巻取りロール
【課題】ウエブを印刷、コーティングするときに使用する巻取りロールに関する。ウエブにテープの跡、ウエブの段差跡が付かない巻取りロールを提供することである。
【解決手段】円筒状のコアーを有し、ウエブを巻取る巻取りロールにおいて、円筒状のコアーが、断面扇形でコアーを切り取った形状のブロックＡと、断面扇形でコアーの一部を切り取られた形状のブロックＢとからなり、ブロックＡの切り取った一面に、マグネット層／発泡性樹脂層をこの順に積層してなるチャック層１と、ブロックＢの切り取られた一面に磁性体層からなるチャック層２とを有し、ブロックＡをブロックＢに外周面が同心円状となるように挿入し、チャック層１とチャック層２とでウエブを挟み、巻取ることを特徴とする巻取りロールである。
【解決手段】円筒状のコアーを有し、ウエブを巻取る巻取りロールにおいて、円筒状のコアーが、断面扇形でコアーを切り取った形状のブロックＡと、断面扇形でコアーの一部を切り取られた形状のブロックＢとからなり、ブロックＡの切り取った一面に、マグネット層／発泡性樹脂層をこの順に積層してなるチャック層１と、ブロックＢの切り取られた一面に磁性体層からなるチャック層２とを有し、ブロックＡをブロックＢに外周面が同心円状となるように挿入し、チャック層１とチャック層２とでウエブを挟み、巻取ることを特徴とする巻取りロールである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、プラスチックフィルム、紙、金属箔などの基材（以下ウエブと記す）のウエブロールを、印刷機やコーター機を用いて、印刷又は塗工する際に使用する巻取りロールに関する。更に詳しくは、巻取りロール起因のウエブの皺、ウエブの段差跡、粘着テープ跡などの欠点を発生させない巻取りロールに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来から、印刷機やコーター機を用いて、プラスチックフィルム、紙、金属箔などのウエブロールに印刷、コーティングが行われている。アンワインダー装置のウエブロールからウエブが送り出され、印刷またはコーティングされ、ワインダー装置に装着された巻取りロールにてウエブロール状に巻き取られる。
【０００３】
印刷、コーティングする時には、使用する塗工液の物性と、印刷、コーティング条件を確認してから始めるのが一般的である。しかし連続生産していると、これら条件がずれて、塗工ムラが生じて不良品になる場合がある。このような場合は、印刷、コーティング条件の設定の見直し、また設備要因からくる問題であれば改良することにより改善できる。
【０００４】
また光反射フィルム、ディスプレイ用保護フィルムなどの光学用途に用いられる商品は、フィルムの傷、擦れ跡、塗工液の塗布ムラ、巻取りロールでの粘着テープ跡、ウエブの段差跡、巻き皺などによる品質が厳しいのが現状である。
【０００５】
上記のフィルムの傷、擦れ跡、塗工液の塗布ムラなどは、塗工条件の設定の見直し、また設備要因からくる問題であれば改善できるが、ウエブを巻取りロールに貼り付ける粘着テープが要因で、粘着テープ跡、ウエブの段差跡、巻き皺などによる問題が生じる場合がある。
【０００６】
従来より、ウエブを巻取りロールに取り付ける方法としては、両面テープや粘着テープを使用しウエブの端部を巻取りロールに貼り付け固定（以下チャックと記す）する方法が用いられている。
【０００７】
しかし、両面テープや粘着テープを用いるとテープ分の厚みが増す為、巻き取られていくと、ウエブロールの巻き芯近辺では、テープ跡やウエブの段差跡が付き欠点となる。このような品質問題で、良品率が下げてしまう問題がある。
【０００８】
図を用いて具体的に説明する。
【０００９】
図１は、従来の巻取りロールの一例を示す説明図である。巻取りロール（１０）の円筒状コアー（１１）にウエブ（１２）の始端部を両面テープ（１４）又は粘着テープにより貼り付ける方法が用いられている。
【００１０】
図２は、従来の巻取りロールでのウエブの段差の一例を示す説明図である。巻取られるウエブは、両面テープ（１４）の厚みによるウエブ段差跡（１５）、両面テープ跡（１６）が付くので、部分的な欠点になる。
【００１１】
また予めウエブの端部にパンチング開口を設け、巻取りロールに取付けたウエブチャック用ジグに引っ掛け固定する方法がある。
【００１２】
粘着テープを使用しないために、粘着テープ跡の問題はないが、ウエブの開口部からのウエブカスの発埃が問題となる。またパンチング開口部の設置位置により、例えばウエブ進行方向に対して直角が出ていないと皺が発生する。確実な固定を行う場合は、チャック機構が複雑になり、チャック作業が煩雑となる問題がある。
