説明

巻取装置

【課題】断面非円形形状の巻芯に被巻取材を巻き取る際に、一定の巻取速度で巻き取りを行うことができると共に、巻取速度を高速にすることができて、生産性を向上させることができるようにする。
【解決手段】断面非円形形状をなして、被巻取材20を巻き取る巻芯12と、巻芯12を回転させるための回転運動を発生するモータ14と、モータ14と巻芯12との間に設けられた回転伝達機構16と、を備える。モータ14は、等速回転運動を発生し、回転伝達機構16は、少なくとも2つの互いに噛み合った非円形ギヤから構成される。回転伝達機構16の非円形ギヤによって伝達される回転運動の速度が、巻芯12による被巻取材20の巻取速度を一定にするように、巻芯12の回転角度に応じて変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面非円形形状の巻芯に被巻取材を巻き取る巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、断面非円形形状の巻芯に被巻取材を巻き取る巻取装置として、例えば、二次電池や電気二重層コンデンサにおいて、帯状の正極と負極をセパレータを介して積層してなる被巻取材を断面非円形形状の扁平な巻芯に巻き取るものが知られている。巻き取りの際には、巻芯がその中心を回転軸として回転することで被巻取材が巻き取られ、被巻取材の巻き取りが終了すると、巻芯は抜き取られて、被巻取材はより扁平な形に潰されて成形されて、適した角型の容器内に収容される。
【0003】
このように断面非円形形状の巻芯に被巻取材を巻き取る場合には、その巻芯を回転させたときに、その回転角度によって被巻取材の巻取速度が変化するために、一定の張力で巻取りを行うことが困難となり、そのため巻取り精度が悪いという問題がある。
【0004】
かかる問題点を解決するための巻取装置として、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。
【0005】
特許文献1では、巻芯を回転させるためのサーボモータと、サーボモータに搭載されて、サーボモータの回転を検出するエンコーダと、被巻取材の巻き取られる速度をほぼ一定の速度とするべく、巻芯の回転角度に対してサーボモータの目標となる駆動速度を予め設定しておき、その設定した駆動速度でサーボモータを駆動させるべく角度位置指令を出力する制御手段と、を備えている。
【0006】
つまり、被巻取材の巻き取られる巻取速度がほぼ一定の速度となるように、サーボモータの駆動速度を予め設定された駆動速度となるようにフィードフォワード制御することで、制御に遅滞を生じさせずに、一定の巻取速度を達成するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−299195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1では、サーボモータを制御するようになっており、サーボモータではその回転速度変化に限度があるために、巻取速度が低速の場合には、その変化に追従することができるものの、生産性を向上させるために巻取速度を高速にした場合には、巻取速度の変化に十分に追従することができない、という問題がある。
【0009】
本発明はかかる課題に鑑みなれたもので、断面非円形形状の巻芯に被巻取材を巻き取る際に、一定の巻取速度で巻き取りを行うことができると共に、巻取速度を高速にすることができて、生産性を向上させることができる巻取装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1記載の発明は、
断面非円形形状をなして、回転しながら被巻取材を巻き取る巻芯と、
巻芯を回転させるための回転運動を発生する回転駆動手段と、
回転駆動手段と巻芯との間に設けられて、回転駆動手段から発生された回転運動を巻芯に伝達する回転伝達機構と、を備え、
前記回転駆動手段は、等速回転運動を発生し、
前記回転伝達機構は、少なくとも2つの互いに噛み合った非円形ギヤから構成されて、非円形ギヤによって伝達される回転運動の速度が、巻芯による被巻取材の巻取速度を一定にするように、巻芯の回転角度に応じて変化することを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の巻取装置において、
前記回転伝達機構は、複数段のギヤ列を有しており、各ギヤ列は、少なくとも2つの互いに噛み合った非円形ギヤから構成されることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の巻取装置において、
