説明

巻取機

【課題】パッケージが傾斜路を転がる勢いを抑制し、パッケージがパッケージ受止め部材に受け止められる際の衝撃を緩和し、パッケージをコンベアに正しい姿勢で停止させることができる巻取機を提供する。
【解決手段】本発明の巻取機2は、複数の巻取ユニット4と、巻取ユニット4から排出されたパッケージPを巻取ユニット4の並設方向に移送するコンベア6と、巻取ユニット4からコンベア6に向かってパッケージPを転がす傾斜路8と、コンベア6の移送方向に沿って配置され傾斜路8から転がってきたパッケージPを受け止めるパッケージ受止め部材20と、を備える。また、本発明の巻取機2は、傾斜路8に沿って配置されたパッケージPの転がりを阻止する複数の阻止部9a・9bと、複数の阻止部9a・9bをパッケージPの転がりを阻止する状態と許容する状態のいずれかに切替える切替機構12を、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取ユニットから排出されたパッケージを搬出する搬出装置を備えた巻取機に関する。
【背景技術】
【0002】
パッケージを巻取機から搬出する過程で、巻取ユニットのクレードル部から取り外されたパッケージをパッケージ受止め部材で受け止め、コンベア上に停止させて後工程へと搬出する搬出装置が知られている。例えば特許文献1には、傾斜した底板を有する案内路の途中に、満巻パッケージを一時停止させるシャッター装置を配置したパッケージ搬出装置を備える巻取機が記載されている。特許文献1に記載のシャッター装置は、案内路を転動してくる満巻パッケージの転動を阻止する阻止部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】

【特許文献1】特開2006−1683公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
後工程でのパッケージの取り出し処理を円滑に行うためには、パッケージがコンベア上に停止する際の姿勢を整えることが必要である。しかし、特許文献1に記載のパッケージ搬出装置においてシャッター装置が備える阻止部は、巻取ユニットのクレードル部とコンベアとを結ぶ案内路に1箇所配置されているのみである。このため特許文献1に記載のパッケージ搬出装置では、シャッター装置が閉じ状態において案内路の途中で一旦停止させられているパッケージが、シャッター装置が開き状態に切替えられることで転動面からパッケージ受止め部材に向かって再度転がることとなる。そして、パッケージは、転動面上を転がるうちに再度勢いを帯びるため、パッケージ受止め部材に受け止められる際に衝撃を受けてしまう。この衝撃により、コンベア上に停止するパッケージの姿勢が乱れてしまうため、後工程でのパッケージ取り出し処理が煩雑になってしまう。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてなされたものであり、その主要な目的は、パッケージをコンベアに正しい姿勢で停止させることができる巻取機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、この課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
本発明によれば、以下のように構成した巻取機が提供される。即ち、この巻取機は、複数の巻取ユニットと、コンベアと、傾斜路と、パッケージ受止め部材と、複数の阻止部と、切替機構と、を有する。前記コンベアは、前記巻取ユニットの並設方向に沿って配置され、前記各巻取ユニットから排出されたパッケージを移送する。前記傾斜路は、前記各巻取ユニットから前記コンベアに向かってパッケージを転がす。前記パッケージ受止め部材は、前記コンベアの移送方向に沿って配置され、前記傾斜路から転がってきたパッケージを受け止める。前記複数の阻止部は、前記傾斜路に沿って配置されており、パッケージの転がりを阻止する。前記切替機構は、前記複数の阻止部を、パッケージの転がりを阻止する状態と許容する状態のいずれかに切替える。
【0008】
