説明

布基礎に点検用開口を形成する方法および開口補強ユニット

【課題】開口が形成された布基礎の補強を簡易に行うことができ、且つ、補強効果が高い開口補強ユニットを提案すること。
【解決手段】布基礎Aの開口Bを補強するために取り付けられる開口補強ユニット1は、開口Bの内周面に密着する状態に取り付けられる補強プレート2と、補強プレート2を開口Bの周囲のコンクリート内に埋設されている配筋Cまたは接合部材に連結する重ね継手用鉄筋8a,8bと、補強プレート2の左側面板2a,右側面板2c間に架け渡されるターンバックル3a,3bとを有している。ターンバックル3a,3bは、その両端が、左側面板2a,右側面板2cに形成されたリブ4a,4bに形成された取付孔5a,5b,6a,6bにそれぞれボルトとナットにより着脱可能に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布基礎の立ち上がり部に形成される床下点検用の開口を形成する方法、および開口補強ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物の布基礎に床下点検用の開口を形成する際には、木製や鋼製などの型枠材を用いて基礎型枠を組んだ後、点検口の位置に発泡スチロール、木材、鋼材等で作製した開口用の型枠をセットしてコンクリートを打設している。床下点検用の開口は、点検作業者の通路として用いられるため、一定以上の大きさが必要である。よって、開口部分に鉄筋を配置することができず構造的な弱点となるのを防止するために、開口の周囲には、通常、補強筋が配置されている。補強筋を開口形状に合わせて一本一本現場溶接で取り付けると作業効率が悪いため、予め開口枠用の補強用鉄筋ユニットを作製しておいて現場ではその取り付け作業のみを行うことにより、現場作業の効率化が図られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−242258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、立ち上がり部の高さが低い基礎に床下点検用の開口を設けると、開口の下端と立ち上がり部の下端との距離が短くなる。従って、開口の外周側に補強筋を組むためには、その部分だけ基礎下端面を下げなければならない場合がある。特に、べた基礎を設けた場合には基礎スラブを掘り下げなければならないため、基礎の形状が複雑になって工事に手間がかかるという問題点があった。また、開口の周囲に補強筋を設けただけでは補強が十分とはいえず、特に、立ち上がり部の高さが低い基礎の場合には開口の両側の基礎の構造的な一体性が損なわれる可能性があるという問題点があった。
【0004】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、布基礎に形成された点検用開口の部分の補強を簡易に行うことができる点検用開口の形成方法、および、当該方法により形成された布基礎を提案することにある。
【0005】
また、本発明の課題は、点検用開口を確実に補強することのできる開口補強ユニット、および、当該開口補強ユニットが点検用開口に取り付けられた布基礎を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の布基礎に点検用開口を形成する方法は、
鉄筋コンクリート製の布基礎の立ち上がり部に点検用開口を形成する方法であって、
前記布基礎の基礎型枠の組立て時に、前記点検用開口に対応する内周面形状を備えた開口補強型枠を、当該点検用開口を形成するための型枠として取り付け、
前記布基礎のコンクリートの打設後においては、前記開口補強型枠を取り外すことなく、そのまま残し、
前記開口補強型枠の内周面によって前記点検用開口を規定すると共に、当該点検用開口を形成したことに起因する前記布基礎の強度低下を当該開口補強型枠によって補強することを特徴とする。
【0007】
このように、本発明では、点検用開口に対応する内周面形状を備えた開口補強型枠を取り付けた基礎型枠内にコンクリートを打設して布基礎の施工を行い、施工後は、開口補強型枠を取り外すことなくそのまま残している。このような開口補強型枠は、それ自体の剛性により、布基礎の点検用開口の部分の補強において、一定の効果を発揮する。従って、点検用開口を形成したことに起因する布基礎の強度低下を抑制することができる。また、このように、開口用の型枠材をそのまま補強材として用いることにより、資材を削減することができる。また、基礎型枠の解体時における開口補強型枠の取り外しの手間と、型枠取り外し後の点検用開口への補強材の取り付けの手間が削減される。
【0008】
本発明において、前記布基礎の鉄筋工事において、前記開口補強型枠を前記布基礎の主筋に結合するとよい。このようにすると、開口部の位置で切断された主筋を剛性のある開口補強型枠によって連結できる。よって、点検用開口を形成したことに起因する布基礎の強度低下を抑制することができる。
【0009】
本発明において、前記布基礎の鉄筋工事において、前記コンクリートに埋設される所定の長さの重ね継手用鉄筋を前記開口補強型枠に結合するとよい。このようにすると、重ね継手用鉄筋を介して、布基礎内の配筋と開口補強型枠とを容易に結合することができる。
【0010】