前記回転伝達機構は、前記非円形ギヤから出力される回転運動を、その回転速度を1/2にして巻芯に伝達する減速機構をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の巻取装置において、
被巻取材が外周に沿って案内されるガイドローラをさらに備えて、被巻取材はガイドローラから巻芯に向かっており、
前記巻取速度は、ガイドローラにおける被巻取材の巻付き長さと、ガイドローラにおける被巻取材の接点から巻芯における被巻取材の接点までの長さと、巻芯における被巻取材の接点から被巻取材の巻付け始点までの長さとの合計長さの、巻芯の回転角度に対する変化量に比例することを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の巻取装置において、前記回転伝達機構によって伝達される回転運動の速度は、巻芯に仮に等速回転運動をさせた場合の巻取速度の逆数に比例することを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の巻取装置において、
前記巻芯の非円形形状は、互いに対向した大きな曲率半径の2つの大半径部分と、該2つの大半径部分との間に配置されて互いに対向した小さな曲率半径の2つの小半径部分と、からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、回転伝達機構の非円形ギヤによって、断面非円形形状の巻芯の巻取速度の変化を補填するように巻芯を回転させるために、結果として断面非円形形状の巻芯による被巻取材の巻取速度を一定にすることができ、巻取り精度を向上させることができる。
【0017】
ギヤによって回転駆動手段からの等速回転運動を巻芯に伝達するために、その回転速度変化を迅速に伝達することができ、巻取速度自体を高速にすることができて、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による巻取装置の概略構成図である。
【図2】巻芯の断面形状を表す図である。
【図3】巻芯とガイドローラとの幾何学的関係を表す図である。
【図4】巻芯回転角度に対する補正前の巻芯の巻取速度と、補正曲線と、補正後の巻取速度を表すグラフである。
【図5】巻芯とガイドローラとの幾何学的関係を表す図であり、巻芯の回転角度が0度のときを表す。
【図6】図5に続く、巻芯とガイドローラとの幾何学的関係を表す図である。
【図7】図6に続く、巻芯とガイドローラとの幾何学的関係を表す図である。
【図8】図7に続く、巻芯とガイドローラとの幾何学的関係を表す図である。
【図9】回転伝達機構の構成を表す説明図である。
【図10】回転伝達機構の(a)は第1段のギヤ列を構成するギヤ、(b)は第2段のギヤ列を構成するギヤの形状例を表す図である。
【図11】(a)、(b)は図10(a)、(b)のギヤ列のギヤの角度の関係と、伝達比を表すグラフである。
【図12】回転伝達機構を1段のギヤ列で構成した場合のギヤの形状例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
図1に示すように、本発明による巻取装置10は、断面非円形形状の巻芯12と、巻芯12を回転駆動する回転駆動手段としてのモータ14と、モータ14から発生する回転運動を巻芯12に伝達する回転伝達機構16と、を備えている。
【0021】
巻芯12の断面形状は、図2に示すようになっており、この断面形状は、大きな曲率半径R1を有して互いに対向する2つの大半径部分12aと、2つの大半径部分12aの間に配置されて小さな曲率半径R2を有して互いに対向する小半径部分12bとからなっている。対向する大半径部分12aの曲率中心同士を結ぶ線と、対向する小半径部分12bの曲率中心同士を結ぶ線との交点が、巻芯12の回転中心12cとなる。
【0022】
2つの大半径部分12のそれぞれの曲率中心間の距離が大きく、且つ、大半径部分12aの曲率半径R1に対する小半径部分12bの曲率半径R2の比R2/R1が小さいと、両端が尖った扁平形状となり、巻き取った後で、容器に入れる際に潰しやすくなる。しかしながら、巻芯12が、両端が尖った扁平になれば、それだけ回転伝達機構16の負担が高くなる。そのため、巻き取る際の回転数(回転速度)と、負荷イナーシャから、適度な2つの大半径部分12aの曲率中心間の距離及び比R2/R1が選択されるとよい。
【0023】
