説明

工作機械

【課題】
切屑の形状に応じて、切屑を吸引して機外に排出し、又はクーラントの供給により切屑をテーブル下部等に流下させることのできる工作機械を提供することを課題としている。
【解決手段】
ワーク92を加工した際に発生する切屑を吸引通路101,751,…,91を介して吸引する切屑吸引装置10と、前記ワーク92の加工点に対して供給通路201,751,…,91を介してクーラントを供給するクーラント供給装置20と、前記切屑吸引装置10と前記クーラント供給装置20とを切り換えて作動させる切換装置11とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工部材を加工した際に発生する切屑を吸引し、または、前記被加工部材へクーラントを供給するようにした工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
回転工具を用いて被加工部材(以下、ワークと記す)に穿孔加工を施す際に発生した切屑が、穿孔内部に溜まることがある。孔内部に溜まる切屑は、穿孔加工で発生する熱によって、高温に熱せられた結果、硬化する。そのような切屑に回転工具が干渉した場合、該回転工具にこれの耐久性能を超える負荷が加わり、回転工具が破損するおそれがある。
【0003】
また、切屑が工作機械内の広範囲に亘って飛散し、加工終了後の清掃作業が煩雑になるという問題も発生する。
【0004】
前記問題点の解決方法として、従来、例えば、加工時に発生した切屑を、工具の先端に設けた流入孔より吸い上げ、工具に設けた貫通孔、主軸内部に設けた切屑移送管を通じて外部に排出する切屑吸引装置を設けたものがある。
【0005】
また、特許文献1には、工具、ワーク又はテーブル等に向かって、クーラント供給ノズルからクーラントを吐出するクーラント供給装置を設けたものが開示されている。このクーラント供給装置では、クーラントを供給することにより切削点における温度上昇を抑え、さらには、加工時に発生した切屑を、ワーク又はテーブル上から流下させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−301427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記従来の切屑吸引装置を設けた場合、切屑が粉末状をなしている場合には確実に吸引できるものの、切屑の形状、大きさによっては効率良く吸引できなかったり、あるいは切削点の温度が異常に上昇するおそれがある。
【0008】
一方前記特許文献1のクーラント供給装置を設けた場合は、切削点の温度がさほど上昇しない場合でも切屑がテーブルの下方に溜まるので、これを機外に排出する切屑排出装置が必要となり、装置コストが増加するという問題がある。
【0009】
本発明は、前記従来の状況に鑑みてなされたもので、切屑の形状に応じて、切屑を吸引して機外に排出し、又はクーラントの供給により切削点の温度上昇を回避することのできる工作機械を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、主軸頭と、該主軸頭により回転自在に支持された主軸と、該主軸に着脱可能に装着された工具ホルダとを備えた工作機械において、被加工部材を加工した際に発生する切屑を吸引通路を介して吸引する切屑吸引装置と、前記被加工部材の加工点に対して供給通路を介してクーラントを供給するクーラント供給装置と、前記切屑吸引装置と前記クーラント供給装置とを切り換えて作動させる切換装置とを備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の工作機械において、前記切屑吸引装置の吸引通路及び前記クーラント供給装置の供給通路は、前記主軸及び工具ホルダを貫通するように形成され、かつ前記吸引通路が前記供給通路を兼ねていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、切屑を吸引する切屑吸引装置とクーラントを供給するクーラント供給装置とを切り換えて作動させる切換装置を備えているので、ワークを加工した際に発生する切屑の形状、大きさ等の性状に応じて、あるいは切削点の温度がさほど上昇しない場合には、切屑を吸引して機外に排出し、又は、切削点の温度上昇が高い場合には、クーラントを供給することにより、切削点の異常な温度上昇を回避することができ、切屑の除去あるいは切削点の冷却を必要に応じて選択できる。そのため、多様なワークの種類や加工条件に対応することが可能となる。
【0013】
