希ガス蛍光ランプ
【課題】 コストアップを伴うことなく、管軸方向端部から放出される光の強度が管軸方向中央部から放出される光に比べて高くなるような配光特性を備える希ガス蛍光ランプを提供することを目的とする。
【解決手段】 発光管の内面に蛍光体層が形成されると共に希ガスが封入され、当該発光管の外周面に互いに離間して管軸方向に伸びる一対の電極が配置され、外部に光を放出するアパーチャー部を前記発光管の管軸方向に設けた希ガス蛍光ランプにおいて、前記アパーチャー部の管軸方向の両端部を除く箇所に、前記電極と独立に減光部を設けたことを特徴とする。
【解決手段】 発光管の内面に蛍光体層が形成されると共に希ガスが封入され、当該発光管の外周面に互いに離間して管軸方向に伸びる一対の電極が配置され、外部に光を放出するアパーチャー部を前記発光管の管軸方向に設けた希ガス蛍光ランプにおいて、前記アパーチャー部の管軸方向の両端部を除く箇所に、前記電極と独立に減光部を設けたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は希ガス蛍光ランプに関し、特に、ファクシミリ、イメージスキャナ、コピー機などのOA機器における原稿照射装置に適用される希ガス蛍光ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリ、イメージスキャナ、コピー機などのOA機器における原稿照射装置に適用される希ガス蛍光ランプとして、以下の図11、12に示されるように、発光管内に希ガスを封入すると共に、発光管の外表面上に一対の電極を所定の間隔で対向して配置した構成の希ガス蛍光ランプが普及している。
【0003】
図11は、従来の希ガス蛍光ランプを斜め上方から見た斜視図を示す。図12は、図11に示す希ガス蛍光ランプの径方向の断面図を示す。希ガス蛍光ランプLは、両端が封止され、管径が4〜12mmの直管型のガラスよりなる発光管Aと、発光管Aの内面に形成された蛍光体層Bと、発光管Aの外周面上に、発光管Aの管軸方向に沿って所定の間隔を保って対向するよう配置された一対の帯状の電極C、C´とから構成されており、発光管Aの内部空間には、例えばキセノンガスを主成分とする希ガスが封入されている。発光管Aの内部空間に封入されるガスは、キセノンガスの他にも、クリプトン、ネオン、ヘリウムを使用することもできるし、これらのガスを所定の割合で混合されている。
【0004】
希ガス蛍光ランプLは、電極C、C´に高周波電圧を印加することにより、発光管Aの内部空間においてキセノンガスの放電が生じることにより蛍光体層Bに向けて紫外光が放射され、蛍光体層Bによって変換された可視光が電極C、C´の間のアパーチャー部Dから放出される。この種の希ガス蛍光ランプLは、発光媒体として水銀を使用しないので、点灯後における光量の立ち上がりが急峻であることに加え、環境への負荷が小さいという利点がある。
【0005】
希ガス蛍光ランプからの放射光を原稿上に照射する原稿照射装置においては、管軸方向に均一な輝度分布を持つランプで原稿を照らしたとしても、原稿面中央部ではランプ両端部から来る光でも照らされるため明るくなるが、原稿面端部では原稿面中央側からの光しか来ないため、原稿面中央部に対して暗くなる。結果として、原稿面上では中央部で盛り上がったようなカマボコ形状の照度分布となる。
また、縮小光学系を用いて原稿イメージをイメージセンサに投影する場合、レンズ中心線からずれる角度が大きくなるに従いコサイン4乗則等により、イメージセンサ端部に入射する光が急激に減衰することが知られている。そのため、イメージセンサ上での照度分布をフラットにするためには、これらの減衰を考慮して、発光管の管軸方向端部(以下、単に端部という)から放出される光の強度が、管軸方向中央部(以下、単に中央部という)から放出される光に比べて高くなるような配光特性を有した希ガス蛍光ランプを使用することが必要とされている。
【0006】
ところが、従来の希ガス蛍光ランプにおいては、発光管の端部における光量を上げることは必ずしも容易ではなかったので、希ガス蛍光ランプと原稿面との間や、原稿面とイメージセンサと間の光路間にシェーディング補正板を挿入して、イメージセンサ上における照度分布がフラットになるようにしていた。これでは、希ガス蛍光ランプからの光を無駄にしているばかりか、コピー機等のOA機器にシェーディング板という余計な部材を増やすこととなり、コストアップの要因にもなる。
【0007】
【特許文献1】特開平9−120799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、コストアップを伴うことなく、管軸方向端部から放出される光の強度が管軸方向中央部から放出される光に比べて高くなるような配光特性を備える希ガス蛍光ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の希ガス蛍光ランプは、発光管の内面に蛍光体層が形成されると共に希ガスが封入され、当該発光管の外周面に互いに離間して管軸方向に伸びる一対の電極が配置され、外部に光を放出するアパーチャー部を前記発光管の管軸方向に設けた希ガス蛍光ランプにおいて、前記アパーチャー部の管軸方向の両端部を除く箇所に、前記電極と独立に減光部を設けたことを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の希ガス蛍光ランプは、前記減光部が、管軸方向中央部における透過率が管軸方向端部に比べて小さいことを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明の希ガス蛍光ランプは、前記減光部が、互いに離間する複数の斑点部によって形成され、管軸方向中央部において、前記アパーチャー部の単位面積に対し前記斑点部の占める面積の割合を管軸方向端部に比べて大きくしたことを特徴とする。
【0012】
