説明

嵌め殺し窓

【課題】枠材が極力露出せず、意匠性を高めることが可能な嵌め殺し窓を提供する。
【解決手段】建物の壁体に形成した開口部15に上枠21と下枠22と左右縦枠24、25とで枠組みした窓枠を設置し、この窓枠内にガラス26を納めた。前記上枠21及び前記左右縦枠24、25には、枠内方向に突出したガラス支持部21a、24a、25aを形成した。前記ガラス26は、屋内側から押縁部材27、28で押されることにより、この押縁部材27、28と前記ガラス支持部21a、24a、25aとで挟まれて前記上枠21及び前記左右縦枠24、25に固定されるようにした。前記上枠21及び前記左右縦枠24、25において、前記ガラス支持部21a、24a、25aの内縁21b、24b、25bと、前記開口部15の外壁側の端縁15aとが、見込方向に重なる位置に配置されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、壁体に形成した開口部の奥に上枠と下枠と左右縦枠とで枠組みした窓枠を設置し、この窓枠内にガラスを納めた嵌め殺し窓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、窓枠と窓枠内に固定されるガラスとを備えた嵌め殺し窓(FIX窓)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
こうした嵌め殺し窓では、上枠と下枠と左右縦枠とで枠組みした窓枠の内部にガラスが納められ、各枠材に係合する押縁部材がガラスを屋内側から押圧し、この押縁部材と各枠材とでガラスを挟持することによって、ガラスが窓枠に固定されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−43403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した従来の嵌め殺し窓では、外観、内観ともに、枠材が目立って露出しており、窓の意匠性を損なってしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、枠材が極力露出せず、意匠性を高めることが可能な嵌め殺し窓を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0008】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、以下の点を特徴とする。
【0009】
すなわち、請求項1に記載の嵌め殺し窓は、建物の壁体に形成した開口部に上枠と下枠と左右縦枠とで枠組みした窓枠を設置し、この窓枠内にガラスを納めた嵌め殺し窓において、前記上枠及び前記左右縦枠には、枠内方向に突出したガラス支持部が形成されており、前記ガラスは、屋内側から押縁部材で押されることにより、この押縁部材と前記ガラス支持部とで挟まれて前記上枠及び前記左右縦枠に固定され、前記上枠及び前記左右縦枠において、前記ガラス支持部の内縁と、前記開口部の外壁側の端縁とが、見込方向に重なる位置に配置されていることを特徴とする。
【0010】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0011】
すなわち、前記左右縦枠に取り付けられる前記押縁部材は、一端が室内壁と連続するように係止されるとともに、他端が前記ガラスの表面を支持しており、更に、前記押縁部材の露出面は、一端側から他端側に行くに従って枠内方向に傾斜していることを特徴とする。
【0012】
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は2記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0013】
すなわち、前記上枠及び前記左右縦枠は、前記ガラス支持部の端部から屋外方向に延設された延設部を有することを特徴とする。
【0014】
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0015】
