説明

巻回状帯体用引きちぎり刃物、巻回状帯体用切断器具、および巻回状帯体収容箱。

【課題】、帯体の巻き軸方向とほぼ直交する縦方向にも帯体を切断する必要がある場合に、簡単な操作により帯体を横方向や縦方向に切断できる巻回状帯体用引きちぎり刃物を提供すること。帯体を横方向や縦方向に切断できる巻回状帯体用引きちぎり刃物を備えた巻回状帯体用切断器具や、巻回状帯体収容箱を提供すること。
【解決手段】横切断刃物の刃先上や刃先の近傍に鋭利な凸部を突出成型し、前記凸部を縦切断刃物とした巻回状帯体用引きちぎり刃物とする。縦切断刃物を横切断刃物の刃先に沿って移動可能としたり、縦切断刃物が横切断刃物の基部に向かって格納可能としたりした巻回状帯体用引きちぎり刃物とする。また、上記の巻回状帯体用引きちぎり刃物を備えた巻回状帯体用切断器具や巻回状帯体収容箱を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻回状帯体用引きちぎり刃物と巻回状帯体用引きちぎり刃物を備えた巻回状帯体用切断器具、および巻回状帯体収容箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
平面的な拡がりに対して厚さが薄い形状のものは、厚さ方向に対する可撓性を持つので、物品の生産や加工、流通、保管、あるいは消費といった場面において、クルクルと巻き取った状態(以下の説明では、巻回状と記す)で取り扱う場合が多い。これは、一般に巻回状にされた物品は、物品の占有する容積が小さくなることから取扱いが容易となり、露出される表面積が小さくなることから品質の低下や損傷を抑制できる等の利点が生まれることによる。上記の利点から、巻回状にされる物品には、織布や布織布、紙、樹脂フィルム、金属薄板、等の素材から、各種のテープや粘着フィルム等の加工品に至るまで多種多様のものがあり、上記多種多様なものを纏めて一つの言葉で言い表すのが困難であるが、巻回状にされる様々な種類の物品が帯状の形であることに注目して、本発明の説明においては、帯体の語を使用する。また、巻回状とは、巻き軸端から見た形が略円形のもの以外に、やや扁平のもの、巻き芯を持つもの、巻き芯を持たないものの全てを含む意味で使用している。
【0003】
前述のように、巻回状にされた帯体は、取扱いの容易さや品質の低下を抑制できる等の利点を持つが、概ね帯体の幅が、巻き軸長さ程度となるのに対して、幾重にも巻き重ねる方向である帯体の長さは長大である。見方を変えて表現すると、収容すべき帯体の長さが長尺であるために、各種の物品の持つ厚さ方向の可撓性を利用して巻回状にしたものであるとも言える。前記巻回状帯体は、消費等の最終的な場面において、巻回を引き解き、帯体を適宜寸法に切断することになるが、その際、帯体を巻き軸と平行な方向に切断するのが横切断であり、横切断方向と略直交する方向に帯体を切断するのが縦切断となる。夫々の巻回状帯体は固有の幅を持っているので、所望の幅寸法が帯体の幅である場合には、帯体の巻き軸方向と同じ横方向に切断することで、物品を切り出して使用し、所望の幅寸法が帯体の幅より小さい場合には、帯体の巻き軸方向とほぼ直交する縦方向にも切断することになる。
【0004】
巻回状にされる物品には多種多様のものがあるが、金属のように、本来の材質が高強度のものであっても、帯体の厚さが薄いものは絶対的な強靭さが小さいので、例えば、巻回状帯体の収納箱に備えられた簡単な刃物に帯体を接触させたまま、引きちぎるように動かせることによっても、容易に帯体を切断することができる。ここに例示した簡単な刃物は、引きちぎり刃物と言われるもので、織布や布織布、紙、樹脂フィルム、金属箔、等の素材から、各種のテープや粘着フィルム等の加工品に至るまで多種多様の巻回状帯体の横切断に広く用いられるものである。引きちぎり刃物には、刃先が単純な線状のものの他に、家庭用ラップフィルムの容器に取付けられた引きちぎり刃物に見られるように、刃先に略三角形の切れ込みを連続的に成型する等して、帯体の切断を容易にさせると共に、鋭利な刃先で人を傷つける事故に配慮したものが広く知られている。
