説明

嵌合式小型ドリル

【課題】製造材料を節約でき、良好な屑の排除効果と剛性を有する嵌合式小型ドリルを提供する。
【解決手段】シャンク10は、穿孔機械に挟まり、一端縁部から軸方向に沿って形成されている嵌合槽12を有する。ボディー20は、一端に嵌合槽12内に入り込んで緊密に固定されている嵌合部21を有し、他端に同じ角度で研磨されて形成されている三つの切削面を有する。隣り合う二つの切削面の間に稜線が形成され、それぞれの稜線の合流箇所に錐形尖端が形成され、それぞれの稜線の両側に刃部と溝が別々に形成されている。刃部により穿孔と切削を行い、溝により屑を排除するための空間を提供する。シャンク10とボディー20は、異なる外径材料を選んで作製することが可能であるため、大量の材料を浪費する事態が発生せず、製造材料を節約できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、小型ドリル、詳しく言えば、嵌合式小型ドリルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般のプリント回路板の穿孔作業を実施する場合、穿孔機械に挟んだ小型ドリルにより作業を進める。
プリント回路板上の開孔の直径が極めて小さいため、小型ドリルの切削部の外径を極めて細くしなければならない。また、小型ドリルは穿孔機械上に取り付けられるため、小型ドリルのシャンクの外径を穿孔機械に取り付け可能なサイズに作製しなければならない。一般の小型ドリルは、一体成形される。製造方法は、図1に示すように、所定の外径を有する金属円柱体1を用意し、切削加工機械により金属円柱体1の一側を少しずつ削り、比較的大きい外径を有するシャンク2を形成し、そののち、金属円柱体1の別の部位を大量に削り、比較的小さい外径を有する切削部3を形成し、続いて、シャンク2と切削部3との間を削り、外径がシャンク2と切削部3との間に位置する錐形連接部4を形成することである。
【0003】
しかし、シャンク2と切削部3の外径のサイズの差が非常に大きい。一般のシャンク2の外径は切削部3の外径より数倍も大きいため、一体成形方法によりシャンク2と切削部3を作製する場合、切削部3の部位を大量に削り、切削部を極めて細くする必要がある。従って、大量の材料を浪費するだけでなく、製造過程が複雑になり、手間がかかる。
また、周知の小型ドリルは、二つの刃部を採用する構造である。業者が絶えず改良を加えても、孔の位置がずれやすく、切削部が折れやすく、孔壁の品質が不良であるなどの欠点を確実に改善することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本考案の主な目的は、製造材料を節約可能である嵌合式小型ドリルを提供することである。
本考案のもう一つの目的は、孔の位置がずれやすく、切削部が折れやすく、孔壁の品質が不良であるなどの欠点を改善可能である嵌合式小型ドリルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するために、本考案による嵌合式小型ドリルは、シャンクとボディーとを含む。シャンクは穿孔機械に挟まり、かつシャンクの一端縁部から軸方向に沿って形成される嵌合槽を有する。ボディーは、一端に嵌合槽内に入り込んで緊密に固定される嵌合部を有し、他端に同じ角度で研磨されて形成される三つの切削面を有し、かつ隣り合う二つの切削面の間に稜線が形成され、それぞれの稜線の合流箇所に錐形尖端が形成され、また、それぞれの稜線の両側に刃部と溝が別々に形成されているため、刃部により穿孔と切削を行い、溝により屑を排除するための空間を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、実施例と図面に基づいて本考案の特徴と目的を説明する。まず、図面の説明は下記の通りである。
図2は、本考案の一実施例による嵌合式小型ドリルを示す分解斜視図である。
図3は、図2に示す実施例の組立後の状態を示す模式図である。
図4は、図2に示す実施例の尖端から見た状態を示す模式図である。
図5は、本考案の一実施例による嵌合式小型ドリルの切削部の側面図である。
【0007】
図2から図5に示すように、本考案の一実施例による嵌合式小型ドリル100は、シャンク10とボディー20とを含む。
シャンク10は、図2に示すように、所定の金属材質から構成される円柱体であり、シャンクは約2.5mmから4mmの幅と、穿孔機械に挟まるように固定される所定の外径を有する。また、シャンク10は、一端縁部に所定の斜度を呈する錐体部11が形成され、かつ錐体部11の表面から軸方向(即ち、シャンクの軸心)に沿って延伸され、陥凹している嵌合槽12が形成されている。嵌合槽12は、所定の幅と深さで軸方向に沿って陥凹している円槽である(嵌合槽の深さは約4mmから5mmである)。
【0008】
ボディー20は、図2に示すように、所定の金属材質から構成され、かつシャンク10の外径の数分の一となり、回路板上の穿孔作業に用いられる所定の外径を有する円柱体である。また、ボディー20は、一体に連接される直径の比較的大きい嵌合部21と直径の比較的小さい切削部22を有し、嵌合部21は平坦面と所定の外径を有する円柱体であり、嵌合部21の外径はややシャンク10の接合槽12の内径より大きく、嵌合部21の長さは約6.5mmから8mmで、幅は約0.4mmから1.4mmである。切削部22の長さは、約2.5mmから4.5mmで、幅は約0.1mmから0.3mmである。切削部22の自由端は同じ角度で研磨され、三つの切削面23が形成され、図4に示すように、隣り合う二つの切削面23の間に稜線24が形成され、それぞれの稜線24の合流箇所に錐形尖端25が形成され、また、それぞれの稜線24の両側に刃部26と溝27が別々に形成されているため、刃部26により穿孔と切削などの作業を行い、溝27により屑を排除するための空間を提供することが可能である。切削部22の切削面のらせん角度αは20度から45度であり、刃部の長さは切削部22の直径の0.2倍から0.3倍であり、稜線の長さは切削部22の直径の0.1倍から0.3倍であり、溝の幅は切削部22の直径の0.5倍から0.8倍であり、溝の背部の幅は切削部22の直径の0.1倍から0.3倍である。
