説明

帯電ローラー、画像形成装置及び画像形成方法

【課題】軽量性に優れた帯電ローラー、画像形成装置及び画像形成方法を提供すること。
【解決手段】一対の端面が所定の間隔を空けて対向するように円筒状に形成された金属板を有し、前記金属板には、前記一対の端面間に接合部が形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電ローラー、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、一般に像担持体である感光体の表面を帯電装置により一様に帯電した後、その一様帯電した像担持体の表面に露光装置により露光して静電潜像を書き込み、その静電潜像を現像装置により現像することにより像担持体の表面に現像剤像を形成する。そして、像担持体の表面に形成された現像剤像を転写装置により紙等の転写材に転写して画像を形成している。
【0003】
像担持体の表面を一様に帯電するための帯電装置としては、帯電ローラーなどが用いられ、像担持体の表面に接触する接触型、接触しない非接触型がある。帯電ローラーを用いた非接触型の帯電装置では、帯電ローラーとして、例えば円柱状の帯電ローラーが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−72064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、中実の円柱状の帯電ローラーを用いる場合、当該帯電ローラーが重くなってしまう。このため、画像形成装置全体の重量が大きくなってしまったり、帯電ローラーを駆動する駆動系の負担が大きくなってしまったりするという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、軽量性に優れた帯電ローラー、画像形成装置及び画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る帯電ローラーは、一対の端面が所定の間隔を空けて対向するように円筒状に形成された金属板を有し、前記金属板には、前記一対の端面間に接合部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、中空の円筒状の帯電ローラーを得ることができる。これにより、中実の円柱状のローラーに比べて軽量性に優れた帯電ローラーを得ることができる。また、本発明では、金属板の一対の端面が密着されずに所定の間隔を空けて対向するようにしたので、圧縮空気の逃げ場を確保することができる。これにより、回転時の振動を防ぐことができる。
【0009】
上記の帯電ローラーは、前記金属板は、プレス加工によって円筒状に形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、金属板がプレス加工によって円筒状に形成されているので、変形しにくい丈夫な帯電ローラーを得ることができる。
【0010】
本発明に係る帯電ローラーは、金属板の一対の端辺が所定の間隔を空けて対向するように前記金属板をプレス加工によって円筒状に形成してなることを特徴とする。
本発明によれば、金属板の一対の端辺が所定の間隔を空けて対向するように金属板をプレス加工によって円筒状に形成してなることとしたので、軽量性に優れ、回転時の振動を防ぐことができる帯電ローラーを得ることができる。
【0011】
本発明に係る画像形成装置は、回転可能に設けられ、潜像を担持する像担持体と、前記像担持体に非接触で対向する位置に回転可能に設けられた帯電ローラーと、前記像担持体と前記帯電ローラーとの間に所定電圧を印加する電圧印加装置と、前記像担持体及び前記帯電ローラーを回転させる回転装置とを備え、前記帯電ローラーとして上記の帯電ローラーが用いられており、前記回転装置は、前記帯電ローラーの周速が前記像担持体の周速よりも大きくなるように前記像担持体及び前記帯電ローラーを回転させることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、軽量性に優れた帯電ローラーを用いているので、回転駆動の負担が少ない画像形成装置を得ることができる。加えて、回転時の振動を防ぐことができる帯電ローラーを用いているので、帯電ムラの少ない画像形成装置を得ることができる。
【0013】
上記の画像形成装置は、前記電圧印加装置は、所定周期の交流電圧を印加し、前記帯電ローラーの回転によって前記接合部が前記像担持体の回転面上の一点を通過する時間よりも前記所定周期の方が大きくなるように前記所定周期及び前記帯電ローラーの周速のうち少なくとも一方を調整する制御部を有することを特徴とする。
【0014】
対向する一対の端面間には交流電圧が印加されないため、端面間が像担持体の回転面上の一点を通過する間は、像担持体と帯電ローラーとの間の電界が途切れる期間となる。当該期間が交流電圧の周期よりも長くなると、帯電ローラーと像担持体との間で電圧の印加されない状態が発生することになり、画像に白スジが発生するなど、画像ムラが生じてしまう。
【0015】
これに対して、本発明では、交流電圧の周期よりも、端面間が像担持体の回転面上の一点を通過する時間の方が長くなるようにし、1周期分の交流電圧が印加される期間よりも短い期間で端面間が像担持体の回転面上の一点を通過することとしたので、1周期分の交流電圧の少なくとも一部が常に印加されることとなる。このため、画像ムラの発生が抑制されることとなる。
【0016】
本発明に係る画像形成方法は、回転可能に設けられ、潜像を担持する像担持体と、前記像担持体に非接触で対向する位置に回転可能に設けられた帯電ローラーと、前記像担持体と前記帯電ローラーとの間に所定電圧を印加する電圧印加装置と、前記像担持体及び前記帯電ローラーを回転させる回転装置とを用いて行う画像形成方法であって、前記帯電ローラーとして、上記の帯電ローラーが用いられており、前記回転装置は、前記帯電ローラーの周速が前記像担持体の周速よりも大きくなるように前記像担持体及び前記帯電ローラーを回転させることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、軽量性に優れた帯電ローラーを用いているので、回転駆動に大きな負担を掛けることなく画像を形成することができる。加えて、回転時の振動を防ぐことができる帯電ローラーを用いているので、帯電ムラを抑えつつ画像を形成することができる。
