説明

嵌合部材及び建具

【課題】突出縁部を備えた溝部に容易に取り付けられる、施工性に優れた嵌合部材等を提供する。
【解決手段】対向する一対の側壁と前記一対の側壁間を繋ぐ底部とを有する溝部に挿入されて嵌合される嵌合部材であって、前記溝部は、前記一対の側壁からそれぞれが接近する方向に突出し、隙間を存して対向する一対の突出縁部を備えており、前記嵌合部材は、前記溝部の長さ方向にて間隔を隔てた2点間を繋ぐとともに前記溝部の溝幅方向に突出し、当該溝幅方向に弾性変形可能な弾性部を備え、前記弾性部は、当該弾性部の突出方向に向かって前記底部に対する距離が漸次長くなるガイド面を有し、当該弾性部は前記一対の突出縁部間を挿通することで前記突出縁部の前記底部側に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溝の幅方向における内側に向かって対向する、一対の突出縁部を備えた溝部に嵌合される嵌合部材及び建具に関する。
【背景技術】
【0002】
溝の幅方向における内側に向かって対向する、一対の突出縁部を備えた溝部は、例えば、窓上枠等に設けられており、けんどん操作により取り付けられた障子の外れ止め部材等が当該溝部を利用して固定される。外れ止め部材としては、例えば、障子の上方への移動を規制する規制部片を有する外れ止め本体に、係止溝が設けられた一対の係止部片が設けられた外れ止め部材が知られている(例えば、特許文献1参照)。一対の係止部片は、一方の係止部片が固定されており、他方の係止部片が固定螺子により一方の係止部片から離れる方向に移動するように構成されている。そして、一方の係止部片に設けられた係止溝を前記溝部の突出縁部をなす一方の受止片に係合させ、固定螺子を締め込むことにより他方の係止部片を移動させて他方の受止片に係合させることにより外れ止め片が取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3869709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような外れ止め部材は、窓上枠のような溝部を備えた部材に、作業者が一方の手で外れ止め部材を位置決めし、他方の手によりドライバー等を用い固定螺子を回して固定するため、施工性が悪いという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、突出縁部を備えた溝部に容易に取り付けられる、施工性に優れた嵌合部材及び嵌合部材を備えた建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明の嵌合部材は、対向する一対の側壁と前記一対の側壁間を繋ぐ底部とを有する溝部に挿入されて嵌合される嵌合部材であって、前記溝部は、前記一対の側壁からそれぞれが接近する方向に突出し、隙間を存して対向する一対の突出縁部を備えており、前記嵌合部材は、前記溝部の長さ方向にて間隔を隔てた2点間を繋ぐとともに前記溝部の溝幅方向に突出し、当該溝幅方向に弾性変形可能な弾性部を備え、前記弾性部は、当該弾性部の突出方向に向かって前記底部に対する距離が漸次長くなるガイド面を有し、当該弾性部は前記一対の突出縁部間を挿通することで前記突出縁部の前記底部側に配置されることを特徴とする嵌合部材である。
【0007】
このような嵌合部材によれば、溝幅方向に弾性変形可能な弾性部を備えているので、溝部の対向する側壁からそれぞれが接近する方向に突出する突出縁部を備えて、突出縁部間の隙間が溝部の底側より狭くなっている溝部であっても、溝部に嵌合する際に、弾性部を溝幅方向に弾性変形させて突出縁部間を挿通させ、弾性部を突出縁部の底部側に配置させて溝部に嵌合することが可能である。このとき、弾性部は、溝部の長さ方向にて間隔を隔てた2点間を繋ぐとともに溝部の溝幅方向に突出しているので、突出している部位が押されることにより、間隔を隔てた2点から突出している部位が撓み変形して容易に変形させることが可能である。すなわち、弾性部が、撓み変形するので、例えば嵌合部材の一部がゴムなどの弾性部材にて形成されて、弾性部材自身が圧縮される場合より、小さな圧縮力にて大きく変形させることが可能である。このため、ドライバー等の工具を用いることなく容易に取り付けることが可能である。
【0008】
