説明

帯電器清掃機構

【課題】簡単な構成で容易に帯電器のグリッドの外表面を清掃することが可能な帯電器清掃機構を提供する。
【解決手段】本発明の帯電器清掃機構は、シールドケースと、シールドケースの開口に設けられ、複数の隙間を有するグリッドと、シールドケースおよびグリッドにより形成された空間内に設けられた帯電部材と、を備える帯電器に設けられる。帯電器清掃機構は、グリッドの内表面を清掃する第1のパッド部と、グリッドの外表面を清掃する第2のパッド部と、第1のパッド部を支持しシールドケースの長手方向に移動可能なパッド固定部材と、を備える。第1のパッド部は、グリッドの内表面に接触する第1パッドと、当該第1パッドとパッド固定部材との間に設けられる第1吸着部とを有し、第2のパッド部は、グリッドの外表面に接触する第2パッドと、当該第2パッドの感光体ドラム側の面に設けられ、グリッドを介して第1吸着部に吸着する第2吸着部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等の画像形成装置に用いられる帯電器用の清掃機構に関する。
【背景技術】
【0002】
トナー等の現像剤を用いて記録媒体に画像を形成する電子写真方式の画像形成装置では、感光体ドラム上に形成された静電潜像を現像剤で現像して現像剤像を生成し、当該現像剤像を記録媒体に転写することにより画像を形成する。感光体ドラムは、静電潜像が形成される前に、帯電器により所定の電位に予め一様に帯電される。
【0003】
帯電器10は、例えば図16および図17に示すように、感光体ドラム1の周面と対向して配置される。帯電器10の構成は種々あるが、一般的な帯電器として、例えばコロナ放電を利用したコロナ帯電器がある。かかる帯電器10は、帯電部材であるワイヤー状の帯電線16と、帯電線16と感光体ドラム1との間に設けられるグリッド14とからなる。帯電線16は、例えばタングステン等の材質からなり、グリッド14およびシールドケース11によって包囲されている。図16に示す例では、支持部材15の内部に形成された内部空間に設けられている。グリッド14は、金属ワイヤーや金属メッシュにより構成される。
【0004】
帯電線16に高電圧が印加されると、コロナ放電が発生する。電荷はシールドケース11によって感光体ドラム1側へ集中される。また、グリッド14に印加された電圧によって帯電電位が規制され、感光体ドラム1の表面電位を飽和させることができる。
【0005】
ここで、コロナ放電を用いた帯電器10では、少量のオゾンが発生する。このオゾンが空気中の物質と反応すると、反応物質が異物Dとして帯電線16やグリッド14、シールドケース11内部に付着する。また、画像形成装置内に飛散したトナーや紙粉等も異物Dとしてこれらに付着する。このため、帯電器10には、通常、シールドケース11内部を清掃する清掃機構が設けられている。清掃機構は、例えば図16および図17に示すように、パッド13が固定されたパッド固定部材12を支持部材15により支持する構成となっている。パッド13は、グリッド14のシールドケース11内側の面と接触される。支持部材15によって支持されたパッド固定部材12を長手方向に移動させることにより、パッド固定部材12のパッド13にグリッド14のシールドケース11内側の面に付着した異物Dが吸着する。こうしてグリッド14から異物を除去することができる。
【0006】
しかし、図16に示すような、グリッド14外部側からシールドケース11内を通り、シールドケース11の上方(感光体ドラム1と反対側)に形成されたスリットに向かって空気が流れる吸引式の帯電器10の場合には、グリッド14をダクトとして画像形成装置内の空気を吸引するため、グリッド14の外表面(感光体ドラム1と対向する側の面)に異物Dが付着しやすい。グリッド14の外表面に異物Dが付着すると、感光体ドラム1上に形成された現像剤像を乱すこともあり、画質不良の原因となってしまう。しかしながら、図16および図17に示した従来の構成の帯電器10の清掃機構では、グリッド14のシールドケース11内側の面の異物Dしか除去することができず、グリッド14の外表面に付着した異物Dを除去できないという問題があった。
【0007】
このような問題に対して、例えば特許文献1では、グリッドの長手方向に延在するよう配設された清掃部材と、清掃部材をグリッドの外側表面に沿ってかつ実質上横枠部の各々の延在方向にグリッドの一側縁と他側縁との間を往復平行移動させる往復平行移動手段とを備える、帯電器の清掃機構が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−145401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載の帯電器の清掃機構は、清掃部材を移動させる駆動源が必要であり、複雑で大型なものとなっていた。このため、部品数が多くコストアップにつながってしまう。