履物
つま先部分(2)、およびかかと部分(3)を有する靴(1)。かかと部分(3)は、つま先部分(2)から全体的にまたは部分的に分離可能である。少なくとも部分的に分離された後、この靴は、着用者が靴を履きまたは脱ぐために自分の足を曲げ、または足に圧力を加えることなく、容易に着脱することができる。靴が部分的に分離される実施形態では、かかと部分(3)は、つま先部分(2)に対して横向きにまたは下向きのいずれかに回転させることができる。分離可能な固定手段(4)は、ジッパー、Velcro(商標)または他の固定手段を組み込むことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は履物に関し、詳細には、着用者の足に対して履物を容易に着脱することができるように、かかと部分(heel section)が少なくとも部分的につま先部分(toe section)から分離される、閉鎖式履物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に履物(footwear)は、サンダル式または閉鎖式とされている。従来型のサンダル式の履物は通常、サンダルを使用者の足に対して保持するために、後方に取り付けられるストラップを有する。そのようなサンダル式の履物は、閉鎖式履物よりも容易に脱ぎ履きすることができる。
【0003】
閉鎖式の履物は、履物の増加した高さおよびより小さな足用開口部を有し、そのようなスナッグフィット(snug fit)により、足首およびかかとに対してより良好な支持をもたらす。しかしながら、閉鎖式の履物は一般に、着用者の足に装着されるとき、足用開口部が着用者の足より小さいことを特徴とする。着用者の足に対して履物を着脱させるために、固定具(fastening device)が必要とされ、閉鎖式の履物を装着または脱がせるときにその固定具を外す。そのような固定具は、より伝統的には靴紐またはバックルやジッパーであるが、今日では、(Velcro(商標)として知られている)マジックテープ(登録商標)式固定手段を備えていることが多い。
【0004】
このような閉鎖式履物を装着するためには、この固定具を外されなければならない。通常、最初につま先を履物内に向け足首を捻って(twist)履物内に足を導き、次いで、再びかかとを捻って足を向けた位置から戻して、かかとを履物のかかと部分内へ挿入する。この順序は、かかと部分と靴固有部分(靴の前方またはつま先部分)との間の角度を上手く処理するために必要である。つま先とかかとの両方が履物内に位置決めされた後で、固定手段を固定することができる。同様に、履物を脱ぐ場合はこの手順を逆に行う。
【0005】
多くの人がこの作業を容易に行うことができるが、このような閉鎖式の履物を履いたり脱いだりするのに困難を伴う人々もいる。幼児、小児、体が不自由な人、すなわち身体障害者は、かかとを回転させること、つま先を向けること、および履物が適切に嵌合されるのを確実にするために、つま先およびかかと部分に適切な圧力を加えることができず、あるいはどのようにそれらを行うべきかを知らないため、このような作業を行うためには一般に助勢を必要とする。
【0006】
したがって、履物の様々な部分を少なくとも部分的に分離させることができ、それによって着用者の足に通常の回転および力、すなわち圧力を加えることを必要としないで、より使い勝手よく着脱できるような、他の履物、すなわち改善された履物が求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記した懸案を鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、従来型の閉鎖式履物の欠点を克服する履物を提供することを目的とする。
本明細書を通して、「靴(shoe)」という語は、サンダル式ではない、閉鎖式のいかなる種類の履物も包含するものと解釈すべきである。すなわち、靴には、ブーツ、ランニングシューズおよび任意の同様な種類の履物が含まれると解釈すべきである。同様に、閉鎖式の履物という語が使用されるとき、このような履物は、つま先またはかかと全体を包み込まないで部分的に開放している場合もあり、履物から切り取られた穴、スリット等の模様を有する場合もあるが、サンダル式履物として分類されない履物を包含すると見なされるべきである。
【0009】
1つの広い形態においては、本発明はつま先部分およびかかと部分を有する靴を提供し、かかと部分は少なくとも部分的につま先部分から分離可能である。
前記かかと部分が、前記つま先部分から全体的に分離可能であることが好ましい。
【0010】
これに代えて、かかと部分が靴の長手方向から実質的に垂直に延びる平面に対して交差する方向(transversely)に回転できるように、かかと部分がつま先部分から部分的に分離されることが望ましい。
