説明

工作機械制御装置

【課題】工作機械(周辺機器を含む)の操作を容易に行うことが可能な工作機械制御装置を提供する。
【解決手段】工作機械を制御する制御手段と、工作機械の動作に同期させて当該工作機械の3次元形状モデルを動作させることが可能なシミュレート手段と、シミュレート動作させている工作機械の3次元形状モデルを表示する表示手段とを備える。そして任意の視点位置及び任意の拡大率にて工作機械の3次元形状モデルを動作させることが可能であるとともに、工作機械の任意のパーツの透明度または色彩の少なくとも一方を任意に変更することが可能である。更に異常が検出されたパーツを、シミュレート表示している3次元形状モデルにおいて識別可能に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数値制御装置(当該装置の周辺に設けられた安全装置等を含む)、特に工作機械を制御する工作機械制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では工作機械には、例えば工作機械の動作を制御する数値制御装置と指示入力手段と表示手段を備えた操作盤とが設けられており、当該操作盤から動作の指示を入力することが可能であるとともに、当該操作盤にて異常時の状態を表示することが可能に構成されている。
特許文献1に記載の従来技術では、パーソナルコンピュータ(以下、PCと記載する)を用いて、数値制御を行うNC(Numerical Control)ボードをPCの拡張スロットの1つに設け、更にシーケンス制御を行うPLC(Programmable Logic Controller)ボードをPCの拡張スロットに設け、数値制御装置として動作遅れを生じることのない数値制御装置が提案されている。
また、特許文献2に記載の従来技術には、工作機械の制御部から取り出した信号もしくは数値を、サーバ部を介してクライアント部にて受信する加工機遠隔監視装置が記載されている。この特許文献2ではクライアント部は工作機械に対して遠隔地に設けられ、前記信号もしくは数値を3次元形状モデルにて動的に視覚化して表示し、遠隔地のクライアント部にて工作機械の動作を監視することを可能にしている。
【0003】
【特許文献1】特許第3467139号公報
【特許文献2】特開2000−132214号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、生産コストが低い海外等に進出して価格競争力の高い製品または部品を製造する企業が増加している。このような場合、現地では熟練作業者が居ないのが一般的である。また、国内においても高度な技術を習得している熟練作業者の数が、所定の年齢に達した等の理由により減少している傾向にある。
【0005】
従来の工作機械の操作盤に表示される異常時等の状態の表示は、文字情報(数字を含む)で表示される。例えばセンサAに異常が発生した場合、「センサA異常」あるいは「エラーコード123」等の文字情報にて異常の状態が表示される。同様に、特許文献1に記載の従来技術においても、表示には文字情報が用いられると推定される。しかし、例えば「センサA異常」と表示されても、熟練作業者でなければ当該「センサA」が、装置のどこに設けられているか判らない場合が多いとともに、どのような手順で修理または交換すればよいか判らない場合が多いため、熟練作業者が居ない現場では、異常からの復旧に多大な時間を要し、MTTR(平均復旧(修理)時間)が増加している。
【0006】
また、特許文献2に記載の従来技術では、熟練作業者はクライアント部に表示される3次元形状モデルにて遠隔地で工作機械の動作を監視することができるが、工作機械が設置されている現場においては3次元形状モデルにて監視することはできない。従って、異常時等の状態の表示は文字情報であると推定され、上記と同様に、熟練作業者が居ない現場では、異常からの復旧に多大な時間を要している。ここで、特許文献2に記載の従来技術では、遠隔地に居る熟練作業者が、クライアント部に表示される3次元形状モデルを見ながら、現場の作業者に種々の指示を出しやすくすることは可能である。しかし、現場では遠隔地の熟練作業者からの言葉の指示に対して、実際の工作機械のどの部分の指示をしているのか探しだすことが困難であり、異常からの復旧に多大な時間を要する。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、熟練作業者でなくても工作機械(周辺機器を含む)の操作を容易に行うことが可能な工作機械制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段として、本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりの工作機械制御装置である。
請求項1に記載の工作機械制御装置は、工作機械を制御する制御手段と、工作機械の動作に同期させて当該工作機械の3次元形状モデルを動作させることが可能なシミュレート手段と、シミュレート動作させている工作機械の3次元形状モデルを表示する表示手段とを備える。
【0008】
また、本発明の第2発明は、請求項2に記載されたとおりの工作機械制御装置である。
請求項2に記載の工作機械制御装置は、請求項1に記載の工作機械制御装置であって、任意の視点位置及び任意の拡大率にて工作機械の3次元形状モデルを動作させることが可能であるとともに、工作機械の任意のパーツの透明度または色彩の少なくとも一方を任意に変更することが可能である。
