説明

帯電装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】帯電ローラの回転軸と、帯電ローラの支持部材の軸受け部との間に異物が進入するおそれがなく、安定して帯電性能を維持する帯電装置及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】帯電装置40は、感光体38に接触した状態で回転し感光体38の表面を帯電させる帯電ローラ71と、この帯電ローラ71の軸方向の端部に設けられた回転軸74を軸受け部92aによって回転可能に支持する支持部材92と、回転軸74に取り付けられ回転軸74の軸受け部92a近傍を覆うカバー部材99とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に用いる帯電装置及びそれを備えた画像形成装置に関し、特に、帯電ローラを回転可能に支持する支持部材を有する帯電装置及びそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を用いた画像形成装置には、像担持体である感光体の表面を帯電させるために帯電装置が用いられている。帯電装置としては、感光体とコロナワイヤを非接触に配置し、コロナ放電により感光体の表面を帯電させるコロナ帯電方式と、帯電ローラ等の帯電部材を用いて感光体の表面に接触させる接触帯電方式とが知られている。しかし、近年、人体に有害なオゾンの排出量を減らすため、オゾン排出量がより少ない接触帯電方式が採用されることが多くなっている。
【0003】
このような接触帯電方式において帯電ローラを感光体表面に接触させる場合、感光体表面にトナーの成分や用紙の紙粉等の異物が付着し、その異物が帯電ローラの表面に移動することがある。帯電ローラ表面に異物が付着すると、感光体表面に帯電不良を発生させるので、印刷の画質に大きな影響を与える原因となる。このような帯電ローラへの異物の付着を防止するため、従来から、清掃部材を帯電ローラの表面に押圧して、帯電ローラに付着した異物による汚れを拭き取るようにしていた。
【0004】
例えば、特許文献1及び特許文献2では、清掃部材が帯電ローラに対して線速差をもって回転駆動するとともに、帯電ローラの軸方向に往復移動することによって、帯電ローラの異物による汚れを除去している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−24212号公報(段落[0031]〜[0033]、[0038]〜[0042]、第8図、第10図)
【特許文献2】特開2007−155844号公報(段落[0058]〜[0062]、第6図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1、2では、帯電ローラの端部の回転軸は支持部材で保持されており、感光体表面に付着したトナーの成分や用紙の紙粉等の異物が帯電ローラの回転軸にも移動するおそれがある。回転軸は支持部材に形成された軸受け部に回転可能に保持され、上記の異物が回転軸から軸受け部に侵入すると、回転軸と軸受け部との間で摺動ムラが発生し、その結果、帯電ローラの回転が不安定となり、良好な帯電性能が得られないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、帯電ローラの回転軸と、帯電ローラの支持部材の軸受け部との間に異物が進入するおそれがなく、安定して帯電性能を維持する帯電装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために第1の発明は、像担持体の表面を帯電させる帯電装置であって、前記像担持体に接触した状態で回転し前記像担持体の表面を帯電させる帯電ローラと、前記帯電ローラの軸方向の端部に設けられた回転軸を軸受け部によって回転可能に支持する支持部材と、前記回転軸に取り付けられ前記回転軸の前記軸受け部近傍を覆うカバー部材とを備えることを特徴としている。
【0009】
また、第2の発明では、上記の帯電装置において、前記軸受け部は半円状に形成されて前記回転軸が回転可能に係合し、前記カバー部材は、前記回転軸に取り付けられる保持部と、該保持部から延在し前記回転軸の外周面に対向するとともに前記軸受け部に対向する周面カバー部とを有することを特徴としている。
【0010】
また、第3の発明では、上記の帯電装置において、前記周面カバー部は、前記軸受け部との対向部に形成される隙間を覆うように形成されることを特徴としている。