【0011】
これに代えて、かかと部分が靴の長手方向から実質的に水平に延びる平面に対して交差する方向に回転できるように、かかと部分がつま先部分から部分的に分離されることが望ましい。
【0012】
かかと部分は、ジッパー、Velcro(マジックテープ式固定手段)、スナップボタン、バックルおよび靴紐を含むがこれらに限定されない分離可能な固定具の任意の1つまたは組合せを用いて、つま先部分から少なくとも部分的に分離されることが望ましい。
【0013】
また、本発明の靴は、革、プラスチック、織物、ゴム、および合成材料を含むがこれらに限定されない材料の任意の1つの組合せから構成されることが望ましい。
また、本発明の靴は、幼児、小児、身体障害者に対して単独または組合せて使用されるが、そのような用途に限定されるものではない。
【0014】
さらに、本発明の靴は、アーチサポート(arch support)、インソールサポート(insole support)およびアンクルサポート(ankle support)のうちの任意の1つまたは組合せを含むことが望ましい。
他の広い形態において、本発明は靴を着用者の足に装着する方法を提供し、靴は、つま先部分、かかと部分、およびつま先部分からかかと部分を少なくとも部分的に分離させるための固定具を含み、この方法は、固定具を外す工程と、つま先部分に対して靴のかかと部分を回転させる工程と、着用者のつま先を靴のつま先部分内に滑り込ませる工程と、靴のかかと部分を着用者のかかとの周りに戻す工程と、固定具を固定する工程とを含む。
【0015】
前記捻る工程において、かかと部分はつま先部分に対して横向きまたは下向きのいずれかに、または両方向に捻られることが望ましい。
さらに別の広い形態において、本発明は着用者の足から靴を脱がせる方法を提供し、本明細書で先に説明した工程を逆の順番により完了させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、好適な実施形態に関して添付の図面を参照して説明される、以下の詳細な記述からより完全に理解されるであろう。しかしながら、本発明は、これらの好適な実施形態に限定されるものではない。
【0017】
本発明による靴の第1の実施形態を図1〜6に示す。これらの図は、つま先部分2およびかかと部分3を有する符号1によって全体に表される靴を示す。図示されるように、つま先部分2は、この実施形態ではジッパー4として構成される固定手段を使用してかかと部分3に取り付けられている。図1は、靴の外側から見た取り付け位置、すなわちジッパー4が閉じられた状態の靴1を示しており、図2は同じ靴を内側から見た状態を示している。
【0018】
図3、4および5に示すように、ジッパー4または他の固定手段を取り外すことによって、かかと部分3をつま先部分から部分的に分離させることができる。固定手段4を取り外すと、次いでかかと部分は、図3、4および5に示す位置に、靴の(取り付けられた位置での)長手方向から実質的に垂直に延びる平面から交差する方向に捻り、すなわち回転させることができる。かかと部分3がつま先部分2に対して回転した後、着用者の足を容易につま先部分2内に挿入でき、次いで、着用者の足の後ろを包囲するためにかかと部分3を再び回転させることができる。次に、かかと部分3をつま先部分2に対して再度取り付けるために、固定手段4または他のジッパーを留める。
【0019】
本実施形態の靴は、幼児、小児、病人または身体障害者の足に困難なく容易に装着させることができ、ジッパー4を容易に留めることができる。これは全て、着用者が自分の足を従来型の閉鎖式の靴に挿入しなければならないときに通常行うような、着用者が身をかがめ、自分の足のつま先、足首または他の部分を捻りかつそれらに圧力を加えるといったことを必要としないで行うことができる。
【0020】
当業者には、本明細書ですでに説明した実施形態に変更および修正を加えることができることが理解されるであろう。そのような変更および修正は、本明細書において説明する本発明の範囲内であると見なされるべきである。
【0021】
例えば、代替実施形態が図7〜10に示され、図8および9に最もよく示されているように、かかと部分3をつま先部分2に対して下向きに回転させることができる。この場合、かかと部分3はジッパー4を外すことによってつま先部分2から部分的に分離される。このかかと部分3は、図8および9に示す位置に、靴の長手方向から実質的に水平に延びる平面に対して交差する方向に回転する。図9は、この靴1が留められた後で、インソール5が必要な支持を依然として確実に提供しながら、この実施形態でインソール5がその位置をどのように維持するかを示す。図1〜6に示す実施形態と同様に、図7および10の実施形態では、従来型の閉鎖式履物に対するように、着用者が身をかがめ、自分の足のつま先や足首または他の部分を捻りかつそれらに圧力を加えることを必要としないで、本明細書ですでに説明したように着用者の足に装着することができる。
