説明

工作機械用の割り出し装置

【課題】クランプ装置への給電の停止時に、主軸が無負荷の状態で自由に回転してしまうのを抑制し、ワークや工具の破損を防止できるようにする。
【解決手段】フレーム2のベース部11側へ撓みにより変位可能に成された摺動ディスク43を主軸4a側に設けるとともに、当該摺動ディスク43の押圧部43bと接触可能な摩擦面44をベース部11側に設け、摺動ディスク43の押圧部43bを摩擦面44に常に押接させて、主軸4aに対しその回転を許容する回転抵抗を付与する押圧力を常に作用させるようにすることにより、主軸4aの回転軸線205に対する被回転部材の重心Wの位置に偏りが生じていても、主軸4aに対して回転抵抗を与えることができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械用の割り出し装置に関し、特に、回転対象部材(例えば、回転テーブル装置における円テーブル)を支持する主軸を直接駆動型のモータで回転駆動することにより、主軸(ひいては円テーブル)の角度位置を割り出す装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、工作機械に用いられる割り出し装置として、ワーク(被加工物)が載置される円テーブルを主軸に固定し、当該主軸を回転駆動することによって円テーブルを回転させる回転テーブル装置が知られている。回転テーブル装置は、主軸を回転駆動することによって円テーブルの角度位置を割り出し、その割り出した角度位置でワークを加工するために用いられる。この種の割り出し装置は、割り出した角度位置(割出位置)で円テーブルを保持するために、クランプ装置を備えている。
【0003】
クランプ装置は、割出位置において主軸(円テーブル)を回転阻止状態とするためのものであり、カップリング式、ディスク式、スリーブ式の3タイプがある。カップリング式は、噛み合い継手等の手段によって主軸の回転を停止させるものである。ディスク式は、円テーブルに平行なブレーキ板(クランプディスク)を主軸の端面に当接させ、クランプディスクを押圧することによって摩擦により主軸の回転を停止させるものである。スリーブ式は、主軸の外周面にクランプスリーブを当接して摩擦により主軸の回転を停止させるものである。
【0004】
クランプ装置を備えた割り出し装置に関する従来技術の1つとして、特許文献1に記載されたものが存在する。この特許文献1に記載の割り出し装置は、円テーブルの駆動手段として、ウォームギア等の駆動伝達手段を介さずに主軸を回転駆動する直接駆動型(Direct Drive)のモータ(以下、DDモータという)を用いている。特許文献1では、停止位置を保持するためのスリーブ式のクランプ装置(第1の保持装置)が、DDモータによって回転駆動される主軸の外周面に、圧力流体の作用により内径を縮小する方向へ変形するクランプスリーブを当接させ、その摩擦により主軸(円テーブル)の回転を許容しない回転抵抗を主軸に付与して、主軸を回転阻止状態としている。
【0005】
なお、特許文献1に記載のクランプ装置は、圧力流体を供給することによって保持力を発生する流体圧作動型のクランプ装置である。言い換えれば、圧力流体を供給可能な状態、すなわち、クランプ部材を駆動する動力装置への給電が可能な状態で、主軸の回転を許容しない回転抵抗を主軸に付与する装置である。
【0006】
一般に、ウォームギアを用いた割り出し装置は、出力側(ウォームホイール側)から入力側(ウォーム側)への回転を伝達しないセルフロック機能を有している。これに対して、DDモータで主軸を回転駆動する割り出し装置には、上記のようなセルフロック機能が存在しない。そのため、停電の発生等によって工作機械への給電が断たれて、クランプ装置のクランプ部材を駆動する動力装置への給電が停止すると、クランプ装置による保持力が失われ、その結果、主軸は自由に回転し得る状態となる。
【0007】
ところで、上記のような割り出し装置を主軸の回転軸線が略水平方向となるように設置した場合(いわゆる縦置き)等において、回転対象部材である円テーブルにワーク等の被回転部材を取り付けたとき、その被回転部材の重心の位置が主軸の回転軸線に対し偏っており、重力の影響で被回転部材が回転方向の力を主軸に作用させる状態となる場合が多々ある。この場合において、上記のようにクランプ装置が保持力を失って主軸が自由に回転し得る状態となると、上記重心の偏りによる回転力により主軸が回転し、円テーブルを介して主軸に支持された被回転部材が不用意に回転する。そして、そのときの円テーブルやワークの傾斜角度によっては、ワークがその近傍に位置する工作機械の一部および工具と衝突して破損してしまうといった問題が生じる。また、ワークの不用意な回転によって、工具にワークが衝突すると、ワークだけでなく工具も破損してしまうといった問題も生じる。
【0008】
