説明

帆立貝孔あけ機への帆立貝自動送り込み方法、帆立貝孔あけ機への帆立貝自動送り込み装置及び帆立貝自動送り込み装置付き帆立貝孔あけ装置

【課題】孔あけ機への帆立貝のセット作業の効率化を図り、帆立貝孔あけ機への帆立貝のセットから孔あけまでを自動化可能とする。
【解決手段】 帆立貝を手作業で又は自動で所定の向きに揃えて移送し、その向きで一個ずつ帆立貝孔あけ機のセット部に送り込む。ランダムな多数の帆立貝を一個ずつ所定の向きに揃えて移送して帆立貝孔あけ機のセット部に送り込む。帆立貝の耳を下にして耳の一枚部分を帆立貝孔あけ機のドリル側に向けて移送体に供給し、移送体でその向きで移送して帆立貝孔あけ機のセット部にセットする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は帆立貝に貝係止具を差し込むための孔をあける帆立貝孔あけ装置(機)に帆立貝を1個ずつ送り込む方法と、帆立貝を一個ずつ所定の向きに揃えて帆立貝孔あけ機に供給できるようにする帆立貝孔あけ機への帆立貝自動送り込み方法と、その装置と、帆立貝自動送り装置付き帆立貝孔あけ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
帆立貝を耳吊り養殖する場合、帆立貝の耳に養殖用の貝係止具を差込むための孔を開ける必要がある。その孔あけ機として、本件出願人の出願に係る孔あけ機がある(特許文献1)。この孔あけ機は、帆立貝の耳を下にして縦向きに立てた帆立貝を保持可能なセット部が無端チェーンに一定間隔で多数設けられ、セット部に挟持された帆立貝が所定位置まで搬送されると搬送方向先方に配置されているモータが帆立貝に向かって前進し、モータの先に装備されている回転中のドリル刃に前記帆立貝を押し付けて帆立貝の耳に孔をあけ、孔あけが終了するとモータが後退してドリル刃が帆立貝の孔から抜けるようにしてあり、前記帆立貝の搬送、モータの前進、ドリル刃への帆立貝の押し付け、モータの後退の繰り返しにより、連続搬送される帆立貝に1個ずつ順次孔をあけるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−154405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の孔あけ機には次の点の改善要求があった。
(1)孔あけ機のセット部への帆立貝のセット作業は、作業員が一個ずつ手作業で行わなければならないため、一台の機械に一人の作業員が拘束され作業性が悪い。
(2)セット部が狭いため連続走行しているセット部に帆立貝を所定の向きで一個ずつセットするためには熟練した技術・経験が必要であり、作業員の経験や能力によって帆立貝のセット数、孔あけ数に差がでる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明の解決課題は、ホタテ貝を前記セット部に自動的に供給でき、従来の孔あけ機を効率よく活用できるようにすることにある。
【0006】
本願発明の帆立貝孔あけ機への帆立貝自動送り込み方法は、帆立貝を手作業により所定の向きに揃えて供給し、帆立貝をその向きを保持して帆立貝孔あけ機側に移送して、帆立貝移送方向先方の帆立貝孔あけ機のセット部にその側方から一個ずつ自動的に送り込む方法である。
【0007】
本願発明の帆立貝孔あけ機への帆立貝自動送り込み方法は、ランダムに供給される帆立貝を所定の向きに自動的に揃え、帆立貝をその向きを保持して帆立貝孔あけ機側に移送して、帆立貝移送方向先方の帆立貝孔あけ機のセット部にその側方から一個ずつ自動的に送り込む方法とすることもできる。
【0008】
本願発明の帆立貝孔あけ機への帆立貝自動送り込み方法は、一定の向きで移送される帆立貝を帆立貝孔あけ機の手前で一時停止させ、帆立貝孔あけ機のセット部が帆立貝移送方向先方を通過するときに、帆立貝を移送再開させて前記セット部に自動的に送り込む方法とすることもできる。