【0009】
また、本発明の第3発明は、請求項3に記載されたとおりの工作機械制御装置である。
請求項3に記載の工作機械制御装置は、請求項1または2に記載の工作機械制御装置であって、3次元形状モデルで表示する工作機械を構成する複数のパーツにおいて、各パーツに対応させて、識別データと3次元形状データと3次元座標データとを含むパーツ情報を記憶しており、3次元形状モデルで表示する工作機械において可動するパーツに関する動作状態を示す検出信号に基づいて、当該検出信号を、対応する識別データに相当するパーツの座標に変換し、工作機械の動作に同期させて、シミュレート表示している3次元形状モデルを動作させる。
【0010】
また、本発明の第4発明は、請求項4に記載されたとおりの工作機械制御装置である。
請求項4に記載の工作機械制御装置は、請求項1〜3のいずれかに記載の工作機械制御装置であって、工作機械の少なくとも一部のパーツの異常を検出可能な異常検出手段を備え、異常が検出されたパーツを、シミュレート表示している3次元形状モデルにおいて識別可能に表示する。
【0011】
また、本発明の第5発明は、請求項5に記載されたとおりの工作機械制御装置である。
請求項5に記載の工作機械制御装置は、請求項3または4に記載の工作機械制御装置であって、各パーツに対する制御信号を出力した後、当該パーツが平行移動または回転移動の少なくとも一方を含む移動の結果、所定の3次元座標位置に到達したことを検出信号にて検出可能であり、各パーツに対する制御信号を出力した後、所定の3次元座標位置に到達するまでの間は、当該パーツの3次元座標位置を推定してシミュレート表示している3次元形状モデルを動作させる。
【0012】
また、本発明の第6発明は、請求項6に記載されたとおりの工作機械制御装置である。
請求項6に記載の工作機械制御装置は、請求項5に記載の工作機械制御装置であって、各パーツに対応させて、制御信号を出力した後、所定の3次元座標位置に到達するまでの基準時間に基づいた異常判定時間を記憶しており、各パーツに対する制御信号を出力した後の経過時間を監視し、経過時間が異常判定時間を超えた場合に、当該パーツに関する異常が発生したと判定する。
【0013】
また、本発明の第7発明は、請求項7に記載されたとおりの工作機械制御装置である。
請求項7に記載の工作機械制御装置は、請求項3〜6のいずれかに記載の工作機械制御装置であって、各パーツに対応させて、時間に応じた3次元座標データを記録することが可能であり、記録した3次元座標データに基づいて、工作機械の動作を、3次元形状モデルを用いてシミュレート表示して再現することが可能である。
【0014】
また、本発明の第8発明は、請求項8に記載されたとおりの工作機械制御装置である。
請求項8に記載の工作機械制御装置は、請求項7に記載の工作機械制御装置であって、各パーツに対応させた修理または交換の手順に基づいて、各パーツに対応させた時間に応じた3次元座標データが、手順毎に予め記憶されており、異常が検出されたパーツの修理または交換の手順を、記憶されている手順の中から選択されると、シミュレート表示している3次元形状モデルにおいて選択された手順を再現することが可能である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の工作機械制御装置を用いれば、非熟練作業者は、工作機械(例えば数値制御装置と、安全装置等の周辺機器を含む工作機械)の動作に同期して動く3次元形状モデルと実際の工作機械とを見ることで、工作機械の可動部の動きや、各パーツの位置等を確認することができ、工作機械の操作を容易に行うことができるようになる。
【0016】
また、請求項2に記載の工作機械制御装置によれば、任意のパーツの透明度を変更することで、安全カバー等に覆われた、通常では動作中に確認できないようなパーツの動きや、工作機械の外観からは見えない内部のパーツの動きを確認することができる。
また、任意のパーツの色彩を変更することや、視点位置及び拡大率を変更することで、所定のパーツの動きをより注目して確認することができる。
【0017】
また、請求項3に記載の工作機械制御装置によれば、工作機械制御装置は、各パーツの3次元形状データと3次元座標データに基づいて、工作機械の3次元形状モデルを表示することができる。
また、検出信号に応じて、シミュレート表示している3次元形状モデルにおいて、適切なパーツを適切なタイミングで適切な位置に移動(動作)させることができる。
【0018】
また、請求項4に記載の工作機械制御装置によれば、非熟練作業者であっても、異常が検出されたパーツが、工作機械のどの位置に設けられているか、瞬時に認識することができる。
【0019】
また、請求項5に記載の工作機械制御装置によれば、工作機械の可動部において、動作の開始位置から動作の終了位置に至る動作中の正確な位置を検出することが困難な、油圧または気圧等による可動パーツの動きを、3次元形状モデルにて適切に表示させることができる。
【0020】
また、請求項6に記載の工作機械制御装置によれば、工作機械の可動部において、動作の開始位置から動作の終了位置に至る動作中の正確な位置を検出することが困難な、油圧または気圧等による可動パーツの動きに対し、例えば開始位置と終了位置にリミットスイッチを設け、開始位置のリミットスイッチからの検出信号に基づいて動作の開始を判定して時間の計測を開始し、経過時間が異常判定時間を超えても終了位置のリミットスイッチからの検出信号が入力されない場合に、当該パーツに関する異常が発生したと判定する。