このような問題を解決する構成として、特許文献1に記載の割り出し装置ではさらに、主軸の角度位置を割り出すクランプ装置(第1の保持装置)とは別に、動力装置への給電の停止時に主軸に対して保持力を作用させる別のクランプ装置(第2の保持装置)を備える。なお、第2の保持装置は、例えば無励磁作動型のブレーキであって、動力装置への給電時にはアンクランプ状態となっており、動力装置への非給電時時にクランプ状態に遷移する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−125640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1に記載の割り出し装置によれば、停電の発生等によって第1の保持装置のクランプ部材を駆動する動力装置への給電が停止して第1の保持装置による保持力が失われた場合でも、第2の保持装置が作動し、第2の保持装置による保持力が主軸に作用する。しかしながら、第2の保持装置が完全にクランプ状態へと移行するまでに僅かであるが時間を要するため、第1の保持装置による保持力が失われてから第2の保持装置によって主軸を保持状態とするまでに遅れが生じる。そのため、この遅れ時間の間に主軸が自由に回転し、ワークや工具が破損してしまうことがあるという問題があった。
【0011】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、クランプ装置のクランプ部材を駆動する動力装置への給電の停止時に、主軸が回転抵抗の作用しない状態で自由に回転してしまうのを抑制し、ワークや工具の破損を防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した課題を解決するために、本発明では、主軸に対しその回転を許容する回転抵抗を付与する回転抵抗付与装置において、フレーム側および主軸側の一方に設けられた摩擦面に対向するようにフレーム側および主軸側の他方に設けられた押圧部材と、当該押圧部材を摩擦面に向けて自身の反発力により付勢して押圧部材を摩擦面に対し常に押接させる付勢手段とを設けている。
【発明の効果】
【0013】
上記のように構成した本発明によれば、主軸に対して回転抵抗が常に作用しているので、クランプ部材を駆動する動力装置への給電が停止したときに、給電の停止から遅れることなく、主軸の回転軸に対する回転対象部材の重心の偏りに起因して主軸が回転することに対し抵抗を与えることができる。これにより、主軸が回転抵抗の作用しない状態で自由に勢いよく回転してしまうのを抑制し、ワークや工具の破損を防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】クレードルタイプの割り出し装置の一部として縦置きに設置された回転テーブル装置に本発明を適用した例を示す図である。
【図2】本発明による割り出し装置の構成例を示す図である。
【図3】本発明による回転抵抗付与装置の一部構成例を示す図である。
【図4】本発明による回転抵抗付与装置の一部構成例を示す図である。
【図5】本発明による割り出し装置の他の構成例を示す図である。
【図6】本発明による回転抵抗付与装置の他の一部構成例を示す図である。
【図7】本発明による回転抵抗付与装置の他の一部構成例を示す図である。
【図8】本発明による割り出し装置の他の構成例を示す図である。
【図9】本発明による回転抵抗付与装置の他の一部構成例を示す図である。
【図10】本発明による回転抵抗付与装置の他の一部構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態は、クレードルタイプの割り出し装置の一部として縦置きに設置された回転テーブル装置に本発明を適用した例である。なお、以下の説明において、「軸線方向」とは、主軸4aの回転軸線205の回転の方向を指し、「半径方向」とは、同心的に配置された主軸4aおよび円テーブル5の半径方向を指すものとする。また、便宜上、「軸線方向」について、各部材における円テーブル5側を上(上端、上面)とし、その反対側を下(下端、下面)とする。
【0016】
図1に示すように、本実施形態のクレードルタイプの割り出し装置は、共通のベース200に取り付けられた回転テーブル装置1および支持装置201と、一対のアーム203を介して回転テーブル装置1および支持装置201に支持されたクレードル202とを含み、クレードル202の載置面202aに治具および加工対象のワーク204を載置するものである。そして、回転テーブル装置1は、主軸4aの回転軸線205が略水平方向となるように縦置きに設置されている。なお、本実施形態において、回転対象部材は回転テーブル装置1の円テーブル5であり、クレードル202、アーム203、治具およびワーク204は被回転部材である。
【0017】
図2は、図1に示した本実施形態による回転テーブル装置1の構成例を示す図である。本実施形態の回転テーブル装置1は、主軸4aに対して回転抵抗を付与する回転抵抗付与装置10を備えている。
【0018】
図3は、本実施形態による回転抵抗付与装置10の一部構成例を示す図である。本実施形態の回転抵抗付与装置10は、主軸4aに取り付けられている円盤状の摺動ディスク43の一部(押圧部43b)がフレーム2側の摩擦面44に押接することによって、主軸4aに回転抵抗を付与する押圧力を摩擦面44に常に作用させるように成されたディスク式の回転抵抗付与装置である。
【0019】
