説明

差分画像生成装置、差分画像生成方法、及びプログラム

【課題】複数の入力画像信号の間の差分が反映された出力画像信号を生成する差分画像生成装置において、出力画像信号の表示に関するユーザの試行錯誤による調整を減らし、ユーザの利便性を向上させる。
【解決手段】差分画像生成装置1は、計測部11及びスケーリング部13を含む。計測部11は、入力画像信号S1及びS2を減算処理することにより得られる差分画像信号DS1の画素値の変化幅を計測する。スケーリング部13は、予め定められたビット幅で差分画像信号DS1を階調表現できるように、DS1の画素値の変化幅の計測結果に応じてDS1の各画素値をスケーリングし、スケーリング後の差分画像信号DS3を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の入力画像信号の差分が反映された出力画像信号を生成する差分画像生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、画像処理後の画像信号の画質評価を簡単にするための画像処理装置を開示している。当該装置は、2つの入力画像信号(原画像信号及び測定画像信号)を比較し、これら2つの画像信号の差分を強調するよう特徴化処理を施した出力画像信号を生成する。ここで、測定画像信号とは、原画像信号に何らかの画像処理を施して得られる画像信号である。測定画像信号の一例は、原画像信号を圧縮した後にこれを伸張して得られる画像信号である。
【0003】
より具体的に述べると、当該装置は、2つの入力画像信号(原画像信号及び測定画像信号)の差分の絶対値を生成し、得られた差分絶対値を閾値と比較する。差分絶対値が閾値を超える場合、当該装置は、差分絶対値に"乗算係数"を乗算することによって差分絶対値信号を生成する。差分絶対値が閾値を超えない場合、当該装置によって生成される差分絶対値信号の値はゼロとなる。なお、差分絶対値信号の大きさを決める"乗算係数"は、ユーザによって指定される。
【0004】
次に、当該装置は、"オフセット量"を差分絶対値信号に加算することによって、"特徴化画像信号"を生成する。"オフセット量"もまたユーザによって指定される。最後に、当該装置は、差分絶対値信号の値がゼロである場合、つまり2つの入力画像の差分絶対値が閾値以下である場合、入力画像信号のいずれか一方(例えば原画像信号)を選択して出力画像信号として出力する。これに対して、2つの入力画像の差分絶対値が閾値を超えた場合、入力画像信号に替えて"特徴化画像信号"を出力画像信号として出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−128534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された画像処理装置を使用することによって、2つの入力画像信号の差分が反映された出力画像信号を得ることができる。しかしながら、特許文献1に開示された画像処理装置は、2つの入力画像信号の差分が反映された出力画像信号の生成に必要な調整パラメータをユーザが試行錯誤により決定しなければならず、調整が煩雑であるという問題を有する。すなわち、特許文献1の画像処理装置を使用する場合、ユーザは、当該装置の出力画像信号を表示装置に供給することで得られる表示画面を目視確認しながら、調整パラメータである"乗算係数"及び"オフセット量"の設定値を決定しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様にかかる差分画像生成装置は、計測部及びスケーリング部を含む。前記計測部は、第1及び第2の入力画像信号を減算処理することにより得られる差分画像信号の画素値の変化幅を計測する。前記スケーリング部は、予め定められたビット幅で前記差分画像信号を階調表現できるように、前記変化幅の計測結果に応じて前記差分画像信号の各画素値をスケーリングし、スケーリング後の差分画像信号を出力する。
【0008】
本発明の第2の態様にかかる差分画像生成方法は、以下のステップ(a)〜(b)を含む。
(a)第1及び第2の入力画像信号を減算処理することにより得られる差分画像信号の画素値の変化幅を計測すること;及び
(b)予め定められたビット幅で前記差分画像信号を階調表現できるように、前記変化幅の計測結果に応じて前記差分画像信号の各画素値をスケーリングすること。
【0009】
本発明の第3の態様は、差分画像生成処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである。当該プログラムを実行するコンピュータによってもたらされる前記差分画像生成処理は、以下のステップ(a)〜(b)を含む。