【0011】
また、第4の発明では、上記の帯電装置において、前記カバー部材は、前記周面カバー部の径方向の外側に延び、且つ前記軸受け部の外縁に重なる断面L字形の重複部を有し、該重複部の外縁面と前記周面カバー部の外縁面とが交わる部分に凹部を形成したことを特徴としている。
【0012】
また、第5の発明では、上記の帯電装置において、前記支持部材は、前記軸受け部から延在し前記回転軸の端面に対向する端面対向部を有し、前記カバー部材は、前記周面カバー部から延在し前記回転軸の端面に対向するとともに前記端面対向部に対向する端面カバー部を有することを特徴としている。
【0013】
また、第6の発明では、上記の帯電装置において、前記カバー部材は、像担持体に対向する側の外縁面が前記帯電ローラ表面の外径より小さいことを特徴としている。
【0014】
また、第7の発明では、上記の帯電装置において、前記回転軸は、感光層が塗布されてない像担持体の端部の表面に対向し、前記カバー部材は絶縁材で形成されることを特徴としている。
【0015】
また、第8の発明では、上記の構成の帯電装置を備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明によれば、像担持体表面に付着したトナーの成分や用紙の紙粉等の異物が帯電ローラの回転軸に移動しても、該回転軸と支持部材の軸受け部との間に異物が進入することがカバー部材によって防ぐことができる。従って、回転軸と軸受け部との間で摺動ムラが発生するおそれがなく、帯電ローラは安定して回転するために、帯電性能を維持することができる。
【0017】
また、第2の発明によれば、カバー部材の周面カバー部が、半円状の軸受け部に対向しているために、回転軸と軸受け部との間に異物が進入することが防がれる。
【0018】
また、第3の発明によれば、周面カバー部が、軸受け部との対向部に形成される隙間を塞ぐことで、回転軸と軸受け部との間に異物が一層進入し難くなる。
【0019】
また、第4の発明によれば、像担持体表面から移動する異物を周面カバー部の凹部に貯留することができ、回転軸と軸受け部との間に異物が進入することが防がれる。
【0020】
また、第5の発明によれば、軸受け部の端面対向部とカバー部材の端面カバー部とが回転軸の端面を覆うために、回転軸と軸受け部との間に異物が進入することが防がれる。
【0021】
また、第6の発明によれば、カバー部材の外縁面が帯電ローラ表面の外径より小さく構成されているために、像担持体が回転軸に対向するように配置され、回転軸にカバー部材を取り付けても、カバー部材が像担持体に衝突することがなく、像担持体表面の帯電に支障をきたさない。
【0022】
また、第7の発明によれば、カバー部材よって、像担持体の感光層の未塗布領域と回転軸とが電気的に絶縁され、回転軸から感光体への電圧リークによる画像不良を防ぐことができる。
【0023】
また、第8の発明によれば、帯電ローラの回転軸と、帯電ローラの支持部材の軸受け部との間に異物が進入するおそれがなく、安定して帯電性能を維持する帯電装置を備える画像形成装置にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態である帯電装置を備えた画像形成装置の概略構成を示す図
【図2】本実施形態に係る帯電装置を示す斜視図
【図3】本実施形態に係る帯電装置の一部を断面した平面図
【図4】本実施形態に係る帯電装置の支持部材を模式的に示す側面断面図
【図5】本実施形態に係るカバー部材とその周辺を示す斜視図
【図6】本実施形態に係るカバー部材とその周辺を示す平面図
【図7】本実施形態に係るカバー部材と支持部材を示す断面図
【図8】本実施形態に係るカバー部材と支持部材を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
【0026】
図1は胴内排紙方式の画像形成装置を示す図である。画像形成装置10の下部には、カセットタイプの給紙部14が配設されている。給紙部14は上下2段の給紙カセット16a、16bを有し、給紙カセット16a、16bには印刷前の用紙Pが収容されている。給紙カセット16a、16bに収容された用紙Pは、選択された給紙カセット16a(16b)からピックアップローラ18a(18b)により1枚ずつ繰り出され、繰り出された用紙Pは一対の給紙ローラ20a、20bによって用紙搬送路L1へと送り出される。
【0027】