まず、図2を参照して、回転テーブル装置1の構成について説明する。図2に示すように、回転テーブル装置1は、フレーム2と、フレーム2に対して回転可能に支持された主軸4aと、主軸4aに取り付けられたフランジ4bおよび回転対象部材の円テーブル5と、主軸4aを回転駆動する駆動装置としてのDDモータ6と、主軸4aに対して回転抵抗を付与するクランプ装置48とを含んで構成される。
【0020】
フレーム2は、工作機械に対する設置面となる部分が平坦な面として形成されている。このフレーム2は、ケーシング体28a,28bとベース部材29とを別体に形成し、両者を複数の取付ボルト27によって組み合わせることにより構成されている。ベース部材29は、主軸4aを囲繞する筒状のベース部11を有している。なお、筒状のベース部11は、それ単独の部材として別に形成し、ボルト等によって取り付けられる構成としてもよい。
【0021】
主軸4aは、フレーム2内において筒状のベース部11の内部に挿入され、軸受3によってフレーム2に対し回転可能に支持されている。主軸4aの一端にはフランジ4bが取り付けられ、フランジ4bには円テーブル5が取り付けられている。また、主軸4aの他端は、円盤状の突出部材16の孔16aに挿入され、更にこの孔16aから突出している。なお、突出部材16は、ベース部材29の内周側に複数の取付ボルト31によって取り付けられている。
【0022】
円テーブル5は、中心孔13aの部分を嵌め合いによってフランジ4bの突起に対し位置決めされた状態で、複数の取付ボルト12によってフランジ4bに対し取り付けられている。
【0023】
フランジ4bは、中心孔13bの部分で主軸4aの一端に嵌め合いによって位置決めされた状態で、複数の取付ボルト30により主軸4aの端面に対し取り付けられている。このフランジ4bには、円テーブル5と反対側の面から主軸4aの回転軸線の方向へ延びる筒状の保持部23が一体的に形成されており、この保持部23がベース部11を囲繞するかたちとなっている。なお、保持部23は、フランジ4bと一体に形成されているが、別体に形成されてフランジ4bに取り付けられる構成としてもよい。また、フランジ4bに設けられるものに限らず、円テーブル5または主軸4aに対し、一体に形成されるか、または、別体に形成されて取り付けられるものでもよい。また、円テーブル5とフランジ4b、およびフランジ4bと主軸4aとは、一体に形成されたものであってもよい。
【0024】
主軸4aは、主軸4aの外周面とベース部11の内周面との間に設けられた軸受3により支持されている。図2の例では、主軸4aを支持するために3個の軸受3が組み合わせて設けられている。そして、これらの軸受3の内輪側は、主軸4aの外周面に形成された段部とフランジ4bの中心孔13bの周囲の部分とにより挟み込まれた状態で、主軸4aに対し固定されている。また、軸受3の外輪側は、ベース部11の内周面に形成された段部とベース部11の端面に取付ボルト15によって取り付けられた環状の軸受け押さえ14とにより挟み込まれた状態で、ベース部11に対し固定されている。
【0025】
また、主軸4aには、摺動ディスク43が取り付けられている。この摺動ディスク43は、円盤状の薄板からなる弾性変形可能な部材であって、主軸4aが通る貫通孔を有している。この摺動ディスク43は、その内周側の部分において取付ボルト19によって主軸4aに固定されている。なお、摺動ディスク43については、図3を参照して詳細を後述する。
【0026】
さらに、主軸4aには、突出部材16の孔16aから突出している他端に、回転検出器20の一部を成す被検出リング21が取り付けられている。この回転検出器20は、主軸4aの回転角度(回転量)を検出するためのものであって、主軸4aに取り付けられた被検出リング21と、フレーム2側の突出部材16に取り付けられた検出センサ22とで構成されている。この回転検出器20が設けられる主軸4aの他端側における主軸4aの外周の空間は、カバー部材18によって塞がれている。なお、カバー部材18は、取付ボルト17によってベース部材29に取り付けられている。
【0027】
この主軸4aは、駆動装置によって回転駆動される。駆動装置としては、ギア等の駆動伝達手段を介さずに主軸4aを回転駆動するDDモータ6を採用している。このDDモータ6は、主軸4aの回転軸線に関し主軸4aと同心的に配置されており、モータロータ7およびモータステータ8を含んで構成されている。すなわち、DDモータ6は所謂インナーロータ形である。なお、DDモータ6は、図示しない工作機械の制御装置に接続されており、その制御装置によって駆動が制御される。
【0028】
モータロータ7は、フランジ4bの保持部23の外周面に嵌め込まれた状態で、フランジ4b側から挿入された取付ボルト24により、フランジ4bに対し相対回転不能に取り付けられている。したがって、モータロータ7は、円テーブル5が固定された主軸4aに対し相対回転不能な状態となっている。
【0029】
モータステータ8は、モータロータ7の外周面を囲繞するように配置されている。すなわち、モータステータ8は、その内周面がモータロータ7の外周囲に対向し、モータロータ7の外周面との間に僅かな隙間を形成した状態でフレーム2に取り付けられている。また、モータステータ8は、ステータスリーブ25の内周面に相対回転不能に嵌め込まれている。ステータスリーブ25は、フレーム2におけるケーシング体28aの内周面に嵌め込まれた状態で、フレーム2のベース部材29側から挿入した取付ボルト26によってフレーム2に取り付けられている。したがって、モータステータ8は、フレーム2内において、フレーム2に対し相対回転不能に設けられた状態となっている。