本発明において、前記コンクリートの打設後において、前記開口補強型枠における前記点検用開口の開口幅方向または開口高さ方向に相互に対向している対向面の間に、着脱可能な状態で、補強用架設材を架け渡すとよい。このようにすると、開口補強型枠の対向面同士が補強用架設材によって連結され、点検用開口部分における鉄筋あるいはコンクリートの欠損に起因する布基礎の耐久性及び構造強度の低下を簡易な構成で抑制することができる。また、補強用架設材は着脱可能になっているので、点検時には、この補強用架設材を取り外して点検用の通路を確保できる。また、点検が終了したら補強用架設材を元通りに架け渡すことができる。よって、補強用架設材を設けたことにより点検用開口としての機能を損なうことがない。
【0011】
本発明において、前記補強用架設材として、その長さを調整可能なものを取り付け、この補強用架設材を前記開口補強型枠に取り付けた後に、その長さを調整して、当該補強用架設材を引張り状態あるいは圧縮状態に維持するとよい。このように、補強用架設材の長さを調整可能にすれば、補強用架設材の着脱作業が容易となる。また、補強用架設材の引張り状態あるいは圧縮状態を適宜調整することにより、点検用開口内に鉄筋あるいはコンクリート等を配置したのと同様の補強効果を得ることができる。
【0012】
本発明において、前記コンクリートの打設後において、前記点検用開口を封鎖する補強用封鎖板を、着脱可能な状態で前記開口補強型枠に取り付けるとよい。このようにすると、開口補強型枠と補強用封鎖板によって剛性の高い補強ユニットが簡易に構成される。よって、点検用開口の縁部のクラックの発生を抑制することができる。また、補強用架設材を取り付けた場合と同様に、点検用開口を形成したことに起因する布基礎の耐久性及び構造強度の低下を簡易な構成で抑制することができる。また、補強用封鎖板が着脱可能であるので、補強用封鎖板を設けたことにより、点検用開口としての機能を損なうことがない。
【0013】
本発明において、前記点検用開口は前記布基礎の上端面に開口した矩形形状の開口である場合には、前記開口補強用型枠を、布基礎の立ち上がり部の厚さに対応する幅の金属板をコの字状に折り曲げた形状のものとすればよい。このように、本発明は、布基礎の上端面に開口した矩形形状の開口(上抜き開口)の補強に適用可能である。また、金属板の折り曲げ加工により、開口補強型枠を容易に形成することができる。
【0014】
本発明の布基礎は、上記各構成の布基礎に点検用開口を形成する方法を用いて形成されていることを特徴とする。このような構成により、本発明の布基礎は、点検用開口の部分の補強が簡易かつ効果的に行われており、点検用開口を形成したことに起因する耐久性及び構造強度の低下が抑制されている。また、開口用の型枠材をそのまま除去せずに残して補強材として用いることにより、補強用の資材を削減できる。また、点検用開口への補強材の取り付けの手間を削減できる。また、補強用架設材あるいは補強用封鎖板が着脱可能であるので、点検時には、これらを取り外して点検用の通路を確保できる。
【0015】
一方、本発明の開口補強ユニットは、鉄筋コンクリート製の布基礎の立ち上がり部に形成された点検用開口に取り付けられる開口補強ユニットであって、
前記点検用開口の内周面に接するように取り付けられる開口補強枠と、当該開口補強枠を前記布基礎のコンクリートに埋設される鉄筋または接合部材に結合する結合部材と、前記開口補強枠における前記点検用開口の開口幅方向または開口高さ方向において相互に対向している対向面の間に架け渡される補強用架設材と、を備え、
前記補強用架設材は、前記対向面に着脱可能に取り付けられ、
前記補強用架設材が取り付けられた前記開口補強型枠は、当該点検用開口を形成したことに起因する前記布基礎の強度低下を補強可能な強度を有していることを特徴とする。
【0016】
このように、本発明の開口補強ユニットは、布基礎に形成された点検用開口の内周面に開口補強枠を内接させ、この開口補強枠を結合部材によって布基礎に埋設された鉄筋やアンカー材などの構造部材に連結している。このような開口補強枠は、それ自体の剛性により、点検用開口の部分の補強において一定の補強効果を発揮し、点検開口部分における鉄筋やコンクリートの欠損に起因する布基礎の強度低下を補うことができる。また、このような開口補強枠は、取り付けに際して点検用開口の周囲の基礎形状を変更する必要がない。よって、基礎工事の手間が削減される。また、このような開口補強枠は、点検用開口に後付けで取り付けることができる。よって、既存の建物の基礎補強に用いることができる。
【0017】
本発明の開口補強ユニットは、点検用開口の開口幅方向において相互に対向している対向面の間に架け渡された補強用架設材を備えていてもよい。このように構成すると、布基礎内の鉄筋やアンカー材などの接合部材に連結された開口補強枠の対向面同士が、補強用架設材によって連結される。よって、開口補強枠や補強用架設材の強度を十分に大きくすれば、開口補強ユニットの剛性を大きくして点検用開口部分における布基礎の欠損部分と同等以上の引張強度や圧縮強度を持たせることができ、点検用開口部分における鉄筋やコンクリートの欠損に起因する布基礎の耐久性及び構造強度(引張強度、圧縮強度、あるいはせん断強度)の低下を補うことができる。また、補強用架設材は着脱可能であるので、点検時にはこの補強用架設材を取り外して点検用の通路を確保することができる。また、点検が終了したら元通りに架け渡して再び補強用架設材として機能させることができる。よって、補強用架設材を設けたことにより点検用開口としての機能を損なうことがない。
【0018】
本発明において、前記補強用架設材における前記対向面の間の架け渡し長さを調整可能にするとよい。このようにすると、補強用架設材の着脱作業が容易となる。また、補強用架設材の長さ調整を行うことにより、補強用架設材の引張り状態あるいは圧縮状態を調整することができる。
【0019】
具体的には、前記補強用架設材には、ターンバックル、板材、棒材、のいずれかを用いるとよい。特に、ターンバックルを用いた場合には、容易にその長さ調整を行うことができる。