【0022】
図7〜9の実施形態は、ジッパーに加えて固定手段4の一部をなす固定タブ6も組み込んでいる。
さらに別の実施形態では、このかかと部分は、図11〜15に示すような、靴の中央部分の周囲全体に延びるジッパーを組み込むことによって、つま先部分から完全に分離させることもできる。
【0023】
図13では、履物を「完全に分離可能な」形態を最もよく示しており、図13(a)がつま先部分2を、図13(b)がかかと部分3を示す。この図において、ジッパー4または他の固定具が履物の中央部分の周囲全体に延びることが明瞭に示されている。図14および15が履物のこの実施形態の詳細を示しており、図14(a)が靴アッパーのつま先部分上のミッドソールの位置を示し、図14(b)が靴アッパーのかかと部分上のミッドソールの位置を示し、また、図15(a)が靴のインソール構成部品を支持するように輪郭が形成されたシャンクを示し、さらに、図15(b)がこの実施形態の靴のインソール構成部品の、革で覆われかつ詰め物をされた上張りを示す。
【0024】
本明細書ですでに説明した実施形態の各々では、ジッパーを使用しており、かつ本明細書で説明した第2の実施形態でもベルクロタブ(Velcro tab)を組み入れているが、靴のかかと部分のつま先部分に対する着脱は、様々な固定手段によって容易に行うことができることは理解されるであろう。そのような固定手段は、1つまたは複数のジッパー、(Velcro(商標)として知られる)マジックテープ、タブまたはオーバーレイ、スナップボタン、バックル、靴紐、または上記の任意の組合せを含むことができる。当業者に知られている、または当業者に明らかとなる他の固定手段も、本発明の範囲内に組み入れられる。
【0025】
実施形態に応じて、従来型の履物のソールを変更することが内在することも留意されたい。特に外側ソールは、本明細書ですでに説明した第1および第3の実施形態におけるように2つの異なる部分として、または第2に説明した実施形態におけるように下向きに曲げるまたは折畳むことができる1つの部分として形成できることも留意すべきである。内側ソール(インソール)は、これらの説明された実施形態において、一体的構造のものであり、靴のつま先部分2に取り付けることができる。この一体的構造は、2つの部品で構成される場合よりも、着用者の足をより良好に支持することができる。
【0026】
本明細書においてすでに説明した方法で構成される外側ソールによって、かつ容易に折畳むまたは柔軟である方法で構成される内側ソールによって、着用者は、支持されながら、従来型の靴よりも容易に自分の足首を前方に曲げることができる。このことは、特定の用途において、例えば特定のスポーツにおいてその性能が改善されてきた。すなわち、ソールが実質的にヒンジで連結されるため、早く歩く、すなわち走るときに従来型の靴において通常起きるような、かかとが靴から外に出ることはない。
【0027】
本発明の靴は様々な材料から作ることが可能である。適切な材料には、革、プラスチック、織物、ゴム、合成材料等が含まれる。本発明の靴を作るために使用される材料の種類には制限されるものはない。すなわち、履物を作るために使用される、当業者に知られている全ての適切な材料は、本発明の範囲内に包含される。
【0028】
本明細書ですでに述べたように、本発明の靴は、従来型の閉鎖式の靴を着用するために必要とされる足を曲げることに通常困難をきたすような、幼児、小児、身体障害者、病人、または足に怪我した人に特に有用である。しかしながら、この靴は、このように肉体的な制限を有するか否かに関わらず、いかなる人によっても簡便に用いることができる。また、この靴は、本発明の靴の設計/特徴に内在する柔軟性を必要とするスポーツ愛好家が使用することもできる。
【0029】
したがって、本発明の靴は、従来型の閉鎖式の靴のようにより小さな開口部を保持しつつ良好な足首支持を提供するが、着用者の足に靴を挿入するまたは足を靴から取り出すために、捻る、回転させるまたはその他の方法で力を加えることなく、容易に取り付けられる利点を有する。本発明の靴は、必要とされる足首支持を有する適切な靴を着用することが困難な人々に対して、そのような足首支持を提供して靴の着用を可能にする。
【0030】
本発明の靴は、当業者に周知の通例の目的を達成するために、従来型の靴のように伝統的なアーチサポート、インソールサポートおよびアンクルサポートを組み入れることも可能である。
【0031】