【0030】
クランプ装置48は、環状のクランプピストン45と、押圧力付与装置46とを含んで構成される。押圧力付与装置46は、作動流体供給機構42と、第1および第2の圧力室49a,49bとを備えている。
【0031】
作動流体供給機構42は、フレーム2のケーシング体28aの外側面に向けて開口して形成された第1および第2のポート40a,40bと、ケーシング体28aに形成された第1および第2の連通路39a,39bと、フレーム2のベース部材29に形成された第1および第2の流路(図2には第1の流路38aのみ図示)と、作動流体(例えば、圧油)を供給するための作動流体供給源101と、作動流体のタンク100と、作動流体供給源101に接続された流体供給装置41とを備えて構成されている。
【0032】
第1の流路38aおよびこれに接続された第1の連通路39aは、第1の圧力室49aと第1のポート40aとの間を連通している。第1のポート40aは、フレーム2と別体に設けられた流体供給装置41に接続されている。また、第2の流路(図示せず)およびこれに接続された第2の連通路39bは、第2の圧力室49bと第2のポート40bとの間を連通している。第2のポート40bは流体供給装置41に接続されている。
【0033】
流体供給装置41は、工作機械の制御装置により制御される図示しない切替弁を含む。この切替弁は、一方で作動流体供給源101およびタンク100と流路で接続されており、他方で第1および第2のポート40a,40bと流路で接続されている。流体供給装置41は、クランプピストン45を駆動するための動力装置として、共通の作動流体供給源101から供給される所定の圧力の作動流体を、切替弁により第1および第2のポート40a,40bに選択的に切り替えて供給し、第1および第2の圧力室49a,49bの少なくとも一方に選択的に所定の圧力の作動流体を供給するものである。
【0034】
また、図3に示すように、クランプ装置48において、クランプピストン45は、フレーム2の突出部材16に形成されている環状の案内溝51に対し軸線方向に移動可能な状態で納められている。案内溝51は、フレーム2の突出部材16における摺動ディスク43と対向する部分において、摺動ディスク43側に開口するように形成されている。したがって、案内溝51に収容されるクランプピストン45は、その円テーブル5側の端面(=摺動ディスク43側の端面)が、摺動ディスク43と対向している。また、クランプピストン45の摺動ディスク43側の端面と摺動ディスク43との間には、リターンディスク52が介装されている。
【0035】
リターンディスク52は、略ドーナツ形の薄板からなる弾性変形可能な部材であって、フランジ部材54および突出部材16を介してベース部材29に対して回転不能に固定配置されている。これにより、摺動ディスク43の回転に伴ってクランプピストン45が連れ回ることを防止する。クランプピストン45に対し流体供給装置41からの作動流体による押圧力が作用していない状態では、リターンディスク52は摺動ディスク43に接触していない。一方、クランプピストン45に対し流体供給装置41からの作動流体の圧力が作用している状態では、リターンディスク52は摺動ディスク43に押接し、クランプピストン45の押圧力を摺動ディスク43に伝達する。
【0036】
クランプピストン45は、その内周部の下端に形成されて内周側へ向けて突出する環状の突出部53を有している。そして、この突出部53と摺動ディスク43との間の位置で環状のフランジ部材54が、取付ボルト32によりフレーム2の突出部材16の摺動ディスク43側の端面に取り付けられている(図2参照)。このフランジ部材54の外周面は、クランプピストン45の内周面とシール55を介在させて密着している。
【0037】
フレーム2側において、フレーム2の一部を成すベース部材29のベース部11には、その内周面から半径方向内側へ突出する段部61が形成されている。その段部61の下面(円テーブル5とは反対側の面)は、摺動ディスク43の外周側の端部に位置する押圧部43bの、円テーブル5側の面と対向する。この段部61の下面が、摺動ディスク43の押圧部43bと接触可能な摩擦面44として機能する。なお、摩耗抑制の目的で、摺動ディスク43や摩擦面44に摺動面材(例えば、ターカイトB)を貼着してもよい。
【0038】
主軸4aに固定された摺動ディスク43は、上述のように円盤状の薄板からなる弾性変形可能な部材であって、主軸4aが通る貫通孔を有しており、外周側の端部に位置する押圧部43bを摩擦面44に対向させた状態で、貫通孔側の端部に位置する固定部43aにおいて主軸4a側に固定されている。
【0039】