(a)第1及び第2の入力画像信号を減算処理することにより得られる差分画像信号の画素値の変化幅を計測すること;及び
(b)予め定められたビット幅で前記差分画像信号を階調表現できるように、前記変化幅の計測結果に応じて前記差分画像信号の各画素値をスケーリングすること。
【0010】
上述した本発明の第1〜第3の態様によれば、2つの入力画像信号の差分が反映された出力画像信号の調整を、2つの入力画像信号を減算して得られる差分画像信号の画素値の変化幅に基づいて自動的に行うことができる。よって、ユーザが表示画面を見ながら試行錯誤によって調整パラメータ(特許文献1における乗算係数およびオフセット量など)を決定する必要がなく、ユーザの利便性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
上述した本発明の第1〜第3の態様によれば、複数の入力画像信号の間の差分が反映された出力画像信号を生成する差分画像生成装置において、出力画像信号の表示に関するユーザの試行錯誤による調整を減らすことができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】発明の実施の形態1にかかる差分画像生成装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】発明の実施の形態1にかかる差分画像生成装置の使用例を示すブロック図である。
【図3】図1に示した差分画像生成装置による差分画像信号のスケーリングの具体例を示すテーブルである。
【図4】発明の実施の形態2にかかる差分画像生成装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】スケーリング手順の具体例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0014】
<発明の実施の形態1>
本実施の形態にかかる差分画像生成装置1は、原画像信号S1及び測定画像信号S2を入力し、これら2つの画像信号の差分が反映された出力画像信号OS1を生成する。なお、測定画像信号S2は、原画像信号S1に対してシャープネス(輪郭強調)、ガンマ補正、及びノイズリダクション等の何らかの画像処理を施すことによって生成された画像信号である。
【0015】
より具体的に述べると、装置1は、信号S1及びS2の対応する画素間で画素値の差を計算することによって差分画像信号DS1を生成する。さらに、装置1は、差分画像信号DS1の画素値の変化幅を計測し、出力画像信号OS1のビット幅で差分画像信号DS1を階調表現できるように、差分画像信号DS1の各画素値を自動的にスケーリングする。
【0016】
例えば、入力される画像信号S1及びS2並びに出力画像信号OS1のビット幅が同じnビットである場合を考える。このとき、差分画像信号DS1の画素値の最大変化幅をそのまま階調表現するためには、DS1の信号幅として少なくともn+1ビットが必要であり、オフセット加算等を行うことを考慮するとn+2ビットが必要である。よって、出力画像信号OS1のビット幅(nビット)で差分画像信号DS1の最大変化幅を階調表現するためには、差分画像信号DS1のビット幅を1又は2ビット減らすスケーリングが必要となる。一方で、差分画像信号DS1の変化幅がnビットで階調表現できる程度に小さい場合には、スケーリングを行わない方がS1及びS1の差分を強調できる。そこで、差分画像生成装置1は、差分画像信号DS1の変化幅の計測結果に基づいてスケーリングの要否を決定し、必要に応じてスケーリングを実行する。
【0017】
以下では、差分画像生成装置1の具体的な構成例について図1を参照しながら説明する。図1は、装置1の構成例を示すブロック図である。減算部10は、信号S1及びS2の画素値を順次入力し、これらの画素値の減算処理を行って差分画像信号DS1を生成する。生成された差分画像信号DS1は、計測部11及び加算部12に供給される。なお、差分画像信号DS1は、負の値をとり得る。差分画像信号DS1の負の値は、2の補数で表現されるものとする。
【0018】
計測部11は、差分画像信号DS1の画素値の変化幅を計測する。より具体的に述べると、計測部11は、差分画像信号DS1を順次入力し、予め定められた信号範囲内におけるDS1の最大値及び最大値を検出し、最大値と最小値の差によって変化幅を決定する。図1の例では、計測部11は、1フレーム画像単位で繰り返し集計を行い、1フレーム画像毎に差分画像信号DS1の最大値及び最小値を検出し、差分画像信号DS1の変化幅を算出する。
【0019】