また、感光体ドラムとグリッドとの間は僅かな隙間しかなく、かつ、近年の小型化された画像形成装置において特許文献1に記載されたような清掃機構を設置することは困難である。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、簡単な構成で容易に帯電器のグリッドの外表面を清掃することが可能な、新規かつ改良された帯電器清掃機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、感光体ドラムの長手方向に沿って配置され、感光体ドラムと対向する面が開口するシールドケースと、シールドケースの開口に設けられ、複数の隙間を有するグリッドと、シールドケースおよびグリッドにより形成された空間内に設けられた帯電部材と、を備える吸引式のコロナ放電を用いた帯電器に設けられる、帯電器清掃機構が提供される。帯電器清掃機構は、シールドケースおよびグリッドにより形成された空間内に設けられ、グリッドの内表面を清掃する第1のパッド部と、グリッドの外表面を清掃する第2のパッド部と、第1のパッド部を支持し、シールドケースの長手方向に移動可能なパッド固定部材と、を備える。第1のパッド部は、グリッドの内表面に接触する第1パッドと、当該第1パッドとパッド固定部材との間に設けられる第1吸着部とを有し、第2のパッド部は、グリッドの外表面に接触する第2パッドと、当該第2パッドの感光体ドラム側の面に設けられ、グリッドを介して第1吸着部に吸着する第2吸着部とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、帯電器清掃機構は、グリッドに付着した異物等を除去するため、グリッドの内表面に接触して異物を除去する第1パッドを備える第1のパッド部と、グリッドの外表面に接触して異物を除去する第2パッドを備える第2のパッド部とを有して構成される。第1パッドとパッド固定部材との間には第1吸着部が設けられており、第2のパッド部の第2吸着部と吸着する。第1吸着部と第2吸着部との吸着力によって、第2のパッド部は、グリッドを介して、シールドケース内部に設けられた第1のパッド部に保持される。パッド固定部材がシールドケースの長手方向に移動されると、これに固定された第1のパッド部および当該第1のパッド部に吸着力によって保持されている第2のパッド部も移動する。このように、第1吸着部および第2吸着部を用いて、グリッドを両側からパッドで挟み込むことにより、簡単な構成で容易に帯電器のグリッドの内表面だけでなく外表面も清掃することができる。
【0013】
ここで、第1吸着部は磁石であり、第2の吸着部は磁石に吸着する磁性体であってもよい。あるいは、第2吸着部は磁石であり、第2の吸着部は磁石に吸着する磁性体であってもよい。
【0014】
また、帯電器清掃機構は、第1のパッド部と第2のパッド部とがグリッドを介して吸着した状態を保持する固定部材をさらに備えてもよい。
【0015】
さらに、帯電器清掃機構は、パッド固定部材に固定され、シールドケースの内面または帯電部材のうち少なくともいずれか1つに接触するパッドを備えてもよい。
【0016】
また、第2のパッド部は、第2吸着部の感光体ドラムと対向する面に、さらにパッドを備えてもよい。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、簡単な構成で容易に帯電器のグリッドの外表面を清掃することが可能な帯電器清掃機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る帯電器の構成を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示す帯電器の正面図である。
【図3】図1に示す帯電器の正面からみた断面図である。
【図4】図3のA−A切断線における断面部である。
【図5】図1に示す帯電器を底面側からみた部分拡大図である。
【図6】図5の第2のパッド部材と取り除いた状態で、帯電器を底面側からみた部分拡大図である。
【図7】図1に示す帯電器のシールドケースを取り除いた状態を示す概略斜視図である。
【図8】図7に示す状態から帯電器の清掃機構を長手方向に移動させた状態を示す概略斜視図である。
【図9】同実施形態に係る帯電器の側面からみた内部構成を示す説明図である。
【図10】図9の帯電器の正面からみた内部構成を示す説明図である。
【図11】同実施形態に係る帯電器の清掃機構の第1構成例を示す説明図である。
【図12】同実施形態に係る帯電器の清掃機構の第2構成例を示す説明図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る帯電器の清掃機構を示す説明図である。
【図14】本発明の第3の実施形態に係る帯電器の清掃機構を示す説明図である。
【図15】本発明の第4の実施形態に係る帯電器の清掃機構を示す説明図である。
【図16】従来の帯電器の側面からみた内部構成を示す説明図である。