モータ14は、従来の構成とは異なり、その回転速度は原則一定であり、必要に応じて減速ギヤによって減速された等速回転運動を発生するものとなっている。
【0024】
巻取装置10は、上記構成の他に、被巻取材20が巻回された繰出しリール及び該繰出しリールから巻芯12に向けて被巻取材20を案内する複数のガイドローラを含めることができるが、これらの構成は、公知の任意の構成をとることができるので、最も巻芯12に近いガイドローラ18を除き、その詳細説明及び図示は省略する。
【0025】
図3に示すように、ガイドローラ18は、巻芯12に対して、任意の配置とすることができる。
【0026】
巻芯12は、回転中心12cを中心に回転するときに、その巻取速度が変化し、図4に示すような、鋸形状を変形した速度時間線図となる。この速度時間線図は、次のような考え方で求めることができる。
【0027】
図5に示すような巻芯12の回転中心12cを原点とするX−Y座標系を考え、巻芯12の回転角度θ=0においてガイドローラ18側にある大半径部分12aの曲率中心の座標(X1,Y1)を(−d1,0)にとり、被巻取材20の始点のある小半径部分12bの曲率中心の座標(X2,Y2)を(0,d2)にとる。また、ガイドローラ18の中心の座標(x,y)を(x,r)=固定値とする。ここで、rはガイドローラ18の半径である。
【0028】
巻芯12が回転を開始する回転角度θ=0において、被巻取材20の端部の座標は(0,d2+R2)とする。即ち、一つの小半径部分12bの円弧の中点(この点を「巻付け始点」と称する)から巻取を開始するものとする。また、被巻取材20は、巻付け始点から巻芯12の外周に巻付き、巻芯12から接線方向に離反して、ガイドローラ18に対して接線方向に接近して、ガイドローラ18の外周の一部を周回して常に座標(x+r,r)の固定点(この点を「巻付け終点」と称する)で接線方向にガイドローラ18から離反するものとする。
【0029】
巻付け始点から巻付け終点までの長さは、ガイドローラ18における被巻取材20の一方の接点である巻付け終点からガイドローラ18における被巻取材20の他方の接点までのガイドローラ巻付け長さtと、ガイドローラ18の他方の接点と巻芯12の接点との間の長さである接線長さLと、巻芯12の接点と巻付け始点までの長さTの総和S=t+L+Tとなる。
【0030】
回転角度θ=0から回転を開始すると、最初は、図5に示すように、巻芯12における被巻取材20の接点は、小半径部分12bに位置している。
【0031】
ガイドローラ18における被巻取材20の接点と巻芯12における被巻取材20の接点との間を結ぶ接線LとX軸とのなす角度をαとし、ガイドローラ18側にある大半径部分12aの曲率中心(X1,Y1)と、巻芯12の接点が存在している小半径部分12bの曲率中心(X2,Y2)とを結ぶ線とY軸とのなす角度をβとすると、図5では、β>αの関係にある。
【0032】
図6は、α=βとなる巻芯12の回転状態を示している。図6の状態を過ぎると、図7に示すように、巻芯12における被巻取材20の接点は大半径部分12aに位置するようになる。
【0033】
さらに、巻芯12が回転して、図8に示すように、巻芯12における被巻取材20の接点が存在している大半径部分12aの曲率中心(X1,Y1)と、巻付け始点が存在しない方の小半径部分12bの曲率中心(X2,Y2)とを結ぶ線とY軸とのなす角度βが角度αに等しくなる回転角度を過ぎると、巻芯12における被巻取材20の接点は巻付け始点が存在しない方の小半径部分12bに位置するようになる。
【0034】
予めα=βとなるときの回転角度θを求めておき、それぞれの場合について、各回転角度θに対する巻付け始点から巻付け終点までの長さSを幾何学的に求めて、回転角度に対するSの変化量(=ΔS/Δθ)を求めれば、それが巻取速度に比例することになる。
【0035】
図4に示した鋸形状を変形した巻取速度に対して、これを一定にするためには、図4において、補正曲線として点線で示したような変化の傾向を持つ回転速度(伝達速度という)の回転を回転伝達機構16で生成して、その回転速度で巻芯12を回転させることで、結果として一定の巻取速度とすることができる。即ち、
補正前の巻取速度×伝達速度=一定
であり、伝達速度は補正前の巻取速度の逆数に比例する。
【0036】
よって、回転伝達機構16は、巻取速度を一定にするために巻取速度の速度変化を相殺するべく、補正前の、等速回転運動で巻芯が回転したときの巻取速度の逆数に比例する変化を起こさせるようなギヤ比で、モータ14からの回転駆動力を巻芯12に伝達する。
【0037】