【００１３】
巻取りロールの外周面上にクッション材を取り付け、粘着テープ跡、ウエブの段差跡、ウエブ皺を減少させる提案がされている（特許文献１、特許文献２）。
【００１４】
特許文献１によれば、円筒状のコアーの外周面上にクッション材を設け、粘着テープ跡、ウエブの段差跡を減少させ、ウエブの不良品の発生を防ぐ工夫である。
【００１５】
また特許文献２によれば、硬質ロール芯体の外周面上に天然ゴムまたは合成ゴム材料を設け、粘着テープ跡、ウエブの段差跡を減少させ、ウエブの不良品の発生を減少させる工夫である。
【００１６】
しかし、特許文献１および２は、巻取りロールの外周面上にクッション材を使用し、ウエブが巻かれたときに、粘着テープ跡やウエブの段差跡をクッション材にて吸収し、見難くするものである。しかしウエブの巻径が大きくなれば、巻圧が巻取りロールの外周面上に掛かるため、クッション材の効果が減少し、粘着テープ跡やウエブの段差跡が付いてしまう。
【００１７】
また加工中で、巻取っている状態のウエブロールを接圧ローラーで押圧する方法も提案されている（特許文献３）。
【００１８】
この方法は、接圧ローラーのローラー長手方向中央部の外径を両端部の外径に比べて小さくしたものである。巻取りロールのウエブの皺の発生防止、ウエブの間の空気除去により巻きロールの均一性をする提案がされている。しかし、ウエブの段差跡の根本的な対策ではなく、粘着テープ跡、ウエブの段差跡は付いてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【００１９】
【特許文献１】実開平２−１４６０４６号公報
【特許文献２】特開平５−３９１７０号公報
【特許文献３】特開平８−１３３５３７号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００２０】
本発明は、ウエブを印刷、コーティングするときに使用する巻取りロールにおいて、ウエブにテープの跡、ウエブの段差跡が付かない巻取りロールを提供することにある。品質の安定および生産性を向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【００２１】
請求項１の発明に係る発明は、円筒状のコアーを有し、ウエブを巻取る巻取りロールにおいて、前記円筒状のコアーが、断面扇形でコアーを切り取った形状のブロックＡと、断面扇形でコアーの一部を切り取られた形状のブロックＢとからなり、ブロックＡの切り取った一面に、マグネット層／発泡性樹脂層をこの順に積層してなるチャック層１と、ブロックＢの切り取られた一面に磁性体層からなるチャック層２とを有し、ブロックＡをブロックＢに外周面が同心円状となるように挿入し、チャック層１とチャック層２とでウエブを挟み、巻取ることを特徴とする巻取りロールである。
【００２２】
請求項２の発明に係る発明は、前記発泡性樹脂層が、自己粘着性を有する樹脂からなることを特徴とする請求項１記載の巻取りロールである。
【００２３】
請求項３の発明に係る発明は、前記ブロックＡと前記ブロックＢがマグネットの吸磁力で吸着された円筒状コアーを有したことを特徴とする請求項１または２記載の巻取りロールである。
【発明の効果】
【００２４】
本発明の巻取りロールの円筒状のコアーは、断面扇形のブロックＡとブロックＡが切り取られた形状のブロックＢからなる。ウエブを完全にチャックさせるために、ブロックＡの切り取った一面に、チャック層１なるマグネット層／発泡性樹脂層、ブロックＢの切り取られた一面に、チャック層２なる磁性体層を有し、ウエブを発泡性樹脂層と磁性体の間に挟みこんでチャックするため、粘着テープを使用せずに巻取ることができる。粘着テープ跡、ウエブの段差が付かない巻取りロールを提供することができる。品質安定および生産性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【００２５】
【図１】従来の巻取りロールの一例を示す説明図
【図２】従来の巻取りロールでのウエブ段差の一例を示す説明図
【図３】本発明のチャックバー部の一例を示す説明図
【図４】本発明の巻取りロールの一例を示す説明図
【図５】本発明の巻取りロールの巻取り中の一例を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【００２６】
以下、本発明の一実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【００２７】
