説明

帯状体巻回リール

【課題】 縮径および拡径が容易な帯状体巻回リールにおいて、インクリボンやラベル連続体などの帯状体の装着・取り外しが容易な帯状体巻回リールを提供することを課題とする。
【解決手段】 回転軸15の基端部12a側から先端部12b側に掛けて外径が縮径する内周部材12と、内周部材の外周に取り付けられ、拡径位置と縮径位置に移動可能な外周部材13と、外周部材を拡径位置及び縮径位置に固定する固定手段14と、開放端に向け回転軸の長手方向に延伸されるとともに、外周部材が縮径位置にあるときは外周部材との間に所定の間隙dが形成され、また、外周部材が拡径位置にあるときは外周部材に当接するよう配設された挟持体2と、を備え、外周部材を縮径位置に位置決めし、挟持体と外周部材の間の間隙に帯状体を挿通し、その後、外周部材を拡径位置に固定して挟持体と外周部材の間にて帯状体を挟持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクリボンやラベル連続体などの帯状体が巻回される帯状体巻回リールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクリボンやラベル連続体などの帯状体が巻回されるリールとしては、特許文献1に開示され、図5および図6に示すような帯状体巻回リールがある。
同図に基づき特許文献1を説明すると、帯状体巻回リール11は、内周部材12(図5では、一部分が見えている状態)と、内周部材12の外周を覆う外周部材13と、内周部材12に対する外周部材13の取付け位置を固定する固定キャップ14とを備えている。帯状体巻回リール11は、前記固定キャップ14を先端部側に備え、基端部側は図示省略の帯状体回転装置に取付けられている。
内周部材12は、回転軸15と、回転軸15の外周を覆う緩い傾斜状の傾斜部17が形成された外径縮径部材18(図5では、一部分が見えている状態)と、回転軸15を挿通した軸フランジ16とを備えている。
また、外周部材13の基端部側には、嵌合突起13aが設けられている。
図5は、外周部材13の縮径後の状態、図6は、外周部材13の縮径前の状態(拡径状態)を示している。
帯状体巻回リール11に帯状体としてのインクリボンR(図において、想像線にて図示)を巻回する際には、図5の状態から固定キャップ14を内周部材12の基端部側に備えられた軸フランジ16側に押し込むと共に回転させ、内周部材12の緩い傾斜部17が形成された外径縮径部材18に沿って拡径させて外周部材13の基端部に形成された嵌合突起13aを軸フランジ16の図示省略の係合孔に嵌め込むことにより固定されインクリボンRが巻回できる状態となる(図6参照)。
また、巻回されたインクリボンRを取り外す際には、固定キャップ14をロック解除位置に回転させると、外周部材13が前記内周部材12の外径縮径部材18の傾斜部17に沿って帯状体巻回リール11の先端部側に移動し、外周部材13が縮径した状態(図5)になる。
ところで、帯状体巻回リール11にインクリボンRを巻回する際に、特許文献1ではインクリボンRの先端部を図示省略のテープで止めてから作動させている。
また、テープ(図示省略)にてインクリボンを止めない場合は、インクリボンRの先端部を指で外周部材13に押付けた上で帯状体巻回リール11を手で回し、インクリボンRを一周させるように重ね合わせて帯状体巻回リール11に巻回させている。
しかしながら、帯状体巻回リール11に対しインクリボンRをテープ止めした場合、取り外しの際、取り外しにくいという問題がある。すなわち、インクリボンRの巻回の終了時、固定キャップ14を操作してロック解除し、外周部材13を縮径した上で、固定キャップ14側に引き抜くが、インクリボンRの先端部が外周部材13にテープ止めされているため、引き抜きにくいものであった。
また、インクリボンRの先端部を指で外周部材13に押付けて装着する場合、巻回しにくくシワが寄る原因となるばかりか、インクが指に付着する恐れがあるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−184284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題点に着目して成されたものであり、特に、縮径および拡径が容易な帯状体巻回リールにおいて、インクリボンやラベル連続体などの帯状体の装着・取り外しが容易な帯状体巻回リールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の問題点を解決するため、本発明に係る帯状体巻回リールは、回転軸と、前記回転軸の基端部に設けられるとともに、前記回転軸を回転可能に支持する軸フランジと、前記回転軸に形成され、回転軸の基端部側から先端部側に掛けて外径が縮径する内周部材と、この内周部材の外周に取り付けられ、前記内周部材に沿って基端部側の拡径位置と先端部側の縮径位置に移動可能に設けられるとともに、拡径位置において前記内周部材と一体となって回転して外周に帯状体が巻回される外周部材と、前記内周部材に対する前記外周部材の移動位置を前記拡径位置にロックして固定するとともに、ロックを解除して縮径位置に位置決めして固定する固定手段と、前記軸フランジより前記回転軸の長手方向に延伸されるとともに、前記外周部材が縮径位置に位置決めされているときは外周部材との間に所定の間隙が形成され、また、前記外周部材が拡径位置に位置決めされているときは外周部材に当接するよう配設された挟持体と、を備えて構成され、前記固定手段のロックを解除して前記外周部材を縮径位置に位置決めし、前記挟持体と外周部材の間の間隙に帯状体を挿通し、その後、固定手段をロックして前記外周部材を拡径位置に固定して前記挟持体と外周部材の間にて前記帯状体を挟持することを特徴とする。