【0018】
上記の画像形成方法は、前記像担持体と前記帯電ローラーとの間に、所定周期の交流電圧を印加し、前記帯電ローラーの回転によって前記接合部が前記像担持体の回転面上の一点を通過する時間よりも前記所定周期の方が大きくなるように前記所定周期及び前記帯電ローラーの周速のうち少なくとも一方を調整することを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、交流電圧の周期よりも、端面間が像担持体の回転面上の一点を通過する時間の方が長くなるようにし、1周期分の交流電圧が印加される期間よりも短い期間で端面間が像担持体の回転面上の一点を通過することとしたので、1周期分の交流電圧の少なくとも一部が常に印加されることとなる。このため、画像ムラの発生が抑制されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態におけるプリンターを示す概略構成図。
【図2】図1におけるプリンターにおける感光体及び帯電ローラーを模式的に示す図。
【図3】本発明の実施形態における帯電ローラーの軸心方向における断面図。
【図4】円筒体の構成を示す斜視図。
【図5】円筒体の一部の構成を示す断面図。
【図6】帯電ローラーにおいて発生する共鳴音の発生メカニズムを説明する図。
【図7】帯電ローラーの基材としての金属板を示す平面図である。
【図8】(a)〜(c)は金属板のプレス加工を説明するための工程図である。
【図9】(a)〜(c)は金属板のプレス加工を説明するための工程図である。
【図10】(a)は帯電ローラーの要部斜視図、(b)は要部側断面図である。
【図11】(a)は帯電ローラーの要部斜視図、(b)は側面図である。
【図12】(a)は帯電ローラーの要部斜視図、(b)は側面図である。
【図13】(a)は帯電ローラーの要部斜視図、(b)は側面図である。
【図14】(a)〜(c)は展開係合部を示す金属板の要部平面図である。
【図15】(a)、(c)は繋ぎ目を示す図、(b)は金属板の平面図である。
【図16】(a)は帯電ローラーの繋ぎ目を示す図、(b)は金属板の平面図である。
【図17】(a)は帯電ローラーの繋ぎ目を示す図、(b)は金属板の平面図である。
【図18】(a)〜(c)は繋ぎ目の形状を説明するための図である。
【図19】(a)は繋ぎ目の形状説明図、(b)は作用説明図である。
【図20】繋ぎ目の形状を説明するための図である。
【図21】(a)〜(c)は繋ぎ目の形状を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図を参照して説明する。本実施形態では、本発明に係る帯電ローラーを備える画像形成装置として、レーザビームプリンター(以下、プリンターと称する)を例示する。図1は、本発明の実施形態におけるプリンター1を示す概略構成図である。図2は、図1におけるプリンター1における感光体2及び帯電ローラー30を模式的に示す図である。図3は、本発明の実施形態における帯電ローラー30の軸心方向における断面図である。
【0022】
図1に示すように、プリンター1は、静電潜像及びトナー像を担持する感光体(像担持体)2を有しており、この感光体2の周囲には、感光体2を帯電させる帯電装置3と、感光体2に静電潜像を形成する露光装置4と、感光体2の静電潜像をトナーで現像する現像装置5と、感光体2のトナー像を転写する転写装置6と、感光体2をクリーニングするクリーニング装置7とが配置される。また、プリンター1は、各構成機器を統括して制御するコンピューターシステムを有する制御装置8を有する。
【0023】
感光体2は、円筒状の導電性基材と、その周面(外周面)に形成された感光層とを有する。この感光体2における導電性基材には、例えばアルミニウム等の導電性の管が用いられ、感光層には、従来公知の有機感光体が用いられる。そして、感光体2は、軸心方向において両側面にそれぞれ突設された回転軸2a及び回転軸2bが不図示の軸受を介して回転自在に支持され、モータ等の駆動源を有する回転駆動装置2cにより軸心周り(本実施形態では、図1中矢印方向(時計回り))に所定速度で回転する構成となっている。
【0024】
帯電装置3は、感光体2の表面を所定の帯電量に(均一に)帯電させる装置である。帯電装置3は、帯電ローラー30及びバイアス電源32を有している。
帯電ローラー30は、内部に中空部30aを有するパイプ型の帯電ローラーであり、軸心方向両端部に側壁31a及び側壁31bが設けられる円筒体31を有する。また、バイアス電源32は、帯電ローラー30に接続され、直流電圧と交流電圧とを重畳した電圧を印加する電源である。
【0025】
帯電ローラー30は、導電性を有する金属材(例えば、SUM22の表面にNiメッキを施したもの)から形成され、その周面(外周面)には、導電性塗装材を例えばスプレー塗装することにより抵抗層31cが形成されている。円筒体31の両端部の周面には、感光体2との帯電ギャップGを所定の距離(例えば10〜50μm程度)に規制するためのギャップ部材33が設けられる。このギャップ部材33は、円筒体31に一定膜厚のフィルム部材を巻き付けることにより形成される。
【0026】
この帯電ローラー30には、側壁31a及び側壁31bから軸心と一致するように回転軸31a1及び回転軸31b1が突設される。回転軸31a1及び回転軸31b1は、図2及び図3に示すように、それぞれ軸受34a及び軸受34bに回転自在に支持されている。軸受34a及び軸受34bには、それぞれ付勢装置35a及び付勢装置35bが接続されている。帯電ローラー30は、付勢装置35a及び付勢装置35bにより感光体2側に付勢され、ギャップ部材33と感光体2の周面とを圧接させ、帯電ギャップGを形成する。そして、バイアス電源32から直流電圧と交流電圧とを重畳した電圧を印加された帯電ローラー30は、帯電ギャップGをおいて感光体2を非接触帯電させる構成となっている。
【0027】
図4は、円筒体31の構成を示す斜視図である。
同図に示すように、円筒体31は、亜鉛メッキ鋼板やステンレス板等の金属板がプレス加工されて円筒状に形成されている。円筒体31が中空に形成されているため、本実施形態の帯電ローラー30は中実に形成される帯電ローラーに比べて軽量である。加えて、中実の帯電ローラーを用いる場合に比べて回転駆動に要する負担が軽減されることになる。
【0028】