従来では、このような場合については、工程のサイクルタイムの超過にて異常判定していたため、当該サイクルタイム内に動作するパーツを1つずつ特定して確認する必要があり、まずパーツを特定することに時間を要していた。
しかし、本発明によれば、工作機械制御装置が、異常が発生したパーツを特定してくれるため、非熟練作業者であっても保守及び保全作業を容易に行うことができる。
【0021】
また、請求項7に記載の工作機械制御装置によれば、過去の工作機械の動きを、3次元形状モデルを用いて再現することができる。
従って、異常が発生した場合、異常発生に到るまでの工作機械の動作を過去に戻って再現させることができるため、異常発生の原因特定が困難な場合においても、原因の特定が容易になる。
【0022】
また、請求項8に記載の工作機械制御装置によれば、工作機械制御装置は、3次元形状モデルを用いたシミュレート表示にて、各パーツの修理または交換の手順を表示(再現)することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて説明する。図1は本発明の工作機械制御装置50を備えた工作機械の例を示している。
本発明は工作機械制御装置50であり、工作機械及び周辺機器(安全装置等)は従来のものと同様である。本発明の工作機械制御装置50は、工作機械(周辺機器を含む)を制御する制御手段を備えているとともに、制御している工作機械の動作に同期させて当該工作機械の3次元形状モデルをシミュレート動作させて表示可能である点が特徴である。
以下、特に断りがない限り、「工作機械」と記載した場合は、工作機械本体と、当該工作機械の周辺に設けられた安全装置等の周辺機器をも含むものとする。
【0024】
●[工作機械の外観(図1)]
図1は工作機械本体1(平面図)と工作機械制御装置50との接続例を示している。本実施の形態の説明では、車両のクランクシャフトを研削及び仕上げする工作機械を例に説明する。なお、工作機械は、これに限定されるものではない。図1においては、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を設定し、X軸を水平方向且つワークWの回転軸に平行な方向に設定し、Y軸を鉛直(上向き)の方向に設定し、Z軸を水平方向且つワークWの回転軸に垂直な方向に設定する。
ベッド1a上には、長手方向(X軸方向)にV字形ガイドウェイ2と平形ガイドウェイ3が設けられている。V字形ガイドウェイ2と平形ガイドウェイ3上には、研削砥石台(第1砥石台)22Aを載置する左テーブル20Aが、送りねじ10AによりX軸方向に摺動自在に設けられている。また、V字形ガイドウェイ2と平形ガイドウェイ3上には、超仕上げ砥石台(第2砥石台)22Bを載置する右テーブル20Bが、送りねじ10BによりX軸方向に摺動自在に設けられている。V字形ガイドウェイ2と平形ガイドウェイ3により、研削砥石台22Aと超仕上げ砥石台22BをX軸方向に案内するレールが構成されている。
【0025】
左右のテーブル20A、20Bには、それぞれ研削砥石24A(第1の加工手段)及び超仕上げ砥石24B(第2の加工手段)を回転自在に支持する研削砥石台22A及び超仕上げ砥石台22Bが、それぞれの送りねじ14A、14Bにより、X軸方向と直交する前後方向(Z軸方向)に摺動自在に設けられている。
各砥石台22A、22Bの前方には、X軸方向に離間して、ワークW(本実施の形態では、クランクシャフト)の一端部をチャック6aにより把持する主軸台6と、ワークWの他端部を押圧支持する心押台7が設けられている。主軸台6には、ワークWを回転駆動させる主軸サーボモータ8が設けられている。ワークWの回転位置は、主軸サーボモータ8の後端に設けられたエンコーダ9により検出される。
【0026】
研削砥石台22Aを載置する左テーブル20Aを、X軸方向に移動するための送りねじ10Aの左端部には、エンコーダ13A付きのサーボモータ12Aが設けられている。同様に、超仕上げ砥石台22Bを載置する右テーブル20Bを、X軸方向に移動するための送りねじ10Bの右端部には、エンコーダ13B付きのサーボモータ12Bが設けられている。
また、左右の各テーブル20A、20Bには、各砥石台22A、22BをZ軸方向に移動するための送りねじ14A、14Bの端部に、エンコーダ17A、17B付きサーボモータ16A、16Bが、各々設けられている。
また、各砥石台22A、22Bには、それぞれ研削砥石24Aを回転駆動するモータ、超仕上げ砥石24Bを回転駆動するモータが内蔵して設けられている。
【0027】
研削砥石24Aにより加工されるワークWの径(加工寸法)は、左定寸装置40Aに設けられた測定ヘッド30Aによって検出され、最終加工寸法まで研削されると研削砥石台22Aの切込み前進は停止される。
同様に、研削砥石24Bにより加工されるワークWの径(加工寸法)は、右定寸装置40Bに設けられた測定ヘッド30Bによって検出され、最終加工寸法まで研削されると研削砥石台22Bの切込み前進は停止される。
