説明

布団内を暖房する抱き枕

【課題】布団乾燥機を利用して布団内暖房を行っている人は多い。ところが、就寝中の体や布団の動きによって温風の通路が圧迫されることがあり、そのために、布団乾燥機内が高温化してのサーモスタットの自動遮断がよく起こっていた。本発明は、その難点を解決するとともに、布団乾燥機のエアーバックを、布団内を暖房する新しい感触の抱き枕として改良する。
【解決手段】加温送風機の送風口に着脱可能なやや長い送風筒体と、中核送風体を一体的に設けたうえ、中核送風体を包み込む形で覆う暖房袋体を設けたことを特徴とする布団内を暖房する抱き枕。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寒冷期において布団内を暖房することの出来る抱き枕に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、布団乾燥機を利用して布団内暖房を行うことは行われていた(例えば、特許文献1ならびに文献2参照)。
【特許文献1】特開05−157367号
【特許文献2】特開昭55−136492号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
冬季などの寒い時期における就寝は、たとえばコタツなどを利用するとしても、その加温の範囲はコタツの枠内に留まるため、布団内全体には及ばなかった。そのため、冷えきった布団内で中々寝付かれない悩みがあった。それを解決する良い方法として、布団乾燥機を利用して温風を布団内に送り込むこともよく行われていた。
【0004】
ところが、この方法は布団内を急速に温める効果がある一方、就寝時の寝返りなどによって布団が予期せぬ動きをするため、布団乾燥機の送風口に繋いだ布製の送風筒口とか送風袋体の膨らみを圧迫してしまうことがあった。そのため、布団乾燥機からの加熱空気の流通が阻害されて、布団乾燥機内部が高温化して、内蔵のサーモスタットが作動し送風の自動停止がよく起こっていた。そして、その復帰再作動には数分ないし十数分を必要としていた。
【0005】
このことは、動かすことの無い条件下で布団の乾燥を行う布団乾燥機を、便宜的に就寝時に利用しているために起こっている問題点である。従って、使用目的に合わせて、その難点を解決する必要がある。即ち、就寝時に体がどのように動き、またそれによって布団がどのように動いても、布団乾燥機からの送風が阻害されることがなく、必要に応じて布団内を急速に暖房するとともに、安定した温風を供給できることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、布団乾燥機もしくは加温送風機(以下、加温送風機という)の送風口に着脱可能な形状保持性を持った送風筒体と、送風筒体の送風通路に繋がる送風空間を設けた中核送風体を一体的に設けたうえ、少なくとも中核送風体を包み込む形で覆う暖房袋体を設け、加温送風機から送り出された温風を、中核送風体を介して暖房袋体から放出することを特徴とする布団内を暖房する抱き枕である。尚、中核送風体に蓄熱機能を付加、または被覆電熱線を付加することによって、送風停止後の暖房維持を図ることも出来る。
【発明の効果】
【0007】
以上の構成であるから、加温送風機から送り出される温風は、形状保持性をもった送風筒と中核送風体によって送風路を確保したうえで、安定して暖房袋体に供給し続けることが可能となった。
【0008】
中核送風体から供給される温風は、暖房袋体を膨らませながら、布団内の暖房を行うので、寒冷期の冷え切った状態の布団であっても、1〜2分間の間に急速に温めることが可能な即暖効果を発揮するので、就寝に先立って長時間加温する必要は無くなった。従って、従来のコタツなどに比較しても、大きな省エネルギー効果を発揮する。
【0009】
中核送風体に蓄熱機能を付与することにより、使用初期における急速暖房の際に自然に蓄熱が行われる。あるいは、中核送風体に被覆電熱線を付設することにより、布団内が十分に温まる所定時間後に自動的に送風停止を行っても、蓄熱された熱量の放出、または、被覆電熱線からの発熱と体温の発散とによって快適な就寝温度を維持することが可能である。
【0010】
また、中核送風体の構成によっては、暖房袋体から放出する温風の量を調整可能であるから、いわゆる頭寒足熱的な温度差を発揮することも出来る。
【0011】
暖房袋体の内部には、中核送風体があるので、使用時には、温風によって膨らんだフニャフニャ感触の布袋体の内部に、従来からある抱き枕的な感触の中核送風体があることとなる。従って、温風を外周に放散しながら、就寝者にフニャフニャとした外部の感触とともに従来からある抱き枕の感触もかね合わせた、今までに無い新しい感触の布団内暖房機能をもった抱き枕となっている。従って、布団内の即暖効果のほかに、就寝時の心身のリラックスや快適感をもたらす新規の効果が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の形態について、図面に従って説明する。
【0013】