さらに本発明の希ガス蛍光ランプは、発光管の内面に蛍光体層が形成されると共に希ガスが封入され、当該発光管の外周面に互いに離間して管軸方向に伸びる一対の電極が配置され、外部に光を放出するアパーチャー部を前記発光管の管軸方向に設けた希ガス蛍光ランプにおいて、前記アパーチャー部には、管軸方向中央部の透過率が管軸方向端部に比べて小さい減光部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の希ガス蛍光ランプの電極は、管軸方向において単位長さ当たりで区切った面積がどの位置で区切っても均等であり、かつ、管軸方向端部の幅を管軸方向中央部に比べて広くしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の希ガス蛍光ランプにおいては、アパーチャー部の管軸方向端部を除く箇所に、前記電極と独立に減光部が設けられているので、当該減光部を透過して放出される光の強度が、アパーチャー部の減光部が設けられていない箇所から放出される光に比べて低くなることにより、管軸方向中央部に比べて管軸方向端部から放出される光の強度を高くすることができる。従って、従来の希ガス蛍光ランプのようにシェーディング板という別部材を使用する必要がないのでコストを低く抑えることができると共に、管軸方向端部から放出される光の強度が管軸方向中央部から放出される光に比べて高くなるような配光特性を備える希ガス蛍光ランプを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の希ガス蛍光ランプを斜め上方から見た斜視図である。図2は、図1に示すA−A´線によって希ガス蛍光ランプを管軸直交方向に切断した断面図である。図3は、図1に示す希ガス蛍光ランプの展開図である。
【0016】
希ガス蛍光ランプ10は、断面が円形状のガラス管よりなる直管型の発光管1を備えている。発光管1の外表面には、帯状の一対の電極2,2´が、発光管1の管軸方向に伸びると共に、互いに離間して発光管1の周方向において対向するよう配設されている。発光管1の内表面には、径方向断面がC字状であり発光管1の管軸方向に伸びる蛍光体層3が、発光管1のほぼ全長に形成されている。
【0017】
発光管1は、透光性のガラス管よりなり、その材質としては例えばソーダ石灰ガラス、アルミノ珪酸ガラス、硼珪酸ガラス、バリウムガラスなどを挙げることができる。発光管1の内部には、放電用ガスとして、例えばキセノン、クリプトン、ネオン、ヘリウムなどのガスや、これらを所定の割合で混合したガスが封入されている。
【0018】
電極2,2´は、管軸方向において単位長さ当たりで区切った面積がどの位置で区切っても均等となるように形成されている。電極2,2´の材質は、導電性材料であれば特に制限されず、例えば、金、銀、ニッケル、カーボン、金パラジウム、銀パラジウム、白金などである。電極2,2´は、例えば、発光管1の外表面にテープ状の金属を貼り付ける方法、あるいは発光管1の外表面に上記の導電性材料をペースト状にしたものをスクリーン印刷する方法などによって形成されている。
【0019】
蛍光体層3においては、径方向に指向性を持たせるために、発光管1の内表面全域に塗布した蛍光体物質を管軸方向に一定巾で除去するか、あるいは蛍光体物質を発光管1の内表面の所定の部分だけに塗布することにより、発光管1の管軸方向に伸びるアパーチャー部4が設けられている。なお、蛍光体層3にアパーチャー部が形成されていることは必須ではなく、アパーチャー部を有しない蛍光体層を形成することもでき、この場合には、一対の電極2、2´の間がアパーチャー部となる。
【0020】
蛍光体層3は、希土類蛍光体やハロリン酸系の蛍光体などによって次のようにして形成されている。例えば、蛍光体層3は、発光管1内に上記の蛍光物質が分散されて含有される縣濁液を吸い上げる方法、スプレーによって吹き付ける方法、あるいは、流し込む方法などによって塗布した後に、蛍光体物質を焼成することにより形成されている。
【0021】
アパーチャー部4に対応する発光管1の外表面には、図1,3に示すように、互いに離間する複数の円形状の斑点部51を集合して形成することにより、管軸方向に伸びる減光部5が電極2,2´と独立に形成されている。減光部5は、アパーチャー部4の両端部を除いた中央部分に形成され、アパーチャー部4の全長をa、減光部5の全長をbとしたときに、両端部の光量を生かすために0.1≦b/a≦0.7の範囲で中央部に限定して形成されていることが好ましい。
【0022】
減光部5においては、各斑点部51A,51Bがそれぞれアパーチャー部4の中央および端部において等間隔で並んで形成され、アパーチャー部4の中央において隣接する各斑点部51A間の間隔Paが、アパーチャー部4の端部において隣接する各斑点部51B間の間隔Pbに比べて小さくなっている。すなわち、減光部5は、相対的に密に形成された各斑点部51Aよりなる中央部52Aと、相対的に疎に形成された各斑点部51Bよりなる端部52Bとを備えている。
【0023】
従って、減光部5においては、中央部52Aにおいて、アパーチャー部の管軸方向の単位面積に対し斑点部51が占める面積の割合が端部52B,52Bに比べて大きくなっており、中央部52Aにおける透過率が端部52Bに比べて小さくなっており、即ち、中央部52Aにおける減光割合が端部52Bに比べて大きくなっている。そのため、希ガス蛍光ランプにおいて、端部52Bから放出される光の強度が中央部52Aから放出される光に比べて高いという所望の配光形状をより確実に実現することができる。
【0024】
減光部5を構成する各斑点部51A,51Bは、アパーチャー部4の中心線に対して線対称に配置され、図3の紙面において、中心線の上方に位置する個数が中心線の下方に位置する個数に等しくなっていると共に、図3の紙面の上下及び左右方向において同一直線上に並ぶように形成されている。
【0025】
図1ないし3に示すように、減光部5を構成する各斑点部51A,51Bは、発光管1の外表面に形成されており、こうすることにより、希ガス蛍光ランプを容易に製造することができる。ただし、製造方法を工夫することにより、各斑点部51A,51Bを発光管1の内表面に形成することもできる。
【0026】
このような減光部5は、360nm〜830nmの可視光を減光させる機能を有するもので、例えば、金、銀、ニッケル、カーボン、金パラジウム、銀パラジウムおよび白金などの導電性材料や、Fe2O3、FeO、NiOおよびTiO2などの光吸収物質を含有したソーダ石灰ガラス、カリバリウムガラスおよび合成石英ガラスなどによって構成されている。また、減光部5は、上記の可視光を拡散させるために、シリカ粉体、硫酸バリウム、水酸化アルミニウムおよび酸化アルミニウム(アルミナ)などによって構成されていても良い。
【0027】
