説明

巻回型蓄電素子

【課題】本発明は、発電要素の揺動を防止することのできる巻回型蓄電素子を提供する。
【解決手段】 本発明は、巻芯と該巻芯の回りに巻き付けられた正極板及び負極板とを含む扁平状の発電要素と、該発電要素を収容したケースと、該ケースの外面上に配置された出力端子と、前記発電要素と前記出力端子とを電気的に接続する集電体とを備え、前記巻芯は、内周面同士を対峙させた状態で一方向に間隔をあけて鏡像配置された少なくとも二重の樹脂シートで構成された一対の円弧部と、該一対の円弧部の互いに対向する一端同士及び他端同士を接続した一対の対向部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重ね合わされた正極板及び負極板が渦巻状に巻回されて形成された発電要素を備えた巻回型蓄電素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種機器の電源等に採用される蓄電素子の一つとして、巻回型蓄電素子が提供されている。前記巻回型蓄電素子は、巻芯と、セパレータを挟んで重ね合わされた正極板及び負極板であって、巻芯の回りに巻き付けられた正極板及び負極板とを含む発電要素と、該発電要素を収容した箱状のケースと、該ケースの外面上に配置された出力端子と、前記ケース内に収容されて前記発電要素と前記出力端子とを電気的に接続する集電体とを備えている。
【0003】
前記発電要素は、扁平状に形成されている。すなわち、前記発電要素の巻回中心方向に対して直交する一方向の外寸は、前記巻回中心方向及び前記一方向と直交する他方向の外寸よりも長く設定されている。これにより、前記発電要素は、ケースの平面状の内壁面と対向する一対の平面部が外周上に形成されている。そして、この種の発電要素の巻芯には、可撓性を有する樹脂シートを筒状にしたものが採用されている。そのため、前記巻芯は、当該発電要素の外形に即して扁平筒状になっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
前記発電要素は、前記巻回中心方向の一端部に正極リード部が形成され、前記巻回中心方向の他端部に負極リード部が形成されている。前記発電要素は、正極リード部及び負極リード部のそれぞれに対し、出力端子に電気的に接続されつつケースの内面上に固定された前記集電体が接続され、該集電体によってケース内で支持された状態になっている。
【0005】
前記巻回型蓄電素子は、ケース内で集電体に支持された発電要素の平面部が前記ケースの内壁面に近接した配置になるように構成されている。
【0006】
これにより、この種の巻回型蓄電素子は、発電要素が巻回中心方向(集電体の並ぶ方向)及び該巻回中心方向と直交する方向(ケースの内壁面の並ぶ方向)の二方向で拘束され、想定範囲内の振動環境下で使用されたときに、発電要素等の破損や損傷の原因となる発電要素の揺動を阻止できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−242970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記構成の巻回型蓄電素子は、過度の振動(想定範囲外の振動)が作用したときに、発電要素がケース内で揺動し、該発電要素が損傷する可能性がある。
【0009】
具体的に説明すると、上記構成の巻回型蓄電素子は、過度の振動が作用したときに、発電要素を構成する正極板及び負極板が扁平方向に押し寄せられる傾向にある。すなわち、上記構成の巻回型蓄電素子は、前記発電要素の巻芯に樹脂シートを筒状にしたものが採用されるため、過度の振動が作用したときに巻芯が振動(衝撃力)に対抗できずに発電要素全体が前記巻回中心方向及び前記一方向と直交する他方向に圧縮変形する傾向にある。
【0010】
そのため、前記巻回型蓄電素子は、過度の振動が作用したときに、発電要素の平面部とケースの内壁面との間に隙間が形成される構成になっている。その結果、前記巻回型蓄電素子は、発電要素全体がケース内で揺動し、該発電要素が損傷する可能性がある。
【0011】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、発電要素の揺動を防止することのできる巻回型蓄電素子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る巻回型蓄電素子は、
巻芯と、セパレータを挟んで重ね合わされた正極板及び負極板であって、巻芯の回りに巻き付けられた正極板及び負極板とを含む扁平状の発電要素と、
該発電要素を収容したケースと、
該ケースの外面上に配置された出力端子と、
前記ケース内に収容されて前記発電要素と前記出力端子とを電気的に接続する集電体とを備え、
前記巻芯は、
内周面同士を対峙させた状態で配置された一対の円弧部と、
該一対の円弧部の互いに対向する一端同士及び他端同士を接続して互いに対向する一対の対向部とを備え、
前記発電要素の外周上に、前記巻芯の対向部と対応した平面部が形成され、
前記発電要素は、前記平面部を前記ケースの内壁面に近接させて配置され、
前記一対の円弧部のそれぞれの少なくとも一部は、円弧状に湾曲させた少なくとも二重の樹脂シートで構成される。
【0013】
上記構成の巻回型蓄電素子の発電要素は、平面部をケースの内壁面に対向させた状態でケース内に収容される。そして、一対の円弧部のそれぞれは、積層される樹脂シートの数に対応した反発力(樹脂シートが真っ直ぐに戻ろうとする復元力)を作用させる。これにより、一対の円弧部のそれぞれは、巻芯の回りに巻回されたセパレータ、正極板及び負極板を外側に押す。従って、前記発電要素の外面(平面部の両端近傍)は、巻回中心側からケースの内壁面に押し付けられる。すなわち、前記発電要素は、内壁面に対して圧接力を作用させた状態でケースに収容される。
