説明

工業用殺菌組成物

【課題】 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを使用し、低温でも安定した分散状態を維持することができる、工業用殺菌組成物を提供すること。
【解決手段】 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(BIT)10〜40重量%と、1,3−プロパンジアミンなどのプロパンジアミン(PDA)5〜75重量%と、水10〜85重量%と、を配合して、工業用殺菌組成物を得る。好ましくは、水の含有割合Wを、BITの含有割合Bに対するPDAの含有割合Pの比P/Bに対して、式(1):
W≧−58.1(P/B)+79 …(1)
で示される範囲となるように設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業用殺菌組成物、詳しくは、細菌、かび、酵母、藻の防除剤として用いられる工業用殺菌組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の工業製品には、細菌、カビ、酵母、藻などの有害な微生物が繁殖しやすく、生産性や品質の低下、悪臭の発生などの原因になっている。そのため、工業製品には、細菌、カビ、酵母、藻に対して防除効果を発現する種々の工業用殺菌組成物を添加することが広く知られている。
また、このような工業用殺菌組成物として、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンが広く知られている。
【0003】
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンは、従来、水分散液やペースト状物として使用されているが、この水分散液やペースト状物は界面活性剤などを含有することから、添加対象の工業製品に不具合を生じさせる場合がある。
そこで、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを、有機アミン化合物とともに、水中に溶解させることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特公昭54−10612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、例えば、エチレンジアミンなどの有機アミン化合物には、人体への有害性が指摘され、特定化学物質の環境への排出量の把握及び管理の改善の促進に関する法律(化学物質排出把握管理促進法)によるPRTR制度の指定化学物質の指定や、労働安全衛生法による名称等を通知すべき有害物の指定を受けているものがあり、取扱いが不便である。
また、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを、有機アミン化合物とともに水中に溶解させて、常温で一様に溶解された水溶液として調製した場合であっても、例えば、−5℃のような低温環境下では、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンが晶出して、工業用殺菌組成物としての使用に不便をきたすという不具合もある。
【0005】
そこで、本発明は、上記のような不具合に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを使用し、低温でも安定した溶解状態を維持することができる、工業用殺菌組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明者らは、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの水中での溶解を補助する有機アミン化合物として、化学物質排出把握管理促進法や労働安全衛生法による指定を受けていないプロパンジアミンに着目してさらに検討を重ねたところ、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、プロパンジアミンおよび水を所定の割合で含有させたときは、常温環境下だけでなく、低温環境下であっても、水中にて1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを安定して分散させることができるという新たな知見を見出し、さらに研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1) 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、プロパンジアミンおよび水を含み、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの含有割合が10〜40重量%、プロパンジアミンの含有割合が5〜75重量%、水の含有割合が10〜85重量%であり、かつ
、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの含有割合Bに対するプロパンジアミンの含有割合Pの比P/Bと、水の含有割合Wとが、下記式(1)で示される範囲を満たすように設定されていることを特徴とする、工業用殺菌組成物、
W≧−58.1(P/B)+79 …(1)
(2) 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの含有割合が25〜40重量%であり、プロパンジアミンの含有割合が5〜50重量%であることを特徴とする、前記(1)に記載の工業用殺菌組成物、
(3) 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、プロパンジアミンおよび水を含み、
前記1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、前記プロパンジアミンおよび前記水の組成範囲が、これらの組成を重量%で示す図2において、
前記1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンが10重量%、前記プロパンジアミンが5重量%および前記水が85重量%の組成を示す第1の点Aと、
前記1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンが25重量%、前記プロパンジアミンが5重量%および前記水が70重量%の組成を示す第2の点Bと、
前記1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンが30重量%、前記プロパンジアミンが10重量%および前記水が60重量%の組成を示す第3の点Cと、
前記1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンが40重量%、前記プロパンジアミンが50重量%および前記水が10重量%の組成を示す第4の点Dと、