最小値検出部110は、1フレーム期間(垂直帰線期間)の開始毎に差分画像信号DS1がとり得る最大値を初期値として動作を開始する。最小値検出部110は、順次入力される差分画像信号の画素値(入力値)と保持値とを比較し、入力値のほうが小さい場合に入力値によって保持値を更新する。最小値検出部110は、この動作を1フレーム期間にわたって行い、1フレーム期間終了時における保持値を差分画像DS1の最小値として出力する。1フレーム期間毎の繰り返し動作を実現するために、1フレーム期間を規定するタイミング信号である垂直同期信号(VSYNC)を最小値検出部110に供給するとよい。
【0020】
最大値検出部111は、最小値検出部110の上述の動作と類似した動作を行い、1フレーム期間毎に差分画像DS1の最大値を出力する。最大値検出部111は、差分画像信号DS1がとり得る最小値を初期値として動作を開始し、順次入力される差分画像信号(入力値)と保持値を比較し、入力値のほうが大きい場合に入力値によって保持値を更新すればよい。
【0021】
符号反転部112及び加算部113は、差分画像信号DS1の最大値から最小値を減算することで1フレーム期間におけるDS1の変化幅を計算する。具体的には、符号反転部112が、DS1の最小値を符号反転する。加算部113は、DS1の最大値と符号反転後のDS1の最小値を加算することでDS1の変化幅を算出する。
【0022】
加算部12は、差分画像信号DS1と、1フレーム前のフレーム画像に関して計測された差分画像信号DS1の最小値を符号反転した値(補正値と呼ぶ)を入力し、これら2つの値を加算する。つまり、加算部12は、差分画像信号DS1の画素値の下限がゼロになるように、差分画像信号DS1にオフセットを与える。加算部12によってオフセット補正を行った後の差分画像信号DS2は、スケーリング部13に供給される。
【0023】
スケーリング部13は、計測部11によって計測された差分画像信号DS1の変化幅の大きさが出力画像信号OS1のビット幅で階調表現可能な大きさを超える場合に、差分画像信号DS1(具体的にはオフセット補正後の信号DS2)を右ビットシフトすることでスケーリングを行う。図1の構成例では、スケーリング部13は、右シフタ130及び131を含む。右シフタ130は、差分画像信号DS1の変化幅を予め定められたビット数だけ右ビットシフトすることで、右シフタ131が差分画像信号DS2に与えるシフト量を決定する。
【0024】
一例として、出力画像信号OS1のビット幅がnビットであり、差分画像信号DS1の変化幅のビット幅がn+1ビットである場合を考える。この場合、差分画像信号DS1の変化幅の入力値(n+1ビット)をnビットだけ右シフトすればよい。これにより、右シフタ130出力の最下位ビットには、差分画像信号DS1の変化幅のn+1ビット目が現れ、右シフタ131のシフト量を決定できる。
【0025】
右シフタ131は、右シフタ130から供給されるシフト量だけオフセット補正後の差分画像信号DS2の値を右シフトする。つまり、右シフタ131は、オフセット補正後の差分画像信号DS2を出力画像信号OS1のビット幅で階調表現可能な大きさにスケーリングする。スケーリング後の差分画像信号DS3は、出力部14に供給される。
【0026】
出力部14は、スイッチ140を含む。スイッチ140は、2つの入力画像信号S1及びS2並びにスケーリング後の差分画像信号DS3うちいずれかを選択して出力画像信号OS1として出力する。なお、スイッチ140は、入力画像信号S1及びS2のうちの一方と差分画像信号DS3との間で出力画像を切り替えるように構成されてもよい。
【0027】
出力信号を切り替えることが可能な出力部14は、図2に示すように、差分画像生成装置1を画像処理回路33と表示装置34の間に配置する場合に有効である。図2において、読み出し回路31は、タイミング・ジェネレータ32から供給される垂直同期信号(VSYNC)、水平同期信号(HSYNC)、データイネーブル信号(DE)等の同期信号に基づいて、記憶装置30から原画像データ(原画像信号S1)をスキャンライン単位で読み出す。画像処理回路33は、原画像信号S1に対する画像処理を行って測定画像信号S2を生成する。表示装置34は、液晶ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等である。一方、出力画像を切り替える必要のない用途に装置1を用いる場合には、出力信号を切り替えることが可能な出力部14を装置1に設ける必要はない。
【0028】