図３は、本発明のチャックバー部の一例を示す説明図である。ウエブ１２をチャック層１（１９）なる積層体とチャック層２（２０）の磁性体層（２３）を用いてチャックする。チャック層１は、マグネット層（２１）／発泡性樹脂層（２２）からなっている。このチャック層１の発泡性樹脂層（２２）とチャック層２の磁性体層（２３）の間に挟み込みチャックする。ウエブの圧接力は、マグネット層（２１）、磁性体層（２３）の間の吸磁力による吸着力からなる。マグネット層（２１）の配置や種類により圧接力を適切な値に調整することができる。またチャック層１は、マグネット層（２１）の吸磁力により、ブロックＡ（１７）にも吸着する。
【００２８】
図４は、本発明の巻取りロールの一例を示す説明図である。円筒状コアー（１１）は、チャック層１（１９）を有したブロックＡ（１７）と、チャック層２（２０）を有したブロックＢ（１８）からなっている。ウエブ（１２）をチャック層１の発泡性樹脂層（２２）と、チャック層２の磁性体層（２３）との間に挟み込むように、ブロックＡをブロックＢに挿入する。この場合、ブロックＡをブロックＢに外周面が同心円状となるように挿入する。ウエブ（１２）をチャックすると同時に円筒状コアー（１１）が真円になるようにチャック層２のサイズを製作することが重要である。粘着テープを使用せず、ウエブをチャックすることができる。
【００２９】
図５は、本発明の巻取りロールの巻取り中の一例を示す説明図である。ウエブ１２がブロックＡ（１７）のチャック層１（１９）と、ブロックＢ（１８）のチャック層２（２０）の磁性体層（２３）との間に挟み込んでチャックし、巻取られる。粘着テープを使用しないため、粘着テープ跡、ウエブの段差跡が付かない巻取りができる。
【００３０】
本発明の円筒状コアーを有した巻取りロールは、マグネットを使用するため、取り付け
工具を使用しないで容易に取り付けができる。発埃などの問題もなくクリーンな環境で巻き取ることができる。
【００３１】
本発明の円筒状コアーを有した巻取りロールを使用することで、巻取り方向の送り精度を向上することができるため、例えばウエブを巻取りながらウエブ検査を行う時には有用である。
【００３２】
ブロックＡ（１７）とブロックＢ（１８）は、マグネット層（２１）の吸磁力により吸着される。取り付け工具を使用しないため、容易に取り付けができ、クリーンな環境を作ることができる。
【００３３】
またブロックＡ（１７）としては、断面形状が扇形の他に、楔形、矩形など他形状のブロックでも可能である。ブロックＢ（１８）との取り付け、取り外しが容易にできる扇形が好ましい。
【００３４】
本発明の発泡性樹脂層（２２）を形成する樹脂としては、自己粘着性を有する樹脂であるポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの網目構造をしたシートが使用できる。またエチレンー酢酸ビニル共重合樹脂（ＥＶＡ）、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂などの発泡シートを使用することができる。厚みの設定は、適宜決めればよい。
【００３５】
本発明のマグネット層（２１）としては、ＫＳ鋼、ＭＫ鋼、アルニコ磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石から使用できる。特に一般的なフェライト磁石を使用することができる。またマグネット材料の粉末をゴム材料に混合したシートや板状、成形品を使用することもできる。吸磁力は、適宜きめればよい。
【００３６】
本発明の磁性体層（２３）としては、酸化鉄、酸化クロム、コバルト、フェライトなどを用いることができる。マグネットとの吸磁力に応じて、これら材料のシート、またこれら材料の粉末をゴム材料に混合したシートや板状、成形品を使用することができる。厚みの設定は、吸磁力に応じて適宜決めればよい。
【００３７】
本発明の円筒状のコアー（１１）は、巻取り駆動装置と連結するために、巻取りシャフトと固定する。取付け方法は、エアーシャフトチャック法、メカチャック法、シャフトレスチャック法などの方法で固定し巻取りロールにすることができる。円筒状のコアーの材料は、機械的強度面から、鉄製材料を用いて作成すればよい。
【００３８】