【0009】
本願発明の帆立貝孔あけ機への帆立貝自動送り込み方法では、前記いずれの場合も、帆立貝の耳を下、帆立貝の耳の一枚部分を帆立貝孔あけ機の孔あけドリル側に向けて移送体に供給し、その向きで移送して、その向きで帆立貝孔あけ機のセット部に送り込むようにする。
【0010】
本願発明の帆立貝孔あけ機への帆立貝自動送り込み装置は、所定の向きで供給される帆立貝を移送する移送体と、移送体で移送される帆立貝を前記所定の向きに保持するガイドを備え、ガイドは移送体の移送方向に沿って移送体の上に配置され、前記帆立貝を一個ずつ前記向きで帆立貝孔あけ機のセット部にその側方から送り込み可能としたものである。
【0011】
本願発明の帆立貝孔あけ機への帆立貝自動送り込み装置は、前記移送体の手前に、ランダムに供給される多数の帆立貝を一個ずつ所定の向きに自動的に揃える整列部を設けることもできる。
【0012】
本願発明の帆立貝孔あけ機への帆立貝自動送り込み装置は、前記移送体を、帆立貝供給側と帆立貝送り込み側に配置された移送速度の異なるコンベアの組み合わせとすることができる。
【0013】
本願発明の帆立貝孔あけ機への帆立貝自動送り込み装置は、移送体で移送してきた帆立貝を帆立貝孔あけ機のセット部にその側方から送り込むときに、その送り込みと移送体の先方を移動する前記セット部とのタイミングをとる制御部を設けることもできる。この制御部は、移送体で搬送される帆立貝を検知する検知センサと、検知センサからの検知信号に基づいて移送体の移送速度を減速させるか移送体を停止させる速度調整機構と、減速させた移送体の速度を高速に切り替えるか停止させた移送体を再始動させて移送体上の帆立貝を帆立貝孔あけ機のセット部に送り込むタイミング機構を備えたものとすることができる。
【0014】
本願発明の帆立貝送り込み装置付き帆立貝自動孔あけ装置は、帆立貝に貝係止具差込み孔をあける帆立貝孔あけ機と、帆立貝孔あけ機のセット部に帆立貝を送り込む帆立貝自動送り込み装置を備え、帆立貝自動送り込み装置が請求項5乃至請求項9のいずれかに記載の帆立貝自動送り込み装置であり、帆立貝孔あけ機は無端回転体に装備された多数のセット部と孔あけドリルを備え、セット部にセットされた帆立貝は無端回転体の回転により孔あけドリル側に搬送されて孔あけされ、帆立貝自動送り込み装置は移送する帆立貝を前記セット部にその側方から送り込みできるように帆立貝孔あけ機の側方に配置されたものである。この装置では、送り込まれる帆立貝がセット部から飛び出すのを防止する飛び出し防止具をセット部近傍に設けることができる。
【発明の効果】
【0015】
本願発明の帆立貝孔あけ機への帆立貝自動送り込み方法は次のような効果がある。
(1)帆立貝を所定の向きで移送して、帆立貝孔あけ機のセット部にその側方から一個ずつ自動的に送り込むので、セット部に送り込まれる帆立貝は自動的に全て同じ向きに揃い、貝係止具差し込み孔を帆立貝の所定位置にあけることができる。
(2)ランダムに供給される帆立貝の向きを1個ずつ自動的に揃えて移送するので、帆立貝孔あけ機のセット部への帆立貝の供給作業が飛躍的に向上し、大幅な省力化が可能となる。
(3)移送される帆立貝を帆立貝孔あけ機の手前で一時停止させ、帆立貝孔あけ機のセット部が帆立貝移送方向先方を通過するときに帆立貝の移送を再開させて前記セット部に自動的に送り込むので、帆立貝をセット部に確実に送り込むことができる。
(4)帆立貝の耳を下、帆立貝の耳の一枚部分を帆立貝孔あけ機の孔あけドリル側に向けて移送体に供給し、その向きで移送して、その向きで帆立貝孔あけ機のセット部に送り込むので、帆立貝の耳の一枚部分に確実に孔をあけることができる。
【0016】
本願発明の帆立貝送り込み装置は次のような効果がある。
(1)帆立貝は移送体に供給するだけで自動的に帆立貝孔あけ機のセット部に送り込まれるため、これまでのように、走行中の狭いセット部へ一個ずつ手で入れる(セットする)必要がなく、未熟練者でも帆立貝の供給が可能となり、作業者の経験、能力によって作業能率、孔あけ精度などに差(品質のばらつき)が出ることもない。