工作機械制御装置50は、エンコーダ13A、13B、17A、17B、9、定寸装置40A、40Bからの検出信号が入力され、モータ12A、12B、16A、16B、8に制御信号を出力し、工作機械を制御する。なお、図示しないが、工作機械には作業者の安全を確保するための安全カバー、非常停止スイッチ、警報ランプ等の種々の周辺機器が設けられており、これらの周辺機器からの入力及び出力も、工作機械制御装置50によって制御される。
【0028】
本発明の工作機械制御装置50は、上述したように、工作機械を制御する制御手段を備えている。また、非熟練作業者であっても工作機械の操作を容易に行うことができるように、工作機械の動作に同期させて工作機械の3次元形状モデルを動作させることが可能なシミュレート手段と、シミュレート動作させている工作機械の3次元形状モデルを表示する表示手段とを備えている。
例えば、工作機械制御装置50はパーソナルコンピュータであり(以下、パーソナルコンピュータを「PC」と記載する)、工作機械の入出力を行うためのインターフェースボード(NCボード等)と制御プログラムと周辺機器の入出力を行うためのインターフェースボード(PLCボード等)と制御プログラム(以上が制御手段に相当する)と、シミュレートプログラムとシミュレートに必要なデータ(シミュレート手段)と、グラフィックボードとモニタ(表示手段)とを備えている。
【0029】
●[工作機械制御装置の機能ブロック(図2)]
次に、図2を用いて工作機械制御装置50の機能ブロックについて説明する。
工作機械制御装置50に設けられた機能には、総合管理機能50a、工作機械制御機能50b(制御手段)、故障診断機能50c(異常検出手段)、3次元形状モデル動作機能50d(シミュレート手段)がある。なお、工作機械制御機能50bは、工作機械の本体を制御する工作機械(本体)制御機能50eと、周辺機器(例えば安全装置等)を制御する周辺機器制御機能50fにて構成されている。
【0030】
総合管理機能50aは、入力用機器54(キーボード、マウス等、作業者からの指示を入力する機器)からの信号に基づいて、工作機械(本体)及び周辺機器を予め決められたシーケンスに従って動作させる制御信号を工作機械制御機能50bに出力する。また、総合管理機能50aは、工作機械から入力された各種の検出信号(エンコーダからの信号や、リミットスイッチからの信号等)が入力され、作業工程を総合的に管理している。
また、総合管理機能50aは、故障診断機能50c(異常検出手段)により異常が判定されると、周辺機器制御機能50fから警報ランプ等を点灯させたり、工作機械(本体)制御機能50eから工作機械(本体)を停止させたりする。
【0031】
故障診断機能50cは、工作機械(本体)及び周辺機器への駆動信号及び工作機械(本体)及び周辺機器からの検出信号が入力され、各種の異常判定を行う。なお、異常判定の詳細については後述する。
3次元形状モデル動作機能50dは、予め記憶装置56に記憶されている各パーツ(工作機械及び周辺機器を構成している部品)の3次元形状データ及び3次元座標データと、工作機械(本体)及び周辺機器への制御信号及び工作機械(本体)及び周辺機器からの検出信号とに基づいて、工作機械及び周辺機器の3次元形状モデルを作成及び動作させて表示手段52に出力する(シミュレート表示する)。
また、3次元形状モデル動作機能50dは、入力用機器54及び総合管理機能50aを介して作業者から入力される指示に基づいて、3次元形状モデルの視点位置や拡大率を変更する。なお、各パーツの3次元形状データ及び3次元座標データ、シミュレート表示の方法等の詳細は後述する。
【0032】
このように、本発明の工作機械制御装置50は、1台の装置内に総合管理機能50a、工作機械制御機能50b、故障診断機能50c、3次元形状モデル動作機能50dの、複数の機能を搭載している。
【0033】
●[3次元形状モデルの作成及び動作に用いるデータと、3次元形状モデルの動作方法(図3)]
次に図3を用いて、工作機械制御装置50にて工作機械の3次元形状モデルを作成及び動作させるために必要なデータについて説明する。
工作機械制御装置50には、記憶装置56(Hard Disk Drive等)を備えており、各種の制御プログラム及びデータ等が予め記憶されている。
予め記憶されているデータには以下の(1)及び(2)に示す2種類のデータがある。(1)3次元形状モデルで表示する工作機械(周辺機器を含む)を構成する複数のパーツにおいて、各パーツに対応させて、識別データ(ID、固有名称等)と3次元形状データと3次元座標データとを含む静的パーツデータ(パーツ情報に相当する)。
(2)3次元形状モデルで表示する工作機械(周辺機器を含む)において可動するパーツに関する動作状態を示す検出信号に対応させて、可動の対象となるパーツの識別データと当該検出信号に応じた3次元座標データを含む動的パーツデータ。
【0034】
図3に静的パーツデータと動的パーツデータの例を示す。
まず静的パーツデータについて説明する。
静的パーツデータには、例えば「識別データ」と「移動方向」と「3次元形状ファイル」と「初期座標」がある。
「識別データ」には、パーツに関する「ID」と「名称」があり、「ID」には当該パーツに対応させた識別番号等が設定され、「名称」には作業者が当該パーツの推定を容易にできる名前が設定されている。
「移動方向」には、当該パーツが可動(移動)する場合、移動の方向が設定されている。
「3次元形状ファイル」には、当該パーツを3次元形状モデルで表示するための3次元形状データを有するファイル名が設定されている。