本発明におけるウエブ（１２）とは、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系フィルム、ポリエチレンレフタレート（ＰＥＴ）、ポリエチレンナフタレート（ＰＥＮ）、ポリブチレンテレフタレート（ＰＢＴ）、ポリエチレンシクロヘキサンジメタノールーテレフタレート（ＰＣＴ）などのポリエステル系フィルム、トリアセチルセルロース（ＴＡＣ）系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、あるいはアクリル系フィルムなどから選択できる。その他ポリアミド系フィルム、ポリアクリレート系フィルム、フッ素系フィルム、シリコン系フィルムなどについても適宜選択することができる。またこれらフィルムとアルミニウム、銅などの金属箔との積層体、これらフィルムとアルミニウム、銅などの金属蒸着積層体にも利用できる。特にウエブの厚みには、限定されず、適宜決めればよい。
【００３９】
本発明の巻取りロールは、粘着テープ跡、ウエブの段差跡が付かない巻取りロールで
あるため、品質の向上に繋がり、良品率を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【００４０】
本発明の巻取りロールは、印刷、コーティング加工だけでなく、スリッター、巻き替え機、ラミネーター機など、ウエブを使用するコンバーテイング機械に利用することができる。
【符号の説明】
【００４１】
（１０） 巻取りロール
（１１） 円筒状コアー
（１２） ウエブ
（１３） 巻取りロール上のウエブ
（１４） 両面テープまたは粘着テープ
（１５） ウエブの段差跡
（１６） 粘着テープの跡
（１７） ブロックＡ
（１８） ブロックＢ
（１９） チャック層１
（２０） チャック層２
（２１） マグネット層
（２２） 発泡性樹脂層
（２３） 磁性体層
【技術分野】
【０００１】
本発明は、プラスチックフィルム、紙、金属箔などの基材（以下ウエブと記す）のウエブロールを、印刷機やコーター機を用いて、印刷又は塗工する際に使用する巻取りロールに関する。更に詳しくは、巻取りロール起因のウエブの皺、ウエブの段差跡、粘着テープ跡などの欠点を発生させない巻取りロールに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来から、印刷機やコーター機を用いて、プラスチックフィルム、紙、金属箔などのウエブロールに印刷、コーティングが行われている。アンワインダー装置のウエブロールからウエブが送り出され、印刷またはコーティングされ、ワインダー装置に装着された巻取りロールにてウエブロール状に巻き取られる。
【０００３】
印刷、コーティングする時には、使用する塗工液の物性と、印刷、コーティング条件を確認してから始めるのが一般的である。しかし連続生産していると、これら条件がずれて、塗工ムラが生じて不良品になる場合がある。このような場合は、印刷、コーティング条件の設定の見直し、また設備要因からくる問題であれば改良することにより改善できる。
【０００４】
また光反射フィルム、ディスプレイ用保護フィルムなどの光学用途に用いられる商品は、フィルムの傷、擦れ跡、塗工液の塗布ムラ、巻取りロールでの粘着テープ跡、ウエブの段差跡、巻き皺などによる品質が厳しいのが現状である。
【０００５】
上記のフィルムの傷、擦れ跡、塗工液の塗布ムラなどは、塗工条件の設定の見直し、また設備要因からくる問題であれば改善できるが、ウエブを巻取りロールに貼り付ける粘着テープが要因で、粘着テープ跡、ウエブの段差跡、巻き皺などによる問題が生じる場合がある。
【０００６】
従来より、ウエブを巻取りロールに取り付ける方法としては、両面テープや粘着テープを使用しウエブの端部を巻取りロールに貼り付け固定（以下チャックと記す）する方法が用いられている。
【０００７】
しかし、両面テープや粘着テープを用いるとテープ分の厚みが増す為、巻き取られていくと、ウエブロールの巻き芯近辺では、テープ跡やウエブの段差跡が付き欠点となる。このような品質問題で、良品率が下げてしまう問題がある。
【０００８】
図を用いて具体的に説明する。
【０００９】
図１は、従来の巻取りロールの一例を示す説明図である。巻取りロール（１０）の円筒状コアー（１１）にウエブ（１２）の始端部を両面テープ（１４）又は粘着テープにより貼り付ける方法が用いられている。
【００１０】
図２は、従来の巻取りロールでのウエブの段差の一例を示す説明図である。巻取られるウエブは、両面テープ（１４）の厚みによるウエブ段差跡（１５）、両面テープ跡（１６）が付くので、部分的な欠点になる。
【００１１】
また予めウエブの端部にパンチング開口を設け、巻取りロールに取付けたウエブチャック用ジグに引っ掛け固定する方法がある。
【００１２】