すなわち、前記下枠には、屋外方向に延設された水切り部が一体形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、建物の壁体に形成した開口部に窓枠が設置されているから、開口部の内面が外部に露出して壁の厚みが外部から見える深見込みの構成とすることができ、重厚感が強調された意匠性の高い嵌め殺し窓を提供できる。また、上枠及び左右縦枠において、ガラスを固定するために枠内方向に突出したガラス支持部の内縁と開口部の外壁側の端縁とが見込方向に重なる位置に配置されている。このため、屋外から見たときにガラス支持部が壁体に埋もれるように配置されることとなり、枠材が極力露出せず、嵌め殺し窓の意匠性を高めることができる。
【0017】
また、請求項2に記載の発明は上記の通りであり、押縁部材の露出面が傾斜しているため、屋内から見たときに押縁部材の出っ張りがなく、押縁部材及び枠を目立たなくすることができ、嵌め殺し窓の意匠性を高めることができる。
【0018】
また、請求項3に記載の発明は上記の通りであり、前記上枠及び前記左右縦枠は、前記ガラス支持部の端部から屋外方向に延設された延設部を有するため、この延設部で壁体の開口部の内周を覆うことができる。このようにすれば、壁体の壁圧を厚くして深見込みとした場合でも、コーナーサイディング材などの特別なサイディング材を使用せずに一般的なサイディング材で壁体の開口部を形成することができる。すなわち、開口部のサイディング材の端部を延設部の側面に突き合わせれば、一般的なサイディング材であっても端部を位置決めして隠すことができ、納まり良く使用することができる。
【0019】
また、請求項4に記載の発明は上記の通りであり、下枠に屋外方向に延設された水切り部が一体形成されているため、別途水切り用の部材を用意する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態を説明する図であって、(a)嵌め殺し窓の外観図(b)嵌め殺し窓の内観図である。
【図2】第1の実施形態を説明する図であって、嵌め殺し窓の縦断面図である。
【図3】第1の実施形態を説明する図であって、図1の上枠付近を拡大した部分拡大断面図である。
【図4】第1の実施形態を説明する図であって、嵌め殺し窓の横断面図である。
【図5】第1の実施形態を説明する図であって、図3の左枠付近を拡大した部分拡大断面図である。
【図6】第2の実施形態を説明する図であって、(a)嵌め殺し窓の外観図(b)嵌め殺し窓の内観図である。
【図7】第2の実施形態を説明する図であって、嵌め殺し窓の縦断面図である。
【図8】第2の実施形態を説明する図であって、図5の上枠付近を拡大した部分拡大断面図である。
【図9】第2の実施形態を説明する図であって、嵌め殺し窓の横断面図である。
【図10】第2の実施形態を説明する図であって、図7の左枠付近を拡大した部分拡大断面図である。
【図11】第1の実施形態及び第2の実施形態の変形例を説明する図であって、嵌め殺し窓の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、説明中「左」は屋内側から窓を見たときの左方向を意味し、同様に、「右」は屋内側から窓を見たときの右方向を意味するものとする。
【0022】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について、図1〜5を参照しながら説明する。
【0023】
本実施例に係る嵌め殺し窓10は、図1〜5に示すように、住宅等の建物の壁体に形成した開口部15の奥に上枠21と下枠22と左縦枠24と右縦枠25とで枠組みした窓枠を設置し、この窓枠内にガラス26を納めて形成されている。
【0024】
上記した窓枠を構成する上枠21、下枠22、左縦枠24及び右縦枠25は、アルミの押し出し型材にて成型された金属枠であり、図2及び図4に示すように、外壁11の表面から奥まった位置に配置されて深見込みとなっている。
【0025】
下枠22には、図2に示すように、ガラス26の下端部を飲み込む飲込み部22aが形成されている。この飲込み部22aの下部にはセッティングブロック33が配置されている。このセッティングブロック33の上には、ガラス26の下端部が載置され、このガラス26の下端部を、飲込み部22aの両側面が緩衝部材29を介して支持するようになっている。
【0026】
なお、この下枠22には、屋外方向に延設された水切り部22bが一体形成されている。このため、水切り部を形成するために別部材の捨て枠等を用いる必要がなく、すっきりと意匠性の良い深見込みの窓枠を構成できるようなっている。
【0027】
