(図36の部分拡大図)で示す様に、モーターケース5の油圧モーター嵌合部分(嵌合孔)55における油圧ホース62(図42参照)が位置する側の面Fα側に、いわゆる「面取り」状に切り欠き55eを形成しても良い。
【0102】
或いは、図38で示す様に、面Fα側が余計に切り欠かれるように、段部55fを形成して、余計に切り欠かれた面Fα側の領域を前記「切り欠き」としても良い。
【0103】
ここで、図36〜図38のような形状であれば、図35で特定された領域以外の領域(クローラーからの反力等が作用する領域)、すなわち、アイドラー4側の領域)に、切り欠き(55e、55f)を形成しても良い。
油圧モーター6とモーターケース5とはかなり強固に結合されるので、前記切り欠きがモーターベース53の厚み方向全域を完全に切り欠いておらず、図36〜図38の様にモーターベース53の厚み方向を一部でも残存していれば、応力集中が発生し難い。そのため、アイドラー4側の領域)に、切り欠き(55e、55f)を形成することが出来るのである。
【0104】
そして、モーター取付用ボルト孔56と、逃がし部分(切り欠き部分)55cとが近接している場合でも、モーターベース53の厚み方向について完全に切り欠かれていなければ、強度的に問題が無い。
【0105】
なお、図37で示す様に面Fα側に面取り形状55eを形成するのみならず、図39で示す様に、面Fα側のみならず、面Fβ側にも面取り形状55iを形成しても良い。
【0106】
油圧モーター6をモーターケース5に組み付けるに当たっては、先ず、図40で示す様に、ジョイント61を矢印Y2方向(切り欠き55c側)に向けて、油圧モーター6をモーター取付孔55へ挿入する。
モーター取付孔55に油圧モーター6を挿入した後、ジョイント61の位置が矢印Y2(図40)方向から矢印Y1(図41)方向へ向く様に、油圧モーター6を約180°回動する(図41)。これで、油圧モーター6はモーターケース5に嵌合される。
【0107】
この段階で、油圧モーター6はモーターケース5に取り付けられ(例えば、図示しないボルトで締結され)、図42で示す様に、各ジョイント61に油圧ホース62を接続する。
【0108】
上述したような切り欠き55c、55e、55iを設けることにより、走行用モーターの着脱が容易に出来るようになる。又、油圧のジョイント61を傷めることが少なくなる。
【0109】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明の履帯式走行装置は、建設機械のみならず、履帯(クローラー)で走行するタイプの全ての機器に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の実施形態の側面図
【図2】本発明の実施形態の平面図
【図3】本発明の実施形態の正面図
【図4】本発明の実施形態で用いられるセンターフレームを示す斜視図
【図5】本発明の実施形態で用いられるセンターフレームの第1変形例を示す斜視図
【図6】図4のセンターフレームの縦断面図
【図7】センターフレームの第2変形例の縦断面図
【図8】図7の第2変形例における要部の作用を説明する縦断面図
【図9】センターフレームの第3変形例の縦断面図
【図10】接続部材の断面形状の一例を示す断面図。
【図11】接続部材の他の断面形状を示す断面図。
【図12】接続部材のさらに別の断面形状を示す断面図。
【図13】センターフレームの第4変形例を示す平面図
【図14】実施形態に係るサイドフレーム近傍の構造を示す側面図
【図15】図14の構造の第1変形例を示す側面図
【図16】図14の構造の第2変形例を示す側面図
【図17】図14の構造の第3変形例を示す側面図
【図18】図14の構造の第4変形例を示す側面図
【図19】実施形態に係る接続部材の1変形例を示す平面図
【図20】図19における制振材の介装の態様を示す斜視図
【図21】制振材の介装の1態様を示す図
【図22】図21とは異なる制振材の介装の態様を示す図
【図23】アイドラー近傍における制振材介装の態様を示す図。
【図24】アイドラー近傍における図23とは別の制振材介装の態様を示す図
【図25】実施形態におけるアイドラーガイド、アイドラーヨーク及び摺動面を示す正面図
【図26】図25におけるアイドラーガイド、アイドラーヨーク及び摺動面の特徴を強調して示す拡大図
【図27】アイドラーガイドの1変形例を示す図
【図28】アイドラーガイドの他の変形例を示す図