前記1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンが20重量%、前記プロパンジアミンが75重量%および前記水が5重量%の組成を示す第5の点Eと、
前記1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンが10重量%、前記プロパンジアミンが75重量%および前記水が15重量%の組成を示す第6の点Fと、
をこの順に結ぶ6本の直線で囲まれた領域内にあることを特徴とする、工業用殺菌組成物、
(4) 前記プロパンジアミンが、1,3−プロパンジアミンであることを特徴とする、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の工業用殺菌組成物、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の工業用殺菌組成物によれば、常温環境下だけでなく、−5℃程度の低温環境下であっても、水中にて安定して1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを溶解させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の工業用殺菌組成物は、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンと、プロパンジアミンと、水とを含んでいる。
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの含有割合は、工業用殺菌組成物全体の10〜40重量%、好ましくは、25〜40重量%である。
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの含有割合が上記範囲を下回ると、工業用殺菌組成物に占める、細菌、かび、酵母、藻などに対して防除効果を発現する有効成分の含有割合が低くなることから、殺菌対象物への適用時の利便性、貯蔵や輸送時の経済性などの観点から不利である。一方、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの含有割合が上記範囲を上回ると、特に、低温環境下において、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの溶解安定性が損なわれる。
【0010】
プロパンジアミンとしては、例えば、1,3−プロパンジアミン、1,2−プロパンジアミンなどが挙げられる。なかでも、好ましくは、1,3−プロパンジアミンが挙げられる。
プロパンジアミンの含有割合は、工業用殺菌組成物全体の5〜75重量%、好ましくは、5〜50重量%である。
【0011】
プロパンジアミンの含有割合が上記範囲を下回ると、特に、低温環境下において、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの溶解安定性が損なわれる。一方、プロパンジアミンを、上記含有割合の範囲を超えて配合しても、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの溶解安定性に及ぼす影響は小さく、むしろ、工業用殺菌組成物の製造コストの観点から不利である。
【0012】
水の含有割合は、工業用殺菌組成物全体の5〜85重量%、好ましくは、10〜70重量%である。
水の含有割合が上記範囲を下回ると、安定した水溶液として調製するために必要なプロパンジアミンの量が多くなり、工業用殺菌組成物の製造コストの観点から不利になる。一方、水の含有割合が上記範囲を上回ると、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの含有割合が相対的に低くなることから、殺菌対象物への適用時の利便性、貯蔵や輸送時の経済性などの観点から不利である。
【0013】
本発明の工業用殺菌組成物において、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの含有割合Bに対するプロパンジアミンの含有割合Pの比P/Bと、水の含有割合Wとは、好ましくは、下記式(1)で示される範囲を満たすように設定される。
W≧−58.1(P/B)+79 …(1)
上記式(1)は、後述する実施例および比較例の結果に基づいて、算出されたものである。後述する実施例1〜16および比較例1〜9の液剤(工業用殺菌組成物)について、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの含有割合Bに対するプロパンジアミンの含有割合Pの比P/Bと、水の含有割合Wとを変数として、両者の関係をプロットした結果(図1参照)、−5℃の低温環境下で1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンが安定した溶解状態が得られる実施例と、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの分離や濁りが生じる比較例とは、上記2つの変数による1次関数を境界線として、区分けすることができる。
【0014】
上記式(1)を決定する具体的操作手順は、次のとおりである。
まず、プロパンジアミンの含有割合Pを所定の割合に設定し、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの含有割合Bおよび水の含有割合Wを変動させた配合処方(後述する実施例1〜30および比較例1〜9)により、液剤を調製する。
次いで、上記配合処方(実施例1〜30および比較例1〜9)について、P/BとWとの関係を図(後述する図1)にプロットして、上記実施例群と比較例群との境界近傍にあるサンプルを、実施例群および比較例群からそれぞれ2つずつ選択する。なお、上記実施例群からは、実施例22および実施例26の2つを、上記比較例群からは、比較例1および比較例8の2つを、それぞれ選択した。
【0015】
上記図に示したプロットをもとにして、実施例22と実施例26とを直線で結ぶと、P/BとWとの関係式は、下記式(11)で近似される。一方、比較例1と比較例8とを直線で結ぶと、P/BとWとの関係式は、下記式(11)で近似される。
W=−58.1(P/B)+79.3 …(11)
W=−58.1(P/B)+78.1 …(12)
そこで、実施例と比較例との境界線となる直線の傾きを−58.1とし、上記直線のy切片について、79.3と78.1との中間をとることにより、上記式(1)で示される関係式を算出した。
【0016】
こうして得られた、上記式(1)で示される直線は、図1に示すように、実施例と比較例との境界線を示す関数として適切である。
また、本発明の工業用殺菌組成物において、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの含有割合B(重量%)と、プロパンジアミンの含有割合P(重量%)と、水の含有割合W(重量%)とは、図2に示す三角図の点A、点B、点C、点D、点Eおよび点Fをこの順に結ぶ6本の直線で囲まれた領域内にあることが好ましい。