円筒体31は、金属板の一対の端面が対向するようにプレス加工されたおり、対向する端面間には隙間180が形成されている。当該隙間180は、円筒体31の長手方向に沿って例えば直線状に形成されている。隙間180の形状については円筒体31の長手方向に沿った直線に限られず、他の形状としても構わない。図5に示すように、本実施形態では、端面間の距離d1は、0.01mm〜0.3mm程度に形成されている。
【0029】
図1に戻って、露光装置4は、例えばレーザ光等により帯電状態の感光体2に静電潜像を書き込む。また、現像装置5は、現像ローラー5a、トナー供給ローラー5bおよびトナー層厚規制部材5cを有している。そして、トナー供給ローラー5bによって現像ローラー5a上に現像剤であるトナーが供給されるとともに、この現像ローラー5a上のトナーがトナー層厚規制部材5cによりその厚みを規制されて感光体2の方へ搬送され、搬送されたトナーで感光体2上の静電潜像が現像されて感光体2上にトナー像が形成される。
【0030】
転写装置6は、転写ローラー6aを有し、この転写ローラー6aにより感光体2上にトナー像が転写紙や中間転写媒体等の転写媒体13に転写される。そして、トナー像が転写媒体13である転写紙に転写された場合には、転写紙上のトナー像が図示しない定着装置によって定着され、転写紙に画像が形成され、また、トナー像が転写媒体13である中間転写媒体に転写された場合には、中間転写媒体上のトナー像が更に転写紙に転写された後、転写紙上のトナー像が図示しない定着装置によって定着され、転写紙に画像が形成される。
【0031】
クリーニング装置7は、例えばクリーニングブレード等のクリーニング部材7aを有し、このクリーニング部材7aにより感光体2がクリーニングされて、感光体2上の転写残りトナーが除去されかつ回収される。
【0032】
次に、帯電ローラー30における共鳴音の発生メカニズム及び該共鳴音の発生を防止する上記構成のプリンター1の動作(制御方法)について図6を参照して説明する。
図6は、本発明の実施形態における帯電ローラー30において発生する共鳴音の発生メカニズムを説明する図である。
【0033】
プリンター1は、帯電ギャップGをおいて配置された帯電ローラー30を駆動させ、感光体2の表面を所定の帯電量に(均一に)帯電させる。具体的には、制御装置8から駆動指令を受けたバイアス電源32が、帯電ローラー30に対して直流電圧(Vdc)に交流電圧(Vac)を重畳した電圧(Vcr)を印加することで感光体2を帯電させる。バイアス電源32が印加する電圧(Vcr)は、下式(1)で表される。
【0034】
Vcr=Vdc+Vac … (1)
【0035】
直流電圧(Vdc)は、感光体の表面電位を決めるパラメータであり、例えば、直流電圧を−600(V)とすることで、感光体2の表面電位は、−600(V)より少し0(V)に近い値(例えば−590(V))となる。この直流電圧に重畳する交流電圧(Vac)は、下式(2)で表される。
【0036】
Vac=1/2Vpp・sin(2π・f・t) … (2)
【0037】
ここで、Vpp、f、tは、それぞれ交流電圧のピーク電圧、交流電圧の周波数、時間を示す。なお、ピーク電圧(Vpp)の2分の一(1/2Vpp)は、振幅電圧となる。
【0038】
ピーク電圧(Vpp)または振幅電圧(1/2Vpp)の値は、帯電ローラー30の表面と感光体2の近接距離、感光体2の膜厚、装置内の温度湿度等によって決まる値であるが、振幅電圧は、いわゆる放電開始電圧よりも大きいことが要件となる。帯電は、放電によって行われるからである。具体的に、帯電ローラー30の表面と感光体2の表面の距離(帯電ギャップG)を20(μm)、感光体2の膜厚を20(μm)とした場合に、振幅電圧を800〜900(V)とすることで放電させることができる。なお、上限(上記例で900(V))を定めたのは、印加電圧が高すぎると、いわゆる放電(コロナ放電)を起こす放電領域を越えて火花放電(絶縁破壊現象)を起こしてしまうため帯電ができなくなるためである。また、印加電圧を高くしすぎると、コロナ放電を起こす際にオゾンが発生しすぎるためである(オゾンは酸化剤の役目も果たすため極力発生させないことが人体への影響の点で好ましい)。
【0039】
f(Hz)は、交流電圧の周波数である。fは、感光体2の周速(感光体2の回転速度)によって決定される。具体的には、感光体2の周速を100(mm/s)程度とすると、A4サイズの紙を横送りに搬送して約10(ppm)(1分間に10枚程度の印字速度)で印刷することができる。この場合、fは、600(Hz)程度にすれば、いわゆる紙搬送方向に対する帯電斑、すなわち現像した際にあらわれる印字斑に対して人間の視覚をごまかすことができ、良好な画像形成を行うことができる。
【0040】
一方、印字速度を上げるべく制御装置8が、回転駆動装置2cに駆動指令をあたえて、感光体2の周速を100(mm/s)から200(mm/s)程度に可変させた場合、A4サイズの紙を横送りに搬送して約20ppmの印刷を行うことができるが、fが600(Hz)のままであると、人間の視覚をごまかすことができず、fに起因した印字斑が目立ち画像形成不良となる。そこで、この場合、制御装置8がバイアス電源32に交流電圧の周波数を調節する駆動指令を与えて、f=1200(Hz)程度に調節することで印字斑の問題を解消することができる。
【0041】
ただし、上記のように画像形成不良を防止すべくfを大きくしすぎると、放電の際に流れる電流が大きくなり感光体2の表面を放電により傷つけるという不利益があり、また、オゾンの発生量が多くなるという不利益がある。よって、fは、感光体2の回転速度との関係により決まる値であるが、印字斑が視認されることを防止するという画像形成特性及び過放電を防止するという放電特性を考慮して適切な値に調節されることとなる。
【0042】
共鳴音は、帯電ローラー30の長さ(軸心方向)と帯電ローラー30に印加する交流電圧の周波数fに起因して決まる。より詳しくは、この共鳴音は、帯電ローラー30のパイプ長に起因する共鳴周波数と交流電圧の周波数とが近しい場合に互いに干渉し合うことが発生の原因の一つとなっている。なお、共鳴音は、交流電圧の振幅(Vpp)によっても決まるが、これにより決まるのは、各周波数における音圧(音の強度)である。この共鳴音は、例えば図6に示す細線の如く、帯電ローラー30の中空部30aにおいて、側壁31a及び側壁31bを固定端として軸心方向において空気が震えることにより生じる。