当業者に対して明らかになる本発明の全ての更なる変更物および修正物は、本明細書ですでに説明した本発明の範囲内に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】靴の外側から見た本発明による靴の斜視図。
【図2】内側から見た靴の側面斜視図。
【図3】靴の外側から見た、かかと部分が靴のつま先部分に対して部分的に分離され、かつ回転された、図1および2の靴を示す図。
【図4】靴の内側から見た、図3の靴を示す図。
【図5】靴の後ろから見た、図3および4の靴を示す図。
【図6】図1〜5の靴のアッパーおよびミッドソール用の典型的な型紙を示す図。
【図7】本発明による靴の他の実施形態を示す図。
【図8】図7の靴のかかと部分がつま先部分に対して部分的に分離され、かつ回転された状態を示す図。
【図9】図8の靴と同様の靴を示す図であってインソールの位置を示す図。
【図10】図7〜9の靴のアッパーの型を示す図。
【図11】靴の外側から見た本発明による靴の別の実施形態を示す図。
【図12】靴の内側から見た図11の実施形態の図。
【図13】図13(a)および図13(b)に示す、図11および12の履物の実施形態の分解図。
【図14】図14(a)および図14(b)に示す、図11〜13の靴の型紙の図。
【図15】図15(a)および図15(b)に示す、図11〜14の靴の構成部品の型紙の図。
【技術分野】
【0001】
本発明は履物に関し、詳細には、着用者の足に対して履物を容易に着脱することができるように、かかと部分(heel section)が少なくとも部分的につま先部分(toe section)から分離される、閉鎖式履物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に履物(footwear)は、サンダル式または閉鎖式とされている。従来型のサンダル式の履物は通常、サンダルを使用者の足に対して保持するために、後方に取り付けられるストラップを有する。そのようなサンダル式の履物は、閉鎖式履物よりも容易に脱ぎ履きすることができる。
【0003】
閉鎖式の履物は、履物の増加した高さおよびより小さな足用開口部を有し、そのようなスナッグフィット(snug fit)により、足首およびかかとに対してより良好な支持をもたらす。しかしながら、閉鎖式の履物は一般に、着用者の足に装着されるとき、足用開口部が着用者の足より小さいことを特徴とする。着用者の足に対して履物を着脱させるために、固定具(fastening device)が必要とされ、閉鎖式の履物を装着または脱がせるときにその固定具を外す。そのような固定具は、より伝統的には靴紐またはバックルやジッパーであるが、今日では、(Velcro(商標)として知られている)マジックテープ(登録商標)式固定手段を備えていることが多い。
【0004】
このような閉鎖式履物を装着するためには、この固定具を外されなければならない。通常、最初につま先を履物内に向け足首を捻って(twist)履物内に足を導き、次いで、再びかかとを捻って足を向けた位置から戻して、かかとを履物のかかと部分内へ挿入する。この順序は、かかと部分と靴固有部分(靴の前方またはつま先部分)との間の角度を上手く処理するために必要である。つま先とかかとの両方が履物内に位置決めされた後で、固定手段を固定することができる。同様に、履物を脱ぐ場合はこの手順を逆に行う。
【0005】
多くの人がこの作業を容易に行うことができるが、このような閉鎖式の履物を履いたり脱いだりするのに困難を伴う人々もいる。幼児、小児、体が不自由な人、すなわち身体障害者は、かかとを回転させること、つま先を向けること、および履物が適切に嵌合されるのを確実にするために、つま先およびかかと部分に適切な圧力を加えることができず、あるいはどのようにそれらを行うべきかを知らないため、このような作業を行うためには一般に助勢を必要とする。
【0006】
したがって、履物の様々な部分を少なくとも部分的に分離させることができ、それによって着用者の足に通常の回転および力、すなわち圧力を加えることを必要としないで、より使い勝手よく着脱できるような、他の履物、すなわち改善された履物が求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記した懸案を鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、従来型の閉鎖式履物の欠点を克服する履物を提供することを目的とする。
本明細書を通して、「靴(shoe)」という語は、サンダル式ではない、閉鎖式のいかなる種類の履物も包含するものと解釈すべきである。すなわち、靴には、ブーツ、ランニングシューズおよび任意の同様な種類の履物が含まれると解釈すべきである。同様に、閉鎖式の履物という語が使用されるとき、このような履物は、つま先またはかかと全体を包み込まないで部分的に開放している場合もあり、履物から切り取られた穴、スリット等の模様を有する場合もあるが、サンダル式履物として分類されない履物を包含すると見なされるべきである。