画像形成装置10の右側面には、手差しトレイ22が配設されている。手差しトレイ22が図1に示す閉状態から開操作されて水平位置状態にあると、給紙部14と異なるサイズの用紙Pが手差しトレイ22に載置可能となる。手差しトレイ22に載置された用紙Pは、ピックアップローラ24により1枚ずつ繰り出され、繰り出された用紙Pは、一対の給紙ローラ26a、26bによって用紙搬送路L2へと送り出される。
【0028】
用紙搬送路L1は、複数の搬送ローラ28を備え、給紙部14の左方に配置されている。給紙部14から送り出された用紙Pが、用紙搬送路L1の各搬送ローラ28によって上方に搬送され、画像転写部36に送られる。また、用紙搬送路L2は、複数の搬送ローラ30を備え、手差しトレイ22の左方に配置されている。手差しトレイ22から送り出された用紙Pが、用紙搬送路L2の搬送ローラ30によって略水平に搬送され、画像転写部36に送られる。
【0029】
画像転写部36の用紙搬送方向上流側には、レジストローラ32が配設されている。レジストローラ32は、用紙Pにトナー像を転写するタイミングと同期をとって、画像転写部36に向けて用紙Pを送り出す。
【0030】
画像形成装置10の上部には、原稿給送読取装置37が配設されている。原稿の複写を行う場合、原稿が原稿給送部に載置され、載置された原稿が1枚ずつ分離して原稿給送部から原稿読取部に送り出され、原稿読取部によって原稿の画像データが読み取られる。
【0031】
画像形成装置10の略中央部には、画像形成部34が配設されている。画像形成部34は、感光層を形成する感光材料として、有機感光体(OPC感光体)が用いられる感光体38を備え、感光体38の周辺には、その回転方向に沿って順に、帯電装置40と、露光器42と、現像器44と、転写ローラ48、及びクリーニング装置46とを備える。
【0032】
感光体38表面が帯電装置40によって所定の極性および電位で一様に帯電されると、 露光器42は、原稿給送読取装置37によって読み取られた原稿の画像データに基づいて、感光体38上に原稿画像の静電潜像を形成する。
【0033】
現像器44は、帯電したトナーを感光体38表面に供給し、感光体38上の静電潜像を現像してトナー像を形成する。そして、トナー像は画像転写部36の転写ローラ48によって用紙Pに転写される。トナー像が転写された用紙Pは、用紙搬送路L3を通って、定着部50へと搬送される。用紙Pにトナー像が転写された後、感光体38表面に残留する残留トナーがクリーニング装置46によってクリーニングされ回収される。
【0034】
定着器50は、熱源を内蔵する定着ローラ52と、定着ローラ52に圧接する加圧ローラ54とを備える。トナー像を転写された用紙Pが定着ローラ52と加圧ローラ54によって加圧加熱され、用紙P上のトナー像が溶融定着される。トナー像が定着された用紙Pは、一対の排出ローラ58a、58bによって胴内排紙部60に排出される。
【0035】
トナー像が定着された用紙Pは、必要に応じて、経路切り替えガイド56によって搬送方向を切り替えられ、搬送ローラ64a、64bによってスタックトレイ62上に排出される。また、両面印刷を行う場合には、胴内排紙部60に排出させる途中において、用紙Pの後端が切り替えガイド56を通過したタイミングで排出ローラ58a、58bを逆回転させて、経路切り替えガイド56、66を用紙搬送路L4側に切り替える。これによって、用紙Pは、用紙搬送路L4の各搬送ローラ68の間を通って、用紙搬送路L1からレジストローラ32に搬送される。その後、画像転写部36で用紙Pの裏面にもトナー像が転写されると、用紙Pは定着部50によって再度定着され排出される。
【0036】
次に、上述の画像形成装置10に用いられる帯電装置40について図2〜図4を用いて説明する。図2は帯電装置を示す斜視図であり、図3は帯電装置の左断面図であり、図4は支持部材を模式的に示す側面断面図である。尚、図3は帯電装置40の縦断面を図2の裏面側から見た状態を示している。
【0037】
図2に示すように、帯電装置40は、帯電ローラ71と、清掃部材81と、駆動機構部80と、前記の帯電ローラ71と清掃部材81と駆動機構部80とを収容するケース部材91とを備える。
【0038】
帯電ローラ71は、金属製の芯金の周面にゴム等の弾性層を形成した導電性ゴムローラからなり、感光体38に所定のニップ圧で圧接されており、感光体38の回転にともない従動回転する。
【0039】