【0043】
以下、具体的に共鳴周波数について数値を入れて説明する。ここでは、帯電ローラー30の放電領域の長さLを340(mm)とし、帯電ローラー30に印加する電圧Vcr=Vdc+Vac=−600+800sin(2π・f・t)とする条件下を想定する。ここで、常温時の空気の移動速度(v)は、約340(m/s)である。
【0044】
すると、共鳴周波数f´は、v=f´λより、図6に示す場合では、f´=v/λの式で表すことができる。よって、上記の条件の場合は、f´=1000(Hz)と求められる。すなわち、fがf´となる場合、共鳴音が発生する。
【0045】
本実施形態の帯電ローラー30によれば、上述したように円筒体31の長手方向に沿って隙間が形成されているため、上記のように感光体2の回転速度を可変した際に交流電圧の周波数と共鳴周波数が近しい値になり共鳴音が生じる場合であっても、該共鳴音が低減される。すなわち、振動する空気が当該隙間を介して外部に逃れることが可能となる。したがって、中空部30aにおける空気の振動の度合いが低減され、その結果共鳴音の発生が抑制されることとなる。
【0046】
また、本実施形態では、円筒体31に形成されている隙間180の間隔(端面161a、161b間の距離)d1が0.01mm〜0.3mm程度であり、円筒体31が回転する際の円筒体31の表面の移動速さVは、300mm/s(0.3mm/ms)である。このため、感光体2の回転面上の一点を隙間180が回転によって通過するのに要する時間は、0.03ms〜1.0msとなる。一方、上記の交流電圧の周期Tは、例えば0.8〜1.0ms(ミリ秒)である。このため、1周期分の電圧が印加される期間よりも短い期間で隙間180が感光体2の回転面上の一点を通過することになる。
【0047】
隙間180には電圧が印加されないため、隙間180が感光体2の回転面上の一点を通過する間は、感光体2に電界が印加されない期間となる。当該期間が電圧の周期Tよりも長くなると、円筒体31に電圧が印加されている(すなわち、画像形成の制御が行われている)にもかかわらず感光体2には電圧が印加されず、その期間は画像が形成されない状態となる。このため、画像に白スジが発生するなど、画像ムラが生じてしまう。
【0048】
これに対して、本実施形態では、電圧の周期Tよりも、隙間180が感光体2の回転面上の一点を通過する時間の方が長くなるようにし、1周期分の電圧が印加される期間よりも短い期間で隙間180が感光体2の回転面上の一点を通過することとしたので、1周期分の電圧の少なくとも一部が常にトナーに印加されることとなる。このため、画像ムラの発生が抑制されることとなる。
【0049】
次に、円筒体31(円筒体31)の製造方法を説明する。
円筒体31の円筒体31を製造するには、まず、図7に示すように矩形板状または帯状の大型金属板165を用意する。この大型金属板165としては、例えば厚さ1mm程度の亜鉛メッキ鋼板が用いられる。続いて、この大型金属板165をプレス加工することにより、図7に示すように前記円筒体31に対応する大きさの細長い矩形板状の金属板(第2金属板)160、すなわち円筒体31の基材となる金属板160を形成する。
【0050】
次いで、金属板160を図8(a)〜(c)、図9(a)〜(c)のプレス加工工程図に示すように円筒状(パイプ状)にプレス加工し、その両側(長辺側)の端面161a、161bを近接させる。
【0051】
すなわち、まず、図8(a)に示す雄型101と雌型102とで金属板160をプレス加工(プレス加工)し、金属板160の両側部162a、162bを円弧状(望ましくは略1/4円弧)に曲げる。なお、図8(a)においては、各部材を分かりやすくするため、金属板160と雄型101と雌型102との間にそれぞれ間隔を開けてこれらの部材を記しているが、この間隔は実際には存在せず、金属板160と雄型101、雌型102とはそれぞれの接触部においてほぼ密着している。これは、後述する図8(b)、(c)、図9(a)〜(c)においても同様である。
【0052】
続いて、図8(a)で得られた金属板160の幅方向(曲げ方向)における中央部を、図8(b)に示す雄型103と雌型104とでプレス加工(プレス加工)し、円弧状(望ましくは略1/4円弧)に曲げる。
【0053】
次いで、図8(c)に示すように、図8(b)で得られた金属板160の内部に芯型105を配置し、図8(c)に示す上型106と下型107とを用いて、図9(a)〜(c)に示すようにして金属板160の両側部162a、162bの各端面161a、161bを近接させる。
【0054】
図8(c)および図9(a)〜(c)に示す芯型105の外径は、形成する円筒状の中空パイプの内径と等しくしてある。また、上型106のプレス面106cの半径と下型107のプレス面107aの半径は、それぞれ、形成する中空パイプの外径の半径と等しくしてある。また、図9(a)〜(c)に示すように上型106は左右一対の割型であり、これら割型106a、106bは、それぞれ独立して昇降可能に構成されている。
【0055】
図8(c)に示す状態から、図9(a)に示すように右側の上型106aを下型107に対して相対的に下降させ(以下、同様に型の移動は相対的移動を意味する)、金属板160の一方の側をプレス加工し、略半円形状にプレス加工する。なお、下型107も上型106と同様左右一対の割型とし(割面107b参照)、この図9(a)に示す工程の際に、同じ側の下型を上昇させてもよい。
【0056】
図9(b)に示すように、芯型106を少し(一方の側の端面161aと他方の側の端面161bとを近接させることができる程度に)下降させるとともに、他方の側の上型106bを下降させ、金属板160の他方の側をプレス加工し、略半円形状に曲げる。
【0057】
その後、図9(c)に示すように、芯型105および一対の上型106a、106bをともに下降させ、円筒状の中空パイプ(円筒体31)を形成する。この状態で左右両側の端面161a、161bは、僅かな隙間を介して十分に近接した状態となる。すなわち、この円筒状の中空パイプにあっては、基材である金属板160の両端面161a、161bが互いに近接してなることでこれら両端面161a、161b間に繋ぎ目が形成され、したがってこの繋ぎ目は、両端面161a、161bが離間していることによって隙間を有したものとなっている。
【0058】