減光部5は、後述する図6又は図7に示す構成であって、かつ、Fe2O3、FeO、NiOおよびTiO2などの光吸収物質を含有したソーダ石灰ガラス、カリバリウムガラスおよび合成石英ガラス、または、シリカ粉体、硫酸バリウム、水酸化アルミニウムおよび酸化アルミニウム(アルミナ)などによって構成されている場合には、アパーチャー部4のほぼ全長にわたって形成することもできる。
【0028】
減光部5は、例えば以下のようにして作製することができる。
前述のように電極2、2´を形成するときにスクリーン印刷を用いることがあるが、同様の方法で減光部5に使用する材質をペースト状にした物を発光管1の外周面にスクリーン印刷する方法、または、減光部5に使用する材質をフィルム上に構成し、発光管1の外周面に転写するなどによって形成できる。
また、図3のような電極2、2´と減光部5を同時に含むパターンを使用し、発光管1の外表面に導電性材料をペースト状にしたものをスクリーン印刷すると、電極2、2´と減光部5を一度に成形することも出来る。
【0029】
上記のようにアパーチャー部4に減光部5を設けた本発明の希ガス蛍光ランプと、減光部を備えない比較例の希ガス蛍光ランプのそれぞれについて配光特性を測定した。測定は、次の希ガス蛍光ランプを使用して行った。
<本発明の希ガス蛍光ランプ>
・発光管(1):材質 バリウムガラス、管径φ9.8mm、全長368mm、内部にキセノンガスを主成分とする希ガスを常温において47kPaの圧力で封入
・電極(2):材質 銀、電極幅5mm、全長360mm
・アパーチャー部(4):幅6.4mm
・減光部(5):材質 銀、全長200mm、斑点部51A,51Bが直径0.7mmの円形状、Pa2mm、Pb4mm
・点灯条件:24V、25.2W
<比較例の希ガス蛍光ランプ>
上記の本発明の希ガス蛍光ランプと同様な仕様の希ガス蛍光ランプであって、減光部(5)がないものを使用した。
【0030】
図4は、本発明及び比較例の希ガス蛍光ランプの配光形状を示す図である。同図の横軸は希ガス蛍光ランプの管軸方向の位置、縦軸は希ガス蛍光ランプの端部の照度を100とした相対値である。図4(a)は比較例の希ガス蛍光ランプの配光形状、図4(b)は本発明の希ガス蛍光ランプの配光形状を示す。
図4から明らかなように、比較例の希ガス蛍光ランプの配光形状は、端部の照度が中央部と同等であり管軸方向においてフラットな形状であるのに対し、本発明の希ガス蛍光ランプの配光形状は、端部の照度が中央部に比べて大きくなっており所望の配光形状となっている。
【0031】
本発明の希ガス蛍光ランプにおいては、アパーチャー部4の両端部を除く箇所に減光部5が設けられているので、アパーチャー部4から放出される光が減光部5によって吸収あるいは拡散され、減光部5を透過した光の強度がアパーチャー部4の減光部5以外の箇所から放出される光に比べて相対的に低くなるために、端部の照度が中央部よりも高い配光形状を実現することができる。しかも、電極2,2´は、管軸方向において単位長さ当たりで区切った面積がどの位置で区切っても均等であるので、発光管1の管軸方向の温度分布が均一となる。従って、蛍光体層3の熱による発光効率の低下も軸方向に均一となるため、初期の配光形状を長期間にわたって維持することができる。
【0032】
図5〜7は、本発明の希ガス蛍光ランプの減光部に関する他の実施形態を示す。
【0033】
図5に示す減光部5は、互いに離間する複数の方形状の斑点部51を集合して形成することにより、アパーチャー部4の両端部を除いた箇所に管軸方向に形成されており、相対的に面積の大きい複数の斑点部51Aよりなる中央部52Aと、相対的に面積の小さい斑点部51Bよりなる端部52Bとを備えている。同図に示す減光部5をアパーチャー部4に設けることによっても、図4(b)に示す所望の配光形状を実現することができる。
【0034】
図6に示す減光部5は、所定のグラデーションパターンを、アパーチャー部4に対応する発光管1の外表面のほぼ全域に印刷することによって形成されている。グラデーションパターンは、減光部5の中央部52Aの透過率が端部52Bに比べて小さくなるように形成され、例えば次のようにして、アパーチャー部4に対応する発光管1の外表面に印刷される。
【0035】
すなわち、画像処理ソフトからなる画像生成手段によって所望のグラデーションパターンを生成し、この画像データに基いて、例えばインクジェット式プリンタまたはレーザプリンタなどのOA機器を用いて、フィルム状のシート上にグラデーションパターンが印刷される。グラデーションパターンが印刷されたシートを、アパーチャー部4に対応する発光管1の外表面に所定の手段で貼り付けることにより減光部5が形成される。
図6に示す減光部5をアパーチャー部4に設けることによっても、図4(b)に示す所望の配光形状を実現することができる。
【0036】
なお、減光部5は、図7に示すように、互いに離間する一対の台形部55,56により形成することもできる。すなわち、台形部55,56は、各々の短辺部55A,56Aの間に形成される非減光領域を挟んで対向して配置されると共に短辺部55A,55Bに連続して長辺部55B,56B方向へ伸びる斜辺部55C,56Cを備えている。
図7に示す減光部5をアパーチャー部4に設けることによっても、図4(b)に示す所望の配光形状を実現することができる。
【0037】
図8及び図9は、本発明の希ガス蛍光ランプの電極に関する他の実施形態を示す。
【0038】
電極2は、一方の側縁に、発光管の周方向に伸びる複数の襞状の凸部21が概ね等間隔で管軸方向に並んで形成される凸部群を備えているとともに、他方の側縁に直線部22を備えている。電極2の一方の側縁は、互いに隣接する複数の凸部21の各々と、隣接する凸部21同士をつなぐ短辺部24とが繰り返し連続することにより、凹凸状に形成されている。複数の凸部21の各々の全長(発光管の周方向)は、ランプ中央側に位置する幾つか(図1に示す例では、6個)で等しく、ランプ中央側からランプ端部側に位置するにつれて漸次長くなるように形成されている。これにより、電極2は、発光管2の周方向における幅が非一様となり、複数の凸部21の各々の頂点21aを結んで形成される包絡線Kが、電極中心軸Tに近接する方向に湾曲することにより電極中心軸Tに向けて凸状に伸びる構成となっている。
【0039】
換言すると、本発明に係る電極2は、複数の凸部21の各々の頂点21aを結んだ包絡線Kと直線部22とで挟まれる領域を電極配設領域としたとき、ランプ中央部に比べランプ端部の電極配設領域が大きい構成となっている。従って、発光管2の外表面においては、上記したように、ランプ中央部に比べランプ端部の電極配設領域が大きいので、一方の電極2と他方の電極2´との間の離間距離がランプ中央部に比べランプ端部において狭くなっている。