そして、クランプ装置48においては、クランプピストン45の下端面45a(摺動ディスク43とは反対側の端面)と案内溝51とで囲まれた空間が、クランプ用の第1の圧力室49aとなる。この第1の圧力室49aに対し、押圧力付与装置46の作動流体供給装置42によって所定の圧力の作動流体が供給されると、クランプピストン45の下端面45aがその圧力に応じた押圧力を受け、クランプピストン45がリターンディスク52を介して摺動ディスク43を押圧する。その結果、主軸4aに固定された摺動ディスク43がクランプピストン45(リターンディスク52)とフレーム2側の摩擦面44とで挟持(クランプ)された状態となり、主軸4aがクランプされた状態となる。
【0040】
なお、ここでいうクランプされた状態とは、主軸4aに対しその回転を許容しない回転抵抗を付与して主軸4aを回転不能な状態とすることいい、所謂完全クランプ状態をいう。これに対して、半クランプ状態とは、主軸4aに対しその回転を許容する範囲で回転抵抗を付与する押圧力を作用させる状態をいう。そして、半クランプ状態では、主軸4aの回転が許容されるので、割り出し装置(回転テーブル装置1)は角度位置の割り出し等を問題なく行うことができる。
【0041】
また、クランプ装置48において、クランプピストン45の内周面45bと、クランプピストン45の突出部53における摺動ディスク43側の面45cと、フランジ部材54と、案内溝51の内周面とで囲まれた空間が、アンクランプ用の第2の圧力室49bとなる。上記した作動流体供給装置42による第1の圧力室49aへの作動流体を停止すると共に、この第2の圧力室49bに対し所定の圧力の作動流体が供給されると、クランプピストン45の突出部53における摺動ディスク43側の面45cがその圧力に応じた押圧力を受け、クランプピストン45が摺動ディスク43から離間する方向へ移動する。その結果、上記の完全クランプ状態が解除され、主軸4aが回転可能な状態となる。
【0042】
以上で説明した回転テーブル装置1において、本実施形態では、クランプ装置48における摺動ディスク43が、上述の回転抵抗付与装置10として機能している。言い換えれば、本実施形態では、クランプ装置48を為す一部の構成が回転抵抗付与装置10としても機能している。
【0043】
摺動ディスク43は、固定部43aと、押圧部材としての押圧部43bと、固定部43aと押圧部43bとの間に位置する弾性部材としての弾性変形部43cとを一体の部材として含み、弾性変形部43cが付勢手段として機能する。摺動ディスク43は、フレーム2のベース部11側と主軸4a側との間において弾性変形部43cが撓んだ状態(弾性変形した状態)で固定部43aを主軸4a側に取り付けられ、弾性変形部43cの撓み力(弾性力)により押圧部43bが摩擦面44に向けて付勢されている。これにより、押圧部43bが摩擦面44を常に押接し、主軸4aに対しその回転を許容する回転抵抗を付与する半クランプ用の押圧力を常に作用させるように構成している。
【0044】
具体的には、主軸4aにおける摺動ディスク43が取り付けられる取付面を摩擦面44に対して主軸4aの軸線方向において上側(摩擦面44の部材側)へオフセットさせて設けており、その結果として、平板状の摺動ディスク43における弾性変形部43cが、取付面と摩擦面44との間で撓んだ状態となり、その撓み力(弾性力)により、押圧部43bが付勢されて摩擦面44を押圧している。なお、ここでいうオフセットとは、2つの平面が、互いに平行、かつ、平面と垂直方向に互いに一定の距離をもって位置する状態を指すものとする(以下、同様)。そして、このオフセット量は、弾性変形部43cの弾性変形に応じて押圧部43bに対し摩擦面44へ押圧するように作用する弾性力を、その押圧力によって押圧部43bと摩擦面44との間に生じる摺動抵抗が主軸4aの回転を許容する程度(主軸4aを完全にクランプしない程度)とするように設定されている。
【0045】
図1のクレードルタイプの割り出し装置では、回転対象部材に取り付けられた被回転部材(クレードル202、アーム203、治具およびワーク204)を含めた全体の重心Wの位置に主軸4aの回転軸線205に対する偏りが生じている。
【0046】
回転抵抗付与装置10において、主軸4a側に取り付けられた摺動ディスク43の押圧部43bが、弾性変形部43cの撓み力(弾性力)によって摩擦面44に向けて付勢されて摩擦面44に押接されている。これによって、主軸4aに対しその回転を許容する回転抵抗を付与する半クランプ用の押圧力が常に作用した状態となっており、その結果として、上述の完全クランプ状態以外のときでも、主軸4aに対して半クランプ用の回転抵抗(制動力)が常時付与される。
【0047】
したがって、回転対象部材に取り付けられた被回転部材を含めた全体の重心Wの位置に主軸4aの回転軸線205に対する偏りが生じている状態であって、給電停止時にその重心Wの偏りが主軸4aに対し回転方向の力を作用させる状態にあっても、主軸4aに対して回転抵抗が常に作用しているので、主軸4aが回転抵抗の作用しない状態で自由に勢いよく回転してしまうのを抑制し、ワークや工具の破損を防止することができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、押圧部材と付勢手段とが単一の部材で構成されているので、主軸4aに対し半クランプ用の押圧力を付与するための押圧力付与装置の構成が簡素化され、その結果として、回転テーブル装置1の小型化や製造コストを抑えることができるというメリットも有する。
【0049】