【0009】
1つの広い形態においては、本発明はつま先部分およびかかと部分を有する靴を提供し、かかと部分は少なくとも部分的につま先部分から分離可能である。
前記かかと部分が、前記つま先部分から全体的に分離可能であることが好ましい。
【0010】
これに代えて、かかと部分が靴の長手方向から実質的に垂直に延びる平面に対して交差する方向(transversely)に回転できるように、かかと部分がつま先部分から部分的に分離されることが望ましい。
【0011】
これに代えて、かかと部分が靴の長手方向から実質的に水平に延びる平面に対して交差する方向に回転できるように、かかと部分がつま先部分から部分的に分離されることが望ましい。
【0012】
かかと部分は、ジッパー、Velcro(マジックテープ式固定手段)、スナップボタン、バックルおよび靴紐を含むがこれらに限定されない分離可能な固定具の任意の1つまたは組合せを用いて、つま先部分から少なくとも部分的に分離されることが望ましい。
【0013】
また、本発明の靴は、革、プラスチック、織物、ゴム、および合成材料を含むがこれらに限定されない材料の任意の1つの組合せから構成されることが望ましい。
また、本発明の靴は、幼児、小児、身体障害者に対して単独または組合せて使用されるが、そのような用途に限定されるものではない。
【0014】
さらに、本発明の靴は、アーチサポート(arch support)、インソールサポート(insole support)およびアンクルサポート(ankle support)のうちの任意の1つまたは組合せを含むことが望ましい。
他の広い形態において、本発明は靴を着用者の足に装着する方法を提供し、靴は、つま先部分、かかと部分、およびつま先部分からかかと部分を少なくとも部分的に分離させるための固定具を含み、この方法は、固定具を外す工程と、つま先部分に対して靴のかかと部分を回転させる工程と、着用者のつま先を靴のつま先部分内に滑り込ませる工程と、靴のかかと部分を着用者のかかとの周りに戻す工程と、固定具を固定する工程とを含む。
【0015】
前記捻る工程において、かかと部分はつま先部分に対して横向きまたは下向きのいずれかに、または両方向に捻られることが望ましい。
さらに別の広い形態において、本発明は着用者の足から靴を脱がせる方法を提供し、本明細書で先に説明した工程を逆の順番により完了させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、好適な実施形態に関して添付の図面を参照して説明される、以下の詳細な記述からより完全に理解されるであろう。しかしながら、本発明は、これらの好適な実施形態に限定されるものではない。
【0017】
本発明による靴の第1の実施形態を図1〜6に示す。これらの図は、つま先部分2およびかかと部分3を有する符号1によって全体に表される靴を示す。図示されるように、つま先部分2は、この実施形態ではジッパー4として構成される固定手段を使用してかかと部分3に取り付けられている。図1は、靴の外側から見た取り付け位置、すなわちジッパー4が閉じられた状態の靴1を示しており、図2は同じ靴を内側から見た状態を示している。
【0018】
図3、4および5に示すように、ジッパー4または他の固定手段を取り外すことによって、かかと部分3をつま先部分から部分的に分離させることができる。固定手段4を取り外すと、次いでかかと部分は、図3、4および5に示す位置に、靴の(取り付けられた位置での)長手方向から実質的に垂直に延びる平面から交差する方向に捻り、すなわち回転させることができる。かかと部分3がつま先部分2に対して回転した後、着用者の足を容易につま先部分2内に挿入でき、次いで、着用者の足の後ろを包囲するためにかかと部分3を再び回転させることができる。次に、かかと部分3をつま先部分2に対して再度取り付けるために、固定手段4または他のジッパーを留める。
【0019】
本実施形態の靴は、幼児、小児、病人または身体障害者の足に困難なく容易に装着させることができ、ジッパー4を容易に留めることができる。これは全て、着用者が自分の足を従来型の閉鎖式の靴に挿入しなければならないときに通常行うような、着用者が身をかがめ、自分の足のつま先、足首または他の部分を捻りかつそれらに圧力を加えるといったことを必要としないで行うことができる。
【0020】
当業者には、本明細書ですでに説明した実施形態に変更および修正を加えることができることが理解されるであろう。そのような変更および修正は、本明細書において説明する本発明の範囲内であると見なされるべきである。