【0005】
従来の引きちぎり刃物として、特許文献1特開平5−338645号公報のラップフィルム用カートンに備えられたV字型の刃物や、特許文献2特開2001−240051号公報のフィルム引出容器に備えられた波型の刃物がある。前記特許文献1に示される刃物は、刃先に細かな櫛型の切れ込みを持つ緩いV字型の刃物が、ラップフィルム用箱の正面の折り重なる部分に備えられているので、緩いV字型の刃物中央部が刃先の他の部分より僅かに突出していると見ることもできるが、帯体の巻き軸方向と同じ横方向に切断する機能しか備えていないので、巻回状帯体の巻き軸方向とほぼ直交する縦方向には切断できないものであった。前記特許文献2において示されたフィルム引出容器に備えられた波型の刃物も、横方向に切断する機能しか備えておらず、巻回状帯体を縦方向に切断できないものであった。
【0006】
また、特許文献3特開平7−61450号公報のラップフィルム収容箱には、切断具としてカートンの端部近くに先の尖った突起が設けられている。しかし、前記突起は、フィルムの側縁近くに穴状、切れ目状の切断点を形成し、あとは刃によらず引き裂くようにして切断するものなので、巻回状帯体の巻き軸方向と同じ横切断専用の切断具と言える。
【0007】
さらに、特許文献4特開2003−81279号公報のラップフィルム収納ケースには、ラップフィルム収納ケースに備えられる巻き軸に平行にスライドするカッターユニットが記載されているが、前記カッターユニットは巻回状帯体を横切る方向にスライドするので、帯体を縦方向に切断することが出来ないものであった。その他には、従来から各種のフィルムスリッターが知られているが、これらのスリッターには、引きちぎり刃物とは異なる形式の刃物が備えられ、巻回状の帯体を縦切断することのみ可能な構造となっている。従来の引きちぎり刃物には、帯体の巻き軸方向と同じ横方向に切断できる機能があるが、巻回状帯体を縦横方向に切断できるものは知られていない。
【0008】
巻回状帯体は固有の幅を持っているので、所望の幅寸法が帯体の幅である場合には、帯体の巻き軸方向と同じ横方向に切断することで足りるが、所望の幅寸法が帯体の幅より小さい場合には、帯体の巻き軸方向とほぼ直交する縦方向にも切断する必要があることは先に述べた。従来の引きちぎり刃物は、帯体の巻き軸方向と同じ横方向に切断する機能しか備えていないので、帯体の巻き軸方向とほぼ直交する縦方向にも切断する必要がある場合には、別途に鋏等を用いて帯体を縦方向に切断する必要があった。
【0009】
【特許文献1】特開平5−338645号公報
【特許文献2】特開2001−240051号公報
【特許文献3】特開平7−61450号公報
【特許文献4】特開2003−81279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、帯体の巻き軸方向とほぼ直交する縦方向にも切断する必要がある場合にも、別途に鋏等を用いること無く、簡単な操作により、帯体を横方向ばかりではなく縦方向にも切断できる巻回状帯体用引きちぎり刃物を提供することであり、併せて、帯体を横方向ばかりではなく縦方向にも切断できる巻回状帯体用引きちぎり刃物を備えた巻回状帯体用切断器具や、巻回状帯体収容箱を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するために、巻回状の帯体を切断する刃物において、引き解いた帯体を巻き軸と同じ方向に切断する横切断刃物の刃先上に鋭利な凸部を突出成型し、前記凸部を横切断刃物の切断方向と略直交する縦方向に帯体を切断する縦切断刃物としたことを特徴とする巻回状帯体用引きちぎり刃物とする。
【0012】
または、巻回状の帯体を切断する刃物において、引き解いた帯体を巻き軸と同じ方向に切断する横切断刃物の刃先近傍に鋭利な凸部を突出配置し、前記凸部を横切断刃物の切断方向と略直交する縦方向に帯体を切断する縦切断刃物としたことを特徴とする巻回状帯体用引きちぎり刃物とする。