上枠21は、ガラス26の上端を挟持するためのものであり、図3に示すように、ガラス26の上端に相対するように枠内方向(すなわち下方向)に突出したガラス支持部21aが形成されている。この上枠21にガラス26を固定する際には、ガラス支持部21aの内側に緩衝部材29を取り付け、この緩衝部材29を介してガラス支持部21aでガラス26の上端の屋外側面を支持する。そして、屋内側から上枠押縁部材27を嵌め込む。すなわち、上枠押縁部材27の裏面側を上枠21の押縁係合部21cに係合させることで、ガラス26の屋内側に上枠押縁部材27を取り付ける。これにより、この上枠押縁部材27が緩衝部材29を介して屋内側からガラス26をガラス支持部21aの方向へと押圧し、ガラス26は、上枠押縁部材27とガラス支持部21aとで挟み込まれて固定される。
【0028】
このとき、上枠押縁部材27は、露出面27cが水平となるように上枠21に固定され、この露出面27cが屋内側の額縁部材31及びアングル材30と連続するようになっている。このため、屋内側から見たときに上枠21及び上枠押縁部材27が目立たず、すっきりとした外観を呈するように形成されている。なお、この露出面27cは、屋外側から見たときには、壁体の開口部15の上面と面一となるようになっており、このときにも外観上意識されないような造りとなっている。
【0029】
左縦枠24は、ガラス26の左端を挟持するためのものであり、図5に示すように、ガラス26の左端に相対するように枠内方向(すなわち右方向)に突出したガラス支持部24aが形成されている。この左縦枠24にガラス26を固定する際には、ガラス支持部24aに緩衝部材29を取り付け、この緩衝部材29を介してガラス支持部24aでガラス26の左端の屋外側面を支持する。そして、屋内側から縦枠押縁部材28を嵌め込む。すなわち、縦枠押縁部材28の屋内側の端縁付近に形成された係止端部28aを左縦枠24の押縁係合部24cに係合させ、縦枠押縁部材28の裏面側を左縦枠24に固定して、ガラス26の屋内側に縦枠押縁部材28を取り付ける。このとき、縦枠押縁部材28の屋外側の端縁付近に形成された支持端部28bには緩衝部材29を取り付けており、この緩衝部材29がガラス26に当接するようになっている。これにより、この縦枠押縁部材28が緩衝部材29を介して屋内側からガラス26をガラス支持部24aの方向へと押圧し、ガラス26は、縦枠押縁部材28とガラス支持部24aとで挟み込まれて固定される。
【0030】
このとき、縦枠押縁部材28は、露出面28cが斜めとなるように左縦枠24に固定される。くわしくは、図5に示すように、左縦枠24に取り付けられる縦枠押縁部材28は、一端が左縦枠24に係止される係止端部28aとなっており、他端がガラス26の表面を支持する支持端部28bとなっている。係止端部28aは屋内側の額縁部材31及びアングル材30と連続するように配置されており、前記した露出面28cは、この係止端部28aから支持端部28bの方向に行くに従って枠内方向(右方向)に傾斜するようになっている。言い換えると、前記した露出面28cは、屋内側から屋外側に行くに従って枠内方向へ狭まるように傾斜している。このように縦枠押縁部材28の露出面28cに凹凸ができないように露出面28cが傾斜しているため、左縦枠24及び縦枠押縁部材28が視覚的に目立たないように形成されている。
【0031】
ところで、本実施形態に係る外壁11は、図2及び図4に示すように、下地材16の外側にサイディング材12が貼設されて形成されており、表面に嵌め殺し窓用の開口部15を有するものである。この開口部15は、上部のコーナーサイディング材13と、左右のコーナーサイディング材13と、下部の水切り部22bと、で区画されて形成されている。
【0032】
すなわち、この開口部15の下部においては、図2に示すように、下枠22の水切り部22bが開口部15の外壁面11aの縁部まで延出しており、この水切り部22bが開口部15の下方内側を覆っている。この水切り22bの先端は、図2に示すように、外壁面11aを超えて延出しており、その先端は下方に折れ曲がっている。
【0033】
この水切り部22bの先端部には、角を覆うように水切りキャップ36が装着されており、安全性を高めるようになっている。
【0034】
なお、この水切り部22bの下部においてはサイディング材12が外壁11を形成しており、このサイディング材12の端部が下枠22の水切り部22bの下面側に臨むように配置されている。そして、このサイディング材12の端部と下枠22との間には、コーキング材14が充填され、両者の間の間隙が埋められている。