【0040】
なお、図8に示す電極においては、発光管の周方向における電極の幅について以下のように定義する。凸部21が存在しない箇所では、直線部22と短辺部24とを結ぶ最短直線の長さが発光管の周方向における電極の幅であり、凸部21が存在する箇所では、直線部22と凸部21の頂点21aとを結ぶ最短直線の長さが発光管の周方向における電極の幅である。また、発光管の周方向における全長が最大となる凸部21の頂点21aと直線部22とを結ぶ最短直線の中点を通過すると共に直線部22に平行となるよう引いた直線を、電極中心軸Tとする。
【0041】
また、図8に示す電極においては、電極2の凸部21の各々に対して同一円周上に位置するよう形成された複数の開口23の各々が、同一円周上に位置する凸部21の各々の面積に等しい開口面積を有している。また、複数の開口23の各々は、同一円周上に位置する各々の凸部21の頂点21aから最も遠方に位置する開口縁23aの各々を結んで形成される包絡線K´が、電極中心軸Tに近接する方向に湾曲することにより電極中心軸Tに向けて凸状に伸びるよう形成されている。
【0042】
図9の斜線部分で示されるように、本発明に係る電極2においては、上記のようにして同一円周上に位置する複数の凸部21の各々と等しい開口面積を有する複数の開口23の各々が形成されているので、発光管1の管軸方向において単位長さあたりで区切った電極の面積がどの位置で区切っても均等である。
【0043】
図10は、比較例及び図8に示す電極を備える本発明の希ガス蛍光ランプのそれぞれについて、電極に高周波電圧を印加した際に発光管内の空間に形成される陽光柱の形状を概念的に示す。なお、説明を簡略にするため、減光部5は省略している。
図10(a)は比較例の希ガス蛍光ランプの周方向における展開図であり、図10(b)は、比較例の希ガス蛍光ランプを管軸方向の端部において径方向に切断した断面図である。図10(a´)は、本発明の希ガス蛍光ランプの周方向における展開図であり、図10(b´)は、本発明の希ガス蛍光ランプを管軸方向の端部において径方向に切断した断面図である。
【0044】
図10(a)に示す比較例の希ガス蛍光ランプによれば、ランプ端部において発光管周方向における電極同士間の離間距離が長いため、図10(b)に示されるように発光管の中央側付近にしか陽光柱が形成されない。それに対し、図10(a´)に示す本発明の希ガス蛍光ランプによれば、図10(b´)に示すように、ランプ端部において発光管周方向における電極同士間の離間距離が短くなるので、発光管内に満遍なく陽光柱が形成され、蛍光体層に接近する陽光柱の割合が増える。結果として、陽光柱によって励起される蛍光体層の割合が大きくなるものと考えられる。
【0045】
従って、本発明の希ガス蛍光ランプにおいては、電極間の発光管周方向における離間距離が中央部に比べ端部が狭い構成を備えるため、発光管1内の空間で図10(b´)に示されるような現象が生じ、これにより、電極の面積が管軸方向で一様であるにも係らず、発光管1の端部から放出される光の強度が発光管1の中央部から放出される光に比べて高い、図4(b)に示す配光形状が得られるものと考えられる。
【0046】
しかも、図8に示す電極を備える希ガス蛍光ランプにおいて、アパーチャー部4に減光部5を形成することにより、上記した電極自体の構成により発光管1の端部から放出される光の強度が発光管1の中央部から放出される光に比べて強くなることに加え、減光部5によって発光管1中央部から放出される光が減光されるため、より理想的な配光形状を実現することができると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の希ガス蛍光ランプを斜め上方から見た斜視図である。
【図2】図1に示すA−A´線によって希ガス蛍光ランプを管軸直交方向に切断した断面図である。
【図3】図1に示す希ガス蛍光ランプの展開図である。
【図4】本発明及び比較例の希ガス蛍光ランプの配光形状を示す図である。
【図5】本発明の希ガス蛍光ランプの減光部に関する他の実施形態を示す。
【図6】本発明の希ガス蛍光ランプの減光部に関する他の実施形態を示す。
【図7】本発明の希ガス蛍光ランプの減光部に関する他の実施形態を示す。
【図8】本発明の希ガス蛍光ランプの電極に関する他の実施形態を示す。
【図9】本発明の希ガス蛍光ランプの電極に関する他の実施形態を示す。
【図10】比較例及び本発明の希ガス蛍光ランプのそれぞれについて、電極に高周波電圧を印加した際に発光管内の空間に形成される陽光柱の形状を概念的に示す。
【図11】従来の希ガス蛍光ランプを電極側から斜め上方から見た斜視図を示す。
【図12】図11に示す希ガス蛍光ランプの径方向の断面図を示す。
【符号の説明】
【0048】
10 希ガス蛍光ランプ
1 発光管
2,2´ 電極
3 蛍光体層
4 アパーチャー部
5 減光部
51 斑点部
52A 中央部
52B 端部
55,56 台形部
21 凸部
22 直線部
23 開口
24 短辺部
【技術分野】
【0001】
この発明は希ガス蛍光ランプに関し、特に、ファクシミリ、イメージスキャナ、コピー機などのOA機器における原稿照射装置に適用される希ガス蛍光ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリ、イメージスキャナ、コピー機などのOA機器における原稿照射装置に適用される希ガス蛍光ランプとして、以下の図11、12に示されるように、発光管内に希ガスを封入すると共に、発光管の外表面上に一対の電極を所定の間隔で対向して配置した構成の希ガス蛍光ランプが普及している。
【0003】
図11は、従来の希ガス蛍光ランプを斜め上方から見た斜視図を示す。図12は、図11に示す希ガス蛍光ランプの径方向の断面図を示す。希ガス蛍光ランプLは、両端が封止され、管径が4〜12mmの直管型のガラスよりなる発光管Aと、発光管Aの内面に形成された蛍光体層Bと、発光管Aの外周面上に、発光管Aの管軸方向に沿って所定の間隔を保って対向するよう配置された一対の帯状の電極C、C´とから構成されており、発光管Aの内部空間には、例えばキセノンガスを主成分とする希ガスが封入されている。発光管Aの内部空間に封入されるガスは、キセノンガスの他にも、クリプトン、ネオン、ヘリウムを使用することもできるし、これらのガスを所定の割合で混合されている。