【0014】
これにより、上記構成の巻回型蓄電素子は、振動(衝撃力)が作用しても、該発電要素の外周面(平面部の両端部近傍)とケースの内壁面との密接性が確保され、発電要素の揺動が規制されたものになる。
【0015】
従って、上記構成の巻回型蓄電素子は、過度な振動が作用しても発電要素が揺動することがなく、発電要素の損傷を防止できるものになる。
【0016】
前記一対の対向部のそれぞれは、一重の樹脂シートで構成されることが好ましい。このようにすれば、発電要素の巻芯を構成する一対の対向部のそれぞれは、一重(一枚)の樹脂シートで構成されているため、一対の円弧部間の空間を大きく占有することがない。これにより、上記構成の巻回型蓄電素子は、ケース内に電解液を入れる空間が確保されたものになる。従って、上記構成の巻回型蓄電素子は、発電要素(正極板及び負極板)の性能を最大限発揮させることのできる必要量の電解液をケース内に入れることができ、最大限の性能を発揮できるものになる。
【0017】
前記巻芯は、前記一対の円弧部のうちの一方の円弧部の一端と前記一対の円弧部のうちの他方の円弧部の他端を接続する接続部をさらに備え、前記一対の円弧部のそれぞれは、二重の樹脂シートで構成され、前記一対の対向部のうちの一方の対向部は、前記一方の円弧部の外側の樹脂シートの一端と前記他方の円弧部の内側の樹脂シートの一端とを接続し、前記一対の対向部のうちの他方の対向部は、前記一方の円弧部の内側の樹脂シートの他端と前記他方の円弧部の外側の樹脂シートの他端とを接続し、前記接続部は、一重の樹脂シートで構成され、前記一方の円弧部の内側の樹脂シートの一端と前記他方の円弧部の内側の樹脂シートの他端とを接続していることが好ましい。
【0018】
前記一方の円弧部の外側の樹脂シートの他端、及び前記他方の円弧部の外側の樹脂シートの一端は、内側の樹脂シートから離れようとする復元力(反発力)を作用させる。すなわち、一対の円弧部のそれぞれの外側の樹脂シートの端部は、起きあがろうとするため、周囲の巻回された前記セパレータ、前記正極板及び前記負極板をより大きな力で外側に押す。従って、前記発電要素は、ケースの内壁面に対してより大きな圧接力を作用させた状態でケースに収容される。これにより、上記構成の巻回型蓄電素子は、振動(衝撃力)が作用しても、発電要素の外周面(平面部の両端部近傍)とケースの内壁面との密接性が十分に確保され、発電要素の揺動がより確実に規制されたものになる。
【0019】
そして、前記発電要素の巻芯は、一対の円弧部間に接続部を備えているが、一対の対向部及び接続部のそれぞれが一重の樹脂シートで構成されているため、樹脂シートを二周以上巻いた巻芯に比べ、一対の円弧部間の空間を占有する樹脂シートの存在が少ない。従って、前記巻芯は、ケース内の空間を大きく占有することなく、必要量の電解液を入れる空間を確保できるものになる。
【0020】
この場合、前記巻芯は、一枚の樹脂シートを湾曲させることで、前記一対の円弧部、前記一対の対向部、及び前記接続部が形成されることが好ましい。このようにすれば、前記一対の円弧部、前記一対の対向部、及び前記接続部は、継ぎ目なく連続して形成され、全体の剛性(強度)が高まった巻芯を構成する。
【0021】
また、この場合において、前記一方の対向部と前記一方の円弧部の外側の樹脂シートとの境界又は境界近傍に前記一方の円弧部の内側の樹脂シートと接続部との境界又は境界近傍が溶着されるとともに、前記他方の対向部と前記他方の円弧部の外側の樹脂シートとの境界又は境界近傍に前記他方の円弧部の内側の樹脂シートと接続部との境界又は境界近傍が溶着されていることが好ましい。このようにすれば、巻芯の型崩れが防止される。これにより、発電要素がケースの内壁面に圧接した状態で維持する。また、一対の円弧部のそれぞれにおける外側の樹脂シートにおいて、対向部と接続された端部とは反対側の端部(先端)が自由端になる。これにより、一対の円弧部のそれぞれにおける外側の樹脂シートの復元力が発電要素をケースの内壁面に対して強く圧迫させる。従って、巻回型蓄電素子は、ケース内での発電要素の揺動を確実に防止できる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明の巻回型蓄電素子は、発電要素の揺動を防止することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る巻回型電池(巻回型蓄電素子)の全体斜視図である。
【図2】図2は、同実施形態に係る巻回型電池(巻回型蓄電素子)の部分分解斜視図である。
【図3】図3は、同実施形態に係る巻回型電池(巻回型蓄電素子)の分解斜視図である。
【図4】図4は、同実施形態に係る巻回型電池(巻回型蓄電素子)に採用される発電要素の説明図であって、(a)は、発電要素の側面図であり、(b)は、発電要素の巻芯の側面図である。
【図5】図5は、同実施形態に係る巻回型電池(巻回型蓄電素子)の部分拡大断面図である。
【図6】図6は、同実施形態に係る巻回型電池(巻回型蓄電素子)の側面断面図を示す。
【図7】図7は、本発明の他実施形態に係る巻回型電池(巻回型蓄電素子)の巻芯の変形例の概略側面図であって、(a)は、一枚の樹脂シートによって一対の円弧部のそれぞれの外側の樹脂シート及び一対の対向部のそれぞれが形成されるとともに、前記一枚の樹脂シートとは別の独立した樹脂シートによって一対の円弧部のそれぞれの外側の樹脂シートが構成された巻芯の概略側面図であり、(b)は、巻芯を構成する二枚の樹脂シートのうちの一方の樹脂シートで一対の円弧部のそれぞれの内側の樹脂シート及び一対の対向部のうちの一方の対向部を構成し、巻芯を構成する二枚の樹脂シートのうちの他方の樹脂シートで一対の円弧部のそれぞれの外側の樹脂シート及び一対の対向部のうちの他方の対向部を構成した巻芯の概略側面図であり、(c)は、巻芯を構成する二枚の樹脂シートのうちの一方の樹脂シートの両端を折り返して一対の円弧部(内側及び外側の樹脂シート)及び一対の対向部のうちの一方の対向部を構成し、前記二枚の樹脂シートのうちの他方の樹脂シートで一対の対向部のうちの他方の対向部を構成した巻芯の概略側面図であり、(d)は、一枚の樹脂シートの二カ所を複数回折り返して一対の円弧部のそれぞれが形成されるとともに該一対の円弧部間に一対の対向部のそれぞれが形成された巻芯の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係る巻回型蓄電素子について、添付図面を参照して説明する。なお、本実施形態においては、巻回型蓄電素子の一例として、巻回型電池(以下、単に電池という)について説明する。