【0035】
一方、開口部15の上部においては、図3に示すように、屋内側に直角に屈折形成されたコーナーサイディング材13が配置されている。このコーナーサイディング材13は、屋内側に折り込まれて開口部15の内壁を構成する内壁部13aを有しており、この内壁部13aの開放端部が、上枠21の屋外側面に臨むように配置されている。そして、この内壁部13aの端部と上枠21との間には、コーキング材14が充填されて間隙が埋められている。なお、この上枠21との間のコーキング材14は、後述する左右縦枠24、25との間のコーキング材14と連続しており、すなわち、上枠21と左右縦枠24、25とに沿って連続するようにコーキング材14が充填されている。
【0036】
このとき、この上枠21においては、図3に示すように、ガラス支持部21aの内縁21bと、開口部15の外壁11側の端縁15a(開口部15と外壁面11aとで形成される角部の内縁)とが、見込方向に重なる位置に配置されている。言い換えると、上枠21のガラス支持部21aは、コーナーサイディング材13で区画される開口15の内壁に対して略面一となるように、枠内方向(下方向)に突出して形成されている。このため、屋外から見たときにガラス支持部21aが壁体に埋もれるように配置されることとなっており、上枠21が露わとならないように形成されている。
【0037】
また、開口部15の左部においても、図5に示すように、屋内側に直角に屈折形成されたコーナーサイディング材13が配置されている。このコーナーサイディング材13は、屋内側に折り込まれて開口部15の内壁を構成する内壁部13aを有しており、この内壁部13aの開放端部が、左縦枠24の屋外側面に臨むように配置されている。そして、この内壁部13aの端部と左縦枠24との間には、コーキング材14が充填されて間隙が埋められている。
【0038】
このとき、この左縦枠24においては、図5に示すように、ガラス支持部24aの内縁24bと、開口部15の外壁11側の端縁15aとが、見込方向に重なる位置に配置されている。言い換えると、左縦枠24のガラス支持部24aは、コーナーサイディング材13で区画される開口15の内壁に対して面一となるように、枠内方向(右方向)に突出して形成されている。このため、屋外から見たときにガラス支持部24aが壁体に埋もれるように配置されることとなっており、左縦枠24が露わとならないように形成されている。
【0039】
なお、上記説明において、一部左縦枠24についてのみ説明し、右縦枠25についての説明は割愛した。すなわち、図4に示すように、左縦枠24と右縦枠25とは左右対称であるので、左縦枠24についての説明の左右を読み替えれば右縦枠25の説明となるため、重複する記載を省略した。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば、壁体に形成した開口部15の奥に窓枠が設置され、開口部15の内面が外部に露出して壁体の厚みが外部から見える深見込みの構成であるから、重厚感が強調された意匠性の高い嵌め殺し窓10となっている。しかも、屋外から見たときにガラス支持部21a、24aが壁体に埋もれるように配置されており、枠材が極力露出しないため、すっきりとした意匠性の高い嵌め殺し窓10となっている。
【0041】
すなわち、図1(a)に示すように、嵌め殺し窓10を室外側から見ると、下枠22のみが見えており、上枠21や左右縦枠24、25が見えないため、すっきりとした意匠性の高い嵌め殺し窓10となっている。
【0042】
また、縦枠押縁部材28の露出面28cが傾斜しているため、屋内から見たときにも縦枠押縁部材28の出っ張りがなく、縦枠押縁部材28及び左右縦枠24、25を目立たなくすることができる。
【0043】
すなわち、図1(b)に示すように、嵌め殺し窓10を室内側から見ると、上下枠21、22や左右縦枠24、25が内壁34の裏側に配置されて見えない構造となっている。また、縦枠押縁部材28は露出しているものの、凹凸がないために目立たないようになっている。なお、本実施形態においては額縁部材31で室内側の開口部を覆っているが、額縁部材31を設けずにクロス材を貼り付けるのみとしてもよい。
【0044】
なお、上記説明においてはコーナーサイディング材13を使用したが、コーナーサイディング材13の代わりに一般的なサイディング材12を使用し、サイディング材12を組み合わせてコーナーを形成するようにしてもよい。