【図29】アイドラーガイドのさらに別の変形例を示す図
【図30】実施形態におけるモーターケースリムを示す正面図
【図31】モーターケースリムの1変形例を示す図
【図32】図30、図31のモーターケースリムの製造工程を説明するための図
【図33】モーターケースリムの別の変形例を示す図
【図34】実施形態におけるモーターケースのモーター嵌合部分の構造を示す図
【図35】図34のモーターケースのモーター嵌合部分において、切り欠きを形成可能な領域を示す図
【図36】切り欠きを説明するための断面図
【図37】切り欠きの詳細を説明する部分拡大図
【図38】切り欠きの別の態様を示す部分拡大図
【図39】切り欠きのさらに別の態様を示す部分拡大図
【図40】モーターケースにモーターを取り付ける手順を示す図であって、初期段階を示す
【図41】図40で示す手順の次の工程であって、モーターを回転した状態を示す図
【図42】図41の後の工程であって、ジョイントに油圧配管を接続した状態を示す図
【図43】建設機械の1例を示す側面図
【図44】従来の建設機械の下部構造を示す平面図
【図45】従来のセンターフレーム及び接続部材を示す斜視図
【図46】従来のセンターフレーム及び接続部材であって、図45とは異なる構造を示す斜視図
【図47】従来技術の問題点を説明する図
【図48】図47と同様に、従来技術の問題点を説明する図
【図49】従来のサイドフレーム近傍の構造を示す側面図
【図50】従来のサイドフレーム近傍の構造であって、図49と別の構造を示す側面図
【図51】従来のアイドラー近傍の構造を示す正面図
【図52】従来のアイドラーガイドを示す正面図
【図53】アイドラーガイドの摺動方向を示す側面図
【図54】従来のアイドラーガイドの詳細を示す部分拡大図
【図55】従来のアイドラーガイドの一変形例の詳細を示す部分拡大図
【図56】従来のアイドラーガイドの別の変形例の詳細を示す部分拡大図
【図57】モーターケースリムの配置を示す図
【図58】モーターケースリムの内部形状を示す図
【図59】従来のモーターケースリムの形状及び製造の態様を説明する図
【図60】履帯を駆動する機構を説明するための図
【図61】モーターケースをスプロケットに取り付けた状態の正面図
【図62】モーターケースをスプロケットに取り付けた状態の側面図
【符号の説明】
【0112】
1・・・センターフレーム
2・・・サイドフレーム
3・・・接続部材
4・・・アイドラー
5・・・モーターケース
6・・・モーター
7・・・スプロケット
8・・・履帯/クローラー
12・・・第2の水平骨部材
13・・・第3の水平骨部材
14・・・フランジ
21・・・接続板
41・・・アイドラーフレーム
42・・・アイドラーヨーク
43・・・摺動材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続部材を介して左右両側に接続されたサイドフレームと、該サイドフレームに設けられた履帯とを有する履帯式走行装置のセンターフレームにおいて、平面形状が円環状に構成されており、外径寸法が旋回輪の外径寸法以下となる様に構成されていることを特徴とする履帯式走行装置のセンターフレーム。
【請求項2】
接続部材を介して左右両側に接続されたサイドフレームと、該サイドフレームに設けられた履帯とを有する履帯式走行装置のセンターフレームにおいて、平面形状が非円形形状に構成されおり、該非円形形状の寸法は、旋回輪の外径に内接する形状以下となる様に構成されていることを特徴とする履帯式走行装置のセンターフレーム。
【請求項3】
請求項1、2のセンターフレームを有することを特徴とする履帯式走行装置。
【請求項4】
センターフレームとサイドフレームとを接続する接続部材の横断面形状は上部が凸状をしている請求項3の履帯式走行装置。
【請求項5】
センターフレームと接続部材との接合箇所及び/又は接続部材とサイドフレームの接合箇所には、制振構造が介装されている請求項3、4の何れかの履帯式走行装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【公開番号】特開2006−7893(P2006−7893A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185905(P2004−185905)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000110251)トピー工業株式会社 (255)