この構成によって、本発明の巻取機では、各巻取ユニットから排出されたパッケージを、各巻取ユニットからコンベアに向けて段階的に転がすことができるので、コンベアに転がってくる際のパッケージ受止め部材が受ける勢いを緩和することができる。更に、本発明の巻取機では、パッケージの姿勢が傾斜路中で短い区画毎に整えられるため、移動中にパッケージの姿勢を大きく乱すことなくパッケージをコンベア上に停止させることができる。また、パッケージが傾斜路を転がる勢いも傾斜路中で短い区画毎に抑制されるため、パッケージがパッケージ受止め部材に受け止められる際に生じる衝撃やパッケージの蛇行姿勢を強制的に矯正するセパレータに擦れる勢いを緩和することができる。これにより、本発明の巻取機では、パッケージを巻き形状が乱れることなく適正な姿勢でコンベア上に停止させることができるので、パッケージを円滑に後工程へと移送することができる。更に、パッケージが帯びる転がりの勢いを緩和しているので、従来に比べて小さなパッケージ受止め部材によってパッケージを受止めることができる。
【0009】
本発明の巻取機は、以下のように構成してもよい。即ち、この巻取機は、前記複数の阻止部のうち少なくとも1つが、前記コンベア近傍に配置されている。
【0010】
この構成によって、本発明の巻取機では、パッケージがパッケージ受止め部材に受け止められる直前に転がりを阻止されるため、コンベアに到達する際にパッケージが帯びている勢いを最小限にとどめることができる。これによって、本発明の巻取機では、パッケージがパッケージ受止め部材に受け止められる際に生じる衝撃をより緩和することができるので、パッケージの巻き形状の乱れや、糸品質の劣化を防止することができる。
【0011】
本発明の巻取機は、以下のように構成してもよい。即ち、この巻取機の前記切替機構は、前記阻止部を、傾斜路よりも上方位置にあることでパッケージの転がりを阻止する状態と、傾斜路と略同じ高さ若しくは、下方位置にあることでパッケージの転がりを許容する状態と、に切替える。
【0012】
この構成によって、本発明の巻取機では、傾斜路に対して阻止部を上下方向に移動させるという簡易な動作によって、パッケージの転がりを阻止する状態と、許容する状態とに切替えることができる。
【0013】
更に、本発明の巻取機は、以下のように構成してもよい。即ち、この巻取機は、前記コンベアの移送方向に対して平行に配置された軸と、前記軸を支点として揺動可能な揺動部材と、を備える。前記揺動部材は、前記複数の阻止部を備えて構成される。そして、前記切替機構が、前記揺動部材を揺動させることによって、前記阻止部が、パッケージの転がりを阻止する状態と、許容する状態とに切替えられる。
【0014】
この構成によって、本発明の巻取機では、揺動部材を揺動させるという一つの動作によって、複数の阻止部をパッケージの転がりを阻止する状態と、許容する状態とに切替えることができる。これによって、本発明の巻取機では、複数の阻止部毎に個別に切り替える切替手段を設けることを省略することができる。
【0015】
本発明の巻取機は、以下のように構成してもよい。即ち、この巻取機は、前記揺動部材の上面に、パッケージを転がす転がし部が形成されている。また、前記揺動部材のパッケージの転がり方向上流側には、第1の阻止部が前記転がし部から垂れ下がる様に形成されている。そして、前記揺動部材のパッケージ転がり方向下流側には、第2の阻止部が前記転がし部から起立する様に形成されている。
【0016】
更に、本発明の巻取機は、以下のように構成してもよい。即ち、この巻取機は、前記複数の阻止部と、前記転がし部とが、一枚の板金を折り曲げることで形成されている。
【0017】
この構成によって、本発明の巻取機では、揺動部材を簡単に形成することができる。また、この構成によって、本発明の巻取機では、部品点数を減らすことができる。更に、本発明の巻取機では、板金折り曲げ加工により、軽くて丈夫な揺動部材を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る巻取機の斜視図。
【図2】前記実施形態の巻取機の側面図。
【図3】図2のA−A方向から見た図。
【図4】前記実施形態の巻取機が備える傾斜路をパッケージが段階的に転がる様子を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、図面を参照しながら本発明の一実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る巻取機の斜視図である。図2は、本発明の一実施形態に係る巻取機の側面図である。図3は、図2のA−A方向から見た図である。