次に、図3を用いて、差分画像信号に対するスケーリングの具体例について説明する。例えば、図3に"例1"として示すように、差分画像信号DS1の最小値及び最小値が10進数表記で−256及び1023である場合を考える。この場合、差分の変化幅は1279である。この差分の変化幅を2進数表記すると、"10011111111"となり、11ビットで表すことができる。ここで、出力画像信号OS1のビット幅が10ビットである場合、出力画像信号OS1で階調表現できる差分の変化幅の最大値は1023である。このため、右シフタ131は、差分の変化幅を10ビットだけ右シフトすることで得られる値"00000000001"を差分画像信号DS1のスケーリングのための右シフト量として右シフタ131に供給する。また、図3の例1において、計測部11から加算部12に供給される補正値(オフセット値)は、+256である。これにより、右シフタ131によるスケーリングによって得られる差分画像信号DS3は、最小値0、最大値639となる。したがって、10ビットの出力画像信号OS1で差分画像信号DS3の変化幅を階調表現することができる。
【0029】
図3の例2〜例4は、いずれも差分画像信号DS1の変化幅が、出力画像信号OS1で階調表現できる程度に十分小さい場合を示している。したがって、これらの例では、右シフタ130によって決定されるシフト量が0となり、オフセット補正後の差分画像信号DS2に対するスケーリングは行われない。
【0030】
上述したように、本実施の形態にかかる差分画像生成装置1は、差分画像DS1の変化幅を出力画像信号のビット幅で適切に階調表現できるように、差分画像信号DS1のスケーリングを自動的に行う。このため、ユーザが試行錯誤によってオフセット値やスケーリングの要否を判定する必要がなく、ユーザの利便性を向上させることができる。また、差分画像生成装置1は、スケーリングを行なっているため、リミッタによる制限処理を行う場合に比べて、ユーザの関心が一般的に高いと考えられる相対的に差分が大きい画素の情報欠落を防止できる。
【0031】
<発明の実施の形態2>
上述した実施の形態1では、差分画像信号DS1の画素値の変化幅の大きさが予め定められたビット幅で階調表現可能な大きさを超えている場合に、右ビットシフトによって差分画像信号DS1をスケーリングする例を説明した。本実施の形態では、差分画像信号DS1の画素値の変化幅の大きさが予め定められたビット幅(例えばnビット)より少ないビット幅(例えばn−1ビット)で階調表現可能な大きさである場合に、差分画像信号DS1を左ビットシフトすることで、2つの入力画像信号S1及びS2の差分を強調する例について説明する。
【0032】
図4は、本実施の形態にかかる差分画像生成装置2の構成例を示すブロック図である。図4中の減算部10、計測部11、加算部12の構成及び動作は上述した実施の形態1
と同様であるため説明を省略する。スケーリング部23は、上述したスケーリング部13と同様にビット幅縮小方向のスケーリング(右シフト)を行うのに加えて、差分画像信号DS1の変化幅が小さい場合にビット幅拡大方向のスケーリング(左シフト)を行う。
【0033】
シフト量決定部230は、後述するシフタ231がオフセット補正後の差分画像信号DS2に対する右シフト又は左シフトを行う際のシフト量を決定する。具体的に、2つの入力画像信号S1及びS2並びに出力画像信号OS1のビット幅がnビットであり、差分画像信号DS1の変化幅のビット幅がn+1ビットである場合を考える。この場合、シフト量決定部230は、差分画像信号DS1の変化幅の入力値(n+1ビット)のn+1ビット目とnビット目の合計2ビット値を参照すればよい。そして、n+1ビット目の値が"1"である場合、シフト量決定部230は、右方向に1ビットシフトするようシフト量を指示すればよい。一方、差分画像信号DS1の変化幅のn+1ビット目及びnビット目が共にゼロである場合、シフト量決定部230は、左方向に1ビットシフトするようシフト量を指示すればよい。
【0034】
なお、シフト量決定部230は、2ビット以上の左シフトをシフタ231に指示してもよい。この場合、差分画像信号DS1変化幅の上位3ビット以上を参照するように、シフト量決定部230を構成すればよい。
【0035】
シフタ231は、シフト量決定部230から供給されるシフト量に基づいて、オフセット補正後の差分画像信号DS2を右ビットシフト又は左ビットシフトすることによってスケーリングを行う。
【0036】
本実施の形態で述べたように、差分画像信号DS1の変化幅が予め定められたビット幅(例えばnビット)より少ないビット幅(例えばn−1ビット)で階調表現可能な大きさである場合に、差分画像信号DS1を左ビットシフトすることで、2つの入力画像信号S1及びS2の差分を強調することができる。
【0037】