【0020】
本発明において、前記開口補強枠は、前記布基礎の基礎型枠を組み立てる際に前記点検用開口の位置に取り付けられて当該点検用開口を形成するための型枠として用いられ、前記布基礎のコンクリートの打設後は前記布基礎から取り外されることなくそのまま残されるようにするとよい。このようにすると、開口形成用の型枠材をそのまま開口補強枠として用いることができるので、補強用の資材を削減することができる。また、基礎型枠の解体時における開口補強型枠の取り外しの手間と、型枠取り外し後の点検用開口への補強材の取り付けの手間が削減される。
【0021】
本発明において、前記開口補強枠における前記対向面の各々には、前記補強用架設材の各端部を取り付けるための取付部が、前記対向面が前記開口幅方向に対向している場合には、異なる高さ位置に少なくとも2個形成されており、前記対向面が前記開口高さ方向に対向している場合には、異なる幅方向位置に少なくとも2個形成されているとよい。このようにすると、開口の上下端寄りあるいは左右端寄りの位置にそれぞれ補強用架設材を取り付けることができる。また、2本の補強用架設材をクロスさせて対角方向に取り付けることができる。
【0022】
本発明において、前記開口補強枠における前記対向面にはそれぞれリブが形成されており、当該リブに、前記取付部である複数個の取付孔が形成されているとよい。リブに形成された取付孔を取付部として用いるようにすれば、ターンバックル等の補強用架設材を斜めに取り付けることができる。
【0023】
本発明において、前記開口補強枠における前記対向面には、それぞれ当該対向面を貫通するようにインサートナットが取り付けられており、各インサートナットの一方の端部には前記補強用架設材の各端部が螺合され、他方の端部には、前記結合部材の端部が螺合されているとよい。このように、取付部としてインサートナットを使用すれば、補強用架設材のねじ込み長さを変えられるので、補強用架設材それ自体が長さ調整可能でなくても、点検用開口内への補強用架設材の取り付け長さを調整することができる。
【0024】
本発明において、前記結合部材は重ね継手用の鉄筋であり、その一端が前記開口補強枠に接合されていると好ましい。このように、結合部材として重ね継手用の鉄筋を用いれば、開口周囲の鉄筋との接合が容易である。
【0025】
本発明において、前記点検用開口は、前記布基礎の上端面に開口している一定幅および深さの矩形の開口の場合には、前記開口補強枠は、前記点検用開口の前記対向面および底面に接するコの字形状に折り曲げた一定幅のプレートであるとよい。このように、本発明の開口補強ユニットは、布基礎の上端面に開口した矩形形状の開口(上抜き開口)の補強に適用可能なものである。また、金属板の折り曲げ加工により、開口補強用型枠を容易に形成することができる。
【0026】
本発明の布基礎は、上記各構成の開口補強ユニットが点検用開口に取り付けられたことにより、当該点検用開口を形成したことに起因する強度低下が補強されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明では、布基礎の立ち上がり部に形成された点検用開口の内周面に接するように開口補強型枠を取り付けている。従って、点検用開口を形成したことに起因する布基礎の強度低下を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した開口補強ユニットおよび布基礎の立ち上がり部に点検用開口を形成する方法の実施の形態を説明する。
【0029】
(実施の形態1)
図1は実施の形態1に係る開口補強ユニットの使用状態を示す説明図である。この図において、符号Aは鉄筋コンクリート製の布基礎を示し、符号Bは当該布基礎Aに形成した点検用開口を示す。点検用開口B(以下、開口Bという)は、布基礎Aの立ち上がり部A1をその厚さ方向に貫通する矩形の開口溝であり、立ち上がり部A1の上端面に開口している。開口B内には、その内周面に密着する状態で鋼製の補強プレート2が取り付けられている。補強プレート2によって囲まれる開口内部には、2本のターンバックル3(3a,3b)が開口幅方向(布基礎Aの長さ方向)に沿って水平に架け渡されている。
【0030】
補強プレート2は、布基礎Aの立ち上がり部A1の幅とほぼ同一幅の鋼製プレートをコの字状に折り曲げた形状であり、下面板2bと、この下面板2bの両端から直角に立ち上がっている左側面板2aおよび右側面板2cとを備えている。下面板2bは、開口Bの底面B1に沿って配置され、左右の側面板2a、2cは、開口Bの左右の内側側面B2、B3に沿って配置されている。なお、補強プレート2は鋼製のものに限定されず、強度や耐久性を確保できるものであれば種々の材質のものを用いることができる。例えば、コの字状に成形された繊維補強コンクリート板を補強プレート2として用いてもよい。
【0031】
補強プレート2の左側面板2a及び右側面板2cには、それぞれ、上下方向に延びる細長い長方形のリブ4a,4bが形成されている。リブ4a,4bは、左側面板2a及び右側面板2cの板面中央(言い換えれば、開口Bの奥行き方向の中央)に取り付けられており、左側面板2a及び右側面板2cの板面から、それぞれ開口Bの内側に向かって直角に突出している。リブ4a,4bは、例えば、左側面板2a及び右側面板2cと同一の材質の鋼板等を溶接等により左側面板2a及び右側面板2cに接合して形成される。リブ4a,4bの下端は下面板2bに直角に接続されている。また、リブ4a,4bの上端は、開口Bの上端すなわち布基礎Aの上端面と同じ高さまで延びている。
【0032】