「初期座標」には「X」と「Y」と「Z」があり、工作機械に電源を投入した際における当該パーツの位置を(X、Y、Z)の3次元座標データが設定されている。
【0035】
例えば図3に示す静的パーツデータの1行目は、図1におけるサーボモータ16Aに関するデータを示している。この場合、サーボモータ16Aは、ID:m001、名称:Z軸L側サーボモータ、移動方向:Z軸方向、3次元形状ファイル:Fm001、初期座標(100、100、300)に設定されている。
工作機械制御装置50が工作機械の3次元形状モデルを表示する際において、サーボモータ16Aを初期位置に表示する場合、「3次元形状ファイル:Fm001」から読み込んだデータを、「座標(100、100、300)」に配置して表示する。
【0036】
次に動的パーツデータについて説明する。
動的パーツデータには、例えば「識別データ」と「動作単位」と「信号に対する変換座標」と「動作対象」がある。
「識別データ」には、検出信号に関する「ID」と「名称」があり、「ID」には当該検出信号に対応させた識別番号等が設定され、「名称」には作業者が当該検出信号の推定を容易にできる名前が設定されている。
「動作単位」には、どのような検出信号の状態にて対象パーツを動作させるか、3次元形状モデルにおける対象パーツの動作タイミングが設定されている。
「信号に対する変換座標」には、当該動作タイミングにて、対象パーツを現在の位置からどの方向にどれだけ移動させるかという相対移動量、または対象パーツをどの位置に移動させるかという絶対座標位置が設定されている。
「動作対象」には、当該動作タイミングにて、どのパーツを動作させるか、動作の対象となるパーツの識別データが設定されている。
【0037】
例えば図3に示す動的パーツデータの1行目は、図1におけるエンコーダ17Aからの検出信号に関するデータを示している。この場合、工作機械制御装置50は、エンコーダ17Aからの検出信号にて1パルスが入力される毎に、動作対象:m001(この例ではZ軸L側サーボモータ)、e001(この場合、Z軸L側エンコーダ)を、現在の位置からZ軸方向に「1」移動させる。なお、移動方向については、サーボモータ16Aに出力している制御信号を監視し、制御信号が正転方向ならワークに近づく方向に、制御信号が逆転方向ならワークから遠ざかる方向に移動させればよい。この例は、「信号に対する変換座標」が相対移動量の場合の例である。
また例えば図3に示す動的パーツデータの4行目は、ワークの安全カバー(図示せず)が全閉位置にある場合に出力されるリミットスイッチの検出信号に関するデータを示している。この場合、工作機械制御装置50は、安全カバー全閉リミットスイッチからの検出信号がON状態が入力されると、動作対象:c001(この場合、ワーク安全カバー)を、3次元座標(300、200、1000)に移動させる。この場合、c001:安全カバーが、現在どの位置にあっても3次元座標(300、200、1000)に移動させることになる。この例は、「信号に対する変換座標」が絶対座標位置の場合の例である。
【0038】
上記の2通りの例について、1つ目のエンコーダからの検出信号(パルス信号)は、比較的短時間(例えば1秒以下)に複数入力されるような信号であるため、当該検出信号に基づいて3次元形状モデルを動作させた場合、比較的滑らかに動作させることができる。しかし、2つ目のリミットスイッチからの検出信号では、例えば安全カバーが全開位置から全閉位置まで油圧で動作し、全開から全閉までの動作に3秒を要し、全開位置のリミットスイッチのONで全開を検出し、全閉位置のリミットスイッチのONで全閉位置を検出する。この場合、工作機械制御装置50は、全開位置のリミットスイッチがONからOFFに変化したことで動作の開始(全開位置から全閉に向けて動作開始)を検出し、全閉位置のリミットスイッチがOFFからONに変化したことで動作の終了(全閉位置に到達)を検出することができる。しかし、工作機械制御装置50は、全開位置または全閉位置については、リミットスイッチのONまたはOFFにより検知することができるが、その途中の位置については検出することができない。このように、移動中の位置の検出信号が入力されない区間では工作機械制御装置50が、その位置を推定し、推定した位置に基づいて3次元形状モデルを動作させる。なお、推定には種々の方法があるが、例えば過去n回の動作履歴から平均時間を算出して推定に使用する。
なお、動作中のパーツの色彩を周囲のパーツの色彩と異なる色彩に変更したり、動作中のパーツを点滅させる等することで、動作中のパーツを強調表示(識別可能に表示)すると、作業者にとって動作状態が理解し易いため、より好ましい。
【0039】
●[異常判定と異常表示]
次に故障診断機能50cによる異常判定の例について説明する。
工作機械に種々の検出手段が設けられており、検出手段毎に適した異常検出方法を用いる。
例えば、工作機械の動作環境を検出する温度センサ、気圧センサ等からの検出信号の異常を判定する場合、温度センサならば−30℃〜50℃の範囲からはずれた検出信号を出力してきた場合に異常と判定し、気圧センサならば0.9気圧〜1.1気圧の範囲からはずれた場合に異常と判定する。
また、例えばエンコーダを含むサーボモータの異常を判定する場合、サーボモータに制御信号を出力しているにもかかわらずエンコーダからの検出信号が出力されない場合に異常と判定する。
