説明

嵌合具および嵌合具付き袋体

【課題】本発明は、袋体に形成した開口を簡便に繰り返し開閉できる嵌合具、および該嵌合具を取り付けた嵌合具付き袋体の提供を目的とする。
【解決手段】一対の帯状の第1の基材11と第2の基材12のそれぞれに、雄側嵌合部13と雌側嵌合部14がそれぞれ設けられ、かつ第1の基材11の一方の側端11bと雄側嵌合部13の間の対向面11aに第1の突条部15、第2の基材12の一方の側端12bと雌側嵌合部14の間の対向面12aに第2の突条部16が設けられ、第1の突条部15と第2の突条部16の断面形状が、少なくとも雄側嵌合部13側と雌側嵌合部14側が傾斜するように、基材と連結している側が窄んだ形状であり、雄側嵌合部13と雌側嵌合部14を嵌合した際に第1の突条部15と第2の突条部16が第1の基材11と第2の基材12を押し広げる嵌合具10。また、嵌合具10を備えた嵌合具付き袋体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嵌合具および嵌合具付き袋体に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、薬品および雑貨などの様々な分野においては、袋本体の開口近傍の内面に、開口を開閉自在に封じる嵌合具が取り付けられた嵌合具付き袋体が広く用いられている。例えば、一対の帯状の基材に、突条の雄側嵌合部および該雄側嵌合部に着脱自在に嵌合する雌側嵌合部が、それら基材の長手方向に沿ってそれぞれ設けられた嵌合具を備えた嵌合具付き袋体が知られている。該嵌合具付き袋体では、嵌合具の雄側嵌合部と雌側嵌合部とを嵌合することにより、袋体に形成した開口を閉じることができる。また、嵌合具が取り付けられた袋本体の各々の開口端をそれぞれ把持し、それらを離間する方向に引っ張って雄側嵌合部を雌側嵌合部から脱離させることで、袋体を再び開封することができる。
【0003】
しかし、このような嵌合具付き袋体は、形成した開口を嵌合具で閉じた状態において、袋本体の各々の開口端のフィルム材同士が密着することで、それら開口端を把持し難くなる。そのため、袋体の開封が難しいことがある。そこで、一対の基材におけるそれぞれの対向面の嵌合部よりも開口側に、嵌合部の高さと同一か又はこれよりも高い対向するリブが設けられた嵌合具を有する嵌合具付き袋体が示されている(例えば、特許文献1)。
しかし、特許文献1のような嵌合具付き袋体でも易開封性は充分ではなく、さらに易開封性を向上させることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−119043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、袋体に取り付けた際、該袋体の開口端を容易に安定して把持でき、袋体に形成した開口をより簡便に繰り返し開閉できる嵌合具の提供を目的とする。また、本発明は、袋本体の内面に嵌合具を取り付けた嵌合具付き袋体であって、開口を嵌合具により閉じた状態でも袋本体の開口端を容易に安定して把持でき、より簡便に開封できる嵌合具付き袋体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
[1]一対の帯状の基材のそれぞれに、互いに着脱自在に嵌合する嵌合部が前記基材の長手方向に沿って設けられ、かつ、各々の基材における一方の側端と前記嵌合部の間の対向面に、それぞれ突条部が前記基材の長手方向に沿って設けられ、
各々の基材に設けられた前記突条部の断面形状が、少なくとも前記嵌合部側が傾斜するように、前記基材と連結している側が窄んだ形状であり、
各々の基材に設けられた前記突条部が、前記嵌合部を嵌合した際に互いに接触し、各々の基材の前記一方の側端側を押し広げるようになっている嵌合具。
[2]前記突条部の断面形状が円形状である[1]に記載の嵌合具。
[3]内容物を収容する袋本体と、該袋本体の内面に取り付けられた[1]または[2]に記載の嵌合具とを具備し、
前記嵌合具が、前記突条部が形成された側が前記袋本体の開口側となるように取り付けられている嵌合具付き袋体。
【発明の効果】
【0007】
本発明の嵌合具は、袋体に取り付けた際、該袋体の開口端を容易に安定して把持でき、袋体に形成した開口をより簡便に繰り返し開閉できる。