リブ4a,4bは、同一面上に位置するように形成されている。また、リブ4aには2つの取付孔5a,6aが形成されており、リブ4bには2つの取付孔5b,6bが形成されている。取付孔5a,5bは、開口Bの上端側すなわち布基礎Aの上端側に形成されている。一方、取付孔6a,6bは、開口Bの下端側に形成されている。取付孔5a,5bと取付孔6a,6bは、それぞれ、下面板2bからの高さが同一の位置にある。
【0033】
ターンバックル3(3a,3b)は公知の構成であり、例えば、中央に配置されたロッドの両端に逆ねじ方向の雌ねじ部が形成されており、この雌ねじ部に両端側からねじ部材をねじ込んだ構成のものを用いることができる。ねじ部材のねじ込み端部側とは反対側の端部には、取付孔7が形成されている。従って、ターンバックル3aは、両端の取付孔7をそれぞれ取付孔5a,5bに合わせてボルト及びナット等の締結部材で締結することにより、開口Bの上端寄りの位置に水平に架け渡される。また、同様に、ターンバックル3bは、両端の取付孔7をそれぞれ取付孔6a,6bに合わせてボルト及びナット等の締結部材で締結することにより、開口Bの下端寄りの位置に水平に架け渡される。
【0034】
ここで、図1の上方に図示しているように、ターンバックル3a,3bを交差させ、開口B内においてその対角方向に架け渡すこともできる。この場合には、ターンバックル3aの両端は取付孔6a及び取付孔5bに締結され、ターンバックル3bの両端は取付孔5a及び取付孔6bに締結される。本実施形態では、リブ4a,4bが開口Bの内側に向かって垂直に延出された板材であり、この板材にターンバックル3a,3bの端部を重ねてボルトを垂直方向に挿入して締結しているので、ターンバックル3a,3bの角度をリブ4a,4bの延出方向と平行な面内において自由に傾けることができる。よって、上記のようにターンバックル3a,3bを対角方向に架け渡すことが可能になっている。
【0035】
次に、補強プレート2には、左側面板2aのリブ4aが形成された側の裏側の面、すなわち、布基礎Aの開口Bの内側端面B2に当接している面から、2本の重ね継手用鉄筋8aが左方向に向かって直角に延び、布基礎Aのコンクリートに埋設された状態となっている。同様に、右側面板2cのリブ4bが形成された面の裏側の面から、2本の重ね継手用鉄筋8bが右方向に直角に延びている。この重ね継手用鉄筋8a,8bは、布基礎A内に配置されている鉄筋のうち、開口Bの周囲に配置された鉄筋に接合可能な位置に取り付けられている。重ね継手用鉄筋8a,8bを布基礎A内の配筋(主筋)Cに所定の継手長さ以上重ねて結束しておくことにより、補強プレート2と布基礎A内の配筋(主筋)Cとが、重ね継手用鉄筋8a,8bによって一体に連結された状態が形成される。なお、重ね継手用鉄筋8a,8bと配筋(主筋)Cの重なり長さを十分長くとれないような場合には、重ね継手用鉄筋8a,8bと配筋(主筋)Cをフレア溶接により接合してもよい。
【0036】
(開口補強ユニットの取付方法)
開口補強ユニット1は、布基礎Aを新しく施工する際に取り付け可能であるほか、既存の布基礎Aに後付けで取り付けることも可能である。
【0037】
まず、布基礎Aの施工時に開口補強ユニット1を取り付ける場合には、布基礎Aの外形に合わせて基礎型枠を組み立て、この基礎型枠に、開口Bの形成位置に合わせて補強プレート(開口補強型枠)2をセットする。すなわち、補強プレート2の上端である左側面板2a及び右側面板2cの上端位置を布基礎Aの上端位置に合わせて、基礎型枠内に補強プレート2をセットする。その際、布基礎Aの鉄筋工事を行う際に、基礎型枠内に組み立てられる配筋(主筋)Cに、補強プレート2に取り付けられた重ね継手用鉄筋8a,8bを所定の継手長さ以上重ね合わせて結束するか、あるいは、フレア溶接等により接合する。その後、基礎型枠内にコンクリートを充填し硬化させる。このとき、補強プレート2は、開口Bを形成するための型抜き枠(開口用型枠材)として機能する。コンクリート硬化後、基礎型枠を解体して外す際には、補強プレート2は外さずにそのまま硬化したコンクリート内に残す。これにより、補強プレート2の内周面によって開口Bが規定される。
【0038】
次に、補強プレート2における布基礎の長さ方向において相互に対向している左側面板2aと右側面板2cとの間に、ターンバックル3a,3bを架け渡す。しかる後に、ロッドを回転させることによってターンバックル3a,3bの長さを調節し、ターンバックル3a,3bを所定の張力で開口幅方向(水平方向、あるいは対角線方向)に張設した状態にする。
【0039】
一方、開口補強ユニット1を既存の布基礎Aの開口Bに後付けで取り付ける場合には、まず、開口Bの左右側面B2、B3側からコンクリート内に向けて、所定の深さで、重ね継手用鉄筋8a,8bを挿入可能な凹部B4、B5をそれぞれ形成する。この凹部B4、B5は、布基礎Aの立ち上がり面(開口Bの左右両側の面)に開口しており、開口Bの左右両側に水平方向に延びた凹溝形状になっている。凹部B4、B5内には布基礎Aの配筋(主筋)Cが露出している。そこで、凹部B4、B5内に重ね継手用鉄筋8a,8bを挿入すると共に、補強プレート2を開口Bの内周面に接するように挿入する。そして、配筋(主筋)Cと重ね継手用鉄筋8a,8bを所定の長さだけ重ね合わせ、結束あるいは溶接等により一体に固定する。その後、モルタル等を凹部B4、B5に充填して塞ぐ。このようにして、補強プレート2が、重ね継手用鉄筋8a,8bを介して配筋(主筋)Cと一体に固定されると共に、補強プレート2が既存の布基礎Aの開口Bの内周面に密着するように取り付けられ、補強プレート2と開口Bの内周面との隙間が塞がれる。
【0040】