【0013】
さらに、前記凸部からなる縦切断刃物が、横切断刃物の刃先に沿って移動可能である巻回状帯体用引きちぎり刃物としたり、前記凸部からなる縦切断刃物の全部、もしくは先端部が横切断刃物の基部に向かって格納可能である巻回状帯体用引きちぎり刃物としたりする。
【0014】
また、上に記載した巻回状帯体用引きちぎり刃物を備えた巻回状帯体用切断器具や巻回状帯体用引きちぎり刃物を備えた巻回状帯体収容箱を用いる。
【発明の効果】
【0015】
従来の巻回状帯体用引きちぎり刃物は、帯体の巻き軸方向と同じ横方向に切断する機能しか備えていないものであったが、本発明の巻回状帯体用引きちぎり刃物は、引き解いた帯体を巻き軸と同じ方向に切断する横切断刃物の刃先上や近傍に鋭利な凸部を突出させて、前記凸部を横切断刃物の切断方向と略直交する縦方向に帯体を切断する縦切断刃物としたことによって、別途に鋏等を用いること無く帯体を横方向だけでなく縦方向にも切断できる巻回状帯体用引きちぎり刃物を提供することができたものである。併せて、帯体を横方向ばかりではなく縦方向にも切断できる巻回状帯体用引きちぎり刃物を備えた巻回状帯体用切断器具や、巻回状帯体収容箱を提供することが可能となったものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の形態を図に基づいて説明する。図1は、本発明特許請求の範囲請求項1に記載した巻回状帯体用引きちぎり刃物の要部を示す概略説明図である。図中の1は巻回状帯体用引きちぎり刃物であり、2は巻回状帯体、3は巻回状帯体の巻き軸、4は引き解いた帯体である。同図では、円筒状の巻回状帯体2が巻き軸3を略水平にして巻回状帯体用引きちぎり刃物1の後方に描かれている。巻回状帯体用引きちぎり刃物1は、引き解いた帯体4を巻き軸3と同じ方向に切断する横切断刃物5と、該横切断刃物5の刃先6上に突出成型した鋭利な凸部7から構成され、前記の凸部7は引き解いた帯体4を横切断刃物5の切断方向と略直交する縦方向に切断する縦切断刃物8として機能するものである。凸部7を幅広に成型すると、引き解いた帯体4を縦方向に切断する際の抗力が増し、帯体の材質によっては良好な切断線が得られない場合があるので、凸部7の形は横切断刃物5の刃先から突出する部分を鋭利な針状や錐状、槍状などに成型するのが好ましい。また、凸部7が横切断刃物5の刃先6から突出する距離が過大になると周辺物に引っ掛り易いので、一般的な巻回状帯体用引きちぎり刃物1の場合には、凸部7が横切断刃物5の刃先6から突出する距離を1ミリメートルないし10ミリメートル位とするのが適当である。
【0017】
図1に示した帯体の端部を手で持ち、下方に軽く引くと巻回状帯体2が引き解かれるのだが、この際に引き解いた帯体4を引く方向をやや上向きとすると、引き解いた帯体4が横切断刃物5の刃先6上に突出成型した鋭利な凸部7に接触して穴が開く。次に、凸部7が引き解いた帯体4を貫通した状態のまま、引き解いた帯体4を更に引くと、引き解いた帯体4が、凸部7によって前記巻き軸3と略直交する縦方向に引いた距離だけ切断される。帯体を所望の距離縦切断した後、引き解いた帯体4を引く方向を更に上向きとして力を加えると、引き解いた帯体4が横切断刃物5の刃先6に接触して、巻き軸3と略平行する横方向に引きちぎられるように切断される。
【0018】
他方、帯体の端部を手で持ち、下方に軽く引いて巻回状帯体2を引き解く際に、引き解いた帯体4を引く方向を下向きとすると、引き解いた帯体4は鋭利な凸部7に接触することなく引き出される。帯体を所望の距離引き出した後、引き解いた帯体4を引く方向を上向きとして力を加えると、引き解いた帯体4が横切断刃物5の刃先6に接触して、従来の切断刃物を用いた場合と同様に、引き解いた帯体4の横切断が完了する。帯体の横切断時には、引き解いた帯体4は横切断刃物5の刃先6上に突出成型した鋭利な凸部7にも接触するが、凸部7は、もともと横切断刃物5の刃先6上に突出して成型されているので、凸部7が横切断の障害となることなく良好な切断線が得られる。