【0040】
また、例えば全開位置と全閉位置にリミットスイッチを備えた安全カバーの異常を判定する際、全開位置から全閉位置に移動するまで通常約3秒を要するものとした場合、全開位置から動作を開始して6秒経過しても全閉位置に到達しない場合に異常と判定する。
このように、パーツを移動させるための制御信号を出力してから、所定の3次元座標位置に到達するまでの基準時間(この例では3秒)に基づいた異常判定時間(この例では6秒)を超過した場合に、当該パーツに関する異常(リミットスイッチの故障、安全カバーが動作中の経路で異常停止等)が発生したと判定する。
従来このような異常を検出する方法としては、個々の作業工程にてサイクルタイムを監視しており、サイクルタイムが異常に長くなった場合に異常と判定していた。しかし、異常と判定されたサイクルタイム内には、種々のパーツの動作が含まれており、当該種々のパーツを順番に調査して異常の原因となったパーツを特定する必要があったため、異常パーツの特定に多大な時間を要していた。本発明の工作機械制御装置50では、異常パーツ及び当該異常パーツに関するパーツを自動的に判定するので非常に便利である。
【0041】
なお、上記の説明では異常の検出と、検出した異常パーツの強調表示について説明したが、定期的に交換と要する消耗パーツを、交換時期に強調表示させることもできる。例えば消耗パーツについては、予め交換までの許容使用回数が記憶されており、動作させる毎に許容使用回数をカウントダウンする。そして工作機械制御装置50は、許容使用回数が設定されている消耗パーツについて、許容使用回数が0(ゼロ)になったパーツを3次元形状モデルの表示において強調表示して、作業者に交換作業を促す。
【0042】
●[表示手段への表示の例(図4)]
次に図4を用いて、工作機械制御装置50による、表示手段52へ実際に3次元形状モデルをシミュレート表示させた例を示す。
また、表示画面52Aは、作業者からの入力指示に基づいて任意の拡大率にて表示したシミュレート画面の例を示している。
【0043】
また、図4に示す例では、ワーク安全カバー等、作業者が指示した任意のパーツの透明度を変更している。実際の工作機械ではワーク安全カバーは非透明であり、当該ワーク安全カバーの内部で発生した異常については、ワーク安全カバーを開口しなければ異常内容を確認することができない。しかし、本実施の形態に示す工作機械制御装置50では、各パーツの透明度を任意に変更することが可能であるため、図4の表示画面52Aに示すように、ワーク安全カバーを閉じた状態にてその内部の状態を、所望する角度から、所望する拡大率で、所望するパーツを透過させながら、確認することができる。
【0044】
●[工作機械制御装置のソフトウェアの状態遷移と異常表示(図5)]
次に図5を用いて、工作機械制御装置50のソフトウェアの状態遷移について説明する。
停止状態St10は、工作機械制御装置50に電源が供給されていない状態である。この状態から、工作機械制御装置50及び工作機械に電源が供給されると、待機状態St12に遷移し、次の入力指示を待つ。
待機状態St12にてワークがセットされて稼動指示が入力されると、稼動状態St20に遷移する。稼動状態St20では、工作機械制御装置50は工作機械を制御してワークを加工するとともに、工作機械の3次元形状モデルをシミュレート表示させ、同時に故障診断も行う。稼動状態St20にて待機指示が入力されると、待機状態St12に遷移する。
【0045】
また、稼動状態St20にて故障診断により異常が検出されると、自動的に異常停止状態St14に遷移する。
作業者は、異常停止状態St14で停止している工作機械を発見すると(従来は、異常発生を示すランプの点灯と音声の出力を行う)、異常からの復旧作業を行う。作業者は、異常の原因を特定することができて且つ復旧作業を行うことができた場合、復帰指示を入力する。この場合、異常停止状態St14から待機状態St12に遷移する。
本実施の形態にて説明した工作機械制御装置50は、異常が発生して異常停止状態St14に遷移した場合、図4の表示画面52Aに示すように、異常が検出された原因となったパーツを、作業者に識別可能に表示する。具体的には、図4の表示画面52Aに示すように、異常パーツを認識できるように、透過させる必要があるパーツの透明度を高くして(より透明に近くして)、異常パーツの色彩を周囲の色彩に対して誇張した色彩(例えば周囲のパーツが緑色に対して異常パーツを赤色に)にして表示する。なお、図4の表示画面52Aに示す例では、異常パーツに対して更に「装置異常」というコメントを付して、より識別力を向上させている。
【0046】
しかし、異常の種類によっては、表示画面52Aからその異常を特定することが困難な場合もある。特に、複数のパーツの動作により複合的に発生した異常の場合、原因を特定することは非常に困難である。そこで、このような場合、作業者は再現指示いわゆるプレイバックのためのプレイバック起動指示を行い、プレイバック(再現)状態St34に遷移させる。プレイバック(再現)状態St34では、実際の工作機械を停止させた状態にて、異常停止状態St14に陥った時点から所定時間遡った位置から、異常が発生して異常停止状態St14に到るまでの工作機械の動作を、3次元形状モデルにて再現させることができる。これにより、どのパーツの動作中に異常が発生したかを適切且つ容易に3次元表示にて確認することができるため、たとえ非熟練作業者であっても、異常の原因を適切且つ容易に特定することができる。
