説明

帯状媒体搬送装置、及び、帯状媒体の制御方法

【課題】帯状媒体が位置する幅方向位置の基準位置からのズレ度合いに応じた、適切な比例制御を行うことにある。
【解決手段】帯状媒体を搬送する搬送部と、前記帯状媒体が位置する幅方向位置を取得する取得部と、回動することにより前記帯状媒体の前記幅方向位置を変化させるステアリング部と、前記幅方向位置の基準位置からのズレ度合いに応じた、前記帯状媒体の単位搬送量あたりの前記ステアリング部の回動角度の比例制御を行うコントローラーと、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状媒体搬送装置、及び、帯状媒体の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロール紙等の帯状媒体を搬送する搬送部を有する帯状媒体搬送装置は既によく知られている。かかる帯状媒体搬送装置としては、例えば、ロール紙に画像を記録する画像記録装置を挙げることができる。
【0003】
そして、当該帯状媒体搬送装置の中には、帯状媒体が位置する幅方向位置を取得する取得部と、回動することにより前記帯状媒体の前記幅方向位置を変化させるステアリング部と、を有するものがあり、かかる帯状媒体の制御としては、前記幅方向位置の基準位置からのズレ度合いに応じてステアリング部を操作する比例制御が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−73590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来、ステアリング部を操作する比例制御として、前記ズレ度合いに応じたステアリング部の回転速度の比例制御が行われていたが、当該制御は不十分な一面を有していた。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、帯状媒体が位置する幅方向位置の基準位置からのズレ度合いに応じた、適切な比例制御を行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
主たる本発明は、帯状媒体を搬送する搬送部と、
前記帯状媒体が位置する幅方向位置を取得する取得部と、
回動することにより前記帯状媒体の前記幅方向位置を変化させるステアリング部と、
前記幅方向位置の基準位置からのズレ度合いに応じた、前記帯状媒体の単位搬送量あたりの前記ステアリング部の回動角度の比例制御を行うコントローラーと、
を有することを特徴とする帯状媒体搬送装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】画像記録装置1の構成を示す概略図である。
【図2】画像記録装置1の構成を示すブロック図である。
【図3】ステアリングユニット20aの斜視図である。
【図4】ステアリングユニット20aの平面図である。
【図5】ステアリングユニット20aの背面図である。
【図6】ステアリングユニット20aの側面図である。
【図7】ステアリングユニット20aの動作例を説明するための図である。
【図8】紙端位置検出センサー50aがロール紙2の幅方向における紙端位置を検出する様子を模式的に示した図である。
【図9】本実施の形態に係る制御を表したブロック線図である。
【図10】比較例に係る制御を表したブロック線図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
【0010】
帯状媒体を搬送する搬送部と、
前記帯状媒体が位置する幅方向位置を取得する取得部と、
回動することにより前記帯状媒体の前記幅方向位置を変化させるステアリング部と、
前記幅方向位置の基準位置からのズレ度合いに応じた、前記帯状媒体の単位搬送量あたりの前記ステアリング部の回動角度の比例制御を行うコントローラーと、
を有することを特徴とする帯状媒体搬送装置。
かかる帯状媒体搬送装置によれば、帯状媒体が位置する幅方向位置の基準位置からのズレ度合いに応じた、適切な比例制御を行うことが可能となる。
【0011】
また、前記コントローラーは、前記帯状媒体の種類に応じて、前記比例制御の比例ゲインを変化させることとしてもよい。
かかる場合には、帯状媒体が位置する幅方向位置の基準位置からのズレ度合いに応じた、より一層適切な比例制御を行うことが可能となる。
【0012】
次に、帯状媒体が位置する幅方向位置を取得することと、
前記幅方向位置の基準位置からのズレ度合いに応じた、前記帯状媒体の単位搬送量あたりの、回動することにより前記帯状媒体の前記幅方向位置を変化させるステアリング部の回動角度の比例制御を行うことと、
を有することを特徴とする帯状媒体の制御方法。
かかる帯状媒体の制御方法によれば、帯状媒体が位置する幅方向位置の基準位置からのズレ度合いに応じた、適切な比例制御を行うことが可能となる。
【0013】
===画像記録装置1の構成例について===
帯状媒体搬送装置の一例としての画像記録装置1の構成例について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、画像記録装置1の概略断面図である。図2は、画像記録装置1のブロック図である。
なお、以下の説明において、「上下方向」、「左右方向」をいう場合は、図1に矢印で示した方向を基準として示すものとする。また、「前後方向」をいう場合は、図1において紙面に直交する方向を示すものとする。
また、本実施の形態においては、画像記録装置1が画像を記録する帯状媒体の一例として、ロール状に巻かれた用紙(以下、ロール紙(連続紙)という)を用いて説明する。
【0014】