【0025】
本実施形態に係る電池は、図1乃至図3に示す如く、電力を発生させる発電要素2と、該発電要素2を収容したケース3と、該ケース3の外部に配置された出力端子4a,4bと、前記発電要素2と出力端子4a,4bとを電気的に接続する集電体5a,5bとを備えている。
【0026】
前記発電要素2は、図4(a)に示す如く、巻芯20と、セパレータ21aを挟んで重ね合わされた正極板21b及び負極板21cであって、前記巻芯20の回りに巻き付けられた正極板21b及び負極板21cを含んでいる。
【0027】
前記巻芯20は、セパレータ21aの厚みよりも厚い樹脂シートで形成されている。より具体的には、巻芯20は、PP、PE、PPS、PET等の電解液に耐性のある樹脂シートで構成される。これを前提に、巻芯20にされる樹脂シートの厚みは、50μm〜200μmに設定される。本実施形態に係る巻芯20は、厚みが150μmに設定されたPP製の樹脂シートで構成されている。
【0028】
前記巻芯20は、内周面同士を対峙させた状態で配置された一対の円弧部200a,200bと、該一対の円弧部200a,200bの互いに対向する一端同士及び他端同士を接続して互いに対向する一対の対向部201a,201bとを備えている。
【0029】
前記一対の円弧部200a,200bは、一方向に間隔をあけて互いに鏡像配置されている。そして、前記一対の円弧部200a,200bのそれぞれの少なくとも一部は、少なくとも二重の樹脂シートS1,S2で構成される。本実施形態において、前記一対の円弧部200a,200bのそれぞれは、一端から他端に掛けて(全長に亘って)円弧状に湾曲させた少なくとも二重の樹脂シートS1,S2で構成される。これに対し、前記一対の対向部201a,201bのそれぞれは、一重の樹脂シートS3で構成される。
【0030】
本実施形態において、前記一対の円弧部200a,200bのそれぞれは、円弧状に湾曲させた二重の樹脂シートS1,S2で構成されている。また、前記一対の対向部201a,201bのそれぞれは、一重の樹脂シートS3で構成されている。そして、本実施形態に係る巻芯20は、前記一対の円弧部200a,200b及び前記一対の対向部201a,201bに加え、前記一対の円弧部200a,200bのうちの一方の円弧部200aの一端と前記一対の円弧部200a,200bのうちの他方の円弧部200bの他端を接続する接続部202をさらに備えている。
【0031】
これを前提に、前記一対の対向部201a,201bのうちの一方の対向部201aは、前記一方の円弧部200aの外側の樹脂シートS2の一端と前記他方の円弧部200bの内側の樹脂シートS1の一端とを接続している。また、前記一対の対向部201a,201bのうちの他方の対向部201bは、一方の円弧部200aの内側の樹脂シートS1の他端と他方の円弧部200bの外側の樹脂シートS2の他端とを接続している。そして、前記接続部202は、一重の樹脂シートS4で構成されている。前記接続部202は、前記一方の円弧部200aの内側の樹脂シートS1の一端と前記他方の円弧部200bの内側の樹脂シートS1の他端とを接続している。
【0032】
これにより、前記一対の円弧部200a,200b、前記一対の対向部201a,201b、及び前記接続部202は、連続して形成されている。すなわち、本実施形態に係る巻芯20は、一方の円弧部200aの外側の樹脂シートS2、一方の対向部201aを構成する樹脂シートS3、他方の円弧部200bの内側の樹脂シートS1、接続部202を構成する樹脂シートS4、一方の円弧部200aの内側の樹脂シートS1、他方の対向部201bを構成する樹脂シートS3、他方の円弧部200bの外側の樹脂シートS2の順で、これらが連なって形成されている。
【0033】
これに伴い、本実施形態に係る巻芯20は、一枚の樹脂シートSを複数箇所で湾曲させることで形成されている。すなわち、前記一対の円弧部200a,200b、前記一対の対向部201a,201b、及び前記接続部202は、一枚の樹脂シートSから形成されている。具体的に説明すると、本実施形態に係る巻芯20は、S字状に湾曲させた樹脂シートSの一端側及び他端側をS字の湾曲部分(円弧部200a,200bの内側の樹脂シートS1になる部分)の外側に重ねるように配置することで作製されている。
【0034】
前記巻芯20は、前記一方の対向部201aと前記一方の円弧部200aの外側の樹脂シートS2との境界又は境界近傍に前記一方の円弧部200aの内側の樹脂シートS1と接続部202との境界又は境界近傍が溶着されるとともに、前記他方の対向部201bと前記他方の円弧部200bの外側の樹脂シートS2との境界又は境界近傍に前記他方の円弧部200bの内側の樹脂シートS1と接続部202との境界又は境界近傍が溶着されている。すなわち、本実施形態に係る巻芯20は、一方の円弧部200aの外側の樹脂シートS2の一端部近傍と該一方の円弧部200aの内側の樹脂シートS1の一端部近傍とが熱溶着されるとともに、他方の円弧部200bの外側の樹脂シートS2の他端部近傍と該他方の円弧部200bの内側の樹脂シートS1の他端部近傍とが熱溶着されている。