しかも、本実施形態によれば、クランプ装置48の一部である摺動ディスク43が回転抵抗付与装置10として機能する構成となっているので、押圧力付与装置として特別な機構を設ける必要がなく、回転テーブル装置1の小型化や製造コストを抑えることができる。
【0050】
なお、上記実施形態のように摺動ディスク43を用いた回転抵抗付与装置10において、図3に示す例では、主軸4a側に摺動ディスク43を設けるとともに、フレーム2側に摩擦面44を設ける例について説明したが、これに代えて、図4に示すように、フレーム2側に摺動ディスク43を設けるとともに、主軸4a側に摩擦面44を設けることも可能である。ただし、図4の例では、クランプピストン45に連れ回り防止機構(図示せず)を設け、リターンディスク52は設けていない。
【0051】
図4の場合、摺動ディスク43は、貫通孔側の端部に位置するとともに摩擦面44に対向する押圧部43bと、外周側の端部に位置するとともにフレーム2のベース部11側に固定される固定部43aと、押圧部43bと固定部43aとの間に位置する弾性部材としての弾性変形部43cとを含む。
【0052】
また、上記実施形態では、平板状の摺動ディスク43を設け、固定部43aが取り付けられる取付面の位置と摩擦面44の位置とをオフセットさせる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、摺動ディスク43の半径方向における断面形状をあらかじめ湾曲させて形成し、固定部43aの取付面を基準としたとき、押圧部43bにおける摩擦面44に対向する面が、摩擦面44から摩擦面44の部材側にオフセットした位置となるように構成して、該摺動ディスク43を摩擦面44と取付面との間で撓ませて取り付けるようにしてもよい。この場合に、固定部43aが取り付けられる取付面の位置と摩擦面44の位置とを、オフセットさせなくてもよいし、オフセットさせるようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、各部材における円テーブル5とは反対側の面を摩擦面44として設ける例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、段部61や主軸4aにおける円テーブル5側の面を摩擦面44として設けてもよいし、円テーブル5におけるフレーム2側の面を摩擦面44として設けるようにしてもよい。
【0054】
次に、本発明による他の実施形態を図面に基づいて説明する。図5、6は、他の実施形態による回転テーブル装置1’および回転抵抗付与装置10’の構成例を示す図である。なお、この図5、6において、図2、3に示した符号と同一の構成であるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0055】
図5に示す回転テーブル装置は、クランプ装置48’の部分を除いては図2に示す回転テーブル装置1と同一である。また、図6に詳細を示すクランプ装置48’については、基本的には図3に示すクランプ装置48と同じ構造であるが、クランプ装置48のクランプピストン45に相当する部分が、2つの部材、すなわち、クランプピストン45’とピストン50とで構成されている。
【0056】
また、図6に示すように、クランプ装置48’において摺動ディスク43自体は、クランプ装置48と同様に、半径方向に湾曲していない平板状であるが、主軸4a側の摺動ディスク43の取付面とフレーム2側の摩擦面44とはオフセットしていない。そのため、摺動ディスク43は、押圧力を受けていない状態では、撓みのない平板状となっている。
【0057】
このようなクランプ装置48’を備えた回転テーブル装置1’において、本実施形態では、回転抵抗付与装置10’は、摺動ディスク43が押圧部材として機能し、ピストン50が付勢手段の一部として機能する。すなわち、本実施形態においても、クランプ装置48’の一部が回転抵抗付与装置10’として機能する構成となっているが、図3の実施形態とは異なり、付勢手段が押圧部材とは別体に設けられている。詳しくは、以下の通りである。
【0058】
ピストン50は、クランプピストン45’とリターンディスク52との間に設けられたリング状の部材であり、クランプピストン45’とリターンディスク52との間において、フランジ部材54によって主軸4aの回転軸線の方向に摺動可能に設けられている。このピストン50には、クランプピストン45’側の面に複数の穴50aが円周方向に所定の間隔をおいて形成されている。そして、ピストン50により摺動ディスク43に押圧力を作用させるべく、各穴50a内には、バネ部材63が設けられている。したがって、このピストン50とバネ部材63とにより付勢手段が構成される。
【0059】
なお、このバネ部材63は、圧縮バネであり、ピストン50に対し、摺動ディスク43側への付勢力(弾性力)を作用させている。また、このバネ部材63は、クランプ装置43による主軸4a(摺動ディスク43)のクランプが行われていない状態、すなわち、クランプピストン45’の端面45aに油圧が作用していない状態においても圧縮状態となっていてピストン50に対し付勢力を作用させており、且つ、その圧縮状態での付勢力(弾性力)によって摺動ディスク43に作用する押圧力により生じる摺動ディスク43と摩擦面44との間に生じる摺動抵抗が、主軸4aの回転を許容する程度(主軸4aを完全にクランプしない程度)とするように設定されている。