【0004】
希ガス蛍光ランプLは、電極C、C´に高周波電圧を印加することにより、発光管Aの内部空間においてキセノンガスの放電が生じることにより蛍光体層Bに向けて紫外光が放射され、蛍光体層Bによって変換された可視光が電極C、C´の間のアパーチャー部Dから放出される。この種の希ガス蛍光ランプLは、発光媒体として水銀を使用しないので、点灯後における光量の立ち上がりが急峻であることに加え、環境への負荷が小さいという利点がある。
【0005】
希ガス蛍光ランプからの放射光を原稿上に照射する原稿照射装置においては、管軸方向に均一な輝度分布を持つランプで原稿を照らしたとしても、原稿面中央部ではランプ両端部から来る光でも照らされるため明るくなるが、原稿面端部では原稿面中央側からの光しか来ないため、原稿面中央部に対して暗くなる。結果として、原稿面上では中央部で盛り上がったようなカマボコ形状の照度分布となる。
また、縮小光学系を用いて原稿イメージをイメージセンサに投影する場合、レンズ中心線からずれる角度が大きくなるに従いコサイン4乗則等により、イメージセンサ端部に入射する光が急激に減衰することが知られている。そのため、イメージセンサ上での照度分布をフラットにするためには、これらの減衰を考慮して、発光管の管軸方向端部(以下、単に端部という)から放出される光の強度が、管軸方向中央部(以下、単に中央部という)から放出される光に比べて高くなるような配光特性を有した希ガス蛍光ランプを使用することが必要とされている。
【0006】
ところが、従来の希ガス蛍光ランプにおいては、発光管の端部における光量を上げることは必ずしも容易ではなかったので、希ガス蛍光ランプと原稿面との間や、原稿面とイメージセンサと間の光路間にシェーディング補正板を挿入して、イメージセンサ上における照度分布がフラットになるようにしていた。これでは、希ガス蛍光ランプからの光を無駄にしているばかりか、コピー機等のOA機器にシェーディング板という余計な部材を増やすこととなり、コストアップの要因にもなる。
【0007】
【特許文献1】特開平9−120799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、コストアップを伴うことなく、管軸方向端部から放出される光の強度が管軸方向中央部から放出される光に比べて高くなるような配光特性を備える希ガス蛍光ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の希ガス蛍光ランプは、発光管の内面に蛍光体層が形成されると共に希ガスが封入され、当該発光管の外周面に互いに離間して管軸方向に伸びる一対の電極が配置され、外部に光を放出するアパーチャー部を前記発光管の管軸方向に設けた希ガス蛍光ランプにおいて、前記アパーチャー部の管軸方向の両端部を除く箇所に、前記電極と独立に減光部を設けたことを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の希ガス蛍光ランプは、前記減光部が、管軸方向中央部における透過率が管軸方向端部に比べて小さいことを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明の希ガス蛍光ランプは、前記減光部が、互いに離間する複数の斑点部によって形成され、管軸方向中央部において、前記アパーチャー部の単位面積に対し前記斑点部の占める面積の割合を管軸方向端部に比べて大きくしたことを特徴とする。
【0012】
さらに本発明の希ガス蛍光ランプは、発光管の内面に蛍光体層が形成されると共に希ガスが封入され、当該発光管の外周面に互いに離間して管軸方向に伸びる一対の電極が配置され、外部に光を放出するアパーチャー部を前記発光管の管軸方向に設けた希ガス蛍光ランプにおいて、前記アパーチャー部には、管軸方向中央部の透過率が管軸方向端部に比べて小さい減光部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の希ガス蛍光ランプの電極は、管軸方向において単位長さ当たりで区切った面積がどの位置で区切っても均等であり、かつ、管軸方向端部の幅を管軸方向中央部に比べて広くしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の希ガス蛍光ランプにおいては、アパーチャー部の管軸方向端部を除く箇所に、前記電極と独立に減光部が設けられているので、当該減光部を透過して放出される光の強度が、アパーチャー部の減光部が設けられていない箇所から放出される光に比べて低くなることにより、管軸方向中央部に比べて管軸方向端部から放出される光の強度を高くすることができる。従って、従来の希ガス蛍光ランプのようにシェーディング板という別部材を使用する必要がないのでコストを低く抑えることができると共に、管軸方向端部から放出される光の強度が管軸方向中央部から放出される光に比べて高くなるような配光特性を備える希ガス蛍光ランプを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の希ガス蛍光ランプを斜め上方から見た斜視図である。図2は、図1に示すA−A´線によって希ガス蛍光ランプを管軸直交方向に切断した断面図である。図3は、図1に示す希ガス蛍光ランプの展開図である。
【0016】
希ガス蛍光ランプ10は、断面が円形状のガラス管よりなる直管型の発光管1を備えている。発光管1の外表面には、帯状の一対の電極2,2´が、発光管1の管軸方向に伸びると共に、互いに離間して発光管1の周方向において対向するよう配設されている。発光管1の内表面には、径方向断面がC字状であり発光管1の管軸方向に伸びる蛍光体層3が、発光管1のほぼ全長に形成されている。
【0017】
発光管1は、透光性のガラス管よりなり、その材質としては例えばソーダ石灰ガラス、アルミノ珪酸ガラス、硼珪酸ガラス、バリウムガラスなどを挙げることができる。発光管1の内部には、放電用ガスとして、例えばキセノン、クリプトン、ネオン、ヘリウムなどのガスや、これらを所定の割合で混合したガスが封入されている。
【0018】
電極2,2´は、管軸方向において単位長さ当たりで区切った面積がどの位置で区切っても均等となるように形成されている。電極2,2´の材質は、導電性材料であれば特に制限されず、例えば、金、銀、ニッケル、カーボン、金パラジウム、銀パラジウム、白金などである。電極2,2´は、例えば、発光管1の外表面にテープ状の金属を貼り付ける方法、あるいは発光管1の外表面に上記の導電性材料をペースト状にしたものをスクリーン印刷する方法などによって形成されている。