請求項2の発明によれば、前記切屑吸引装置の吸引通路及び前記クーラント供給装置の供給通路を主軸及び工具ホルダを貫通するように形成し、かつ前記吸引通路が前記供給通路を兼ねているので、別設のクーラント供給ノズルを必要とせず、安価な構成により、ワークを加工した際に発生する切屑の除去あるいは切削点の冷却を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1による門形マシニングセンタの斜視図である。
【図2】前記門形マシニングセンタのユニバーサルヘッドの断面側面図である。
【図3】前記図2の主軸部分の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0015】
図1ないし図3は、本発明の実施例1による工作機械を説明するための図である。
【0016】
図において、1は工作機械の1例としての門形マシニングセンタを示している。この門形マシニングセンタ1は、床面上に設置されたベッド11と、該ベッド11の、正面(X軸方向)から見て左,右側部に配置された左,右のコラム12,12と、水平に左右方向に延び、前記コラム12,12の上端に支持されたクロスレール13とを有する。
【0017】
前記ベッド11上には、テーブル17がX軸方向(前後方向)に移動可能に設置されている。
【0018】
前記クロスレール13には、サドル14がY軸方向(左右方向)に移動可能に設置されている。該サドル14にはラム15がZ軸方向(垂直方向)に移動可能に設置されている。
【0019】
前記ラム15内には、垂直方向に延びる旋回中心軸線151と平行な支持部材貫通孔152が形成されている。該支持部材貫通孔152内には旋回中心軸153が内嵌され、軸受154及び図示しない上部軸受を介して前記ラム15に旋回可能に軸支されている。
【0020】
前記旋回中心軸153の外周面にはロータ155が固定され、前記支持部材貫通孔152にはステータ156が固定されている。該ステータ156は、前記ロータ155の外周面から径方向外側に一定間隔を隔てて該ロータ155を取り囲むように配置されている。前記ステータ156に電流を供給することによって、前記ロータ155が回転駆動され、前記旋回中心軸153は前記旋回中心軸線151を中心にして旋回する。
【0021】
前記ラム15の下部には、ユニバーサルヘッド16が設置されている。該ユニバーサルヘッド16は、水平面内での旋回動作であるC軸回り移動と、垂直面内での旋回動作であるA軸回り移動を行う。
【0022】
前記ユニバーサルヘッド16は、垂直方向に延びる筒体である主軸頭18と、該主軸頭18を前記A軸回りに旋回可能に支持する主軸頭支持部材19とを有する。該主軸頭支持部材19は、前記旋回中心軸153の下端面にボルト締め固定され、前記ラム15により前記C軸回りに旋回可能に支持されている。
【0023】
前記支持部材貫通孔152の下端と前記軸受154との間には、ピストン157が、油圧によって、前記旋回中心軸線151に平行に移動可能となるよう内嵌されている。前記ピストン157の下端面には環状の噛合歯が形成され、前記軸受154の外輪154aの上端面と内輪154bの上端面にも、同心状に環状の噛合歯が形成されている。
【0024】
前記ピストン157の噛合歯、前記軸受154の外輪154aの噛合歯、及び前記軸受154の内輪154bの噛合歯は、3ピースカップリングを構成しており、前記ピストン157が下方向に移動すると、前記ピストン157の噛合歯が、前記軸受154の外輪154aと内輪154bとの両噛合歯に同時に噛み合い、前記主軸頭支持部材19を旋回角度位置にクランプする。
【0025】
前記主軸頭18は、垂直軸方向に延びる主軸2を回転自在に軸支し、該主軸2の先端部には工具ホルダ3が装着されている。また前記主軸頭18内には前記工具ホルダ3を前記主軸2にクランプ・アンクランプするクランプ機構4が備えられている。
【0026】
前記主軸2は、その軸心に、主軸中心線21と平行な主軸貫通孔22を有する筒体であり、該主軸2の下部及び上部が下軸受23及び上軸受24を介して前記主軸頭18に回転自在に軸支されている。
【0027】
前記クランプ機構4は、前記主軸2の主軸貫通孔22内に、主軸中心軸線21と平行に移動可能に内嵌され、前記工具ホルダ3を前記主軸貫通孔22前端部のテーパ孔25にクランプ・アンクランプするドローバ5と、該ドローバ5をアンクランプ方向に移動させる駆動機構6とを有している。
【0028】