また、本発明の嵌合具付き袋体は、開口を嵌合具により閉じた状態でも袋本体の開口端を容易に安定して把持でき、より簡便に開封できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の嵌合具の一例を示した断面図である。
【図2】図1の嵌合具を嵌合した様子を示した断面図である。
【図3】本発明の嵌合具の他の例を示した断面図である。
【図4】本発明の嵌合具の他の例を示した断面図である。
【図5】本発明の嵌合具の他の例を示した断面図である。
【図6】本発明の嵌合具付き袋体の一例を示した正面図である。
【図7】図6の嵌合具付き袋体を直線I−I’で切断したときの断面図である。
【図8】図6の嵌合具付き袋体を切断補助線に沿って開封したときの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[嵌合具]
以下、本発明の嵌合具の一例を示して詳細に説明する。図1および図2は、本発明の嵌合具の一例である嵌合具10を幅方向に沿って示した断面図である。
嵌合具10は、図1に示すように、一対の帯状の第1の基材11および第2の基材12を有している。第1の基材11には、突条の雄側嵌合部13が第1の基材11の長手方向に沿って設けられており、一方の側端11b(以下、単に「側端11b」という。)と雄側嵌合部13の間の対向面11aには第1の突条部15が第1の基材11の長手方向に沿って設けられている。また、第2の基材12には、雄側嵌合部13に着脱自在に嵌合する雌側嵌合部14が第2の基材12の長手方向に沿って設けられており、一方の側端12b(以下、単に「側端12b」という。)の間の対向面12aには第2の突条部16が第2の基材12の長手方向に沿って設けられている。
嵌合具10は、第1の基材11の側端11bと第2の基材12の側端12bを袋体に形成する開口側とし、第1の基材11の他方の側端11c(以下、単に「側端11c」という。)と、第2の基材12の他方の側端12c(以下、単に「側端12c」という。)を袋体の内容物側とするように袋本体に取り付けられる。つまり、嵌合具10は、第1の突条部15と第2の突条部16が袋体の開口側となるように取り付けられる。
【0010】
第1の基材11は、特に限定されず、公知の嵌合具の基材に使用されるものが使用でき、積層フィルムからなる基材が好ましい。積層フィルムからなる第1の基材11としては、例えば、対向面11a側から、耐熱層とヒートシール層が積層されたフィルムが挙げられる。また、第1の基材11は、耐熱層とヒートシール層の間にバリア層を有していてもよい。
耐熱層の材質としては、二軸延伸ナイロン、二軸延伸ポリプロピレン等が挙げられる。
ヒートシール層の材質としては、直鎖状低密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー等が挙げられる。
バリア層の材質としては、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0011】
第1の基材11は、1種の樹脂からなっていてもよく、2種以上の樹脂を含む樹脂組成物からなっていてもよい。また、必要に応じて安定剤、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤などの公知の添加剤が添加されていてもよい。
また、第1の基材11は、積層フィルムからなる基材には限定されず、単層フィルムからなる基材であってもよい。
第2の基材12としては、第1の基材11と同じ基材が挙げられ、好ましい態様も同じである。
【0012】
雄側嵌合部13は、第1の基材11の対向面11aから立ち上がる幹部13aと、幹部13aよりも大きい断面略半円形状の頭部13bを有している。また、雌側嵌合部14は、第2の基材12の対向面12aから断面円弧状に立ち上がる第1のアーム部14aと第2のアーム部14bからなり、第1のアーム部14aと第2のアーム部14bによって凹部14cが形成されている。雄側嵌合部13と雌側嵌合部14は、雄側嵌合部13の頭部13bを雌側嵌合部14の凹部14cに嵌め込むことで、着脱自在に嵌合できるようになっている。
【0013】
雄側嵌合部13と雌側嵌合部14の断面形状は、それらを互いに着脱することで、袋体に形成した開口の開閉が繰り返し行えるものであればよく、任意の断面形状を採用できる。例えば、この例の雌側嵌合部14は、第1のアーム部14aと第2のアーム部14bが第2の基材12の対向面12aから直接立ち上がっている形態であるが、第2の基材の対向面から立ち上がる首部を有し、該首部から第1のアーム部と第2のアーム部が円弧状に立ち上がる形態の雌側嵌合部であってもよい。
