説明

巻芯切断装置及び巻芯切断方法

【課題】 巻材を巻芯にロール状に巻回して構成されるロールを、巻芯と巻材とに分離する場合に、分離作業を迅速に行うことができ、作業効率を高めることができる巻芯切断装置及び巻芯切断方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 中空巻芯に巻材をロール状に巻回してなるロールを固定する固定部と、高圧水を吐出するノズルとを有し、前記固定されたロールの巻芯の内周面に、前記ノズルから高圧水を吐出し、前記固定されたロールの巻芯を切断することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻材を巻芯にロール状に巻回して構成されるロールを、巻芯と巻材とに分離する巻芯切断装置及び巻芯切断方法に係り、特に、菓子、薬等に使用されるパッケージの包装用樹脂フィルムを巻芯用の芯紙にロール状に巻回して構成される使用済ロールを、包装用樹脂フィルムと芯紙とに分離する巻芯切断装置及び巻芯切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
菓子、薬等の製造会社がパッケージ入りの商品を製造する場合に使用するパッケージ用の包装用樹脂フィルムは、通常、製造に必要となる包装用樹脂フィルムの数量を当該製造会社がフィルム印刷会社に発注する。この必要数量の包装用樹脂フィルムを受注したフィルム印刷会社は、受注した数量の樹脂フィルムに所定の印刷をし、印刷した樹脂フィルムを紙芯(ダンボール等)に巻き付け、印刷した樹脂フィルムと紙芯とからなるロール状フィルムを製造する。この場合に、当該フィルム印刷会社は、印刷工程において、インク不足で受注数量の樹脂フィルムに一度で印刷することができず作業が停止することを防止するために、必要数量以上のインクを使用し、樹脂フォルムの印刷工程を実施する。
【0003】
このように、当該フィルム印刷会社は、受注数量以上の樹脂フォルムに印刷し、受注数量以上のロール状フィルムを製造する場合が多い。この場合、発注元の製造会社には、発注数量以上の包装用樹脂フィルムが納品される。そうすると、この納品された包装用樹脂フィルムを使用して発注元の製造会社が商品を製造する場合、この製造会社の製造工程において包装用樹脂フィルムが残り、残った包装用樹脂フィルムのロール状フィルムが産業廃棄物になる。このように、残った包装用樹脂フィルムのロール状フィルムが産業廃棄物になった場合には、このロール状フィルムをリサイクル処理する必要があるので、このロール状フィルムを樹脂フィルムと芯紙とに分離する必要がある。
【0004】
この分離方法として、チェーンソーを使用し、ロールを2つに分割し、分割したロールを樹脂フィルムと芯紙とに分離する方法がある。なお、この方法を使用する場合には、ロールをチェーンソーで切断する際に切断部分に高熱が発生する。このため、このロールの巻材がフィルムである場合には、切断部分に発生した熱でフィルムが溶け、この溶けたフィルムがチェーンソーに付着する。このように、溶けたフィルムがチェーンソーに付着すると、切断能力が低下し、分離作業の効率が低下するという問題がある。
【0005】
また、別の分離方法として、油圧プレスを使用し、芯紙の形状に合わせた円柱部材(押出部)で芯紙を押し出し、ロールを樹脂フィルムと芯紙とに分離する方法がある。ところで、ロールの樹脂フィルムと芯紙とは、巻取りにおける締付力が一般的に強い。このため、油圧プレスによる分離方法を使用する場合には、ロールから芯紙を押し出す時間として5〜6分の時間を要する場合が多い。つまり、油圧プレスによってロールを樹脂フィルムと芯紙とに分離する場合、分離作業の時間が長いという問題がある。また、紙芯を押し出すための円柱部材(押出部)として、芯紙の形状に合わせた、油圧プレスのストロークが長いタイプの円柱部材が必要である。そうすると、分離するロールの芯紙の径が異なる場合には、各芯紙の径に合わせた円柱部材を用意する必要があるので、この方法の使用に係るコストが増加するという問題がある。
【0006】
さらに、別の分離方法として、シャーリングでロールを2つ割りにし、包装用樹脂フィルムのロールを樹脂フィルムと芯紙とに分離する方法がある。しかし、シャーリングによる分離方法は、実用化がされているが、現段階においては、ワークが踊る点や刃の寿命が短い点等に問題がある。
