説明

巾木接続部分カバー材

【課題】 壁の出隅角部における巾木同士の接続を美観性を向上させつつ簡単に行うことができるとともに巾木の縮みにも対応できる巾木接続部分カバー材を提供すること。
【解決手段】
一方の巾木11の端部12を被嵌する一方受入部32および他方の巾木21の端部22を被嵌する他方受入部33が形成されたカバー本体31を有し、このカバー本体31内に、複数個の補強リブ41を相互に離隔するようにかつ当該各補強リブ端面42が一方受入部32に被嵌された一方の巾木11の端面12と当接しかつ当該各補強リブ41のうち最外方の補強リブ41の外側面43が他方受入部33に被嵌された他方の巾木21の端面22と当接するように設けるとともに、当該各補強リブ41の間の空き空間を利用して接着剤を貯留する接着剤溜まり部45を設けるとともに、最外方の補強リブ41の外側面43には接着剤を貯留する凹部46を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、2つの巾木の端部を壁の出隅角部で接続するために用いられる巾木接続部分カバー材に関する。
【背景技術】
【0002】
巾木は、壁面と床面との境界部分を隠して意匠の美観性を高めるために用いられる。
【0003】
図4に示すように、壁面81の出隅角部81cにおいては、一方の巾木86の端部86aおよび他方の巾木87の端部87aをそれぞれ45度に切断して、外から見て両者(86a,87a)が当該出隅角部81cで連続するように施工されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−227120号公報の従来の技術の欄
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来例(例えば特許文献1)においては、両巾木(86,87)の端部(86a,87a)のしかるべき箇所を正確に45度にカットしなければ当該両端部(86a,87a)の接続部分に隙間が生じてしまうなど体裁が悪くなってしまう。しかし、両巾木(86,87)接続部分の切断作業に多くの手間をかけていたのでは施工期間を長引かせる原因の一つとなってしまう。また、両巾木端部(86a,87a)を体裁よく接続しても、室内の温度や湿度の変動によって当該両巾木(86,87)が縮んでしまい当該接続箇所が離れてしまったりすることがある。
【0005】
本発明の目的は、壁面の出隅角部における巾木同士の接続を美観性を向上させつつ簡単に行うことができるとともに巾木の縮みにも対応できる巾木接続部分カバー材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、2つの巾木の端部を壁面の出隅角部で接続するために用いられる巾木接続部分カバー材であって、一方の巾木の端部を被嵌する一方受入部および他方の巾木の端部を被嵌する他方受入部が形成されたカバー本体を有し、このカバー本体内には、複数個の補強リブが相互に離隔するようにかつ当該各リブ端面が前記一方受入部に被嵌された一方の巾木の端面と当接しかつ当該各リブのうち最外方のリブの外側面が前記他方受入部に被嵌された他方の巾木の端面と当接するように設けられるとともに、当該各補強リブの間の空き空間を利用して接着剤を貯留する接着剤溜まり部が設けられるとともに前記最外方のリブの外側面には接着剤を貯留する凹部が設けられたものである。
【0007】
上記請求項1の発明の場合、壁面の出隅角部において、一方の巾木の端部はカバー本体の一方受入部に被嵌され隠される。また、他方の巾木の端部はカバー本体の他方受入部に被嵌され隠される。したがって、両巾木の端部を正確に45度にカットする面倒な作業を行う必要がなくなる。また、両巾木の端部はカバー本体に隠されるので、当該巾木端部がカバー本体内で縮んで接続箇所が離れたとしても美観性が損なわれることはない。
【0008】
しかも、カバー本体内には、接続される巾木の端部に対応して接着剤貯留箇所がそれぞれ設けられている(すなわち、接着剤溜まり部および凹部)ので、当該両端部とカバー本体との接合に接着剤を大量に使っても接着剤がカバー本体の外部に出たりして周囲を汚すこともない。しかも、接着剤は硬化するまでに両巾木の端部とカバー本体との接合箇所に長らく止まるので、接合箇所は強固に接合される。なお、カバー本体は、各リブによって、構造強度が増大する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、一方の巾木の端部を被嵌する一方受入部および他方の巾木の端部を被嵌する他方受入部が形成されたカバー本体を有し、このカバー本体内には、複数個の補強リブが設けられ、しかも当該各補強リブの間の空き空間を利用して接着剤を貯留する接着剤溜まり部が設けられるとともに最外方のリブの外側面には接着剤を貯留する凹部が設けられているので、壁面の出隅角部において、両巾木の端部はカバー本体によって隠され、従来のように正確かつ慎重に45度にカットする面倒な作業を行う必要がなくなる。また、両巾木端部がカバー本体内で若干縮んで接続箇所が離れたとしても美観性が損なわれることはない。
【0010】
また、カバー本体内には、接続される巾木の端部に応じて接着剤貯留箇所がそれぞれ設けられている(すなわち、接着剤溜まり部および凹部)ので、当該両端部とカバー本体との接合に接着剤を大量に使っても接着剤がカバー本体の外部に出たりして周囲を汚すこともない。しかも、接着剤は硬化するまでに両巾木の端部とカバー本体との接合箇所に長らく止まるので、接合箇所は強固に接合される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0012】