清掃部材81は、帯電ローラ71に付着しているトナーや用紙の紙粉等を除去するものであり、ゴムや樹脂のスポンジ状のローラからなり、帯電ローラ71と同様に軸方向に延び帯電ローラ71の上方でその表面に接触している。また、清掃部材81は回転可能に支持されるとともに帯電ローラ71の軸方向に移動可能に支持される。
【0040】
ケース部材91は、非導電性を有する樹脂で帯電ローラ71の軸方向に長く延びる箱状に形成され、ケース部材91の一側面には開口部91aが形成される。この開口部91aに後述する第2バネ部材76の一端が対向して、第2バネ部材76の一端が装置本体の電源に接続された給電用の端子に圧接され、帯電ローラ71に所定の電圧を印加することが可能になる。
【0041】
駆動機構部80は、ケース部材91内の一端側に配設され、感光体38の一端側に設けたドラム側ギア39に接続される。感光体38が回転すると、ドラム側ギア39の回転駆動力によって、駆動機構部80は清掃部材81を帯電ローラ71に対して線速差をもって回転駆動させるとともに、軸方向に沿って往復駆動させる。これによって、帯電ローラ71に付着しているトナーや用紙の紙粉等の異物が除去される。
【0042】
図3に示すように、帯電装置40は、前述の帯電ローラ71、清掃部材81、駆動機構部80、ケース部材91の他に、一対の支持部材92(右側の支持部材92は不可視)と、第1バネ部材75と、一対の第2バネ部材76(右側の第1バネ部材76は不可視)とを備え、これらの各部材はケース部材91内に収容される。
【0043】
一対の支持部材92は、帯電ローラ71の軸方向の両端部側に設けられ、帯電ローラ71に設けた回転軸74を回転可能に支持するとともに、清掃部材81に設けた軸部材83を回転可能で且つ軸方向に移動可能に支持する。一方の支持部材92(図3の左側の支持部材92)の外側には第1バネ部材75が配設され、他方の支持部材92(図3の右側の支持部材92、不可視)の外側には駆動機構部80が配設される。
【0044】
第1バネ部材75は、コイルスプリングからなり、清掃部材81の軸部材83の端部に当接して清掃部材81を駆動機構部80側に押圧する。
【0045】
図4に示すように、一対の第2バネ部材76は、コイルスプリングからなり、支持部材92の上部に当接するとともにケース部材91内の上壁に当接して、支持部材92を介して帯電ローラ71を感光体38表面側に付勢している。また、支持部材92には、帯電ローラ71の回転軸74を回転可能に支持する軸受け部92aが形成され、また、清掃部材81の軸部材83を回転可能に支持する軸受け孔92bが形成される。軸受け部92aは下側の欠けた半円形に形成され、これによって、第2バネ部材76の付勢力によって清掃部材81が帯電ローラ71に圧接するとともに、支持部材92が第2バネ部材76に付勢されても、軸受け部92aは帯電ローラ71の回転軸74を軸受けすることになる。更に、支持部材92には、ケース部材91の内壁に当接する当接面92dが形成され、この当接面92dのケース部材91の内壁への当接によって、支持部材92が図4の左右方向に移動しないようになっている。
【0046】
従って、一対の第2バネ部材76の付勢力によって、帯電ローラ71が感光体38表面に均一に圧接され、感光体38の回転にともない帯電ローラ71が従動回転するとともに、清掃部材81が帯電ローラ71に接触する。尚、半円形の軸受け部92aの近傍には、カバー部材99が設けられ、このカバー部材99の詳細については後述する。
【0047】
また、支持部材92は導電性を有する樹脂で形成され、更に、一方の第2バネ部材76の一端は、ケース部材91の開口部91a(図2参照)まで延設されて、装置本体の電源に接続された給電用の端子(図略)に圧接している。これによって、支持部材92、回転軸74を介して帯電ローラ71に所定の電圧を印加することが可能になる。尚、一方の第2バネ部材76に替えて、第1バネ部材75(図3参照)を介して帯電ローラ71に電源を供給するようにしてもよい。
【0048】
次に、図5、図6を用いてカバー部材99の周辺を説明する。図5はカバー部材99とその周辺を示す斜視図であり、図6はカバー部材99とその周辺を示す平面図である。尚、図5は感光体側から見た斜視図であり、図6はケース部材の記載を省略している。
【0049】
図5に示すように、カバー部材99の周辺には駆動機構部80が設けられる。駆動機構部80は、帯電ローラ71の軸方向と同じ方向に延びて配置される原動軸部材85と、原動軸部材85に交差して配置されるカム部材95とを備える。
【0050】