(2)移送体で移送される帆立貝を前記所定の向きに保持するガイドを備え、ガイドは移送体の移送方向に沿って配置されているので、移送体に所定の向きで供給された帆立貝をその向きのまま移送してセット部に自動的に送り込むことができ、帆立貝の所定位置に孔をあけることができる。
(3)ランダムな多数の帆立貝を、パーツフィーダやターンテーブル等の自動整列装置で一個ずつ向きを揃えれば、セット部への帆立貝の供給から孔あけまでを全自動で行うことができるので、作業性の更なる向上が期待できる。
(4)移送体がコンベアの場合は、帆立貝を簡潔な構成で確実に移送することができる。
(5)保持ガイドが移送体の上にあるため、移送体の上に所定の向きで供給された帆立貝は、供給された向きが保持されて移送されてセット部に送り込まれるので、帆立貝の所定位置に孔あけができる。
(6)移送体を、帆立貝供給側と帆立貝送り込み側に配置された移送速度の異なるコンベアの組み合わせとした場合は、走行中のセット部への帆立貝送り込みのタイミングを取り易く、確実な送り込が可能となる。
(7)移送体で搬送される帆立貝を検知する検知センサと、検知センサからの検知信号に基づいて移送体の移送速度を減速させるか又は移送体を停止させる速度調整機構と、減速させた移送体の速度を高速に切り替え又は停止させた移送体を再始動させて移送体上の帆立貝を帆立貝孔あけ機のセット部に送り込む送り込み制御機構を備えるので、走行中のセット部への帆立貝の送り込みが確実になる。
【0017】
本願発明の帆立貝送り込み装置付き帆立貝孔あけ装置は次のような効果がある。
(1)帆立貝に貝係止具差込み孔をあける帆立貝孔あけ機と、前記いずれかの帆立貝自動送り込み装置を備えているので、帆立貝の送り込みから孔あけまで連続して行われ作業性が向上する。
(2)送り込まれる帆立貝がセット部から飛び出すのを防止する飛び出し防止具をセット部近傍に設けたので、帆立貝が確実にセット部に送り込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本願発明の帆立貝自動送り込み装置付き帆立貝孔あけ装置の一例を示す正面図。
【図2】本願発明の帆立貝自動送り込み装置付き帆立貝孔あけ装置の一例を示す平面図。
【図3】本願発明の帆立貝自動送り込み装置付き帆立貝孔あけ装置の他例を示す正面図。
【図4】本願発明の帆立貝自動送り込み装置付き帆立貝孔あけ装置の一例を示す左側面図。
【図5】図2のa−a断面図。
【図6】帆立貝の孔あけ箇所を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0019】
本願発明の帆立貝送り込み装置付き帆立貝自動孔あけ装置の第1の実施形態を図面に基づいていて説明する。この実施形態は図1に示すように、帆立貝孔あけ機3とそれに帆立貝を自動的に送り込む帆立貝自動送り込み装置2を備えている。
【0020】
(帆立貝孔あけ機への帆立貝送り込み装置の実施形態)
図1、2のように、帆立貝送り込み装置2は帆立貝Aを搬送するコンベア4と、コンベア4の上方にその長手方向に沿って設けられたガイド5と、コンベア4の終端部に帆立貝Aが移送されてきたことを検出する帆立貝認識センサ7(図2)と、帆立貝認識センサ7での検出情報に基づいて発信される信号に応じて、無端コンベア4の速度を緩行させるか又は停止させる速度調整機構7を備えたものである。
【0021】
前記帆立貝送り込み装置2は帆立貝Aを立てた状態(耳Bを下にした状態)で横方向(帆立貝孔あけ機3側)に搬送するためものである。帆立貝送り込み装置2は図1に示すように、支持脚8の上にフレーム9が取り付けられ、フレーム9の上にベルトコンベア式のコンベア4が回転可能に装備されている。このコンベア4はフレーム9の両端に回転自在に設けてある回転ローラ12の回転によりそれに巻回してあるベルト11が回転する。前記2つの回転ローラ12は駆動モータ例えばインダクションモータ13で回転駆動される。