雄側嵌合部13および雌側嵌合部14の材質としては、第1の基材11および第2の基材12と同じ材質が使用できる。
【0014】
第1の突条部15は、第1の基材11における側端11bと雄側嵌合部13の間の対向面11aに、第1の基材11の長手方向に沿って設けられている。また、第2の突条部16は、第2の基材12における側端12bと雌側嵌合部14の間の対向面12aに、第2の基材12の長手方向に沿って設けられている。
第1の突条部15と第2の突条部16は、図2に示すように、雄側嵌合部13と雌側嵌合部14を嵌合した際に互いに接触し、第1の基材11の側端11b側および第2の基材12の側端12b側を押し広げるようになっている。これにより、嵌合具10を取り付けた袋体において、第1の基材11の側端11b側および第2の基材12の側端12b側と共に袋体の開口側が押し広げられる。そのため、嵌合具10により開口を閉じた状態においても袋体の開口端が開いた状態となるので、嵌合具10によって閉じた袋体の開口を再度開封する際に開口端を容易に把持して簡便に開くことができる。
【0015】
第1の突条部15の断面形状は、少なくとも雄側嵌合部13側が傾斜するように、第1の基材11の対向面11aと連結している側が窄んだ形状であり、この例では円形状である。これにより、嵌合具10によって閉じた袋体の開口を再度開封する場合において、指が第1の突条部15と第1の基材11の隙間部分にしっかりと引っ掛かり、該袋体の開口端と共に嵌合具10の第1の基材11の側端11b側を容易に安定して把持できるので、雄側嵌合部13を雌側嵌合部14からより簡便に脱離させることができる。
第2の突条部16の断面形状は、少なくとも雌側嵌合部14側が傾斜するように、第2の基材12の対向面12aと連結している側が窄んだ形状であり、第1の突条部15と同様にこの例では円形状である。これにより、嵌合具10によって閉じた袋体の開口を再度開封する場合において、指が第2の突条部16と第2の基材12の隙間部分にしっかりと引っ掛かり、該袋体の開口端と共に嵌合具10の第2の基材12の側端12b側を容易に安定して把持できるので、雄側嵌合部13を雌側嵌合部14からより簡便に脱離させることができる。
なお、本発明の嵌合具における突条部の断面形状とは、嵌合具を幅方向に沿って切断したときの断面形状である。
【0016】
第1の突条部15と第2の突条部16の高さは、雄側嵌合部13と雌側嵌合部14を嵌合した際に第1の突条部15と第2の突条部16が接触して、第1の基材11の側端11b側と第2の基材12の側端12b側を押し広げられる高さであればよい。
第1の突条部15は、第1の基材11の長手方向に沿って連続的に設けられていても、第1の基材11の長手方向に沿って断続的に破線状に設けられていてもよく、該袋体の開口時、指にかかりやすく、開口性に優れる点から、第1の基材11の長手方向に沿って連続的に設けられていることが好ましい。第2の突条部16も同様に、第2の基材12の長手方向に沿って連続的に設けられていても、第2の基材12の長手方向に沿って断続的に破線状に設けられていてもよく、該袋体の開口時、指にかかりやすく、開口性に優れる点から、第2の基材12の長手方向に沿って連続的に設けられていることが好ましい。
【0017】
第1の突条部15と第2の突条部16の材質としては、第1の基材11および第2の基材12と同じ材質が使用できる。
【0018】
以上説明した嵌合具10は、袋体に取り付けた際に、第1の突条部15と第2の突条部16によって、第1の基材11の側端11b側および第2の基材12の側端12b側と共に袋体の開口側が押し広げられるので、嵌合具10によって開口を閉じている状態でも袋体の開口端を把持しやすい。また、第1の突条部15と第2の突条部16の断面形状は、少なくとも雄側嵌合部13側および雌側嵌合部14側が傾斜するように、第1の基材11の対向面11aおよび第2の基材12の対向面12aと連結している側が窄んだ形状であるので、指が第1の突条部15と第1の基材11の隙間部分、および第2の突条部16と第2の基材12の隙間部分にしっかりと引っ掛かる。そのため、嵌合具10により閉じた開口を簡便に開くことができる。
【0019】