原動軸部材85は、ケース部材91に回転可能に支持される軸部86と、軸部86の周りに形成される入力側ギア87と、入力側ギア87に対して同じ軸芯で隣接して配置されるウオーム88と、を有する。入力側ギア87は清掃部材81の軸部材83(図6も参照)に設けられる出力側ギア84に噛合している。入力側ギア87と出力側ギア84は平歯車からなる。
【0051】
カム部材95は、ケース部材91に回転可能に支持される軸部96と、原動軸部材85のウオーム88に噛合し軸部96の周りに形成されるウオームホイル97と、ウオームホイル97と同じ軸芯で隣接して配置される偏芯カム98と、を有する。
【0052】
図6に示すように、偏芯カム98はその軸芯から外周縁までの距離が周上において異なる。つまり、偏芯カム98の回転中心から外周縁までの距離が単位回転角に対して一定の割合で長くなり、180度の回転角で最も長くなり、180度を超えると、逆に回転中心から外周縁までの距離が一定の割合で短くなるように形成されている。この回転角に対する外周縁までの距離の変位は清掃部材81の往復移動の片側移動量に応じて設定される。
【0053】
また、偏芯カム98の外周縁は出力側ギア84の側面部84aに対向するように配置され、そして、出力側ギア84は第1バネ部材75(図3参照)によって偏芯カム98側に押圧されているので、偏芯カム98の外周縁は出力側ギア84の側面部84aに常に当接することになる。このため、偏芯カム98が回転すると、偏芯カム98の位相に応じて出力側ギア84は第1バネ部材75(図3参照)の付勢力に抗して軸方向に移動し、軸部材83を介して清掃部材81は軸方向に移動する。偏芯カム98が半回転すると、清掃部材81は軸方向の一端側から他端側に移動し、更に偏芯カム98が半回転すると、逆に清掃部材81は軸方向の他端側から一端側に移動するので、偏芯カム98が1回転すると清掃部材81は1回往復移動することになる。
【0054】
このように、出力側ギア84と清掃部材81との間に設けた軸部材83は、出力側ギア84の軸方向移動にともない、支持部材92に設けた軸受け孔92b内で軸方向に摺動する。また、出力側ギア84が入力側ギア87によって回転させられると、出力側ギア84の軸部材83は支持部材92の軸受け孔92b内で回転する。尚、入力側ギア87は、出力側ギア84に噛合するとともに、感光体38に設けた平歯車からなるドラム側ギア39に噛合する。
【0055】
このような駆動機構部80を備える帯電装置40において、感光体38(図2も参照)が回転すると、帯電ローラ71は、一対の第2バネ部材76の付勢力によって感光体38表面に均一に圧接されているために、支持部材92の軸受け部92aに支持されて従動回転する。また、感光体38の回転にともないドラム側ギア39が回転すると、ドラム側ギア39に噛合する入力側ギア87が回転する。入力側ギア87の回転駆動は出力側ギア84に伝達され、この回転駆動によって清掃部材81は支持部材92の軸受け孔92bに支持されて回転する。また、入力側ギア87の回転駆動はウオーム88に伝達され、ウオーム88に噛合するウオームホイル97は減速されて回転し、偏芯カム98も一体に減速して回転する。このように偏芯カム98が回転すると、偏芯カム98が出力側ギア84の側面部84aに押圧されているので、出力側ギア84は軸方向に往復移動し、更に清掃部材81は支持部材92の軸受け孔92bに支持されて軸方向に往復移動する。
【0056】
従って、感光体38表面が帯電ローラ71によって帯電されるとともに、帯電ローラ71に付着した異物が帯電ローラ71に対する清掃部材81の回転及び軸方向の摺動によって除去される。
【0057】
上述のように、支持部材92は軸受け孔92b内に清掃部材81の軸部材83を回転及び摺動可能に支持し、また、その軸受け部92a内に帯電ローラ71の回転軸74を回転可能に支持している。軸受け部92aは下側の欠けた半円形(図4も参照)に形成されているために、帯電装置40の近傍に配設された感光体38表面に付着したトナーの成分や用紙の紙粉等の異物が飛散し、また、現像器44(図1参照)からトナーが飛散し、それらの異物が帯電ローラ71の回転軸74に付着するおそれがある。回転軸74と軸受け部92aとの間に異物が進入すると、帯電ローラ71の滑らかな回転が得られなくなる。これを防ぐためにカバー部材99が回転軸74に配設される。
【0058】
カバー部材99について、図6〜図8を用いて詳しく説明する。図7は、図6に示す線A−Aにて断面したカバー部材99と支持部材92を示す図であり、図8はカバー部材99と支持部材92とを分離して示す斜視図である。