本発明は、加温送風機の送風口に接続することで使用可能な布団内を暖房する抱き枕であるが、理想的には、送風温度ならびに送風量を時間軸によってコントロール出来る専用の加温送風機を利用することが望ましい。
【0014】
加温送風機1の送風口2に着脱可能で、ある程度の形状保持性をもったやや長い送風筒体3と中核送風体4を一体的に設けたうえ、中核送風体4を包み込む形でやや大きい暖房袋体5を設ける。
【0015】
送風筒体3は、発泡ウレタンなどの軟質樹脂製の柔軟なパイプ状のものか、もしくは、布製または軟質樹脂膜製の筒の内部に螺旋バネを具備したものであって、屈曲自在に曲げることが出来る。その長さは約0.5〜1m程度であって、布団外に設置した加温送風機1から供給される温風を、中核送風体4に送り込む送風通路となる。尚、加温送風機1の送風口2への装着は、特に指定しないが、着脱自在でありながら容易には外れないように構成する。
【0016】
中核送風体4は、軟質樹脂または発泡性樹脂による成型体もしくは綿内蔵の縫製品にて構成が可能であり、利用する素材によって形状の工夫が必要であるが、送風筒体3と一体的に繋がり、内部には、送風筒体3の送風通路に繋がる細長い送風空間6があって、その外周を包んでいる暖房袋体5に向けて効率よく温風の供給が出来ればよい。
【実施例】
【0017】
図1に示す実施例では、送風筒体3と中核送風体4を1本の布製細長筒状に構成してその末端を閉じる。次に、中核送風体4を包み込む形で暖房袋体5を被せ、送風筒体3の末端位置にて縫着する。そして、送風筒体3の入り口から中核送風体4の末端に向けて、螺旋バネ6を挿入し、温風通路を確保する。従って、加温送風機1から送られる温風は、その送風通路を妨げられずに放出され、暖房袋体5を膨らませながら布団内に送り出される。
【0018】
図2に示す実施例は、上記実施例において中核送風体4に螺旋バネを内装させる代わりに、形状保持性をもつ網筒としたものであるが、図4に後述するように、多数の放出孔9を設けた樹脂成型品を利用してもよい。
【0019】
図3に示す実施例は、前記の実施例に加えて、中核送風体4と暖房袋体5との間にもう1つ中間袋体7を設けてその先端を中核送風体4の先端位置に縫着したものである。これによって、中核送風体4から放出された温風は、先ず中間袋体7を膨らませてから暖房袋体5へと送り出され、やがて布団内へと送り出される。従って、膨らんだ暖房袋体5の内部にやや圧の高い袋体が存在することとなり、利用者としては、前記実施例よりは抱き枕としての感触も良くなり、また、中間送風体4が金属製とか樹脂製であってもその硬さの感触を感じることがなくなる。これら中核送風体4、中間袋体7、暖房袋体5の布は、中核送風体4の布目を最も粗く、中間袋体7の布目を最も密にすればそれぞれの目的とする機能をより発揮できる。
【0020】
図4に示す実施例では、中核送風体4を軟質樹脂もしくは独立気泡性発泡スポンジで構成して形状保持性を保ったうえ、内部にはやや広い送風空間8を設け、温風の放出通路となる放出孔9を多数設ける。この実施例では、送風筒体3を通して送られてきた温風は、送風空間8に入った後に、多数設けた放出孔9によって暖房袋体5内へと放出され、そして、布団内へと送り出される。
【0021】
図5に示す実施例では、中核送風体4を連続発泡性スポンジで構成して、その内部に、行き止まり形状の送風空間8を設ける。中核送風体4の外周形状は、例えば歯車状の凹凸を設けた紡錘状とする。従って、送風筒体3より送られてきた温風は、送風空間8に入った後に、中核送風体4を構成する連続発泡性スポンジの内部に連続している気泡空間をくぐり抜けて、外周を包んでいる暖房袋体5内へと放出されるが、当然のことながら、中核送風体4を構成する連続発泡性スポンジの肉厚の薄い個所からはより多くの温風が放出される。図に示す例においては、中核送風体4の送風入り口付近の凹凸が大きく構成されているので、連続発泡性スポンジの肉厚が薄くなっており、温風の放出量は多くなる。従って、もし、暖房袋体5を中核袋体4に密着する形に構成すれば、本発明による抱き枕は、温風の入り口付近が頭部付近に比べて、より温かくすることが出来る。尚、この実施例の場合にも、前述の実施例と同様に、中核送風体4に多数の放出孔8を設けることも出来る。
【0022】
図6に示す実施例は、中核送風体4をたとえば3個の細長い凹凸形状の発泡樹脂か綿入りの縫製品で構成して、その一端を送風筒体3と一体的に繋いで構成する。図示の形状は、紡錘形を連続させた形状となっている。従って、3個構成で一体化すると、その中心に送風通路となる送風空間8に相当する空間と、大きく広がった放出孔9に相当する空間が構成される。尚、この実施例においても、暖房袋体5を、中核送風体4にほぼ密着した形で設ければ、送風筒体3の先端部位が、大きく広がった放出孔8の空間個所となっているため、送り出された温風の多くが、この最初の放出孔8の個所から暖房袋体5に向けて流れ、暖房袋体5の部分としては、送風筒体3に近い基部付近からより多く放出される結果となる。従って、布団内に設けた抱き枕としては、足元に近い方がより早く暖かとなり、持続して頭寒足熱に近い理想的な暖房効果を発揮することが出来る。
【0023】