【0017】
また、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの含有割合B(重量%)と、プロパンジアミンの含有割合P(重量%)と、水の含有割合W(重量%)とは、図2に示す三角図の点B、点C、点Dおよび点Gをこの順に結ぶ4本の直線で囲まれた領域内にあることがより好ましい。
上記領域は、上述の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、プロパンジアミンおよび水の含有割合(その好適範囲)と、後述する実施例および比較例の結果とに基づいて、決定されたものである。なお、図2中においては、後述する実施例の組成を黒丸印で示し、比較例の組成を黒三角印で示している。
【0018】
本発明の工業用殺菌組成物は、目的および用途に応じて製剤化すればよく、その剤型は特に制限されないが、例えば液剤として調製することができる。液剤として調製するには、例えば、上記した1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、プロパンジアミンおよび水の各成分を、上記した配合割合となるように配合して、混合すればよい。
このようにして得られる本発明の工業用殺菌組成物では、例えば、−5℃程度の低温環境下であっても、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの分離や濁りが生じることを防止することができ、しかも、細菌、かび、酵母、藻などに対して、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンが有する優れた防除効果を発現することができる。そのため、本発明の工業用殺菌組成物は、例えば、製紙パルプ工場、冷却水循環工程などの種々の産業用水や、切削油などの金属加工用油剤、カゼイン、澱粉粉、にかわ、塗工紙、紙用塗工液、サイズ剤、紙力増強剤、塗料、接着剤、合成ゴムラテックス、インキ、ポリビニルアルコールフィルム、塩化ビニルフィルム、樹脂製品、セメント混和剤、シーリング剤、目地剤などの各種工業製品における工業用殺菌剤として好適に用いられる。
【0019】
なお、本発明の工業用殺菌組成物は、その適用対象に応じて添加量を適宜決定すればよいが、例えば、5〜1000mg(有効成分)/kg(製品)、好ましくは、10〜500mg(有効成分)/kg(製品)の濃度として用いられる。
【実施例】
【0020】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例に用いる成分の略号と、商品名、製造元などを下記に示す。
・BIT:1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(リバソン(株)製、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの含有量80重量%)
・PDA:1,3−プロパンジアミン(和光純薬工業(株)製)
<液剤の調製>
実施例1
BIT25.00重量部、PDA20.00重量部および水55.00重量部を配合して、撹拌機により均一に混合することによって、液剤を得た。
【0021】
こうして得られた液剤について、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの含有割合(有効成分量)Bは20.00重量%、1,3−プロパンジアミンの含有割合Pは20.00重量%であって、両者の比P/Bは1.00であった。また、水の総量の含有割合Wは60.00重量%であった。
実施例2〜5および比較例1〜4
PDAの配合量を20.00重量部とし、BITの配合量を12.50重量部(実施例2)、18.75重量部(実施例3)、31.25重量部(実施例4)、37.50重量部(実施例5)、43.75重量部(比較例1)、50.00重量部(比較例2)、56.25重量部(比較例3)または62.50重量部(比較例4)とし、水の配合量を、液剤全体が100重量部となるように設定したこと以外は、実施例1と同様にして、液剤を得た。
【0022】
こうして得られた液剤について、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの含有割合(有効成分量)B、1,3−プロパンジアミンの含有割合P、比P/Bおよび水の総量の含有割合Wを、下記の表1に示す。
実施例6〜11および比較例5〜7
PDAの配合量を30.00重量部とし、BITの配合量を12.50重量部(実施例6)、18.75重量部(実施例7)、25.00重量部(実施例8)、31.25重量部(実施例9)、37.50重量部(実施例10)、43.75重量部(実施例11)、50.00重量部(比較例5)、56.25重量部(比較例6)または62.50重量部(比較例7)とし、水の配合量を、液剤全体が100重量部となるように設定したこと以外は、実施例1と同様にして、液剤を得た。
【0023】
こうして得られた液剤について、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの含有割合(有効成分量)B、1,3−プロパンジアミンの含有割合P、比P/Bおよび水の総量の含有割合Wを、下記の表2に示す。
実施例12〜15および比較例8、9
PDAの配合量を40.00重量部とし、BITの配合量を25.00重量部(実施例12)、31.25重量部(実施例13)、37.50重量部(実施例14)、43.75重量部(実施例15)、50.00重量部(比較例8)または56.25重量部(比較例9)とし、水の配合量を、液剤全体が100重量部となるように設定したこと以外は、実施例1と同様にして、液剤を得た。
【0024】
こうして得られた液剤について、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの含有割合(有効成分量)B、1,3−プロパンジアミンの含有割合P、比P/Bおよび水の総量の含有割合Wを、下記の表3に示す。
実施例16〜19
PDAの配合量を50.00重量部とし、BITの配合量を25.00重量部(実施例16)、31.25重量部(実施例17)、37.50重量部(実施例18)または43.75重量部(実施例19)とし、水の配合量を、液剤全体が100重量部となるように設定したこと以外は、実施例1と同様にして、液剤を得た。
【0025】
実施例20
PDA50.00重量部およびBIT50.00重量部を配合して、撹拌機により均一に混合することによって、液剤を得た。
実施例16〜20で得られた液剤について、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの含有割合(有効成分量)B、1,3−プロパンジアミンの含有割合P、比P/Bおよび水の総量の含有割合Wを、下記の表4に示す。
【0026】
実施例21および22