次いで、本実施形態では、形成した中空パイプ(円筒体31)の真円度を高め、振れを少なくするべく、従来公知のセンターレス研磨加工を行い、前記中空パイプ(円筒体31)の外周面を研磨する。
【0059】
すると、この中空パイプは、センターレス研磨加工前に比べその真円度がより良好になり、また、振れ量も小さい円筒体31となる。また、この円筒体31にあっては、前記の両端面161a、161b間がより狭まることで、図9(a)に示すようにこれら両端面161a、161b間の隙間がより狭くされた繋ぎ目180が形成される。
【0060】
このようにして円筒体31を形成したら、この円筒体31の表面にスプレー塗装を施す。当該スプレー塗装に際しては、円筒体31を軸廻りに回転させることにより、その全周に亘って樹脂膜をほぼ均一な厚さに形成する。この樹脂膜の膜厚については、例えば10μm〜30μm程度に形成する。このような膜厚については、前記樹脂粒子の噴出量及び噴出時間等によって適宜に調整することができる。
【0061】
円筒体31の両端部には、その一方あるいは両方に、例えば搬送駆動ギアやインナーギアなど、種々の連結部品に連結するための係合部が形成可能になっている。例えば、図10(a)、(b)に示すように、円筒状のパイプ(中空パイプ)からなる円筒体31の相対向する位置、すなわち円筒体31の直径を規定する二点の形成面に、それぞれ貫通孔71a、71aを形成し、これら一対の貫通孔71a、71aを含んでなる係合孔(係合部)71を形成することができる。この係合孔71によれば、歯車等の連結部品72を軸やピン等(図示せず)によって固定することができる。
【0062】
図11(a)、(b)に示すように、円筒体31の端部にDカット状の係合部73を形成することもできる。この係合部73は、円筒状の中空パイプ(円筒体31)の端部に形成されたもので、図11(a)に示すようにその一部が平面視矩形状に切り欠かれて開口73aを形成し、これによって図11(b)に示すように端部側面の外形が見掛け上D状に形成されたものである。
【0063】
したがって、歯車等の連結部品(図示せず)を、この見掛け上D状に形成された係合部73に係合させることにより、該連結部品を円筒体31に対し空回りさせることなく、取り付けることができる。また、この係合部73については、中空パイプ(円筒体31)の内部孔に通じる溝状の開口73aが形成されていることから、この開口73aを利用することによっても、連結部品を円筒体31に対し空回りさせることなく取り付けることができる。具体的には、連結部品に凸部を形成しておき、この凸部を前記開口73aに嵌合させることにより、空回りを防止することができる。
【0064】
また、図12(a)、(b)に示すように、円筒体31の端部に溝74aとDカット部74bとを有した係合部74を形成することもできる。この係合部74において、Dカット部74bは円筒体31の外端に形成されており、溝74aはDカット部74bより内側に形成されている。溝74aは、図12(a)に示すように、円筒体31がその周方向に略半分切り欠かれて形成されたものである。Dカット部74bは、溝74aの外側において該溝74aと直交する方向に延在する開口74cを有し、この開口74cの両側に、一対の折曲片74d、74dを有したものである。すなわち、図12(b)に示すようにこれら一対の折曲片74d、74dが円筒体31の中心軸側に折曲させられたことにより、これら折曲片74d、74dに対応する部分が、円筒体31の円形の外周面から凹んだ状態となっている。
【0065】
したがって、歯車等の連結部品(図示せず)を、前記溝74aに係合させまたはDカット部74bに係合させることにより、該連結部品を円筒体31に対し空回りさせることなく、取り付けることができる。また、この係合部74では、折曲片74d間に形成された開口74cを利用することによっても、連結部品を円筒体31に対し空回りさせることなく取り付けることができる。具体的には、連結部品に凸部を形成しておき、この凸部を前記開口74cに嵌合させることにより、空回りを防止することができる。
【0066】
また、図13(a)、(b)に示すように、円筒体31の端部に溝75aと開口75bとを有した係合部75を形成することもできる。この係合部75において、開口75bは円筒体31の外端に形成されており、溝75aは開口75bより内側に形成されている。溝75aは、図13(a)に示すように、円筒体31がその周方向に略半分切り欠かれて形成されたものである。開口75bは、溝75aの外側において円筒体31の一部が平面視矩形状に切り欠かれ、これによって図13(b)に示すように端部側面の外形が見掛け上D状に形成されたものである。
【0067】
したがって、歯車等の連結部品(図示せず)を、前記溝75aに係合させまたは開口75bによって形成された見掛け上D状に形成された部位に係合させることにより、該連結部品を円筒体31に対し空回りさせることなく、取り付けることができる。また、この係合部75でも、図11(a)、(b)に示した係合部73と同様に、開口75bを利用することによって、連結部品を円筒体31に対し空回りさせることなく取り付けることができる。
【0068】
このような係合孔71や係合部73、74、75を形成するには、金属板160をプレス加工して得られた円筒体31に対して、さらに切削加工等を施すことで行うことができる。例えば、図11(a)、(b)に示した係合部73については、その端部を切削加工して開口73aを形成することにより、見掛け上D状の係合部73を形成することができる。また、図10(a)、(b)に示した係合孔71についても、円筒体31に対して孔開け加工することで、一対の貫通孔71a、71aをより良好に対向させることができる。
【0069】
しかしながら、このように円筒体31に対してさらに加工を施すのでは、係合部の形成だけのために別途加工工程を追加することで、コストや時間についての効率が低下してしまう。そこで、円筒体31にプレス加工する前に、プレス加工によって係合部となる展開係合部を金属板に形成しておき、この金属板をプレス加工して円筒体31とする際に、係合部も同時に形成するのが好ましい。
【0070】