【0022】
コンベア4の上に配置したガイド5は、コンベア4の上に手作業で供給された帆立貝Aを帆立貝孔あけ機3側に案内するためのものであり、コンベア4の長手方向(移送方向)に沿って設けられている。図1、2に示すガイド5はコンベア4の長手方向に横長の細長板5a(図2)を2枚対向配置して両横長板5aの間に帆立貝が移送される通路6(図2)をコンベアの長手方向に設けてある。この通路6は帆立貝Aの最も厚い中央部がほぼ垂直に立った状態で通行できる幅(両横長板5a間の間隔)にしてある。通路6は広すぎると通路6内に縦向きにして供給した帆立貝Aがいずれかの横長板5a側に倒れたり、横方向(走行方向)に転倒したりすることがあるため、帆立貝Aの表裏両面又は片面が両横長板5aに接触する程度の広さにしてある。通路6の幅は各種サイズの帆立貝Aに対応できるようにするため、両横長板5a間の間隔や通路6の内側や外側への傾斜角度を調節することのできるガイド調節機構を設けておくのが望ましい。
【0023】
前記フレーム9及びコンベア4は帆立貝孔あけ機3の側方にそれとほぼ直交する向きで配置されており、前記コンベア4の上に配置された前記ガイド5の軸線は図2に示すようにコンベア4に対してやや斜めに配置して、帆立貝孔あけ機3側をその搬送方向先方側に向けて多少斜めにしてある。このように斜めにすることにより、帆立貝孔あけ機3の搬送方向先方に走行中のセット部50に帆立貝Aを確実に送り込むことができるようにしてある。
【0024】
ガイド5は、作業者が帆立貝Aをガイド5の間に投入し易いように、作業者側の横長板5aの背が他方の横長板5bの背よりも低くなるようにしてある。
【0025】
前記帆立貝認識センサ7は、無端コンベア4の終端部に帆立貝Aが存在することを検出するためのものであり、両ガイド5の外側に夫々一つずつ設けられている。帆立貝認識センサ7は、図2に示すように、夫々がガイド5の内側を向くように対向して取り付けられており、ガイド5に設けられた長孔を通して帆立貝Aの有無を検出できるようにしてある。
【0026】
帆立貝認識センサ7(図2)は帆立貝Aがコンベア4の終端部まで移送されてきたか否かを検知するためのものであり、コンベア4の終端部に帆立貝Aが到来したことを検知すると、検知信号を前記速度調整機構の処理部に送信して、処理部によりコンベア駆動モータMの回転を止めてコンベア4の回転を一時停止できるようにしてある。帆立貝認識センサ7には既存の又は新規の光センサとか光検知方式以外の他の検知方式のセンサを使用することもできる。
【0027】
前記速度調整機構7は、無端コンベア4の走行開始、減速、走行停止等を行うものであり、帆立貝認識センサ7(図2)からの検知信号に基づいて次のような速度制御ができるようにしてある。コンベア4を一定速度(以下、「通常速度」という)で走行させ、帆立貝認識センサ7から帆立貝Aの検知信号を受けるとコンベア4を停止させ、それから所定時間(例えば、数秒)経過すると帆立貝孔あけ機3のセット部50に帆立貝Aを送り込むタイミングでコンベア4を再起動させ、帆立貝Aをセット部50に送り込んだ後はコンベア4を再び通常速度に戻し走行させる。
【0028】
(帆立貝自動送り込み装置付き帆立貝孔あけ装置の実施形態)
前記帆立貝孔あけ機3の一例として図3、4に示すものは、本件出願人の前記帆立貝孔あけ機(特開2008−154405号)であり、帆立貝Aの耳Bの横の一枚部分Dに差込孔Cをあけるためのものであり、無端搬送体40(図5)に帆立貝Aを一個ずつセット可能なセット部50(図5)が複数個設けられ、セット部50が無端搬送体40の回転により走行すると、セット部50にセットされた帆立貝Aが無端搬送体40の搬送方向先方に配置されているドリル20(図5)側に搬送されるようにしてある。ドリル20はモータM(図2)に装備されて回転可能である。モータMは無端搬送体40の搬送方向に前進・後退(往復移動)できるように配置されており、セット部50にセットされた帆立貝Aがドリル20側に搬送されるとモータM及びドリル20が前進して、帆立貝Aに差込孔Cをあけるようになっている。