【0047】
次に、プレイバック(再現)状態St34にて3次元形状モデルにて再現動作をさせる方法及び必要なデータ等について説明する。
工作機械制御装置50は、稼動状態St20において、各パーツに対応させて、時間に応じた3次元座標データを運転状態ログ情報56cに記憶する。例えば図6に示すように、識別データ:m001に対応するパーツについては、時刻00:00:00での座標(100、100、300)、時刻00:00:01での座標(100、100、301)・・と記憶しておく。また、識別データ:m002に対応するパーツについては、時刻00:00:00での座標(100、100、300)、時刻00:00:01での座標(100、100、299)・・と記憶しておく。以下、3次元形状モデルで表示する工作機械において可動する各パーツに対して、時刻及び当該時刻における3次元座標データを記憶した運転状態ログ情報56cを作成する。
【0048】
そして、工作機械制御装置50は、プレイバック(再現)状態St34において、上記に記憶した運転状態ログ情報56cと、可動しない固定パーツの静的パーツデータ56a(図3を参照)に基づいて、工作機械の動作を3次元形状モデルを用いてシミュレート表示して動作を再現する。なお、異常停止状態St14に陥った時点から再現の開始位置までの時間間隔を任意に選定できるようにすることが好ましい(例えば、1分前、2分前、3分前等の所望する位置からの再現を選択できることが好ましい)。
【0049】
ここで図5に示す状態遷移図の説明に戻る。
プレイバック(再現)状態St34等にて作業者が異常の原因を特定できて、異常パーツを特定し、且つ当該異常パーツの位置も3次元形状モデルの表示と実際の工作機械を照らし合わせて確認したとしても、当該異常パーツの修理または交換等を行うことが不明な場合も考えられる。このような場合を想定して、修理交換手順(再現)状態St32が用意されている。
異常停止状態St14にて手順起動指示を入力、あるいは待機状態St12にて手順起動指示を入力すると、修理交換手順(再現)状態St32に遷移する。
【0050】
修理交換手順(再現)状態St32では、作業者は修理または交換を所望するパーツを選択することで、選択したパーツの修理または交換の手順を、3次元形状モデルのシミュレート表示にて視覚的に確認することができる。
工作機械制御装置50の記憶装置56には、予め修理または交換の手順に従った動作について、各パーツに対応させて、時間に応じた3次元座標データが、手順毎に予め記憶されている。
データの構成及び再現の方法は、プレイバック(再現)状態St34にて説明した内容と同様である。なお、プレイバック(再現)状態St34では、稼動状態St20にて記憶したデータを用いるが、修理交換手順(再現)状態St32では、予め記憶されているデータを用いる点が異なる。
【0051】
修理交換手順の3次元形状データの再現を行うには、例えば作業者が、修理交換手順の再現を所望するパーツを選択すると、工作機械制御装置50は、記憶装置56に記憶されている各パーツの修理交換手順のデータの中から、選択されたパーツの修理交換手順のデータを抽出し、抽出したパーツのデータに基づいて3次元形状モデルによる修理交換手順を表示する。
なお、工作機械制御装置50が異常パーツを特定できた場合は、工作機械制御装置50が自動的に当該パーツの修理交換手順のデータを抽出して、3次元形状モデルによる修理交換手順を表示するようにしてもよい。
【0052】
次に図5に示す状態遷移図における任意シミュレーション状態St30について説明する。待機状態St12にて任意シミュレーション起動指示が入力されると、任意シミュレーション状態St30に遷移する。
任意シミュレーション状態St30では、作業者は実際の工作機械を動作させることなく、工作機械の3次元形状モデルを動作させることで、工作機械制御装置50の動作、及び工作機械の動作をシミュレートすることができる。従って、製造ライン等の立ち上げ、または工作機械制御装置50の制御プログラムを変更した場合の動作確認等において有効である。
【0053】
以上に説明したように、本実施の形態にて説明した工作機械制御装置50は、「文字情報」のみでなく「3次元形状モデル情報」をも用いるので、正確且つ効率よく必要な情報を認識及び理解させることができ、工作機械を容易に操作することを可能にする。
【0054】
本発明の工作機械制御装置50は、本実施の形態で説明した構成、接続、処理手順等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
本実施の形態にて説明した静的パーツデータ56a、動的パーツデータ56b、運転状態ログ情報56c等の構成、表示画面等は、本実施の形態の説明に限定されるものではない。
また、本実施の形態の説明に用いた数値等は一例であり、この数値等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の工作機械制御装置50が制御する工作機械の例を説明する図である。
【図2】本発明の工作機械制御装置50の機能ブロックを説明する図である。
【図3】3次元形状モデルの作成及び動作に用いるデータの例を説明する図である。
【図4】本発明の工作機械制御装置50が表示及び動作させる3次元形状モデルの例を示す図である。