本実施の形態に係る画像記録装置1は、図1及び図2に示すように、搬送部の一例としての搬送ユニット20、及び、該搬送ユニット20がロール紙2を搬送する搬送経路(図1において、当該搬送経路は、巻軸18から巻き取り駆動軸92までの間の、ロール紙2が位置する部分により表されている)に沿って、給送ユニット10、プラテン29、巻き取りユニット90、を有し、さらに、搬送経路上の画像記録領域Rにおいて液体の一例としてのインクを吐出して画像記録を行うための画像記録部の一例としてのヘッドユニット30と、キャリッジユニット40と、ヒーターユニット70と、プラテン29上のロール紙2に風を送る送風ユニット80と、これらのユニット等を制御し画像記録装置1としての動作を司るコントローラー60と、検出器群50と、を有している。
【0015】
給送ユニット10は、ロール紙2を搬送ユニット20に給送するものである。この給送ユニット10は、ロール紙2が巻かれ回転可能に支持される巻軸18と、巻軸18から繰り出されたロール紙2を巻き掛けて搬送ユニット20に導くための中継ローラー19と、を有している。
【0016】
搬送ユニット20は、給送ユニット10により送られたロール紙2を、予め設定された搬送経路に沿って搬送するものである。この搬送ユニット20は、図1に示すように、中継ローラー19に対して水平右方に位置する中継ローラー21と、中継ローラー21から見て右斜め下方に位置する中継ローラー22と、中継ローラー22から見て右斜め上方(プラテン29から見て搬送方向上流側)に位置する第一搬送ローラー23と、中継ローラー22と第一搬送ローラー23との間に位置するステアリング部の一例としてのステアリングユニット(舵取りユニット)20aと、第一搬送ローラー23から見て右方(プラテン29から見て搬送方向下流側)に位置する第二搬送ローラー24と、第二搬送ローラー24から見て鉛直下方に位置する反転ローラー25と、反転ローラー25から見て右方に位置する中継ローラー26と、中継ローラー26から見て上方に位置する送り出しローラー27と、を有している。なお、ステアリングユニット20aについては、後に詳述する。
【0017】
中継ローラー21は、中継ローラー19から送られたロール紙2を、左方から巻き掛けて下方に向かって弛ませるローラーである。
中継ローラー22は、中継ローラー21から送られたロール紙2を、左方から巻き掛けて右斜め上方に向かって搬送するローラーである。
【0018】
第一搬送ローラー23は、不図示のモーターにより駆動される第一駆動ローラー23aと、該第一駆動ローラー23aに対してロール紙2を挟んで対向するように配置された第一従動ローラー23bとを有している。この第一搬送ローラー23は、下方に弛ませたロール紙2を上方に引き上げ、プラテン29に対向する画像記録領域Rへ搬送するローラーである。第一搬送ローラー23は、画像記録領域R上のロール紙2の部位に対して画像印刷がなされている期間、一時的に搬送を停止させるようになっている。なお、コントローラー60の駆動制御により、第一駆動ローラー23aの回転駆動に伴って第一従動ローラー23bが回転することによって、プラテン29上に位置させるロール紙2の搬送量が調整される。
【0019】
搬送ユニット20は、上述したとおり、中継ローラー21、22と第一搬送ローラー23との間に巻き掛けたロール紙2の部位を下方に弛ませて搬送する機構を有している。このロール紙2の弛みは、コントローラー60により、不図示の弛み検出用センサーからの検出信号に基づき監視される。具体的には、中継ローラー21、22と第一搬送ローラー23との間において弛ませたロール紙2の部位を、弛み検出用センサーが検出した場合には、該部位に適切な大きさの張力が与えられていることになるため、搬送ユニット20はロール紙2を弛ませた状態で搬送することが可能となる。一方、弛み検出用センサーが弛ませたロール紙2の部位を検出しない場合は、該部位に過剰な大きさの張力が与えられていることになるため、搬送ユニット20によるロール紙2の搬送が一時的に停止され、張力が適切な大きさに調整される。
【0020】
第二搬送ローラー24は、不図示のモーターにより駆動される第二駆動ローラー24aと、該第二駆動ローラー24aに対してロール紙2を挟んで対向するように配置された第二従動ローラー24bとを有している。この第二搬送ローラー24は、ヘッドユニット30により画像が記録された後のロール紙2の部位を、プラテン29の支持面に沿って水平右方向に搬送した後に鉛直下方に搬送するローラーである。これにより、ロール紙2の搬送方向が転換されることになる。なお、コントローラー60の駆動制御により、第二駆動ローラー24aの回転駆動に伴って第二従動ローラー24bが回転することによって、プラテン29上に位置するロール紙2の部位に対して付与される所定の張力が調整される。
【0021】
反転ローラー25は、第二搬送ローラー24から送られたロール紙2を、左側上方から巻き掛けて右斜め上方に向かって搬送するローラーである。
中継ローラー26は、反転ローラー25から送られたロール紙2を、左側下方から巻き掛けて上方に向かって搬送するローラーである。
送り出しローラー27は、中継ローラー26から送られたロール紙2を、左側下方から巻き掛けて巻き取りユニット90に送り出すようになっている。
【0022】
このように、ロール紙2が各ローラーを順次経由して移動することにより、ロール紙2を搬送するための搬送経路が形成されることになる。なお、ロール紙2は、搬送ユニット20により、画像記録領域Rと対応した領域単位で間欠的にその搬送経路に沿って搬送される。
【0023】
ヘッドユニット30は、搬送経路上の画像記録領域Rに位置するロール紙2の部位に画像を記録するためのものである。すなわち、ヘッドユニット30は、搬送ユニット20により搬送経路上の画像記録領域Rに(プラテン29上に)送り込まれたロール紙2の部位に、インクを吐出して画像を形成する。このヘッドユニット30は、ヘッド31とバルブユニット34とを有している。
【0024】
ヘッド31は、その下面に、列方向にノズルが並んだノズル列を有している。本実施の形態においては、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)等の色ごとにそれぞれ複数のノズル♯1〜♯Nからなるノズル列を有している。各ノズル列の各ノズル♯1〜♯Nは、ロール紙2の搬送方向に交差する交差方向(つまり、当該交差方向が前述した列方向である)に直線状に配列されている。各ノズル列は、当該搬送方向に沿って相互に間隔をあけて平行に配置されている。