【図17】図16の帯電器の正面からみた内部構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
<1.第1の実施形態>
[帯電器の構成]
まず、図1〜図8に基づいて、本発明の第1の実施形態に係る帯電器100の構成について説明する。なお、図1は、本実施形態に係る帯電器100の構成を示す概略斜視図である。図2は、図1に示す帯電器100の正面図である。図3は、図1に示す帯電器100の正面からみた断面図である。図4は、図3のA−A切断線における断面部である。図5は、図1に示す帯電器100を底面側からみた部分拡大図である。図6は、図5の第2のパッド部材140と取り除いた状態で、帯電器100を底面側からみた部分拡大図である。図7は、図1に示す帯電器100のシールドケース110を取り除いた状態を示す概略斜視図である。図8は、図7に示す状態から帯電器100の清掃機構102を長手方向に移動させた状態を示す概略斜視図である。なお、上記図面では、帯電器100の清掃機構102の構成を分かりやすく示すため、シールドケース110内に設けられる帯電板(図9の符号152)の記載を省略している。
【0021】
本実施形態に係る帯電器100は、図1に示すように、感光体ドラム1の外周面と対向して設けられる。帯電器100は、感光体ドラム1の長手方向(z方向)に延びるシールドケース110内に設けられた帯電部材(図9の符号152)と、帯電部材と感光体ドラム1との間に設けられるグリッド118とからなる。帯電部材は、帯電板やワイヤー状の帯電線であって、例えばタングステン等の材質からなる。グリッド118は、金属ワイヤーや金属メッシュにより構成される。帯電部材に高電圧を印加すると、コロナ放電が発生し、感光体ドラム1を所定の電位に一様に帯電させることができる。
【0022】
シールドケース110は、感光体ドラム1と対向する側が開口し、内部に空間を有する部材であり、3つの平面部を連結して構成されている。開口と対向する平面部には、長手方向に延びるスリット112が形成されている。また、シールドケース110の開口部分はグリッド118によって覆われ、シールドケース110の長手方向の端部は、それぞれ板状部材114、116によって封止されている。板状部材のうち少なくとも一方、例えば板状部材114には、帯電器100のグリッド118を清掃するための清掃機構102を長手方向に移動させるための清掃棒124を長手方向に移動可能に支持するため、清掃棒124が挿通される貫通孔(図7の符号114a)が形成される。
【0023】
帯電器100には、グリッド118に付着した異物Dを除去する清掃機構102が設けられている。清掃機構102は、グリッド118のシールドケース110内部側の面(内表面)に付着した異物Dを除去する第1のパッド部130と、グリッド118の感光体ドラム1と対向する側の面(外表面)に付着した異物Dを除去する第2のパッド部140と、を備える。
【0024】
第1のパッド部130は、パッド固定部材120に固定されている。パッド固定部材120は、図2〜図4に示すように、シールドケース110外に設けられ、清掃棒124が固定された棒支持部121と、シールドケース110内において第1のパッド部130が固定されたパッド固定部123と、シールドケース110内に設けられ、棒支持部121とパッド固定部123とを連結する連結部122とからなる。パッド固定部材120および第1のパッド部130は、清掃棒124が長手方向に引っ張られたり押されたりするのに伴って、長手方向に移動される。
【0025】
第1のパッド部130は、シールドケース110内部側に設けられる。第1のパッド部130は、グリッド118の内表面に接触して設けられる第1パッド132と、当該第1パッド132とパッド固定部123との間に設けられる第1吸着部134とからなる。第1吸着部134は、後述する第2のパッド部140の第2吸着部144と吸着する部材からなる。
【0026】
第2のパッド部140は、図5〜図8に示すように、グリッド118の外表面に設けられる。第2のパッド部140は、グリッド118の外表面に接触して設けられる第2パッド142と、第1のパッド部130に設けられた第1吸着部132と引き合う第2吸着部144とを備えている。第2吸着部144により、第2のパッド部140は、グリッド118を介して第1のパッド部130に吸着して固定される。これにより、第2のパッド部140は、図7および図8に示すように、清掃棒124の動きによって移動されるパッド固定部材120および第1のパッド部130とともに移動する。
【0027】
[帯電器清掃機構の構成]