また、挟持体は、外周部材と当接する面側に、弾性部材を形成するようにできる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の帯状体巻回リールは、外周部材が縮径位置に位置決めされているときは、外周部材と挟持体との間に所定の間隔が形成され、また、外周部材が拡径位置に位置決めされているときは、外周部材と挟持体が当接するため、片手で、かつ、ワンタッチで帯状体が帯状体巻回リールに装着でき、かつ、そのままの状態で帯状体巻回リールに帯状体を巻回できるという効果がる。
また、外周部材と当接する挟持体の一面側を弾性部材で形成すれば当接の際、弾性部材の部分が外径部材に押圧されて押し潰された状態になるため、帯状体の厚みが変化しても間隔を調整する必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る帯状体巻回リールの外周部材が縮径した状態を示す概略正面説明図である。
【図2】同、図1中、矢示II方向より見た概略側面説明図である。
【図3】同、外周部材が拡径した状態を示す概略正面説明図である。
【図4】同、他の実施の形態を示す、図3相当の概略正面説明図である。
【図5】従来の帯状巻回リールの外周部材が縮径した状態を示す概略正面説明図である。
【図6】同、外周部材が拡径した状態を示す概略正面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施の形態につき、図1ないし図3に基づいて説明する。
なお、以下において、「背景技術」と同様の部分は同一符号を付すに止め、詳説は省略する。
同図に示すように、帯状体巻回リール1は、内周部材12と、内周部材12の外周を覆う外周部材13と、内周部材12に対する外周部材13の取付け位置を固定する固定キャップ14と回転軸15と、軸フランジ16と、挟持体2とを備えている。
内周部材12は、回転軸15に回転自在に設けられており、基端部12aから先端部12bに掛けて外径が縮径した状態で形成されている。すなわち、内周部材12は、基端部12aから先端部12bに向けて緩い下り勾配状の傾斜部17が形成された外径縮径部材18が備えられている(図1参照)。
外周部材13は、前記内周部材12の外周に取り付けられ、前記基端部12a側の拡径位置(図3参照)と、先端部12b側の縮径位置(図1参照)に移動・位置決め可能とされている。また、外周部材13は、前記内周部材12と一体なって回転するようになっている。
固定手段としての固定キャップ14は、ロック位置と解除(アンロック)位置に回動可能とされている。
回転軸15は、軸フランジ16に挿通されるとともに、回転自在に支持されている。
【0009】
挟持体2は、アルミ、鉄などの金属、あるいは合成樹脂などで作製され、断面が円弧状を呈しており、かつ、一端が前記軸フランジ16に固定され他端が回転軸15の長手方向の先端部の開放端側に向かって延伸されている。また、円弧状の断面の内面2a側は、前記外周部材13の外周面の一部とほぼ同様の形状となっている。そして、挟持体2は、前記外周部材13と当接、あるいは離反状態とされる。すなわち、外周部材13が拡径位置(図3)に位置決めされているときは外周部材13の外周面に当接し、また、外周部材13が縮径位置(図1)に位置決めされているときは外周部材13との間に所定の間隙dが形成されるようになっている。
【0010】
次に、帯状体巻回リール1の使用状態を説明する。
縮径位置(図1参照)に位置決めされている外径部材13の外周面に帯状体としてのインクリボンRを置き、間隙dの奥側(矢示X方向)に摺動して軸フランジ16に当接させる。次いで、内周部材12の基端部12a側に備えられた軸フランジ16側に、内周部材12の外径縮径部材18の傾斜部17に沿って外周部材13を拡径させながら固定キャップ14を押し込んでロック位置(図示省略)に回転させると、前記外周部材13の嵌合突起13aが軸フランジ16の係合孔(図示省略)に嵌め込まれて拡径位置で固定されるとともに、外周部材13と挟持体2が、インクリボンRを挟み込んだ状態で当接する。
インクリボンRが外周部材13と挟持体2との間に挟み込まれた状態となるので、帯状体巻回リール1を回転させるとインクリボンRは巻き取られるものである。
【0011】
また、インクリボンRの巻回が終了して、使用済みのインクリボンRを取り外す際は、ロック位置にある固定キャップ14を解除位置(図示省略)に回転させる。すると、拡径位置で固定されている外周部材13(図3)が内周部材12の外径縮径部材18の傾斜部17に沿って帯状体巻回リール1の先端部12b側に移動し、外周部材13が縮径した状態(図1)となり、挟持体2と外周部材13との間に所定の間隙dが形成されるとともに、巻き締められたインクリボンRが弛むため先端部12b側(固定キャップ14側)へ引き抜く。
【0012】