【0035】
これにより、前記一対の円弧部200a,200bのそれぞれの内側の樹脂シートS1は、図4(b)に示す如く、反発力を作用させつつ円弧状に湾曲した状態で維持するようになっている。これに対し、前記一対の円弧部200a,200bのそれぞれの外側の樹脂シートS2は、一方の端部が固定される一方で、他方の端部が自由端になっているため、円弧状をなす内側の樹脂シートS1に対して接線方向に延びようとする反発力(復元力)を作用させている。すなわち、前記一対の円弧部200a,200bのそれぞれの外側の樹脂シートS2は、正極板21b及び負極板21cが巻回されるまで対向部201a,201bと連続して真っ直ぐに延びた状態を維持し、正極板21b及び負極板21cが巻回されるに伴って円弧部200a,200bを構成する内側の樹脂シートS1に沿って円弧状になるようになっている。
【0036】
本実施形態に係る発電要素2は、図4(a)に示す如く、上記態様の巻芯20の回りに前記正極板21b及び前記負極板21cが巻回されることで、扁平状に形成されている。すなわち、前記発電要素2は、巻回中心方向に対して直交する一方向の外寸が前記巻回中心方向及び前記一方向と直交する他方向の外寸よりも長くなるように形成されている。これにより、前記発電要素2の外周上には、ケース3の内壁面(本実施形態においては後述する前後壁部302の内面:図3参照)302aと対向する平面部212,212が形成されている。
【0037】
すなわち、本実施形態に係る発電要素2は、巻回中心の両側に真っ直ぐに延びる一対の直線部210,210と、前記一対の直線部210,210同士を接続して円弧状をなす一対のターン部211,211とが形成されている。これにより、本実施形態に係る発電要素2は、前記一対の直線部210,210のそれぞれの最外周面上に前記平面部212が形成されている。
【0038】
前記一対のターン部211,211のそれぞれは、巻芯20における一対の円弧部200a,200bのそれぞれに対応して形成されている。これに対し、一対の直線部210,210のそれぞれは、巻芯20における一対の対向部201a,201bのそれぞれに対応して形成されている。これに伴い、発電要素2の最外周面上にある一対の平面部212は、巻芯20の一対の対向部201a,201bのそれぞれに対応して形成されている。
【0039】
そして、上記構成の発電要素2は、ケース3の互いに対向した一対の内壁面302a,302aに対して面対向した状態でケース3に収容できるように構成されている。
【0040】
前記正極板21b及び負極板21cは、図3に示す如く、巻回中心方向に位置ずれした状態で積層されている。これにより、前記発電要素2は、巻回中心方向の一端部に正極板21bのみが積層した正極リード部Laが形成されるとともに、巻回中心方向の他端部に負極板21cのみが積層した負極リード部Lbが形成されている。本実施形態に係る発電要素2は、巻回中心方向の一端部における直線部210,210が正極リード部Laを構成し、前記巻回中心方向の他端部における直線部210,210が負極リード部Lbを構成している。
【0041】
そして、前記一対の円弧部200a,200bのそれぞれは、積層される樹脂シートS1,S2の数に対応した反発力(真っ直ぐに戻ろうとする復元力)を作用させているため、巻芯20の回りに巻回されたセパレータ21a、正極板21b及び負極板21cは、一対の円弧部200a,200bのそれぞれの反発力の作用により、外側に押された状態になっている。
【0042】
前記一対の集電体5a,5bのそれぞれは、発電要素2の一方向に延びる端縁に沿って配置される発電要素添設部50a,50bと、発電要素添設部50a,50bと直角又は略直角をなすように該発電要素添設部50a,50bの一端に延設された固定用片部51a,51bとを備えている。
【0043】
前記固定用片部51a,51bには、後述する軸状の締結部材7a,7bを挿通するための貫通孔Hが穿設されている。前記発電要素添設部50a,50bは、発電要素2の巻回中心部に挿入可能な介挿入部500a,500bを備えている。前記介挿入部500a,500bは、当該集電体5a,5bを構成する金属プレートに設けられた長手方向に延びるスリットの両側を捻ることで形成されている。従って、本実施形態に係る発電要素添設部50a,50bは、長手方向と直交する方向に間隔をあけて長手方向に延びる一対の介挿入部500a,500bが同方向に延出するように形成されている。
【0044】
本実施形態に係る発電要素2は、巻回中心の両側にあるリード部La,La,Lb,Lbのそれぞれにクリップ部材52a,52b(薄板を二つ折りにしたもの)が取り付けられる。これに伴い、前記一対の集電体5a,5bのそれぞれの介挿入部500a,500bは、前記クリップ部材52a,52a,52b,52b間に介装された状態で該クリップ部材52a,52bに溶着される。これにより、前記一対の集電体5a,5bのそれぞれは、前記クリップ部材52a,52bを介して前記発電要素2の前記リード部La,Lbに機械的且つ電気的に接続されている(図2参照)。そして、本実施形態において、前記発電要素2、前記一対の集電体5a,5b(発電要素添設部50a,50b)及び前記クリップ部材52a,52bは、絶縁袋B(図6参照)に包み込まれた上でケース3に収容されている。
【0045】
前記ケース3は、一面に開口部を形成した箱状のケース本体30と、該ケース本体30の開口部を閉塞する蓋板31とで構成されている。本実施形態に係るケース3は、ケース本体30及び蓋板31の何れも金属製であり、ケース本体30に対して蓋板31を溶接することで内部空間が気密に形成されるようになっている。
【0046】