ところで、上述した差分画像生成装置1及び2が行う各処理(例えば、減算部10における減算処理、計測部11における差分画像信号DS1の変化幅の計測、スケーリング部13及び23におけるスケーリング等)は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)等を含むコンピュータにプログラムを実行させることによって実現してもよい。
【0038】
一例として、実施の形態2で説明したスケーリング部23の処理内容をコンピュータに実行させるための手順について説明する。図5は、スケーリング手順を示すフローチャートである。ステップS10では、コンピュータは、計測部11によって生成された差分画像信号DS1の変化幅を取得する。ステップS11では、コンピュータは、差分画像信号DS1の変化幅が予め定められた上限値を超過しているか否かを判定する。上限値は、出力画像信号OS1のビット幅に応じて定めればよい。差分画像信号DS1の変化幅が予め定められた上限値を超えている場合(S11でYES)、コンピュータは、差分画像信号DS1(又はオフセット補正後の差分画像信号DS2)を右方向へ1ビットシフトする(S12)。
【0039】
一方、差分画像信号DS1の変化幅が予め定められた上限値以下である場合(S11でNO)、コンピュータは、差分画像信号DS1の変化幅が予め定められた上限値の1/2以下であるかを判定する(S13)。差分画像信号DS1の変化幅が予め定められた上限値の1/2以下である場合(S13でYES)、コンピュータは、差分画像信号DS1(又はオフセット補正後の差分画像信号DS2)を左方向へ1ビットシフトする(S14)。
【0040】
差分画像信号DS1の変化幅が予め定められた上限値の1/2より大きく、かつ上限値以下である場合(S13でNO)、コンピュータは、シフト量をゼロとし、差分画像信号DS1(又はオフセット補正後の差分画像信号DS2)のスケーリングを行わない。
【0041】
<その他の実施の形態>
上述した実施の形態1及び2では、1フレーム前の画像における差分画像信号DS1の変化幅の計測結果に応じて、後続のフレーム画像のスケーリング要否を決定する例を示した。しかしながら、各フレーム画像自身の差分画像信号DS1の変化幅の計測結果に応じて、各フレーム画像のスケーリングの要否を決定してもよい。このためには、減算部10と加算部12の間に、1フレーム分の差分画像信号DS1を蓄積可能なバッファメモリを配置すればよい。このような構成によれば、各フレーム画像に対するスケーリングの要否をより正確に判定することができる。
【0042】
また、実施の形態1及び2で説明した計測部11は、2フレーム画像以上にわたって差分画像信号DS1の変化幅を計測するよう構成してもよい。これにより、差分画像信号DS1の変化幅をより正確に計測することができ、スケーリングの精度を向上させることができる。
【0043】
さらに、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、既に述べた本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0044】
1、2 差分画像生成装置
10 減算部
11 計測部
12 加算部
13、23 スケーリング部
14 出力部
30 記憶装置
31 読出回路
32 タイミング・ジェネレータ
33 画像処理回路
34 表示装置
110 最小値検出部
111 最大値検出部
112 符号反転部
130、131 右シフタ
140 スイッチ
230 シフト量決定部
231 シフタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の入力画像信号を減算処理することにより得られる差分画像信号の画素値の変化幅を計測する計測部と、
予め定められたビット幅で前記差分画像信号を階調表現できるように、前記変化幅の計測結果に応じて前記差分画像信号の各画素値をスケーリングし、スケーリング後の差分画像信号を出力するスケーリング部と、
を備える差分画像生成装置。
【請求項2】
前記計測部は、前記第1及び第2の入力画像信号の少なくとも1フレーム画像内において前記変化幅を計測するよう構成されている、請求項1に記載の差分画像生成装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の入力画像信号の各々はフレーム画像列を含み、
前記スケーリング部は、前記計測部による前記変化幅の計測結果を、前記変化幅の計測が行われる前記少なくとも1フレーム画像より後のフレーム画像に適用してスケーリングを行うよう構成されている、請求項2に記載の差分画像生成装置。