図7に示す実施例は、以上述べた実施例において、中核送風体4と暖房袋体5との温風ストック空間10に、適当量の例えば低発泡ポリスチレンなどによる発泡樹脂粒11を流動自在の状態に収納したものの一例である。これによれば、発泡樹脂粒11は、暖房袋体5内において、常にある程度の形状を保ちながら温風の流通を妨げることなく、しかも、流動的にある程度の変形も可能であり、また、送風を中止した後にも、抱き枕的なある程度の形状保持が出来る。
【0024】
以上述べた実施例には、中核送風体4や発泡樹脂粒11に蓄熱機能を持たせることも可能である。即ち、図4に示す実施例にあっては、中核送風体4の構成を、蓄熱剤封入によって行うか、あるいは、中核送風体4の一部に蓄熱剤封入の蓄熱体を付設するとか、または、図6の実施例においては、中核送風体4を綿入りの縫製品としないで、蓄熱剤封入の構成とすることによって蓄熱機能を持たせることも可能である。
【0025】
また、更に機能付加を進めた実施例としては、中核送風体4に被覆電熱線を配することによって、蓄熱剤を封入した中核送風体4自体、もしくは、付設した蓄熱体を加温する構成にする。これによって、加温送風機1からの温風供給を停止後も布団内の保温維持に要する熱量を補給できる。
【0026】
本発明は以上の構成で、これを使用する場合は、先ず布団近くに設置した加温送風機1の送風口2に本発明の送風筒体3を装着し、暖房を必要とする布団内所定の個所に、中核送風体4を内蔵する暖房袋体5を配置する。
【0027】
加温送風機1のスイッチを入れると、暖房温度に加温された温風が送風口2から送り出され、送風筒体3および中核送風体4を介して暖房袋体5の布目から布団内に放出される。この間に要する時間はほぼ10秒以内であり、数分以内に就寝に快適な布団内温度を得ることが出来るから、就寝直前に作動させることによっても、十分に迅速な暖房効果を体感できる。
【0028】
本発明を本格的に機能させるためには、便宜的に布団乾燥機を利用するに留まらず、専用の加温送風機の開発が望ましい。即ち、一例を上げると、就寝に際してスイッチを入れると、数分間から十数分間程度は、消費電力700〜800W程度で布団内に温風を送り込むことにより、就寝者が十分満足するだけの暖かさを迅速に提供する。その後は、消費電力300〜200W程度の温風に切換え、最終的には、消費電力100W程度にて起床までの布団内を管理していくか、蓄熱材または付設の被覆電熱線よりの放熱によって穏やかな温かさを提供していく。
【0029】
このように、就寝時に十分な温かさを提供し、眠りが進むにつれて、順次次第に緩やかな熱エネルギーの供給に変更するなどのきめ細かなプログラム化によって、就寝者の快適な眠りの管理を行うとともに、必要最小限の電力消費を図ることが出来る。また、無加温の送風機能をもたせるとか、送風機に若干の冷却機能を加えることにより、夏季の就寝をクーラーに頼ることなく快適に過ごせるようにすることも出来るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一部を切り欠いた実施例の斜面図である。
【図2】本発明の一部を切り欠いた実施例の斜面図である。
【図3】本発明の一部を切り欠いた実施例の斜面図である。
【図4】本発明の一部を切り欠いた実施例の斜面図である。
【図5】本発明の一部を切り欠いた実施例の斜面図である。
【図6】本発明の一部を切り欠いた実施例の斜面図である。
【図7】本発明の一部を切り欠いた実施例の斜面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 加温送風機
2 送風口
3 送風筒体
4 中核送風体
5 暖房袋体
6 螺旋バネ
7 中間袋体
8 送風空間
9 放出孔
10 温風ストック空間
11 発泡樹脂粒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加温送風機の送風口に着脱可能なやや長い送風筒体と、送風筒体の送風通路に繋がる送風空間を設けた中核送風体を一体的に設けたうえ、少なくとも中核送風体を包み込む形で覆う暖房袋体を設け、加温送風機よりの送風を、送風筒体ならびに中核送風体を介して暖房袋体に送り布団内に放出することを特徴とする布団内を暖房する抱き枕。
【請求項2】
中核送風体と暖房袋体との温風ストック空間に、相当数の発泡樹脂粒を流動自在の状態で収納したことを特徴とする請求項1記載の布団内を暖房する抱き枕。
【請求項3】
中核送風体に、蓄熱機能を付加したことを特徴とする請求項1記載の布団内を暖房する抱き枕。
【請求項4】
中核送風体に被覆電熱線を付設したことを特徴とする請求項1記載の布団内を暖房する抱き枕。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−61199(P2006−61199A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−243992(P2004−243992)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(591064896)
【Fターム(参考)】