具体的には、図9(a)に示した大型の金属板(第1金属板)165を細長い矩形板状の金属板(第2金属板)160にプレス加工する際、この大型金属板165から小型の金属板160への加工と同時に、得られる金属板160の端部に、切欠状、突片状、孔状、あるいは溝状等の展開係合部を形成する。例えば、図14(a)に示すように金属板160の端部の所定位置に一対の貫通孔71a、71aを加工し、これらを展開係合部76aとしておくことにより、この金属板160をプレス加工することで前記一対の貫通孔71a、71aを対向させ、図10(a)、(b)に示した係合孔71を形成することができる。
【0071】
図14(b)に示すように、金属板160の端部を所定形状に切り欠いて展開係合部76bとしておくことにより、この金属板160をプレス加工することで図12(a)、(b)に示した係合部74を形成することができる。すなわち、展開係合部76bとして、一対の切欠部(凹部)74e、74eと一対の突片74f、74fとを形成しておくことにより、係合部74を形成することができる。ただし、この例では、金属板160をプレス加工した後、一対の突片74f、74fを内側に折りプレス加工して折曲片74dとする必要があるため、加工工程についてのコストや時間の効率化を十分に高めるにはやや不十分である。
【0072】
そこで、図14(c)に示すように、金属板160の端部を所定形状に切り欠いて展開係合部76cとしておくことにより、この金属板160をプレス加工することで図9(a)、(b)に示した係合部75を形成することができる。すなわち、展開係合部76cとして、一対の切欠部(凹部)75c、75cと一対の突片75d、75dとを形成しておくことにより、係合部75を形成することができる。この例では、金属板160をプレス加工した際に一対の突片75d、75dも円弧状に曲げることにより、これら突片75d、75d間に図13(b)に示した開口75bを形成することができる。したがって、プレス加工によって形成した円筒体31に対し、さらに加工を追加する必要がなく、これにより加工工程についてのコストや時間の効率化を十分に高めることができる。
【0073】
また、本実施形態に係る円筒体31では、その繋ぎ目180を、円筒状の中空パイプからなる円筒体31の中心軸と平行になるように形成したが、本発明はこれに限定されることなく、例えば基材となる金属板160の一対の端部間に形成される繋ぎ目を、前記円筒状パイプ(円筒体31)の外周面上における、該円筒状パイプの中心軸に平行な直線上において、該直線に対して線分で重なることなく、一つあるいは複数の点でのみ重なるように形成してもよい。
【0074】
具体的には、図15(a)に示すように繋ぎ目81として、円筒体31の中心軸310cに平行となることなくこれに交差するように、円筒体31の外周面をその周方向に延びつつ、円筒体31の一端から他端にかけて延在するように形成してもよい。このように繋ぎ目181を形成するには、基材となる金属板として、細長い矩形状の金属板160でなく、図15(b)に示すように細長い平行四辺形の金属板160aを用い、符号310cで示す直線が中心軸となるようにプレス加工する。これにより、図15(a)に示した円筒体31が得られ、繋ぎ目181が中心軸310cに対して非平行となる。
【0075】
図15(a)に示した円筒体31では、その繋ぎ目181が、円筒体31の一端から他端にかけて、その周面を一周未満しか回らないように形成している。これは、金属板160aのプレス加工を容易にするためである。ただし、図15(c)に示すように繋ぎ目182が、円筒体31の一端から他端にかけて、その周面を一周以上回るように、すなわち螺旋状に回るように形成してもよい。その場合には、基材となる金属板として、図15(b)に示した細長い平行四辺形の金属板160aにおける、角度θをより鋭角にすればよい。
【0076】
図16(a)に示すように繋ぎ目183を、サイン波等の曲線からなる波線状に形成してもよい。このように繋ぎ目183を形成するには、基材となる金属板として、図16(b)に示すように、細長い略矩形状で、その両方の長辺が波線状に形成された金属板160bを用い、符号310cで示す直線が中心軸となるようにプレス加工する。なお、波線状に形成された一対の長辺は、プレス加工によってこれらが近接させられるため、当然ながら互いに対応する箇所間では、一方の長辺が山部となる場合に他方の長辺では谷部となり、逆に、一方の長辺が谷部となる場合に他方の長辺では山部となるように形成する。また、この例では、繋ぎ目183の中心線が円筒体31の中心軸と平行になるように形成したが、この繋ぎ目183の中心線も、円筒体31の中心軸と非平行になるように形成してもよい。その場合に、基材となる金属板として、図15(b)に示したような細長い平行四辺形の金属板で、かつ、その両方の長辺が波線状に形成されたものを用いればよい。
【0077】
図17(a)に示すように繋ぎ目184を、鉤状に折れ曲がった波線状に形成してもよい。このように繋ぎ目184を形成するには、基材となる金属板として、図17(b)に示すように、細長い略矩形状で、その両方の長辺が鉤状に折れ曲がった波線状に形成された金属板160cを用い、符号310cで示す直線が中心軸となるようにプレス加工する。この金属板160cにおいても、波線状に形成された一対の長辺において互いに対応する箇所間では、一方の長辺が山部となる場合に他方の長辺では谷部となり、逆に、一方の長辺が谷部となる場合に他方の長辺では山部となるように形成する。なお、この例でも、繋ぎ目184の中心線が円筒体31の中心軸と平行になるように形成したが、前記繋ぎ目183の場合と同様に、円筒体31の中心軸と非平行になるように形成してもよい。
【0078】
繋ぎ目については、図15〜図17に示した例に限定されることなく、種々の形状を採用することができる。例えば、図23(a)に示した曲線からなる波線と、図17(a)に示した折れ曲がった波線とを組み合わせてもよく、これらに、図15に示したような斜めの線を組み合わせてもよい。
【0079】
円筒状の中空パイプからなる円筒体31の繋ぎ目については、上記に例示した構成以外にも、例えば図18(a)に示すように、円筒体31の中心軸と平行な直線部185aとこれに直交する直線部185bとからなる、矩形波状の折曲部185を有して形成されていてもよい。このような折曲部185を有してなる繋ぎ目にあっても、この繋ぎ目に起因して仮に溝が形成された場合に、この溝が紙送りの際に用紙Pの幅全体に同時に接触することがないため、用紙Pの搬送速度がほぼ一定になり、現像ムラが防止される。
【0080】