上述したように、外周部材13が縮径位置に位置決めされているときは、外周部材13の外周面と挟持体2との間に所定の間隔dが形成され、また、外周部材13が拡径位置に位置決めされているときは、外周部材13の外周面と挟持体2とが、インクリボンRを挟んで当接しているので、片手、かつ、ワンタッチで帯状体としてのインクリボンRを帯状体巻回リール1に装着でき、インクリボンRのインクで指を汚す恐れが軽減され、さらに、挟持体2が外周部材13の外周面にインクリボンRを押え付ける指の役目を果たしているため、図示省略の帯状体回転装置を作動した際、装着されたままの状態(外周部材13の外周面と挟持体2がインクリボンRを挟み込んで当接した状態)で帯状体巻回リール1にインクリボンRを巻き付けることができる。
【0013】
次に、主に、図4を参照して、他の実施の形態を説明する。
なお、以下において、「背景技術」および先の実施の形態と同様の部分は同一符号を付すに止め、詳説は省略する。
本実施の形態の帯状体巻回リール5は、角柱状の挟持体6を備えており、この挟持体6は、一端が前記軸フランジ16に固定され他端が回転軸15の長手方向の先端部12bの開放端側に向かって延伸されている。また、挟持体6は、アルミ、鉄などの金属、あるいは合成樹脂などで作製された挟持体本体部6aと、スポンジやゴム、軟らかい合成樹脂などの弾性部材で作成された当接部6bの2段構成とされている。すなわち、外周部材13の外周面に当接する側が当接部6b、その外周部が挟持体本体部6aとなるよう2段に積層され、構成されている。
本実施の形態に係る帯状体巻回リール5の使用状態を説明すると、縮径位置に位置決めされている外径部材13の外周面にインクリボンRを置き、間隙dの奥側に摺動して軸フランジ16に当接させ、次いで、外周部材13を拡径させながら固定キャップ14を押し込んでロック位置(図示省略)に回転させると、外周部材13の嵌合突起13aが軸フランジ16の係合孔(図示省略)に嵌め込まれて拡径位置で固定されるとともに、外周部材13と挟持体6が、インクリボンRを挟み込んだ状態で当接する(同図参照)。
当接の際、挟持体6の当接部6bは外径部材13の外周面に押圧されて押し潰された状態になってインクリボンRを挟持するため、表面がツルツルした状態のインクリボンであっても巻き付けが容易となるものである。
その他の構成、作用、効果については、先の実施の形態とほぼ同様につき詳説を省略する。
【0014】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは言うまでもない。
【0015】
例えば、帯状体として、インクリボンRを例に説明したが、これに限定されないことは勿論であり、ラベル連続体やタグ連続体の巻き付けも可能である。
インクリボン、ラベル連続体、およびタグ連続体は、それぞれ厚みが異なり、使用形態の違いにより用いる連続体の厚みが異なるが、弾性部材で作製された当接部6bを備えた挟持体6にて帯状体を挟持するようにすれば、外周部材13の外周面と挟持体6との間隔dを調整しなくとも、当接部6が押し潰された状態で帯状体を挟持するため、装着が確実となり、また、帯状体を装着し易いように間隔dを大きく取ることも可能となるものである。
【符号の説明】
【0016】
R インクリボン(帯状体)
d 間隔
1 帯状体巻回リ−ル(第1の実施の形態)
2 挟持体
5 帯状体巻回リ−ル(第2の実施の形態)
6 挟持体
6a 挟持体本体部
6b 当接部
11 帯状体巻回リ−ル
12 内周部材
12a 基端部
12b 先端部
13 外周部材
13a 嵌合突起
14 固定キャップ
15 回転軸
16 軸フランジ
17 傾斜部
18 外径縮径部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
前記回転軸の基端部に設けられるとともに、前記回転軸を回転可能に支持する軸フランジと、
前記回転軸に形成され、回転軸の基端部側から先端部側に掛けて外径が縮径する内周部材と、
この内周部材の外周に取り付けられ、前記内周部材に沿って基端部側の拡径位置と先端部側の縮径位置に移動可能に設けられるとともに、拡径位置において前記内周部材と一体となって回転して外周に帯状体が巻回される外周部材と、
前記内周部材に対する前記外周部材の移動位置を前記拡径位置にロックして固定するとともに、ロックを解除して縮径位置に位置決めして固定する固定手段と、
前記軸フランジより前記回転軸の長手方向に延伸されるとともに、前記外周部材が縮径位置に位置決めされているときは外周部材との間に所定の間隙が形成され、また、前記外周部材が拡径位置に位置決めされているときは外周部材に当接するよう配設された挟持体と、を備えて構成され、
前記固定手段のロックを解除して前記外周部材を縮径位置に位置決めし、前記挟持体と外周部材の間の間隙に帯状体を挿通し、
その後、固定手段をロックして前記外周部材を拡径位置に固定して前記挟持体と外周部材の間にて前記帯状体を挟持することを特徴とする帯状体巻回リール。
【請求項2】
前記挟持体は、外周部材と当接する面側に、弾性部材が形成されることを特徴とする請求項1に記載の帯状体巻回リール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−93636(P2011−93636A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−247414(P2009−247414)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】