前記ケース本体30は、扁平な箱形に形成され、扁平状の発電要素2を密嵌状態で収容可能に形成されている。すなわち、本実施形態に係るケース本体30は、平面視長方形状の底部300と、該底部300の長手方向の両端から起立した一対の側壁部301,301と、前記底部300の長手方向と直交する両端から起立した一対の前後壁部302,302とで構成されており、隣り合う側壁部301,301と前後壁部302,302とが接続されることで、底部300の平面形状に対応する開口部が形成されている。
【0047】
上記構成のケース本体30は、底部300の長手方向と発電要素2の巻回中心方向とが同方向になるように集電体5a,5b(発電要素添設部50a,50b)の接続された発電要素2を収容できるようになっている。そして、該ケース本体30は、収容した発電要素2の平面部212が前後壁部302,302の内壁面302aに近接するように形成されている。すなわち、発電要素2は、平面部212を前後壁部302,302の内壁面302aに近接させて配置される。
【0048】
前記蓋板31は、ケース本体30の開口部に即して長方形状に形成されている。そして、該蓋板31には、前記締結部材7a,7bを挿通するための貫通孔Hが長手方向に間隔をあけて一対設けられている。
【0049】
前記一対の出力端子4a,4bのそれぞれは、図3及び図5に示す如く、軸状の端子部40a,40bと、該端子部40a,40bの一端に連設された回止部41a,41bとで構成されている。本実施形態に係る出力端子4a,4bは、端子部40a,40bの外周に図示しない雌ネジ部材(例えば、ナット)が螺合可能なネジ溝が形成されている。すなわち、本実施形態に係る出力端子4a,4bには、ボルト端子が採用されている。
【0050】
前記回止部41a,41bは、端子部40a,40bとの接続面とは反対側の面に対して軸心方向と直交する方向に延びる回り止め用の溝(採番しない)が形成されている。そして、本実施形態に係る回止部41a,41bは、端子部40a,40bよりも大径に形成されており、蓋板31上に配置された回止部材6a,6bに形成された凹部(採番しない)内に収容可能にサイズ設定されている。なお、回止部材6a,6bは、電気絶縁性を備えた合成樹脂成型品であり、前記凹部の奥部(底面上)に出力端子4a,4bの溝と嵌合可能な凸部(採番しない)が形成されている。
【0051】
これにより、本実施形態に係る電池1は、出力端子4a,4bの回止部41a,41bを回止部材6a,6bの凹部に収容した状態で、回止部41a,41bに形成された回り止め用の溝と回止部材6a,6bに形成された凸部とが嵌合して出力端子4a,4bと回止部材6a,6bとの相対的な回転を規制するようになっている。
【0052】
そして、本実施形態に係る電池1は、蓋板31の貫通孔Hに挿通した締結部材7a,7bによって、集電体5a,5bがケース3内に固定されるとともに内外にある発電要素2と出力端子4a,4bとが電気的に接続されている。
【0053】
かかる締結部材7a,7bは、ケース3の蓋板31及び集電体5a,5bに挿通される軸状のリベット部70a,70bと、該リベット部70a,70bの一端に連設された鍔部71a,71bとを備えている。また、本実施形態に係る締結部材7a,7bは、前記リベット部70a,70bとは反対側に別のリベット部(以下、接続杆用リベット部という)72a,72bを備えている。
【0054】
そして、本実施形態に係る電池1は、締結部材7a,7bが出力端子4a,4bに対して別個独立した構成になっている。これに伴い、該電池1は、締結部材7a,7bと出力端子4a,4bとを電気的に接続するための接続杆8a,8bを備えている。該接続杆8a,8bは、短冊状の金属プレートで構成されており、長手方向に間隔をあけて一対の貫通孔H,Hが穿設されている。
【0055】
そして、前記接続杆8a,8bは、回止部41a,41bが回止部材6a,6bの凹部に収容された出力端子4a,4bの端子部40a,40bが一方の貫通孔Hに挿通されるとともに、リベット部70a,70bがケース3(蓋板31)の貫通孔Hに挿通された締結部材7a,7bの接続杆用リベット部72a,72bが他方の貫通孔Hに挿通されるようになっている。
【0056】
そして、本実施形態に係る電池1は、集電体5a,5bの配置に対応するようにケース3の蓋板31の内面に沿って配置される内部ガスケットG1a,G1bと、集電体5a,5bの配置に対応するようにケース3の蓋板31の外面に沿って配置される外部ガスケットG2a,G2bとを備えている。前記内部ガスケットG1a,G1b及び外部ガスケットG2a,G2bのそれぞれには、前記リベット部70a,70bを挿通させる貫通孔Hが貫設されている。
【0057】
そして、締結部材7a,7bのリベット部70a,70bは、外部ガスケットG2a,G2b、内部ガスケットG1a,G1b、及び集電体5a,5bの固定用片部51a,51b(貫通孔H)に挿通された上で、集電体5a,5b(固定用片部51a,51b)から内方に突出する先端部がかしめ処理されている。これに対し、締結部材7a,7bの接続杆用リベット部72a,72bは、接続杆8a,8bの他方の貫通孔Hに挿通された上で、接続杆8a,8bから外方に突出する先端部がかしめ処理されている。
【0058】
これにより、前記一対の集電体5a,5bのそれぞれは、ケース3に固定されつつ締結部材7a,7b及び接続杆8a,8bに対して電気的に接続されている。また、本実施形態に係る電池1は、締結部材7a,7bをかしめ処理することで、内部ガスケットG1a,G1b及び外部ガスケットG2a,G2bを蓋板31の内外面に圧接させ、ケース3内を気密な状態で維持させるようになっている。
【0059】