粘着テープを使用しないために、粘着テープ跡の問題はないが、ウエブの開口部からのウエブカスの発埃が問題となる。またパンチング開口部の設置位置により、例えばウエブ進行方向に対して直角が出ていないと皺が発生する。確実な固定を行う場合は、チャック機構が複雑になり、チャック作業が煩雑となる問題がある。
【００１３】
巻取りロールの外周面上にクッション材を取り付け、粘着テープ跡、ウエブの段差跡、ウエブ皺を減少させる提案がされている（特許文献１、特許文献２）。
【００１４】
特許文献１によれば、円筒状のコアーの外周面上にクッション材を設け、粘着テープ跡、ウエブの段差跡を減少させ、ウエブの不良品の発生を防ぐ工夫である。
【００１５】
また特許文献２によれば、硬質ロール芯体の外周面上に天然ゴムまたは合成ゴム材料を設け、粘着テープ跡、ウエブの段差跡を減少させ、ウエブの不良品の発生を減少させる工夫である。
【００１６】
しかし、特許文献１および２は、巻取りロールの外周面上にクッション材を使用し、ウエブが巻かれたときに、粘着テープ跡やウエブの段差跡をクッション材にて吸収し、見難くするものである。しかしウエブの巻径が大きくなれば、巻圧が巻取りロールの外周面上に掛かるため、クッション材の効果が減少し、粘着テープ跡やウエブの段差跡が付いてしまう。
【００１７】
また加工中で、巻取っている状態のウエブロールを接圧ローラーで押圧する方法も提案されている（特許文献３）。
【００１８】
この方法は、接圧ローラーのローラー長手方向中央部の外径を両端部の外径に比べて小さくしたものである。巻取りロールのウエブの皺の発生防止、ウエブの間の空気除去により巻きロールの均一性をする提案がされている。しかし、ウエブの段差跡の根本的な対策ではなく、粘着テープ跡、ウエブの段差跡は付いてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【００１９】
【特許文献１】実開平２−１４６０４６号公報
【特許文献２】特開平５−３９１７０号公報
【特許文献３】特開平８−１３３５３７号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００２０】
本発明は、ウエブを印刷、コーティングするときに使用する巻取りロールにおいて、ウエブにテープの跡、ウエブの段差跡が付かない巻取りロールを提供することにある。品質の安定および生産性を向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【００２１】
請求項１の発明に係る発明は、円筒状のコアーを有し、ウエブを巻取る巻取りロールにおいて、前記円筒状のコアーが、断面扇形でコアーを切り取った形状のブロックＡと、断面扇形でコアーの一部を切り取られた形状のブロックＢとからなり、ブロックＡの切り取った一面に、マグネット層／発泡性樹脂層をこの順に積層してなるチャック層１と、ブロックＢの切り取られた一面に磁性体層からなるチャック層２とを有し、ブロックＡをブロックＢに外周面が同心円状となるように挿入し、チャック層１とチャック層２とでウエブを挟み、巻取ることを特徴とする巻取りロールである。
【００２２】
請求項２の発明に係る発明は、前記発泡性樹脂層が、自己粘着性を有する樹脂からなることを特徴とする請求項１記載の巻取りロールである。
【００２３】
請求項３の発明に係る発明は、前記ブロックＡと前記ブロックＢがマグネットの吸磁力で吸着された円筒状コアーを有したことを特徴とする請求項１または２記載の巻取りロールである。
【発明の効果】
【００２４】
本発明の巻取りロールの円筒状のコアーは、断面扇形のブロックＡとブロックＡが切り取られた形状のブロックＢからなる。ウエブを完全にチャックさせるために、ブロックＡの切り取った一面に、チャック層１なるマグネット層／発泡性樹脂層、ブロックＢの切り取られた一面に、チャック層２なる磁性体層を有し、ウエブを発泡性樹脂層と磁性体の間に挟みこんでチャックするため、粘着テープを使用せずに巻取ることができる。粘着テープ跡、ウエブの段差が付かない巻取りロールを提供することができる。品質安定および生産性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【００２５】
【図１】従来の巻取りロールの一例を示す説明図
【図２】従来の巻取りロールでのウエブ段差の一例を示す説明図
【図３】本発明のチャックバー部の一例を示す説明図
【図４】本発明の巻取りロールの一例を示す説明図
【図５】本発明の巻取りロールの巻取り中の一例を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【００２６】