【0019】
蛍光体層3においては、径方向に指向性を持たせるために、発光管1の内表面全域に塗布した蛍光体物質を管軸方向に一定巾で除去するか、あるいは蛍光体物質を発光管1の内表面の所定の部分だけに塗布することにより、発光管1の管軸方向に伸びるアパーチャー部4が設けられている。なお、蛍光体層3にアパーチャー部が形成されていることは必須ではなく、アパーチャー部を有しない蛍光体層を形成することもでき、この場合には、一対の電極2、2´の間がアパーチャー部となる。
【0020】
蛍光体層3は、希土類蛍光体やハロリン酸系の蛍光体などによって次のようにして形成されている。例えば、蛍光体層3は、発光管1内に上記の蛍光物質が分散されて含有される縣濁液を吸い上げる方法、スプレーによって吹き付ける方法、あるいは、流し込む方法などによって塗布した後に、蛍光体物質を焼成することにより形成されている。
【0021】
アパーチャー部4に対応する発光管1の外表面には、図1,3に示すように、互いに離間する複数の円形状の斑点部51を集合して形成することにより、管軸方向に伸びる減光部5が電極2,2´と独立に形成されている。減光部5は、アパーチャー部4の両端部を除いた中央部分に形成され、アパーチャー部4の全長をa、減光部5の全長をbとしたときに、両端部の光量を生かすために0.1≦b/a≦0.7の範囲で中央部に限定して形成されていることが好ましい。
【0022】
減光部5においては、各斑点部51A,51Bがそれぞれアパーチャー部4の中央および端部において等間隔で並んで形成され、アパーチャー部4の中央において隣接する各斑点部51A間の間隔Paが、アパーチャー部4の端部において隣接する各斑点部51B間の間隔Pbに比べて小さくなっている。すなわち、減光部5は、相対的に密に形成された各斑点部51Aよりなる中央部52Aと、相対的に疎に形成された各斑点部51Bよりなる端部52Bとを備えている。
【0023】
従って、減光部5においては、中央部52Aにおいて、アパーチャー部の管軸方向の単位面積に対し斑点部51が占める面積の割合が端部52B,52Bに比べて大きくなっており、中央部52Aにおける透過率が端部52Bに比べて小さくなっており、即ち、中央部52Aにおける減光割合が端部52Bに比べて大きくなっている。そのため、希ガス蛍光ランプにおいて、端部52Bから放出される光の強度が中央部52Aから放出される光に比べて高いという所望の配光形状をより確実に実現することができる。
【0024】
減光部5を構成する各斑点部51A,51Bは、アパーチャー部4の中心線に対して線対称に配置され、図3の紙面において、中心線の上方に位置する個数が中心線の下方に位置する個数に等しくなっていると共に、図3の紙面の上下及び左右方向において同一直線上に並ぶように形成されている。
【0025】
図1ないし3に示すように、減光部5を構成する各斑点部51A,51Bは、発光管1の外表面に形成されており、こうすることにより、希ガス蛍光ランプを容易に製造することができる。ただし、製造方法を工夫することにより、各斑点部51A,51Bを発光管1の内表面に形成することもできる。
【0026】
このような減光部5は、360nm〜830nmの可視光を減光させる機能を有するもので、例えば、金、銀、ニッケル、カーボン、金パラジウム、銀パラジウムおよび白金などの導電性材料や、Fe2O3、FeO、NiOおよびTiO2などの光吸収物質を含有したソーダ石灰ガラス、カリバリウムガラスおよび合成石英ガラスなどによって構成されている。また、減光部5は、上記の可視光を拡散させるために、シリカ粉体、硫酸バリウム、水酸化アルミニウムおよび酸化アルミニウム(アルミナ)などによって構成されていても良い。
【0027】
減光部5は、後述する図6又は図7に示す構成であって、かつ、Fe2O3、FeO、NiOおよびTiO2などの光吸収物質を含有したソーダ石灰ガラス、カリバリウムガラスおよび合成石英ガラス、または、シリカ粉体、硫酸バリウム、水酸化アルミニウムおよび酸化アルミニウム(アルミナ)などによって構成されている場合には、アパーチャー部4のほぼ全長にわたって形成することもできる。
【0028】
減光部5は、例えば以下のようにして作製することができる。
前述のように電極2、2´を形成するときにスクリーン印刷を用いることがあるが、同様の方法で減光部5に使用する材質をペースト状にした物を発光管1の外周面にスクリーン印刷する方法、または、減光部5に使用する材質をフィルム上に構成し、発光管1の外周面に転写するなどによって形成できる。
また、図3のような電極2、2´と減光部5を同時に含むパターンを使用し、発光管1の外表面に導電性材料をペースト状にしたものをスクリーン印刷すると、電極2、2´と減光部5を一度に成形することも出来る。
【0029】
上記のようにアパーチャー部4に減光部5を設けた本発明の希ガス蛍光ランプと、減光部を備えない比較例の希ガス蛍光ランプのそれぞれについて配光特性を測定した。測定は、次の希ガス蛍光ランプを使用して行った。
<本発明の希ガス蛍光ランプ>
・発光管(1):材質 バリウムガラス、管径φ9.8mm、全長368mm、内部にキセノンガスを主成分とする希ガスを常温において47kPaの圧力で封入
・電極(2):材質 銀、電極幅5mm、全長360mm
・アパーチャー部(4):幅6.4mm
・減光部(5):材質 銀、全長200mm、斑点部51A,51Bが直径0.7mmの円形状、Pa2mm、Pb4mm
・点灯条件:24V、25.2W
<比較例の希ガス蛍光ランプ>
上記の本発明の希ガス蛍光ランプと同様な仕様の希ガス蛍光ランプであって、減光部(5)がないものを使用した。
【0030】
図4は、本発明及び比較例の希ガス蛍光ランプの配光形状を示す図である。同図の横軸は希ガス蛍光ランプの管軸方向の位置、縦軸は希ガス蛍光ランプの端部の照度を100とした相対値である。図4(a)は比較例の希ガス蛍光ランプの配光形状、図4(b)は本発明の希ガス蛍光ランプの配光形状を示す。
図4から明らかなように、比較例の希ガス蛍光ランプの配光形状は、端部の照度が中央部と同等であり管軸方向においてフラットな形状であるのに対し、本発明の希ガス蛍光ランプの配光形状は、端部の照度が中央部に比べて大きくなっており所望の配光形状となっている。
【0031】