【0019】
図2は、本発明特許請求の範囲請求項2に記載した巻回状帯体用引きちぎり刃物の要部を示す概略説明図である。図中の1は巻回状帯体用引きちぎり刃物であり、2は巻回状帯体、3は巻回状帯体の巻き軸、4は引き解いた帯体である。同図では、円筒状の巻回状帯体2が巻き軸3を略水平にして巻回状帯体用引きちぎり刃物1の後方に横たわって描かれている。巻回状帯体用引きちぎり刃物1は、引き解いた帯体4を巻き軸3と同じ方向に切断する横切断刃物5と、該横切断刃物5の刃先6近傍に突出配置した鋭利な凸部7から構成され、前記の凸部7は引き解いた帯体4を横切断刃物5の切断方向と略直交する縦方向に切断する縦切断刃物8として機能するものである。凸部7の形は横切断刃物5の刃先から突出する部分を鋭利な針状や錐、槍状に成型するのが好ましく、凸部7を横切断刃物5の刃先6近傍に突出配置させる方法は、螺子や鋲を用いるものや、溶接や接着、粘着によるもの、或いは部材の弾力や摩擦を利用するものでもよいが、図2に示す巻回状帯体用引きちぎり刃物1は、螺子9を用いて凸部7を固定している。また、図2に示した横切断刃物5の刃先6近傍に凸部7を配置するもの以外に、横切断刃物5裏面の刃先近傍に凸部を突出配置するものや、横切断刃物が複数に分割して配置されるものにあっては、複数配置される横切断刃物の間に挟まれる形に凸部7を突出配置するものであってもよい。
【0020】
図2に示した帯体の端部を手で持ち、下方に軽く引くと巻回状帯体2が引き解かれるのだが、この際に引き解いた帯体4を引く方向をやや上向きとすると、引き解いた帯体4が横切断刃物5の刃先6近傍に突出配置した鋭利な凸部7に接触して穴が開く。次に、凸部7が引き解いた帯体4を貫通した状態のまま、引き解いた帯体4を更に引くと、引き解いた帯体4が、凸部7によって前記巻き軸3と略直交する縦方向に引いた距離だけ切断される。帯体を所望の距離縦切断した後、引き解いた帯体4を引く方向を更に上向きとして力を加えると、引き解いた帯体4が横切断刃物5の刃先6に接触して、巻き軸3と略平行する横方向に引きちぎられるように切断されるのは、図1に示した巻回状帯体用引きちぎり刃物1と同様である。
【0021】
他方、帯体の端部を手で持ち、下方に軽く引いて巻回状帯体2を引き解く際に、引き解いた帯体4を引く方向を下向きとすると、引き解いた帯体4は鋭利な凸部7に接触することなく引き出される。帯体を所望の距離引き出した後、引き解いた帯体4を引く方向を上向きとして力を加えると、引き解いた帯体4が横切断刃物5の刃先6に接触して、従来の切断刃物を用いた場合と同様に、引き解いた帯体4の横切断が完了する。帯体の横切断時には、引き解いた帯体4は横切断刃物5の刃先6上に突出成型した鋭利な凸部7にも接触するが、凸部7は、もともと横切断刃物5の刃先6上に突出して成型されているので、凸部7が横切断の障害となることなく良好な切断線が得られるのも、図1に示した巻回状帯体用引きちぎり刃物1と同様である。
【0022】
図3は、本発明特許請求の範囲請求項3に記載した巻回状帯体用引きちぎり刃物の要部を示す概略説明図である。図中の1は巻回状帯体用引きちぎり刃物であり、2は巻回状帯体、3は巻回状帯体の巻き軸、4は引き解いた帯体、5は引き解いた帯体4を巻き軸3と同じ方向に切断する横切断刃物、6は前記横切断刃物5の刃先、7は刃先6近傍に突出配置された凸部、8は縦切断刃物である。巻回状帯体用引きちぎり刃物1は、引き解いた帯体4を巻き軸3と同じ方向に切断する横切断刃物5と、該横切断刃物5の刃先6近傍に突出配置した鋭利な凸部7から構成され、前記の凸部7は引き解いた帯体4を横切断刃物5の切断方向と略直交する縦方向に切断する縦切断刃物8として機能するのは図1、図2のものと同様であるが、凸部7を横切断刃物5の刃先6に沿って移動可能とすることで、縦方向に切断される帯体を、最大巻回状帯体2の幅までの範囲で任意に設定でき、巻回状帯体の効率的な使用が可能となったものである。