【0020】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る巻取機2は、並設された複数の巻取ユニット4と、パッケージ搬出装置11と、を備えている。図2に示すように、巻取ユニット4は下方(糸の走行方向上流側)にセッティングされた給糸ボビンBから供給される糸を綾振りしつつ、上方(糸の走行方向下流側)のクレードル部22に支持された巻取ボビンに巻取り、これによりパッケージPを形成する。クレードル部22に支持された巻取ボビンは、綾振ドラム24と接触し回転することで給糸ボビンBの糸を巻取り、パッケージに形成する。
【0021】
また、巻取ユニット4の後部(糸の走行側を前部としたときの後部)には、パッケージ搬出装置11が設けられる。パッケージ搬出装置11は、巻取ユニット4のクレードル部22から取り外されたパッケージPを、巻取機2より搬出する装置である。パッケージ搬出装置11は、傾斜路8と、コンベア6と、で構成される。パッケージPは、パッケージ搬出装置11によって巻取機2より搬出されることで巻取機2からリフタ(図示せず)に引き渡される。そして、パッケージPは、リフタによって次工程へと運ばれる。
【0022】
傾斜路8は、各巻取ユニット4のクレードル部の後方に設けられている。図3に示すように、傾斜路8は、各巻取ユニット4共通の底板17が、セパレータ19によって巻取ユニット4毎に区画されることによって構成されている。また、傾斜路8は、クレードル部22とコンベア6とを接続し、かつ、クレードル部22側がコンベア6側よりも高くなるよう構成されている。つまり、パッケージPは、クレードル部22から取り外されると、傾斜路8上を自重によってコンベア6へと転がる。また、傾斜路8のコンベア6側の端部には、パッケージの転がりを一時的に阻止する阻止部9a・9bを備えた揺動部材12が設けられる。揺動部材12については、後で詳述する。
【0023】
コンベア6は、図1に示すように、巻取ユニット4が並設されている方向に沿って設置されている。傾斜路8を転がってきたパッケージPは、コンベア6上で停止し、コンベア6によって巻取機2の端部へと移送される。
【0024】
パッケージ受止め部材20は、図1と図2に示すように、コンベア6の傾斜路8とは反対側の側方にコンベア6に沿って設けられている。このパッケージ受止め部材20は、傾斜路8を転がってきたパッケージPを受け止め、パッケージPがコンベア6を通り過ぎて巻取機2から落下することを防止する。つまり傾斜路8を転がってきたパッケージPは、一旦パッケージ受止め部材20に当たり、コンベア6上に停止する。
【0025】
リフタは、コンベア6の移送方向終端に配置されており、コンベア6から受け取ったパッケージPを昇降させる。リフタの上方には複数のフックを有するオーバーヘッドコンベア(図示せず)が配置されており、リフタは、パッケージPを、コンベア6からオーバーヘッドコンベアへと受け渡す。そして、オーバーヘッドコンベアは後工程へと、パッケージPを運ぶ。
【0026】
以上の構成で、巻取ユニット4のクレードル部22から取り外されたパッケージPは、巻取機2より搬出される。次に、揺動部材12の構成について説明する。
【0027】
図2に示すように、傾斜路8のコンベア6側の端部には、揺動部材12が配置されている。揺動部材12は、コンベア6の長手方向に対して平行に配置された軸16を支点として揺動する。揺動部材12は、クレードル部22から取り外されたパッケージPの転がりを最初に阻止する第1の阻止部9aと2番目に阻止する第2の阻止部9bと、第1の阻止部9aと第2の阻止部9bとを接続し、パッケージPを転がす通路として機能する転がし部14と、から構成されている。
【0028】
揺動部材12は、一枚の板金の折り曲げることで、第1の阻止部9aと、第2の阻止部9bと、転がし部14と、が形成されている。揺動部材12は、第1の阻止部9aが揺動部材12の上面に形成されている転がし部14から垂れ下がり、第2の阻止部9bが転がし部14から起立する形状となるように折り曲げられている。そして、第1の阻止部9aは、揺動部材12のパッケージPの転がり方向上流側つまり、揺動部材12のクレードル部22側に形成されている。また、第2の阻止部9bは、揺動部材12のパッケージPの転がり方向下流側、つまり、揺動部材12のコンベア6側にかつコンベア6近傍に形成されている。
【0029】
図3に示すように、揺動部材12の下部には、揺動部材12を支持する揺動部材支持板26が複数取り付けられている。揺動部材支持板26は、揺動の支点となる軸16に回動可能に取り付けられている。複数の揺動部材支持板26のうち、特定の揺動部材支持板26は、図2に示すように、エアシリンダ(切替機構)10と接続している。このように、揺動部材支持板26は、揺動部材12の揺動の支点となる軸16に支持されると同時にエアシリンダ10と接続されていることで、エアシリンダ10の直線運動を揺動部材12の揺動運動に変換する変換部材として機能している。軸16は、巻取ユニット4の背面に取り付けられた軸支持部材13によって巻取機本体フレームに支持されている。