図4の点線で示すような傾向を持つ伝達速度を発生させるために、回転伝達機構16は、複数のギヤで構成され、好ましくは、複数のギヤ列30、40、50を有する。図9に示したように、そのうちの第1段のギヤ列30は、モータ14からの回転駆動力が入力される第1駆動ギヤ32と、第1駆動ギヤ32に噛み合う第1従動ギヤ34とからなり、第2段のギヤ列40は、第1従動ギヤ34と一体回転する第2駆動ギヤ42と、第2駆動ギヤ42と噛み合う第2従動ギヤ44とからなり、第3段のギヤ列50は、第2従動ギヤ44と一体回転する第3駆動ギヤ52と、第3駆動ギヤ52と噛み合って、巻芯12に対して回転駆動力を出力する第3従動ギヤ54とからなる。
【0038】
第1段と第2段のギヤ列30、40を構成するギヤ32、34、42、44は、非円形輪郭形状をなした非円形ギヤであって、通常すべて形状が異なり、またそれぞれの回転中心に対する回転対称性も有していない。今、モータ14からの任意の回転角度φ(φ:0〜360度)の入力に対して、各ギヤ32、34、42、44が噛み合っているときを考えたときに、第1駆動ギヤ32の回転中心から第1従動ギヤ34と噛み合っている地点までの距離をr1(φ)とし、第1従動ギヤ34の回転中心から第1駆動ギヤ32と噛み合っている地点までの距離をr2(φ)とし、第2駆動ギヤ42の回転中心から第2従動ギヤ44と噛み合っている地点までの距離をr3(φ)とし、第2従動ギヤ44の回転中心から第2駆動ギヤ42と噛み合っている地点までの距離をr4(φ)とする。また、第1段のギヤ列30に入力される角速度をv1(φ)とし、第1段のギヤ列30から出力され且つ第2段のギヤ列40に入力される角速度をv2(φ)とすると、
【0039】
【数1】


が成り立つ。同様に、第2段のギヤ列40に入力される角速度をv3(φ)とし、第2段のギヤ列40から出力され且つ第3段のギヤ列50に入力される角速度をv4(φ)とすると、
【0040】
【数2】


が成り立つ。v2(φ)=v3(φ)であるから、第1段のギヤ列30の入力に対して第2段のギヤ列40の出力は、
【0041】
【数3】


と表される。このf(φ)が図4の点線で示されたような所望の伝達速度変化のうちの0〜180度の変化を示すようにする。
【0042】
第3段のギヤ列を構成するギヤ52、54は、円形のギヤであり、そのギヤ比は2:1となっており、第2従動ギヤ44から出力される回転運動の回転速度を1/2にする減速機構を構成する。図4に示すように、巻取速度は、回転角度の1/2の周期を持つために、第3段のギヤ列によって、巻芯12に連結される第3従動ギヤ54の1回転につき、第3駆動ギヤ52が2回、前記所望の伝達速度のうちの180度の変化を行うようにする。
【0043】
図10は、3段のギヤ列で回転伝達機構16を構成した場合の好適な例であり、それぞれ(a)は第1段、(b)は第2段の例を示す。所望の伝達速度の最大速度と最小速度の比をn(>1)とし、第1段と第2段のギヤ列における、それぞれ、最大速度と最小速度の比をn1、n2とすると、n1・n2=nとなる。好ましくは、それぞれ約√nとなるようにすることで、各段における速度変化の負担をなるべく均等にすることができて、各段のギヤ列を構成するギヤの輪郭形状を穏やかなものとすることができる(図11)。即ち、
【0044】
【数4】


となるようにするとよい。
【0045】
以上のように構成することによって、モータ14からの等速回転運動を、非円形ギヤを有する回転伝達機構16によって巻取速度が一定になるように変換するために、巻取り精度を向上させることができると共に、急峻な角速度変化にも応答遅れなどがなく対応することができて、巻取速度自体を高速にすることができ、生産性を向上させることができる。
【0046】
尚、以上のように、第1段のギヤ列30と第2段のギヤ列40を設ける代わりに、1つのギヤ列で、前記所望の伝達速度変化を行わせるようにしてもよい。しかしながら、この実施形態のように2つまたはそれ以上の複数のギヤ列とすることで、発生させる速度変化を各ギヤ列で分担して負担することができ、構成する非円形ギヤの輪郭形状を緩やかな凸状の閉じた曲線とすることができる。よって、ギヤの輪郭形状に、平らな直線ができたり、または、凹状の曲線ができたりすることを防ぎ、ギヤとして好適な形状にすることができる。
【0047】