【0007】
なお、本発明に関連する発明として、例えば、引用文献1には、印刷等に使用される巻材と巻芯用パイプとからなるロールについて、使用後のロールを軸方向に水平移送し、ガイド手段でロールを押え、移送方向にカッターでロールを切断する使用済ロールの分離切断装置が開示されている。
【0008】
しかし、引用文献1に記載の分離切断装置を使用した場合、使用済ロールをカッターで切断する際に切断部分に高熱が発生する。このため、上記で示したチェーンソーを使用する分離方法と同様に、溶けたフィルムがチェーンソーに付着するので、切断能力が低下し、分離作業の効率が低下するという問題がある。
【0009】
また、引用文献2には、円筒状コアに巻芯残紙が巻き付けられた円筒状のロールを搬送するコンベアと、このコンベア上に設けられ前記ロールの軸方向に沿って相対的に移動可能な高圧水噴射器とを具備し、コンベア上に設けられたロール表面の巻芯残紙に向けて、高圧水噴射器の高圧水ノズルから高圧水を噴射することによってロールの巻芯残紙を切断し、円筒状コアから巻芯残紙を分離除去する巻芯残紙の除去装置が開示されている。
【0010】
しかし、引用文献2に記載の巻芯残紙の除去装置は、ロールの巻材が紙の場合において、ロール表面に高圧水を噴射し、円筒状コアから巻芯残紙を分離除去するものである。つまり、引用文献2には、ロールの巻材が紙以外の場合についての記載がないので、例えば、巻材がフィルムで巻芯がダンボールの芯紙で構成されるロールを、フィルムと芯紙とに分離する場合に直接適用することができないという問題がある。また、引用文献2の段落[0051]に記載されているように、ロール径の大小に応じて、切断に要する時間を変化させる必要があり、ロール径が大きく巻芯残紙の厚さが大きいロールの切断を継続する場合には、作業時間が長くなるという問題がある。
【特許文献1】特開平10−249790号公報
【特許文献2】特開2001−171911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記で示したように、従来は、巻材を巻芯にロール状に巻回して構成されるロールを、巻芯と巻材とに分離する場合に、分離作業に要する作業時間が長く、作業効率が低いという問題があった。
【0012】
本発明は、巻材を巻芯にロール状に巻回して構成されるロールを、巻芯と巻材とに分離する場合に、分離作業を迅速に行うことができ、作業効率を高めることができる巻芯切断装置及び巻芯切断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、中空巻芯に巻材をロール状に巻回してなるロールを固定する固定部と、前記固定されたロールの中空巻芯の内周面に高圧水を吐出し、前記中空巻芯において高圧水を吐出した部分を切断する高圧水吐出部とを有することを特徴とする巻芯切断装置である。
また、本発明は、中空巻芯に巻材をロール状に巻回してなるロールを固定し、前記固定されたロールの中空巻芯の内周面に高圧水を吐出し、前記固定されたロールの中空巻芯を切断することを特徴とする巻芯切断方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、巻材を巻芯にロール状に巻回して構成されるロールを、巻芯と巻材とに分離する場合に、分離作業を迅速に行うことができ、作業効率を高めることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施の形態である巻芯切断装置及び巻芯切断方法について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態である巻芯切断装置100を示す正面図である。
図2は、巻芯切断装置100を示す側面図である。
図3は、巻芯切断装置100を示す平面図である。
図4は、配管207を介して巻芯切断装置100と接続される高圧水発生装置200を示す平面図である。
図5は、使用済ロールR1が巻芯切断装置100のクランプ装置3に設置されている場合における使用済ロールR1の外観を示す斜視図である。
【0017】