ここで、図1は、本発明に係る巾木接続部分カバー材の要部を説明するための図で、(A)は縦断面図、(B)は底面図、(C)はX−X線による横断面図である。図2は本巾木接続部分カバー材の外観を示す図である。図3は、本巾木接続部分カバー材の取付を説明するための図である。
【0013】
本発明に係る巾木接続部分カバー材30は、図3に示すように、2つの巾木(11,21)の端部(12,22)を壁面5の出隅角部5cで接続するために用いられるものであって、カバー本体31を有している。
【0014】
このカバー本体31には、図3および図1(C)に示すように、一方の巾木11の端部12を被嵌する一方受入部32と、他方の巾木21の端部22を被嵌する他方受入部33とが形成されている。より具体的には、カバー本体31の一方受入部32と他方受入部33とは、壁面5の出隅角部5cに対応して直交するように形成されている。この実施形態では、カバー本体31は、ABS樹脂の成形品とされ、縦方向に長く横断面が四半円形状とされている。なお、同図(A)において、35はカバー本体31の上面部である。
【0015】
このカバー本体31には、複数個の補強リブ41が相互に離隔するようにかつ当該各補強リブ端面42が一方受入部32に被嵌された一方の巾木11の端面12と当接しかつ当該各補強リブ41のうち最外方のリブ41の外側面43が他方受入部33に被嵌された他方の巾木21の端面23と当接するように設けられている。また、カバー本体31には、上記した各補強リブ41の間の空き空間を利用して接着剤を貯留する接着剤溜まり部45が設けられるとともに、当該最外方の補強リブ41の外側面43には、接着剤を貯留する凹部46が設けられている。なお、上記各補強リブ41は、図1(C)では紙面と直交する方向に伸延しており、上記凹部46も同図中紙面と直交する方向に伸延している。
【0016】
上記した構成の本巾木接続部分カバー材30の場合、壁面5の出隅角部5cにおいて、一方の巾木11の端部12はカバー本体31の一方受入部32に被嵌され隠される。また、他方の巾木21の端部22はカバー本体31の他方受入部33に被嵌され隠される。したがって、両巾木(11,21)の端部(12,22)を正確に45度にカットする面倒な作業を行う必要がなくなる。また、両巾木(11,21)の端部(12,22)はカバー本体31に隠されるので、当該巾木端部(12,22)がカバー本体31内で縮んで接続箇所が離れたとしても美観性が損なわれることはない。なお、図3では、両巾木端部(12,22)が干渉しないように、ラフなカット処理はしている。
【0017】
しかも、カバー本体31内には、接続される巾木(11,21)の端部(12,22)に対応して接着剤貯留箇所がそれぞれ設けられている(すなわち、接着剤溜まり部45および凹部46)ので、当該両端部(12,22)とカバー本体31との接合に接着剤を大量に使っても接着剤がカバー本体31の外部に出たりして周囲を汚すこともない。しかも、接着剤は硬化するまでに両巾木(11,21)の端部(12,22)とカバー本体31との接合箇所に長らく止まるので、接合箇所は強固に接合される。しかも、カバー本体31は、各補強リブ41によって、構造強度が増大する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る巾木接続部分カバー材を説明するための図である。
【図2】本巾木接続部分カバー材の外観を示す図である。
【図3】本巾木接続部分カバー材の取付を説明するための図である。
【図4】壁面の出隅角部における従来巾木接続の問題点を説明するための横断面図である。
【符号の説明】
【0019】
11 一方の巾木
12 端部
21 他方の巾木
22 端部
30 巾木接続部分カバー材
31 カバー本体
32 一方受入部
33 他方受入部
41 補強リブ
42 端面
45 接着剤溜まり部
46 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの巾木の端部を壁面の出隅角部で接続するために用いられる巾木接続部分カバー材であって、
一方の巾木の端部を被嵌する一方受入部および他方の巾木の端部を被嵌する他方受入部が形成されたカバー本体を有し、
このカバー本体内には、複数個の補強リブが相互に離隔するようにかつ当該各リブ端面が前記一方受入部に被嵌された一方の巾木の端面と当接しかつ当該各リブのうち最外方のリブの外側面が前記他方受入部に被嵌された他方の巾木の端面と当接するように設けられるとともに、当該各補強リブの間の空き空間を利用して接着剤を貯留する接着剤溜まり部が設けられるとともに前記最外方のリブの外側面には接着剤を貯留する凹部が設けられたことを特徴とする巾木接続部分カバー材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−285049(P2007−285049A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−115379(P2006−115379)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(594155872)株式会社オリエント (7)