【0023】
図4は、本発明特許請求の範囲請求項4に記載した巻回状帯体用引きちぎり刃物の要部を示す概略説明図である。図中の1は巻回状帯体用引きちぎり刃物であり、2は巻回状帯体、3は巻回状帯体の巻き軸、4は引き解いた帯体、5は引き解いた帯体4を巻き軸3と同じ方向に切断する横切断刃物、6は前記横切断刃物5の刃先、7は刃先6近傍に突出配置された凸部、8は縦切断刃物である。巻回状帯体用引きちぎり刃物1は、引き解いた帯体4を巻き軸3と同じ方向に切断する横切断刃物5と、該横切断刃物5の刃先6近傍に突出配置した鋭利な凸部7から構成され、前記の凸部7は引き解いた帯体4を横切断刃物5の切断方向と略直交する縦方向に切断する縦切断刃物8として機能するのは図1、図2、図3のものと同様であるが、同図に示した巻回状帯体用引きちぎり刃物1では、縦切断刃物8の不使用時に凸部7を横切断刃物5の基部に向かって格納可能にしている。凸部7を、縦切断刃物8の不使用時に格納して置くことによって、鋭利に成型された凸部7が帯体や周囲にあるものを傷つける恐れがない。また、図示のように、横切断刃物5の刃先6近傍に凸部7を複数個配置しておき、必要箇所の縦切断刃物8を選択的に使用することもできる。
【0024】
図5は、本発明特許請求の範囲請求項5に記載した巻回状帯体用切断器具10の要部を示す概略説明図である。図1ないし図4と同様に、図中の1は巻回状帯体用引きちぎり刃物であり、2は巻回状帯体、4は引き解いた帯体、5は引き解いた帯体4を巻き軸と同じ方向に切断する横切断刃物、6は前記横切断刃物5の刃先、7は刃先6近傍に突出配置された凸部、8は縦切断刃物、10は先述した巻回状帯体用切断器具、11は巻回状帯体支持部、12はフレームである。巻回状帯体用切断器具10は、フレーム12上に巻回状帯体2支持部11を備え、該支持部11は巻回状帯体2を回転自在に支持することで帯体の引き解きができるものである。一方、巻回状帯体2のフレーム12の支持部11前方には、巻回状帯体用引きちぎり刃物1を備えている。巻回状帯体用引きちぎり刃物1は、先にも述べたように、引き解いた帯体4を巻き軸と同じ方向に切断する横切断刃物5と、該横切断刃物5の刃先6近傍に突出配置した鋭利な凸部7から構成され、前記の凸部7は引き解いた帯体4を横切断刃物5の切断方向と略直交する縦方向に切断する縦切断刃物8として機能するものである。なお、図示の巻回状帯体用切断器具10には、縦切断刃物8が横切断刃物5の刃先6に沿って移動可能であるが、縦方向の切断寸法を変える必要がなければ、簡便化のために固定式としても差支えない。
【0025】
図5に示した巻回状帯体用切断器具10のフレーム12を手で押え、他方の手で帯体の端部を持ち下方に軽く引くと巻回状帯体2が引き解かれるのだが、この時に引き解いた帯体4を引く方向をやや上向きとすると、引き解いた帯体4が横切断刃物5の刃先6近傍に突出配置した鋭利な凸部7に接触して穴が開く。次に、凸部7が引き解いた帯体4を貫通した状態のまま、引き解いた帯体4を更に引くと、引き解いた帯体4が、凸部7によって前記巻き軸3と略直交する縦方向に引いた距離だけ切断される。帯体を所望の距離縦切断した後、引き解いた帯体4を引く方向を更に上向きとして力を加えると、引き解いた帯体4が横切断刃物5の刃先6に接触して、巻き軸3と略平行する横方向に切断されるのは、図1ないし図4に示した巻回状帯体用引きちぎり刃物1と同様である。同図に示した巻回状帯体用切断器具10のフレーム12の背面を壁等に固定すると、片手の操作で巻回状帯体用2を縦方向や横方向に切断することもできる。本発明の巻回状帯体用切断器具10を用いて帯体4を横方向に切断する場合は、従来の切断刃物を用いた切断器具と同様に操作すればよい。
【0026】
