説明

嵌合装置

【課題】
2つの部材を嵌合する嵌合装置において、部材を傷つけることがない機構が簡単な小型で安価な高速かつ高品質の嵌合動作を実現する。
【解決手段】
嵌合時に位置調整手段によって、2つの部材が収納された2つの収納部が、それら2つの収納部にその芯方向が各々の部材の嵌合方向に揃えて各々設置された2つの軸芯の芯方向の交点を軸として相対的に回転して2つの軸芯の芯方向が一直線に揃えられて2つの部材が嵌合されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの部材を嵌合する嵌合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、2つの部材を嵌合する嵌合装置の例として、例えば特開2006−182427号があった。図6に示すように、容器ホルダー14と中栓ノッカー15と容器ガイド16とから構成される。中栓ノッカー15によって中栓17が容器の開口部19に打栓されるとき、容器ガイド16によって中栓17、容器の開口部19、及び中栓ノッカー15が保持されることによって中栓17が容器18の開口部19に嵌合されるものがあった。
【0003】
しかしながら、この2つの部材を嵌合する嵌合装置では、中栓17や容器の開口部19が容器ガイド16によって強く保持される必要があるため、中栓17や容器の開口部19を傷つける問題があった。また、中栓17が容器の開口部19に嵌合される前後で、中栓17や容器18の搬送を阻害しないように容器ガイド16を移動させる必要があるため、余分の動力が必要となるとともに嵌合動作を高速にできない問題があった。
【0004】
また2つの部材を嵌合する別の嵌合装置として、例えば特開平7−032228号があった。図7に示すように、第1の冶具ユニット20と第2の冶具ユニット21と位置決め手段22とリフト機構23によって水平方向へフローティング可能に持ち上げられる基台24とから構成される。第1の冶具ユニット20には第1の部材1が、第2の冶具ユニット21には第2の部材3が保持されており、第1の部材1と第2の部材3が嵌合されるとき、位置決め手段22によって第1の冶具ユニット20と第2の冶具ユニット21の位置が調整されると同時に、リフト機構23によって水平方向へフローティング可能な基台24が水平方向に微動しながら嵌合方向に上昇して嵌合されるものがあった。
【0005】
しかしながら、この2つの部材を嵌合する嵌合装置では、第1の部材1と第2の部材3のすり合わせの程度に従って基台24が水平方向に微動しながら嵌合されるため、2つの部材には嵌合方向以外に嵌合方向に垂直な方向に力が加わり、第1の部材1が第1の冶具ユニット20に保持されている箇所や第2の部材3が第2の冶具ユニット21に保持されている箇所を傷つける問題があった。また、嵌合を開始する前の第1の部材1と第2の部材3の位置合わせの精度が低い場合は、第1の部材1と第2の部材3のすり合わせすらできず嵌合動作を実現できない問題があった。さらに、基台24をリフト機構23によって水平方向へフローティング可能にするためにエアーを流し込む必要があり、余分の動力が必要となり、装置が複雑になる問題があった。
【0006】
また2つの部材を嵌合する別の嵌合装置として、例えば特許3271146号があった。図8に示すように、第1の部材1に第2の部材3を緩く挿入する遊挿手段25と第2の部材3の嵌合部と反対側の端部表面26に当接し軸芯から所定半径離れた位置を周方向に移動しつつ端部表面26を嵌合方向に押圧する押圧手段27を有する。まず遊挿手段25によって第2の部材3は第1の部材1に緩く挿入される。次に、押圧手段27の先端が第2の部材3の嵌合部と反対側の端部表面25を押圧しつつ軸芯から所定半径離れた位置を周方向に移動することによって、第2の部材3が首振運動を伴いながら微小回転し、第1の部材1と第2の部材3の位置合わせが行われながら嵌合されるものがあった。
【0007】
しかしながら、この2つの部材を嵌合する嵌合装置では、第2の部材3の嵌合部と反対側の端部表面25を不均衡に押圧するため、端部表面26を傷つける問題があった。また、第2の部材3が首振運動を伴いながら微小回転して嵌合されるため、嵌合部を傷つける問題があった。さらに、嵌合を開始する前の第1の部材1と第2の部材3の位置合わせの精度が低い場合は、遊挿手段25によって第1の部材1に第2の部材3を緩く挿入することすらできず嵌合動作を実現できない問題があった。さらに、嵌合される前後で、第1の部材1と第2の部材3の搬送を阻害しないように遊挿手段25を実現する機構を移動させる必要があるため、余分の動力が必要となるとともに嵌合動作を高速にできない問題があった。