【0045】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について、図6〜10を参照しながら説明する。
【0046】
なお、本実施形態の基本的構成は第1の実施形態と同様であるので、以下の説明においては、重複する説明を省略し、本実施形態の特徴点のみ説明する。
【0047】
ここで、本実施形態の特徴点は、第1の実施形態の上枠21に代えて、ガラス支持部21aの端部から屋外方向に延設部21dを延設させた上枠21を使用し、第1の実施形態の左縦枠24に代えて、ガラス支持部24aの端部から屋外方向に延設部24dを延設させた左縦枠24を使用し、第1の実施形態の右縦枠25に代えて、ガラス支持部25aの端部から屋外方向に延設部25dを延設させた右縦枠25を使用した点にある。
【0048】
すなわち、図7及び図8に示すように、上枠21のガラス支持部21aの端部からは、屋外方向に延設部21dが開口部15の縁部まで水平に延設されており、この延設部21dが窓開口の上方内側を覆うようになっている。この延設部21dの上方には、外壁11を形成するサイディング材12が配置されており、このサイディング材12の端部が延設部21dの上面側に臨んでいる。そして、このサイディング材12の端部と上枠21との間には、コーキング材14が充填されて間隙が埋められている。なお、この上枠21との間のコーキング材14は、図6に示すように、後述する左右縦枠24、25との間のコーキング材14と連続しており、更に、左右縦枠24、25との間のコーキング材14は下枠22との間のコーキング材14と連続している。このため、上枠21と左右縦枠24、25と下枠22とに沿って連続するようにコーキング材14が充填されている。
【0049】
また、図9及び図10に示すように、左縦枠24のガラス支持部24aの端部からは、屋外方向に延設部24dが延設されている。この延設部24dは、地面及び外壁面11aに対して垂直な方向に開口部15の外壁面11aにおける縁部まで延設されており、この延設部24dが窓開口の左内側を覆うようになっている。この延設部24dの左方には、外壁11を形成するサイディング材12が配置されており、このサイディング材12の端部が延設部24dの左面側に臨んでいる。そして、このサイディング材12の端部と左縦枠24との間には、コーキング材14が充填されて間隙が埋められている。
【0050】
また、右縦枠25についても、図9に示すように、左縦枠24と左右対称となっているので、左右を読み替える点を除き左縦枠24と同様の構成となっている。
【0051】
なお、上記した上枠21の延設部21dと、左縦枠24の延設部24dと、右縦枠25の延設部25dと、は、それぞれ同じ見込幅で突出しており、それぞれの延設部21d、24d、25dが連続するように端部を当接して配置されている。このため、上左右の3辺において延設部21d、24d、25dが均一に突出しているので、見栄えが良く、また強度的にも優れたものとなっている。
【0052】
以上のように、本実施形態によれば、ガラス支持部21a、24a、25aの端部から水平または垂直に延設された延設部21d、24d、25dで開口部15の外壁11側の端縁15aが形成されるため、ガラス支持部21a、24a、25aの内縁21b、24b、25b(ガラス支持部21a、24a、25aの端縁)と、開口部15の外壁面11aにおける内縁(延設部21d、24d、25dの端縁)とが、見込方向に重なる位置に配置されることとなる。このため、屋外から見たときにガラス支持部21a、24a、25aが見えないようになっており、枠材が極力露出せず、意匠性の高い嵌め殺し窓10となっている。
【0053】
すなわち、図6(a)に示すように、嵌め殺し窓10を室外側から見ると、下枠22のみが見えており、上枠21や左右縦枠24、25が見えないため、すっきりとした意匠性の高い嵌め殺し窓10となっている。
【0054】
また、第1の実施例と同様に、嵌め殺し窓10を室内側から見たときにも、縦枠押縁部材28の露出面28cが傾斜しているため、縦枠押縁部材28の出っ張りがなく、縦枠押縁部材28及び左右縦枠24、25を目立たなくすることができる。
【0055】