【0021】
例えば、代替実施形態が図7〜10に示され、図8および9に最もよく示されているように、かかと部分3をつま先部分2に対して下向きに回転させることができる。この場合、かかと部分3はジッパー4を外すことによってつま先部分2から部分的に分離される。このかかと部分3は、図8および9に示す位置に、靴の長手方向から実質的に水平に延びる平面に対して交差する方向に回転する。図9は、この靴1が留められた後で、インソール5が必要な支持を依然として確実に提供しながら、この実施形態でインソール5がその位置をどのように維持するかを示す。図1〜6に示す実施形態と同様に、図7および10の実施形態では、従来型の閉鎖式履物に対するように、着用者が身をかがめ、自分の足のつま先や足首または他の部分を捻りかつそれらに圧力を加えることを必要としないで、本明細書ですでに説明したように着用者の足に装着することができる。
【0022】
図7〜9の実施形態は、ジッパーに加えて固定手段4の一部をなす固定タブ6も組み込んでいる。
さらに別の実施形態では、このかかと部分は、図11〜15に示すような、靴の中央部分の周囲全体に延びるジッパーを組み込むことによって、つま先部分から完全に分離させることもできる。
【0023】
図13では、履物を「完全に分離可能な」形態を最もよく示しており、図13(a)がつま先部分2を、図13(b)がかかと部分3を示す。この図において、ジッパー4または他の固定具が履物の中央部分の周囲全体に延びることが明瞭に示されている。図14および15が履物のこの実施形態の詳細を示しており、図14(a)が靴アッパーのつま先部分上のミッドソールの位置を示し、図14(b)が靴アッパーのかかと部分上のミッドソールの位置を示し、また、図15(a)が靴のインソール構成部品を支持するように輪郭が形成されたシャンクを示し、さらに、図15(b)がこの実施形態の靴のインソール構成部品の、革で覆われかつ詰め物をされた上張りを示す。
【0024】
本明細書ですでに説明した実施形態の各々では、ジッパーを使用しており、かつ本明細書で説明した第2の実施形態でもベルクロタブ(Velcro tab)を組み入れているが、靴のかかと部分のつま先部分に対する着脱は、様々な固定手段によって容易に行うことができることは理解されるであろう。そのような固定手段は、1つまたは複数のジッパー、(Velcro(商標)として知られる)マジックテープ、タブまたはオーバーレイ、スナップボタン、バックル、靴紐、または上記の任意の組合せを含むことができる。当業者に知られている、または当業者に明らかとなる他の固定手段も、本発明の範囲内に組み入れられる。
【0025】
実施形態に応じて、従来型の履物のソールを変更することが内在することも留意されたい。特に外側ソールは、本明細書ですでに説明した第1および第3の実施形態におけるように2つの異なる部分として、または第2に説明した実施形態におけるように下向きに曲げるまたは折畳むことができる1つの部分として形成できることも留意すべきである。内側ソール(インソール)は、これらの説明された実施形態において、一体的構造のものであり、靴のつま先部分2に取り付けることができる。この一体的構造は、2つの部品で構成される場合よりも、着用者の足をより良好に支持することができる。
【0026】
本明細書においてすでに説明した方法で構成される外側ソールによって、かつ容易に折畳むまたは柔軟である方法で構成される内側ソールによって、着用者は、支持されながら、従来型の靴よりも容易に自分の足首を前方に曲げることができる。このことは、特定の用途において、例えば特定のスポーツにおいてその性能が改善されてきた。すなわち、ソールが実質的にヒンジで連結されるため、早く歩く、すなわち走るときに従来型の靴において通常起きるような、かかとが靴から外に出ることはない。
【0027】
本発明の靴は様々な材料から作ることが可能である。適切な材料には、革、プラスチック、織物、ゴム、合成材料等が含まれる。本発明の靴を作るために使用される材料の種類には制限されるものはない。すなわち、履物を作るために使用される、当業者に知られている全ての適切な材料は、本発明の範囲内に包含される。
【0028】
本明細書ですでに述べたように、本発明の靴は、従来型の閉鎖式の靴を着用するために必要とされる足を曲げることに通常困難をきたすような、幼児、小児、身体障害者、病人、または足に怪我した人に特に有用である。しかしながら、この靴は、このように肉体的な制限を有するか否かに関わらず、いかなる人によっても簡便に用いることができる。また、この靴は、本発明の靴の設計/特徴に内在する柔軟性を必要とするスポーツ愛好家が使用することもできる。
【0029】