前記ドローバ5は、前記テーパ孔25の近傍に配置された複数の係合爪53を前記工具ホルダ3の上端部に形成され係合段部31に係合させる筒状の係合駆動パイプ51と、該係合駆動パイプ51に接続された筒状のドローバ本体52とを有する。
【0029】
前記係合爪53はこれの基端部531を中心に前端の爪部532を径方向に拡開可能に構成されている。前記係合駆動パイプ51の前端にはカム533が形成され、該カム533は前記爪部532の内面に摺接しており、後進位置(図3上方位置)にあるとき該爪部532を前記係合段部31に係合させ、前進位置(図3下方位置)にあるとき前記係合を解除する。
【0030】
前記ドローバ本体52と前記主軸貫通孔22との間には多数の皿ばね54が介在されている。前記皿ばね54は前記ドローバ5をクランプ方向(図3上方向)に付勢している。この付勢力により前記係合駆動パイプ51がクランプ方向に移動すると、前記カム533が前記爪部532を拡開させて前記係合段部31に係合させ、前記工具ホルダ3のテーパ部32を前記テーパ孔25に強固に嵌合させる。
【0031】
前記駆動機構6は、前記主軸頭18の上端部にボルト61により締め付け固定されたケーシング62と、蓋部材63とで形成されたシリンダ孔65内にピストン64を挿入配置した構造のものである。油圧によって該ピストン64が図3の下方に移動すると、押圧プレート56を介して前記ドローバ5を前記皿ばね54の付勢力に抗してアンクランプ方向(図3下方向)に移動させ、前記工具ホルダ3の前記テーパ部32と前記テーパ孔25との嵌合を解除する。
【0032】
前記主軸2の外周面にはロータ26が固定され、前記主軸頭18の内周面にはステータ27が前記ロータ26を、これの外周面から径方向外側に一定間隔を隔てて取り囲むように配置固定されている。前記ステータ27に電流を供給することによって、前記ロータ26が回転駆動され、前記主軸2は前記主軸中心軸線21を中心として旋回する。
【0033】
前記主軸頭18は、前記主軸頭支持部材19に、前記主軸中心軸線21に対して直交する旋回中心軸線191を中心にして、A軸回りに旋回可能に支持されている。
【0034】
前記主軸頭支持部材19には前記旋回中心軸線191と平行な支持部材貫通孔192が形成されている。そして、前記支持部材貫通孔192には、前記主軸頭18の左端部にボルトで固定された旋回中心軸193が内嵌され、該旋回中心軸193は前軸受194及び後軸受195を介して前記主軸頭支持部材19に旋回可能に軸支されている。
【0035】
前記旋回中心軸193の外周面にはロータ196が固定され、前記支持部材貫通孔192にはステータ197が固定されており、該ステータ197は、前記ロータ196の外周面から径方向外側に一定間隔を隔てて該ロータ196を取り囲むように配置されている。前記ステータ197に電流を供給することによって、前記ロータ196が回転駆動され、前記主軸頭18は前記旋回中心軸線191を中心として旋回する。
【0036】
前記支持部材貫通孔192の右端と前記前軸受194との間には、ピストン198が、油圧によって、前記旋回中心軸線191に平行に移動可能となるよう内嵌されている。前記ピストン198の右端面には環状の噛合歯が形成され、前記前軸受194の外輪194aの左端面と内輪194bの左端面にも、同心状に環状の噛合歯が形成されている。
【0037】
前記ピストン198の噛合歯、前記前軸受194の外輪194aの噛合歯、及び前記前軸受194の内輪194bの噛合歯は、3ピースカップリングを構成しており、前記ピストン198が右方向に移動すると、前記ピストン198の噛合歯が、前記前軸受194の外輪194aと内輪194bとの両噛合歯に同時に噛み合い、前記主軸頭18を旋回角度位置にクランプする。
【0038】
前記係合駆動パイプ51の前記カム533内には、その軸心(主軸中心線21)に通路孔34が形成された連結パイプ33が同軸をなすように挿入されており、該連結パイプ33はナット部材35により前記工具ホルダ3内に固定されている。
【0039】
前記工具ホルダ3の下端には、刃具9が取付けられており、該刃具9の軸心(主軸中心線21)には、前記通路孔34に連通する貫通孔からなる通路孔91が形成されている。また、前記係合駆動パイプ51,前記ドローバ本体52の軸心部(主軸中心線21)には、それぞれ、軸方向に貫通する通路孔511,523が形成されており、前記通路孔511は前記通路孔34に、前記通路孔523は通路孔511に、それぞれ連通し、同一径に設定されている。
【0040】