図6は、本発明特許請求の範囲請求項6に記載した後述の巻回状帯体収容箱13の要部を示す概略説明図である。図1ないし図5と同様に、図中の1は巻回状帯体用引きちぎり刃物であり、4は引き解いた帯体、5は引き解いた帯体4を巻き軸と同じ方向に切断する横切断刃物、6は前記横切断刃物5の刃先、7は刃先6近傍に突出配置された凸部、8は縦切断刃物、13が先述した巻回状帯体収容箱、14は巻回状帯体収容箱13の身部、15は蓋部である。巻回状帯体収容箱13は、身部14と蓋部15からなる箱の内部に巻回状帯体を回転自在に収容できる空間を設けて巻回状帯体を収容する一方、箱の身部14、あるいは箱の蓋部15に、巻回状帯体とほぼ平行な巻回状帯体用引きちぎり刃物1を備えるものである。巻回状帯体用引きちぎり刃物1は、先にも述べたように、引き解いた帯体4を巻き軸と同じ方向に切断する横切断刃物5と、該横切断刃物5の刃先6近傍に突出配置した鋭利な凸部7から構成され、前記の凸部7は引き解いた帯体4を横切断刃物5の切断方向と略直交する縦方向に切断する縦切断刃物8として機能するものである。
【0027】
図6に示した巻回状帯体収容箱13を一方の手で持ち、他方の手で帯体の端部を持って下方に軽く引くと、巻回状帯体収容箱13内部に収容される巻回状帯体が引き解かれるのだが、この時に引き解いた帯体4を引く方向をやや上向きとすると、引き解いた帯体4が横切断刃物5の刃先6近傍に突出配置した鋭利な凸部7に接触して穴が開く。次に、凸部7が引き解いた帯体4を貫通した状態のまま、引き解いた帯体4を更に引くと、引き解いた帯体4が、凸部7によって前記巻き軸3と略直交する縦方向に引いた距離だけ切断される。帯体を所望の距離縦切断した後、引き解いた帯体4を引く方向を更に上向きとして力を加えると、引き解いた帯体4が横切断刃物5の刃先6に接触して、巻き軸3と略平行する横方向に切断されるのは、図1ないし図5に示した巻回状帯体用引きちぎり刃物や、巻回状帯体用切断器具と同様である。本発明の巻回状帯体収容箱13に収容される帯体4を横方向にだけ切断したい場合には、従来の巻回状帯体収容箱の場合と同様に操作すれば良い。
【実施例1】
【0028】
図7は、本発明巻回状帯体用引きちぎり刃物1の一つの実施例を示す概略説明図である。図中の1は、巻回状帯体用引きちぎり刃物1であり、2は巻回状帯体、3は巻回状帯体の巻き軸である。同図では、円筒状の巻回状帯体2が巻き軸3を略水平にして巻回状帯体用引きちぎり刃物1の後方に位置している。巻回状帯体用引きちぎり刃物1は、横切断刃物5と、該横切断刃物5の刃先6上に突出成型した鋭利な凸部7から構成され、前記の凸部7は引き解いた帯体4を縦方向に切断する縦切断刃物8として機能するものであるが、図7で示す巻回状帯体用引きちぎり刃物1は、横切断刃物5の一部に刃先6を延長すると共に逆L字型の切れ込みを形成した箇所を設け、横切断刃物5の刃先6を延長した部分を裏面方向へ約90度折り曲げる方法によって、横切断刃物5の刃先6上に凸部7を突出配置したものである。上記方法によれば、従来の巻回状帯体用横切断刃物の多くが採用する金属板製刃物の製作方法に折り曲げ工程を付加するという僅かな変更によって、容易に本発明の巻回状帯体用引きちぎり刃物1が製作できる利点がある。
【実施例2】
【0029】
図8は、本発明巻回状帯体用引きちぎり刃物1の他の実施例を示す概略説明図である。図中の1は、巻回状帯体用引きちぎり刃物1であり、2は巻回状帯体、3は巻回状帯体の巻き軸である。同図では、円筒状の巻回状帯体2が巻き軸3を略水平にして巻回状帯体用引きちぎり刃物1の後方に位置している。巻回状帯体用引きちぎり刃物1は、横切断刃物5と、該横切断刃物5の刃先6近傍に突出配置した鋭利な凸部7から構成され、前記の凸部7は引き解いた帯体4を縦方向に切断する縦切断刃物8として機能するものであるが、図8で示す巻回状帯体用引きちぎり刃物1は、凸部7根元に備えた固着爪を横切断刃物5に穿った穴に差込み、横切断刃物5の裏面で折り曲げる方法によって、横切断刃物5の刃先6近傍に凸部7を突出固定したものである。別途、凸部7根元に固着爪を備えた縦切断刃物8を用意すれば、上記方法によっても、従来の巻回状帯体用横切断刃物の多くが採用する金属板製刃物の製作方法に折り曲げ工程を付加するだけの僅かな変更によって、容易に本発明の巻回状帯体用引きちぎり刃物1が製作できるものである。