また、弾性部は、当該弾性部の突出方向に向かって底部に対する距離が漸次長くなるガイド面を有しているので、嵌合部材としてみると、底部側は溝幅方向の長さが短く底部から離れるにつれて溝幅方向の長さが長くなる。このため、溝幅方向の長さが短い部位を、まず一対の突出縁部間に挿通させることにより、嵌合部材をより容易に嵌合することが可能である。
【0009】
かかる嵌合部材であって、前記一対の突出縁部間を挿通する際に、前記ガイド面が前記突出縁部に押圧されて前記弾性部が前記溝幅方向に弾性変形することが望ましい。
このような嵌合部材によれば、弾性部のガイド面が突出縁部に当接された後は、嵌合部材を溝部側に押すだけで、突出縁部により弾性部が押圧されて弾性変形し溝部の溝幅方向における中央側に移動する。このため、嵌合部材を、溝部側に押すだけで嵌合部材を容易に溝部に嵌合することが可能である。
【0010】
かかる嵌合部材であって、前記弾性部の突出した先端は、前記溝部に嵌合された際に前記側壁に当接することが望ましい。
このような嵌合部材によれば、嵌合部材が溝部に嵌合されると、弾性部の突出した先端が溝部の側壁に当接するので、嵌合された嵌合部材は溝幅方向に移動しない。このため、嵌合部材を安定した状態で溝部に保持させることが可能である。
【0011】
かかる嵌合部材であって、前記側壁は平面部を有しており、前記弾性部の当該側壁の前記平面部に当接される部位が平面であることが望ましい。
このような嵌合部材によれば、嵌合部材が溝部に嵌合された際には、溝部の側壁の平面部と弾性部の平面とが、平面同士で当接する。このため、嵌合部材を、より安定した状態で溝部に保持させることが可能である。
【0012】
また、上記嵌合部材と、前記嵌合部材に取り付けられて所定の機能を発揮する機能部材と、を有する機能部材ユニットを備えた建具である。
このような建具によれば、所定の機能を発揮する機能部材を溝部を用いて建具に容易に取り付けることが可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、突出縁部を備えた溝部に容易に取り付けられる、施工性に優れた嵌合部材及び嵌合部材を備えた建具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る嵌合部材を有する外れ止めユニットが上枠に取り付けられている建具を示す側面図である。
【図2】本実施形態に係る外れ止めユニットの斜視図である。
【図3】溝部に取り付けられた外れ止めユニットを下方から見た図である。
【図4】外れ止めユニットの縦断面図である。
【図5】外れ止めユニットの解除姿勢を示す側面図である。
【図6】外れ止めユニットを溝部に取り付ける様子を示した図である。
【図7】機能部材の他の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る嵌合部材について図面を参照して説明する。
本実施形態の嵌合部材は、機能部材としての障子の外れ止め部材を建具の上枠に固定するための部材である。本実施形態では、嵌合部材と外れ止め部材とで構成される機能部材ユニットとしての外れ止めユニットを、引き違い障子用の建具に備えた例について説明する。以下の説明においては、建具1が建物等に取り付けられた状態にて上下となる方向を上下方向、室内外方向(奥行き方向)を見込み方向として示す。また、建具が有する各部材は、単体の説明であっても、当該部材が取り付けられている状態にて上下となる方向を上下方向、室内外方向(奥行き方向)を見込み方向として示す。
【0016】
図1に示すように、外れ止めユニット10は、建具1が有する内障子1a及び外障子1bが案内される上側のレール2aが備えられた上枠2に設けられている。
【0017】
建具1が有する上枠2には、内障子1a及び外障子1bが案内される2本の上側のレール2a間に、上方に窪む溝部3が形成されている。溝部3は、平面をなし対向する一対の側壁3aと、一対の側壁3a間を繋ぐ底部3bと、一対の側壁3aからそれぞれが接近する方向に突出する一対の突出縁部3cとを有し、一対の突出縁部3cの先端部間は隙間sが設けられている。ここで、本実施形態の側壁3aは全面が平面をなしているので側壁3aの平面部には側壁3a全面が相当するが、側壁3aは、少なくとも後述する連結突出部16の中央部16aが有する平面16dが当接可能な平面部を有していれば、全面が平面でなくとも構わない。そして、本実施形態では、側壁3a全体が平面部に相当する。
【0018】