本実施形態に係る電池1は、以上の通りである。本実施形態に係る電池1の巻芯20を構成する前記一対の円弧部200a,200bのそれぞれは、円弧状に湾曲させた少なくとも二重の樹脂シートS1,S2で構成されているため、図6に示す如く、積層される樹脂シートS1,S2の数に対応した反発力F,F(真っ直ぐに戻ろうとする復元力)を作用させる。これにより、前記一対の円弧部200a,200bは、巻芯20の回りに巻回されたセパレータ21a、正極板21b及び負極板21cを外側に押すことになる。
【0060】
これにより、前記発電要素2の外面(平面部212の両端近傍)は、巻回中心側からケース3(ケース本体30)の内壁面302a(前後壁部302の内面)に押し付けられた状態になる。すなわち、前記発電要素2は、巻芯20の各円弧部200a,200bが両側にある一対の内壁面302a,302aのそれぞれに対して反対向きの圧接力を作用させた状態(突っ張った状態)でケース3に収容される。
【0061】
これにより、本実施形態に係る電池1は、振動(衝撃力)が作用しても、発電要素2の外周面(平面部212の両端部近傍)とケース3の内壁面302aとの密接性が確保され、発電要素2の揺動が規制されたものになる。
【0062】
特に、本実施形態に係る巻芯20は、前記一方の円弧部200aの一端と前記他方の円弧部200bの他端を接続する接続部202を備えるとともに、前記一対の円弧部200a,200bそれぞれが二重の樹脂シートS1,S2で構成されることを前提に、前記一方の対向部201aが一方の円弧部200aの外側の樹脂シートS2の一端と他方の円弧部200bの内側の樹脂シートS1の一端とを接続し、前記他方の対向部201bが一方の円弧部200aの内側の樹脂シートS1の他端と他方の円弧部200bの外側の樹脂シートS2の他端とを接続し、前記接続部202が一重の樹脂シートS4で構成されて一方の円弧部200aの内側の樹脂シートS1の一端と他方の円弧部200bの内側の樹脂シートS1の他端とを接続しているため、前記一方の円弧部200aの外側の樹脂シートS2の他端、及び前記他方の円弧部200bの外側の樹脂シートS2の一端は、内側の樹脂シートS1から離れるように復元力(反発力)を作用させる。すなわち、前記一対の円弧部200a,200bそれぞれの外側の樹脂シートS2の端部は、起きあがろうとして反発力を作用させるため、巻芯20の回りに巻回されたセパレータ21a、正極板21b及び負極板21cをより大きな力で外側に押すことになる。
【0063】
従って、前記発電要素2は、ケース3の内壁面302aに対してより大きな圧接力を作用させた状態でケース3に収容される。これにより、上記構成の電池1は、振動(衝撃力)が作用しても、発電要素2の外周面(平面部212の両端部近傍)とケース3の内壁面302aとの密接性を十分に確保することができ、発電要素2の揺動がより確実に規制されたものになる。
【0064】
従って、本実施形態に係る電池1は、過度な振動が作用しても発電要素2が揺動することがなく、発電要素2の損傷を防止できるものになる。
【0065】
その上、前記電池1は、発電要素2の巻芯20を構成する前記一対の対向部201a,201bのそれぞれが一重(一枚)の樹脂シートS3で構成されているため、前記一対の円弧部200a,200b間の空間を占有する樹脂シートの存在が少なく、電解液を入れる空間が確保されたものになる。なお、本実施形態に係る巻芯20は、接続部202を備えているが、発電要素2の巻芯20を構成する一対の対向部201a,201b及び接続部202のそれぞれが一重の樹脂シートS3,S4で構成されているため、樹脂シートを二周以上巻いた巻芯に比べ、一対の円弧部200a,200b間の空間を占有する樹脂シートの存在が少ない。従って、本実施形態に係る電池1は、巻芯20にケース3の内部空間が大きく浸食されることがなく、必要量の電解液を入れる空間を確保したものになる。
【0066】
従って、本実施形態に係る電池1は、ケース3内に発電要素2(正極板21b及び負極板21c)の性能を最大限発揮させることのできる必要量の電解液を入れることができるため、最大限の性能を発揮しつつ発電要素2の損傷を防止したものになる。
【0067】
そして、本実施形態に係る巻芯20は、一枚の樹脂シートSを湾曲させることで、前記一対の円弧部200a,200b、前記一対の対向部201a,201b及び前記接続部202が形成されているため、前記一対の円弧部200a,200b、前記一対の対向部201a,201b、及び前記接続部202が継ぎ目なく連続して形成され、全体の剛性(強度)が高まったものになる。
【0068】
以上のように、本実施形態に係る電池1は、ケース3内に電解液を入れる空間を確保しつつ発電要素2の揺動を防止することができるという優れた効果を奏し得る。
【0069】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更を加え得ることは勿論のことである。
【0070】
上記実施形態において、巻回型蓄電素子の一例として電池(巻回型電池)を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、巻回型蓄電素子は、キャパシタであってもよい。
【0071】
上記実施形態において、一つの発電要素2が単一のケース3に収容されたが、これに限定されるものではない。例えば、二つ以上の発電要素2が単一のケース3に収容されてもよい。この場合、隣り合う発電要素2の平面部201a,201b同士が近接状態で面対向するように、二つ以上の発電要素2が一列に配置される。そして、一列に並ぶ発電要素2のうちの両端にある二つの発電要素2のそれぞれは、一方の平面部201a,201bをケース3の内壁面に近接させて配置される。従って、両端にある二つの発電要素2の巻芯20(円弧部200a,200b)の反発力がケース3の内面に作用し、ケース3内に配置された二つ以上の発電要素2のそれぞれの揺動が防止される。
【0072】