前記ドローバ本体52の上端部521は、主軸側通路パイプ71の下端部711内に挿入されており、該主軸側通路パイプ71は、前記蓋部材63、前記ピストン64内に挿入され、前記蓋部材63にボルトで固定されている。また、前記主軸側通路パイプ71の軸心(主軸中心線21)には、前記通路孔523に連通し、同一径に設定された通路孔713が形成されている。
【0041】
前記主軸側通路パイプ71と前記ドローバ本体52の上端部521との間には、前記通路孔713,523と外部とを遮断するためのシール機構8が設置されており、前記主軸側通路パイプ71と前記上端部521とが相対的に回転可能となるよう接続されている。
【0042】
前記主軸側通路パイプ71の上端部には、通路パイプ72の右端がボルトによって着脱可能に取り付けられ、該通路パイプ72の左端は、前記主軸頭18の上端部へボルトによって着脱可能に取り付けられている。
【0043】
前記通路パイプ72の軸心には、略U字形を成す通路孔721が形成されている。また、該通路孔721の右端は、前記通路孔713に同一径で連通されており、左端は前記主軸頭18に形成された通路孔181の上端面に同一径で連通されている。
【0044】
前記支持部材貫通孔192の軸心(旋回中心軸線191)には、該軸心(旋回中心軸線191)と平行に、支持部材通路パイプ73が配置されている。該支持部材通路パイプ73の右端は、前記主軸頭18の左端面にボルトによって固定されており、前記支持部材通路パイプ73の左端の外周面は、連通パイプ74の下端の内周面に接続されている。
【0045】
前記支持部材通路パイプ73の軸心(旋回中心軸線191)には、通路孔731が形成され、前記連通パイプ74の軸心には、略U字形を成す通路孔741が形成されている。また、前記通路孔731の右端は、前記通路孔181の左端面に同一径で連通されており、左端は前記通路孔741に同一径で連通されている。
【0046】
前記支持部材通路パイプ73の左端の外周面と、連通パイプ74の下端の内周面との接続部には、前記通路孔731,741と外部とを遮断するためのシール機構8が設置されており、前記支持部材通路パイプ73の左端の外周面と前記連通パイプ74の下端の内周面とが相対的に回転可能となるよう接続されている。
【0047】
前記連通パイプ74の上端は、前記主軸頭支持部材19の左端面にボルトによって着脱可能に取り付けられている。前記主軸頭支持部材19の左端面には、中空の円筒部材77が固定されており、前記連通パイプ74の下端は、前記円筒部材77の左端面にボルトによって着脱可能に取り付けられている。
【0048】
前記支持部材貫通孔152の軸心(旋回中心軸線151)には、該軸心と平行に、支持部材通路パイプ75が配置されている。該支持部材通路パイプ75の下端の外周面は、前記主軸頭支持部材19の上端面に設置されている中空の円盤部材76の内周面に接続されている。
【0049】
前記支持部材通路パイプ75の軸心(旋回中心軸線151)には、通路孔751が形成されており、該通路孔751の下端は前記主軸頭支持部材19に形成された通路孔199の上端面に同一径で連通されている。また、前記支持部材通路パイプ75の下端の外周面と、前記円盤部材76の内周面との接続部には、前記通路孔751,199と外部とを遮断するためのシール機構8が設置されており、前記支持部材通路パイプ75の下端の外周面と前記円盤部材76の内周面とが相対的に回転可能となるよう接続されている。
【0050】
前記支持部材通路パイプ75の上端は、通路孔101,201を有する吸引パイプ110,供給パイプ210に分岐されており、該吸引パイプ110には切屑吸引装置10が接続され、前記供給パイプ210にはクーラント供給装置20が接続されている。前記通路孔101,201は前記通路孔751と同一径になっている。
【0051】
前記吸引パイプ110,前記供給パイプ210には、前記切屑吸引装置10と前記クーラント供給装置20とを切り換えて作動させる切換装置11を構成する切換バルブ111,112がそれぞれ介設されている。なお、前記切換バルブ111,112の全開時の内径は、前記通路孔101,201と略同一径に構成されている。
【0052】
前記通路孔101,751,199,741,731,181,721,713,523,511,34及び91によって吸引通路が構成されており、前記通路孔201,751,199,741,731,181,721,713,523,511,34及び91によって供給通路が構成されている。つまり、前記吸引通路の通路孔751,199,741,731,181,721,713,523,511,34及び91は供給通路の通路孔を兼ねている。
【0053】