【0060】
このように回転抵抗付与装置10’においては、主軸4a側に取り付けられた摺動ディスク43に対し、バネ部材63の弾性力によってピストン50を介して押圧力が常時作用しており、摺動ディスク43が摩擦面44に対し常に押接された状態となっている。これによって、主軸4aに対しその回転を許容する回転抵抗を付与する半クランプ用の押圧力が常に作用した状態となっており、その結果として、完全クランプ状態以外のときでも、主軸4aに対して半クランプ用の回転抵抗(制動力)が常時付与される。
【0061】
この実施形態によれば、バネ部材63を円周方向に亘って所定の間隔をおいて複数個備える構成とすることにより、摺動ディスク43が摩擦面44を円周方向に亘ってより均等に押圧することができる。
【0062】
なお、図5および図6の実施形態ではリターンディスク52を設けているが、本発明はこれに限定されない。例えば、図7に示すようにリターンディスク52を省略し、半クランプ用のピストン50や完全クランプ用のピストン45’に連れ回り防止機構(図示せず)を設けてもよい。
【0063】
次に、本発明による更に他の実施形態を図面に基づいて説明する。図8、図9は、他の実施形態による回転テーブル装置1”および回転抵抗付与装置10”の構成例を示す図である。なお、この図8、図9において、図2、図3に示した符号と同一の符号を付したものは同一の構成であるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0064】
本実施形態の回転テーブル装置1”は、図2等の回転テーブル装置とは異なり、クランプ装置としてスリーブ型のクランプ装置48”を備えた例である。このスリーブ型のクランプ装置48”は、これ自体公知のものであって、クランプスリーブ71と作動流体供給機構42”とを含む。
【0065】
クランプスリーブ71は、フレーム2のベース部11と主軸4a側のフランジ4bにおける保持部23との間に配置される筒状のクランプ部71aと、クランプ部71aに続いて半径方向に延びるフランジ部71bとを有している。そして、クランプ部71aがベース部11の外側に嵌装されるとともに、フランジ部71bがフレーム2のベース部材29に対し取付ボルト72によって取り付けられている。クランプ部71aは、その外周面が保持部23の内周面に対向して非接触の状態で配置され、内周面がベース部11の外周面に対し2つのシール73を介して密着している。
【0066】
クランプスリーブ71における、クランプ部71aには、内周面に溝が形成されており、溝に対応する部分が肉厚の薄い薄肉部71cとなっている。そして、溝の内面とベース部11の外周面とで囲まれた空間は、作動流体が供給される圧力室49になる。
【0067】
作動流体供給機構42”は、フレーム2のケーシング体28aに形成されたポート40と、ケーシング体28aに形成された連通路39と、フレーム2のベース部材29に形成された流路38と、クランプスリーブ71に対し作動流体を供給するための作動流体供給源101と、作動流体のタンク100と、作動流体供給源101に接続された流体供給装置41”とを備えて構成されている。
【0068】
圧力室49は、流路38、連通路39およびポート40とを介して流体供給装置41”に接続されている。そして、このようなクランプ装置48”においては、流体供給装置41”から圧力室49に作動流体が供給されると、クランプスリーブ71の薄肉部71cが油圧によって拡径し、主軸4a側の保持部23に対し押圧力が作用し、これにより主軸4aを完全クランプ状態とする。
【0069】
このようなクランプ装置48”を備えた回転テーブル装置1”において、本実施形態では、クランプ装置48”(クランプスリーブ71)とは別体に設けられた押圧部材としてのピストン50”および付勢手段としてのバネ部材63”により構成される回転抵抗付与装置10”が設けられている。
【0070】
すなわち、回転抵抗付与装置10”は、フレーム2側のベース部11に設けられたバネ部材63”の付勢によりピストン50”を主軸4a側の摩擦面44”へ常に押接させることにより押圧力を作用させるようにした、ピストン式の回転抵抗付与装置である。なお、この実施形態では、フランジ4bにおける保持部23の端面が摩擦面44”として機能する。
【0071】
この回転抵抗付与装置10”において、押圧部材としてのピストン50”は、クランプスリーブ71のフランジ部71bに対し円周方向に亘って複数形成された軸線方向に貫通する貫通穴のそれぞれに、軸線方向に移動可能な状態で収められている。
【0072】
また、付勢手段としてのバネ部材63”は、クランプスリーブ71の各貫通穴に対応してベース部11側に設けられた複数の穴に収められている。このバネ部材63”は、圧縮バネであって、ベース部11側の穴の底面とピストン50”の端面との間において圧縮状態で設けられ、弾性力によりピストン50”を摩擦面44”への押圧方向に常に付勢している。そして、バネ部材63”は、バネ部材63”の弾性変形に応じて半クランプ用のピストン50”に対し摩擦面44”へ押圧するように作用する弾性力を、その圧縮状態での弾性力によってピストン50”が摩擦面44”に作用させる押圧力によって生じるピストン50”と摩擦面44”との間に摺動抵抗が、主軸4aの回転を許容する程度(主軸4aを完全にクランプしない程度)となるよう設定されている。