外れ止めユニット10は、樹脂製の嵌合部材12、樹脂製の外れ止め部材18、及び、嵌合部材12と外れ止め部材18との間に改装されるコイルスプリング20(図4)、を有している。
【0019】
嵌合部材12は、図1〜図5に示すように、ほぼ直方体状をなし溝部3内に挿入される本体部14と、見込み方向において本体部14の両側に設けられた弾性部としての連結突出部16とを備えている。
【0020】
直方体状をなす本体部14は、上枠2に取り付けられる際に、平面視にて縦横比の長い側(以下、長辺側という)が上枠2の溝部3に沿う方向(見付け方向)に、短い側(以下、短辺側という)が溝幅に沿う方向(見込み方向)に沿うように配置される。本体部14には、長辺側の各端部すなわち四隅から見込み方向に沿って延出された延出部15が設けられている。連結突出部16は、見込み方向において本体部14の同じ側に延出された延出部15の対向する側となる2点間を繋ぐとともに溝部3の溝幅方向(見込み方向)における外側に突出されている。
【0021】
4カ所に設けられた延出部15のうちの、一方の対角に位置する2つの延出部15には、上半分が、下半分及び他方の対角に位置する2つの延出部15より長く延出された突起15aが設けられている。突起15aは、嵌合部材12が溝部3に嵌合された際に、嵌合部材12を、突起15aが突出する方向に僅かに回転させて溝部3内に配置させることにより、突起15aが突出縁部3c上に引っ掛かるように構成されている。これにより、嵌合部材12の固定力が増加する。また、延出部15の下半分の端面15bは、嵌合部材12が溝部3内にて回転されたときに、突出縁部3cに当接されて嵌合部材12が必要以上回転されないように回転を規制するように構成されている。
【0022】
連結突出部16は、互いに対向する延出部15間の中央に、本体部14から見込み方向に間隔を隔てて位置する中央部16aと、各延出部15と中央部16aとを本体部14と間隔を隔てて繋ぐアーム部16bとを有している。中央部16aは、連結突出部16の突出した先端であり、本体部14の見込み方向の端面14aと平行な平面16dを有している。アーム部16bは、見込み方向において同じ側に設けられた2つの延出部15から互いに対向する側に突出し、わずかに湾曲して中央部16aと繋がっている。
【0023】
2つのアーム部16bと中央部16aとが繋がった連結突出部16は、外周側の部位に、上枠2の溝部3に取り付けられた状態にて、連結突出部16の突出方向に向かって溝部3の底部3bに対する距離が漸次長くなるガイド面16cが形成されている。そして、本体部14の、溝幅方向における両側に設けられた連結突出部16は、溝幅方向となる見込み方向における外側から、嵌合部材12が圧縮されるように押圧されると、突出量が小さくなる方向(圧縮方向)にアーム部16bが撓むように弾性変形可能に形成されている。
【0024】
嵌合部材12の連結突出部16は、上下方向の厚さが本体部14の約半分の厚さであり、本体部14の上側に設けられている。また、嵌合部材12の見込み方向の幅、すなわち、短辺側の両側に設けられた連結突出部16が有する2つの中央部16aの外側面をなす平面16d間の幅は、溝部3に設けられた突出縁部3c間の間隔より広く形成されている。このため、嵌合部材12は、本体部14の上側部分が溝部3の突出縁部3cより溝部3の上側、すなわち、上方に向かって溝部3内に挿入され、連結突出部16が突出縁部3cの底部3b側に位置するように配置される。このとき、連結突出部16が有する2つの中央部16aの平面16dは、溝部3の平面をなす側壁3aに当接されている。連結突出部16の下面16eが突出縁部3cの上面3eに当接された状態では、本体部14の下面14bが、突出縁部3cの下面3dより下側に位置するように構成されている。
【0025】
本体部14の下面14bには、本体部14の見付け方向に沿って上方に向かって窪む長辺側凹部14cが設けられている。また、本体部14のほぼ中央に、長辺側凹部14cからさらに上方に向かって窪み、ほぼ正方形状をなす中央凹部14dが設けられている。さらに、中央凹部14dのほぼ中央、すなわち、本体部14のほぼ中央に、本体部14の下面14bより下方に突出する円筒状の筒状部14eが設けられている。筒状部14eは、その内周にねじ30が螺合される雌ねじが形成されており、上下方向に貫通している。
【0026】