【実施例3】
【0030】
図9は、本発明巻回状帯体用引きちぎり刃物1の他の実施例を示す概略説明図である。図中の1は、巻回状帯体用引きちぎり刃物1であり、2は巻回状帯体、3は巻回状帯体の巻き軸である。同図では、円筒状の巻回状帯体2が巻き軸3を略水平にして巻回状帯体用引きちぎり刃物1の後方に位置している。巻回状帯体用引きちぎり刃物1は、横切断刃物5と、該横切断刃物5の刃先6近傍に突出配置した鋭利な凸部7から構成され、前記の凸部7は引き解いた帯体4を縦方向に切断する縦切断刃物8として機能するものであるが、図9で示す巻回状帯体用引きちぎり刃物1は、縦切断刃物8素材の弾性によって、縦切断刃物8の刃先近傍に設けた切れ込みと遠端に設けた切れ込みからなる固着部で横切断刃物5を挟み、刃先6の近傍に固定されるものである。上記方法による巻回状帯体用引きちぎり刃物1を採用すれば、巻回状帯体用引きちぎり刃物1上の縦切断刃物8の移動や脱着に工具が不要となる。
【実施例4】
【0031】
図10は、本発明巻回状帯体用引きちぎり刃物1の他の実施例を示す概略説明図である。図中の1は、巻回状帯体用引きちぎり刃物1であり、2は巻回状帯体、3は巻回状帯体の巻き軸である。巻回状帯体用引きちぎり刃物1は、横切断刃物5と、該横切断刃物5の刃先6近傍に突出配置した鋭利な凸部7から構成され、前記の凸部7は引き解いた帯体4を縦方向に切断する縦切断刃物8として機能するのは、他の実施例のものと同様である。
【0032】
図11は、図10に示す巻回状帯体用引きちぎり刃物1の一部を拡大して詳細に示した説明図である。図示の巻回状帯体用引きちぎり刃物1は、縦切断刃物8の材料として、例えばバネ鋼のような弾性に優れた材料を用いて先端に鋭利な凸部7を設けるとともに、縦切断刃物8基部はロール状に成型する。他方、横切断刃物5の刃先6から離れた側には、一部が開放された円筒溝を横切断刃物5のほぼ全長にわたって設け、該円筒溝内に前記の縦切断刃物8の基部を摺動自在に嵌入させたものである。上記構成によって、縦切断刃物8は横切断刃物5上を自在に移動できるとともに、縦切断刃物8の先端を横切断刃物5の刃先6近傍に突出させたり、横切断刃物5の基部に向かって格納したりすることが容易である。
【実施例5】
【0033】
図12は、本発明巻回状帯体用切断器具10の他の実施例を示す概略説明図である。先に説明した各図と同様に、図中の1は巻回状帯体用引きちぎり刃物であり、2は巻回状帯体、4は引き解いた帯体、5は引き解いた帯体4を巻き軸と同じ方向に切断する横切断刃物、6は前記横切断刃物5の刃先、7は刃先6近傍に突出配置された凸部、8は縦切断刃物、10は巻回状帯体用切断器具、11は巻回状帯体支持部、12はフレームである。巻回状帯体用切断器具10は、フレーム12上に巻回状帯体2支持部11を備え、該支持部11は巻回状帯体2を回転自在に支持することで帯体の引き解きができるものである。一方、巻回状帯体2のフレーム12の支持部11前方には、巻回状帯体用引きちぎり刃物1を備えている。巻回状帯体用引きちぎり刃物1は、横切断刃物5と縦切断刃物8として機能する凸部7から構成されるものである。
【0034】
図12に示した実施例5の巻回状帯体用切断器具10は粘着テープ用のものであるが、使用に際して、巻回状帯体用切断器具10のフレーム12を手で押え、他方の手で帯体の端部を持ち下方に軽く引くと巻回状帯体2が引き解かれるのだが、この時に引き解いた帯体4を引く方向をやや上向きとすると、引き解いた帯体4が横切断刃物5の刃先6近傍に突出配置した鋭利な凸部7に接触して穴が開く。次に、凸部7が引き解いた帯体4を貫通した状態のまま、引き解いた帯体4を更に引くと、引き解いた帯体4が、凸部7によって前記巻き軸3と略直交する縦方向に引いた距離だけ切断される。