以下、本発明の一実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【００２７】
図３は、本発明のチャックバー部の一例を示す説明図である。ウエブ１２をチャック層１（１９）なる積層体とチャック層２（２０）の磁性体層（２３）を用いてチャックする。チャック層１は、マグネット層（２１）／発泡性樹脂層（２２）からなっている。このチャック層１の発泡性樹脂層（２２）とチャック層２の磁性体層（２３）の間に挟み込みチャックする。ウエブの圧接力は、マグネット層（２１）、磁性体層（２３）の間の吸磁力による吸着力からなる。マグネット層（２１）の配置や種類により圧接力を適切な値に調整することができる。またチャック層１は、マグネット層（２１）の吸磁力により、ブロックＡ（１７）にも吸着する。
【００２８】
図４は、本発明の巻取りロールの一例を示す説明図である。円筒状コアー（１１）は、チャック層１（１９）を有したブロックＡ（１７）と、チャック層２（２０）を有したブロックＢ（１８）からなっている。ウエブ（１２）をチャック層１の発泡性樹脂層（２２）と、チャック層２の磁性体層（２３）との間に挟み込むように、ブロックＡをブロックＢに挿入する。この場合、ブロックＡをブロックＢに外周面が同心円状となるように挿入する。ウエブ（１２）をチャックすると同時に円筒状コアー（１１）が真円になるようにチャック層２のサイズを製作することが重要である。粘着テープを使用せず、ウエブをチャックすることができる。
【００２９】
図５は、本発明の巻取りロールの巻取り中の一例を示す説明図である。ウエブ１２がブロックＡ（１７）のチャック層１（１９）と、ブロックＢ（１８）のチャック層２（２０）の磁性体層（２３）との間に挟み込んでチャックし、巻取られる。粘着テープを使用しないため、粘着テープ跡、ウエブの段差跡が付かない巻取りができる。
【００３０】
本発明の円筒状コアーを有した巻取りロールは、マグネットを使用するため、取り付け
工具を使用しないで容易に取り付けができる。発埃などの問題もなくクリーンな環境で巻き取ることができる。
【００３１】
本発明の円筒状コアーを有した巻取りロールを使用することで、巻取り方向の送り精度を向上することができるため、例えばウエブを巻取りながらウエブ検査を行う時には有用である。
【００３２】
ブロックＡ（１７）とブロックＢ（１８）は、マグネット層（２１）の吸磁力により吸着される。取り付け工具を使用しないため、容易に取り付けができ、クリーンな環境を作ることができる。
【００３３】
またブロックＡ（１７）としては、断面形状が扇形の他に、楔形、矩形など他形状のブロックでも可能である。ブロックＢ（１８）との取り付け、取り外しが容易にできる扇形が好ましい。
【００３４】
本発明の発泡性樹脂層（２２）を形成する樹脂としては、自己粘着性を有する樹脂であるポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの網目構造をしたシートが使用できる。またエチレンー酢酸ビニル共重合樹脂（ＥＶＡ）、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂などの発泡シートを使用することができる。厚みの設定は、適宜決めればよい。
【００３５】
本発明のマグネット層（２１）としては、ＫＳ鋼、ＭＫ鋼、アルニコ磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石から使用できる。特に一般的なフェライト磁石を使用することができる。またマグネット材料の粉末をゴム材料に混合したシートや板状、成形品を使用することもできる。吸磁力は、適宜きめればよい。
【００３６】
本発明の磁性体層（２３）としては、酸化鉄、酸化クロム、コバルト、フェライトなどを用いることができる。マグネットとの吸磁力に応じて、これら材料のシート、またこれら材料の粉末をゴム材料に混合したシートや板状、成形品を使用することができる。厚みの設定は、吸磁力に応じて適宜決めればよい。
【００３７】
本発明の円筒状のコアー（１１）は、巻取り駆動装置と連結するために、巻取りシャフトと固定する。取付け方法は、エアーシャフトチャック法、メカチャック法、シャフトレスチャック法などの方法で固定し巻取りロールにすることができる。円筒状のコアーの材料は、機械的強度面から、鉄製材料を用いて作成すればよい。
【００３８】