使用済ロールR1は、樹脂フィルムR3を芯紙R2にロール状に巻回して構成されるロールであって、産業廃棄物としてリサイクル処理される使用済ロールである。
【0018】
芯紙R2は、ダンボール製の巻芯である。例えば、芯紙R2の内径を75mmとし、外径を90mmとし、厚さを7.5mmとする。
【0019】
樹脂フィルムR3は、菓子、薬等に使用されるパッケージの包装用樹脂フィルムである。
【0020】
なお、本実施の形態では、包装用樹脂フィルムと芯紙とで構成される使用済ロールを使用して説明するが、包装用樹脂フィルム以外の他のフィルム等の巻材と、芯紙以外の巻芯とで構成されるロールに本実施の形態を適用することができる。なお、使用済ロールではないロールに本実施の形態を適用することができる。
【0021】
巻芯切断装置100は、架台本体1と、ノズル移動装置2と、クランプ装置3と、ノズルヘッド4と、飛散防止カバー5と、ワーク回転装置6と、制御盤7と、操作盤8と、ワーク芯出装置9と、フレーム10と、使用済ロール検知センサ(図示せず)と、飛散防止カバーの開閉状態検知センサ(図示せず)と、使用済ロールの高さ測定部(図示せず)とを有する。
【0022】
架台本体1は、ワークである使用済ロールR1を載せる架台である。
ノズル移動装置2は、無段減速機仕様であって、ノズル本体21と、ノズルホルダ22と、上下移動機構23と、支柱24と、プーリ25、26と、チェーン27、28と、モータ29と、ノズル回転モータ(図示せず)とを有する。
【0023】
ノズル本体21は、円筒形状のノズルであり、上端部に配管207が接続され、ノズルホルダ22に進退可能に保持されている。
【0024】
ノズルホルダ22は、フレーム10に設けられたノズルホルダであって、円形の孔によってノズル本体21を進退可能に保持するものである。なお、ノズル本体21と前記孔との断面形状は略同径であり、ノズル本体21と前記孔との間には、ノズル本体21のスムーズな進退を確保するグリス潤滑が施されている。
【0025】
上下移動機構23は、ノズル本体21の上端部に取付けられると共にチェーン27に固定され、ノズル本体21を上下に移動可能に支柱24上に支持される。上下移動機構23は、チェーン27に固定されているので、チェーン27の動きに応じて上下に移動する。なお、図1、2において、最上部に位置する上下移動機構23と、最下部に位置する上下移動機構23aとを示す。
【0026】
支柱24は、ノズル本体21の軸線方向と平行にフレーム10に設けられ、上下移動機構23を上下にガイドする軌道である。
【0027】
プーリ25は、支柱24の上端部において支柱24に支持されたノズル本体21が取付けられた面とは反対側の面に設けられたプーリであり、チェーン27を介して接続されるプーリ26からモータ29の動力が伝達される。
【0028】
プーリ26は、支柱24の下端部において支柱24に支持されたノズル本体21が取付けられた面とは反対側の面に設けられたプーリであり、チェーン28を介して接続されるモータ29からの動力をチェーン27を介してプーリ25に伝達する。
【0029】
モータ29は、制御盤7からの制御に基づいて、チェーン27に固定された上下移動機構23を上下に移動させる速度可変モータである。
【0030】
ノズル回転モータ(図示せず)は、制御盤7からの制御に基づいて、ノズル本体21の軸線を回動中心としてノズルヘッド4を回動させる速度可変モータである。例えば、ノズルヘッド4の回転速度を3〜10min−1とする。
【0031】
クランプ装置3は、図5に示すように、ワーク回転装置6上に使用済ロールR1を手動方式で固定するクランプ装置である。
【0032】
ノズルヘッド4は、ノズル本体21の先端部に設けられたノズルヘッドであり、高圧水発生装置200から出力された高圧水を吐出するものである。例えば、ノズルヘッド4から吐出される高圧水の圧力は、100MPa〜350MPaであり、ノズルヘッド4のノズル径は、φ0.15〜φ0.5である。このようにした場合には、極めて少ない使用水で対応することができる。なお、第1の実施の形態では、2つの吐出口4aを備えたノズルヘッドについて説明するが、1または3以上の吐出口を備えたノズルについて、第1の実施の形態を適用することができる。なお、高圧水W1の吐出角度は、第1の実施の形態では、図1に示すように、ノズル本体21の軸線方向に対して60度の場合を示すが、前方60度から後方60度までが適用範囲として好ましい。しかし、高圧水W1の吐出角度がこれに限定されるわけではない。また、吐出口4aは、図1、図5に示すように、ノズル本体21の軸線を通る直線上に設けられ、芯紙R2の内周面に向けて高圧水W1を吐出するように設けられている。