上記実施形態に係る電池1の巻芯20は、各円弧部200a,200bが二重の樹脂シートS1,S2で構成されたが、例えば、各円弧部200a,200bが三重以上の樹脂シートで構成されてもよい。すなわち、巻芯20は、各円弧部200a,200bが少なくとも二重の樹脂シートS1,S2で構成されたものであればよい。
【0073】
上記実施形態に係る電池1の巻芯20は、一枚の樹脂シートSを湾曲させることで、円弧部200a,200b、対向部201a,201b、及び接続部202が一体的に形成されたが、例えば、複数枚の樹脂シートを繋ぎ合わせて円弧部200a,200b、対向部201a,201b、及び接続部202を形成したものであってもよい。すなわち、巻芯20は、円弧部200a,200b、対向部201a,201b及び接続部202のそれぞれが独立した樹脂シートで構成され、これらの樹脂シートを繋ぎ合わせて形成されたものであってもよい。
【0074】
上記実施形態に係る電池1の巻芯20は、接続部202を備えたが、例えば、図7(a)乃至図7(d)に示す如く、一対の円弧部200a,200b及び一対の対向部201a,201bによって構成されたものであってもよい。
【0075】
具体的に説明すると、上記実施形態に係る電池1の巻芯20は、S字状に湾曲させた樹脂シートSの一端側及び他端側をS字の湾曲部分(円弧部200a,200bの内側の樹脂シートS1になる部分)の外側に重ねるように配置した上で、該外側に配置した樹脂シートS(S2)の基端側が内側の樹脂シートS(S3)に接続される(溶着される)ことで作製されたが、例えば、巻芯20は、図7(a)に示す如く、一枚の樹脂シートを筒状にして前記一対の円弧部200a,200bのそれぞれの内側の樹脂シートS1,S1及び前記一対の対向部201a,201bのそれぞれが連続したものを形成するとともに、前記一対の円弧部200a,200bのそれぞれの内側の樹脂シートS1,S1になる部分に外側の樹脂シートS2,S2になる独立した樹脂シートを重ね合わせるように配置し、内側の樹脂シートS1と外側の樹脂シートS2とが接続されることで前記一対の円弧部200a,200bのそれぞれが形成されたものであってもよい。
【0076】
また、巻芯20は、図7(a)に示す態様と逆の態様のものであってもよい。すなわち、巻芯20は、一枚の樹脂シートを筒状にして前記一対の円弧部200a,200bのそれぞれの外側の樹脂シートS2,S2及び前記一対の対向部201a,201bのそれぞれが連続したものを形成するとともに、前記一対の円弧部200a,200bのそれぞれの外側の樹脂シートS2,S2になる部分に前記内側の樹脂シートS1,S1になる独立した樹脂シートを重ね合わせるように配置し、前記内側の樹脂シートS1と前記外側の樹脂シートS2とが接続されることで前記一対の円弧部200a,200bのそれぞれが形成されたものであってもよい。
【0077】
また、巻芯20は、図7(b)及び図7(c)に示す如く、二枚の樹脂シートを繋いで形成されたものであってもよい。
【0078】
具体的には、巻芯20は、図7(b)に示す如く、二枚の樹脂シートのうちの一方の樹脂シートの両端部で前記一対の円弧部200a,200bのそれぞれの内側の樹脂シートS1を構成するとともに該樹脂シートの中間部分で前記一対の対向部201a,201bのうちの一方の対向部201a(S3)を構成し、前記二枚の樹脂シートのうちの他方の樹脂シートの両端部で前記一対の円弧部200a,200bのそれぞれの外側の樹脂シートS2を構成するとともに該樹脂シートの中間部分で前記一対の対向部201a,201bのうちの他方の対向部201b(S3)を構成することを前提に、湾曲させた一方の樹脂シートの端部の外周上に湾曲させた他方の樹脂シートの端部を重ね合わせ、二枚の樹脂シートの端部同士を接続したものであってもよい。
【0079】
また、巻芯20は、図7(c)に示す如く、二枚の樹脂シートのうちの一方の樹脂シートで前記一対の対向部201a,201bのうちの一方の対向部201a(S3)を構成し、二枚の樹脂シートのうちの他方の樹脂シートの両端部で前記一対の円弧部200a,200b(内側の樹脂シートS1及び外側の樹脂シートS2)を構成するとともに該樹脂シートの中間部分で前記一対の対向部201a,201bのうちの他方の対向部201b(S3)を構成してもよい。すなわち、巻芯20は、一方の樹脂シートの両端部を折り返して二重にして湾曲させることで、該二重になった部分が前記一対の円弧部200a,200bを構成するとともに、湾曲させた両端部間が前記他方の対向部201bを構成し、他方の樹脂シートの両端部を一方の樹脂シートの折返し部分の近傍に接続することで、他方の樹脂シートが前記一方の対向部201aを構成したものであってよい。
【0080】
また、巻芯20は、図7(d)に示す如く、一枚の樹脂シートの一端側を余らせるようにして該樹脂シートの他端部を一端側の途中位置に接続して環状にし、該樹脂シートの一端側を複数回折り返して二重以上になった部分を部分的に接続した上で湾曲させて前記一対の円弧部200a,200bのうちの一方の円弧部200aを構成し、環状になった樹脂シートの途中位置を複数回折り返して二重以上になった部分を部分的に接続した上で湾曲させて前記一対の円弧部200a,200bのうちの他方の円弧部200bを構成したものであってもよい。
【0081】
このように、図7(a)乃至図7(d)の示す巻芯20は、何れも前記一対の円弧部200a,200bのそれぞれが二重以上の樹脂シートS1,S2で構成されるため、上記実施形態の巻芯20と同様に、前記一対の円弧部200a,200bのそれぞれが積層される樹脂シートの数に対応した反発力(樹脂シートが真っ直ぐに戻ろうとする復元力)F,Fを作用させ、巻芯20の回りに巻回されたセパレータ21a、正極板21b及び負極板21cをケース3の内壁面302aに押し付けた状態にする。これにより、これらの電池1においても、振動(衝撃力)が作用しても、該発電要素2の外周面(平面部212の両端部近傍)とケース3の内壁面302aとの密接性が確保され、発電要素2の揺動が規制されたものになる。従って、上記構成の電池1は、発電要素2の損傷を防止することができる。