帯体を所望の距離縦切断した後、引き解いた帯体4を引く方向を更に上向きとして力を加えると、引き解いた帯体4が横切断刃物5の刃先6に接触して、巻き軸3と略平行する横方向に切断されるのは、前述の巻回状帯体用引きちぎり刃物1と同様である。同図に示した実施例5の巻回状帯体用切断器具10では、従来の粘着テープ用切断機では不可能であった縦方向の切断を簡単な操作で行うことができる一方、引き解いた帯体4を横方向に切断したい場合にも従来の切断刃物を用いた粘着テープ用切断機と全く同様な操作で行えるので、使用頻度の高くない幅の粘着テープを何種類も備え置く必要がない。。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明による巻回状帯体用引きちぎり刃物の要部を示す斜視図である。
【図2】本発明による巻回状帯体用引きちぎり刃物の要部を示す斜視図である。
【図3】本発明による巻回状帯体用引きちぎり刃物の要部を示す斜視図である。
【図4】本発明による巻回状帯体用引きちぎり刃物の要部を示す斜視図である。
【図5】本発明による巻回状帯体用切断器具を示す斜視図である。
【図6】本発明による巻回状帯体収容箱を示す斜視図である。
【図7】本発明による巻回状帯体用引きちぎり刃物の1実施例を示す斜視図である。
【図8】本発明による巻回状帯体用引きちぎり刃物の他の実施例を示す斜視図である。
【図9】本発明による巻回状帯体用引きちぎり刃物の他の実施例を示す斜視図である。
【図10】本発明による巻回状帯体用引きちぎり刃物の他の実施例を示す斜視図である。
【図11】本発明による巻回状帯体用引きちぎり刃物の他の実施例を示す斜視図である。
【図12】本発明による巻回状帯体用切断器具の1実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
1 巻回状帯体用引きちぎり刃物
2 巻回状帯体
3 巻き軸
4 引き解いた帯体
5 横切断刃物
6 刃先
7 凸部
8 縦切断刃物
9 螺子
10 巻回状帯体用切断器具
11 支持部
12 フレーム
13 巻回状帯体収容箱
14 身部
15 蓋部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻回状の帯体を切断する刃物において、引き解いた帯体を巻き軸と同じ方向に切断する横切断刃物の刃先上に鋭利な凸部を突出成型し、前記凸部を横切断刃物の切断方向と略直交する縦方向に帯体を切断する縦切断刃物としたことを特徴とする巻回状帯体用引きちぎり刃物。
【請求項2】
巻回状の帯体を切断する刃物において、引き解いた帯体を巻き軸と同じ方向に切断する横切断刃物の刃先近傍に鋭利な凸部を突出配置し、前記凸部を横切断刃物の切断方向と略直交する縦方向に帯体を切断する縦切断刃物としたことを特徴とする巻回状帯体用引きちぎり刃物。
【請求項3】
前記凸部からなる縦切断刃物が、横切断刃物の刃先に沿って移動可能であることを特徴とする特許請求の範囲請求項2に記載の巻回状帯体用引きちぎり刃物。
【請求項4】
前記凸部からなる縦切断刃物の全部、もしくは先端部が、横切断刃物の基部に向かって格納可能であることを特徴とする特許請求の範囲請求項2、あるいは、請求項3に記載の巻回状帯体用引きちぎり刃物。
【請求項5】
特許請求の範囲請求項1、ないし請求項4の何れかに記載の巻回状帯体用引きちぎり刃物を備えた巻回状帯体用切断器具。
【請求項6】
特許請求の範囲請求項1、ないし請求項4の何れかに記載の巻回状帯体用引きちぎり刃物を備えた巻回状帯体収容箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−201527(P2010−201527A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47439(P2009−47439)
【出願日】平成21年2月28日(2009.2.28)
【出願人】(391021938)
【Fターム(参考)】