【0025】
各ノズル♯1〜♯Nには、インク滴を吐出するための駆動素子としてピエゾ素子(不図示)が設けられている。ピエゾ素子は、その両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加すると、電圧の印加時間に応じて伸張し、インクの流路の側壁を変形させる。これによって、インクの流路の体積がピエゾ素子の伸縮に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、インク滴となって各色の各ノズル♯1〜♯Nから吐出される。
【0026】
バルブユニット34は、インクを一時貯留するためのものであり、不図示のインク供給チューブを介してヘッド31に接続されている。このため、ヘッド31は、バルブユニット34から供給されたインクをノズルからプラテン29上に搬送されて停止された状態のロール紙2の部位に向けて吐出することにより、画像記録を行なうことができる。
【0027】
キャリッジユニット40は、ヘッド31を移動させるためのものである。このキャリッジユニット40は、搬送方向(左右方向)に延びるキャリッジガイドレール41と(図1に二点鎖線で示す)、キャリッジガイドレール41に沿って搬送方向(左右方向)へ往復移動可能に支持されたキャリッジ42と、不図示のモーターとを有する。
【0028】
キャリッジ42は、不図示のモーターの駆動により、ヘッド31と一体となって搬送方向(左右方向)へ移動するよう構成されている。
【0029】
クリーニングユニット(不図示)は、ヘッド31をクリーニングするためのものである。このクリーニングユニットは、ホームポジション(以下、HPと呼ぶ。図1参照)に設けられており、キャップと、吸引ポンプ等とを有している。ヘッド31(キャリッジ42)が搬送方向(左右方向)に移動してHPに位置すると、ヘッド31の下面(ノズル面)に不図示のキャップが密着するようになっている。このようにキャップが密着した状態で吸引ポンプが作動すると、ヘッド31内のインクが、増粘したインクや紙粉と共に吸引される。このようにして、目詰まりしたノズルが不吐出状態から回復することによってヘッドのクリーニングが完了する。
【0030】
また、搬送方向(左右方向)におけるHPとプラテン29との間には、フラッシングユニット35が設けられており、ヘッド31(キャリッジ42)が搬送方向(左右方向)に移動してフラッシングユニット35に対向する位置に位置すると、ヘッド31は前記ノズル列に属する各ノズルからインクを吐出してフラッシングを行なうフラッシング動作を実行する。
【0031】
プラテン29は、搬送経路上の画像記録領域Rに位置するロール紙2の部位を支持するとともに、該部位を加熱するものである。このプラテン29は、図1に示すように、搬送経路上の画像記録領域Rに対応させて設けられ、かつ、第一搬送ローラー23と第二搬送ローラー24との間の搬送経路に沿った領域に配置されている。そして、プラテン29は、ヒーターユニット70が発生させた熱の供給を受けることにより、ロール紙2の該部位を加熱することができる。
【0032】
ヒーターユニット70は、ロール紙2を加熱するためのものであり、不図示のヒーターを有している。このヒーターは、ニクロム線を有しており、当該ニクロム線をプラテン29内部に、プラテン29の支持面から一定距離となるように配置させて構成されている。このため、ヒーターは、通電されることによってニクロム線自体が発熱し、プラテン29の支持面上に位置するロール紙2の部位に熱を伝導させることができる。このヒーターは、プラテン29の全域にニクロム線を内蔵させて構成されているため、プラテン29上のロール紙2の部位に対して熱を均一に伝導することができる。本実施の形態において、プラテン上のロール紙2の部位の温度が45℃となるように、該ロール紙2の部位を均一に加熱する。これにより、該ロール紙2の部位に着弾されたインクを乾燥させることができる。
【0033】
送風ユニット80は、プラテン29上のロール紙2に風を送るためのものである。この送風ユニット80は、ファン81とファン81を回転させるモーター(不図示)とを備えている。ファン81は、回転することにより、プラテン29上のロール紙2に風を送り、ロール紙2に着弾されたインクを乾燥させるためのものである。このファン81は、図1に示すように、本体部に設けられた開閉可能なカバー(不図示)に複数設けられている。そして、この各々のファン81は、カバーが閉じた際に、プラテン29の上方に位置して、当該プラテン29の支持面(当該プラテン29上のロール紙2)と対向するようになっている。
【0034】
巻き取りユニット90は、搬送ユニット20により送られたロール紙2(画像記録済みのロール紙)を巻き取るためのものである。この巻き取りユニット90は、送り出しローラー27から送られたロール紙2を、左側上方から巻き掛けて右斜め下方へ搬送するための中継ローラー91と、回転可能に支持され中継ローラー91から送られたロール紙2を巻き取る巻き取り駆動軸92と、を有している。
【0035】
コントローラー60は、画像記録装置1の制御を行うための制御ユニットである。このコントローラー60は、図2に示すように、インターフェース部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制御回路64と、を有している。インターフェース部61は、外部装置であるホストコンピューター110と画像記録装置1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU62は、画像記録装置1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従ったユニット制御回路64により各ユニットを制御する。