この折曲部185については、図18(b)に示すように円筒体31の長さ全体に亘って形成されていてもよく、図18(c)に示すように、その中央部を除く両端部に選択的に形成されていてもよい。図18(c)に示したように折曲部185を両端部にのみ形成する場合には、これら折曲部185間は円筒体31の中心軸と平行な中央直線部186となる。ただし、図示しないものの、折曲部185間の中央直線部を、図14(a)に示したように中心軸310cと非平行となる斜め線に形成してもよい。
【0081】
繋ぎ目に折曲部185を形成し、したがってこの折曲部185を凹凸による嵌合部にすると、これら折曲部185(嵌合部)では設計通りに嵌合させ、凸部の先端とこれに対応する凹部との間を隙間なく近接させる(突き合わせる)のが難しくなる。したがって、円筒体31の全長に亘って折曲部185を形成すると、円筒体31に歪みや捩れ等が生じ易くなる。そこで、図18(c)に示したように折曲部185を両端部にのみ形成すれば、このような歪みや捩れ等が生じるのを抑えることができる。
【0082】
図18(b)に示したように、折曲部185を円筒体31の長さ全体に亘って形成した場合、図19(a)に示すようにこの折曲部185からなる繋ぎ目187を、前記直線部185bからなる複数の交差部187aと、該交差部187aの一方の側の端部間を結ぶ第1直線部187bと、他方の側の端部間を結ぶ第2直線部187cとからなるように形成してもよい。ここで、第1直線部187bおよび第2直線部187cは円筒体31の中心軸に略平行となるように形成し、交差部187aはこれら第1直線部187bおよび第2直線部187cと直交するように、つまり円筒体31の中心軸に直交するように形成する。また、第2直線部187cは第1直線部187bより短く形成する。
【0083】
このような構成の繋ぎ目187を形成する場合、特に、第2直線部187cにおいて互いに対向する前記一対の端部間の距離d3を、前記第1直線部187bにおいて互いに対向する一対の端部間の距離d4より長く形成するのが好ましい。なお、ここでいう一対の端部間の距離d3、d4は、いずれも円筒体31における外周面に形成される隙間における端部間の距離とする。
【0084】
このようにすれば、円筒体31の、円筒状中空パイプとしての形状や寸法の精度をより高くすることができ、したがって、円筒体31の変形等に起因する現像ムラを防止することができる。すなわち、このような円筒体31を形成するための基材となる金属板では、前記第2直線部187cを構成する一方の端部は、隣り合う一対の交差部187a、187aとこれらの端部間を結ぶ第2直線部187cとを外形とする凸片187dとなる。したがって、金属板をプレス加工してこの凸片187dを対向する端部に近接させようとした際、図19(b)中に二点鎖線で示すように、この凸片187dの先端側が円周面状に十分に曲げられずに、対向する端部に対して寸法t1分浮いた状態になり、結果としてこの第2直線部187cおいて段差を形成してしまう。すると、この段差に起因して、得られる円筒体31には変形等が生じ易くなり、形状や寸法について良好な精度が得られにくくなってしまう。
【0085】
そこで、この第2直線部187cにおける端部間の距離d3を、この第2直線部187cより長く形成されている第1直線部187bにおける端部間の距離d4よりも長くすることにより、図19(b)中に実線で示すように、凸片187dの先端側が浮く分の寸法t2が前記のt1に比べて少なく(小さく)なり、これによって第2直線部187cにおいて段差が形成されるのを抑えることができる。なお、図19(b)では、理解を容易にするため寸法t2も大きく記しているが、実際にはこの寸法t2はほとんど零に近くなり、実質的な段差がなくなるようになる。つまり、このように第2直線部187cにおいて段差が形成されるのを抑えることにより、この段差に起因する円筒体31の変形等を抑え、形状や寸法についての精度を高めることができるのである。
【0086】
図18(c)に示したように、折曲部185を円筒体31の両端部にのみ形成した場合、図20に示すようにこの折曲部185における交差部187a(直線部185b)において互いに対向する前記一対の端部間の距離d5を、前記中央直線部186において互いに対向する一対の端部間の距離d6より短く形成するのが好ましい。
【0087】
このようにすれば、距離d5が相対的に短くなって交差部187aにおける端部間の隙間が非常に狭くなるため、円筒体31を形成するための基材となる金属板をプレス加工した際、一方の端部と他方の端部との間の長さ方向(軸方向)でのずれが、交差部187aを構成する一対の対向する端部によって規制されるようになる。したがって、得られる円筒体31に歪みや捩れ等が生じにくくなり、このような歪みや捩れ等に起因する現像ムラが防止される。
【0088】
図18(c)に示したように、折曲部185を円筒体31の両端部にのみ形成した場合には、図20に示すようにこの折曲部185の前記凸片187dを構成する第2直線部187cにおいて互いに対向する一対の端部間の距離d7を、前記中央直線部186において互いに対向する一対の端部間の距離d6より短く形成してもよく、また、長く形成してもよい。
【0089】
距離d7を距離d6より短く形成すれば、繋ぎ目の全長を見た場合に、対向する一対の端部間にできる隙間がより均一化し易くなり、これによって得られる円筒体31の形状や寸法についての精度がより高くなる。すなわち、中央直線部186の長さは折曲部185における第2直線部187cの長さより長くなり、したがって中央直線部186における一対の端部間の方が第2直線部187cに比べて精度良く近接させることができる。よって、相対的に端部間の精度をより良好にすることができる中央直線部186の方の一対の端部間の距離を、第2直線部187cに比べて長くしてその隙間を大きくしても、この隙間を十分均一にすることが可能になり、したがって得られる円筒体31の歪みや捩れ等に起因する現像ムラが防止される。
【0090】
一方、距離d7を距離d6より長く形成すれば、図19(b)に示したように凸片187dの先端側が浮く分の寸法t2が少なく(小さく)なり、これによって第2直線部187cにおいて段差が形成されるのが抑えられる。よって、このように第2直線部187cにおいて段差が形成されるのが抑えられることにより、この段差に起因する円筒体31の変形等が抑えられ、形状や寸法についての精度が高めることによって現像ムラが防止される。