なお、本発明の嵌合具は、前記嵌合具10には限定されない。例えば、第1の突条部15と第2の突条部16の断面形状は円形状であったが、少なくとも雄側嵌合部13側および雌側嵌合部14側が傾斜するように、第1の基材11の対向面11aおよび第2の基材12の対向面12aに連結している側が窄んだ形状であれば円形状には限定されない。
具体的には、例えば、図3に例示した嵌合具10Aであってもよい。嵌合具10Aにおいて、嵌合具10と同じ部分については同じ符号を付して説明を省略する。嵌合具10Aは、嵌合具10における第1の突条部15と第2の突条部16の代わりに、断面形状が異なる第1の突条部15Aと第2の突条部16Aが設けられている以外は、嵌合具10と同じである。第1の突条部15Aの断面形状は、円形状で、かつ第1の基材11の側端11c側に切り欠き部分15aが形成された形状である。同様に、第2の突条部16Aの断面形状は、円形状で、かつ第2の基材12の側端12c側に切り欠き部分16aが形成された形状である。
【0020】
嵌合具10Aも嵌合具10と同様に、第1の突条部15Aと第2の突条部16Aによって、第1の基材11の側端11b側および第2の基材12の側端12b側と共に袋体の開口側が押し広げられるので、嵌合具10Aによって開口を閉じている状態でも袋体の開口端を把持しやすい。また、第1の突条部15Aと第2の突条部16Aには切り欠き部分15a、16aが形成されているので、第1の突条部15Aと第1の基材11の隙間部分、および第2の突条部16Aと第2の基材12の隙間部分に加えて、切り欠き部分15a、16aにも指を引っ掛けられる。そのため、嵌合具10における第1の突条部15および第2の突条部16に比べて、袋体の開口端と共に第1の基材11の側端11b側と第2の基材12の側端12b側をよりしっかりと把持しやすい。
【0021】
また、図4に例示した嵌合具10Bであってもよい。嵌合具10Bにおいて、嵌合具10と同じ部分については同じ符号を付して説明を省略する。嵌合具10Bは、嵌合具10における第1の突条部15と第2の突条部16の代わりに、断面形状が異なる第1の突条部15Bと第2の突条部16Bが設けられている以外は、嵌合具10と同じである。第1の突条部15Bの断面形状は、少なくとも雄側嵌合部13側が傾斜するように、第1の基材11の対向面11aと連結している側が窄んだ台形状である。同様に、第2の突条部16Bの断面形状は、少なくとも雌側嵌合部14側が傾斜するように、第2の基材12の対向面12aと連結している側が窄んだ台形状である。
【0022】
嵌合具10Bも嵌合具10と同様に、第1の突条部15Bと第2の突条部16Bによって、第1の基材11の側端11b側および第2の基材12の側端12b側と共に袋体の開口側が押し広げられるので、嵌合具10Bによって開口を閉じている状態でも袋体の開口端を把持しやすい。また、嵌合具10Bは、第1の突条部15Bと第1の基材11の隙間部分、および第2の突条部16と第2の基材12の隙間部分に指が引っ掛かりやすい。
【0023】
本発明の嵌合具における突条部の断面形状としては、開口側から指を差し入れやすい点から、嵌合具10Bのような台形状よりも嵌合具10Aのような円形状の方が好ましい。
また、本発明の嵌合具における突条部の断面形状は、突条部における嵌合部の反対側が傾斜するように窄む形状には限定されない。例えば、突条部の断面形状は、該突条部における嵌合部側と反対側の面が基材に対して垂直に立ち上がっており、かつ該突条部の嵌合部側の面が傾斜するように、基材と連結している側が窄んだ形状であってもよい。本発明の嵌合具における突条部の断面形状としては、嵌合具10、10A、10Bのように、突条部における嵌合部側とその反対側の両方が傾斜するように窄む形状が好ましい。このように突条部の両側が傾斜するように窄んでいることで、突条部と基材の連結部分がより小さくなるので、柔軟性が向上して袋体の開口側がより開き易くなり、開口端をより把持しやすくなる。
【0024】
また、嵌合具10は、第1の基材11と第2の基材12にそれぞれ1つずつ、一対の第1の突条部15と第2の突条部16が設けられていたが、第1の基材と第2の基材に設けられる突条部は1つには限定されない。例えば、第1の基材と第2の基材のそれぞれに、2対以上の突条部が設けられていてもよい。
【0025】
また、本発明の嵌合具は、前記第1の突条部15と第2の突条部16のような、雄側嵌合部と雌側嵌合部を嵌合した際に接触して互いの基材を押し広げる突条部に加えて、雄側嵌合部と雌側嵌合部を嵌合した状態でも接触しない他の突条部を有していてもよい。