【0036】
検出器群50は、画像記録装置1内の状況を監視するものであり、例えば、前述の弛み検出用センサー、搬送ローラーに取り付けられてロール紙2の搬送などの制御に利用されるロータリー式エンコーダー、搬送されるロール紙2の有無を検出する用紙検出センサー、キャリッジ42(又はヘッド31)の搬送方向(左右方向)の位置を検出するためのリニア式エンコーダー、ロール紙2の幅方向における紙端(エッジ)位置を検出する紙端位置検出センサー50a(図1及び図8参照。当該紙端位置検出センサー50aについては、後に説明を加える)などがある。
【0037】
===ステアリングユニット20aについて===
<<<ステアリングユニット20aの構成例について>>>
次に、ステアリングユニット20aについて、図3乃至図6を用いて説明する。図3は、ステアリングユニット20aの斜視図である。図4は、ステアリングユニット20aの平面図である。図5は、ステアリングユニット20aの背面図である。図6は、ステアリングユニット20aの側面図である。なお、本実施形態におけるコイルバネ209は、所定の線径を有する金属線を所定の巻き数分だけ螺旋状に巻いて形成されるものであるが、図3乃至図6では、便宜上、このコイルバネ209の外観形状を簡略化して図示する。
【0038】
ステアリングユニット20aは、図1に示すように、傾斜した状態で搬送経路上に位置し、回動することにより(具体的には、後述するように、ステアリングユニット20aのベース部材203が回動することにより)ロール紙2の幅方向位置(幅方向(図1に示す前後方向)においてロール紙2が位置する位置)を変化させるためのものである。すなわち、ロール紙2が搬送経路に沿って搬送される際、中継ローラー等の軸ずれや組み付け誤差等によりロール紙2に作用する張力が変動すること等に起因して、ロール紙2の幅方向位置が変位する場合がある。そして、当該ステアリングユニット20aは、ロール紙2の当該幅方向位置を調整するためのものである。
【0039】
このステアリングユニット20aは、図3乃至図6に示すように、ロール紙2を搬送方向に搬送するための第一ローラー201及び第二ローラー202と、第一ローラー201及び第二ローラー202を各々の中心軸201a、202a周りに回転可能に支持するベース部材203と、ベース部材203を回動軸203a周りに回動させるための偏心カム204、及び、モーター205とを有している。
【0040】
第一ローラー201及び第二ローラー202は、各々の中心軸201a、202a周りに回転可能に構成され、図4に示すように、搬送方向に並設されている。
第一ローラー201は、図1に示すように、第二ローラー202よりも搬送方向上流側に位置し、中継ローラー22から送られたロール紙2を、上方から巻き掛けて第二ローラー202の下方へ向かって搬送するローラーである。
第二ローラー202は、図1に示すように、第一ローラー201よりも搬送方向下流側に位置し、第一ローラー201から送られたロール紙2を、下方から巻き掛けて右斜め上方の第一搬送ローラー23に向かって搬送するローラーである。
【0041】
ベース部材203は、図5及び図6に示すように、回動軸203a及び2つの可動支持部210により、画像記録装置1に固定された基台200の上方において、回動軸203aを中心にして回動可能に支持されている。
【0042】
回動軸203aは、ベース部材203を基台200に対して回動可能に支持するものである。この回動軸203aは、図4及び図6に示すように、第二ローラー202よりも第一ローラー201に近い位置に位置し、第一ローラー201の中心軸201aと第二ローラー202の中心軸202aとを含む仮想平面の法線方向に沿って基台200に固定されている。
【0043】
可動支持部210は、図4に示すように、回動軸203aを中心とする円に沿って移動しながら、ベース部材203を支持するものである。この可動支持部210は、図5及び図6に示すように、ベース部材203の下面に固定されたL字ブラケット210aと、L字ブラケット210aの先端に回転可能に設けられた車輪210bとを有している。車輪210bは、図5に示すように、規制部材211により上下方向の移動が制限されている。このため、ベース部材203が回動する際、上下振動を抑制することができる。
【0044】
モーター205は、ブラケットを介して基台200上に固定され、コントローラー60からの制御信号に基づき駆動してベース部材203を回動させるものである。このモーター205は、回転角度を検出するためのロータリーエンコーダー(不図示)を有している。また、モーター205の駆動軸205aは、図4に示すように、カップリング205bを介して伝達軸205cに接続されており、伝達軸205cにはウォーム(ねじ歯車)206が嵌着されている。伝達軸205cは、その両端を基台200に固定された軸受205dにより支持されている。ウォーム206は、図4に示すように、中心軸207a周りに回転可能に支持されたウォームホイール(はすば歯車)207に噛み合っている。このため、ウォーム206及びウォームホイール207を用いて減速することにより、モーター205が小型であっても大きなトルクを伝達することができる。
【0045】
ウォームホイール207は、図4に示すように、駆動軸205a、カップリング205b、伝達軸205c、及びウォーム206を介して伝達されたモーター205の駆動力が作用することにより、偏心カム204と一体となって回動動作を行う。このウォームホイール207は、回動動作の際に、ロール紙2の搬送方向において第二ローラー202を挟んで第一ローラー201と反対側に位置することなく、かつ、ウォームホイール207の少なくとも一部が仮想平面(第一ローラー201及び第二ローラー202各々の中心軸201a、202aを含む仮想平面)の法線方向において第二ローラー202と対向している。すなわち、ウォームホイール207は、図4に示すように、搬送方向において第二ローラー202よりも下流側にはみ出すことがなく、かつ、ベース部材203を挟んで第二ローラー202と対向するように(紙面上で第二ローラー202とオーバーラップするように)位置している。このため、ウォームホイール207とロール紙2との接触を回避しつつも、回動軸203aの位置から遠い第二ローラー202の位置にて駆動力が作用するため、ロール紙の幅方向における位置決め精度を高めることができる。