【請求項4】
前記計測部における前記変化幅の計測期間は、2フレーム画像以上である、請求項2に記載の差分画像生成装置。
【請求項5】
前記計測部は、1フレーム画像毎に前記変化幅の計測を行い、
前記スケーリング部は、前記計測部による1フレーム画像毎の前記変化幅の計測結果に基づいて1フレーム画像毎にスケーリングを行う、
請求項2に記載の差分画像生成装置。
【請求項6】
前記スケーリング部は、前記差分画像信号の変化幅が前記予め定められたビット幅で階調表現可能な大きさを超える場合に、前記差分画像信号を右ビットシフトする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の差分画像生成装置。
【請求項7】
前記スケーリング部は、前記差分画像信号の変化幅が前記予め定められたビット幅より少ないビット幅で階調表現可能な大きさである場合に、前記差分画像信号を左ビットシフトする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の差分画像生成装置。
【請求項8】
スケーリング後の前記差分画像信号の最小値がゼロとなるように、前記差分画像信号の最小値に基づくオフセットを前記差分画像信号の各画素値に加える加算部をさらに備える、請求項1〜7のいずれか1項に記載の差分画像生成装置。
【請求項9】
前記計測部は、前記第1及び第2の入力画像信号の予め定められた信号範囲内において計測した前記差分画像信号の最大値および最小値に基づいて前記変化幅を算出する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の差分画像生成装置。
【請求項10】
第1及び第2の入力画像信号を減算処理することにより得られる差分画像信号の画素値の変化幅を計測すること、及び
予め定められたビット幅で前記差分画像信号を階調表現できるように、前記変化幅の計測結果に応じて前記差分画像信号の各画素値をスケーリングすること、
を含む、差分画像生成方法。
【請求項11】
前記変化幅の計測は、前記第1及び第2の入力画像信号の少なくとも1フレーム画像にわたって行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1及び第2の入力画像信号の各々はフレーム画像列を含み、
前記スケーリングは、過去のフレーム画像に対する前記変化幅の計測結果に基づいて、後続のフレーム画像をスケーリングすることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記変化幅の計測期間は、2フレーム画像以上である、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記スケーリングは、前記差分画像信号の変化幅が前記予め定められたビット幅で階調表現可能な大きさを超える場合に、前記差分画像信号を右ビットシフトすることを含む、請求項10〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記スケーリングは、前記差分画像信号の変化幅が前記予め定められたビット幅より少ないビット幅で階調表現可能な大きさである場合に、前記差分画像信号を左ビットシフトすることを含む、請求項10〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
スケーリング後の前記差分画像信号の最小値がゼロとなるように、前記差分画像信号の最小値に基づくオフセットを前記差分画像信号の各画素値に加えること、をさらに含む、請求項10〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
差分画像生成処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記差分画像生成処理は、
第1及び第2の入力画像信号を減算処理することにより得られる差分画像信号の画素値の変化幅を計測すること、及び
予め定められたビット幅で前記差分画像信号を階調表現できるように、前記変化幅の計測結果に応じて前記差分画像信号の各画素値をスケーリングすること、
を含む、プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−250671(P2010−250671A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100844(P2009−100844)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】