すなわち、マグネシウム合金,合成樹脂及びセラミック等の材質からなるワーク92を加工する場合は、前記切換バルブ111を開くとともに前記切換バルブ112を閉じて、前記切屑吸引装置10をオンにするとともに、前記クーラント供給装置20をオフにする。これにより前記ワーク92の切削加工により発生した切屑は、前記切屑吸引装置10により前記ワーク92の切削点から吸引され、前記吸引通路を介して機外へ排出される。
【0054】
一方、鉄及び真鍮等の材質からなるワーク92を加工する場合は、前記切換バルブ112を開くとともに前記切換バルブ111を閉じて、前記クーラント供給装置20をオンにするとともに、前記切屑吸引装置10をオフにする。これにより、前記クーラント供給装置20から前記供給通路を介してクーラントが前記ワーク92の切削点に供給される。
【0055】
なお、図示していないが、前記切屑吸引装置10により吸引され機外に排出された切屑は、切削粉フィルタにより捕捉され、切削粉バケットに貯留される。また、前記クーラント供給装置20により供給されたクーラントは、クーラント貯蔵槽に集められ、ポンプ,フィルタ等を介して前記クーラント供給装置20に送られ、再利用される。
【0056】
本実施例では、切屑を吸引する切屑吸引装置10とクーラントを供給するクーラント供給装置20とを切り換えて作動させる切換装置11を備えている。そのため、ワーク92を加工した際に発生する切屑の形状、大きさ等の性状に応じて、あるいは、切削点の温度がそれほど上昇しない場合は、切屑を吸引して機外に排出する一方、切削点の温度が高くなる場合は、クーラントを供給することにより、切削点の異常昇温を回避することができ、切屑の除去あるいは切削点の冷却を必要に応じて選択できる。そのため、多様なワークの種類や加工条件に対応することが可能となる。
【0057】
また、前記切屑吸引装置10の吸引通路101,751,…,91及び前記クーラント供給装置20の供給通路201,751,…,91を前記主軸2及び前記工具ホルダ3を貫通するように形成し、かつ前記吸引通路101,751,…,91が前記供給通路201,751,…,91を兼ねているので、別設のクーラント供給ノズルを必要とせず、安価な構成により、ワークを加工した際に発生する切屑の除去あるいは切削点の冷却を行うことができる。
【0058】
なお、前記実施例1では、前記切換バルブ111,112で切換操作を手動で行う場合を説明したが、バルブによる切換に限定されないのは勿論であり、また、切換操作を自動で行ってもよい。
【0059】
また、前記実施例1では、ユニバーサルヘッドを備えた工作機械の場合を説明したが、本発明は、ユニバーサルヘッドを備えていない工作機械にも勿論適用できる。
【0060】
さらには、前記切屑吸引装置10の吸引通路と前記クーラント供給装置の供給通路とは、別個独立のものとして設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 門形マシニングセンタ(工作機械)
2 主軸
3 工具ホルダ
10 切屑吸引装置
11 切換装置
18 主軸頭
20 クーラント供給装置
92 被加工部材(ワーク)
101,751,…,91 吸引通路
201,751,…,91 供給通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主軸頭と、該主軸頭により回転自在に支持された主軸と、該主軸に着脱可能に装着された工具ホルダとを備えた工作機械において、
被加工部材を加工した際に発生する切屑を吸引通路を介して吸引する切屑吸引装置と、前記被加工部材の加工点に対して供給通路を介してクーラントを供給するクーラント供給装置と、前記切屑吸引装置と前記クーラント供給装置とを切り換えて作動させる切換装置とを備えた
ことを特徴とする工作機械。
【請求項2】
請求項1に記載の工作機械において、
前記切屑吸引装置の吸引通路及び前記クーラント供給装置の供給通路は、前記主軸及び工具ホルダを貫通するように形成され、かつ前記吸引通路が前記供給通路を兼ねている
ことを特徴とする工作機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−51064(P2011−51064A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202934(P2009−202934)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000146847)株式会社森精機製作所 (204)
【Fターム(参考)】