【0030】
また、図1に示すように、揺動部材12は、巻取機2の長手方向に複数の巻取ユニット4にわたって配置されている。つまり、本発明のパッケージ搬出装置11は、揺動部材12を揺動させ阻止部9a・9bを傾斜路8に対して上方と下方の位置に切替えることで、複数の巻取ユニット分の傾斜路8を、パッケージPの転がりを阻止する状態と、パッケージPの転がりを許容する状態とに切替え可能に構成されている。
【0031】
以上の構成で、第1の阻止部9aは、エアシリンダ10を縮退した状態とすることによって図4に示す傾斜路8の仮想延長面8aよりも上方に位置する状態である阻止状態となり、エアシリンダを縮退した状態から伸長した状態へと切替えることによって仮想延長面8aよりも下方に位置する状態である許容状態となる。一方、第2の阻止部9bは、エアシリンダ10を伸長した状態とすることによって仮想延長面8aよりも上方に位置する状態である阻止状態となり、エアシリンダ10を伸長した状態から縮退した状態へと切替えることによって仮想延長面8aよりも下方に位置する状態である許容状態となる。つまり、本実施形態の巻取機2は、揺動部材12が第1の阻止部9aと第2の阻止部9bと転がし部14とを備えて構成されているので、揺動部材12を揺動させることによって、第1の阻止部9bがパッケージPの転がりを阻止する状態である第1の阻止姿勢と、第2の阻止部9bが転がし部14上を転がったパッケージPの転がりを阻止する状態である第2の阻止姿勢と、のいずれかに切替えられる。
【0032】
ここで、第1の阻止姿勢とは、揺動部材12の第1の阻止部9aが阻止状態にあり、パッケージPの転がりを傾斜路8のコンベア6側の端部で阻止している状態を指す。また、第2の阻止姿勢とは、揺動部材12の第1の阻止部9aが許容状態にあり、揺動部材12の転がし部14が傾斜路8の仮想延長面8aと重なり、第2の阻止部9bがパッケージPの転がりを転がし部14のコンベア6側の端部で阻止状態にあることを指す。このように、揺動部材12が、第1の阻止姿勢又は第2の阻止位置に切替えられることで、本発明のパッケージ搬出装置11は、クレードル部22から取り外されたパッケージPを傾斜路8上で段階的に転がし、コンベア6上へと移動させる。
【0033】
次に、傾斜路8がパッケージPを段階的に転がす方法を、図2と図4とを用いて説明する。図4は、本発明のパッケージ搬出装置が備える傾斜路をパッケージが段階的に転がる様子を示す側面図である。
【0034】
図4(a)に示すように、エアシリンダ10は通常時には縮退していて、これにより揺動部材12の第1の阻止部9aは、傾斜路8よりも上方に位置する状態である阻止状態となり、揺動部材12は前記第1の阻止姿勢となっている。図2に示すように揺動部材12が第1の阻止姿勢をとっている状態で、パッケージPが巻取ユニット4のクレードル部22より取り外されると、パッケージPは傾斜路8を転がり、第1の阻止部9aに当たって停止する。これにより、パッケージPは、図4(a)に示すように傾斜路8の中腹で一旦停止する第1のポジションを取る。
【0035】
パッケージPが第1のポジションを取っている状態、つまり、揺動部材12が第1の阻止姿勢をとっている状態では縮退しているエアシリンダ10を、図4(b)に示すように伸長させることで、揺動部材12は軸16を支点として揺動する。これによって、揺動部材12の第1の阻止部9aは、傾斜路8の仮想延長面8aよりも下方の位置へと移動し、パッケージPの転がりを許容する状態へと切替わる。そして、第1の阻止部9aが仮想延長面8aよりも下方の位置へと移動するのに併せて、転がし部14は仮想延長面8aにほぼ重なり、第2の阻止部9bは傾斜路8の仮想延長面8aよりも上方の位置へと移動する。揺動部材12は、揺動することによって、第1の阻止部9aによってパッケージPの転がりを阻止する第1の阻止姿勢から、第2の阻止部9bによってパッケージPの転がりを阻止する第2の阻止姿勢へと切替わる。揺動部材12がこの動作を行う時、第1のポジションで一旦停止していたパッケージPは、第1の阻止部9aに転がりを阻止されている状態から開放され、転がし部14を転がり、第2の阻止部9bで転がりを阻止される。つまり、揺動部材12は揺動することによって、第1の阻止姿勢から第2の阻止姿勢へと切替わる。これにより、パッケージPは、傾斜路8の中腹である第1のポジションから、揺動部材のコンベア6側端部である第2のポジションへと転がる。