【0073】
そして、このように構成された回転抵抗付与装置10”によれば、ピストン50”によりクランプスリーブ71を介して主軸4aに対しその回転を許容する回転抵抗を付与する半クランプ用の押圧力が常に作用した状態となっており、その結果として、上述の完全クランプ状態以外のときでも、主軸4aに対して半クランプ用の回転抵抗(制動力)が常時付与される。
【0074】
また、本実施形態によれば、バネ部材63”を円周方向に亘って所定の間隔をおいて複数個備える構成とすることにより、ピストン50”が摩擦面44”を円周方向に亘ってより均等に押圧することができる。
【0075】
なお、図8および図9の実施形態では、フレーム2側にピストン50”およびバネ部材63”を設けるとともに、主軸4a側に摩擦面44”を設ける例について説明したが、これに代えて、図10に示すように、主軸4a側にピストン50”およびバネ部材63”を設けるとともに、フレーム2側に摩擦面44”を設けるようにしてもよい。
【0076】
この場合、クランプスリーブ71のフランジ部71bの上端面が摩擦面44”として機能する。また、主軸4a(フランジ4b)の保持部23の下端面に、円周方向に複数個の穴が設けられ、各穴のそれぞれにピストン50”が軸線方向に移動可能な状態で収められるとともに、このピストン50”を軸線方向に付勢するバネ部材63”が収められる。このバネ部材63”は、圧縮バネであって、ピストン50”を摩擦面44”への押圧方向に常に付勢する。
【0077】
また、上記各実施形態では、クレードルタイプの割り出し装置の一部として縦置きに設置された回転テーブル装置に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、縦置きに設置された回転テーブル装置の円テーブルに治具およびワークを直接取り付けるタイプの割り出し装置、傾斜テーブル装置における傾斜割り出し装置やワークが固定される回転軸の割り出し装置などであってもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、クランプ装置と回転抵抗付与装置とを備える回転テーブル装置の例についての構成を示したが、本発明はこれに限定されない。工作機械用の割り出し装置にクランプ装置を設けずに回転抵抗付与装置を単独で設けてもよい。
【0079】
その他、上記各実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0080】
1,1’,1” 回転テーブル装置(割り出し装置)
4a 主軸
10,10’,10” 回転抵抗付与装置
43 摺動ディスク
44,44” 摩擦面
45,45’ 完全クランプ用のピストン
48,48’,48” クランプ装置
50,50” ピストン
63,63” バネ部材
71 クランプスリーブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、当該フレームに対し回転可能に支持された主軸と、当該主軸を回転駆動する直接駆動型のモータと、上記主軸に対しその回転を許容する回転抵抗を付与する回転抵抗付与装置とを備えた工作機械用の割り出し装置であって、
上記回転抵抗付与装置は、上記フレーム側および上記主軸側の一方に設けられた摩擦面に対向するように上記フレーム側および上記主軸側の他方に設けられた押圧部材と、上記押圧部材を上記摩擦面に向けて付勢して上記押圧部材を上記摩擦面に対し常に押接させる付勢手段と
を備えたことを特徴とする工作機械用の割り出し装置。
【請求項2】
上記付勢手段は、弾性変形した状態で設けられた弾性部材を含み、当該弾性部材の弾性力により上記押圧部材を上記摩擦面に向けて付勢することを特徴とする請求項1に記載の工作機械用の割り出し装置。
【請求項3】
上記回転抵抗付与装置は、弾性変形可能な部材で形成されて主軸が通る貫通孔を有する円盤状の摺動ディスクを含み、
上記摺動ディスクは、外周側および貫通孔側の一方の端部に位置するとともに上記摩擦面に対向する押圧部材としての押圧部と、外周側および貫通孔側の他方の端部に位置するとともに上記フレーム側および上記主軸側の他方に固定される固定部と、上記押圧部と上記固定部との間に位置する弾性部材としての弾性変形部とを含むことを特徴とする請求項2に記載の工作機械用の割り出し装置。
【請求項4】
上記弾性部材は、弾性変形した状態で設けられたバネ部材であることを特徴とする請求項2に記載の工作機械用の割り出し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−20378(P2012−20378A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160763(P2010−160763)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(000215109)津田駒工業株式会社 (226)
【Fターム(参考)】