【0046】
偏心カム204は、中心軸204a周りに回動動作を行うことにより、ベース部材203を回動軸203a周りに回動させるためのものである。この偏心カム204は、図4及び図5に示すように、ベース部材203の下面に突出して設けられたカムフォロア208にその外周面を接触させている。そして、カムフォロア208は、コイルバネ209により偏心カム204に押し当てる方向に常に付勢されている。このため、偏心カム204は、モーター205の駆動力が伝達されることによりウォームホイール207と一体となって同軸上で回動動作を行うと、この回動動作に伴ってカムフォロア208に係合することによりベース部材203を回動軸203a周りに回動させることができる。また、偏心カム204は、回動動作の際に、ロール紙2の搬送方向において第二ローラー202を挟んで第一ローラー201と反対側に位置することなく、かつ、偏心カム204の少なくとも一部が仮想平面(第一ローラー201及び第二ローラー202各々の中心軸201a、202aを含む仮想平面)の法線方向において第二ローラー202と対向している。すなわち、偏心カム204は、図4に示すように、搬送方向において第二ローラー202よりも下流側にはみ出すことがなく、かつ、ベース部材203を挟んで第二ローラー202と対向するように(紙面上で第二ローラー202とオーバーラップするように)位置している。これにより、偏心カム204とロール紙2との接触を回避しつつ、回動軸203aの位置から遠い第二ローラー202の位置にて駆動力が作用するため、ロール紙2の幅方向における位置決め精度を高めることができる。
【0047】
コイルバネ209は、図5に示すように、一方の端部をL字ブラケット209aを介してベース部材203に固定し、他方の端部をL字ブラケット209bを介して基台200に固定した、引張りバネである。これにより、コイルバネ209は、カムフォロア208を偏心カム204に押し当てる方向に付勢することができる。また、コイルバネ209は、図4に示すように、回動軸203aを中心とする円の接線方向に沿って配置されているため、回動軸203aを中心にして円運動を行うベース部材203に対してバネ力を最も効率良く伝達することができる。そして、このコイルバネ209は、ロール紙2の搬送方向において第二ローラー202を挟んで第一ローラー201と反対側に位置することなく、かつ、コイルバネ209の少なくとも一部が仮想平面(第一ローラー201及び第二ローラー202各々の中心軸201a、202aを含む仮想平面)の法線方向において第二ローラー202と対向している。すなわち、コイルバネ209は、図4に示すように、搬送方向において第二ローラー202よりも下流側にはみ出すことがなく、かつ、ベース部材203を挟んで第二ローラー202と対向するように(紙面上で第二ローラー202とオーバーラップするように)位置している。これにより、コイルバネ209とロール紙2との接触を回避しつつ、回動軸203aの位置から遠い第二ローラー202の位置にてコイルバネ209による付勢力が作用するため、ロール紙2の幅方向における位置決め精度を高めることができる。
【0048】
<<<ステアリングユニット20aの動作例について>>>
次に、ステアリングユニット20aの動作例について、図4、図7を用いて説明する。図7は、ステアリングユニット20aの動作例を説明するための図である。
【0049】
先ず、ステアリングユニット20aが、ロール紙2の幅方向位置を幅方向における手前側へ(図7における下向き白矢印を参照)移動させるときの動作について説明する。
【0050】
かかる場合には、偏心カム204が図4において時計回りに回動するように、モーター205の駆動制御がコントローラー60により実行される。
偏心カム204が時計回りに回動すると、コイルバネ209の付勢力により偏心カム204に押し当てられたカムフォロア208が、偏心カム204との中心間距離を縮めながら、回動軸203aを中心とする円軌道に沿って時計回りに移動する(図4参照)。
【0051】
そうすると、カムフォロア208はベース部材203に取り付けられているため、ベース部材203も回動軸203aを中心として時計回りに回動することになり(図4における矢印及び図7における下向き黒矢印参照)、ロール紙2は幅方向手前側(図7における下向き白矢印を参照)に位置しようとする。これにより、ロール紙2の幅方向における位置が手前側へ移動することとなる。
【0052】
一方、ステアリングユニット20aが、ロール紙2の幅方向位置を幅方向における奥側へ(図7における上向き白矢印を参照)移動させるときの動作は、上記の動作と逆となる。
すなわち、かかる場合には、偏心カム204が図4において反時計回りに回動するように、モーター205の駆動制御がコントローラー60により実行される。
【0053】
偏心カム204が反時計回りに回動すると、コイルバネ209の付勢力により偏心カム204に押し当てられたカムフォロア208が、この付勢力に逆らって、偏心カム204との中心間距離を広げながら、回動軸203aを中心とする円軌道に沿って反時計回りに移動する(図4参照)。
【0054】
そうすると、カムフォロア208はベース部材203に取り付けられているため、ベース部材203も回動軸203aを中心として反時計回りに回動することになり(図4における矢印及び図7における上向き黒矢印参照)、ロール紙2は幅方向奥側(図7における上向き白矢印を参照)に位置しようとする。これにより、ロール紙の幅方向における位置が奥側へ移動することとなる。
【0055】
===ステアリングユニット20aを操作してロール紙2を制御する制御例について===