【0082】
その上、上記構成の電池1は、発電要素2の巻芯20を構成する前記一対の対向部201a,201bのそれぞれが一重(一枚)の樹脂シートS3で構成されているため、前記一対の円弧部200a,200b間の空間を占有する樹脂シートの存在が少なく、電解液を入れる空間を確保することができる。従って、上記構成の電池1は、何れもケース3内に発電要素2(正極板21b及び負極板21c)の性能を最大限発揮させることのできる必要量の電解液を入れることができるため、最大限の性能を発揮しつつ発電要素の損傷を防止することができる。
【0083】
そして、上記実施形態に係る電池1の巻芯20は、前記一対の円弧部200a,200bのそれぞれの外側の樹脂シートS2の一方の端部が対向部201a,201bに接続され、該外側の樹脂シートS2の他方側を自由端にされたが、図7(a)、図7(b)及び図7(d)に示す如く、円弧部200a,200bを構成する樹脂シートS1,S2の途中位置(円弧状のなす部分の何れかの部分)同士が接続され、前記内側の樹脂シートS1又は前記外側の樹脂シートS2の両端が自由端にされたものであってもよい。
【0084】
上記実施形態に係る電池1は、発電要素2及び集電体5a,5bが絶縁袋Bに包み込まれた上でケース3に収容されたが、例えば、ケース3の少なくとも内面(内壁面302aを含む面9が電気絶縁性を有する場合には、発電要素2及び集電体5a,5bを絶縁袋Bに包み込むことなくケース3に収容してもよい。かかる電池1においても、ケース3に発電要素2を収容した状態で、発電要素2の平面部212がケース3の内壁面302aに近接することになるが、絶縁袋Bがないため直接接触することになる。従って、かかる電池1においても、巻芯20の円弧部200a,200bの反発力Fの作用で発電要素2の外周面がケース3の内壁面302aに押し付けられることになり、発電要素2の揺動が規制される。
【符号の説明】
【0085】
1…電池(巻回型蓄電素子)、2…発電要素、3…ケース、4a,4b…出力端子、5a,5b…集電体、6a,6b…回止部材、7a,7b…締結部材、8a,8b…接続杆、20…巻芯、21a…セパレータ、21b…正極板、21c…負極板、30…ケース本体、31…蓋板、40a,40b…端子部、41a,41b…回止部、50a,50b…発電要素添設部、51a,51b…固定用片部、52a,52b…クリップ部材、70a,70b…リベット部、71a,71b…鍔部、72a,72b…接続杆用リベット部、200a,200b…円弧部、201a,201b…対向部、202…接続部、210…直線部、211…ターン部、212…平面部、300…底部、301…側壁部、302…前後壁部、302a…内壁面、500a,500b…介挿入部、B…絶縁袋、F…反発力、G1a,G1b…内部ガスケット、G2a,G2b…外部ガスケット、H…貫通孔、La…正極リード部(リード部)、Lb…負極リード部(リード部)、S,S1,S1,S3,S4…樹脂シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻芯と、セパレータを挟んで重ね合わされた正極板及び負極板であって、巻芯の回りに巻き付けられた正極板及び負極板とを含む扁平状の発電要素と、
該発電要素を収容したケースと、
該ケースの外面上に配置された出力端子と、
前記ケース内に収容されて前記発電要素と前記出力端子とを電気的に接続する集電体とを備え、
前記巻芯は、
内周面同士を対峙させた状態で配置された一対の円弧部と、
該一対の円弧部の互いに対向する一端同士及び他端同士を接続して互いに対向する一対の対向部とを備え、
前記発電要素の外周上に、前記巻芯の対向部と対応した平面部が形成され、
前記発電要素は、前記平面部を前記ケースの内壁面に近接させて配置され、
前記一対の円弧部のそれぞれの少なくとも一部は、円弧状に湾曲させた少なくとも二重の樹脂シートで構成される
巻回型蓄電素子。
【請求項2】
前記一対の対向部のそれぞれは、一重の樹脂シートで構成される請求項1に記載の巻回型蓄電素子。
【請求項3】
前記巻芯は、前記一対の円弧部のうちの一方の円弧部の一端と前記一対の円弧部のうちの他方の円弧部の他端を接続する接続部をさらに備え、
前記一対の円弧部のそれぞれは、二重の樹脂シートで構成され、
前記一対の対向部のうちの一方の対向部は、前記一方の円弧部の外側の樹脂シートの一端と前記他方の円弧部の内側の樹脂シートの一端とを接続し、
前記一対の対向部のうちの他方の対向部は、前記一方の円弧部の内側の樹脂シートの他端と前記他方の円弧部の外側の樹脂シートの他端とを接続し、
前記接続部は、一重の樹脂シートで構成され、前記一方の円弧部の内側の樹脂シートの一端と前記他方の円弧部の内側の樹脂シートの他端とを接続している
請求項2に記載の巻回型蓄電素子。
【請求項4】
前記巻芯は、一枚の樹脂シートを湾曲させることで、前記一対の円弧部、前記一対の対向部、及び前記接続部が形成されている請求項3に記載の巻回型蓄電素子。
【請求項5】
前記一方の対向部と前記一方の円弧部の外側の樹脂シートとの境界又は境界近傍に前記一方の円弧部の内側の樹脂シートと接続部との境界又は境界近傍が溶着されるとともに、前記他方の対向部と前記他方の円弧部の外側の樹脂シートとの境界又は境界近傍に前記他方の円弧部の内側の樹脂シートと接続部との境界又は境界近傍が溶着されている請求項3又は4に記載の巻回型蓄電素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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