【0033】
飛散防止カバー5は、架台本体1上に固定された使用済ロールR1の芯紙R2を切断する際に、ノズルヘッド4から吐出された高圧水の飛散を防止するカバーであって手動方式で開閉するカバーである。具体的には、図1〜3に示すように、使用済ロールR1を架台本体1に設置する前は、飛散防止カバー5が開いた状態であり、使用済ロールR1を架台本体1に設置した後に、使用済ロールR1の上部と側面部とを覆うように、飛散防止カバー5を閉じる。
【0034】
ワーク回転装置6は、図5に示すように、クランプ装置3を使用して使用済ロールR1の芯紙R2の軸線とノズル本体21の軸線とが一致する位置に使用済ロールR1を固定し、固定させた使用済ロールR1を等速度で回転させるワーク回転装置である。具体的には、ワーク回転装置6は、使用済ロールR1の芯紙R2の内周面を螺旋状に切断する場合に、固定させた使用済ロールR1を等速度で回転させる。例えば、ワーク回転装置6の回転速度を3〜10min−1とする。ワーク回転装置駆動部6aは、Vベルト6bを介して、ワーク回転装置6を回転させる駆動部である。
【0035】
制御盤7は、図示しないCPUとメモリとを有する。
CPUは、メモリに記憶されている各種制御プログラムに基づいて、巻芯切断装置100全体と、高圧水発生装置200とを制御するものである。
【0036】
メモリは、操作盤8から入力された各種情報を記憶すると共に、各種制御プログラムを記憶するメモリである。
【0037】
使用済ロール検知センサは、架台本体1に設置され、ワーク回転装置6に使用済ロールR1が設置されているか否かを検知し、検知した使用済ロールR1の有無を示す使用済ロール有無情報をCPUに出力するセンサである。
【0038】
飛散防止カバーの開閉状態検知センサは、飛散防止カバー5の近傍に設置され、飛散防止カバー5の開閉状態を検知し、検知した飛散防止カバー5の開閉状態を示す飛散防止カバー開閉情報をCPUに通知するセンサである。
【0039】
使用済ロールの高さ測定部は、架台本体1に設置された使用済ロールR1の軸線方向の長さを測定し、測定した使用済ロールR1の長さを示す使用済ロール長さ情報をCPUに出力するものである。
【0040】
操作盤8は、巻芯切断装置100を操作するための各種情報を入力する操作盤であり、入力された情報を制御盤7に出力する。
【0041】
図8は、ワーク芯出装置9を示す拡大図である。
ワーク芯出装置9は、ワーク回転装置6に固定される使用済ロールR1の芯出しをするワーク芯出装置であり、使用済ロールR1の芯紙R2の軸線とノズル本体21の軸線とが一致する位置にフット操作方式で使用済ロールR1を固定するものである。
【0042】
高圧水発生装置200は、モータ201と、動力伝達部202と、ジェットポンプ203と、ボールタップ付の給水タンク204と、ドレーン用のシリンダバルブ205と、出口弁206とを有する。
【0043】
高圧水発生装置200は、動力伝達部202を介してモータ201の動力をジェットポンプ203に伝達し、給水タンク204から給水された水をジェットポンプ203が高圧水として出口弁206に出力し、出口弁206から高圧水を配管207に出力する。なお、シリンダバルブ205は、出口弁206の近傍に設置され、出口弁206から出力される高圧水の圧力調整をする圧力調整弁である。
【0044】
次に、巻芯切断装置100の動作について説明する。
【0045】
この動作においては、使用済ロールR1の芯紙R2の厚さ・直径を予め操作盤8から入力しておき、制御盤7のメモリに芯紙R2の厚さ・直径が記憶されている場合について説明する。
【0046】