次に、ステアリングユニット20aを操作してロール紙2を制御する制御例について、図8乃至図10を用いて説明する。図9は、本実施の形態に係る制御を表したブロック線図である。図10は、比較例に係る制御を表したブロック線図である。なお、図8については、後述する。
【0056】
なお、以下で説明する各種動作は、主としてコントローラー60により実現される。特に、本実施の形態においては、メモリー63に格納されたプログラムをCPU62等が処理することにより実現される。そして、このプログラムは、以下に説明する各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0057】
本実施の形態に係るコントローラー60は、ステアリングユニット20aを操作してロール紙2を制御する(ロール紙2の幅方向位置を制御する)。すなわち、コントローラー60は、ロール紙2が位置する幅方向位置が所望位置(すなわち、基準位置)となるように、ステアリングユニット20aを操作してロール紙2を制御する。そして、当該ロール紙2の制御としては、前記幅方向位置の基準位置からのズレ度合いに応じた比例制御(すなわち、当該ズレ度合いに応じてステアリングユニット20aを操作する比例制御(P制御))が実行される。以下、具体的に説明する。
【0058】
先ず、コントローラー60は、ロール紙2の幅方向位置を把握する。本実施の形態においては、当該幅方向位置の取得のために、紙端位置検出センサー50a(幅方向位置を取得する取得部に相当)が設けられている。
【0059】
ここで、紙端位置検出センサー50aについて説明する。紙端位置検出センサー50aは、前述したとおり、ロール紙2の幅方向における紙端(エッジ)位置を検出する機能を有している。この紙端位置検出センサー50aは、図1に示されるように、第一搬送ローラー23の近傍、かつ、第一搬送ローラー23よりも搬送方向において上流側に設けられ、発光部502及び受光センサー部504を備える公知の光センサーである。
【0060】
ここで、図8に着目する。図8は、紙端位置検出センサー50aがロール紙2の幅方向における紙端位置を検出する様子を模式的に示した図である。図8には、三つの図が描かれているが、中央図は、前記基準位置にロール紙2が位置しているときに紙端位置検出センサー50aが紙端位置を検出する様子を、左図は、前記基準位置からロール紙2が幅方向における奥側へずれているときに紙端位置検出センサー50aが紙端位置を検出する様子を、右図は、前記基準位置からロール紙2が幅方向における手前側へずれているときに紙端位置検出センサー50aが紙端位置を検出する様子を、それぞれ表したものである。
【0061】
紙端位置検出センサー50aの発光部502と受光センサー部504は、図8に示すように、ロール紙2の法線方向(図8において、紙面を貫く方向)においてロール紙2を挟んだ状態で、当該法線方向に沿って光を発し、発せられた光を受ける。そして、紙端位置検出センサー50aは、ロール紙2が幅方向においてどの位置に位置するかによって発光部502から発せられた光をロール紙2がどの程度遮るか(すなわち、ロール紙2が、どの程度受光センサー部504へ光が到達しないようにするか)が変わることを利用して、ロール紙2の幅方向における紙端位置を検出する。
【0062】
例えば、図8からも明らかなように、基準位置からロール紙2が幅方向における奥側へずれているとき(左図)の方が、基準位置にロール紙2が位置しているとき(中央図)よりも、ロール紙2が遮る光の量が多く、また、基準位置からロール紙2が幅方向における手前側へずれているとき(右図)の方が、基準位置にロール紙2が位置しているとき(中央図)よりも、ロール紙2が遮る光の量が少ない。したがって、基準位置からロール紙2が幅方向における奥側へずれているとき(左図)の方が、基準位置にロール紙2が位置しているとき(中央図)よりも、紙端位置検出センサー50aの出力値(本実施の形態においては、電圧値)が小さくなり、基準位置からロール紙2が幅方向における手前側へずれているとき(右図)の方が、基準位置にロール紙2が位置しているとき(中央図)よりも、紙端位置検出センサー50aの出力値が大きくなる。そして、かかる出力値の相違により、紙端位置を検出することが可能となる。なお、本実施の形態においては、基準位置にロール紙2が位置しているときに紙端位置検出センサー50aが3Vの電圧値を出力するように、紙端位置検出センサー50aが位置決めされている。
【0063】
このように、本実施の形態においては、紙端位置検出センサー50aがロール紙2の幅方向における紙端位置を検出し(当然のことながら、このことは、ロール紙2が位置する幅方向位置を取得していることにもなる)、紙端位置(幅方向位置)に係る検出結果を出力する(本実施の形態においては、電圧値を1Vから5Vの範囲で出力するようになっている)。なお、この紙端位置(幅方向位置)に係る検出結果(電圧値)の出力は、図9及び図10のブロック線図において、制御対象(つまり、画像記録装置1)の出力である制御量cに相当する。
【0064】
このように、コントローラー60は、紙端位置検出センサー50aから検出結果(電圧値)を受け取って、ロール紙2の幅方向位置を把握する。そして、次に、コントローラー60は、幅方向位置の基準位置からのズレ度合いを求める。具体的には、コントローラー60は、基準位置にロール紙2が位置しているときの電圧値である3Vから紙端位置検出センサー50aが出力した電圧値を減じて、差分を算出する。
【0065】
この場合に、基準位置からロール紙2が幅方向における手前側へずれているとき(図8の右図)には、当該差分は負の値となり、かつ、ズレ量が大きければ大きいほど、この負の値の絶対値は大きくなる。また、基準位置からロール紙2が幅方向における奥側へずれているとき(図8の左図)には、当該差分は正の値となり、かつ、ズレ量が大きければ大きいほど、この正の値(の絶対値)は大きくなる。このように、当該差分が算出されることにより、幅方向位置の基準位置からのズレ度合いが求められることとなる。