【0059】
図6に示すように、カバー部材99は、周面カバー部99aと、端面カバー部99cと、保持部99bとを有して絶縁性を有する樹脂で形成される。
【0060】
保持部99bは、回転軸74の帯電ローラ71に近接する側に配置されて回転軸74に嵌合して保持される。保持部99bが回転軸74に嵌装されることで、回転軸74はその外周面を保持部99bによって覆われる。
【0061】
周面カバー部99aは、一端を保持部99bに支持され、回転軸74の軸端面74a側に延びて形成される。周面カバー部99aの軸方向の長さは支持部材92の軸受け部92aの軸方向長さより大きい。また、周面カバー部99aは、図7に示すように、回転軸74表面に近接対向して半円形に形成される。周面カバー部99aの半円形の両端部には対向部99fが形成され、対向部99fは、軸受け部92aの半円形の軸受け端面92fに僅かな隙間を有して対向している。このように、軸受け部92aに対して周面カバー部99aが配設されることで、回転軸74と軸受け部92aとの間に異物が進入し難くなる。
【0062】
更に、周面カバー部99aの対向部99fには重複部99gが設けられ、重複部99gは、L字形をなして回転軸74の径方向の外側に延び且つ軸受け部92aの外縁に重なるように形成される。このように、重複部99gが周面カバー部99aの対向部99fと軸受け部92aの軸受け端面92fとの隙間を塞ぐことで、回転軸74と軸受け部92aとの間に異物が一層進入し難くなる。
【0063】
重複部99gの外縁面99iと周面カバー部99aの外縁面99iとが交わる部分には、凹部99hが形成される。この凹部99hは、回転軸74に向けて移動する異物を貯留することを可能にする。特に、帯電ローラ71が感光体38に対して下側に配設される場合には、感光体38から回転軸74に向けて落下する異物を貯留するのに有効である。
【0064】
図8示すように、軸受け部92aには、その軸方向の一端から延びて平板状に形成される端面対向部92cが設けられ、端面対向部92cが回転軸74の軸端面74a(図6参照)に対向するように配置される。カバー部材99の端面カバー部99cは、周面カバー部99aの軸方向の一端側に平板状に形成され、回転軸74の軸端面74a(図6参照)に対向するように配置され、また、軸受け部92aの端面対向部92cにも対向している。このように、軸受け部92aの端面対向部92cとカバー部材99の端面カバー部99cとが回転軸74の軸端面74aを覆うために、回転軸74と軸受け部92aとの間に異物が進入することが防がれる。
【0065】
図6に戻って、カバー部材99を帯電ローラ71の回転軸74に取り付けると、カバー部材99の感光体38に対向する側の外縁面99iが帯電ローラ71の表面の外径より小さくなるように構成されている。これによって、感光体38が回転軸74に対向するように配置され、回転軸74にカバー部材99を取り付けても、カバー部材99が感光体38に衝突することがなく、帯電装置40は感光体38表面の帯電に支障をきたさない。
【0066】
また、感光体38は、鉄、アルミニウム等の導電性を有する金属素管からなり、帯電ローラ71が対向する金属素管の表面には有機材からなる感光層38aが塗布され、金属素管の端部の表面には感光層38aが塗布されない未塗布領域38bが形成されてなる。
【0067】
感光体38の未塗布領域38bには帯電ローラ71の回転軸74が対向する。回転軸74にはカバー部材99が取り付けられ、回転軸74は、絶縁性を有するカバー部材99を介在させて感光体38の未塗布領域38bに対向することなる。これによって、感光体38の感光層38aを帯電させるために、帯電ローラ71に電圧を印加するが、この電圧が印加されても、帯電ローラ71の回転軸74と感光体38の未塗布領域38bとの間ではカバー部材99によって電気的に絶縁され、回転軸74から感光体38への電圧リークによる画像不良を防ぐことができる。
【0068】
上記実施形態によれば、帯電装置40は、感光体38に接触した状態で回転し感光体38の表面を帯電させる帯電ローラ71と、この帯電ローラ71の軸方向の端部に設けられた回転軸74を軸受け部92aによって回転可能に支持する支持部材92と、回転軸74に取り付けられ回転軸74の軸受け部92a近傍を覆うカバー部材99とを備える。
【0069】