操作盤8において動作の開始が指示されると、使用済ロール検知センサから入力した使用済ロール有無情報に基づいて、架台本体1に使用済ロールR1が設置されているか否かを判断すると共に、飛散防止カバーの開閉状態検知センサから入力した飛散防止カバー開閉情報に基づいて、飛散防止カバー5が閉じた状態であるか否かを判断する。架台本体1に使用済ロールR1が設置され、飛散防止カバー5が閉じた状態であれば、使用済ロールの高さ測定部から入力した使用済ロール長さ情報に基づいて、使用済ロールR1の加工開始点(ワーク回転装置6に固定された使用済ロールR1の上端部分)を求め、この使用済ロールR1の加工開始点を制御盤7のメモリに記憶する。続いて、ノズルヘッド4から高圧水を吐出させない状態でモータ29を回転させ、原点から加工開始点まで、ノズル本体21を移動させる。
【0047】
制御盤7のメモリに記憶されている加工開始点にノズルヘッド4が到達したと判断すると、ノズルヘッド4から高圧水の吐出を開始し、ノズルヘッド4から吐出される高圧水の圧力が目標圧力に到達するまでの間待機する。
【0048】
高圧水の圧力が目標圧力に到達すれば、加工開始点(ワーク回転装置6に固定された使用済ロールR1の上端部分)から直線加工終了点(ワーク回転装置6に固定された使用済ロールR1の下端部分)まで、ノズルヘッド4から高圧水を吐出させた状態でノズル本体21を所定の速度で移動させる。なお、目標圧力と所定速度とは、制御盤7のメモリに記憶された芯紙R2の厚さ・直径に基づいて設定される。目標圧力と所定速度とを、操作盤8から予め入力するようにしてもよい。
【0049】
目標圧力でノズルヘッド4から高圧水を芯紙R2に吐出すると、高圧水が吐出された部分が切断される。このように、目標圧力でノズルヘッド4から芯紙R2に高圧水を吐出させた状態で、架台本体1に固定された使用済ロールR1の上端部分から下端部分までノズルヘッド4を移動させることによって、芯紙R2の内周面を2つの直線に切断し、芯紙R2を2つに分割することができる。
【0050】
ノズルヘッド4が直線加工終了点に到達すれば、ワーク回転装置6に固定された使用済ロールR1が所定の回転速度になるようにワーク回転装置駆動部6aを回転させると共に、モータ29を逆回転させる。続いて、ワーク回転装置6を所定の回転速度で回転させた状態で、加工開始点まで所定の速度でノズルヘッド4を移動させる。このようにすることによって、ノズルヘッド4から芯紙R2の内周面に高圧水を螺旋状に吐出させることができる。
【0051】
続いて、ノズルヘッド4が加工開始点に到達すると、ノズルヘッド4からの高圧水の吐出を停止すると共に、ワーク回転装置6の回転を停止し、ノズルヘッド4を原点まで移動させ、終了する。
【0052】
なお、第1の実施の形態では、加工開始点から直線加工終了点までの切断については、芯紙R2の内周面を直線に切断し、直線加工終了点から加工開始点までの切断については、芯紙R2の内周面を螺旋状に切断する。このようにする代わりに、加工開始点から直線加工終了点までの切断については、芯紙R2の内周面を螺旋状に切断し、直線加工終了点から加工開始点までの切断については、芯紙R2の内周面を直線に切断するようにしてもよい。また、芯紙R2の内周面の往復について、螺旋状に切断するようにしてもよい。
【0053】
図6は、巻芯切断装置100において上記動作を実行した後の使用済ロールR1の外観を示す斜視図である。
図7は、巻芯切断装置100において上記動作を実行した後に、使用済ロールR1から取り出した芯紙R2の一部を示す斜視図である。
【0054】
芯紙R2と樹脂フィルムR3とは機械で巻取りされているので、使用済ロールR1において芯紙R2と樹脂フィルムR3との密着力は一般的に非常に強い。このため、芯紙R2を螺旋状のみに切断した場合には、使用済ロールR1から芯紙R2を除去する作業に時間を要する場合がある。
【0055】
しかし、巻芯切断装置100を使用して使用済ロールR1から芯紙R2を分離する場合、図7に示すように、芯紙R2が細かく粉砕されず、ある程度の大きさ(ブロック状)に切断された芯紙R2を除去することができるので、使用済ロールR1から芯紙R2を分離する作業が容易である。また、使用済ロールR1の樹脂フィルムR3の外形(厚さ等)の大きさに関係なく、芯紙R2を基準にセンタ出しをして切断作業をすることができるので、切断動作に係る設定が容易である。さらに、使用済ロールR1の樹脂フィルムR3の外形(厚さ等)の大きさに関係なく、芯紙R2の厚さ等を基準に切断作業を行うので、切断に要する作業時間を短縮することができる。