続いて、上述したように補強プレート2の左側面板2aと右側面板2cとの間に開口幅方向にターンバックル3a,3bを架け渡す。そして、ロッドを回転させることによってターンバックル3a,3bを張設する。
【0041】
なお、重ね継手用鉄筋8a,8bを配筋(主筋)Cに直接固定せず、アンカーボルト等の接合部材を凹部B4、B5内に接着剤等により固定しておき、このアンカーボルトと重ね継手用鉄筋8a,8bとを接合することにより、布基礎Aと補強プレート2を一体に固定してもよい。また、重ね継手用鉄筋8a,8bではなくアンカーボルトを補強プレート2に直接接合しておき、このアンカーボルトを凹部B4、B5内に接着剤等により固定し、モルタル等を充填して埋設することにより、布基礎Aと補強プレート2を一体に固定してもよい。
【0042】
(実施の形態1の作用効果)
本実施形態では、布基礎Aに形成された開口Bの内周面に補強プレート2が接するように開口補強ユニット1が取り付けられる。このような開口補強ユニット1は、補強プレート2自体の剛性により、開口Bまわりの布基礎Aの補強において、一定の効果を発揮する。従って、開口Bにおける鉄筋やコンクリートの欠損に起因する布基礎Aの強度低下を補うことができる。また、開口Bに対応する内周面形状を備えた補強プレート2を基礎型枠内に取り付けてコンクリートを打設することにより布基礎Aの施工を行い、施工後は補強プレート2を取り外すことなくそのまま残して布基礎Aの補強を行うことができる。このように、開口Bを形成するための型枠材をそのまま補強材として用いることができるので、補強用の資材を削減できる。また、基礎型枠の解体時における補強プレート2(開口用の型枠材)の取り外しの手間と、型枠材取り外し後の開口Bへの補強プレート2の取り付けの手間を削減できる。
【0043】
本実施形態では補強プレート2を重ね継手用鉄筋8a,8bによって開口周囲の配筋(主筋)Cやアンカーボルト(接合部材)等の構造部材に連結している。そして、開口Bの位置で切断された配筋(主筋)C等の構造部材を、剛性のある補強プレート2を介してターンバックル3a,3bによって連結している。このようにすると、ターンバックル3a,3bの長さを調整して引っ張り状態とし、その際、その張力を適宜調整することにより、開口B内に、開口Bを形成したことにより切断された鉄筋(主筋等)と同等の引っ張り強度を有する部材を配置したのと同様の補強効果を得ることができる。よって、補強プレート2とターンバックル3等の強度を十分に大きくすれば、開口補強ユニット1により、開口Bにおける鉄筋の欠損に起因する布基礎Aの引張強度の低下を補うように布基礎Aを補強することができる。
【0044】
また、所定の軸方向圧縮強度を有する部材をターンバックル3a,3bの代わりに、あるいはターンバックル3a,3bと共に配置することにより、開口B内にコンクリートと同等の圧縮強度を有する部材を配置したのと同様の補強効果を得ることもできる。また、対向面の間にターンバックル3a,3bを交差させて掛け渡すことにより、開口補強ユニット1の剛性を高めて、開口Bまわりにおける布基礎Aのせん断破壊を抑制することができる。よって、開口Bにおける鉄筋(主筋)あるいはコンクリートの欠損に起因する布基礎Aの耐久性及び構造強度の低下を簡易な構成で効果的に抑制することができる。
【0045】
このような補強方法では、開口Bの周囲の布基礎部分に補強筋を埋め込む必要がない。よって、補強のために開口Bの周囲の基礎形状を変更する必要がない。したがって、基礎工事の手間が削減される。また、開口補強ユニット1は、布基礎Aの開口Bに後付けで取り付けることができるので、既存の基礎の開口補強にも用いることができる。また、ターンバックル3a,3bは着脱可能であるので、点検時にはこのターンバックル3a,3bを取り外して点検用の通路を確保することができる。また、点検が終了したら元通りに架け渡して再び補強用架設材として機能させることができる。よって、補強用架設材を設けたことにより点検用開口としての機能を損なうことがない。
【0046】
(実施の形態2)
次に、図2(a)は、本発明を適用した実施の形態2に係る開口補強ユニットを示す分解斜視図である。開口補強ユニット100は、実施の形態1の開口補強ユニット1の補強プレート2及び重ね継手用鉄筋8a,8bと同一の構成を備えており、ターンバックル3a,3bの代わりに補強用封鎖板9を用いた点が実施の形態1と異なっている。
【0047】
補強用封鎖板9は例えば鋼板などの金属製の板材であり、その4隅には、取付孔10が形成されている。取付孔10は、この補強用封鎖板9を開口B内に挿入してリブ4a,4bと補強用封鎖板9の左右両端とを重ね合わせた場合に、4つの取付孔10と、リブ4a,4bに形成された取付孔5a,5b,6a,6bが重なるような位置に形成されている。従って、これらの取付孔を重ね合わせて4箇所ともボルト及びナットで締結することにより、補強用封鎖板9を左側面板2aと右側面板2cとの間に取り付けることができる。
【0048】
このようにすると、補強用封鎖板9および補強プレート2は所定の強度を有するので、補強プレート2及び補強用封鎖板9を開口Bに取り付けるという簡易な構成で、開口Bにおける鉄筋やコンクリートの欠損に起因する布基礎Aの引張強度、圧縮強度、あるいはせん断強度の低下を補うことができ、開口B内に鉄筋あるいはコンクリート等の構造材を配置したのと同様の補強効果を得ることができる。また、ボルト及びナットは取り外し可能であるので、点検時にはターンバックル3a,3bと同様にこの補強用封鎖板9を取り外して点検作業者の通路を確保することができる。また、点検が終了したら元通りに補強用封鎖板9を取付け、補強材として機能させることができる。