図1〜図8に示したように、本実施形態に係る帯電器100は、グリッド118に付着した異物Dを、シールドケース110の内部側および外部側から除去することの可能な清掃機構102を備えることを特徴とする。清掃機構102は、上述したように、グリッド118の内表面を清掃する第1のパッド部130と、グリッド118の外表面を清掃する第2のパッド部140とを備えている。そして、第2のパッド部140は、第1吸着部132および第2吸着部142との間に働く吸着力によってグリッド118を介して第1のパッド部130に吸着し、第1のパッド部130とともにパッド固定部材120とともにグリッド118の長手方向に移動される。このように、本実施形態に係る帯電器100の清掃機構102は、簡易な構成で、グリッド118の内表面のみならず外表面に付着した異物Dも除去することが可能である。
【0028】
以下、図9〜図12に基づいて、本実施形態に係る帯電器100の清掃機構102の詳細について説明する。なお、図9は、本実施形態に係る帯電器100の側面からみた内部構成を示す説明図である。図10は、図9の帯電器100の正面からみた内部構成を示す説明図である。図11は、本実施形態に係る帯電器100の清掃機構102の第1構成例を示す説明図である。図12は、本実施形態に係る帯電器100の清掃機構102の第2構成例を示す説明図である。
【0029】
図9および図10は、図1〜図8に示した本実施形態に係る帯電器100の構成を模式化したものである。すなわち、帯電器100は、シールドケース110内に設けられた帯電部材152と、帯電部材152と感光体ドラム1との間に設けられるグリッド118とからなる。帯電部材152は、第1のパッド部130が固定されたパッド固定部材120を支持する支持部材150の内部空間に設けられている。本実施形態に係る帯電器100は、グリッド118外部側からシールドケース110内を通り、シールドケース110の上方(感光体ドラム1と反対側)に形成されたスリット112に向かって空気が流れる吸引式の構成となっている。このため、グリッド118をダクトとして画像形成装置内の空気を吸引するため、グリッド118の外表面に異物Dが付着しやすい。そこで、本実施形態に係る帯電器100には、グリッド118の内表面および外表面に付着した異物Dを除去する清掃機構102が備えられている。
【0030】
清掃機構102は、図9および図10に示すように、シールドケース110とグリッド118とによって形成された空間内に、第1のパッド部130が固定されたパッド固定部材120が支持部材150に支持されて構成されている。支持部材150に支持されたパッド固定部材120は、支持部材150に沿って長手方向に移動可能である。
【0031】
第1のパッド部130は、グリッド118の内表面に付着した異物Dを除去する第1パッド132と、グリッド118を介して感光体ドラム1側に設けられる第2のパッド部140を第1のパッド部130側に吸着させる第1吸着部134とからなる。第1パッド132はグリッド118の内表面に接触しており、第1吸着部134は第1パッド132とパッド固定部材120のパッド固定部123との間に設けられる。第1パッド132は、グリッド118に付着した異物Dを除去可能なクリーニングフェルト等からなる。
【0032】
一方、第2のパッド部140は、グリッド118の外表面に付着した異物Dを除去する第2パッド142と、グリッド118を介してシールドケース110内に設けられた第1のパッド部130に当該第2のパッド部140を吸着させる第2吸着部144とからなる。第2パッド142は、第1吸着部134との間に生ずる吸着力によってグリッド118の外表面に接触する。第2吸着部144は、第2パッド142によって周囲を覆われるように、第2パッド142内部に設けられる。第2パッド142も、第1パッド132と同様、グリッド118に付着した異物Dを除去可能なクリーニングフェルト等からなる。
【0033】
ここで、グリッド118を清掃する第1パッド132および第2パッド142を設ける場合、パッドの目(繊維等の走っている方向)とグリッド118の目とを、異物Dが除去されやすい向きに合わせるようにしてもよい。例えば、パッドの目とグリッド118の目とを順目にすることによって、パッドの移動を滑らかにすることができ、異物Dを効果的に除去でき、パッドまたはグリッド118の目詰まりを防止することが可能と考えられる。
【0034】
第1のパッド部130と第2のパッド部140とは、第1吸着部134および第2吸着部144に、磁石および当該磁石に吸着する性質を有する磁性体を用いることにより互いに引き寄せ合う。磁石に吸着する磁性体としては、例えば、鉄、コバルト、ニッケル等がある。例えば、図11に示すように、第1吸着部134aを磁石により構成し、第2吸着部144aを磁性体により構成することができる。あるいは、図12に示すように、第1吸着部134bを磁性体により構成し、第2吸着部144bを磁石により構成してもよい。いずれの場合においても、磁石とこれに吸着する磁性体との間に生ずる吸着力により、容易にグリッド118を第1のパッド部130および第2のパッド部140で挟み込むことができる。
【0035】