【0029】
無端搬送体40はチェーンコンベアであり、それに取り付けられたセット部50は可動片52と固定片53が対向して一組を構成し、可動片52と固定片53の間に帆立貝Aをその耳Bを下にして縦向きに配置(セット)することができ、所定位置まで搬送されると可動片52が固定片53側に移動して両片52、53間に帆立貝Aが挟着固定されるようにしてある。無端搬送体40は搬送体ケース55内に収容されてその内部で回転するようにしてある。
【0030】
無端搬送体40の搬送体ケース55には、帆立貝自動送り込み装置2(図1、2)からセット部50に移された帆立貝Aがその搬送方向反対側に飛び出さないようにするための飛び出し規制片(以下、「規制片」という。)46(図2)が設けられている。図示した規制片46は平板であり、搬送体ケース55の上に横向きに固定されている。規制片46のうち帆立貝自動送り込み装置2のコンベア4に対向する対向面46a(図2)の横幅はセット部の可動片52と固定片53の間隔よりも広くして、帆立貝自動送り込み装置2からセット部50に送り込まれる帆立貝Aが対向面46aに突き当たると、帆立貝Aが確実にセット部50に収まるようにしてある、また、対向面46aはセット部50の走行方向手前側から同方向先方に向けて斜めになる斜面にしてあり、これによっても、帆立貝自動送り込み装置2からセット部50に送り込まれる帆立貝Aが対向面46aに突き当たると、帆立貝Aが走行中のセット部50内に確実に収まるようにしてある。規制片46は帆立貝自動送り込み装置2からセット部50に送り込まれる帆立貝Aがセット部50の外に飛び出したりセット部50に収容されても位置ずれしたりするのを防止するものであるため、それが達成できれば他の形状、構造とすることもできる。
【0031】
前記モータMは搬送体ケース55内に配置固定されているスライドレール68にセットされた移動体69(図5)に取り付けて吊り下げてある。モータMはインバータ駆動にして一分当たり30,000回転以上回転するようにしてある。モータMは回転数が自動的に高速回転と低速回転に切替わるものであり、帆立貝Aの搬送時は高速回転して無端搬送体40を高速移動させ、帆立貝Aへの孔あけ時は低速回転して無端搬送体40を低速移動させるようにしてある。
【0032】
前記無端搬送体40の走行速度は1分間に100枚の帆立貝に孔あけできる程度の速さにしてあり、低速移動速度は高速移動速度の約20%程度の速度にしてある。モータMの回転数は調整ボリュームによって設定される。
【0033】
(帆立貝自動送り込み装置付き帆立貝孔あけ装置の使用例)
本願発明の帆立貝自動送り込み装置付き孔あけ装置の使用例を図面に基づいて説明する。図1に示すように帆立貝用孔あけ機3の側方に配置されている帆立貝自動送り込み装置2のコンベア4の上のガイド5の通路6内に帆立貝Aを手作業で供給する。この場合、帆立貝Aの耳Bを下にし、さらに、耳Bの一枚部分D(図6)をドリル20(図5)側に向けて供給する。供給された帆立貝Aは前記コンベア4の回転により帆立貝孔あけ機2側に移送される。コンベア4の上で帆立貝Aが詰まるのを防止するため、帆立貝Aは前記供給時に一定間隔で一個ずつ供給する。一例としては帆立貝A1個分又は2個分或いは3個分程度のスペースを空けるのが好ましい。この場合、帆立貝供給位置を示す目印をガイド5などに間隔をあけて表示しておくと、供給間隔を確保し易くなる。
【0034】