【0049】
なお、この開口補強ユニット100では、開口Bの開口面積よりもわずかに小さい大きさの補強用封鎖板9を用いており、開口Bを補強用封鎖板9によってほぼ完全に塞いでいる。よって、小動物等の床下への侵入を防止することができる。また、補強用封鎖板9として、図2(b)に示すような開口9aを形成した穴開き板あるいはメッシュ板を用いれば、開口補強ユニット100を軽量化することができ、床下の通気を行うこともできる。穴開き板の場合、穴の形状、大きさ、および配置は必要な強度等に応じて適宜設定すればよい。
【0050】
また、開口補強ユニット100において、補強用封鎖板9の代わりに、両端に取付孔が形成された2本の細長い鋼板(フラットバー)を取付孔5a,5b間および取付孔6a,6b間に水平に取り付けても良い。また、取付孔5a,6b間および取付孔6a,5b間に、対角線状に2本の鋼板を取り付けても良い。また、補強材として、細長い鋼板のかわりに棒材を用いても良い。また、補強材の材質は鋼材に限定されず、必要な耐久性及び強度が確保できるものであればどのようなものでもよい。例えば、補強用封鎖板9として繊維補強コンクリート板を用いてもよい。
【0051】
上記の実施の形態1,2では、補強プレート2に板状のリブ4a,4bが開口Bの上端から下端まで連続的に設けられているので、例えば、リブ4a,4bに一定のピッチで多数の取付孔を形成することにより、ターンバックル3等の補強材の取り付け位置を適宜変更することが可能になる。また、取付孔の位置を変更することにより、形状や寸法の異なる様々な補強材を取付け可能となる。さらに、リブ4a,4bを設ける代わりに、左側面板2aには取付孔5a,6aの位置にのみ突出部を形成し、右側面板2cには取付孔5b,6bの位置にのみ突出部を形成するようにしてもよい。また、リブの位置、方向及び数を適宜変更してもよい。また、補強材である鋼板やターンバックルとの取付方法は、取付孔とボルト、ナットによるものに限定されず、着脱可能な取付方法を種々適用可能である。
【0052】
(実施の形態3)
次に、図3は、本発明を適用した実施の形態2に係る開口補強ユニットを示す分解斜視図である。開口補強ユニット200は、実施の形態1,2の開口補強ユニット1,100と同様の左側面板2a、下面板2b、右側面板2cを備えている。但し、本実施の形態では左側面板2a及び右側面板2cにはリブ4a,4bは形成されていない。その代わりに、左側面板2aには、取付孔5a,6aと同一高さに、それぞれインサートナット11a,12aが取り付けられている。
【0053】
インサートナット11a,12aは左側面板2aを貫通しており、その一端が左側面板2aの開口B外周側の板面と面一になるように取り付けられている。また、インサートナット11a,12aには、開口Bの外周側の開口から重ね継手用鉄筋13aの先端をねじ込んで取り付けるようになっている。同様に、右側面板2cには、取付孔5b,6bと同一高さに、それぞれインサートナット11b,12bが取り付けられている。インサートナット11b,12bは左側面板2aを貫通しており、開口Bの外周側から重ね継手用鉄筋13bの先端がねじ込まれ、固定される。
【0054】
開口Bの上側に位置するインサートナット11a,11bの間には、両端にねじ部15が形成された棒材14が取り付けられる。まず、一端側のねじ部15をインサートナット11a(または11b)のねじ孔に開口Bの内側からねじ込み、棒材14のインサートナット11b(または11a)側の先端がインサートナット11b(または11a)の先端のねじ孔よりも開口Bの内側にくるように棒材14を組み付けた後、棒材の他端側のねじ部15をインサートナット11b(または11a)のねじ孔にねじ込む。そして、棒材14の両端のねじ部15がインサートナット11a,11bにそれぞれ適宜長さねじ込まれるように棒材14を移動させる。また、同様にして、開口Bの下側に位置するインサートナット12a,12bの間にも棒材14が取り付けられる。
【0055】
このように、重ね継手用鉄筋13a(13b)を開口Bまわりの構造部材、例えば、開口Bの左右において切断された主筋に接合すれば、インサートナット11a,11b(または12a,12b)の間に棒材14を取り付けることにより、切断された主筋を重ね継手用鉄筋13a(13b)と棒材14によってつなぐことができる。よって、開口補強ユニット200を取り付けることにより、開口B内に鉄筋等の構造材を配置したのと同様の補強効果を得ることができる。また、インサートナット11a,11b間及び12a,12b間にはそれぞれ棒材14を着脱可能に取り付けることができるので、点検時にはターンバックル3a,3bと同様にこの棒材14を取り外して点検作業者の通路を確保することができる。また、点検が終了したら元通りに棒材14を取付け、補強材として機能させることができる。また、重ね継手用鉄筋13a,13bについても着脱可能となっているので、重ね継手用鉄筋13a,13bの代わりにアンカーボルト等を取り付けて布基礎Aに固定することもできる。なお、インサートナット11a,11b及び12a,12bの取付位置や数量は、適宜変更することができる。
【0056】
(その他の実施の形態)