【0056】
なお、上記動作においては、芯紙R2の内周面を螺旋状に切断する場合、ワーク回転装置6を回転させることによって切断するが、ワーク回転装置6を回転させる代わりに、ノズルヘッド4を回転させることによって芯紙R2の内周面を螺旋状に切断するようにしてもよい。また、芯紙R2の軸方向にノズルヘッド4を移動させる代わりに、使用済ロールR1を固定するワーク回転装置6を当該軸方向に移動させることによって芯紙R2の内周面を直線または螺旋状に切断するようにしてもよい。また、使用済ロールR1の加工開始点と直線加工終了点を予め設定しておくようにしてもよい。また、巻芯切断装置100を使用して使用済ロールR1の芯紙R2を切断する場合、芯紙R2をある程度の大きさ(ブロック状)にするために、直線や螺旋状等の切断方法を上記以外の組み合わせで実行するようにしてもよい。
【0057】
[第2の実施の形態]
図9は、巻芯切断装置100によって切断された芯紙R2を使用済ロールR1から分離する芯紙除去装置300の概略を示す拡大断面図である。
【0058】
芯紙除去装置300は、爪付きスライドハンマ301と、スライドハンマ引抜装置(チューブ連続引抜機)302とを有する。
【0059】
爪付きスライドハンマ301は、芯紙R2にかみ込ませる爪303と、爪保持部304と、柄305と、芯紙R2の直径と略同一の直径を有するガイド306と、移動機構307とを有する。
【0060】
第2の実施の形態に係る除去方法は、巻芯切断装置100によって切断された芯紙R2の中に爪付きスライドハンマ301を挿入し、爪303を芯紙R2にかみ込ませ、その後、爪付きスライドハンマ301の柄305の部分をチューブ連続引抜機のローラで挟み、爪付きスライドハンマ301を引抜くという手順で実行する。
【実施例1】
【0061】
次に、巻芯切断装置100を使用した実施例1を説明する。
実施例1で使用するロールの巻芯の材質を「ダンボール紙」とし、ロールの寸法は、φ300×700mm、φ400×200mm、厚さ:13mmである。また、芯紙の内周面の往路の切断は、ロールを回転させず、芯紙の内周面を直線切断し、一方、芯紙の内周面の復路の切断は、ロールを回転させ、芯紙の内周面を螺旋状に切断した。
【0062】
実施例1の実施条件は、以下の通りである。
圧力:135、150MPa
ノズル径:0.4、0.45mm
流量:6.8、7.2L/min
速度:0.5〜1.0m/min
ノズル距離:20mm
回転速度:4.5min−1
【0063】
また、実施例1の最適条件は、以下の通りである。
圧力:150MPa
ノズル径:0.4、0.45mm
流量:7.2L/min
速度:0.5(螺旋状に切断する場合)、0.8m/min(直線で切断する場合)
ノズル距離:20mm
回転速度:4.5min−1
【0064】
上記最適条件で、紙芯の内周面から超高圧水で紙芯を切断することによって、図7に示すように、紙芯を細かく分解することができた。紙芯の切断後、細かく切断された芯紙を鉤型状の棒等によって取り出すことができた。
【産業上の利用可能性】
【0065】
中空巻芯に巻材をロール状に巻回してなるロールを固定する固定部と、高圧水を吐出するノズルとを有し、前記固定されたロールの巻芯の内周面に、前記ノズルから高圧水を吐出し、前記固定されたロールの巻芯を切断することができる切断装置に本発明を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1の実施の形態である巻芯切断装置100を示す正面図である。
【図2】巻芯切断装置100を示す側面図である。
【図3】巻芯切断装置100を示す平面図である。
【図4】配管207を介して巻芯切断装置100と接続される高圧水発生装置200を示す平面図である。
【図5】使用済ロールR1が巻芯切断装置100のクランプ装置3に設置されている場合における使用済ロールR1の外観を示す斜視図である。
【図6】巻芯切断装置100において上記動作を実行した後の使用済ロールR1の外観を示す斜視図である。
【図7】巻芯切断装置100において上記動作を実行した後に、使用済ロールR1から取り出した芯紙R2の一部を示す斜視図である。