同様に、第3段のギヤ列50による減速機構を設けずに、巻芯12の1回転、即ち0〜360度に対応する所望の伝達速度変化を行わせるようにしてもよい。この場合には、ギヤは非円形形状であるが、対称性を持つ。しかしながら、この実施形態のように、減速機構を設けることで、他のギヤ列を構成するギヤの輪郭形状に凹状の曲線ができたりすることを防ぐことができる。図12は、1つの例として、1段のギヤ列だけで、所望の伝達速度変化を行わせようとした場合のギヤの輪郭形状の例であるが、一方のギヤがピーナッツの殻のように括れた凹状の部分を持つために、ギヤの噛み合わせとしては困難になる。
【0048】
また、補正前の巻取速度の変化が非常に不規則であり、例えば、その最大回転速度と最小回転速度の差が極端に大きかったり、また、巻取速度に急峻に変化する部分があったりすると、回転伝達機構16による補正が困難である。一般的に、巻芯12の形状が扁平になればなるほど、巻取速度の変化が不規則になる傾向となる。反対に、巻芯12の形状が膨らんでいき、例えば、楕円に近づくと、巻取速度の変化が規則的になっていく代わりに、巻取が扁平にできず、その後の処理において、巻芯12を抜き取って被巻取材を潰す際に、潰すのが困難になるというトレードオフの問題がある。しかしながら、巻芯12の形状を一対の大半径形状12aと、一対の小半径形状12bとから構成すると、回転伝達機構16によって補正できる範囲が広がり、より好適となる。
【0049】
被巻取材20としては、正極、負極、セパレータのような帯状部材の他に、糸のような線状部材を対象とすることも可能である。
【符号の説明】
【0050】
10 巻取装置
12 巻芯
12a 大半径部分
12b 小半径部分
14 モータ(回転駆動手段)
16 回転伝達機構
18 ガイドローラ
30、40、50 ギヤ列
32 第1駆動ギヤ(非円形ギヤ)
34 第1従動ギヤ(非円形ギヤ)
42 第2駆動ギヤ(非円形ギヤ)
44 第2従動ギヤ(非円形ギヤ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面非円形形状をなして、回転しながら被巻取材を巻き取る巻芯と、
巻芯を回転させるための回転運動を発生する回転駆動手段と、
回転駆動手段と巻芯との間に設けられて、回転駆動手段から発生された回転運動を巻芯に伝達する回転伝達機構と、を備え、
前記回転駆動手段は、等速回転運動を発生し、
前記回転伝達機構は、少なくとも2つの互いに噛み合った非円形ギヤから構成されて、非円形ギヤによって伝達される回転運動の速度が、巻芯による被巻取材の巻取速度を一定にするように、巻芯の回転角度に応じて変化することを特徴とする巻取装置。
【請求項2】
前記回転伝達機構は、複数段のギヤ列を有しており、各ギヤ列は、少なくとも2つの互いに噛み合った非円形ギヤから構成されることを特徴とする請求項1記載の巻取装置。
【請求項3】
前記回転伝達機構は、前記非円形ギヤから出力される回転運動を、その回転速度を1/2にして巻芯に伝達する減速機構をさらに備えることを特徴とする請求項1または2記載の巻取装置。
【請求項4】
被巻取材が外周に沿って案内されるガイドローラをさらに備えて、被巻取材はガイドローラから巻芯に向かっており、
前記巻取速度は、ガイドローラにおける被巻取材の巻付き長さと、ガイドローラにおける被巻取材の接点から巻芯における被巻取材の接点までの長さと、巻芯における被巻取材の接点から被巻取材の巻付け始点までの長さとの合計長さの、巻芯の回転角度に対する変化量に比例することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の巻取装置。
【請求項5】
前記回転伝達機構によって伝達される回転運動の速度は、巻芯に仮に等速回転運動をさせた場合の巻取速度の逆数に比例することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の巻取装置。
【請求項6】
前記巻芯の非円形形状は、互いに対向した大きな曲率半径の2つの大半径部分と、該2つの大半径部分との間に配置されて互いに対向した小さな曲率半径の2つの小半径部分と、からなることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の巻取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−51725(P2012−51725A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198027(P2010−198027)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000185329)オタリ株式会社 (8)
【Fターム(参考)】