具体的には、例えば、図5に例示した嵌合具10Cであってもよい。嵌合具10Cにおいて、嵌合具10と同じ部分については同じ符号を付して説明を省略する。嵌合具10Cは、第1の基材11における側端11bと雄側嵌合部13の間の対向面11aに、第1の突条部15に加えて他の突条部17、17が設けられ、第2の基材12における側端12bと雌側嵌合部14の間の対向面12aに、第2の突条部16に加えて他の突条部18、18が設けられている以外は、嵌合具10と同じである。第1の基材11に設けられた他の突条部17と第2の基材12に設けられた他の突条部18は、雄側嵌合部13と雌側嵌合部14を嵌合した状態でも互いに接触しない。これら他の突条部17、18は、袋体の開口端と共に第1の基材11の側端11b側と第2の基材12の側端12bを把持する際に、指をより滑り難くする役割を果たす。
このような他の突条部を設ける場合、それぞれの基材に設ける他の突条部の数は一致していなくてもよい。また、それぞれの基材に設けられた他の突条部同士の幅方向の位置がずれていてもよい。
【0026】
また、本発明の嵌合具における嵌合部は、前述のような雄側嵌合部と雌側嵌合部の組み合わせには限定されない。例えば、それぞれの基材に複数の雄側嵌合部が設けられ、それらを互いに嵌め込むことで、袋体の開口を開閉するものであってもよい。また、それぞれの基材に雌側嵌合部が設けられ、それら雌側嵌合部同士を互いに嵌め込むことで、袋体の開口を開閉するものであってもよい。
【0027】
[嵌合具付き袋体]
以下、本発明の嵌合具付き袋体の一例として、前記嵌合具10が取り付けられた嵌合具付き袋体1(以下、「袋体1」という。)について説明する。
本実施形態の袋体1は、図6および図7に示すように、内容物を収容する密封された状態の袋本体20と、袋本体20内の上部の内面に横方向に沿って取り付けられた嵌合具10とを有している。
袋本体20は、第1のフィルム材21と第2のフィルム材22が重ね合わされ、それらの周縁部23が全てヒートシールされることで形成されており、密封された状態になっている。また、袋本体20における嵌合具10よりも上部側には、横方向に沿って切断補助線24が設けられており、その端部にノッチ25が形成されている。つまり、袋体1は、ノッチ25から、切断補助線24に沿って袋本体20の第1のフィルム材21および第2のフィルム材22を切断して、上部を開封できるようになっている。開封後の袋体1は、嵌合具10の雄側嵌合部13と雌側嵌合部14を着脱することで、形成した開口を自在に開閉できる。
【0028】
袋本体20の形状は、本実施形態では矩形である。ただし、袋本体20の形状は矩形には限定されない。また、袋本体20の大きさも特に限定されず、袋本体20に収容する内容物によって適宜選定すればよい。
【0029】
袋本体20を形成する第1のフィルム材21と第2のフィルム材22は、ヒートシールにより嵌合具10を溶着できるものであればよく、内面側からシーラント層と基材層を少なくとも有する積層フィルムが好ましい。
基材層としては、二軸延伸ナイロン、二軸延伸ポリプロピレンなどが挙げられる。
シーラント層としては、直鎖状低密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマーなどが挙げられる。
また、前記積層フィルムには、バリア層などの機能層を設けてもよい。
また、第1のフィルム材21と第2のフィルム材22は、シーラント層のみからなる単層フィルムであってもよい。
【0030】
嵌合具10は、第1の基材11の側端11b側および第2の基材12の側端12b側を袋体1の上部側に向くようにし、第1の基材11の側端11c側および第2の基材12の側端12c側が内容物側となるように袋本体20の内面に取り付けられている。つまり、嵌合具10は、第1の突条部15と第2の突条部16が設けられた側が袋体1の開口側となるように取り付けられている。また、嵌合具10は、図7に示すように、嵌合具10の第1の基材11が袋本体20の第1のフィルム材21に溶着され、嵌合具10の第2の基材12が袋本体20の第2のフィルム材22に溶着されている。
【0031】