【0036】
そして、パッケージPが傾斜路8のコンベア6側端部で一旦停止している第2のポジションを取っている状態、つまり、揺動部材12が第2の阻止姿勢をとっている状態では伸長しているエアシリンダ10を、図4(c)に示すように再度縮退させることで、揺動部材12は第2の阻止姿勢から、再度第1の阻止姿勢へと切替わる。揺動部材12が、第2の阻止姿勢から第1の阻止姿勢へと切替わり、パッケージPは、転がし部14により斜め上方に押上げられる。そして、パッケージPは、自身の重心が阻止部9bよりも揺動部材12側からコンベア6側へと移動することで、第2の阻止部を乗り越えることとなる。さらに、パッケージPは、図4(c)の波線で示すように、コンベア6上の第3のポジションへと転がり、パッケージ受止め部材20に当り、コンベア6上に停止する。上述のように、本実施形態に係る巻取機2は、クレードル部22から取り外されたパッケージPを、コンベア6上に停止するまでに段階的に停止させるように構成されているので、パッケージPが第3のポジションへと転がるうちにパッケージの姿勢が乱れてしまうことを防止することができる。これにより、パッケージPをコンベア6上に整った姿勢で停止させることができる。
【0037】
以上のように、本発明の一実施例における巻取機2が備えるパッケージ搬出装置11は、パッケージPを各巻取ユニット4からコンベア6に向けて段階的に転がすように構成されているため、パッケージPがコンベア6に向かって傾斜路8及び転がし部14上を転がる勢いを十分に制御することができる。これにより、本発明の巻取機2では、各巻取ユニット4から排出されたパッケージPを、各巻取ユニット4からコンベア6に向けて段階的に転がすことができるので、コンベア6に転がってくる際のパッケージ受止め部材20が受ける勢いを緩和することができる。更に、本発明の巻取機2では、パッケージの姿勢がコンベア6に到達するまでに短い区画毎に整えられるため、移動中にパッケージPの姿勢を大きく乱すことなくパッケージPをコンベア6上に停止させることができる。また、パッケージPが転がる勢いもコンベア6に到達するまでに短い区画毎に抑制されるため、パッケージPがパッケージ受止め部材20に受け止められる際に生じる衝撃やパッケージPの蛇行姿勢を強制的に矯正するセパレータ19に擦れる勢いを緩和することができる。これにより、本発明の巻取機2では、パッケージPを巻き形状が乱れることなく適正な姿勢でコンベア6上に停止させることができるので、パッケージPを円滑に後工程へと移送することができる。更に、パッケージPが帯びる転がりの勢いを緩和しているので、従来に比べて小さなパッケージ受止め部材20によってパッケージPを受止めることができる。
【0038】
また、本発明の一実施例における第2の阻止部9bは、前記コンベア6の近傍に配置されている。この構成によって、パッケージPがパッケージ受止め部材20に受け止められる直前に転がりを阻止されるため、コンベア6に到達する際にパッケージPが帯びている勢いを最小限にとどめることができる。これによって、本発明の巻取機2では、パッケージPがパッケージ受止め部材20に受け止められる際に生じる衝撃をより緩和することができる。つまり、パッケージPの巻き形状の乱れや、糸品質の劣化を防止することができる。
【0039】
また、本発明の一実施例における巻取機2のエアシリンダ10は、阻止部9を、傾斜路8よりも上方位置にあることでパッケージPの転がりを阻止する状態と、傾斜路8と略同じ高さ若しくは、下方位置にあることでパッケージPの転がりを許容する状態と、に切替える。この構成によって、本発明の一実施例における巻取機2では、傾斜路8に対して阻止部9を上下方向に移動させるという簡易な動作によって、パッケージPの転がりを阻止する状態と、許容する状態とに切替えることができる。
【0040】
また、本発明の一実施例における巻取機2は、エアシリンダ10が、揺動部材12を揺動させることによって、阻止部9が、パッケージPの転がりを阻止する状態と、許容する状態とに切替えられるように構成されている。この構成によって、本発明の一実施例における巻取機2では、揺動部材12を揺動させるという一つの動作によって、複数の阻止部9a・9bをパッケージPの転がりを阻止する状態と、許容する状態とに切替えることができる。これによって、本発明の巻取機2では、複数の阻止部9a・9bを個別に切り替える切替手段を設けることを省略することができる。