したがって、本発明の靴は、従来型の閉鎖式の靴のようにより小さな開口部を保持しつつ良好な足首支持を提供するが、着用者の足に靴を挿入するまたは足を靴から取り出すために、捻る、回転させるまたはその他の方法で力を加えることなく、容易に取り付けられる利点を有する。本発明の靴は、必要とされる足首支持を有する適切な靴を着用することが困難な人々に対して、そのような足首支持を提供して靴の着用を可能にする。
【0030】
本発明の靴は、当業者に周知の通例の目的を達成するために、従来型の靴のように伝統的なアーチサポート、インソールサポートおよびアンクルサポートを組み入れることも可能である。
【0031】
当業者に対して明らかになる本発明の全ての更なる変更物および修正物は、本明細書ですでに説明した本発明の範囲内に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】靴の外側から見た本発明による靴の斜視図。
【図2】内側から見た靴の側面斜視図。
【図3】靴の外側から見た、かかと部分が靴のつま先部分に対して部分的に分離され、かつ回転された、図1および2の靴を示す図。
【図4】靴の内側から見た、図3の靴を示す図。
【図5】靴の後ろから見た、図3および4の靴を示す図。
【図6】図1〜5の靴のアッパーおよびミッドソール用の典型的な型紙を示す図。
【図7】本発明による靴の他の実施形態を示す図。
【図8】図7の靴のかかと部分がつま先部分に対して部分的に分離され、かつ回転された状態を示す図。
【図9】図8の靴と同様の靴を示す図であってインソールの位置を示す図。
【図10】図7〜9の靴のアッパーの型を示す図。
【図11】靴の外側から見た本発明による靴の別の実施形態を示す図。
【図12】靴の内側から見た図11の実施形態の図。
【図13】図13(a)および図13(b)に示す、図11および12の履物の実施形態の分解図。
【図14】図14(a)および図14(b)に示す、図11〜13の靴の型紙の図。
【図15】図15(a)および図15(b)に示す、図11〜14の靴の構成部品の型紙の図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
つま先部分およびかかと部分を有する靴であって、該かかと部分が該つま先部分から少なくとも部分的に分離可能であることを特徴とする靴。
【請求項2】
前記かかと部分が前記つま先部分から完全に分離可能である、請求項1に記載の靴。
【請求項3】
前記かかと部分が前記靴の長手方向から実質的に垂直に延びる平面に対して交差する方向に回転させることができるように、前記つま先部分から部分的に分離される、請求項1に記載の靴。
【請求項4】
前記かかと部分が、前記靴の長手方向から実質的に水平に延びる平面に対して交差する方向に回転させることができるように、前記つま先部分から部分的に分離される、請求項1に記載の靴。
【請求項5】
前記かかと部分が、ジッパー、(Velcro(商標)として知られる)マジックテープ式固定手段、タブ、オーバーレイ、スナップボタン、バックルおよび靴紐を含むがこれらに限定されない分離可能な固定具の任意の1つまたは組合せを用いて、前記つま先部分から少なくとも部分的に分離される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の靴。
【請求項6】
前記靴が、革、プラスチック、織物、ゴム、および合成材料を含むがこれらに限定されない材料の組合せの任意の一つから構成される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の靴。
【請求項7】
前記靴が、幼児、小児、身体障害者を含むがそのような人に限定されない用途の1つまたは組合せに使用される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の靴。
【請求項8】
前記靴が、アーチサポート、インソールサポートおよびアンクルサポートの任意の1つまたは組合せを含む、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の靴。
【請求項9】
靴を着用者の足に装着する方法であって、該靴はつま先部分、かかと部分、および該つま先部分から該かかと部分を少なくとも部分的に分離させるための固定具を含み、該方法が、
該固定具を外す工程と、
該つま先部分に対して該靴のかかと部分を捻る工程と、
該着用者のつま先を該靴の該つま先部分内に滑り込ませる工程と、
該靴のかかと部分を該着用者のかかとの周りに戻す工程と、
該固定具を固定する工程とを含む方法。
【請求項10】
前記捻る工程において、前記かかと部分が前記つま先部分に対して横向きまたは下向きのいずれかに、または両方向に捻られる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項9の工程が逆の順番で完了される、着用者の足から靴を脱がせる方法。