【0008】
また2つの部材を嵌合する別の嵌合装置として、例えば特開平9−272025号があった。図9に示すように、嵌合部分の三次元位置を自動計測する手段28と嵌合する部材の位置を制御する位置決めアーム29を有する。2つの部材が嵌合されるとき、嵌合部分の三次元位置を自動計測する手段28によって計測した三次元位置データを基に、嵌合する部材が嵌合する部材の位置を制御する位置決めアーム29によって適切に移動されながら嵌合されるものがあった。
【0009】
しかしながら、この2つの部材を嵌合する嵌合装置では、嵌合部分の三次元位置を自動計測する手段28が複雑であるため、装置全体が複雑で高価になる問題があった。また、微小な位置の変化を計測してその結果を位置決めアーム29によって適切に嵌合する部材の位置を制御して嵌合する部材を移動する必要があるため、余分の動力が必要となるとともに制御に時間を要し嵌合動作を高速にできない問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−182427号
【0011】
【特許文献2】特開平7−032228号
【0012】
【特許文献3】特許3271146号
【0013】
【特許文献4】特開平9−272025号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
解決しようとする問題点は、2つの部材を嵌合する嵌合装置において、部材を傷つける点、機構が複雑な点、大型になる点、高価な点、高速にできない点、品質が低い点である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、2つの部材を嵌合する別の嵌合装置において、前記のような従来例における問題点を解消するために、嵌合時に位置調整手段によって、2つの部材が収納された2つの収納部が、それら2つの収納部にその芯方向が各々の部材の嵌合方向に揃うように各々設置された2つの軸芯の芯方向の交点を軸として相対的に回転して2つの軸芯の芯方向が一直線に揃えられて2つの部材が嵌合されることを特徴とする。
【0016】
本発明は、機能性を高めるため、第1の部材を収納する第1の収納部が第1の基軸を中心として回転可能な第1のドラムに設置され、第2の部材を収納する第2の収納部が第1の基軸を中心して回転可能なアームに設置される。また、第1の部材が第1のドラムに設置された複数の第1の収納部に収納されて第1のドラムの回転動作によって搬送され、第2の部材が第1の基軸に直交する第2の基軸を中心として回転可能な第2のドラムに設置された複数の第3の収納部に収納されて第2のドラムの回転動作によって搬送され、第2の部材が第3の収納部から順次第2の収納部に配送されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
以上述べたように、本発明に係る嵌合装置では、簡単な機構を有する位置調整手段によって2つの部材が接触する前に2つの部材を収納した収納部同士の位置合わせが自動的に行われるため、2つの部材の嵌合が始まるときには既に自動的に調芯されており、部材を傷つけることがなく機構が簡単で安価な高速かつ高品質の嵌合動作を実現できる。また、機能性を高めるため、第1の収納部が基軸を中心として回転可能なドラムに設置され第2の収納部がその基軸を中心して回転可能なアームに設置されることによって、位置調整手段による2つの部材の調芯動作が瞬時に実現でき、より機構が簡単で安価な高速かつ高品質の嵌合動作を実現できる。さらに、好ましい様態として、2つの部材を収納する収納部を互いに直交する基軸を中心として回転可能な2つのドラムに複数設置して搬送することにより、小さいスペースで搬送することが可能となり、小型の嵌合動作を実現できる。
【0018】
以上述べたように、本発明に係る嵌合装置では、部材を傷つけることがない機構が簡単な小型で安価な高速かつ高品質の嵌合装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は本発明の嵌合装置の実施例1を示す断面図である。(実施例1)
【図2】図2は本発明の嵌合装置の実施例1を示す図1と直交する断面図である。(実施例1)
【図3】図3は本発明の嵌合装置の実施例1の嵌合過程を示す断面図である。(実施例1)
【図4】図4は本発明の嵌合装置の実施例2を示す断面図である。(実施例2)