切断補助線24は、袋本体20を切断して開封するのを補助する線である。切断補助線24としては、例えば、袋本体20の第1のフィルム材21および第2のフィルム材22における切断補助線24の部分をそれ以外の部分に比べて薄肉化した弱化線、ミシン目からなる弱化線、列状に形成された細孔からなる弱化線が挙げられる。また、切断補助線24は、前記弱化線には限定されず、ハサミやカッター等で切断する位置を示す、印刷等で形成した線であってもよい。
切断補助線24は、本実施形態では袋本体20の幅方向に沿って形成されているが、この形態には限定されず、袋本体20の幅方向に対して傾斜して設けられていてもよい。
【0032】
ノッチ25の形状は、この例では三角形状であるが、特に限定されず、半円形状、直線状などであってもよい。
【0033】
袋体1は、ノッチ25から切断補助線24に沿って袋本体20の上部を切断して除去することで、図8に示すように、上部に開口26を形成して開封することができる。袋体1に形成した開口26は、嵌合具10の雄側嵌合部13と雌側嵌合部14を着脱することで繰り返し開閉できる。
袋体1においては、形成した開口26を嵌合具10によって閉じた際、嵌合具10の第1の突条部15と第2の突条部16によって第1の基材11の側端11b側と第2の基材12の側端12b側が押し広げられると共に、袋本体20の第1の開口端27と第2の開口端28も押し広げられる。そのため、嵌合具10によって開口26を閉じている状態においても、第1の開口端27と第2の開口端28を容易に把持できる。また、第1の突条部15と第2の突条部16の断面形状は、第1の基材11の対向面11aおよび第2の基材12の対向面12aと連結している側が窄んだ形状であるので、指がしっかりと引っ掛かる。そのため、嵌合具10により閉じた開口26を簡便に開くことができる。
袋体1は、嵌合具10を用いる以外は公知の製造方法で製造できる。
【0034】
以上説明したように、本発明の嵌合具付き袋体は、開口を嵌合具により閉じた状態でも袋本体の開口端を容易にしっかりと把持でき、簡便に開封できる。
【0035】
なお、本発明の嵌合具付き袋体は、本発明の嵌合具を取り付けたものであればよく、前記袋体1には限定されない。例えば、嵌合具10A、10B、10Cのいずれかを取り付けた嵌合具付き袋体であってもよい。
また、嵌合具付き袋体の袋本体も特に限定されず、嵌合具付き袋体の袋本体として知られる様々な形態の袋本体を採用できる。例えば、袋体1は切断補助線24を利用して開封するまでは密封状態の袋体であったが、予め開口が形成された袋本体を有する嵌合具付き袋体であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 嵌合具付き袋体
10、10A〜10C 嵌合具
11 第1の基材
11a 対向面
11b 一方の側端
11c 他方の側端
12 第2の基材
12a 対向面
12b 一方の側端
12c 他方の側端
13 雄側嵌合部
14 雌側嵌合部
15、15A、15B 第1の突条部
16、16A、16B 第2の突条部
20 袋本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の帯状の基材のそれぞれに、互いに着脱自在に嵌合する嵌合部が前記基材の長手方向に沿って設けられ、かつ、各々の基材における一方の側端と前記嵌合部の間の対向面に、それぞれ突条部が前記基材の長手方向に沿って設けられ、
各々の基材に設けられた前記突条部の断面形状が、少なくとも前記嵌合部側が傾斜するように、前記基材と連結している側が窄んだ形状であり、
各々の基材に設けられた前記突条部が、前記嵌合部を嵌合した際に互いに接触し、各々の基材の前記一方の側端側を押し広げるようになっている嵌合具。
【請求項2】
前記突条部の断面形状が円形状である請求項1に記載の嵌合具。
【請求項3】
内容物を収容する袋本体と、該袋本体の内面に取り付けられた請求項1または2に記載の嵌合具とを具備し、
前記嵌合具が、前記突条部が形成された側が前記袋本体の開口側となるように取り付けられている嵌合具付き袋体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−218746(P2012−218746A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83614(P2011−83614)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000106726)シーアイ化成株式会社 (267)
【Fターム(参考)】