【請求項1】
つま先部分およびかかと部分を有する靴であって、該かかと部分が該つま先部分から少なくとも部分的に分離可能であることを特徴とする靴。
【請求項2】
前記かかと部分が前記つま先部分から完全に分離可能である、請求項1に記載の靴。
【請求項3】
前記かかと部分が前記靴の長手方向から実質的に垂直に延びる平面に対して交差する方向に回転させることができるように、前記つま先部分から部分的に分離される、請求項1に記載の靴。
【請求項4】
前記かかと部分が、前記靴の長手方向から実質的に水平に延びる平面に対して交差する方向に回転させることができるように、前記つま先部分から部分的に分離される、請求項1に記載の靴。
【請求項5】
前記かかと部分が、ジッパー、(Velcro(商標)として知られる)マジックテープ式固定手段、タブ、オーバーレイ、スナップボタン、バックルおよび靴紐を含むがこれらに限定されない分離可能な固定具の任意の1つまたは組合せを用いて、前記つま先部分から少なくとも部分的に分離される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の靴。
【請求項6】
前記靴が、革、プラスチック、織物、ゴム、および合成材料を含むがこれらに限定されない材料の組合せの任意の一つから構成される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の靴。
【請求項7】
前記靴が、幼児、小児、身体障害者を含むがそのような人に限定されない用途の1つまたは組合せに使用される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の靴。
【請求項8】
前記靴が、アーチサポート、インソールサポートおよびアンクルサポートの任意の1つまたは組合せを含む、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の靴。
【請求項9】
靴を着用者の足に装着する方法であって、該靴はつま先部分、かかと部分、および該つま先部分から該かかと部分を少なくとも部分的に分離させるための固定具を含み、該方法が、
該固定具を外す工程と、
該つま先部分に対して該靴のかかと部分を捻る工程と、
該着用者のつま先を該靴の該つま先部分内に滑り込ませる工程と、
該靴のかかと部分を該着用者のかかとの周りに戻す工程と、
該固定具を固定する工程とを含む方法。
【請求項10】
前記捻る工程において、前記かかと部分が前記つま先部分に対して横向きまたは下向きのいずれかに、または両方向に捻られる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項9の工程が逆の順番で完了される、着用者の足から靴を脱がせる方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2009−516535(P2009−516535A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540403(P2008−540403)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【国際出願番号】PCT/AU2005/001765
【国際公開番号】WO2007/056791
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(508149711)
【氏名又は名称原語表記】STYLIS,Stanley Chris
【出願人】(508149722)
【氏名又は名称原語表記】KARANDONIS,John Fotis
【出願人】(508149733)
【氏名又は名称原語表記】STYLIS,Daphne Ann
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【国際出願番号】PCT/AU2005/001765
【国際公開番号】WO2007/056791
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(508149711)
【氏名又は名称原語表記】STYLIS,Stanley Chris
【出願人】(508149722)
【氏名又は名称原語表記】KARANDONIS,John Fotis
【出願人】(508149733)
【氏名又は名称原語表記】STYLIS,Daphne Ann
【Fターム(参考)】
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