このように、磁石およびこれに吸着する性質を有する磁性体を用いて第1のパッド部130および第2のパッド部140を吸着させ、支持部材150によって支持されたパッド固定部材120を長手方向に移動させることにより、パッド固定部材120に固定された第1のパッド部130および第2のパッド部140によってグリッド118の内表面および外表面に付着した異物Dを除去することができる。
【0036】
本実施形態のように、磁石およびこれに吸着する性質を有する磁性体を用いて第1のパッド部130および第2のパッド部140を吸着させ、グリッド118を挟み込むことによって、第1パッド132および第2パッド142がグリッド118に対して加える面圧力を均一にすることができる。また、第1パッド132および第2パッド142の移動方向の圧力も安定する。これにより、グリッド118に付着した異物Dを効果的に除去することが可能となる。このとき、第1吸着部134および第2吸着部144を、第1パッド132および第2パッド142と略同一サイズに形成することにより、面圧力をより均一にすることができる。
【0037】
また、本実施形態の帯電器100の清掃機構102は、シールドケース110内に設けられた第1のパッド部130に対して、グリッド118外から第2のパッド部140を吸着させるだけで構成することができる。したがって、磁石あるいは磁性体をグリッド118から取り外すことにより、第2のパッド部140を容易に交換することができる。したがって、第2パッド142が異物Dの除去によって汚れた場合には、第2のパッド部140を外し、簡単に新しいパッド部に交換できる。また、第1のパッド部130側からの観点においては、パッド固定部材120と第1パッド132との間に第1吸着部134を設ける構成とすることにより、第1吸着部134に吸着する第2吸着部144を備える第2のパッド部140を取り付ける構成を形成することができる。
【0038】
このように、清掃機構102は、駆動源も不要であり、リンク機構等の複雑な機構も存在しないので、機構を構成する部品数を増加させることなく、容易に組み立てることができる。これにより、製作コストの削減も可能となる。
【0039】
以上、本実施形態に係る帯電器100の清掃機構102について説明した。本実施形態によれば、第1のパッド部130および第2のパッド部140を吸着させてグリッド118を挟み込み、グリッド118の内表面および外表面に付着した異物Dを除去する。このような清掃機構102により、簡単な構成で容易に帯電器100のグリッド118の外表面を清掃することが可能となる。
【0040】
<2.第2の実施形態>
次に、図13に基づいて、本発明の第2の実施形態に係る帯電器100の清掃機構102について説明する。本実施形態に係る清掃機構102は、第1のパッド部130と第2のパッド部140とが吸着した状態を固定する固定部材160を設けた点で第1の実施形態と相違する。
【0041】
図13は、本実施形態に係る帯電器100の清掃機構102を示す説明図である。本実施形態に係る清掃機構102も、第1の実施形態と同様に、パッド固定部材120に固定された第1のパッド部130と、グリッド118の外表面に設けられた第2のパッド部140とからなる。第1のパッド部130は、グリッド118の内表面に接触して設けられる第1パッド132と、第1パッド132とパッド固定部材120との間に設けられた第1吸着部134とからなる。一方、第2のパッド部140は、グリッド118の外表面に接触して設けられる第2パッド142と、第2パッド142の感光体ドラム1側の面に設けられた第2吸着部144とからなる。
【0042】
第1パッド132および第2パッド142には、例えばクリーニングフェルトを用いることができる。また、第1吸着部134および第2吸着部144には、第1の実施形態と同様に、一方に磁石、他方に磁石に吸着する性質を有する磁性体を用いることができる。これにより、第1吸着部134および第2吸着部144が互いに引き寄せ合い、グリッド118を挟み込むことができる。
【0043】
ここで、清掃棒124を操作してパッド固定部材120に固定された第1のパッド部130および当該第1のパッド部130に吸着する第2のパッド部140を移動させる時や、画像形成装置の稼動時に装置が振動したり、あるいは衝撃を受けたりして、第2のパッド部140が脱落してしまう恐れがある。そこで、本実施形態に係る清掃機構102は、第1のパッド部130と第2のパッド部140とが吸着した状態で固定する固定部材160を設けている。
【0044】
固定部材160は、例えば板金の両端を屈曲させて、屈曲された両端部で第1のパッド部130が固定されたパッド固定部材120と第2のパッド部140とを挟み込むように設けられる。これにより、第1のパッド部130および第2のパッド部140の上下方向(y方向)の動きが規制され、振動や衝撃により第2のパッド部140がグリッド118から脱落するのを防止することができる。
【0045】
<3.第3の実施形態>