【0091】
円筒状の中空パイプからなる円筒体31の繋ぎ目については、前記例以外にも、例えば図21(a)に示すように折曲部188における交差部188aを、円筒体31の中心軸に対して非平行とし、折曲部188における凸片188bの先端側の角度αを鈍角(180°未満)に形成してもよい。このようにすれば、金属板のプレス加工において一対の端面を近接させた際、凸片188bの先端を対応する凹部に嵌合させ易くなり、したがって、円筒体31に歪みや捩れ等が生じるのを抑制することができる。
【0092】
図18(c)に示したように折曲部185を両端部のみに形成した構造において、折曲部185を、例えば図21(b)に示すように図23(a)に示した曲線からなる波線89aに代えてもよく、さらに、図21(c)に示すように図24(a)に示した折れ曲がった波線189bに代えてもよい。
【0093】
図18(a)に示した矩形波状の折曲部185と、図21(b)に示した曲線からなる波線189aとを組み合わせて繋ぎ目を形成してもよく、矩形波状の折曲部185と、図21(c)に示した折れ曲がった波線189bとを組み合わせて繋ぎ目を形成してもよい。
【0094】
以上のように、本実施形態によれば、円筒体31を形成する際に、金属板160の第1板面160aにプレス加工によって第1溝部512a及び第2溝部512bを構成する凹凸パターンPTNを形成するステップと、当該凹凸パターンPTNが形成された第1板面160aが外面となるように、かつ、金属板160の対向する一対の端辺161a及び161bが近接するように、金属板160をプレス加工によって円筒状に形成するステップとを含むこととした。
【0095】
金属板160をプレス加工することにより中空の円筒状の円筒体31を形成することができるため、中実の円柱状のローラーに比べて軽量な円筒体31を製造することができる。加えて、金属板160の第1板面160aに所定の凹凸パターンPTNを形成した後に金属板160のプレス加工を行うこととしたので、金属板160に形成することができる凹凸パターンPTNの自由度が広がることになる。また、金属板160の一対の端面161a、161bを密着させずに近接するようにしたので、圧縮空気の逃げ場を確保することができる。これにより、円筒体31の回転時の振動を防ぐことができる。
【0096】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態では、円筒体31を形成する際、金属板160の一対の端面161a、161bの全面を離した状態とする例を説明したが、これに限られることは無く、例えば端面161a及び161b間の一部について、溶接工程によって固定することとしても構わない。この場合、金属板160に塗装工程が行われる前に溶接工程を行うことが好ましい。
【符号の説明】
【0097】
1…レーザービームプリンタ(画像形成装置) 30…帯電ローラー 160…金属板 160a…第1板面 180…隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の端面が所定の間隔を空けて対向するように円筒状に形成された金属板を有し、
前記金属板には、前記一対の端面間に接合部が形成されている
ことを特徴とする帯電ローラー。
【請求項2】
前記金属板は、プレス加工によって円筒状に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の帯電ローラー。
【請求項3】
金属板の一対の端辺が所定の間隔を空けて対向するように前記金属板をプレス加工によって円筒状に形成してなる
ことを特徴とする帯電ローラー。
【請求項4】
回転可能に設けられ、潜像を担持する像担持体と、
前記像担持体に非接触で対向する位置に回転可能に設けられた帯電ローラーと、
前記像担持体と前記帯電ローラーとの間に所定電圧を印加する電圧印加装置と、
前記像担持体及び前記帯電ローラーを回転させる回転装置と
を備え、
前記帯電ローラーとして請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の帯電ローラーが用いられており、
前記回転装置は、前記帯電ローラーの周速が前記像担持体の周速よりも大きくなるように前記像担持体及び前記帯電ローラーを回転させる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記電圧印加装置は、所定周期の交流電圧を印加し、
前記帯電ローラーの回転によって前記接合部が前記像担持体の回転面上の一点を通過する時間よりも前記所定周期の方が大きくなるように前記所定周期及び前記帯電ローラーの周速のうち少なくとも一方を調整する制御部を有する
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
回転可能に設けられ、潜像を担持する像担持体と、
前記像担持体に非接触で対向する位置に回転可能に設けられた帯電ローラーと、
前記像担持体と前記帯電ローラーとの間に所定電圧を印加する電圧印加装置と、
前記像担持体及び前記帯電ローラーを回転させる回転装置と
を用いて行う画像形成方法であって、
前記帯電ローラーとして、請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の帯電ローラーが用いられており、
前記回転装置は、前記帯電ローラーの周速が前記像担持体の周速よりも大きくなるように前記像担持体及び前記帯電ローラーを回転させる
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項7】
前記像担持体と前記帯電ローラーとの間に、所定周期の交流電圧を印加し、
前記帯電ローラーの回転によって前記接合部が前記像担持体の回転面上の一点を通過する時間よりも前記所定周期の方が大きくなるように前記所定周期及び前記帯電ローラーの周速のうち少なくとも一方を調整する
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−230748(P2010−230748A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75519(P2009−75519)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】