(1)上記の各実施の形態において、図4(a)に示すように、開口Bの上端の開口を塞ぐように布基礎Aの上端面と同じ高さに蓋板2dを取り付けても良い。この場合、補強プレート2における左右側面板2a,2cの上端と蓋板2dの両端を接合することにより筒型フレーム16が形成される。補強プレート2と蓋板2dは開口Bへの取り付け時や開口Bを形成するための型枠の組み立て時に接合してもよいが、図4(b)に示すように、最初から筒型に一体形成された筒型フレーム17を用いても良い。補強プレート2と蓋板2dを剛接合あるいは一体に形成して筒型にすれば、コの字型のフレームよりも剛性が高くなるので、この筒型フレーム16あるいは17内にターンバックル3、補強用封鎖板9、棒材14などを取り付けることにより、より剛性が高く、引張強度や圧縮強度が大きい開口補強ユニット300が得られる。また、蓋板2dを設ければ、開口補強ユニット300の上に構造部材や下地材などを直接配置することができるようになり、開口Bの上に掛け渡す部材を別途準備する必要がない。
【0057】
(2)上記の各実施の形態では、布基礎Aに設けた開口Bを上方に開口した矩形溝としていたが、布基礎Aの上端に開口していない中抜き開口であっても本発明の開口補強ユニットによる補強を行うことができる。すなわち、この場合には、補強プレート2として、開口内周面に対応した筒状のもの(図4(b)の筒型フレーム17と同様のもの)を用いた開口補強ユニット300を取り付ければよい。
【0058】
(3)上記(1)(2)の形態では、溝形の補強プレート2の代わりに筒型フレーム16あるいは17を用いているが、このような場合には、ターンバックルや鋼板、棒材などの補強用架設材の架設方向を、開口幅方向(布基礎Aの長さ方向)と、開口高さ方向(布基礎Aの高さ方向)の2方向に設定することができる。すなわち、左右側面板2a,2cを対向面とするほか、図5に示す開口補強ユニット400のように、下面板2bと蓋板2dを対向面としてその間に補強用架設材を取り付けてもよい。なお、中抜き開口の場合には、中抜き開口の上下において鉄筋を配置するのに十分な布基礎Aの高さがあれば、下面板2bと蓋板2dから重ね継手用鉄筋を下向きあるいは上向きに伸ばして、布基礎A内の配筋と接合してもよい。このようにすれば、開口により切断された上下方向の配筋を補強用架設材によって連結することができるので、開口補強ユニット400により、圧縮力だけでなく引き抜き力に対する補強を行うこともできる。
【0059】
(4)上記の各実施の形態において、開口Bの形状は矩形に限定されるものではなく、その内周面において対向する一対の対向面を有する形状であればよい。例えば、六角形や八角形などの形状では、布基礎Aの長さ方向あるいは高さ方向の対向面を有しているので、長さ方向あるいは高さ方向に補強用架設材を掛け渡すことができる。
【0060】
(5)上記の各実施の形態では、鋼製プレートをコの字状に折り曲げた補強プレート2を開口形成用の型枠材兼補強材(開口補強型枠)として用いたが、既存の基礎に後付けで取り付ける場合には、型枠材としての機能は必要ない。そこで、例えば、開口Bの内周面に接するが、その全面を覆っていない開口補強枠を補強プレート2の代わりに用いてもよい。このような開口補強枠の例としては、例えば、布基礎Aの厚さよりも細い幅の鋼製プレートをコの字状に折り曲げたもの、補強プレート2における外枠部分および折り曲げ箇所の稜線部分のみを残したフレーム状のもの、メッシュ板や穴あき板をコの字状に折り曲げたもの、などが考えられる。要は、開口補強枠によって開口Bの内周面が規定されており、ターンバックル等の補強用架設材を掛け渡すことが可能で、且つ、布基礎A内の配筋C等の構造材との接合が可能な形状であればよい。このようにすれば、開口補強枠を軽量化することができる。
【0061】
(6)上記の各実施の形態では、一部材である補強プレート2を用いていたが、これを複数の部材に分割してもよい。例えば、補強プレート2を下面板2bの幅方向中央(開口Bの開口幅方向中央)で2分割し、これらを、それぞれ開口Bの左右の内側側面B2、B3に接するように取り付けて、その間にターンバックル等を掛け渡してもよい。このようにすると、開口幅の異なる開口に取り付け可能となる。また、2部材に分割した補強プレートを、底面B1に接するように配置した長さ調整可能な部材で一体に接合することにより、開口幅の異なる開口に取り付けられるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明を適用した実施の形態1の開口補強ユニットの取り付け状態を示す説明図である。
【図2】本発明を適用した実施の形態2の開口補強ユニットの分解斜視図である。
【図3】本発明を適用した実施の形態3の開口補強ユニットの分解斜視図である。
【図4】本発明を適用した他の実施の形態の開口補強ユニットの説明図である。
【図5】本発明を適用した他の実施の形態の開口補強ユニットの説明図である。
【符号の説明】
【0063】
1,100,200,300,400 開口補強ユニット
2 補強プレート
2a 左側面板
2c 右側面板
2d 蓋板
3,3a,3b ターンバックル
4a,4b リブ
5a,5b,6a,6b 取付孔
7 取付孔
8a,8b 重ね継手用鉄筋
9 補強用封鎖板
10 取付孔
11a,11b,12a,12b インサートナット
13a,13b 重ね継手用鉄筋
14 棒材
15 ねじ部
16,17 筒状フレーム
A 布基礎
A1 立ち上がり部
B 開口
B1 底面
B2、B3 内側側面
B4、B5 凹部
C 配筋(主筋)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋コンクリート製の布基礎の立ち上がり部に点検用開口を形成する方法であって、
前記布基礎の基礎型枠の組立て時に、前記点検用開口に対応する内周面形状を備えた開口補強型枠を、当該点検用開口を形成するための型枠として取り付け、
前記布基礎のコンクリートの打設後においては、前記開口補強型枠を取り外すことなく、そのまま残し、