本発明におけるウエブ（１２）とは、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系フィルム、ポリエチレンレフタレート（ＰＥＴ）、ポリエチレンナフタレート（ＰＥＮ）、ポリブチレンテレフタレート（ＰＢＴ）、ポリエチレンシクロヘキサンジメタノールーテレフタレート（ＰＣＴ）などのポリエステル系フィルム、トリアセチルセルロース（ＴＡＣ）系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、あるいはアクリル系フィルムなどから選択できる。その他ポリアミド系フィルム、ポリアクリレート系フィルム、フッ素系フィルム、シリコン系フィルムなどについても適宜選択することができる。またこれらフィルムとアルミニウム、銅などの金属箔との積層体、これらフィルムとアルミニウム、銅などの金属蒸着積層体にも利用できる。特にウエブの厚みには、限定されず、適宜決めればよい。
【００３９】
本発明の巻取りロールは、粘着テープ跡、ウエブの段差跡が付かない巻取りロールで
あるため、品質の向上に繋がり、良品率を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【００４０】
本発明の巻取りロールは、印刷、コーティング加工だけでなく、スリッター、巻き替え機、ラミネーター機など、ウエブを使用するコンバーテイング機械に利用することができる。
【符号の説明】
【００４１】
（１０） 巻取りロール
（１１） 円筒状コアー
（１２） ウエブ
（１３） 巻取りロール上のウエブ
（１４） 両面テープまたは粘着テープ
（１５） ウエブの段差跡
（１６） 粘着テープの跡
（１７） ブロックＡ
（１８） ブロックＢ
（１９） チャック層１
（２０） チャック層２
（２１） マグネット層
（２２） 発泡性樹脂層
（２３） 磁性体層
【特許請求の範囲】
【請求項１】
円筒状のコアーを有し、ウエブを巻取る巻取りロールにおいて、前記円筒状のコアーが、断面扇形でコアーを切り取った形状のブロックＡと、断面扇形でコアーの一部を切り取られた形状のブロックＢとからなり、ブロックＡの切り取った一面に、マグネット層／発泡性樹脂層をこの順に積層してなるチャック層１と、ブロックＢの切り取られた一面に磁性体層からなるチャック層２とを有し、ブロックＡをブロックＢに外周面が同心円状となるように挿入し、チャック層１とチャック層２とでウエブを挟み、巻取ることを特徴とする巻取りロール。
【請求項２】
前記発泡性樹脂層が、自己粘着性を有する樹脂からなることを特徴とする請求項１記載の巻取りロール。
【請求項３】
前記ブロックＡと前記ブロックＢがマグネットの吸磁力で吸着された円筒状コアーを有したことを特徴とする請求項１または２記載の巻取りロール。
【請求項１】
円筒状のコアーを有し、ウエブを巻取る巻取りロールにおいて、前記円筒状のコアーが、断面扇形でコアーを切り取った形状のブロックＡと、断面扇形でコアーの一部を切り取られた形状のブロックＢとからなり、ブロックＡの切り取った一面に、マグネット層／発泡性樹脂層をこの順に積層してなるチャック層１と、ブロックＢの切り取られた一面に磁性体層からなるチャック層２とを有し、ブロックＡをブロックＢに外周面が同心円状となるように挿入し、チャック層１とチャック層２とでウエブを挟み、巻取ることを特徴とする巻取りロール。
【請求項２】
前記発泡性樹脂層が、自己粘着性を有する樹脂からなることを特徴とする請求項１記載の巻取りロール。
【請求項３】
前記ブロックＡと前記ブロックＢがマグネットの吸磁力で吸着された円筒状コアーを有したことを特徴とする請求項１または２記載の巻取りロール。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２０１１−２５１７９７（Ｐ２０１１−２５１７９７Ａ）
【公開日】平成２３年１２月１５日（２０１１．１２．１５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−１２５６６８（Ｐ２０１０−１２５６６８）
【出願日】平成２２年６月１日（２０１０．６．１）
【出願人】（０００００３１９３）凸版印刷株式会社 (10,630)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年１２月１５日（２０１１．１２．１５）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年６月１日（２０１０．６．１）
【出願人】（０００００３１９３）凸版印刷株式会社 (10,630)
【Ｆターム（参考）】
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