外れ止め部材18は、嵌合部材12の見付け方向の長さとほぼ同じ長さを有するとともに、長辺側凹部14cにおける、溝幅方向の幅よりわずかに狭い幅を有して、建具1が有する枠体に取り付けられた障子1a、1bを持ち上げたときに、障子1a、1bの下端が下レール(不図示)の上縁より上方に移動しないように、障子1a、1bの移動を規制する高さを有する、ほぼ直方体状をなしている。
【0027】
外れ止め部材18の上部には、嵌合部材12の中央凹部14dよりわずかに小さな正方形状をなして上方に突出する上方突部18aが設けられている。上方突部18aの中央には、嵌合部材12の筒状部14eの外形よりわずかに大きく形成されて当該筒状部14eが挿入される挿入孔18bが形成されている。また、挿入孔18bの下方には、内径が挿入孔18bの直径より大きく形成されたスプリング収容部18cが形成されている。
【0028】
外れ止めユニット10は、筒状部14eが下方に向けられた嵌合部材12に、下方から外れ止め部材18が取り付けられて組み立てられている。外れ止め部材18は、筒状部14eが挿入孔18bに挿入されるとともに、挿入された筒状部14eとスプリング収容部18cとの間にコイルスプリング20が介装され、スプリング収容部18cに下方から挿入されたねじ30が筒状部14eに形成された雌ねじに螺合されて組み立てられている。
【0029】
スプリング収容部18cに下方から挿入されたねじ30が筒状部14eに形成された雌ねじに螺合された状態では、コイルスプリング20が圧縮されて外れ止め部材18の上方突部18aが嵌合部材12の中央凹部14dに入り込んでいる。このとき、コイルスプリング20は中央凹部14d内であっても伸縮可能に構成されている。このため、外れ止め部材18を下方にひき下げると、コイルスプリングがさらに圧縮されて上方突部18aが中央凹部14dから抜け出して下方に移動される。
【0030】
そして、外れ止め部材18の上方突部18aが嵌合部材12の中央凹部14dより下方に移動した際に、外れ止め部材18が筒状部14eを中心として回動可能となる。そして、外れ止め部材18は、ほぼ正方形状をなす上方突部18aが、ほぼ正方形状をなす中央凹部14dに入り込むことが可能な2方向に姿勢を変更することが可能である。すなわち、図5に示すように外れ止め部材18の長手方向が溝部3に沿う方向をなし、障子1a、1bの移動規制が解除された状態となる解除姿勢と、図1に示すように外れ止め部材18の長手方向が見込み方向に沿う方向をなし、障子1a、1bの移動を規制する規制姿勢と、に姿勢を変更することができるように構成されている。このとき、規制姿勢の場合には、溝部3の幅方向に沿わされた外れ止め部材18の長手方向の縁が溝部3の突出縁部3c間の隙間sより外側に配置される。この規制姿勢にて、ねじ30を締め込むと、突出縁部3cの上方に位置する連結突出部16と突出縁部3cの下方に位置する外れ止め部材18とにより突出縁部3cが挟持される。
【0031】
外れ止めユニット10を上枠2に取り付ける際には、図6(a)に示すように、まず、上枠2の溝部3の方向に、外れ止めユニット10が有する嵌合部材12の長辺側を沿わせて外れ止めユニット10を、上枠2の下方に配置し、一方の連結突出部16を溝部3が有する一方の突出縁部3cの上側に挿入する。このとき、外れ止め部材の18の長手方向が、嵌合部材12の長辺側凹部14cに沿って配置されている。
【0032】
次に、嵌合部材12の他方の連結突出部16側を上方に押し上げて、図6(b)に示すように、連結突出部16が有する中央部16aのガイド面16cを他方の突出縁部3cに当接させる。その後、さらに外れ止めユニット10を押し上げることにより、連結突出部16が突出縁部3cに押圧されて圧縮方向に弾性変形し、他方の連結突出部16が、一対の突出縁部3c間を挿通して他方の突出縁部3cより上側に移動する。このとき、他方の連結突出部16が他方の突出縁部3cの上方側に越えると圧縮されていた連結突出部16が伸張される。そして、嵌合部材12の両側に設けられた連結突出部16の中央部16aが有する平面16dが溝部3の側壁3aの平面部に当接されて、図6(c)に示すような状態にて上枠2に取り付けられる。
【0033】
その後、ねじ30を緩めた後に、外れ止め部材18を下方に引きつつ90度回転させて、図1に示すような規制姿勢にし、ねじ30を締め込んで固定する。このとき、ねじ30は予め緩めておいても構わない。締め込んだねじ30は、筒状部14eを貫通させて、その先端にて溝部3を押圧させることにより、外れ止めユニット10の見付け方向への移動が抑えることも可能である。