PDAの配合量を5.00重量部とし、BITの配合量を25.00重量部(実施例21)または31.25重量部(実施例22)とし、水の配合量を、液剤全体が100重量部となるように設定したこと以外は、実施例1と同様にして、液剤を得た。
実施例23〜26
PDAの配合量を10.00重量部とし、BITの配合量を12.50重量部(実施例23)、18.75重量部(実施例24)、25.00重量部(実施例25)または37.50重量部(実施例26)とし、水の配合量を、液剤全体が100重量部となるように設定したこと以外は、実施例1と同様にして、液剤を得た。
【0027】
上記実施例21〜26で得られた液剤について、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの含有割合(有効成分量)B、1,3−プロパンジアミンの含有割合P、比P/Bおよび水の総量の含有割合Wを、下記の表5に示す。
実施例27
PDA60.00重量部およびBIT40.00重量部を配合して、撹拌機により均一に混合することによって、液剤を得た。
【0028】
実施例28
PDA70.00重量部およびBIT30.00重量部を配合して、撹拌機により均一に混合することによって、液剤を得た。
実施例29
PDAの配合量を75.00重量部とし、BITの配合量を12.50重量部とし、水の配合量を、液剤全体が100重量部となるように設定したこと以外は、実施例1と同様にして、液剤を得た。
【0029】
実施例30
PDA75.00重量部およびBIT25.00重量部を配合して、撹拌機により均一に混合することによって、液剤を得た。
上記実施例27〜30で得られた液剤について、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの含有割合(有効成分量)B、1,3−プロパンジアミンの含有割合P、比P/Bおよび水の総量の含有割合Wを、下記の表6に示す。
【0030】
<分散安定性の評価>
実施例1〜30および比較例1〜9の工業用殺菌組成物(液剤)について、その調製後、−5℃の環境下にて24時間静置した。次いで、静置後の液剤の外観を、目視で観察して、その分散安定性を以下の基準で評価した。
○:一様で無色透明または半透明であった。
×:不溶解物が生成した。
【0031】
以上の結果を表1〜6に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
【表3】

【0035】
【表4】

【0036】
【表5】

【0037】
【表6】

【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例および比較例において、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの含有割合(有効成分量)Bに対する1,3−プロパンジアミンの含有割合Pの比P/Bと、水の含有割合Wとの関係を示すグラフである。
【図2】1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、プロパンジアミンおよび水の組成を重量%で示す三角図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、プロパンジアミンおよび水を含み、
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの含有割合が10〜40重量%、プロパンジアミンの含有割合が5〜75重量%、水の含有割合が5〜85重量%であり、かつ、
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの含有割合Bに対するプロパンジアミンの含有割合Pの比P/Bと、水の含有割合Wとが、下記式(1)で示される範囲を満たすように設定されていることを特徴とする、工業用殺菌組成物。
W≧−58.1(P/B)+79 …(1)
【請求項2】
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの含有割合が25〜40重量%であり、プロパンジアミンの含有割合が5〜50重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の工業用殺菌組成物。
【請求項3】
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、プロパンジアミンおよび水を含み、
前記1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、前記プロパンジアミンおよび前記水の組成範囲が、これらの組成を重量%で示す三角図において、
前記1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンが10重量%、前記プロパンジアミンが5重量%および前記水が85重量%の組成を示す第1の点Aと、
前記1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンが25重量%、前記プロパンジアミンが5重量%および前記水が70重量%の組成を示す第2の点Bと、
前記1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンが30重量%、前記プロパンジアミンが10重量%および前記水が60重量%の組成を示す第3の点Cと、
前記1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンが40重量%、前記プロパンジアミンが50重量%および前記水が10重量%の組成を示す第4の点Dと、
前記1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンが20重量%、前記プロパンジアミンが75重量%および前記水が5重量%の組成を示す第5の点Eと、
前記1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンが10重量%、前記プロパンジアミンが75重量%および前記水が15重量%の組成を示す第6の点Fと、
をこの順に結ぶ6本の直線で囲まれた領域内にあることを特徴とする、工業用殺菌組成物。
【請求項4】
前記プロパンジアミンが、1,3−プロパンジアミンであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の工業用殺菌組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−169191(P2006−169191A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−366304(P2004−366304)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(503140056)日本エンバイロケミカルズ株式会社 (95)
【Fターム(参考)】