【図5】図5は本発明の嵌合装置の実施例3を示す斜視図である。(実施例3)
【図6】図6は従来の嵌合装置を示す断面図である。(従来例1)
【図7】図7は従来の別の嵌合装置を示す断面図である。(従来例2)
【図8】図8は従来のさらに別の嵌合装置を示す断面図である。(従来例3)
【図9】図9は従来のさらに別の嵌合装置を示す断面図である。(従来例4)
【発明を実施するための形態】
【0020】
2つの部材を嵌合する嵌合装置において、部材を傷つけることがなく機構が簡単な小型で安価な高速かつ高品質の嵌合動作を実現した。以下、本発明の実施例について、添付図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の第1の実施例に係る嵌合装置の実施例1を示す断面図である。図1に示すように、本発明の嵌合装置において、第1の部材1を収納する第1の収納部2と第2の部材3を収納する第2の収納部4と第1の収納部2にその芯方向が第1の部材1の嵌合方向に揃えて設置された第1の軸芯5と第2の収納部4にその芯方向が第2の部材3の嵌合方向に揃えて設置された第2の軸芯6と嵌合具7と第1の軸芯5の中心線上に設けられた基軸8と基軸8を支点として回転可能で第2の収納部4を支えるアーム9(図1では図示せず)とによって構成される。図2は本発明の嵌合装置の実施例1を示す図1と直交する断面図で、アーム9を図示した。図1に示すように、第2の部材3と第2の収納部4と第2の軸芯6と嵌合具7とアーム9とは基軸8を支点として回転する方向すなわち左右方向に移動可能であるように設定されている。また、アーム9は伸び縮み可能で、図1に示すように、第2の部材3と第2の収納部4と第2の軸芯6と嵌合具7は上下方向に移動可能であるように設定されている。さらに、第2の収納部4と第1の軸芯5と第2の軸芯6と嵌合具7とは上下方向に独立に移動可能であるように設定されている。第1の軸芯5と第2の軸芯6が向かい合う端は、図1に示すように一方が尖った形状に他方が凹んだ形状に設定されている。
【0022】
図1に示すように、第1の部材1と第2の部材3とが対抗する位置に搬送されたあと、アーム9が縮むことによって第2の部材3と第2の収納部4と第2の軸芯6と嵌合具7は下方向に移動して第2の部材3と第2の収納部4と第2の軸芯6と嵌合具7は第1の部材1と第1の収納部2と第1の軸芯5に接近する。図3に示すように、第1の部材1と第2の部材3とが嵌合方向に揃っていない場合、第1の軸芯5と第2の軸芯6の向かい合う端は一方が尖った形状で他方が凹んだ形状を有するため、第1の軸芯5の中心線上の最も凹んだ点に第2の軸芯6の中心線上の最も尖った点が一致するようにアーム9が基軸8を支点として回転して第2の部材3と第2の収納部4と第2の軸芯6が移動する。このようにして自動的に第1の軸芯5の中心線上と第2の軸芯6の中心線が一直線に重なって第1の部材1と第2の部材3の嵌合面が互いに水平方向に接して向き合う。このとき、第1の軸芯5と第2の軸芯6は独立に上下移動可能であるため各々の端を第1の部材1と第2の部材3の嵌合面まで引っ込めることができる。次に、嵌合具7が下ることによって第1の部材1が下り第2の部材3に重なって嵌合される。
【0023】
以上から、第1の部材1と第2の部材3を嵌合する動作において、第1の軸芯5と第2の軸芯6の向かい合う端の形状が所定の組み合わせになるように第2の部材3と第2の収納部4と第2の軸芯6と嵌合具7全体に対してアーム9による基軸8を支点とする回転運動による簡単な機械機構で自動的に位置調整が行われるため、2つの部材の嵌合が始まるときには既に自動的に調芯されていて以降の左右の調整が必要としないため、部材を傷つけることがなく機構が簡単で安価な高速かつ高品質の嵌合動作を実現できる。
【実施例2】
【0024】
図4は、本発明の第1の実施例に係る嵌合装置の実施例2を示す断面図である。図4に示すように、第1の軸芯5と第2の軸芯6とは第1の部材1と第2の部材3を嵌合する中心に設置する必要がなく、この場合も図1に示した実施例1と同じように自動的に第1の軸芯5の中心線上と第2の軸芯6の中心線が一直線に重なって第1の部材1と第2の部材3の嵌合面が互いに水平方向に接して向き合うため、実施例1と同じ効果を得ることができる。
【実施例3】
【0025】