【0066】
なお、図9及び図10のブロック線図において、基準位置にロール紙2が位置しているときの電圧値である3Vが目標値rに相当し、当該電圧値3Vから紙端位置検出センサー50aが出力した電圧値を減じた前記差分が偏差eに相当する。そして、以下に説明するとおり、当該差分(偏差e)が0となるように、換言すれば、紙端位置検出センサー50aが出力した電圧値が基準位置にロール紙2が位置しているときの電圧値である3Vとなるように(すなわち、ロール紙2が位置する幅方向位置が基準位置となるように)、ロール紙2の比例制御が行われる。
【0067】
ここで、本実施の形態に係るロール紙2の当該比例制御(本件例、図9)について、比較例(従来例、図10)と比較しながら説明する。本件例及び比較例のいずれにおいても、コントローラー60は、前記幅方向位置の基準位置からのズレ度合い(すなわち、前記差分である偏差e)に応じた比例制御を行う。すなわち、図9及び図10に示すように、当該偏差eに比例ゲインKを乗ずることにより求められた操作量u(すなわち、操作量u=比例ゲインK×偏差e)に基づいてステアリングユニット20aを操作して、ロール紙2の幅方向位置を制御する。
【0068】
しかしながら、本件例と比較例とでは、ステアリングユニット20aに係るどの量を操作量uとするかが異なる。すなわち、比較例においては、コントローラー60が前記ズレ度合いに応じた単位時間当たりのステアリングユニット20aの回動角度(すなわち、ステアリングユニット20aの回動角速度)の比例制御を行っていたのに対し、本件例においては、コントローラー60が前記ズレ度合いに応じたロール紙2の単位搬送量当たりのステアリングユニット20aの回動角度(以下、説明の都合上、ステアリングユニット20aの準回動角速度と呼ぶ)の比例制御を行う。
【0069】
つまり、比較例においては、ステアリングユニット20aの回動角速度(より具体的には、前記ベース部材203の回動角速度)が操作量uであり、コントローラー60は、前記ズレ度合い(偏差e)に応じて、当該回転角速度をいくつ(図10に示すように、単位は [rad(ラジアン)/sec(秒)]である)にするかについて、ステアリングユニット20aに対し指令を与える。ステアリングユニット20a(より具体的には、モーター205)は、当該指令を受けて、ベース部材203の回動角速度が指令された値となるように動作する。
【0070】
一方、本件例においては、ステアリングユニット20aの準回動角速度(より具体的には、前記ベース部材203の準回動角速度)が操作量uであり、コントローラー60は、前記ズレ度合い(偏差e)に応じて、当該準回転角速度をいくつ(図9に示すように、単位は [rad(ラジアン)/mm(ミリメートル)]である)にするかについて、ステアリングユニット20aに対し指令を与える。ステアリングユニット20a(より具体的には、モーター205)は、当該指令を受けて、ベース部材203の準回動角速度が指令された値となるように動作する。
【0071】
そして、本件例の比較例に対する上述した相違点により、本件例は以下に説明する優位性を有することとなる。すなわち、比較例においては、回転角速度(単位時間当たりの回動角度)が操作量uとなるため、制御においてロール紙2の搬送(速度)は全く考慮されていなかった。したがって、ロール紙2が速く搬送されている場合であっても、遅く搬送されている場合であっても、偏差eが同じであれば、双方の場合で同様の制御が行われていた。しかしながら、ロール紙2がより速く搬送されている場合にはステアリングユニット20aをより速く回動させる(つまり、より速く舵を切る)方が適切な制御であることを考慮すると、比較例に係る制御は不十分な一面を有していた。
【0072】
これに対し、本件例においては、前記ズレ度合いに応じた、ロール紙2の単位搬送量あたりのステアリングユニット20aの回転角度の比例制御を行うこととした。すなわち、準回動角速度(単位搬送量当たりの回動角度)が操作量uとなり、制御においてロール紙の搬送(速度)が適切に考慮され、ロール紙2がより速く搬送されている場合にステアリングユニット20aがより速く回動する適切な動作が実現されることとなる。したがって、本件例によれば、前記ズレ度合いに応じた、より一層適切な比例制御を行うことが可能となる。
【0073】
===その他の実施の形態===
上記の実施の形態は、主として帯状媒体搬送装置について記載されているが、帯状媒体の制御方法等の開示も含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0074】
上記実施の形態においては、帯状媒体搬送装置を画像記録装置に具体化したが、これに限定されるものではない。例えば、帯状媒体を搬送する機能を有する装置であれば、画像記録機能を有さないものであっても構わない。
【0075】
また、画像記録装置を、液体を吐出して画像記録を行う液体吐出装置(液体噴射装置)に具体化したが、これに限定されるものではない。例えば、画像を記録する機能を有する装置であれば、液体を吐出しないものであっても構わない。
【0076】
また、液体吐出装置(液体噴射装置)をインクジェット式プリンターに具体化したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置を採用してもよく、微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状態、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうち何れか一種の噴射装置に本発明を適用することができる。
【0077】
また、上記実施の形態においては、帯状媒体としてロール紙2を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、帯状フィルム、帯状布であってもよい。
【0078】