次に、図14に基づいて、本発明の第3の実施形態に係る帯電器100の清掃機構102について説明する。本実施形態に係る清掃機構102は、第1のパッド部130の第1パッド132、第2のパッド部140の第2パッド142に加えて、第3パッド135、第4パッド136、および第5パッド137をさらに設けた点で第1の実施形態と相違する。
【0046】
図14は、本実施形態に係る帯電器100の清掃機構102を示す説明図である。本実施形態に係る清掃機構102も、第1の実施形態と同様に、パッド固定部材120に固定された第1のパッド部130と、グリッド118の外表面に設けられた第2のパッド部140とからなる。第1のパッド部130は、グリッド118の内表面に接触して設けられる第1パッド132と、第1パッド132とパッド固定部材120との間に設けられた第1吸着部134とからなる。一方、第2のパッド部140は、グリッド118の外表面に接触して設けられる第2パッド142と、第2パッド142の感光体ドラム1側の面に設けられた第2吸着部144とからなる。
【0047】
第1パッド132および第2パッド142には、例えばクリーニングフェルトを用いることができる。また、第1吸着部134および第2吸着部144には、第1の実施形態と同様に、一方に磁石、他方に磁石に吸着する性質を有する磁性体を用いることができる。これにより、第1吸着部134および第2吸着部144が互いに引き寄せ合い、グリッド118を挟み込むことができる。
【0048】
本実施形態に係る清掃機構102は、グリッド118だけでなくシールドケース110の内面や帯電部材152、針電極等を清掃する機構をさらに備える。例えば、図14に示すように、パッド固定部材120の連結部122に、帯電部材152や針電極を清掃するための第3パッド135を設けることができる。また、パッド固定部材120のパッド固定部123および第1のパッド部130の側部に、グリッド118に対して略垂直に設けられたシールドケース110の平面部の内面を清掃するための第4パッド136、第5パッド137を設けることもできる。
【0049】
このように、グリッド118以外に異物Dが付着する箇所に、異物Dを除去するパッドを設けることで、帯電器100の異物Dをより取り除くことができる。また、本実施形態に係る清掃機構102は、パッドをパッド固定部材120に取り付けている。したがって、清掃棒124を操作してパッド固定部材120を移動させるとすべてのパッドを動かすことができるので、帯電器100の異物Dを一度に取り除くことが可能である。
【0050】
なお、本実施形態では、第1、第2のパッド132、142に加えて、第3〜第5のパッド135、136、137を設ける構成を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。第1、第2のパッド132、142に加えて、第3〜第5のパッド135、136、137のうち少なくともいずれか1つが設けられていればよく、また、帯電器100に付着した異物Dを除去するパッドをさらに設けてもよい。
【0051】
<4.第4の実施形態>
次に、図15に基づいて、本発明の第4の実施形態に係る帯電器100の清掃機構102について説明する。本実施形態に係る清掃機構102は、第2のパッド部140の、感光体ドラム1と対向する面にさらにパッド146を設けた点で第1の実施形態と相違する。
【0052】
図15は、本実施形態に係る帯電器100の清掃機構102を示す説明図である。本実施形態に係る清掃機構102も、第1の実施形態と同様に、パッド固定部材120に固定された第1のパッド部130と、グリッド118の外表面に設けられた第2のパッド部140とからなる。第1のパッド部130は、グリッド118の内表面に接触して設けられる第1パッド132と、第1パッド132とパッド固定部材120との間に設けられた第1吸着部134とからなる。一方、第2のパッド部140は、グリッド118の外表面に接触して設けられる第2パッド142と、第2パッド142の感光体ドラム1側の面に設けられた第2吸着部144と、第2吸着部144の感光体ドラム1側の面に設けられたパッド146とからなる。
【0053】
第1パッド132、第2パッド142、およびパッド146には、例えばクリーニングフェルトを用いることができる。また、第1吸着部134および第2吸着部144には、第1の実施形態と同様に、一方に磁石、他方に磁石に吸着する性質を有する磁性体を用いることができる。これにより、第1吸着部134および第2吸着部144が互いに引き寄せ合い、グリッド118を挟み込むことができる。
【0054】
本実施形態では、第2のパッド部140に対して、第2吸着部144のグリッド118と対向する面および感光体ドラム1と対向する面にパッドを設けることを特徴とする。グリッド118と感光体ドラム1の周面とのクリアランスは小さい。このため、第2吸着部144と感光体ドラム1の周面とが接触する恐れがあり、これらが接触すると感光体ドラム1の周面が傷付き、画像不良等の問題が生じる。そこで、本実施形態に係る清掃機構102のように、感光体ドラム1の周面を傷付けないように、第2のパッド部140のうち感光体ドラム1と対向する部分にパッド146を設けている。