すなわち、図1(b)に示すように、嵌め殺し窓10を室内側から見ると、上下枠21、22や左右縦枠24、25が内壁34の裏側に配置されて見えない構造となっている。また、縦枠押縁部材28は露出しているものの、凹凸がないために目立たないようになっている。なお、本実施形態においては額縁部材31で室内側の開口部を覆っているが、額縁部材31を設けずにクロス材を貼り付けるのみとしてもよい。
【0056】
しかも、本実施形態によれば、上部及び左右において、延設部21d、24d、25dが窓開口の内側を覆うため、壁体の壁圧を厚くして深見込みとした場合でも、コーナーサイディング材などの特別なサイディング材を使用せずに一般的なサイディング材12で壁体の開口部15を形成することができる。すなわち、開口部15のサイディング材12の端部を延設部21d、24d、25dの側面に突き合わせることで、サイディング材12の端部をキャップし、開口部15を形成することができる。このため、コーナーサイディング材を使用せず、低コストで統一感のある壁体を形成できる。
【0057】
(変形例)
上記した第1の実施形態及び第2の実施形態に係る下枠22に代えて、下記のような下枠22を採用してもよい。すなわち、図11に示すように、第1の実施形態又は第2の実施形態の下枠22と比較して、水切り部22bを上方に形成した下枠22を採用してもよい。
【0058】
この下枠22は、図11に示すように、水切り部22bを、ガラス26の下端部を飲み込む飲込み部22aの下面と連続するように、この飲込み部22aの下面と略同じ高さに設けている。このように形成すれば、下枠22の下部が壁体に覆われるようになっており、屋外側から見たときに下枠22の露出を少なくすることができる。このため、枠材を極力露出しないようにすることができ、意匠性の高い嵌め殺し窓10とすることができる。
【符号の説明】
【0059】
10 嵌め殺し窓
11 外壁
11a 外壁面
12 サイディング材
13 コーナーサイディング材
13a 内壁部
14 コーキング材
15 開口部
15a 端縁
16 下地材
21 上枠
21a ガラス支持部
21b 内縁
21c 押縁係合部
21d 延設部
22 下枠
22a 飲込み部
22b 水切り部
23 カバー材
24 左縦枠
24a ガラス支持部
24b 内縁
24c 押縁係合部
24d 延設部
25 右縦枠
25a ガラス支持部
25b 内縁
25c 押縁係合部
25d 延設部
26 ガラス
27 上枠押縁部材
27c 露出面
28 縦枠押縁部材
28a 係止端部
28b 支持端部
28c 露出面
29 緩衝部材
30 アングル材
31 額縁部材
33 セッティングブロック
34 内壁
36 水切りキャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の壁体に形成した開口部に上枠と下枠と左右縦枠とで枠組みした窓枠を設置し、この窓枠内にガラスを納めた嵌め殺し窓において、
前記上枠及び前記左右縦枠には、枠内方向に突出したガラス支持部が形成されており、
前記ガラスは、屋内側から押縁部材で押されることにより、この押縁部材と前記ガラス支持部とで挟まれて前記上枠及び前記左右縦枠に固定され、
前記上枠及び前記左右縦枠において、前記ガラス支持部の内縁と、前記開口部の外壁側の端縁とが、見込方向に重なる位置に配置されていることを特徴とする、嵌め殺し窓。
【請求項2】
前記左右縦枠に取り付けられる前記押縁部材は、一端が室内壁と連続するように係止されるとともに、他端が前記ガラスの表面を支持しており、
更に、前記押縁部材の露出面は、一端側から他端側に行くに従って枠内方向に傾斜していることを特徴とする、請求項1記載の嵌め殺し窓。
【請求項3】
前記上枠及び前記左右縦枠は、前記ガラス支持部の端部から屋外方向に延設された延設部を有することを特徴とする、請求項1又は2記載の嵌め殺し窓。
【請求項4】
前記下枠には、屋外方向に延設された水切り部が一体形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の嵌め殺し窓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−52341(P2012−52341A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195795(P2010−195795)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】