【0009】
それぞれの刃部26の間は120度の角度を呈するように形成されるため、相互制御効果を有し、かつ比較的良い剛性を得ることが可能である。従って、穿孔作業を実施する場合、振動またはずれなどが発生しないだけでなく、穿孔作業後の円形度及び孔壁平面がよりいっそう良好になり、ボディーが断裂しにくい。また、本実施例は、屑を排除可能な空間を三つ有するため、排除量が大きく、排除速度が速い。また、三つの方位が異なる稜線は中心に錐形尖端を形成可能であるため、中心点に正確に合流し、芯部の頂点を形成し、正確な定位効果を得ることが可能となる。
【0010】
以上は、本考案の一実施例による嵌合式小型ドリル100の主なユニットについての説明である。続いて、組立方法と特徴について説明する。
まず、シャンク10を所定の温度まで予め加熱し、熱を通してシャンク10の接合槽12の内径を少々膨らませ、続いて、膨らんだ接合槽12の内にボディー20の接合部21を差し込み、その後、シャンク10を常温の状態に復元すれば、嵌合部21の外径より内径が小さい嵌合槽12により嵌合部21を緊密に挟んで固定し、図3に示すように、ボディー20とシャンク10とを同一軸心上に緊密に結合させることが可能である。
【0011】
本実施例のシャンク10とボディー20は、二つの単独のユニットから構成されるため、別々に製造する際に、対応可能な外径および材料を選んで作製することが可能である(即ち、シャンク10とボディー20に必要な工作条件がそれぞれ異なるため、異なる材料を選んで作製することが可能である)。これにより、大量の材料を浪費するという事態が発生せず、製造工程にかかる時間を減らすことが可能である。
上述をまとめてみると、本考案による嵌合式小型ドリルは、製造材料を削減し、良好な屑の排除効果と剛性を有することが可能なだけでなく、同時に正確な定位効果を兼ね備えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】周知の小型ドリルの切削および製造工程を示す模式図である。
【図2】本考案の一実施例による嵌合式小型ドリルを示す分解斜視図である。
【図3】本考案の一実施例による嵌合式小型ドリルの組立後の状態を示す模式図である。
【図4】本考案の一実施例による嵌合式小型ドリルの尖端から見た状態を示す模式図である。
【図5】本考案の一実施例による嵌合式小型ドリルの切削部を示す側面図である。
【符号の説明】
【0013】
1 金属円柱体、2 シャンク、3 切削部、4 錐形連接部、10 シャンク、11 錐体部、12 嵌合槽、20 ボディー、21 嵌合部、22 切削部、23 切削面、24 稜線、25 錐形尖端、26 刃部、27 溝、100 嵌合式小型ドリル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿孔機械に挟まり、一端縁部から軸方向に沿って形成されている嵌合槽を有するシャンクと、
一端に嵌合槽内に入り込んで緊密に固定されている嵌合部を有し、他端に同じ角度で研磨されて形成されている三つの切削面を有し、隣り合う二つの切削面の間に稜線が形成され、それぞれの稜線の合流箇所に錐形尖端が形成され、それぞれの稜線の両側に刃部と溝が別々に形成されているため、刃部により穿孔と切削を行い、溝により屑を排除するための空間を提供することが可能であるボディーと、
を備えることを特徴とする嵌合式小型ドリル。
【請求項2】
嵌合部の外径は、常温時、嵌合槽の内径よりやや大きく、組み立てる場合、嵌合槽を予め加熱して膨らませてから、嵌合部が嵌合槽内に差し込まれることを特徴とする請求項1に記載の嵌合式小型ドリル。
【請求項3】
ボディーは、一体に連接される直径の比較的大きい接合部と直径の比較的小さい切削部とを有し、接合部は平坦面と所定の外径を有する円柱体であり、切削部は三つの切削面を有することを特徴とする請求項1に記載の嵌合式小型ドリル。
【請求項4】
切削部の切削面のらせん角度αは、20度から45度であることを特徴とする請求項3に記載の嵌合式小型ドリル。
【請求項5】
刃部の長さは、切削部の直径の0.2倍から0.3倍であることを特徴とする請求項3に記載の嵌合式小型ドリル。
【請求項6】
溝の幅は、切削部の直径の0.5倍から0.8倍であることを特徴とする請求項3に記載の嵌合式小型ドリル。
【請求項7】
溝の背部の幅は、切削部の直径の0.1倍から0.3倍であることを特徴とする請求項3に記載の嵌合式小型ドリル。
【請求項8】
接合部の長さは、6.5mmから8mmであり、接合槽の深さは4mmから5mmであることを特徴とする請求項1に記載の嵌合式小型ドリル。
【請求項9】
シャンクとボディーは、異なる材料から別々に作製されていることを特徴とする請求項1に記載の嵌合式小型ドリル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−62323(P2008−62323A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−241230(P2006−241230)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(505054357)高僑自動化科技股▲分▼有限公司 (10)
【Fターム(参考)】