【0055】
以上、第1〜第4の実施形態に係る帯電器100の清掃機構102の構成について説明した。上記実施形態によれば、第1のパッド部130および第2のパッド部140を磁石および当該磁石に吸着する磁性体を用いて吸着させてグリッド118を挟み込み、グリッド118の内表面および外表面に付着した異物Dを除去する。このような清掃機構102により、簡単な構成で容易に帯電器100のグリッド118の外表面を清掃することが可能となる。
【0056】
また、第2の実施形態に示したように、固定部材160によって第1のパッド部130と第2のパッド部140との吸着した状態を保持することにより、グリッド118の外表面に設けられた第2のパッド部140が脱落するのを防止することができる。さらに、第3の実施形態に示したように、第1、第2のパッド132、142に加えて、帯電器100を構成する部材に付着した異物Dを除去するパッドを設けることもできる。また、第4の実施形態に示したように、第2のパッド部材140において、感光体ドラム1と対向する面にパッド146を設けるようにしてもよい。これにより、感光体ドラム1が傷付くのを防止することができる。
【0057】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0058】
1 感光体ドラム
100 帯電器
102 清掃機構
110 シールドケース
118 グリッド
120 パッド固定部材
124 清掃棒
130 第1のパッド部
132 第1パッド
134 第1吸着部
135 第3パッド
136 第4パッド
137 第5パッド
140 第2のパッド部
142 第2パッド
144 第2吸着部
146 パッド
150 支持部材
160 固定部材
D 異物


【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ドラムの長手方向に沿って配置され、前記感光体ドラムと対向する面が開口するシールドケースと、
前記シールドケースの開口に設けられ、複数の隙間を有するグリッドと、
前記シールドケースおよび前記グリッドにより形成された空間内に設けられた帯電部材と、
を備える吸引式のコロナ放電を用いた帯電器に設けられる、帯電器清掃機構であって、
前記シールドケースおよび前記グリッドにより形成された空間内に設けられ、前記グリッドの内表面を清掃する第1のパッド部と、
前記グリッドの外表面を清掃する第2のパッド部と、
前記第1のパッド部を支持し、前記シールドケースの長手方向に移動可能なパッド固定部材と、
を備え、
前記第1のパッド部は、前記グリッドの内表面に接触する第1パッドと、当該第1パッドと前記パッド固定部材との間に設けられる第1吸着部とを有し、
前記第2のパッド部は、前記グリッドの外表面に接触する第2パッドと、当該第2パッドの前記感光体ドラム側の面に設けられ、前記グリッドを介して前記第1吸着部に吸着する第2吸着部とを有することを特徴とする、帯電器清掃機構。
【請求項2】
前記第1吸着部は磁石であり、前記第2の吸着部は磁石に吸着する磁性体であることを特徴とする、請求項1に記載の帯電器清掃機構。
【請求項3】
前記第2吸着部は磁石であり、前記第2の吸着部は磁石に吸着する磁性体であることを特徴とする、請求項1に記載の帯電器清掃機構。
【請求項4】
前記第1のパッド部と前記第2のパッド部とが前記グリッドを介して吸着した状態を保持する固定部材をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯電器清掃機構。
【請求項5】
前記パッド固定部材に固定され、前記シールドケースの内面または前記帯電部材のうち少なくともいずれか1つに接触するパッドをさらに備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の帯電器清掃機構。
【請求項6】
前記第2のパッド部は、前記第2吸着部の前記感光体ドラムと対向する面に、さらにパッドを備えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の帯電器清掃機構。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2012−133033(P2012−133033A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283679(P2010−283679)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(598045058)株式会社サムスン横浜研究所 (294)
【Fターム(参考)】