【0041】
また、本発明の一実施例における巻取機2は、複数の阻止部9a・9bと、転がし部14と、が、一枚の板金を折り曲げることで形成されている。この構成によって、本発明の巻取機2では、揺動部材12を簡単に形成することができる。また、この構成によって、本発明の巻取機2では、部品点数を減らすことができる。更に、本発明の巻取機2では、板金折り曲げ加工により、軽くて丈夫な揺動部材12を実現することができる。
【0042】
上記実施例においては、第1の阻止部9aと、第2の阻止部9bの2つの阻止部を傾斜路8に配置する構成としているが、傾斜路8に配置される阻止部の数は傾斜路8の長さによって適宜増やしてもよい。
【0043】
また、上記実施例においては、阻止部9は、揺動部材12の一部を構成しているが、パッケージPの転がりを段階的に阻止できる構成であれば、揺動部材12と独立した部材であってもよい。
【0044】
また、上記実施例においては、阻止部9は板部材であるが、パッケージPの転がりを阻止できる形状であればよく、例えば、傾斜路8から突出する状態と突出しない状態とに切替え可能に構成された棒状部材であってもよい。
【0045】
上記実施例においては、切替機構10としてエアシリンダを採用し、エアシリンダの直線運動を周知の機構により揺動運動に変換しているが、揺動部材12を揺動させる機構はこれに限られない。例えば、エアシリンダの代わりに、可逆電動式のモータを用いてもよいし、油圧シリンダの直線運動を回転運動に変換して揺動部材12を揺動させてもよい。
【符号の説明】
【0046】
P パッケージ
2 巻取機
4 巻取ユニット
6 コンベア
8 傾斜路
9 阻止部
10 エアシリンダ(切替機構)
11 パッケージ搬出装置
12 揺動部材
14 転がし部
16 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の巻取ユニットと、
前記巻取ユニットの並設方向に沿って配置され、前記各巻取ユニットから排出されたパッケージを移送するコンベアと、
前記各巻取ユニットから前記コンベアに向かってパッケージを転がす傾斜路と、
前記コンベアの移送方向に沿って配置され、前記傾斜路から転がってきたパッケージを受け止めるパッケージ受止め部材と、を備える巻取機であって、
前記傾斜路に沿って配置され、パッケージの転がりを阻止する複数の阻止部と、
前記複数の阻止部を、パッケージの転がりを阻止する状態と許容する状態のいずれかに切替える切替機構と、を有することを特徴とする巻取機。
【請求項2】
請求項1に記載の巻取機であって、
前記複数の阻止部のうち少なくとも1つが、前記コンベアの近傍に配置されていることを特徴とする巻取機。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれかに記載の巻取機であって、
前記切替機構は前記阻止部を、
傾斜路よりも上方位置にあることでパッケージの転がりを阻止する状態と、
傾斜路と略同じ高さ若しくは下方位置にあることでパッケージの転がりを許容する状態と、に切替えることを特徴とする巻取機。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の巻取機であって、
前記コンベアの移送方向に対して平行に配置された軸と、
前記軸を支点として揺動可能に取り付けられた揺動部材と、を備え、
前記揺動部材は、前記複数の阻止部を備えて構成されており、
前記切替機構が、前記揺動部材を揺動させることによって、前記阻止部が、パッケージの転がりを阻止する状態と、許容する状態とに切替えられることを特徴とする巻取機。
【請求項5】
請求項4に記載の巻取機であって、
前記揺動部材の上面には、パッケージを転がす転がし部が形成され、
前記揺動部材のパッケージの転がり方向上流側に第1の阻止部が前記転がし部から垂れ下がる様に形成され、
前記揺動部材のパッケージの転がり方向下流側に第2の阻止部が前記転がし部から起立する様に形成されていることを特徴とする巻取機。
【請求項6】
請求項5に記載の巻取機であって、
前記複数の阻止部と、前記転がし部と、が、一枚の板金を折り曲げることで形成されていることを特徴とする巻取機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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