【0034】
本実施形態の嵌合部材12及び外れ止めユニット10が嵌合される溝部3は、溝部3を形成し対向する側壁3aからそれぞれが接近する方向に突出し、隙間sを存して対向する一対の突出縁部3cを備えているので、突出縁部3c間の隙間sが溝部3の底部3b側より狭くなっている。このため、例えば剛体のみにて形成された嵌合部材では、一対の突出縁部3c間を挿通させて溝部3内に嵌合することができない。
【0035】
上記実施形態の嵌合部材12は、溝幅方向に弾性変形可能な連結突出部16を備えているので、溝部3の対向する側壁3aからそれぞれが接近する方向に突出する突出縁部3cを備えて、突出縁部3c間の隙間sが溝部3の底部3b側より狭くなっている溝部3であっても、溝部3に嵌合する際に、連結突出部16を溝幅方向に弾性変形させて突出縁部3c間を挿通させ、連結突出部16を突出縁部3cの底部3b側に配置させて溝部3に嵌合することが可能である。このとき、連結突出部16は、溝部3の長さ方向にて間隔を隔てた2点間を繋ぐとともに溝部3の溝幅方向に突出しているので、互いに間隔を隔てた2点から突出している連結突出部16は、アーム部16bにより本体部14と2点で繋がることになる。このため、突出している連結突出部16が押されることにより、間隔を隔てた2点から突出しているアーム部16bが撓むことにより容易に変形させることが可能である。すなわち、連結突出部16のアーム部16bが、撓み変形するので、例えば本体部の一部を弾性部とすべく本体部にゴムの部分が設けられている場合より、小さな圧縮力にて大きく変形させることが可能である。このため、ドライバー等の工具を用いることなく、また、片手であっても容易に取り付けることが可能である。さらに、例えば、溝部3の突出縁部3cに切り欠き等を設けることなく取り付けることが可能である。
【0036】
また、連結突出部16は、当該連結突出部16の突出方向に向かって底部3bに対する距離が漸次長くなるガイド面16cを有しているので、嵌合部材12としてみると、底部3b側は溝幅方向の長さが短く底部3bから離れるにつれて溝幅方向の長さが長くなる。このため、溝幅方向の長さが短い部位嵌合部材の上端側を、まず一対の突出縁部3c間の隙間sに挿通させることにより、嵌合部材12をより容易に嵌合することが可能である。
【0037】
また、一対の突出縁部3c間を挿通する際に、ガイド面16cに突出縁部3cが当接された後は、嵌合部材12を溝部3側に押すだけで、突出縁部3cにより連結突出部16が押圧されて弾性変形し溝幅方向における中央側に移動する。このため、嵌合部材12を、溝部3側に押すだけで嵌合部材12を容易に溝部3に嵌合することが可能である。
【0038】
また、連結突出部16の弾性変形は、嵌合部材12が圧縮される方向に変形するので、連結突出部16が突出する方向と弾性変形する方向とが同じになる。すなわち、連結突出部16が突出する方向と弾性変形する方向とが交差する弾性部材、例えば、突出された片持ちの腕部の先端が押圧されて撓み変形する弾性部材とは相違する。このため、弾性方向と交差する方向の寸法を小さく抑えることが可能であり、狭いスペースに嵌合させることが可能な嵌合部材12を提供することが可能である。
【0039】
また、嵌合部材12が溝部3に嵌合されると、連結突出部16の突出した先端が溝部3の側壁3aに当接するので、嵌合された嵌合部材12は溝幅方向に移動しない。このため、嵌合部材12を安定した状態で溝部3に保持させることが可能である。
【0040】
さらに、嵌合部材12が溝部3に嵌合された際には、連結突出部16の平面16dと溝部3の側壁3aの平面部とが平面同士にて当接する。このため、嵌合部材12を、より安定した状態で溝部3に保持させることが可能である。
【0041】
また、けんどん操作により取り付けられた障子1a、1bが外れることを防止する機能を発揮する機能部材としての外れ止めユニット10を溝部3に容易に取り付けることが可能である。
【0042】
上記実施形態においては、嵌合部材12の一方の連結突出部16を溝部3が有する一方の突出縁部3cの上側に先に挿入し、その後、他方の連結突出部16を他方の突出縁部3cの上側に嵌合する例について説明したが、これに限るものではない。例えば、溝幅方向において嵌合部材12の両側に設けられた連結突出部16の各々のガイド面16cを溝部3の一対の突出縁部3cに当接させた状態から、そのままの姿勢にて鉛直に嵌合部材12を押し上げて、両側の連結突出部16を各々弾性変形させて嵌合部材12を溝部3に嵌合しても良い。