この構成によると、感光体38表面に付着したトナーの成分や用紙の紙粉等の異物が帯電ローラ71の回転軸74に移動しても、回転軸74と軸受け部92aとの間に異物が進入することがカバー部材99によって防がれる。従って、回転軸74と軸受け部92aとの間で摺動ムラが発生するおそれがなく、帯電ローラ71は安定して回転するために、帯電性能を維持することができる。
【0070】
尚、上記実施形態では、軸受け部92aは下側の欠けた半円形に形成される構成を示したが、本発明はこれに限らず、軸受け部は、回転軸74が嵌合する丸孔で形成され、カバー部材9は、軸受け部の軸方向両側の回転軸74と、回転軸74の軸端面74aを覆うようにしてもよい。この場合も上記実施形態と同様の効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に用いる帯電装置及びそれを備えた画像形成装置に利用することができ、特に、帯電ローラを回転可能に支持する支持部材を有する帯電装置及びそれを備えた画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0072】
10 画像形成装置
38 感光体(像担持体)
38a 感光層
38b 未塗布領域
40 帯電装置
71 帯電ローラ
74 回転軸
74a 軸端面(端面)
92 支持部材
92a 軸受け部
92c 端面対向部
92f 軸受け端面
99 カバー部材
99a 周面カバー部
99b 保持部
99c 端面カバー部
99f 対向部
99g 重複部
99h 凹部
99i 外縁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体の表面を帯電させる帯電装置であって、
前記像担持体に接触した状態で回転し前記像担持体の表面を帯電させる帯電ローラと、前記帯電ローラの軸方向の端部に設けられた回転軸を軸受け部によって回転可能に支持する支持部材と、前記回転軸に取り付けられ前記回転軸の前記軸受け部近傍を覆うカバー部材とを備えることを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
前記軸受け部は半円状に形成されて前記回転軸が回転可能に係合し、前記カバー部材は、前記回転軸に取り付けられる保持部と、該保持部から延在し前記回転軸の外周面に対向するとともに前記軸受け部に対向する周面カバー部とを有することを特徴とする請求項1に記載の帯電装置。
【請求項3】
前記周面カバー部は、前記軸受け部との対向部に形成される隙間を覆うように形成されることを特徴とする請求項2に記載の帯電装置。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記周面カバー部の径方向の外側に延び、且つ前記軸受け部の外縁に重なる断面L字形の重複部を有し、該重複部の外縁面と前記周面カバー部の外縁面とが交わる部分に凹部を形成したことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の帯電装置。
【請求項5】
前記支持部材は、前記軸受け部から延在し前記回転軸の端面に対向する端面対向部を有し、前記カバー部材は、前記周面カバー部から延在し前記回転軸の端面に対向するとともに前記端面対向部に対向する端面カバー部を有することを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載の帯電装置。
【請求項6】
前記カバー部材は、像担持体に対向する側の外縁面が前記帯電ローラ表面の外径より小さいことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の帯電装置。
【請求項7】
前記回転軸は、感光層が塗布されてない像担持体の端部の表面に対向し、前記カバー部材は絶縁材で形成されることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の帯電装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれかに記載の帯電装置を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−103548(P2012−103548A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252883(P2010−252883)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】