本発明の希ガス蛍光ランプにおいては、アパーチャー部4の両端部を除く箇所に減光部5が設けられているので、アパーチャー部4から放出される光が減光部5によって吸収あるいは拡散され、減光部5を透過した光の強度がアパーチャー部4の減光部5以外の箇所から放出される光に比べて相対的に低くなるために、端部の照度が中央部よりも高い配光形状を実現することができる。しかも、電極2,2´は、管軸方向において単位長さ当たりで区切った面積がどの位置で区切っても均等であるので、発光管1の管軸方向の温度分布が均一となる。従って、蛍光体層3の熱による発光効率の低下も軸方向に均一となるため、初期の配光形状を長期間にわたって維持することができる。
【0032】
図5〜7は、本発明の希ガス蛍光ランプの減光部に関する他の実施形態を示す。
【0033】
図5に示す減光部5は、互いに離間する複数の方形状の斑点部51を集合して形成することにより、アパーチャー部4の両端部を除いた箇所に管軸方向に形成されており、相対的に面積の大きい複数の斑点部51Aよりなる中央部52Aと、相対的に面積の小さい斑点部51Bよりなる端部52Bとを備えている。同図に示す減光部5をアパーチャー部4に設けることによっても、図4(b)に示す所望の配光形状を実現することができる。
【0034】
図6に示す減光部5は、所定のグラデーションパターンを、アパーチャー部4に対応する発光管1の外表面のほぼ全域に印刷することによって形成されている。グラデーションパターンは、減光部5の中央部52Aの透過率が端部52Bに比べて小さくなるように形成され、例えば次のようにして、アパーチャー部4に対応する発光管1の外表面に印刷される。
【0035】
すなわち、画像処理ソフトからなる画像生成手段によって所望のグラデーションパターンを生成し、この画像データに基いて、例えばインクジェット式プリンタまたはレーザプリンタなどのOA機器を用いて、フィルム状のシート上にグラデーションパターンが印刷される。グラデーションパターンが印刷されたシートを、アパーチャー部4に対応する発光管1の外表面に所定の手段で貼り付けることにより減光部5が形成される。
図6に示す減光部5をアパーチャー部4に設けることによっても、図4(b)に示す所望の配光形状を実現することができる。
【0036】
なお、減光部5は、図7に示すように、互いに離間する一対の台形部55,56により形成することもできる。すなわち、台形部55,56は、各々の短辺部55A,56Aの間に形成される非減光領域を挟んで対向して配置されると共に短辺部55A,55Bに連続して長辺部55B,56B方向へ伸びる斜辺部55C,56Cを備えている。
図7に示す減光部5をアパーチャー部4に設けることによっても、図4(b)に示す所望の配光形状を実現することができる。
【0037】
図8及び図9は、本発明の希ガス蛍光ランプの電極に関する他の実施形態を示す。
【0038】
電極2は、一方の側縁に、発光管の周方向に伸びる複数の襞状の凸部21が概ね等間隔で管軸方向に並んで形成される凸部群を備えているとともに、他方の側縁に直線部22を備えている。電極2の一方の側縁は、互いに隣接する複数の凸部21の各々と、隣接する凸部21同士をつなぐ短辺部24とが繰り返し連続することにより、凹凸状に形成されている。複数の凸部21の各々の全長(発光管の周方向)は、ランプ中央側に位置する幾つか(図1に示す例では、6個)で等しく、ランプ中央側からランプ端部側に位置するにつれて漸次長くなるように形成されている。これにより、電極2は、発光管2の周方向における幅が非一様となり、複数の凸部21の各々の頂点21aを結んで形成される包絡線Kが、電極中心軸Tに近接する方向に湾曲することにより電極中心軸Tに向けて凸状に伸びる構成となっている。
【0039】
換言すると、本発明に係る電極2は、複数の凸部21の各々の頂点21aを結んだ包絡線Kと直線部22とで挟まれる領域を電極配設領域としたとき、ランプ中央部に比べランプ端部の電極配設領域が大きい構成となっている。従って、発光管2の外表面においては、上記したように、ランプ中央部に比べランプ端部の電極配設領域が大きいので、一方の電極2と他方の電極2´との間の離間距離がランプ中央部に比べランプ端部において狭くなっている。
【0040】
なお、図8に示す電極においては、発光管の周方向における電極の幅について以下のように定義する。凸部21が存在しない箇所では、直線部22と短辺部24とを結ぶ最短直線の長さが発光管の周方向における電極の幅であり、凸部21が存在する箇所では、直線部22と凸部21の頂点21aとを結ぶ最短直線の長さが発光管の周方向における電極の幅である。また、発光管の周方向における全長が最大となる凸部21の頂点21aと直線部22とを結ぶ最短直線の中点を通過すると共に直線部22に平行となるよう引いた直線を、電極中心軸Tとする。
【0041】
また、図8に示す電極においては、電極2の凸部21の各々に対して同一円周上に位置するよう形成された複数の開口23の各々が、同一円周上に位置する凸部21の各々の面積に等しい開口面積を有している。また、複数の開口23の各々は、同一円周上に位置する各々の凸部21の頂点21aから最も遠方に位置する開口縁23aの各々を結んで形成される包絡線K´が、電極中心軸Tに近接する方向に湾曲することにより電極中心軸Tに向けて凸状に伸びるよう形成されている。
【0042】
図9の斜線部分で示されるように、本発明に係る電極2においては、上記のようにして同一円周上に位置する複数の凸部21の各々と等しい開口面積を有する複数の開口23の各々が形成されているので、発光管1の管軸方向において単位長さあたりで区切った電極の面積がどの位置で区切っても均等である。
【0043】
図10は、比較例及び図8に示す電極を備える本発明の希ガス蛍光ランプのそれぞれについて、電極に高周波電圧を印加した際に発光管内の空間に形成される陽光柱の形状を概念的に示す。なお、説明を簡略にするため、減光部5は省略している。
図10(a)は比較例の希ガス蛍光ランプの周方向における展開図であり、図10(b)は、比較例の希ガス蛍光ランプを管軸方向の端部において径方向に切断した断面図である。図10(a´)は、本発明の希ガス蛍光ランプの周方向における展開図であり、図10(b´)は、本発明の希ガス蛍光ランプを管軸方向の端部において径方向に切断した断面図である。
【0044】