コンベア4によって移送される帆立貝Aはコンベア4の終端部(出口側)で一旦停止して、帆立貝孔あけ機3のセット部50が終端部(出口側)の横に到来するのを待ち、横に到来したとき又はその直前にコンベア4での帆立貝Aの移送を再開してセット部50に送り込む。送り込まれる帆立貝Aは、規制片46の対向面に突き当たってセット部50内に確実に収容される。セット部50に送り込まれた帆立貝Aは帆立貝孔あけ機の無端搬送体40によってドリル20側に搬送され、帆立貝Aがドリル20に接近すると無端搬送体40が減速され、そのタイミングでドリル20が帆立貝A側に前進して、帆立貝Aの耳Bに差込孔Cを開口する。
【実施例2】
【0035】
本実施形態の帆立貝孔あけ装置への帆立貝自動送り込み装置3の構成は基本的には前記実施例1記載の帆立貝孔あけ装置への帆立貝自動送り込み装置3と同様である。異なるのはコンベア4の出口側に、そのコンベア4の回転速度と異なる回転速度の引継コンベア70を設けたことである。この引継コンベア70はコンベア4で移送されて来る帆立貝Aを引き継いで一旦停止させ、その後(例えば、数秒後)に回転を再開させるときに帆立貝Aが横に転倒しないようにするためのものであるため、その回転速度は、前記転倒を防止できる速度であれば前記コンベア4の回転速度よりも遅くても早くてもよいが、コンベア4の回転速度よりも早い方が、走行中の前記セット部50に送り込みやすい。例えば、引継コンベア70の回転速度はコンベア4の2倍程度とすることができる。引継コンベア70の駆動にはサーボモータを使用すると引継コンベア70を高速と低速とに切り替え駆動できるので、停止や走行再開のタイミングが取りやすい。前記引継コンベア70はコンベア4よりも短くしてある。
【0036】
引継コンベア70はコンベア4の同一軸線上に配置することも、その軸線に対して斜めになるように配置することもできる。このようにすることで、搬送される帆立貝Aが常に図2の一方の細長片5a(図2)方向に倒れて支持されるようにしてある。
【0037】
引継コンベア70の上にも、帆立貝Aを搬送方向に案内するためのガイド5を設けることができる。ガイド5はコンベア4のガイド5と一体のものであっても別体のものであってもよい。
【実施例3】
【0038】
前記実施形態1、2は帆立貝Aを手作業によりコンベア4の上に供給する半自動式であるが、本願発明では図2に示してあるように、帆立貝自動送り込み装置2の手前にパーツフィーダとかターンテーブル等の自動整列機80を配置して、それにランダムに供給される多数の帆立貝が自動的に一個ずつ所定の向きに揃えられて、前記帆立自動貝送り込み装置2に供給できるようにしてもよい。又、自動整列機80は帆立貝自動送り込み装置2の一部とすることもできる。
【0039】
以上説明した帆立貝自動送り込み装置付き帆立貝孔あけ機3は本願発明の実施形態の一例であり、本願発明の帆立貝自動送り込み装置も、帆立自動貝送り込み装置付き帆立貝孔あけ機3も他の機構や手段によって実現することもできる。
【符号の説明】
【0040】
2 帆立貝自動送り込み装置
3 帆立貝孔あけ機
4 コンベア
5 ガイド
5a、5b 横長板
6 通路
7 帆立貝認識センサ
8 支持脚
9 フレーム
13 インダクションモータ
20 ドリル
40 無端搬送体
46 規制片
46a 対向面
50 セット部
52 可動片
53 固定片
55 搬送体ケース
68 スライドレール
69 移動体
70 引継コンベア
80 自動整列機
A 帆立貝
B 耳
C 差込孔
D 一枚部分
M モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帆立貝を手作業により所定の向きに揃えて供給し、帆立貝をその向きを保持して帆立貝孔あけ機側に移送して、帆立貝移送方向先方の帆立貝孔あけ機のセット部にその側方から一個ずつ自動的に送り込むことを特徴とする帆立貝孔あけ機への帆立貝自動送り込み方法。
【請求項2】
ランダムに供給される帆立貝を所定の向きに自動的に揃え、帆立貝をその向きを保持して帆立貝孔あけ機側に移送して、帆立貝移送方向先方の帆立貝孔あけ機のセット部にその側方から一個ずつ自動的に送り込むことを特徴とする帆立貝孔あけ機への帆立貝自動送り込み方法。