【図5】本発明の工作機械制御装置50のソフトウェアの状態遷移図の例を説明する図である。
【図6】プレイバック(再現)または修理交換手順(再現)を行うためのデータの例を説明する図である。
【符号の説明】
【0056】
1 工作機械本体
1a ベッド
2 V字形ガイドウェイ
3 平形ガイドウェイ
6 主軸台
6a チャック
7 心押台
8 主軸サーボモータ
9 エンコーダ
10A、10B、14A、14B 送りねじ
12A、12B、16A、16B サーボモータ
13A,13B、17A、17B エンコーダ
20A 左テーブル
20B 右テーブル
22A 研削砥石台
22B 超仕上げ砥石台
24A 研削砥石
24B 超仕上げ砥石
30A、30B 測定ヘッド
40A 左定寸装置
40B 右定寸装置
W ワーク
50 工作機械制御装置
52 表示手段
54 入力用機器
56 記憶装置
56a 静的パーツデータ(パーツ情報)
56b 動的パーツデータ
56c 運転状態ログ情報



【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械を制御する制御手段と、工作機械の動作に同期させて当該工作機械の3次元形状モデルを動作させることが可能なシミュレート手段と、シミュレート動作させている工作機械の3次元形状モデルを表示する表示手段とを備える、
ことを特徴とする工作機械制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の工作機械制御装置であって、
任意の視点位置及び任意の拡大率にて工作機械の3次元形状モデルを動作させることが可能であるとともに、工作機械の任意のパーツの透明度または色彩の少なくとも一方を任意に変更することが可能である、
ことを特徴とする工作機械制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の工作機械制御装置であって、
3次元形状モデルで表示する工作機械を構成する複数のパーツにおいて、各パーツに対応させて、識別データと3次元形状データと3次元座標データとを含むパーツ情報を記憶しており、
3次元形状モデルで表示する工作機械において可動するパーツに関する動作状態を示す検出信号に基づいて、当該検出信号を、対応する識別データに相当するパーツの座標に変換し、工作機械の動作に同期させて、シミュレート表示している3次元形状モデルを動作させる、
ことを特徴とする工作機械制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の工作機械制御装置であって、
工作機械の少なくとも一部のパーツの異常を検出可能な異常検出手段を備え、異常が検出されたパーツを、シミュレート表示している3次元形状モデルにおいて識別可能に表示する、
ことを特徴とする工作機械制御装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の工作機械制御装置であって、
各パーツに対する制御信号を出力した後、当該パーツが平行移動または回転移動の少なくとも一方を含む移動の結果、所定の3次元座標位置に到達したことを検出信号にて検出可能であり、
各パーツに対する制御信号を出力した後、所定の3次元座標位置に到達するまでの間は、当該パーツの3次元座標位置を推定してシミュレート表示している3次元形状モデルを動作させる、
ことを特徴とする工作機械制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の工作機械制御装置であって、
各パーツに対応させて、制御信号を出力した後、所定の3次元座標位置に到達するまでの基準時間に基づいた異常判定時間を記憶しており、
各パーツに対する制御信号を出力した後の経過時間を監視し、経過時間が異常判定時間を超えた場合に、当該パーツに関する異常が発生したと判定する、
ことを特徴とする工作機械制御装置。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれかに記載の工作機械制御装置であって、
各パーツに対応させて、時間に応じた3次元座標データを記録することが可能であり、
記録した3次元座標データに基づいて、工作機械の動作を、3次元形状モデルを用いてシミュレート表示して再現することが可能である、
ことを特徴とする工作機械制御装置。
【請求項8】
請求項7に記載の工作機械制御装置であって、
各パーツに対応させた修理または交換の手順に基づいて、各パーツに対応させた時間に応じた3次元座標データが、手順毎に予め記憶されており、
異常が検出されたパーツの修理または交換の手順を、記憶されている手順の中から選択されると、シミュレート表示している3次元形状モデルにおいて選択された手順を再現することが可能である、
ことを特徴とする工作機械制御装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−85328(P2006−85328A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−268067(P2004−268067)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(000003470)豊田工機株式会社 (198)
【Fターム(参考)】