【図8】ワーク芯出装置9を示す拡大図である。
【図9】巻芯切断装置100によって切断された芯紙R2を使用済ロールR1から分離する芯紙除去装置300の概略を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0067】
R1…使用済ロール、R3…樹脂フィルム、R2…芯紙、100…巻芯切断装置、200…高圧水発生装置、1…架台本体、2…ノズル移動装置、3…クランプ装置、4…ノズルヘッド、5…飛散防止カバー、6…ワーク回転装置、7…制御盤、8…操作盤、9…ワーク芯出装置、10…フレーム、21…ノズル本体、22…ノズルホルダ、23…上下移動機構、24…支柱、25、26…プーリ、27、28…チェーン、29…モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空巻芯に巻材をロール状に巻回してなるロールを固定する固定部と、
前記固定されたロールの中空巻芯の内周面に高圧水を吐出し、前記中空巻芯において高圧水を吐出した部分を切断する高圧水吐出部と、
を有することを特徴とする巻芯切断装置。
【請求項2】
前記固定されたロールの中空巻芯の軸方向に前記高圧水吐出部を移動させる高圧水吐出部移動手段と、
前記固定されたロールの中空巻芯の内周面に前記高圧水吐出部から高圧水を吐出させた状態で、当該中空巻芯の内周面の一の端部から他の端部まで、前記高圧水吐出部を前記軸方向に移動させる高圧水吐出部移動制御手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の巻芯切断装置。
【請求項3】
前記固定されたロールの中空巻芯の軸線を回動中心として、前記高圧水吐出部を回動させる高圧水吐出部回動手段と、
前記固定されたロールの中空巻芯の内周面に前記高圧水吐出部から高圧水を吐出させた状態で、前記中空巻芯の軸線を回動中心として前記高圧水吐出部を回動させる高圧水吐出部回動制御手段と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の巻芯切断装置。
【請求項4】
前記固定されたロールの中空巻芯の軸線を回動中心として、前記ロールが固定された固定部を回動させる回動手段と、
前記固定されたロールの中空巻芯の内周面に前記高圧水吐出部から高圧水を吐出させた状態で、前記中空巻芯の軸線を回動中心として前記ロールが固定された固定部を回動させる固定部回動制御手段と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の巻芯切断装置。
【請求項5】
中空巻芯に巻材をロール状に巻回してなるロールを固定し、前記固定されたロールの中空巻芯の内周面に高圧水を吐出し、前記固定されたロールの中空巻芯を切断することを特徴とする巻芯切断方法。
【請求項6】
前記固定されたロールの中空巻芯の内周面に高圧水を吐出させた状態で、前記内周面において前記高圧水を吐出する部分を前記軸方向に移動させ、前記固定されたロールの中空巻芯を切断することを特徴とする請求項5に記載の巻芯切断方法。
【請求項7】
前記固定されたロールの中空巻芯の内周面に高圧水を吐出させた状態で、前記内周面において前記高圧水を吐出する部分を螺旋状に移動させ、前記固定されたロールの中空巻芯を切断することを特徴とする請求項5に記載の巻芯切断方法。
【請求項8】
前記固定されたロールの中空巻芯の内周面に高圧水を吐出させた状態で、前記中空巻芯の軸線を回動中心として、前記ロールを固定する固定部を回動させ、前記固定されたロールの中空巻芯を切断することを特徴とする請求項6に記載の巻芯切断方法。
【請求項9】
前記固定されたロールの中空巻芯を切断した後に、スライドハンマに取付けられた爪をロールの中空巻芯に挿入し、前記爪を中空巻芯にかみ込ませた状態で前記スライドハンマを引き抜き、前記固定されたロールから前記切断した中空巻芯を除去することを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の巻芯切断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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