【請求項3】
一定の向きで移送される帆立貝を帆立貝孔あけ機の手前で一時停止させ、帆立貝孔あけ機のセット部が帆立貝移送方向先方を通過するときに、帆立貝を移送再開させて前記セット部に自動的に送り込むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の帆立貝孔あけ機への帆立貝自動送り込み方法。
【請求項4】
帆立貝の耳を下、帆立貝の耳の一枚部分を帆立貝孔あけ機の孔あけドリル側に向けて移送体に供給し、その向きで移送して、その向きで帆立貝孔あけ機のセット部に送り込むことを特徴とする請求項1又は請求項3記載の帆立貝孔あけ機への帆立貝自動送り込み方法。
【請求項5】
所定の向きで供給される帆立貝を移送する移送体と、移送体で移送される帆立貝を前記所定の向きに保持するガイドを備え、ガイドは移送体の移送方向に沿って移送体の上に配置され、前記帆立貝を一個ずつ前記向きで帆立貝孔あけ機のセット部にその側方から送り込み可能であることを特徴とする帆立貝孔あけ機への帆立貝自動送り込み装置。
【請求項6】
帆立貝を所定の向きで移送する移送体の手前に、ランダムに供給される多数の帆立貝を一個ずつ所定の向きに自動的に揃える整列部を備えたことを特徴とする請求項5記載の帆立貝孔あけ機への帆立貝自動送り込み装置。
【請求項7】
移送体が帆立貝供給側と帆立貝送り込み側に配置された移送速度の異なるコンベアを備えることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の帆立貝孔あけ機への帆立貝自動送り込み装置。
【請求項8】
移送体で移送してきた帆立貝を帆立貝孔あけ機のセット部にその側方から送り込むときに、その送り込みと移送体の先方を移動する前記セット部とのタイミングをとる制御部を備えたことを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の帆立貝孔あけ機への帆立貝自動送り込み装置。
【請求項9】
制御部が移送体で搬送される帆立貝を検知する検知センサと、検知センサからの検知信号に基づいて移送体の移送速度を減速させるか移送体を停止させる速度調整機構と、減速させた移送体の速度を高速に切り替えるか停止させた移送体を再始動させて移送体上の帆立貝を帆立貝孔あけ機のセット部に送り込むタイミング機構を備えたことを特徴とする請求項8に記載の帆立貝孔あけ機への帆立貝自動送り込み装置。
【請求項10】
帆立貝に貝係止具差込み孔をあける帆立貝孔あけ機と、帆立貝孔あけ機のセット部に帆立貝を送り込む帆立貝自動送り込み装置を備え、帆立貝自動送り込み装置が請求項5乃至請求項9のいずれかに記載の帆立貝自動送り込み装置であり、帆立貝孔あけ機は無端回転体に装備された多数のセット部と孔あけドリルを備え、セット部にセットされた帆立貝は無端回転体の回転により孔あけドリル側に搬送されて孔あけされ、帆立貝自動送り込み装置は移送する帆立貝を前記セット部にその側方から送り込みできるように帆立貝孔あけ機の側方に配置されたことを特徴とする帆立貝自動送り込み装置付き帆立貝孔あけ装置。
【請求項11】
帆立貝孔あけ機のセット部の近傍に、セット部に送り込まれる帆立貝がセット部から飛び出すのを防止する飛び出し防止具を設けたことを特徴とする帆立貝自動送り込み装置付き帆立貝孔あけ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−259348(P2010−259348A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111446(P2009−111446)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(398000288)株式会社むつ家電特機 (17)
【Fターム(参考)】