図5は、本発明の第3の実施例に係る嵌合装置の実施例3を示す斜視図である。図5に示すように、本発明の嵌合装置において、第1の部材1を収納する複数の第1の収納部2と第2の部材3を収納する第2の収納部4と第2の部材3を収納する複数の第3の収納部10と第1の収納部2にその芯方向が第1の部材1の嵌合方向に揃えて設置された第1の軸芯5と第2の収納部4にその芯方向が第2の部材3の嵌合方向に揃えて設置された第2の軸芯6と嵌合具7と第1の軸芯5の中心線上に設けられた基軸8と基軸8を支点として回転可能で第2の収納部4を支えるアーム9と複数の第1の収納部2を設置する第1のドラム11と複数の第3の収納部10を設置する第2のドラム12と第3の収納部10から第2の収納部3に第2の部材3を移動する移動手段13とによって構成される。第1のドラム11と第2のドラム12の基軸は各々直交するように設置されている。
【0026】
図5に示すように、第1の部材1は第1のドラム11に設置された複数の第1の収納部2によって第1のドラム11の回転運動と共に搬送される。また、第2の部材3は第2のドラム12に設置された複数の第3の収納部10によって第2のドラム12の回転運動と共に搬送されたあと、移動手段13によって第3の収納部10から第2の収納部3に第2の部材3は移動されて収納される。所定の第1の収納部に収納された第1の部材1と第2の収納部3に収納された第2の部材3とを嵌合する動作は実施例1あるいは実施例2で示した場合と同じである。
【0027】
以上から、第1の部材1と第2の部材3を搬送して嵌合する動作において、互いに直交する基軸を支点として回転するドラムによって搬送されるため、小さいスペースで搬送することが可能となり、小型の嵌合動作を実現できる。また、第1の部材1と第2の収納部3に収納された第2の部材3とを嵌合する動作は実施例1あるいは実施例2で示した場合と同じであるため、同様に部材を傷つけることがなく機構が簡単で安価な高速かつ高品質の嵌合動作を実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
2つの部材を嵌合する場合の用途全般に適用できる。
【符号の説明】
【0029】
1 第1の部材
2 第1の収納部

3 第2の部材
4 第2の収納部
5 第1の軸芯
6 第2の軸芯
7 嵌合具
8 基軸
9 アーム
10 第3の収納部
11 第1のドラム
12 第2のドラム
13 移動手段
14 容器ホルダー
15 中栓ノッカー
16 容器ガイド
17 中栓
18 容器
19 容器の開口部
20 第1の冶具ユニット
21 第2の冶具ユニット
22 位置決め手段
23 リフト機構
24 基台
25 遊挿手段
26 端部表面
27 押圧手段
28 自動計測する手段
29 アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一及び第二の部材を互いに嵌合する嵌合装置において、前記第一の部材を収納する第一の収納部と前記第二の部材を収納する第二の収納部と前記第一の収納部にその芯方向が前記第一の部材の嵌合方向に揃えて設置された第一の軸芯と前記第二の収納部にその芯方向が前記第二の部材の嵌合方向に揃えて設置された第二の軸芯と前記第一の軸芯の芯方向と前記第二の軸芯の芯方向とを一直線に揃える位置調整手段と前記第一の部材と前記第二の部材を嵌合する嵌合具とから構成され、嵌合時に前記位置調整手段によって前記第一の収納部と前記第二の収納部が前記第一の軸芯の芯方向と前記第二の軸芯の芯方向の交点を軸として相対的に回転して前記第一の軸芯の芯方向と前記第二の軸芯の芯方向が一直線に揃えられて前記第一の部材と前記第二の部材が嵌合されることを特徴とする嵌合装置。
【請求項2】
前記第一の収納部が第一の基軸を中心として回転可能な第一のドラムに設置され、前記第二の収納部が前記第一の基軸を中心して回転可能なアームに設置され、前記第一の部材が前記第一のドラムに設置された複数の前記第一の収納部に収納されて前記第一のドラムの回転動作によって搬送され、前記第二の部材が前記第一の基軸に直交する第二の基軸を中心として回転可能な第二のドラムに設置された複数の第三の収納部に収納されて前記第二のドラムの回転動作によって搬送され、前記第二の部材が前記第三の収納部から順次前記第二の収納部に搬送されることを特徴とする請求項1に記載の嵌合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−213839(P2012−213839A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81527(P2011−81527)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(709004787)
【Fターム(参考)】