また、上記実施の形態においては、ロール紙2の制御として比例制御(P制御)を行うこととしたが、かかる比例制御(P制御)に積分制御(I制御)や微分制御(D制御)を組み合わせてもよい。一例を挙げると、ロール紙2の制御としてPI制御やPID制御を実行することとしてもよい。
【0079】
また、上記実施の形態においては、ロール紙2が位置する幅方向位置を取得する取得部として、ロール紙2の幅方向における紙端位置を検出する機能を有する紙端位置検出センサー50aを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、紙端位置ではなくロール紙2が位置する幅方向位置を直接検出するセンサーであってもよいし、ロール紙2が位置する幅方向位置の基準位置からのズレ度合いを直接検出するセンサーであってもよい。
【0080】
また、コントローラー60は、比例制御の前記比例ゲインKを固定値とするのではなく、ロール紙2の種類に応じて、当該比例ゲインKを変化させることとしてもよい。
【0081】
すなわち、ロール紙2の中には、ステアリングユニット20aの回動に敏感に反応してその幅方向位置を変えるものもあれば、ステアリングユニット20aが回動しても(ロール紙2のステアリングユニット20aに対する滑り等が原因となって)この回動に敏感に反応しないものもある。前者の例としては、薄くて柔らかい紙を、後者の例としては、厚くて硬い紙を挙げることができる。
【0082】
そして、前者に係るロール紙2の制御において比例ゲインKが大き過ぎると、振動の発生により安定的でない(つまり、振動的な)制御となってしまうため、比例ゲインKをあまり大きくしない方が望ましく、一方で、後者に係るロール紙2の制御において比例ゲインKが小さ過ぎると、追従性が悪い制御となってしまうため、比例ゲインKをあまり小さくしない方が望ましいという実情がある。
【0083】
したがって、ロール紙2の種類に応じて、比例ゲインKを変化させることとすれば、ロール紙2が位置する幅方向位置の基準位置からのズレ度合いに応じた、より一層適切な比例制御を行うことが可能となる。
【0084】
なお、上記を実現する方策の一例を挙げると、以下の通りとなる。すなわち、予め実験により、使用が想定されるロール紙2の種類毎に、適切な比例ゲインKを決定しておく。そして、当該ロール紙2の種類と比例ゲインKとの対応を示した対応テーブルを用意し、当該対応テーブルを前述したメモリー63に格納しておく。そして、画像記録装置1の操作者がロール紙2の種類に係る情報を画像記録装置1に対して入力すると、これを受け取ったコントローラー60が、対応テーブルを参照して、入力されたロール紙2の種類に対応した比例ゲインKを設定するようにすればよい。
【符号の説明】
【0085】
1 画像記録装置、2 ロール紙、10 給送ユニット、
18 巻軸、19 中継ローラー、
20 搬送ユニット、20a ステアリングユニット、
21 中継ローラー、22 中継ローラー、
23 第一搬送ローラー、23a 第一駆動ローラー、23b 第一従動ローラー、
24 第二搬送ローラー、24a 第二駆動ローラー、24b 第二従動ローラー、
25 反転ローラー、26 中継ローラー、
27 送り出しローラー、29 プラテン、30 ヘッドユニット、
31 ヘッド、34 バルブユニット、35 フラッシングユニット、
40 キャリッジユニット、41 ガイドレール、42 キャリッジ、
50 検出器群、50a 紙端位置検出センサー、
60 コントローラー、61 インターフェース部、62 CPU、
63 メモリー、64 ユニット制御回路、70 ヒーターユニット、
80 送風ユニット、81 ファン、90 巻き取りユニット、
91 中継ローラー、92 巻き取り駆動軸、
110 ホストコンピューター、200 基台、
201 第一ローラー、201a 中心軸、
202 第二ローラー、202a 中心軸、
203 ベース部材、203a 回動軸、
204 偏心カム、204a 中心軸、
205 モーター、205a 駆動軸、205b カップリング、
205c 伝達軸、205d 軸受、206 ウォーム、
207 ウォームホイール、207a 中心軸、208 カムフォロア、
209 コイルバネ、209a L字ブラケット、209b L字ブラケット、
210 可動支持部、210a L字ブラケット、210b 車輪、
211 規制部材、502 発光部、504 受光センサー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状媒体を搬送する搬送部と、
前記帯状媒体が位置する幅方向位置を取得する取得部と、
回動することにより前記帯状媒体の前記幅方向位置を変化させるステアリング部と、
前記幅方向位置の基準位置からのズレ度合いに応じた、前記帯状媒体の単位搬送量あたりの前記ステアリング部の回動角度の比例制御を行うコントローラーと、
を有することを特徴とする帯状媒体搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の帯状媒体搬送装置において、
前記コントローラーは、前記帯状媒体の種類に応じて、前記比例制御の比例ゲインを変化させることを特徴とする帯状媒体搬送装置。
【請求項3】
帯状媒体が位置する幅方向位置を取得することと、
前記幅方向位置の基準位置からのズレ度合いに応じた、前記帯状媒体の単位搬送量あたりの、回動することにより前記帯状媒体の前記幅方向位置を変化させるステアリング部の回動角度の比例制御を行うことと、
を有することを特徴とする帯状媒体の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−35678(P2013−35678A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175208(P2011−175208)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】