【0043】
また、上記実施形態のように、嵌合部材12の一方の連結突出部16を溝部3が有する一方の突出縁部3cの上側に先に挿入し、その後、他方の連結突出部16を他方の突出縁部3cの上側に嵌合する場合には、連結突出部16は必ずしも溝幅方向の両側に設けられていなくても良い。すなわち、先に挿入される側は、弾性変形しない突起であっても構わない。
【0044】
上記実施形態においては、機能部材を外れ止め部材としたが、これに限るものではない。たとえば、図7に示すように、機能部材として、枠体と、当該枠体に取り付けられた障子との間からの風の進入を抑える風止め板54aを備えた風止め部材54を有する風止めユニット50であってもよい。図7に示す風止めユニット50は、機能部材としての風止め部材54が溝部3に沿う方向に並べて2つ設けられているので、風止め部材54が止められる部材は、上記嵌合部材12とほぼ同様の嵌合部材52が2つ連結された嵌合ユニット51にて溝部3に取り付けられる。
【0045】
風止め部材54は、風止め板54aが見込み方向に沿うように取り付けられることが望ましいため、嵌合ユニット51が溝部3に嵌合された際に、上記嵌合部材12にて延出部15の突起15aに相当する突出部位52aが、溝部3の側壁3aに当接されるように構成されている。突出部位52aが溝部3の側壁3aに当接されると、嵌合ユニット51の回転が規制され、風止め板54aが上枠2とほぼ直交し、見込み方向に沿って配置されるように構成されている。
【0046】
また、上記のような外れ止めユニット10や風止めユニット50を備えた建具も提供することが可能である。
【0047】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0048】
1 建具、1a 内障子、1b 外障子、2 上枠、3 溝部、 3a 側壁、
3c 突出縁部、10 外れ止めユニット、12 嵌合部材、14 本体部、
15 延出部、16 連結突出部、16a 中央部、16b アーム部、
16c ガイド面、16d 平面、18 外れ止め部材、50 風止めユニット、
51 嵌合ユニット、52 嵌合部材、54 外れ止め部材、s 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の側壁と前記一対の側壁間を繋ぐ底部とを有する溝部に挿入されて嵌合される嵌合部材であって、
前記溝部は、前記一対の側壁からそれぞれが接近する方向に突出し、隙間を存して対向する一対の突出縁部を備えており、
前記嵌合部材は、前記溝部の長さ方向にて間隔を隔てた2点間を繋ぐとともに前記溝部の溝幅方向に突出し、当該溝幅方向に弾性変形可能な弾性部を備え、
前記弾性部は、当該弾性部の突出方向に向かって前記底部に対する距離が漸次長くなるガイド面を有し、当該弾性部は前記一対の突出縁部間を挿通することで前記突出縁部の前記底部側に配置されることを特徴とする嵌合部材。
【請求項2】
請求項1に記載の嵌合部材であって、
前記一対の突出縁部間を挿通する際に、前記ガイド面が前記突出縁部に押圧されて前記弾性部が前記溝幅方向に弾性変形することを特徴とする嵌合部材。
【請求項3】
請求項1または至請求項2のいずれかに記載の嵌合部材であって、
前記弾性部の突出した先端は、前記溝部に嵌合された際に前記側壁に当接することを特徴とする嵌合部材。
【請求項4】
請求項3に記載の嵌合部材であって、
前記側壁は平面部を有しており、前記弾性部の当該側壁の前記平面部に当接される部位が平面であることを特徴とする嵌合部材。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の嵌合部材と、
前記嵌合部材に取り付けられて所定の機能を発揮する機能部材と、
を有する機能部材ユニットを備えた建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−220038(P2011−220038A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92440(P2010−92440)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】