前記開口補強型枠の内周面によって前記点検用開口を規定すると共に、当該点検用開口を形成したことに起因する前記布基礎の強度低下を当該開口補強型枠によって補強することを特徴とする布基礎に点検用開口を形成する方法。
【請求項2】
前記布基礎の鉄筋工事において、前記開口補強型枠を前記布基礎の主筋に結合することを特徴とする請求項1に記載の布基礎に点検用開口を形成する方法。
【請求項3】
前記布基礎の鉄筋工事において、前記コンクリートに埋設される所定の長さの重ね継手用鉄筋を前記開口補強型枠に結合することを特徴とする請求項1に記載の布基礎に点検用開口を形成する方法。
【請求項4】
前記コンクリートの打設後において、前記開口補強型枠における前記点検用開口の開口幅方向または開口高さ方向に相互に対向している対向面の間に、着脱可能な状態で、補強用架設材を架け渡すことを特徴とする請求項2または3に記載の布基礎に点検用開口を形成する方法。
【請求項5】
前記補強用架設材として、その長さを調整可能なものを取り付け、
この補強用架設材を前記開口補強型枠に取り付けた後に、その長さを調整して、当該補強用架設材を引張り状態あるいは圧縮状態に維持することを特徴とする請求項4に記載の布基礎に点検用開口を形成する方法。
【請求項6】
前記コンクリートの打設後において、前記点検用開口を封鎖する補強用封鎖板を、着脱可能な状態で前記開口補強型枠に取り付けることを特徴とする請求項2または3に記載の布基礎に点検用開口を形成する方法。
【請求項7】
前記点検用開口は前記布基礎の上端面に開口した矩形形状の開口であり、
前記開口補強用型枠は、布基礎の立ち上がり部の厚さに対応する幅の金属板をコの字状に折り曲げた形状のものであることを特徴とする請求項1ないし6のうちのいずれかの項に記載の布基礎に点検用開口を形成する方法。
【請求項8】
請求項1ないし7のうちのいずれかの項に記載の方法を用いて形成されたことを特徴とする布基礎。
【請求項9】
鉄筋コンクリート製の布基礎の立ち上がり部に形成された点検用開口に取り付けられる開口補強ユニットであって、
前記点検用開口の内周面に接するように取り付けられる開口補強枠と、当該開口補強枠を前記布基礎のコンクリートに埋設される鉄筋または接合部材に結合する結合部材と、前記開口補強枠における前記点検用開口の開口幅方向または開口高さ方向において相互に対向している対向面の間に架け渡される補強用架設材と、を備え、
前記補強用架設材は、前記対向面に着脱可能に取り付けられ、
前記補強用架設材が取り付けられた前記開口補強型枠は、当該点検用開口を形成したことに起因する前記布基礎の強度低下を補強可能な強度を有していることを特徴とする開口補強ユニット。
【請求項10】
前記補強用架設材における前記対向面の間の架け渡し長さを調整可能であることを特徴とする請求項9に記載の開口補強ユニット。
【請求項11】
前記補強用架設材は、ターンバックル、板材、棒材、のいずれかであることを特徴とする請求項9または10に記載の開口補強ユニット。
【請求項12】
前記開口補強枠は、前記布基礎の基礎型枠を組み立てる際に前記点検用開口の位置に取り付けられて当該点検用開口を形成するための型枠として用いられ、前記布基礎のコンクリートの打設後は前記布基礎から取り外されることなくそのまま残されることを特徴とする請求項9ないし11のうちのいずれかの項に記載の開口補強ユニット。
【請求項13】
前記開口補強枠における前記対向面の各々には、前記補強用架設材の各端部を取り付けるための取付部が、前記対向面が前記開口幅方向に対向している場合には、異なる高さ位置に少なくとも2個形成されており、前記対向面が前記開口高さ方向に対向している場合には、異なる幅方向位置に少なくとも2個形成されていることを特徴とする請求項9ないし12のうちのいずれかの項に記載の開口補強ユニット。
【請求項14】
前記開口補強枠における前記対向面にはそれぞれリブが形成されており、
当該リブに、前記取付部である複数個の取付孔が形成されていることを特徴とする請求項13に記載の開口補強ユニット。
【請求項15】
前記開口補強枠における前記対向面には、それぞれ当該対向面を貫通するようにインサートナットが取り付けられており、
各インサートナットの一方の端部には前記補強用架設材の各端部が螺合され、他方の端部には、前記結合部材の端部が螺合されていることを特徴とする請求項9ないし14のうちのいずれかの項に記載の開口補強ユニット。
【請求項16】
前記結合部材は重ね継手用の鉄筋であり、その一端が前記開口補強枠に接合されていることを特徴とする請求項9ないし15のうちのいずれかの項に記載の開口補強ユニット。
【請求項17】
前記点検用開口は、前記布基礎の上端面に開口している一定幅および深さの矩形の開口であり、
前記開口補強枠は、前記点検用開口の前記対向面および底面に接するコの字形状に折り曲げた一定幅のプレートであることを特徴とする請求項9ないし16のうちのいずれかの項に記載の開口補強ユニット。
【請求項18】
請求項9ないし17のうちのいずれかの項に記載の開口補強ユニットが点検用開口に取り付けられたことにより、当該点検用開口を形成したことに起因する強度低下が補強されていることを特徴とする布基礎。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−97249(P2009−97249A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270705(P2007−270705)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(595027985)
【出願人】(507343899)基礎サポート株式会社 (2)
【Fターム(参考)】