図10(a)に示す比較例の希ガス蛍光ランプによれば、ランプ端部において発光管周方向における電極同士間の離間距離が長いため、図10(b)に示されるように発光管の中央側付近にしか陽光柱が形成されない。それに対し、図10(a´)に示す本発明の希ガス蛍光ランプによれば、図10(b´)に示すように、ランプ端部において発光管周方向における電極同士間の離間距離が短くなるので、発光管内に満遍なく陽光柱が形成され、蛍光体層に接近する陽光柱の割合が増える。結果として、陽光柱によって励起される蛍光体層の割合が大きくなるものと考えられる。
【0045】
従って、本発明の希ガス蛍光ランプにおいては、電極間の発光管周方向における離間距離が中央部に比べ端部が狭い構成を備えるため、発光管1内の空間で図10(b´)に示されるような現象が生じ、これにより、電極の面積が管軸方向で一様であるにも係らず、発光管1の端部から放出される光の強度が発光管1の中央部から放出される光に比べて高い、図4(b)に示す配光形状が得られるものと考えられる。
【0046】
しかも、図8に示す電極を備える希ガス蛍光ランプにおいて、アパーチャー部4に減光部5を形成することにより、上記した電極自体の構成により発光管1の端部から放出される光の強度が発光管1の中央部から放出される光に比べて強くなることに加え、減光部5によって発光管1中央部から放出される光が減光されるため、より理想的な配光形状を実現することができると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の希ガス蛍光ランプを斜め上方から見た斜視図である。
【図2】図1に示すA−A´線によって希ガス蛍光ランプを管軸直交方向に切断した断面図である。
【図3】図1に示す希ガス蛍光ランプの展開図である。
【図4】本発明及び比較例の希ガス蛍光ランプの配光形状を示す図である。
【図5】本発明の希ガス蛍光ランプの減光部に関する他の実施形態を示す。
【図6】本発明の希ガス蛍光ランプの減光部に関する他の実施形態を示す。
【図7】本発明の希ガス蛍光ランプの減光部に関する他の実施形態を示す。
【図8】本発明の希ガス蛍光ランプの電極に関する他の実施形態を示す。
【図9】本発明の希ガス蛍光ランプの電極に関する他の実施形態を示す。
【図10】比較例及び本発明の希ガス蛍光ランプのそれぞれについて、電極に高周波電圧を印加した際に発光管内の空間に形成される陽光柱の形状を概念的に示す。
【図11】従来の希ガス蛍光ランプを電極側から斜め上方から見た斜視図を示す。
【図12】図11に示す希ガス蛍光ランプの径方向の断面図を示す。
【符号の説明】
【0048】
10 希ガス蛍光ランプ
1 発光管
2,2´ 電極
3 蛍光体層
4 アパーチャー部
5 減光部
51 斑点部
52A 中央部
52B 端部
55,56 台形部
21 凸部
22 直線部
23 開口
24 短辺部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光管の内面に蛍光体層が形成されると共に希ガスが封入され、当該発光管の外周面に互いに離間して管軸方向に伸びる一対の電極が配置され、外部に光を放出するアパーチャー部を前記発光管の管軸方向に設けた希ガス蛍光ランプにおいて、
前記アパーチャー部の管軸方向の両端部を除く箇所に、前記電極と独立に減光部を設けたことを特徴とする希ガス蛍光ランプ。
【請求項2】
前記減光部は、管軸方向中央部における透過率が管軸方向端部に比べて小さいことを特徴とする請求項1に記載の希ガス蛍光ランプ。
【請求項3】
前記減光部は、互いに離間する複数の斑点部によって形成され、管軸方向中央部において、前記アパーチャー部の単位面積に対し前記斑点部の占める面積の割合を管軸方向端部に比べて大きくしたことを特徴とする請求項2に記載の希ガス蛍光ランプ。
【請求項4】
発光管の内面に蛍光体層が形成されると共に希ガスが封入され、当該発光管の外周面に互いに離間して管軸方向に伸びる一対の電極が配置され、外部に光を放出するアパーチャー部を前記発光管の管軸方向に設けた希ガス蛍光ランプにおいて、
前記アパーチャー部には、管軸方向中央部の透過率が管軸方向端部に比べて小さい減光部が設けられていることを特徴とする希ガス蛍光ランプ。
【請求項5】
前記電極は、管軸方向において単位長さ当たりで区切った面積がどの位置で区切っても均等であり、かつ、管軸方向端部の幅を管軸方向中央部に比べて広くしたことを特徴とする請求項1または請求項4に記載の希ガス蛍光ランプ。
【請求項1】
発光管の内面に蛍光体層が形成されると共に希ガスが封入され、当該発光管の外周面に互いに離間して管軸方向に伸びる一対の電極が配置され、外部に光を放出するアパーチャー部を前記発光管の管軸方向に設けた希ガス蛍光ランプにおいて、
前記アパーチャー部の管軸方向の両端部を除く箇所に、前記電極と独立に減光部を設けたことを特徴とする希ガス蛍光ランプ。
【請求項2】
前記減光部は、管軸方向中央部における透過率が管軸方向端部に比べて小さいことを特徴とする請求項1に記載の希ガス蛍光ランプ。
【請求項3】
前記減光部は、互いに離間する複数の斑点部によって形成され、管軸方向中央部において、前記アパーチャー部の単位面積に対し前記斑点部の占める面積の割合を管軸方向端部に比べて大きくしたことを特徴とする請求項2に記載の希ガス蛍光ランプ。
【請求項4】
発光管の内面に蛍光体層が形成されると共に希ガスが封入され、当該発光管の外周面に互いに離間して管軸方向に伸びる一対の電極が配置され、外部に光を放出するアパーチャー部を前記発光管の管軸方向に設けた希ガス蛍光ランプにおいて、
前記アパーチャー部には、管軸方向中央部の透過率が管軸方向端部に比べて小さい減光部が設けられていることを特徴とする希ガス蛍光ランプ。
【請求項5】
前記電極は、管軸方向において単位長さ当たりで区切った面積がどの位置で区切っても均等であり、かつ、管軸方向端部の幅を管軸方向中央部に比べて広くしたことを特徴とする請求項1または請求項4に記載の希ガス蛍光ランプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−187688(P2009−187688A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−23491(P2008−23491)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】
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